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2015年12月30日水曜日

2015年投稿分からのおすすめ十選

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今年投稿した記事から、個人的に印象に残った10件を選びました。なお、昨年分の十選はこちらです。

<企業分析>

1. 情熱はものすごく重要です(ウォーレン・バフェット)
失敗につながるABCとして、わたしはシアーズの例をよく挙げます。傲慢、官僚主義、自己満足の3つです。

<投資における心理学>

2. 2014年度バフェットからの手紙(13)今年も投資の助言です(後)
投資家自身の行動によっては株式を保有することが非常にリスキーとなることもあります。そうしている人がたくさんみられます。頻繁に売買したり、市場の動きを「読もう」としたり、不適切な分散をしたり、高額で不要な手数料を運用者や助言者に支払ったり、借入金で投資をすることです。そのような行動をとると、株式を末永く保有する人が享受できる満足のいくリターンを失う可能性があります。

3. 強気相場で備えること、弱気相場で腹を決めること(セス・クラーマン)
経験豊富な投資家であっても、弱気相場では苦しむものです。だからこそ何よりも重要なのが、強気相場にいるうちに来たる弱気相場に備えようと、人としてできるあらゆることを実行しておくことです。

4. 勝者の心構えとは(ハワード・マークス)
ずば抜けた成果をあげるには、他の人には見えていない(あるいは価格へ織り込み済と思われる以外の)価値を信じる必要があります。

5. 2014年デイリー・ジャーナル株主総会(4)バカなことに手を出す理由
しかし普通の人にとって、じっと座ったまま何もしないで5年間も待つなど、想像できますか。自分は何かをしているのだ、役に立っているのだ、とは感じられないわけです。だからバカなことに手を出してしまうのです。

<ものごとの考え方>

6. (解答)いいアイディアを生み出す方法(『149人の美しいセオリー』)
素人目には、いいアイディアはまるで魔法、稲妻のごとき知的跳躍のように映る。けれどもそれは、先述のようなプロセスの繰り返しの結果であり、魅力的だがミスリーディングな前提を捨てる経験を十分に積んだ結果である可能性が高い。非凡な発想は、実は平凡な発想の中から徐々に姿を現すものなのだ。

<知恵>

7. 歴史から得られる本物の教訓(ハワード・マークス)
予期しなかったり想定外の事態になるのは常であって異常ではないことを、歴史は繰り返し教えてくれる。これは歴史から得られる本物の教訓である。

<人生哲学>

8. つらい人生だから、飲まずにいられない果汁(チャーリー・マンガー)
ねたんだ末にみじめになりたいのでしたら、よきクリスチャンとして知られているサミュエル・ジョンソンの伝記は一切読まないほうがよいでしょう。ねたみとは乗り越えられるもので、そうする利点があることを、他人がやってみたくなる形で実際に示したのが、彼の人生だったからです。

9. エピクテトスの教え(チャーリー・マンガー)
人が果たすべきは自己憐憫に浸ることではなく、降りかかった災いを前向きなやりかたで利用することだ。

<来し方行く末>

10. 2015年デイリー・ジャーナル株主総会(2)過ぎ去りし最上の50年間
これまで過ごしてきた50年間を不幸せな時期だったと考えるのは、残念なことに自分の人生をまちがって評価しています。これ以上は望めない時代だったのです。これからは悪くなる可能性が高いでしょうね。

2015年12月28日月曜日

動物はパターンを見つけずにはいられない(『「偶然」の統計学』)

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前々回に取り上げた本『「偶然」の統計学』から、もう一か所引用します。本ブログでたびたび取りあげる「確証バイアス」の話題です。

記憶が外からの影響を受けやすいことは、2章で取り上げた確証バイアスと関連がある。確証バイアスとは、自分の信条(科学であれば仮説)を支持する証拠にはなぜか気づくのに、それらに反する証拠には気づかない、という無意識の傾向のことである。たとえばこんな状況を考えてみよう。

私が数の並びを作るルールを考えた。それに基づく最初の3個は2,4,6だ。それに対してあなたがこれに続く3個を予想し、私はそれが合っているかどうかを言う。そして同じことを繰り返す。つまり、あなたは先ほどの数に続く数を3個予想し、私はそれが合っているかどうかを言う。私たちはこれを、私のルールがわかったとあなたが確信するまで続ける。

この例のような状況において、人間はえてして数の並びに関する自分の仮説に沿った3つ組を次々と探す。なので、この例においてあなたが私のルールを「偶数を挙げること」だと予想したなら、あなたは続く3個として8,10,12と言うだろう。そして、それが正しいと言われたら、それに続く3個として14,16,18を挙げる。それも正しいと言われたら、あなたは自信をもって、数が単純に2ずつ増えていくというのが私のルールだと思うに違いない。

あなたの挙げた並びが私のルールを満たしていることは確かだが、実はあなたが予想したルールは私が考えていたものではない。私のルールは、順次大きくなる整数からなる任意の集合だった。この例では、自分の仮説に沿う数の3つ組ばかりを探し、反証となりうるほかの3つ組で仮説を検証しようとしない、というバイアスが働いている。

興味深いことに、科学の理想像においては、科学者は仮説を思い付いたらそれを反証すべく実験をする。反証に耐えるほど、その仮説が正しい可能性は高まる。だが、科学的な評価はうまくいく仮説――そうした反証に耐える仮説――を思いついたことが基になるので、人間はおのずと自説の検証をあまり難しくしないようにしがちだ。

(中略)

2,4,6,8,10,12……という並びの背後にあるルールを探す例における関心の的は、人間が(そして動物も)パターンを見つけずにはいられないこと、そして現に見つけるのがうまいことである。すでに何度か触れたが、これは進化の自然な産物である――トラが近づいてくる兆しを見つけられれば、近隣の好戦的な部族の何人かが忍び寄ってきたのがわかれば、あるいは果実が食用に適していることを示す特徴を掴めれば、あなたが生き残って遺伝子を次の世代に伝えられる可能性は高まる。だが、迷信を取り上げたときに見たように、出来事のパターンは背後に何の原因もなく偶然生まれることもある。実際には何の関係もない2つの出来事に相関がある(片方の発生がもう片方の発生と関連がある)と信じることは、よく「錯誤相関」効果と呼ばれている。そして、ここに統計的な推論の出番がある。その目的は、偶然生じたパターンと背後に何らかの原因が本当に存在するパターンとを区別することだ。(p. 225)

2015年12月26日土曜日

相応なる信頼関係のつながり(チャーリー・マンガー)

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チャーリー・マンガーが2007年に南カリフォルニア大学グールド・ロースクールの卒業式で述べた祝辞の19回目、最終回です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

さて、みなさんにお話ししたいアイデアもこれで最後になります。みなさんが職業生活へ進むと、さまざまな手続きや奇妙奇天烈な物事が仕事の中に入り込んでくることがよくあります。しかし複雑で官僚主義的な手続きは、社会の到達しうる最高の形態を表すものではありません。高い水準の形態とは、たとえば官僚主義と無縁で継ぎ目のない妥当な信頼関係が網目のように結ばれた状態がそうです。装飾的な手順は多くなく、完璧に信頼できる人物が正しくも互いに信頼し合う状況です。まさにそのやりかたが、メイヨー・クリニック[全米有数の名病院]の手術室で行われています。しかし法律家がそこに法律家的な手順を多々持ち込んだりしたら、死亡する患者を増やすことになります。ですからみなさんは、「法律家となったときに売り手の立場として一連の手続きを実行せざるを得ないとしても、買い手の立場にあるときは常に盲従する必要はない」ことを忘れてはなりません。みなさん自身の人生においては、相応なる信頼関係をなるべく多く結び合えるように努めるべきですよ。結婚誓約書が47ページにもなるのだとしたら、「踏み切らないほうがいい」と助言しておきましょう(聴衆笑)。

1学年分の卒業式ですので、これぐらいで十分かと思います。とある老人が熟考した諸々の話題が、みなさんのお役に立てば喜ばしいものです。そして最後に申し上げるのは、『天路歴程』[ジョン・バニヤンの著作]に登場するいにしえの「真理を求める勇者」が、他には取りようがなかった行動にちなむものです。「わが剣は、意のままに扱える者へ残すことにしよう」(聴衆拍手)。 (おわり)

The last idea that I want to give to you, as you go out into a profession that frequently puts a lot of procedure and some mumbo jumbo into what it does, is that complex bureaucratic procedure does not represent the highest form civilization can reach. One higher form is a seamless, non-bureaucratic web of deserved trust. Not much fancy procedure, just totally reliable people correctly trusting one another. That's the way an operating room works at the Mayo Clinic. If lawyers would there introduce a lot of lawyer-like process, more patients would die. So never forget, when you're a lawyer, that while you may have to sell procedure, you don't always have to buy. In your own life what you want to maximize is a seamless web of deserved trust. And if your proposed marriage contract has 47 pages, my suggestion is that you not enter. (Audience laughs.)

Well that's enough for one graduation. I hope these ruminations of an old man are useful to you. In the end, I'm speaking toward the only outcome feasible for old Valiant-for-Truth in Pilgrim's Progress: "My sword I leave to him who can wield it." (Audience applauds.)

2015年12月24日木曜日

平均への回帰(『「偶然」の統計学』)

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一般向けに書かれた確率や統計の本はぽつぽつ手にとっています。最近は『「偶然」の統計学』という本を読みました。本書では、稀と思われる事象が「しばしば」発生する理由を中心に説明しています。そうは言いながらも確率や統計全般の話題もとりあげていて、気負わずに楽しみながら読み通せる一冊です。

今回本書から引用するのは「平均への回帰」です。よく知られた現象ですが、昨年同様、締めくくりの時期にふさわしい話題だと感じています。

平均への回帰の効果は至るところに見られ、それに意識が向くようになればどこにでも見つかる。スコアや結果や反応にランダムな要素があれば、その効果は必ず現れる。たとえばパフォーマンスについて考えてみよう――試験でも、仕事でも、スポーツでも、何でもいい。パフォーマンスには実力や準備などの要因に左右される面が当然あるが、偶然にも左右される。その日はとりわけ調子が良かったとか、試験のヤマが当たったとか、売り込みに行った先の担当者が高校の同期だったとか。良いパフォーマンスにおける偶然の貢献分は次回になくなる可能性が高く、そうなるとパフォーマンスが下がったように見える。平均への回帰は、結果を額面どおり受け取る前に注意が必要だと警告する。飛び抜けたスコアは主に偶然のおかげかもしれないのだ。

ということは逆も言える。飛び抜けたパフォーマンスが部分的にでも有利な偶然のおかげなら、とりわけひどいパフォーマンスも部分的には不利な偶然のせいということになる。

この話をふまえると、あらゆる類いのランキング(スポーツチーム、外科医、学生、大学などなど)についてはっきり言えることがある。上位にいる要因の大半が偶然なら、次回は下位に沈む可能性が高い。(p.169)

2015年12月22日火曜日

苦労がやってきても、いつも備えができていた(チャーリー・マンガー)

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チャーリー・マンガーが2007年に南カリフォルニア大学グールド・ロースクールの卒業式で述べた祝辞の18回目です。このシリーズは次回が最終回です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

もう一つ強調したいアイデアがありますので、手短に説明します。私の祖父は住み暮らしていた町で40年近くの間、唯一の連邦判事でした。私は祖父のことを尊敬していましたし、私の名前は祖父からとったものなのです。私は孔子の教えを奉じる者なので、「私がこの場に立ったことにマンガー判事はご満足するであろう」と想い抱いていることを、今でも公言できるほどです。祖父が他界してからは、彼の示した価値を照らす灯火をかかげる決意を、みずからの義務としてずっと課してきました。「義務に対して忠実に仕える」といった賢明さも、そのような価値のひとつでした。祖父が連邦判事だった時代には、その未亡人に対して年金は支給されませんでした。ですから収入を節約して蓄えをしておかないと、祖母は貧しさにあえぐ未亡人となったことでしょう。資産を蓄えたことによって、彼は他人に対してもうまく処することができました。彼のような種類の人間として、彼は人生を通じて収入以下で生活し、妻が未亡人となったときにも快適な環境で暮らせるように配慮したのですね。

しかし賢明さゆえに彼が実行できたのは、それだけではありませんでした。1930年代の間に私の叔父が経営していた零細規模の銀行が失敗し、支援なしでは再開できなくなりました。そこで祖父は銀行が保有するひどい資産と交換するために、自分の保有する優良資産の1/3超を出しました。そうして、その銀行を救済したのです。私はずっとそのできごとを覚えてきました。この件は、次のような[アルフレッド・エドワード・]ハウスマンの短い詩を思い起こさせます。

ほかの人たちの思うことは
軽い、いっときのものだった――
恋人たちのデートやら、
幸運や名声やら。
私の思うのは苦労のこと、
いつも堅実に考えていた。
だから苦労がやって来ても
いつも備えが出来ていた。
[訳文は、森山泰夫訳『ハウスマン全詩集』(沖積舎)遺稿詩集6番より]


「トラブルを予期して毎日を過ごしたい人など、いるものか」と思われるかもしれません。ですが私はそうして生きてきました。そう思えるように訓練し、トラブルが起こることをいつも予期しながら、84歳になる今までの長い人生を過ごしてきました。そしてエピクテトスと同じように、私の人生も寵愛を受けたのです。常にトラブルを予期し、トラブルが起きた時には適切に行動できるように準備してきましたが、それで不幸せにはなりませんでした。傷つくことも皆無でした。それどころか、実際には助けとなりました。ですからハウスマンとマンガー判事の件は、みなさんへ譲り渡しておきます。

I've another idea to emphasize in a brief account. My grandfather Munger was the only federal judge in his city for nearly forty years. And I admired him. I'm his namesake. And I'm Confucian enough that even now as I speak I'm thinking, "Well, Judge Munger would be pleased to have me here." All these years after my grandfather is dead, I conceive myself as duty bound to carry the torch for my grandfather's values. One such value was prudence as the servant of duty. Grandfather Munger was a federal judge at a time when there were no pensions for widows of federal judges. So if he didn't save from his income, my grandmother would become a destitute widow. And, besides, net worth would enable him to serve others better. Being the kind of man he was, he underspent his income all his life and left his widow in comfortable circumstances.

But that was not all that his prudence enabled. Along the way, in the '30's, my uncle's tiny bank failed and couldn't reopen without help. My grandfather saved the bank by exchange over a third of his good assets for horrible bank assets. I've always remembered the event. It reminds me of
Houseman's little poem that went something like this:

"The thoughts of others
Were light and fleeting,
Of lovers' meeting
Or luck or fame.
Mine were of trouble,
And mine were steady,
And I was ready
When trouble came."


You may well say, "Who wants to go through life anticipating trouble?" Well I did, trained as I was, I've gone through a long life anticipating trouble. And here I am now, well along in my 84th year. Like Epictetus I've had a favored life. It didn't make me unhappy to anticipate trouble all the time and be ready to perform adequately if trouble came. It didn't hurt me at all. In fact it helped me. So, I quitclaim to you Houseman and Judge Munger.

2015年12月20日日曜日

資産とならずに負債となってしまう(ウォーレン・バフェット)

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ウォーレン・バフェットが今年の2月にウェスタン・オンタリオ大学の学生と面会した際の質疑応答その16、最終回です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問18> 慈善活動へ関わると発言された後に、ゲイツ財団やお子さんを通じて実現されました。バフェットさんにとって重要な理由が何かあったのでしょうか。

<バフェット> [少し前の質疑で触れた]CNBCは人類が存続する上で最大の脅威だと思いますので、それらを解決することに寄与したいのが一番の想いです。しかしそれを実行するのにふさわしい器を見つけられませんでした。若かった頃には、妻の財団を支援するために基金を設定したことがあります。わたしたちの持っている現金の余剰分を寄付したい、と彼女は望んでいました。しかし、わたしとしては複利の力を失いたくありませんでした。そのとき1ドルを寄付してしまえば、将来寄付できたかもしれない1000ドルをあきらめることになるからです。自分の資金に複利を効かせ続けることが、わたしにとっては本当に重要でした。

慈善活動を行うとしても、わたし自身が手際よくやれるとはまるで考えていません。ですから、ゲイツ財団やわたしの子供たちを含む5つの財団へとアウトソースしました。彼らは世界的な問題を解決する意欲にあふれています。わたしの本音としては、局所的な問題に取り組むよりも、世界的な課題に取り組んで失敗するほうがいいと思っています。

わたしにとって金銭は、もはや有用なものではありません、今ある分で十分幸せだからです。一方、世界中の人たちにはすごく役に立つと思います。これ以上保有しても実のところわたしにとっては資産ではなく、負債となってしまうのです。

それと同じように他の人に対しても、Giving Pledge[ギビング・プレッジ; バフェット等による啓蒙活動]へ参加しませんかと説得してきました。死んだ後に財産の50%超を寄付すると誓いを立てるものです。これまでに127名が誓約してくれましたが、これはすごいことです。そしてマーク・ザッカーバーグが誓約してくれたのは大成功でした。彼であれば、たくさんの若いビリオネアに対して財産を寄付したらどうかと刺激を与えてくれるでしょう。そしてザッカーバーグを敬う彼らも、同じようにしてくれると思います。(おわり)

Question #18: You have expressed a commitment to philanthropy and have done this through the Gates Foundation and your children. Is there a particular cause that is important to you?

Answer #18: I would ideally like to contribute to solving CNBC (Cyber Nuclear Biological Chemical) as I see it as the biggest existential threat to humans, but I have not found an appropriate vehicle to do so. In my early days, I had set up a fund to support my wife's foundation. Although she wanted to donate the excess cash that we had, I didn't want to lose the power of compounding. If I had donated $1 then, I could be giving up a $1000 in potential future donations, so it was really important to me to keep compounding my money.

I would not be efficient at all in doing philanthropy. That's why I outsource it to five foundations including the Gates Foundation and to my kids, who are a lot more passionate about solving world problems. I'd actually prefer to tackle a global issue and fail, than tackle a local one.

Money has no utility to me anymore as I am very happy with what I have but it has enormous utility to others in the world. More possessions to me would actually be a liability than an asset.

I am also trying to persuade more people to join the Giving Pledge, where individuals sign an agreement to donate more than 50% of their wealth after they die. So far, 127 people have signed up which is a great thing. The other day we got Mark Zuckerberg to sign up, which is a huge win for us because he'll go on to inspire many other young billionaires to donate their wealth, as they'll look up to him and do the same thing.

2015年12月18日金曜日

事業を評価するには(ウォーレン・バフェット)

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ウォーレン・バフェットが今年の2月にウェスタン・オンタリオ大学の学生と面会した際の質疑応答その15です。このシリーズは次回が最終回です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問17> 事業を評価できるには何が必要ですか。

<バフェット> 企業のことをもっともうまく理解するには、まず業界について理解する必要があります。そして、自分が理解している企業や業界にだけ集中することです。自分の土俵の外に出てはいけません。競合に対してその企業はどんな強みを持っているのか、経営陣は優秀か、そしていちばん大切なのはmoat[モート;経済的な掘]が何か、これらを知っておく必要があります。競争相手が何社なのかわからないようでしたら、その会社に投資すべきではありません。コカ・コーラ社のmoatは後味が残らないことですし、鉄道会社のmoatは新設しようがないほど飽和している点です。それが、現在わたしが両業界に投資している理由です。

Question #17: What are the things that you need to be able to value a business?

Answer #17: In order to best understand a company, you first have to understand the industry. Only focus on companies and industries you understand. Don't go outside your circle of competence. You need to know what the strengths of the company are in relation to the competition, if they have a good management team, and most importantly, what the moat is. If you don't know how many competitors the company has, do not invest in the company. Coke's moat is that it has no taste accumulation, and the moat of railroad companies are that no one can build anymore because of saturation. That is why I am currently invested in both industries.

2015年12月16日水曜日

ゴキブリを見かけたら1匹では済まない(ウォーレン・バフェット)

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ウォーレン・バフェットが今年の2月にウェスタン・オンタリオ大学の学生と面会した際の質疑応答その14です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問16> 米国会計基準(GAAP)に準拠しない会計報告を公表する企業が増えています。ソフトウェアのような無形資産は「消耗しない」資産だと正当化することで、無形資産の償却分を純利益へ足し戻しています。以前開催されたバークシャーの年次総会の場で、「EBITDAを利用して会計報告を誇張しようとする企業がある」と指摘されましたが、GAAP非準拠の説明をおこなう風潮についてご意見をうかがえればと存じます。

<バフェット> この風潮はますます産業界特有のものになっています。経営陣は「ある費用は、実際のところ費用ではない」と説きがちですが、この始まりはEBITDA[利払い税引き償却前利益]からでした。減価償却費とは実際に発生する費用にとどまらず、もっとも悪い種類の費用でもあります。前払いする必要があるからですね。つまり工場や設備にかかる金額を前払いして、期間をかけて非現金支出費用として計上するわけです。しかし無形資産の償却費が、必ずしも実態に即した費用[原文はeconomic expense]だとは限りません。その強力な例が、顧客との取引関係[原文はcustomer relations]に関する無形資産です。これは消失するにしても、償却費のように速くはありません。一方、ソフトウェア開発にかかる費用やストック・オプションは実態に即した費用の一種です。企業からの説明で「GAAP非準拠」の話が出てきたら、彼らのしていることを疑ってかかるようにしています。「台所でゴキブリを見かけたら、1匹では済まない」ですから。[関連記事]

Question #16: Increasingly companies are reporting non-GAAP earnings that add amortization of intangible assets back to net earnings using the justification that intangibles such as software are 'non wasting' assets. Given that you have indicated in previous Berkshire annual meetings that companies try to dress up financial statements with EBITDA, could you provide your thoughts on this non-GAAP trend?

Answer #16: This trend is seen to be more industry specific and management usually tries to convince you that some expenses aren't really expenses. It started with EBITDA. Depreciation is not only a real expense but the worst kind of expense because you pay it up front. Your plant and equipment is paid for upfront and companies record this cost over time as a non-cash expense. Amortization however may not always be a real economic expense, a strong example of this is customer relations as it doesn't diminish as fast as amortization if it does at all. Software development costs & stock options however, are a form of economic expense. When I hear companies talking about "Non-GAAP" I am very suspicious of what they do because "there really isn't only one cockroach in the kitchen."

2015年12月14日月曜日

米国の優位性にかかわる話題(ウォーレン・バフェット)

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ウォーレン・バフェットが今年の2月にウェスタン・オンタリオ大学の学生と面会した際の質疑応答その13です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問14> 目の当たりにされた海外の慣行のなかで、米国企業が取り入れたほうがよいと思われるものは何がありますか。

<バフェット> 自分よりも優れた人と取り組むことが大切ですが、企業を経営する上で米国は最高の場所ですので、米国を飛ばす必要はありません。しかし成功した例を知るのは簡単ですが、その成功を繰り返すのは大変です。そして、成功について学ぶのと同じように、失敗について学ぶことも重要です。市場を日々観察していると、総じて非常に興味深く感じます。たとえば2008年の金融危機はまるで驚異的な映画のようでした。どんな結末になるのか、だれにもわからなかったのですね。ところで中国は自国の仕組みを「米国式」に近づけたと感じています。

<質問15> 今後20年間で米国の競争力を高めていくものは何でしょうか。また、そういった強みに対する最大の脅威は何でしょうか。

<バフェット> 今日では利用可能な情報があふれています。これは驚くべきことです。また、この部屋にいるだれもがジョン・D・ロックフェラー[石油王]よりも良い生活を送っていますが、これも大切な事実です。これからの20年間では、今とはくらべられないほど生活水準が向上すると思います。20年前にわたしが歯科医から受けた処置などは思い出したくないほどです。それと同じで、20年後にはだれもが同じように感じるはずです。

しかし、成長には付きまとう問題があります。悪しき者たちが発展による成果を利用すれば、著しく多数の人たちを害することができます。米国の優位性に対する最大の脅威を表現するのに、わたしは頭文字を並べてCNBCと呼んでいます。サイバー、核、生物、化学の4つです[Cyber, Nuclear, Biological and Chemical]。人類に対する最大の脅威は、なんといっても核戦争によるものです。わたしの持つ全資源を投入することでその脅威と効果的に闘えるのであれば、ぜひそうしたいと思います。しかし残念ながら、変化を起こすのに有効的な経路は非常に限られています。

Question #14 What customs have you witnessed overseas that American businesses should adopt?

Answer#14: It is important to play with better players than you. The US is the best place to operate and you don't need to go beyond the US. It is easy to see success but it is more difficult to repeat the success. It is also important to study failure as much as you study success. In general, I find it very interesting to observe the market every day. For instance the 2008 crisis was a great movie and nobody knew how it would end. In my opinion China has changed their system to be more “US like”.

Question#15 What will advance American competitiveness in the next 20 years? What are the biggest threats to that competitiveness?

Answer#15: There is an abundance of information available these days, which is amazing. It's important to realize that everyone in this room is living a better life than John D. Rockefeller. In the next 20 years, we will be living incomparably better lives than we do now. I hesitate to think about the service my dentist provided me 20 years ago. At the same time, I'm sure that in 20 years people will feel the same way.

The drawback of growth, however, is that evil can leverage this progress to harm a significantly greater proportion of the population. I see the biggest threat to American competitiveness as represented by the acronym CNBC, namely Cyber, Nuclear, Biological and Chemical. By far the greatest threat to humanity is that of a Nuclear war. If I could allocate all my resources to effectively combat this threat, I would. Unfortunately there are very few effective channels that could effect this change.

2015年12月12日土曜日

優れた投資家に共通する気質(ウォーレン・バフェット)

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ウォーレン・バフェットが今年の2月にウェスタン・オンタリオ大学の学生と面会した際の質疑応答その12です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問13> 優れた投資家に共通する気質には、どんなものがありますか。

<バフェット> 抱いている思想にしっかり従うことや、感情に左右されない点です。有能な投資家はデータをもとに行動しますし、投資というゲーム自体を楽しんでいます。自分の好きなことをしている人たちなのです。まさにゲームです。彼らはこのゲームに夢中なのですね。彼らを強く突き動かしているのは、金を稼ぐことよりも自分の考えが正しいかどうかという点です。そして正しかったことによる結果としてお金がついてくるわけです。また精神的な強さも大切です。降参したり、あるいは他人に従いたくなる誘惑は数多くあります。しかし重要なのは自分自身の信念にこだわり続けることです。他人がみんなやっているからといって頭のいい人たちがバカなことに手を出すのを、たくさん見てきました。最後にもうひとつ、才能ある投資家は前向きな考え方をします。過去の成功や失敗にとらわれず、あくまでも将来に目を向けています。歴史を振り返ってみれば、過去には実にひどいことが起こりました。第2次世界大戦もそうですし、南北戦争もありました。それでも、この国はこうして成功しているのですから。

Question #13: What are some common traits of good investors?

Answer#13: A firmly held philosophy and not subject to emotional flow. Good investors are data driven and enjoy the game. These are people doing what they love doing. It really is a game, a game they love. They are driven more by being right than making money, the money is a consequence of being right. Toughness is important. There is a lot of temptation to cave in or follow others but it is important to stick to your own convictions. I have seen so many smart people do dumb things because of what everyone else is doing. Finally good investors are forward looking and don't dwell on either past successes or failures but rather look toward the future. Just look at history to see how bad things have been. We had World War 2 and a Civil War. This Country works!

2015年12月10日木曜日

女性が経済活動へ参画することについて(ウォーレン・バフェット)

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ウォーレン・バフェットが今年の2月にウェスタン・オンタリオ大学の学生と面会した際の質疑応答その11です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問12> 2013年にお書きになったエッセイで、米国経済の将来を楽観視しているとされていました。その中でも経済において女性が演じる役割に触れておられましたが、その考えをもう少し説明していただけますか。

<バフェット> 女性や少数民族の人たちが経済に加わる前の頃に(たとえば1920年以前)、アメリカは働ける人の半数だけで大きな成果をあげていました(数十年の間に、一人当たりGDPは6倍になりました)。それでは、働ける人たち全体が労働に参加すれば、どのような類いの成果につながるか想像してみてください。この国は、ここ15-20年の間に正しい方向へと進んできたと思います。わたしの姉妹はわたしと同じだけの知的能力があり、優れた資質をいくつも備えていました。それにも関わらず、彼女たちにはわたしと同じ機会が登場することはなく、わたしと同じ水準の成功を収めることはできませんでした。彼女たちに望まれていたのは良い結婚生活だったのですね。今日であっても改善の余地は残されています。バークシャーの取締役12名のうちで、女性は3名にすぎません。2015年3月5日付けで通算6回目のツイートを送信する予定です。その中で、女性経営者に関する発表をします。



Question #12: In your 2013 essay, you stated that you were optimistic about the future of the US economy, in particular with regard to the role that women play in the economy. Could you expand on your thoughts from that essay?

Answer#12: Before women and minorities were involved in the economy (i.e., pre 1920), America achieved a lot (GDP per capita increased, over a few decades, six times) with only half of its workforce. Imagine the types of gains that could be made using the full workforce. We have moved in the right direction over the past 15-20 years. My sisters have the same intellectual capacity, and have excellent personal attributes, but they never had the same opportunities being born at the same time as me, to reach the same level of success. Instead, they were expected to marry well. Even today there remains room for improvement. Only three of twelve directors at Berkshire are women. On March 5, 2015 I will release my sixth tweet ever which will have to do with an announcement related to female management.

2015年12月8日火曜日

情熱はものすごく重要です(ウォーレン・バフェット)

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ウォーレン・バフェットが今年の2月にウェスタン・オンタリオ大学の学生と面会した際の質疑応答その10です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問11> ミセスBについてお話しされましたが、昨年度のレターでも私たちのような学生はミセスBから多くを学べると書かれていました。それでは、ミセスBから学べる教訓でなにが上位にくるとお考えですか。

<バフェット> 次のことがどれだけ難しいか、考えてみてください。ひとりの女性が中国北部を歩いて通過し、英語は一言も話せず、16年間かけて古着を売って貯めた2,500ドルから始めて、10億ドルもの価値がある店を築き上げたのですから。そこから学べることがあるのはまちがいないと思います。というのも彼女は何ひとつ発明していませんし、お金もなかったですし、店舗もなければ訓練も受けていなかったのです。それでも彼女は勝利しました。別の例としては、サム・ウォルトン[ウォルマート創業者]もそうです。1960年代末のシアーズ[・ローバック]はシカゴに100店舗をかまえ、クレジットカードを発行した顧客はおそらく2千万人ほど、不動産案件はどれも最初に打診され、利用できる資金は無制限にありました。しかしアーカンソー州でピックアップ・トラック1台から挑戦した人間が、そのシアーズを打ち破ったのです。

チャーリーもそうですが、わたしも好んで伝記を読みます。その際にぜひ知りたいのが「彼らはなぜ成功できたのか、あるいはなぜ失敗したのか」です。失敗につながるABCとして、わたしはシアーズの例をよく挙げます。傲慢、官僚主義、自己満足の3つです[Arrogance, Bureaucracy and Complacency]。シアーズにはそのすべてが揃っていました。築いた組織がすばらしい成功をおさめるようになると、その3つを撃退するために猛烈な努力が必要になります。[参考記事]

サム・ウォルトンとミセスBに共通することとして、二人とも自分のビジネスに情熱をもって接していたことが挙げられます。彼らの目的はお金ではありませんでした。そうでなく、勝ちたかったからです。情熱はものすごく重要です。みなさんもそうやって取り組んだほうがいいと思います。そのほうが金銭よりも結果を大事にします。わたしたちが事業を買うときに探すのは、事業を売却したからといって一分たりとも情熱を失わない人です。そのような人たちと寄り添っていく、それがいちばん肝心なところです。

Question #11: You mentioned Mrs. B earlier, and in your annual letter last year, you mentioned students like us could learn a lot from Mrs. B - what do you think are the top lessons we can learn from Mrs. B?

Answer #11: Think about how improbable it is that a women walks out of Northern China, can't speak a word of English, and just out of proceeds of that $2,500 that she saved from selling used clothing for 16 years, she built a store worth close to $1B. There must be something to learn from that, because she didn't invent anything. She didn't have any money, store or training. Yet she won. Sam Walton is another example, compared to Sears in the late 1960s - 100 stores in Chicago, probably 20 million credit card customers, first call on every piece of real estate, unlimited financial resources, yet someone with a pick-up truck in Arkansas beat them.

Charlie and I love to read biographies, and what we like to ask is "what makes these people succeed and what makes the ones that fail?" I use Sears as an example to show the ABCs of failure - Arrogance, Bureaucracy and Complacency. And Sears had them all. When you build an organization that has been incredibly successful, you have to work extremely hard to fight off arrogance, bureaucracy and complacency.

One thing that Sam Walton and Mrs. B had in common is they had passion for the business. It isn't about the money, at all. It was about winning. Passion counts enormously; you have to really be doing it because you love the results, rather than the money. When we buy businesses, we are looking for people that will not lose an ounce of passion for the business even after their business is sold. And getting in bed with people like that is what it's all about.

2015年12月6日日曜日

エピクテトスの教え(チャーリー・マンガー)

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チャーリー・マンガーが2007年に南カリフォルニア大学グールド・ロースクールの卒業式で述べた祝辞の17回目です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

人生ではひどい目に遭ったり不公平な仕打ちを受けることがよくありますから、それらに立ち向かう必要もあります。しかし、そこから立ち直れる人もいれば、立ち直れない人もいます。そのような状況で人が適切に対応するには、エピクテトス[古代ギリシアの哲学者]のみせた生きる姿勢が道を示してくれると思います。「人生におけるあらゆる不運とは残念ながら不愉快であるが、よりよく生きるきっかけとなってくれる」と彼は考えたのです。どんな不運であろうと有意義なことを学べる機会をもたらす、と深く信じていたのですね。人が果たすべきは自己憐憫に浸ることではなく、降りかかった災いを前向きなやりかたで利用することだ、と。彼の考えは非常に健全だったので、古代ローマ帝国でもっとも優れた皇帝だったマルクス・アウレリウスやその他大勢の人たちに何世紀にもわたって影響を及ぼしました。みなさんも、エピクテトスが自身の墓碑銘に残した言葉を覚えておられるかもしれません。「奴隷であり、身は損なわれ、貧しきこと極まるも、神々に愛されたエピクテトス、ここに眠る」という言葉です。そうです、彼は「神々の寵愛を受けた者」として記憶されているのですね。彼が寵愛されたのは賢くて雄々しい人間となったからであり、当時だけでなくその後何世紀も人々を導いたからでした。[同じ話題にふれた過去記事]

Another thing to cope with is that life is very likely to provide terrible blows, unfair blows. Some people recover, and others don't. And there I think the attitude of Epictetus helps guide one to the right reaction. He thought that every mischance in life, however bad, created an opportunity to behave well. He believed every mischance provided an opportunity to learn something useful. And one's duty was not to become immersed in self-pity, but to utilize each terrible blow in a constructive fashion. His ideas were very sound, influencing the best of the Roman emperors, Marcus Aurelius, and many others over many centuries. And you may remember the epitaph that Epictetus made for himself: "Here lies Epictetus, a slave, maimed in body, the ultimate in poverty, and favored by the Gods." Well, that's the way Epictetus is now remembered. “Favored by the Gods.” He was favored because he became wise, became manly, and instructed others, both in his own time and over following centuries.

2015年12月4日金曜日

タックス・シェルターについて(ウォーレン・バフェット)

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ウォーレン・バフェットが今年の2月にウェスタン・オンタリオ大学の学生と面会した際の質疑応答その9です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問10> 先だってバーガーキングがティムホートンズ社を買収しました。そこでバフェットさんにお聞きしたいのは、米国企業の本社がカナダへと逆移転する事態が今後も継続するのでしょうか。

<バフェット> バークシャーが3Gキャピタルの案件に参画するいちばんの理由は、彼らが好ましくて信頼できる人たちだからです。税金面を考慮しているからではありません。バーガーキングが納めてきた連邦所得税は、多くの場合3千万ドル程度でした。ですが彼らの売上がほぼ120億ドルであることを考えると、タックス・シェルター[租税回避手段]としての便益は無視できる程度です。さらにティムホートンズの売上はバーガーキングの2倍ありますし、その買収がカナダにとって正味で利益があるとカナダ政府に承認してもらう必要がありました。ですから今回の案件は、よくある節税目的の本社移転とは違っていたのです。よく言われますが、今後発生しうる租税回避目的の買収を防ぐために、米国の法人所得税法が改正されて将来の本社移転を防止するようになっても驚きはしません。しかし裕福で影響力のある多くの個人や組織が優遇されたいがためにロビー活動を行うでしょうから、その種の法改正を阻む障害は大きいと思います。

Question #10: Mr. Buffett, given Burger King's recent acquisition of Tim Hortons, can you comment on the potential for US companies to continue inverting into Canada?

Answer #10: The primary reason for Berkshire being involved with 3G Capital was because they are good and trustworthy individuals, not for the tax benefit. The most federal income tax that Burger King has ever paid was approximately $30 million but their earnings are in the neighbourhood of $12 billion so the tax shelter benefits are negligible. Further, given that Tim Hortons earns 2x as much as Burger King and that the Canadian Government had to approve that the acquisition was a net benefit to Canada, this acquisition was not a typical tax inversion. That being said, to prevent further inversions in the future, I would not be surprised if corporate tax law in the United States were changed to prevent these inversions in the foreseeable future. However, as a result of numerous wealthy and influential individuals and organizations lobbying for preferential treatments the obstacles preventing such tax changes are large.

2015年12月2日水曜日

その時が来るまで、じっとしていろ(チャーリー・マンガー)

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チャーリー・マンガーが2007年に南カリフォルニア大学グールド・ロースクールの卒業式で述べた祝辞の16回目です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

なんであろうと特定の対象で本当に卓越したいのであれば、徹底的に興味を抱くことが欠かせません。そのことも私が気付いたひとつです。私としては、様々なことがそこそこ上手くこなせるように自らを強いることもできます。しかしそのやりかたでは、徹底した興味を持たない物事は何ひとつ傑出できません。ですから、みなさんもある程度は私の例に倣ったほうがよいでしょう。みなさんだってできることならば、自分が強く興味を持つことをやるようにと、自分自身を差し向けたいでしょうから。

粘り強さ、これもみなさんが心がけるべきことです。私はこの言葉を好んでいますが、自分の立場としてはこう受けとめています。「行動を起こすその時まで、じっとしていろ」。私は人生を通じて、徹底して物事に取り組む素晴らしいパートナーを得てきました。彼らと共にすることができた理由はいくつかあります。彼らにふさわしい人間であろうと努力したのもありますし、そのような人物を選び出せる才覚があったこともそうでした。また運がよかったせいもあります。人生のある時期に私が選んだ2人のパートナーは、大恐慌のさなかに小規模の建築設計事務所を立ち上げました。その際に交わした合意は、次のような単純なものでした。「両名によるパートナーシップ」の中で述べているのは、「あらゆるものを等分に分かつこと。また他者との約束を遅延した際には、両名とも毎週7日間・毎日14時間働き、遅れを取り戻すこと」でした。それで失敗しようがなかったのは、わかりきっていますね。彼らは広く称賛を集めることとなりました。そういった単純かつ昔かたぎなやりかたは、必ずや良い成果をもたらすと思いますよ。

Another thing that I found is an intense interest in any subject is indispensable if you're really going to excel in it. I could force myself to be fairly good in a lot of things, but I couldn't excel in anything in which I didn't have an intense interest. So to some extent you're going to have to do as I did. If at all feasible, you want to maneuver yourself into doing something in which you have an intense interest.

Another thing you have to do is have a lot of assiduity. I like that word because to me it means: “Sit down on your ass until you do it.” I've had marvelous partners, full of assiduity, all my life. I think I got them partly because I tried to deserve them and partly because I was shrewd enough to select them, and partly there was some luck. Two partners that I chose for one phase in my life made the following simple agreement when they created a little design / build construction team in the middle of the great depression: “Two-man partnership,” they said, “and divide everything equally. And, whenever we're behind in our commitments to other people, we will both work fourteen hours a day, seven days a week, until we're caught up." Well, needless to say, that firm didn't fail. And my partners were widely admired. Simple, old-fashioned ideas like theirs are almost sure to provide a good outcome.

2015年11月30日月曜日

人として成長するには(ウォーレン・バフェット)

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ウォーレン・バフェットが今年の2月にウェスタン・オンタリオ大学の学生と面会した際の質疑応答その8です。後半はウォーレンが好んで取り上げる話題です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問9> 投資家が企業を評価する際に、本来問うべきなのにあまり実行されていない質問とは何でしょうか。

<バフェット> まずは業界中の7,8社を調べて、よくあるデュー・ディリジェンス上の質問を経営陣に投げかけます。また各企業の経営陣には、どの競合企業であれば今後10年間をとおして自分の純資産を喜んで投じたいかを質問します。同じように、競争相手のうちショートしたいのはどの会社かも訊きます。そうすることで、その業界一筋で働いてきた人でも認識できないような業界に関する重要な気づきが得られます。

個々人のレベルでは、交友関係の中でこのやりかたをしてみるのがよいと思います。

友人の中を見渡せば、真似をするならこの人が一番だと思える人がいるでしょうし、あの人のようにだけはなりたくないと思える人もいるでしょう。次のように考えれば先ほどのやりかたができます。どの人物であればその人の将来の10%を保有したいと思えるか。あるいは、どの人であればショートしたいと思えるか。保有したいほうの人では真似したいと感じる資質をつきとめて、それを自分でも吸収できるよう努めるわけです。またショートしたい友人については、その反対を実行します。みなさんはまだ若いですから悪い習慣を取り除くことができます。「習慣という鎖は、初めは軽すぎて感じられないが、やがて重くなって壊せなくなる」と言いますから。[同様の過去記事のひとつ]

Question #9: What are questions investors should ask but usually don't when evaluating companies?

Answer #9: Start by looking at 7-8 companies in the industry and ask the management typical due diligence questions. Also, ask the management of each company which competitor they would be willing to put their net worth in for the next 10 years. Then ask which of their competitors they would short. This will provide important insights into the industry that even those who work their whole life in the industry would not realize.

On a personal level, I recommend that people do this with the network of people they know.

Among your friends, who is one person you most want to emulate and who would you want to be least like. You can approach this by thinking about which of your peers you would want to own 10% of for the rest of their lives and which ones you would like to short. Then identify the qualities that make you want to emulate them and try to internalize those qualities. Do the opposite for the friends you would want to short. You are currently still young and can get rid of your bad habits, "The chains of habit are too light to be felt until they are too heavy to be broken".

2015年11月28日土曜日

米国か、それとも中国か(ウォーレン・バフェット)

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ウォーレン・バフェットがYahoo Financeのインタビューに応じていました。トランスクリプトも掲載されています。今回引用するのは、米国と中国の将来をくらべた話題です。(日本語は拙訳)

Yahoo Finance Exclusive: What Warren Buffett is most optimistic about

米国か、それとも中国か

どちらの国も上々の場所になると思いますが、どちらかがいいかは選べません。それはわからないのですが、20年後の中国経済は今よりもずっと発展しているでしょうし、米国経済も20年後には今よりずっと発展していると思います。ですからわたしたちの子供は、わたしたちよりも向上した環境で生活できると思います。選挙の時期がやってくると「子供たちは今のような生活ができなくなる」と喧伝されますが、まるっきり100%ナンセンスです。GDP成長が2%であっても、一人当たりでは1%以上になります。それが一世代つづけば、米国における次の世代の人たちは今の生活よりも一人当たり25%分向上することになります。ですから、どちらの国にとっても非常に良い未来が待っていると思います。

Buffett on U.S. vs China

I think both will be good places. I can’t pick one over the other. I don’t know but the Chinese economy is going to be far ahead of where it is now 20 years from now and the United States economy is going to be far ahead of where it is now 20 years from now. Our children are going to live better than we live. During, in a political season to hear people say your children aren’t going to live as well as you do – that is total 100% nonsense. I mean, even at 2% GDP that’s over 1% per capita and in one generation that means the next generation is going to live 25% better than we live per capita in the United States so both countries have a very, very good future.


2015年11月26日木曜日

この世界には2種類の知識がある(チャーリー・マンガー)

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チャーリー・マンガーが2007年に南カリフォルニア大学グールド・ロースクールの卒業式で述べた祝辞の15回目です。すばらしいです。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

私がよくとりあげる話に、マックス・プランク[物理学者]のことで言い広められているものがあります。こんな逸話です。ノーベル賞を受賞したあとの彼は、新しい量子力学の標準となる講義をドイツ国内で同じようにして回りました。そうするうちに彼のお抱え運転手を務めていた人間が講義の内容を暗記してしまいました。そこでプランクにこう申し出たのです。「プランク教授、いつも同じでは退屈かと存じますので、ミュンヘンでは手前が講義をして、だんなさまは運転手の帽子をかぶってお座り頂くのはいかがでしょう」。プランクは「ぜひとも」と答えました。朝目覚めた運転手は量子力学の長い講義をしました。ところが話の済んだ後に、物理学のある教授が席を立ち、おぞましいこと極まる質問を投げかけてきました。そこで話し手は次のように答えました。「これはまた、ミュンヘンのような進んだ街で、そのように初歩的な質問を受けるとは思いもよりませんでした。それでは、私の運転手に答えさせるとします」(聴衆笑)。[同じ話題にふれた過去記事]

しかし私がこの話をしたのは、すばやく機転を利かせた主人公を誉めたいからではありません。この世界には2種類の知識があると考えるからです。ひとつはプランクが到達した知識で、人が真実を理解する類いのものです。努力の末に勝ち取ったものであり、それだけの資質も備わっていました。もうひとつが運転手のみせた知識です。彼が学んだことは長々と話をするためのものでした。話し手は大物めいて見えるかもしれませんし、良い声質の持ち主たることもあるでしょう。見事な印象を与えるかもしれません。しかし結局のところ彼らの得た知識とは運転手の知識であり、真なる知識を装ったものにすぎません。これで私は、米国における実質的にすべての政治家を描写したと思います(聴衆拍手)。みなさんはこれからの人生において、なるべく多くの責任をプランク的知識を持つ人々へ担わせようとすれば、そして運転手的知識を持つ人から取り除こうとすれば、そこで問題が生じると思います。みなさんに反対する強烈な力が働くからです。

私の属した世代はみなさんの世代に対していくらか失敗を残してしまいました。カリフォルニアの議員として左派からは折り紙付きの左翼を、右派からも折り紙付きの右翼をますます送り込み、議会のほとんどを占めるようになったからです。そのだれも排除することはできません。これが、我々の世代がみなさんの世代へやってしまったことです。みなさんならば、「ずっとずっと単純であってほしい」と望まないわけはないですよね。

I frequently tell the apocryphal story about how Max Planck, after he won the Nobel Prize, went around Germany giving a same standard lecture on the new quantum mechanics. Over time, his chauffeur memorized the lecture and said, "Would you mind, Professor Planck, because it's so boring to stay in our routines, if I gave the lecture in Munich and you just sat in front wearing my chauffeur's hat?" Planck said, “Why not?” And the chauffeur got up and gave this long lecture on quantum mechanics. After which a physics professor stood up and asked a perfectly ghastly question. The speaker said, "Well, I'm surprised that in an advanced city like Munich I get such an elementary question. I'm going to ask my chauffeur to reply." (Audience laughs.)

Well, the reason I tell that story is not celebrate the quick wittedness of the protagonist. In this world I think we have two kinds of knowledge: One is Planck knowledge, that of the people who really know. They've paid the dues, they have the aptitude. Then we've got chauffeur knowledge. They have learned to prattle the talk. They may have a big head of hair. They often have fine timbre in the voices. They make a big impression. But in the end what they've got is chauffeur knowledge masquerading as real knowledge. I think I've just described practically every politician in the United States. (Audience claps.) You're going to have the problem in your life of getting as much responsibility as you can into the people with the Planck knowledge and away from the people who have the chauffeur knowledge. And there are huge forces working against you.

My generation has failed you to some extent. More and more, we're delivering to you in California a legislature in which mostly the certified nuts from the left, and the certified nuts from the right, are allowed to serve. And none of them are removable. That's what my generation has done for you. But, you wouldn't like it to be too easy, would you?

2015年11月24日火曜日

わたしを有利にしてくれること(ウォーレン・バフェット)

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ウォーレン・バフェットが今年の2月にウェスタン・オンタリオ大学の学生と面会した際の質疑応答その7です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問8> ソーシャル・メディアが発展したり、情報が常に入ってくるようになったせいで、学生は腰を落ち着けて考えたり、あなたが過去にやっていたような考えをまとめる力を失いつつあると思います。小説よりもちょっとした情報を好むのが現代です。こういった件を問題だとお考えですか。またこれまで経歴を積まれてきた中で、深い独自の考えをめぐらすことで生まれる影響とはどんなものだったのでしょうか。

<バフェット> 考えることに多くの時間を割けるようになったのも、わたしたちが成功できた上で良かった点です。バークシャーでは会議はないですし、委員会もありません。腰を落ち着けて読み物をする以上に知的な方法はないと考えています。実のところ、わたしとチャーリーはそればかりしているのです。

効率的市場とは、それを教わる学生を不利にする教えです。読み物をして価値をみつけようとする人をとても有利にすることになります。読んだり考えたりすることを心がけず、[携帯]電話に夢中になっている人がいれば、わたし個人としてはそれが強みになります。他人が朝食の内容をツイートしたりしている間に、10-K[年次有価証券報告書]を何件か読むことで知識が得られるわけです。

わたしが生きてきた間にさまざまな変化がありましたが、世間の人が時間をつぶすやりかたは特にそうでした。

Question #8: With the rise of social media and constant information it seems students are losing the ability to sit down, think, and formulate their own thoughts like you have in the past. We prefer short bits of information to novels. Can you talk about whether you view this as a problem and the impact that deep and independent thought has had on your career?

Answer #8: A good part of our success is that we spend a lot of time thinking. At Berkshire, we don't have any meetings or committees, and I can think of no better way to become more intelligent than sit down and read. In fact, that's what Charlie and I mostly do.

The teaching of efficient markets produces a disadvantage for students and a big advantage for those who read and try to find value. It personally give me an edge when other people are not paying attention to reading and thinking, and are instead on their phones. It means that I gain knowledge from reading a few 10-K's while others are tweeting what they had for breakfast.

I've seen a lot of change in my lifetime, especially among how people spend their time.

2015年11月22日日曜日

不平等のほうがうまくいく場合(チャーリー・マンガー)

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チャーリー・マンガーが2007年に南カリフォルニア大学グールド・ロースクールの卒業式で述べた祝辞の14回目です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

「できるだけ不平等にすることで、びっくりするほどうまくいくことがよくある」、このアイデアも大切だと思います。どういうことか、おわかりですか。UCLAのジョン・ウッデンが世界一のバスケットボール・コーチとなったときに示唆的な例を示してくれました[過去記事]。彼はチーム内の下から5人に対してこう言ったのです。「諸君がプレーに参加することはない。練習するときの相手役をすればいいのだ」。一方、上位の7名はほとんどの試合に出場しました。機械のように学ぶことがいかに重要か、思い出してください。彼らはあらゆるプレーに関わったおかげで、なおさら学ぶようになりました。不平等主義を採用したことで、ウッデンは以前よりも多くの勝ち星を挙げるようになったのです。競争の激しい世界で戦っていくには、学習機械としてもっとも素養があり、かつ決意の固い人たちが参画する場を最大限に増やすほうがいいことがよくあります。人として到達できる最上のものを欲するのであれば、まさにそれを目指すべきですよ。みなさんのお子さんが脳の手術を受けようとする際に、手術を交代で行っている外科医50人の候補からくじ引きで一人を選びたいとは考えないでしょう。あるいは、行き過ぎた平等主義によって設計された飛行機になど乗りたくありませんね。それと同じ形でバークシャー・ハサウェイを経営してほしくもないでしょう。最高のプレイヤーには多くの時間を費やしてほしいはずです。

Another idea that I found important is that maximizing non-egality will often work wonders. What do I mean? Well, John Wooden of UCLA presented an instructive example when he was the number one basketball coach in the world. He said to the bottom 5 players, "You don't get to play - you are practice partners." The top seven did almost all the playing. Well, the top seven learned more - remember the importance of the learning machine - because they were doing all the playing. And when he adopted that non-egalitarian system, Wooden won more games than he had won before. I think the game of competitive life often requires maximizing the experience of the people who have the most aptitude and the most determinations as learning machines. And if you want the very highest reaches of human achievement, that's where you have to go. You do not want to choose a brain surgeon for your child by drawing straws to select one of fifty applicants, all of whom take turns doing procedures. You don't want your airplanes designed in too egalitarian a fashion. You don't want your Berkshire Hathaways run that way either. You want to provide a lot of playing time for your best players.

備考です。チャーリーは不平等主義が有利な事例を挙げていますが、過去記事「最も信頼できるモデルとは」等ではバックアップの有効性も正しく認識しています。

2015年11月20日金曜日

1990年代終盤を思い出させる(ドナルド・ヤクトマン)

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バリュー志向のマネージャーであるドナルド・ヤクトマン氏のことは何度か取りあげています。少数の大企業に集中投資する彼のスタイルは一般の投資家にとってなじみやすく、参考になるものがあると思います(過去記事でもポートフォリオを載せました)。今回は、ファンドの顧客向けに彼が書いた第3四半期のレターから引用します。(日本語は拙訳)

AMG Yacktman Focused Fund 2015 Q3 COMMENTARY [PDF]

この第3四半期の投資環境は、私たちのやりかたにとってずっと有利なものでした。現在の市場は1990年代の終盤に少し似ていると考えています。株価の高い時期が長期間継続した強気相場が終わる前の頃です。私たちがバリューを求めるやりかたは、今年は現在のところ後れをとっています。世の中の投資家はいくつかの割高な成長株を追いかける一方、注目すべき価値を提供しながらも短期的な問題が進行中の証券を避けてきたからです。しかし同様の環境が重なった1990年終盤には、成績低調な時期が存在したことで、長期にわたるずば抜けた好成績が準備されたのでした。

この数か月の間に、投資比率を大幅に増やすことができたお気に入りの投資先が何件かありました。一方で、好成績だった投資先は縮小あるいは売却しました。本物のバーゲンが到来したときにはもっと積極的かつ楽観的になれるものですが、そうなるのはほとんどの場合下落相場においてです。当ファンドを管理運営するにあたり、私たちはこれまでどおり辛抱強く、慎重に、そして客観的であり続けて参ります。(p. 2)

The investment environment was much more favorable to our approach during the third quarter. We believe the current market is a bit like the late 1990s, near the end of that expensive, long-running bull market. Our value style has lagged so far this year, as investors have chased a few high-priced growth stocks and shunned securities that offered compelling valuations but were undergoing near-term issues. Under a similar set of circumstances in the late 1990s, a period of underperformance set up exceptional outperformance over the long term.

In the last few months we were able to significantly increase our weightings in some of our favorite ideas while reducing or selling investments that have performed well. We become more aggressive and opportunistic when true bargains materialize, and this happens most during declining markets. As always, we will continue to be patient, diligent and objective when managing the AMG Yacktman Focused Fund.

2015年11月18日水曜日

アクティビスト投資家について(ウォーレン・バフェット)

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ウォーレン・バフェットが今年の2月にウェスタン・オンタリオ大学の学生と面会した際の質疑応答その6です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問7> 現在の企業統治の状況をどのようにみなしていますか。アクティビスト[物言う投資家]の存在は株主に価値をもたらすのでしょうか。

<バフェット> もしわたしが資産運用者になりたてで、資金を募ることだけを考えていたら、自分はアクティビストだと公言すると思います。すごく流行っていますからね。ですがアクティビスト投資家の数が増えるにつれて、行動を起こす先の企業をみつけるのがむずかしくなります。その一方で、企業における経営陣の自浄作用は失敗しつづけてきました。

アクティビスト投資家で問題なのは、株価が「跳ね上がる」ことだけを求めている様子がみられる点です。短期的な視野で動くアクティビストは個人的には好まないので、応援するアクティビスト投資家は一握りになると思います。

アクティビストの時代はまだ頂点には達していません。アクティビストの率いるファンドが儲からなくなるまでは続くと思います。すごいアイデアが馬鹿げたものに変わるまで、金融界はそのアイデアをずっと後押しします。ですが大切なのは、アイデアがどこまで通用するのかを忘れないことです。アクティビスト投資家の数が増えすぎれば、いずれは問題になります。

Question #7: How would you characterize the state of corporate governance today? Do activist investors bring value to shareholders?

Answer #7: If I were solely interested in attracting money as a new money manager, I would call myself activist investor as they are very popular now. As the numbers of activist investors grow, these managers are having more and more trouble finding companies to be active in. On the other hand, the self-cleansing method of management in companies has continuously failed.

One problem with activist investors is that they are sometimes only looking for a "pop" in the stock, so I personally do not like the short term horizon of some activists and would only back a small handful of activist investors.

The activist phase has not reached its peak yet and will be with us until activist funds stop making money. Wall Street pushes great ideas until they are silly. It is important to remember the limitations of ideas and once there are too many activist investors there will be problems.

2015年11月16日月曜日

ニッチとは居心地の良い場所(日東電工髙﨑社長)

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今週号の日経ビジネス(2015年11月16日号 No.1816)で日東電工がとりあげられていました。髙﨑社長のインタビュー記事もあり、興味深い内容でした。同社の強みが感じられた文章を以下に引用します。

はじめは髙﨑社長の発言です。

<問> ニッチを重視すると言っても、ニッチな分野は市場規模も限られます。どう稼ぐのでしょうか。

<答> もうかるかどうかではなく、もうけるんですよ。ニッチと言うと「隙間」というイメージがあるかもしれませんが、我々の考え方はちょっと違います。市場規模が小さいというより、競合がなかなか入れない「居心地の良い場所」が我々の定義するニッチです。

ここを守り続ければいずれ大きな事業に育つ可能性もある。今は大きな収益基盤となっている液晶パネル向けの偏光板だって 、最初は電卓など小さい市場からスタートしているんです。

<問> 模倣対策はどうしているんですか。

<答> そこは、ビジネスモデルから特許でバチッと押さえます。過去にたくさん苦い汁を吸っていますからね。

特許で守らなければ、どんなに良い物ができても、すぐまねされて、あっという間に追いつかれます。それこそ世界中で特許を取っておかないと戦えない。攻めの特許戦略が必要なんです。(p. 80)

もうひとつはCTOの西岡氏による説明です。

「『こんな製品があればいいのに』と思ったお客さんは、それを作ってくれそうな企業に相談する。結果的に、様々な分野で市場シェアの高い製品を抱える我々の元に、顧客ニーズが集まるようになる。そうした情報を照らし合わせることで、ものになりそうな技術、なりにくそうな技術の見極めができる」(p. 75)

蛇足です。数年前に当社へ投資してから少しずつ売却し、現在は1単元を残すのみです。名残惜しくて売り切れない。当社もそんな企業のひとつです。

2015年11月14日土曜日

反証と知恵とチェックリスト(チャーリー・マンガー)

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チャーリー・マンガーが2007年に南カリフォルニア大学グールド・ロースクールの卒業式で述べた祝辞の13回目です。今回はチャーリーおなじみのテーマです。短くまとめられた発言ですが、リンク先の過去記事では詳しく説明されています。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

客観性を保つことのできる定型的なやりかたに従っていれば、当然ながら認知の面でとても有益です。ダーウィンが反証することに熱を入れたのはだれもが知っているとおりですね。自分が信じて愛した考えに対してこそ、彼は熱心に反証を試みたのです[参考記事]。できるだけ正しく考えることが人生だとすれば、そのような手順は欠かせません。そしてもうひとつ必要なのが、チェックリストを使って確認することです。これはたくさんのあやまちを防いでくれますよ。パイロットだけのものではないのです[参考記事]。多岐にわたる基礎的な知恵を身につけるだけでなく、その知恵を頭の中のチェックリストに並べて使うことです。そこまでうまくいく方法は、他にはありません。

Engaging in routines that allow you to maintain objectivity are of course, very helpful to cognition. We all remember that Darwin paid special attention to disconfirming evidence, particularly when it disconfirmed something he believed and loved. Routines like that are required if a life is to maximize correct thinking. And one also needs checklist routines. They prevent a lot of errors, and not just for pilots. You should not only possess wide-ranging elementary wisdom but also go through mental checklist routines in using it. There is no other procedure that will work as well.

2015年11月12日木曜日

善意が最悪につながるとき(『人と企業はどこで間違えるのか?』)

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遅ればせながら『人と企業はどこで間違えるのか?』を読みました。本書はビル・ゲイツが推薦した本として知られていますが、さらに元をたどればウォーレン・バフェットにたどりつくとのことです。本書では米国経済界で起こった10件の出来事(原書Business Adventuresでは12件)が節度ある文章で語られており、自然と引き込まれました。今回引用するのは1962年5月に起きた株式市場の暴落後に、ある株式ブローカーが書き残した文章です。

私たちはブローカーならではの憂鬱も抱えていた。顧客は誰もが裕福というわけではない。にもかかわらず、私たちの助言のせいで多大な損失を被っているのだ。信じてもらえないかもしれないが、他人の金を失うことはどうしようもなく嫌なものだ。あの暴落が起きるまで、相場は12年間も上昇し続けてきた。誰でも10年ものあいだ、自分や顧客にひたすら利益ばかりもたらしてきたら、自分はとてつもなく有能だと思うようになる。自分はすごい、金儲けの達人だ、と。しかし相場が崩れ、無力さが露呈した。あのとき誰もがいくばくかの自信を失い、すぐにはそれを取り戻すことができなかった。どうやら市場が受けた衝撃は、ブローカーがデ・ラ・ヴェガの提唱する次の基本ルールを守るべきだったと後悔するほど大きかったようだ--「株の売買についてはけっして助言してはならない。なぜなら、洞察力が鈍ったとき、善意の助言が最悪の結果につながることがあるからだ」(p.322)

参考までに当時のS&P指数のチャートを転載します。1929年は別格として、第2次大戦後の上昇がつづく期間では急激な下落だったようにみえます。

(出典) The Intelligent Investor (4th Revised Edition)

こちらはおまけです。上述の話とは別のもので、アメリカ政府で原子力委員会の委員長などを務めた人物デビッド・リリエンソール氏に関する章からです。民間企業の経営者へと転身した彼が、ストック・オプションで財産を築いたことについて抱いていた想いです。

「(前段省略)ここ数年、『金持ちになるってどんな気分だ』としょっちゅう訊かれます。最初は暗に非難されているようで気分が悪かったのですが、もう慣れました。今ではとくにどうこう思わないと答えています。本音はというと……ただし、これを言うと傲慢に聞こえるでしょうが……」

「いいえ、ちっとも傲慢じゃないわ」、リリエンソール夫人が先回りして言った。

「いや、傲慢さ。だが、とにかく言わせてもらうなら」とリリエンソールは続けた。「ある程度の財産があれば、お金はそれほど重要だとは思いません」

「私はそうは思わないわ」と夫人は反論した。「お金が重要じゃないと言えるのは若いうちよ。若ければなんとか頑張れますから気にならないでしょう。でも、歳をとってくるとお金があれば何かと心強いものです」(p.268)

2015年11月10日火曜日

所得格差について(ウォーレン・バフェット)

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ウォーレン・バフェットが今年の2月にウェスタン・オンタリオ大学の学生と面会した際の質疑応答その5です。今回は2件分の質疑です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問5> あなたとマンガーさんは今後50年間の展望を書かれたとのことですが、実のところどうなっていくのでしょうか。

<バフェット> これまでの50年間を通じて、容易に拡張していける事業を買うことに専念してきました。そのように企業を買収したことで、容易に拡張できるものを築けたと信じています。またわたしたちが保有しているのは、妥当な水準で成長することができ、正しい形態や文化を持った事業でもあります。

<質問6> 所得格差[原文はincome inequality]についてどのようにお考えですか。

<バフェット> 所得の平等性[原文はincome equality]はますます悪化すると思います。ですが、「所得格差」という言葉には誤りがあります。平等になることを目指すべきとしているからです。目指すところは機会の平等です。しかし資本主義が発展するほど、下位10%や20%の人はいっそう取り残されていくと感じるでしょう。これは、社会がより専門化してきたからそうなったと言えます。農業の時代だったころには、IQが150の人と80の人で所得の差をみても、ひどくはありませんでした。農作業をする人がほとんどだったからですね。その後、製造業の時代に移って専門化が若干進んだものの、まだ大丈夫でした。そして現在の市場構造は、特定の技能を持った人が有利になっています。たとえばボクシングの場合、TVが登場する前には1回の拳闘試合で最強のボクサーが得ていた金額は6千ドルほどだったでしょう。しかし今やマニー・パッキャオ対フロイド・メイウェザー・ジュニアの試合では、数億ドルになると思います。つまり、まずはTVを発明した人がいましたし、その後にボクシングの試合興行で金を儲ける人がでてきたわけです。

所得格差に影響する大きな要因として税制も挙げられます。大金持ちを優遇するよう、大幅に歪められています。申告ベースによる収入の上位400名が払っている税率は20%を下回っています。

実際のところ、市場システムでは不平等を正すことはできません。ですが、わたしたちが持つシステムの中では最良のものだと思います。

Question 5: Both you and Mr. Munger are writing down your 50-year visions. What are these visions going to be?

Over the past 50 years, we've always focused on buying companies that are scalable. With the companies that we've acquired, we believe we have created something very scalable. We also have the right form, culture and business to grow at a reasonable rate over time.

Question #6: How do you feel about income inequality?

Answer #6: Income equality will get worse but the term income inequality is in itself flawed because implies that equality is something we should aspire to. We should aspire towards equal opportunity. But as capitalism moves forward, the bottom 10% or 20% will find themselves further and further behind. This is because society has become much more specialized. Back in the farming days, the income difference between someone with an IQ of 150 vs. someone with an IQ of 80 would not have been disastrous, since most people could do farm work. Then we moved into manufacturing, a bit more specialized, but still okay. Now the market structure is giving more advantage to people with particular skills. Take the example of boxing. Before the advent of TV, the best boxers may be getting six thousand dollars per fight. Now we have Manny and Mayweather, who will be fighting for hundreds of millions. Someone came along and invented TV, and then someone figured out how to promote the fight and make money.

Another big factor that affects income inequality is the tax code, which is largely skewed to favour the super rich. The top 400 gross income earners based on their tax returns pay less than 20% tax.

So the market system doesn't really address inequality. However, it is the best system that we have.

同様の内容を扱った過去記事(ウォーレンの講演)として、「社会への貢献度とそれに対する報酬について」があります。

2015年11月8日日曜日

投資家にウソをついたのではない(『HARD THINGS』)

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少し前に『HARD THINGS』という本を読みました。著者のベン・ホロウィッツはネットスケープのマーク・アンドリーセンとITベンチャー企業を経営し、事業を大企業へ売却することに成功した人物です。畏敬すべき経歴に聞こえるかもしれませんが、事業経営の内情はIT企業によくあるドタバタの連続です。IT業界で働く人であれば(ベンチャー企業であればなおさら)、肯きたくなる局面が何度もでてきます。その意味で個人的には「激動の時期を駆け抜けた、あるCEOの回顧録」として読みました。

さて今回は、同書で何度か取り上げられているアンディ・グローブ(インテルの元CEO)の発言を引用します。

2001年の大インターネットバブルの最終時期、大手IT企業が軒並み四半期目標を大幅に下回ったときに、なぜ誰もバブル崩壊を予知できなかったのかと考えた。2000年4月のドットコム不況のあと、シスコ、シーベル、HPなどは、自分たちの顧客の多くが壁にぶつかるのを見て、すぐに景気後退に気づいたはず、とあなたは考えるかもしれない。しかし、おそらく史上最大規模の早期警告システムが作動していたにもかかわらず、どのCEOも強気の予測を繰り返した。自分たちの四半期が劇的に吹き飛ばされる寸前まで。私はアンディに、なぜ偉大なCEOたちが、迫りくる自らの運命についてウソをつくのか尋ねてみた。

彼らは投資家にウソをついたのではなく、自分にウソをついていたのだとアンディは言った。

アンディは、人間、特にものをつくる人たちは、良い先行指標にしか耳を貸さないと説明した。たとえば、CEOは自社サービスの登録者数が通常の月間成長率を25パーセント上回ったと聞けば、切迫した需要の大波に耐えられるよう、すぐにエンジニアを追加するだろう。一方、登録者数が25パーセント減少すれば、CEOは同じくらい熱心かつ緊急に、言い訳の説明をするだろう。「この月は低調だった。休日が4日もあり、ユーザーインタフェース(UI)を変更したことによってさまざまな問題が起きた。どうか、パニックにならないでほしい!」

どちらの先行指標も誤りだったかもしれないし、正しかったかもしれないが、この架空のCEOはほぼすべてのCEOと同様に、ポジティブな指標に対してのみ行動を起こし、ネガティブな指標に対しては、説明を探すだけだ。(参考記事)(p.128)

2015年11月6日金曜日

勝者の心構えとは(ハワード・マークス)

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少し前の投稿でご紹介したハワード・マークスのレター"Inspiration from the World of Sports"から、もう一か所引用します。(日本語は拙訳)

勝者の心構えとは

私の場合、メモを書き終えるその時に最後のひらめきが思い浮かぶことがよくあります。先週末のファイナンシャル・タイムズ紙で、現在の世界ランキング第1位のテニス選手であるノバク・ジョコビッチの興味深いインタビュー記事がありました。勝者の心理状態について彼が発言した一文に目がとまりました。

「どんなテニスの試合でも、勝敗の半分はコートに入る前にまちがいなく決まっていますね。自分を信じられなければ、恐れのほうが勝ってしまいます。そうなると、もう手に負えません。そしてその違いは紙一重なのです」

ジョコビッチの発言を読んで、10月の初めに交わした対話を思い出しました。そのときの話題は、私がかつてほとんど記したことのない「自信」についてでした。飛び抜けた成績をおさめるのに不可欠な属性の中で、これは高い順位に位置付けられるものです。

運動選手が平均以上であるためには抜きん出ていなければなりません。レベルの高いテニスの試合では、相手がリターンできないような「ウィナー」ショットを打たないと勝てません。強力なショットで、かつライン際かネットぎりぎりに打ち、相手の「凡ミス」を誘うわけです。しかしそうする能力に欠けていれば成功しないでしょう。つまり、それを試みること自体が賢明でないのです。一方、必要な能力を備えた人であれば、「ウィナーを狙う試合で闘う」際にそれを試みるだけの資格があります (過去のメモ"What's Your Game Plan"をご参照のこと)。

これは、イェール大学の[投資担当オフィサーだった]デイビッド・スウェンセンが「不快な特異性」と表現した投資上の行動と似ているとも言えます。これが実際に意味するのは「すばらしい投資とは、ほとんどの場合において不快なところから始まる」ということです。あるいは「ほとんどの人が不快と感じるものへ関与する」といったほうが適切かもしれません。ずば抜けた成果をあげるには、他の人には見えていない(あるいは価格へ織り込み済と思われる以外の)価値を信じる必要があります。リスキーで不確かだと他人が考えるものを買うわけです。うまくいかなければ困った事態に発展するほど大量に買うわけです。それでは、自信を必要とする行動の例にはどのようなものがあるでしょうか。

・あるものを50ドルの値段で買った後に25ドルに下落して、間違っているのはあなただと「市場」が告げているときに、そのまま保有し続けるか買い増しすること。

・(200ドルの価値があると考えて)50ドルの値段で買ったものが100ドルになった際に、「慎重にも利益の一部を確定させる」のを拒むこと。

・その会社が破産して債券価格が暴落している最中に、伝統的な知恵に逆らってあえて「落下中のナイフをつかみ取る」こと。

・好みの銘柄を、自分の比較対象である指数に占める割合よりも大幅に買うこと。あるいは、指数の構成銘柄ながらも自分の嫌う銘柄を完全に排除すること。

それぞれの例において、浅く(第一段階)しか考えない者は伝統的かつ容易であって強い自信を必要としないことを実行します。しかし深く(第二段階)考える者はものごとを違った見方でとらえ、それゆえに上に挙げたことを進んで実行します。ただし確信が得られなければ、そうはしないでしょう。私が知っているすばらしい投資家諸氏は自分に自信を持ち、深く考えられる人たちです。群集から離れようとも、まったく意に介しません。

投資家が自信を持つのはすばらしいことですし、そのおかげで大胆に振舞えるのもすばらしいことです。ただし、その自信に裏付けがあるときにかぎります。最後に示したこの条件は、投資家は冷徹かつ率直に自分自身を評価しなければならないことを意味します。自信不足やそれゆえに大胆な行動に及び腰でいるよりも、傲慢さや自己過信のほうが危険だからです。「なにが危ないのかわかっていないのは問題ではない。危なくないと信じきっていることが問題になるのだ」、マーク・トウェインがそう発言した時、彼の胸中も同じだったでしょう。そしてノバク・ジョコビッチが「紙一重だ」と言ったのも、同じことを示していたに違いないと思います。(p. 8)

The Victor's Mindset

It often seems that just as I'm completing a memo, a final inspiration pops up. This past weekend, the Financial Times carried an interesting interview with Novak Djokovic, the number one tennis player in the world today. What caught my eye was what he said about the winner's mental state.

I believe that half of any victory in a tennis match is in place before you step on the court. If you don't have that self belief, then fear takes over. And then it will get too much for you to handle. It's a fine line.

Djokovic's statement reminded me of a conversation I had earlier this month, on a subject I've written about rarely if ever self-confidence. It ranks high among the attributes that must be present if one is to achieve superior results.

To be above average, an athlete has to separate from the pack. To win at high-level tennis, a player has to hit "winners"-shots his opponents can't return. They're hit so hard, so close to the lines or so low over the net that they have the potential to end up as "unforced errors." In the absence of skill, they're unlikely to be executed successfully, meaning it's unwise to try them. But people who possess the requisite skill are right in attempting them in order to "play the winner's game" (see "What's Your Game Plan").

These may be analogous to investment actions that Yale's David Swensen would describe as "uncomfortably idiosyncratic." The truth is, most great investments begin in discomfort - or, perhaps better said, they involve doing things with which most people are uncomfortable. To achieve great performance you have to believe in value that isn't apparent to everyone else (or else it would already be reflected in the price); buy things that others think are risky and uncertain; and buy them in amounts large enough that if they don't work out they can lead to embarrassment. What are examples of actions that require self-confidence?

・Buying something at $50 and continuing to hold it - or maybe even buying more - when the price falls to $25 and "the market" is telling you you're wrong.

・After you've bought something at $50 (thinking it's worth $200), refusing to "prudently take some chips off the table" when it gets to $100.

・Going against conventional wisdom and daring to "catch a falling knife" when a company defaults and the price of its debt plummets.

・Buying much more of something you like than it represents in the index you're measured against, or entirely excluding an index component you dislike.

In each of these cases, the first-level thinker does that which is conventional and easy - and which doesn't require much self-confidence. The second-level thinker views things differently and, as a consequence, is willing to take actions like those described above. But they're unlikely to be done in the absence of conviction. The great investors I Know are confident second-level thinkers and entirely comfortable diverging from the herd.

It's great for investors to have self-confidence, and it's great that it permits them to behave boldly, but only when that self-confidence is warranted. This final qualification means that investors must engage in brutally candid self-assessment. Hubris or over-confidence is far more dangerous than a shortage of confidence and a resultant unwillingness to act boldly. That must be what Mark Twain had in mind when he said, "It ain't what you don't know that gets you into trouble. It's what you know for sure that just ain't so." And it also has to be what Novak Djokovic meant when he said, "It's a fine line."

2015年11月4日水曜日

給料取りはつらいよ(チャーリー・マンガー)

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チャーリー・マンガーが2007年に南カリフォルニア大学グールド・ロースクールの卒業式で述べた祝辞の12回目です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

他に避けるべきこととして、不適切な動機づけがあります。報酬体系が不適切なゆえに、馬鹿げた行為や悪しき振舞いを重ねたほうが報われる。そんな環境に身を置きたいとは思わないでしょう。人間の認知や行動を御するものとして不適切な動機づけは強力に働きますから、その影響を避けるべきです。一例としてわかると思いますが、現代の法律事務所において長時間にわたる報酬請求時間を下限として強要しているところが、少なくともいくつかあります。報酬請求時間の下限が年間2,400時間になるような場所では、私はやっていけなかったですよ。さまざまな問題をもたらしたでしょうから。私はそんなことはしませんでした。これからみなさんが直面するそういった状況をどう解決したらよいか、私にはわかりません。そのような重大な問題にどう対処するかは、みなさん自身が見つけ出す必要があります。

同様に、不適切な関わり合いも避けるべきことです。尊敬できないし、同じようにもなりたくない。そんな上司の下で働きたくないのは殊更だと思います。危険ですから。だれもが権威的存在によって多かれ少なかれ管理されています。特に報酬を決定できる存在によってです。この危険に正しく対処するには、能力と意思の両方が必要です。私の場合、尊敬できる人を見つけ出して策を講じました。その際に、ほとんどだれのことも批判せずに済ませました。これでたいていは、正しい種類の人の下で働けるようになりました。きちんと配慮した上でうまくやれるだけの賢さがあれば、そういった行為を許可してくれる法律事務所は多いと思います。一般的に言って、尊敬して然るべき人の下で働けば、より満足のいく人生を過ごせるものです。

Another thing to avoid is being subjected to perverse incentives. You don't want to be in a perverse incentive system that's rewarding you if you behave more and more foolishly, or worse and worse. Perverse incentives are so powerful as controllers of human cognition and human behavior that one should avoid their influence. And one of the things you're going to find in at least a few modern law firms is high billable-hour quotas. I could not have lived under a billable-hour quota of 2400 hours a year. That would have caused too many problems for me. I wouldn't have done it. I don't have a solution for you for the situation some of you will face. You'll have to figure out for yourselves how to handle such significant problems.

Perverse associations are also to be avoided. You particularly want to avoid working directly under somebody you don't admire and don't want to be like. It's dangerous. We're all subject to control to some extent by authority figures, particularly authority figures who are rewarding us. Dealing properly with this danger requires both some talent and will. I coped in my time by identifying people I admired and by maneuvering, mostly without criticizing anybody, so that I was usually working under the right sort of people. A lot of law firms will permit that if you're shrewd enough to work it out with some tact. Generally, your outcome in life will be more satisfactory if you work under people you correctly admire.

2015年11月2日月曜日

アナリストの分析は読みません(ウォーレン・バフェット)

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ウォーレン・バフェットが今年の2月にウェスタン・オンタリオ大学の学生と面会した際の質疑応答その4です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問4> 他人のアイデアを参考にして利益をあげたことはありますか。

<バフェット> 自分のアイデアでやるのが好みです。まずまずの金額で売買されている優れた企業がいいですね。シケモク銘柄に投資して利益をあげることはできます。投資金額が小さければうまくいきますし、以前はもっと効果的でした。けれども、シケモクから事業を築くことはできません(参考記事)。アナリストの分析は読みません。いろんなアイデアが差し出されますが、外部からのアイデアを求めてはいません。自分の得意な領域にとどまっていますから。つまり、魅力的な優れたアイデアにあまり注目が集まっていない様子がたびたび見られても、バークシャーの運用資産[原文はAUM; Assets Under Management]にとって潜在的な投資先とは、かなり狭い世界にとどまることを意味しています。たとえば韓国市場について最近調べたところ、おもしろい機会をいくつか見つけました。

1950年(1951年刊)のムーディーズ業種別マニュアルを使っていたころに、1433ページの後ろにうまい案件がいくつかありました。そのときわたしが注目したのはウェスタン保険社でした。EPSが29ドルのところ、株価は高値でも13ドルでした。この件を教えてくれた人は誰もいませんでしたよ。保険ブローカーに問い合わせて大丈夫だとわかったので、同社の株を買い込んだわけです。

結局は、「加工されていない」財務諸表そのものを読んで、その業界に属する人と話をするやりかたが好きですね。

Question#4: Have you ever made money on someone else's ideas?

My preference is for my own ideas. I prefer to find good companies trading at fair prices. You can make money on cigarette butt investing but this works better with small amounts of money and was more effective years ago. You can't build businesses out of cigar butts. I don't read analyst reports and, although I get served up many ideas I don't seek outside ideas. I stay within my circle of competence. Berkshire's AUM means the universe of potential investments is smaller even though good, attractively priced ideas are often poorly covered. For instance, recently I did screening of the Korean market and found a few interesting opportunities.

I used a 1950s (1951) Moody's manual by sector. There was some good stuff in the back on page 1433.Western Insurance was a company that I looked at. It had an EPS of $29 and the high price was $13. Nobody showed me this. So I checked it out with insurance brokers and it checked out OK so I bought into the company.

All in all, I prefer to read "raw" financial reports and talk to industry representatives.

2015年10月30日金曜日

投資における意思決定の良否を判定するには(ハワード・マークス)

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オークツリー会長ハワード・マークスの新しいレターが公開されています(10月22日付)。スポーツに関する各種の話題と投資の類似点をとりあげています。今回引用するのは、アメフトの重要な試合で下された判断が運悪く負けにつながった件から展開した話題です。(日本語は拙訳)

Inspiration from the World of Sports [PDF] (Oaktree Capital Management)

ナシーム・ニコラス・タレブは著書の中で、「起こり得た数々の歴史」について触れています。私はこれを「十分起こり得たが、そうならなかった別の事態」と表現しています。たしかに[今年のスーパーボウルで]シーホークスは負けました。しかし彼らが勝利し、[コーチのピート・]キャロルの下した判断がその違いをもたらしていたかもしれないのです。そうであれば彼はやり玉にはあげられず、ヒーローとなっていたでしょう。ですから、下した判断の良否を評価するには結果にもとづくだけでは足りず、以下の点も考慮しなければなりません。第一にその判断を下したプロセスの品質、第二にその判断が当たる先験的確率(当たるかどうかを問うこととは大きく異なります)、第三に下されたかもしれなかった他の諸判断、第四に起こり得る可能性が十分にあった全ての事象、第五に最も成功する確率が高かったのはどの判断か、です。(p. 8)

In his book, Taleb talks about “alternative histories,” which I describe as “the other things that reasonably could have happened but didn't.” Sure, the Seahawks lost the game. But they could have won, and Carroll’s decision would have made the difference in that case, too, making him the hero instead of the goat. So rather than judge a decision solely on the basis of the outcome, you have to consider (a) the quality of the process that led to the decision, (b) the a priori probability that the decision would work (which is very different from the question of whether it did work), (c) the other decisions that could have been made, (d) all of the events that reasonably could have unfolded, and thus (e) which of the decisions had the highest probability of success.

短い文章で要約していますが、列挙された箇所は投資プロセスを磨く上で重要だと感じました。これらの作業をろくに実施していない身なので、具体的な効果を例示することはできません。しかし事後に反省してフィードバックすることはプロセス改善の基本ですし、そのなかで運勢の要素を排除しようとする工夫がみられる点は、真剣さという意味でも大いに学べると思います。

2015年10月28日水曜日

なにが投資をリスキーにしているのか(ウォーレン・バフェット)

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ウォーレン・バフェットが今年の2月にウェスタン・オンタリオ大学の学生と面会した際の質疑応答その3です。今回分の発言では、少々刺激的に感じられる箇所もありました。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問3> 逆張り的なアイデアに対する確信をどのように深めておられますか。リスクをどのようにとらえていますか。

<バフェット> バークシャーではいくつかのフィルターを発展させてきました。提案やアイデアについてプレゼンテーションや評価をしている途中で、その一部がフィルターのどれかにひっかかった場合には、投資に踏み切ることはありません(過去記事)。チャーリーも似たようなフィルターを使っています。案じていることがたくさんあるわけではありません。自分たちが得意とする領域内で、いくつかの点が正しければよいだけです。みなさんが午前中に訪問したネブラスカ・ファニチャー・マートがその好例です。[バークシャーによって買収される際に]ミセスBは現金を受け取ることにしました。株式のことは理解していなかったからですね。大切なのは、自分が何をできるのかを知ることです。今後5年間のうちに自動車業界で支配的な地位を占めるのはどの会社でしょうか。わたしにはわからないので、株を買いません。それよりも、自分の得意領域における単純な物事のほうがいいです。良い意思決定をすれば、自分に怒鳴りかけてくれます。たとえば2008年には、単に資産価格が安かったという理由を恐れるべきではありませんでした。みなさんがおくる投資人生の間に同じようなことが起こって、「金銀小判の雨あられ」となる機会が6回あるかもしれません。

リスクに関してですが、わたしが関わってからバークシャーのポートフォリオで損失を出したのは、2%の損失が1回、1%の損失が2回ありました。すべて1974年と1975年に起きたものです。もっと割安な別の資産を買うために、資産を安値で売ったのですね。長期的に見たとき、つまり現在の購買力を将来のためにあきらめるときには、株式にはリスクがありません。一方、現金はリスキーな資産です。株式におけるリスクとは、当該企業が今後何をするかではありません。伝統的なファイナンスの教えでは、ベータがリスクを計測するとされています。しかし価格変動もリスクではありません。リスクとは購買力が減価することです。価格変動幅は、十分に長い期間でみれば減少していきます。投資をリスキーなものとしているのは個々人です。当社の年次報告書を明日公開しますが、そのなかでリスクをどう考え直すべきか触れています(過去記事)。株式は債券よりリスキーだと考えられていますが、長期的にみればそれは真実ではありません。

Question#3 How do you develop conviction for contrarian ideas? How do you perceive risk?

Answer#3: At Berkshire we have certain filters that have been developed. If in the course of a presentation or evaluation part of a proposal or of an idea hits a filter then there is no way I will invest. Charlie has similar filters. We don't worry about a lot of things as we only have to be right about a certain number of things - things that are within our circle of competence. A great example is the Nebraska Furniture Mart that you visited this morning. Mrs. B took cash because she didn't understand stocks. It is important to know what I can do. I have no idea which company will dominate in the auto industry in the next 5 years so I don't pick. I prefer simple things in my circle of competence. Good decisions scream at you. For example in 2008 you shouldn't have been afraid just because assets were cheap. In your entire investment lifetime you may have 6 times when this happens and it is 'raining gold'.

With regards to risk, the Berkshire portfolio suffered a 2% loss once and had 1% losses twice in our history. This was all in 1974 and 1975 when we sold assets cheap to buy other assets cheaper. Stocks are riskless if held over a long time frame as you are simply giving up purchasing power now for later. Cash is the risky asset. Risk in stocks is not what the companies will do. Traditional finance teaches that Beta is a measure of risk but volatility isn't risk. Risk is loss of purchasing power. Volatility declines over a long enough timeframe. It is individuals that make investments risky. In our report that is due out tomorrow I talk about how risk needs to be rethought. People think stocks are riskier than bonds, which is not true for a long time horizon.

2015年10月26日月曜日

人を動かすには(チャーリー・マンガー)

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チャーリー・マンガーが2007年に南カリフォルニア大学グールド・ロースクールの卒業式で述べた祝辞の11回目です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

ハーバード・ロー・レビュー[論文誌; ハーバード・ロー・スクールの学生が発行]で訓練を積んだ聡明で立派な人がいました。彼はソロモン・ブラザーズで法務担当役員を務めていたものの、職を失うことになりました。私はその様子を目の当たりにしたのです。同社の有能なるCEOが、下っ端の社員がなにかあやまちを犯していると告げられました。その法務担当役員氏は彼に対して次のように言ったのです。「私たちには、その件を報告する法的義務はありません。しかし私としてはそうすべきだと思います。それが道徳上の責務だからです」。法務担当役員氏の発言は実務的にも道徳的にも正しいものでした。しかし、忙しいCEOに向かって非常に不快なことをやるように勧めたものですから、説得力のないやりかたでした。当然理解できると思いますが、そのCEOは問題をずっと先送りしたままでした。悪意があってそうしたわけではないですよ。やがて、即座に通知しなかった事実を強力な規制当局が知って憤慨したときには、CEOは退任となり、その法務担当役員も共に去っていきました。

ベン・フランクリンは、そのような状況においてうまく説得するための正しい技術を示しています。「人を動かすには、理屈を説かずに利害に訴えること」、ベンはそう言いました。人間に生じる自己奉仕バイアスとは強烈ですから、正しい結果を得るために法務担当役員氏はそれを使うべきでした。こう進言するべきだったのです。「みてください。ことが進めばあなたを破滅させかねません。金銭や地位が奪われ、評判にも大きな傷がつきます。取り返しがつかなくなってあなたが困らないように、大事に至る前に策を講じたほうがよいと思われます」。これであればうまくいったでしょう。ですから、たとえ動機が高尚であっても、往々にして利害に訴えたほうがよいのです。理屈を説くのではありません。

I watched the brilliant and worthy Harvard Law Review-trained general counsel of Salomon Brothers lose his career there. When the able CEO was told that an underling had done something wrong, the general counsel said "Gee, we don't have any legal duty to report this, but I think it's what we should do. It's our moral duty." The general counsel was technically and morally correct. But his approach didn't persuade. He recommended a very unpleasant thing for the busy CEO to do and the CEO, quite understandably, put the issue off, and put if off, and not with any intent to do wrong. In due course, when powerful regulators resented not having been promptly informed, down went the CEO and the general counsel with him.

The correct persuasive technique in situations like that was given by Ben Franklin. He said, "If you would persuade, appeal to interest, not to reason." The self-serving bias of man is extreme and should have been used in attaining the correct outcome. So the general counsel should have said, "Look, this is likely to erupt into something that will destroy you, take away your money, take away your status, grossly impair your reputation. My recommendation will prevent a likely disaster from which you can't recover." That approach would have worked. You should often appeal to interest, not to reason, even when your motives are lofty.

備考です。同じ話題が過去の投稿「(解答)顧客の不正をとめるには」でも登場しています。

2015年10月24日土曜日

幸せとは、得られるものを望むこと(ウォーレン・バフェット)

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ウォーレン・バフェットが今年の2月にウェスタン・オンタリオ大学の学生と面会した際の質疑応答その2です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問2> ご自身としての「成功」とは、何を意味するものですか。それによって、ご経歴の歩みはどう変わりましたか。

<バフェット> 「成功とは、自分が望むものを得ること。幸せとは、自分が得られるものを望むこと」という言葉があります。わたしにとっては幸せのほうが大切です。わたしは、金銭面で他人に頼らず独立できることをずっと目標にしていました。つまり自分のために働くことであり、共に働く称賛すべき人たちの仕事を見つけることです。意思決定の流れを指揮する立場につきたいと考えていました。やっていくのに十分な資金ができたのが、25歳のときです。子供が2人いましたが、今日の価値でおよそ2億円強に相当する金額でした。それ以上は、わたしにとって余剰なものです。

みなさんは経歴を積み重ねていく中で、自己評価を気にしたいのではないでしょうか。自分のあげた成果や成功について、自分がどう感じるかです。みなさんの成果を世間がどれだけよくみてくれるかではなく、自分自身がどれだけうまくやり遂げたかを気にするべきだと思います(参考記事)。金銭的なリターンの面でいつも大切だったのは、わたし個人の成功よりもバークシャーの成功のほうでした。ここで一番大切なのは、良き人間であるようにいつでも心がけることだと思います。

Question 2# What is your personal definition of 'success'? How has it changed over the course of your career?

Answer#2: The saying goes that success is about getting what you want, while happiness is about wanting what you get. For myself happiness is more important. My goal was always financial independence; working for myself and finding a job where I admire the people I work with. I was interested in being in a position to control the decision making process. At age 25, I had enough money to live off of. I had two children and the equivalent of roughly $2M in today's money. Everything since then has been surplus.

As you move along in your career, you always want to consider your inner scorecard - how you feel about your own performance and success. You should worry more about how well you perform rather than how well the rest of the world perceives your performance. The success of Berkshire has always been more important than my own personal success in terms of financial returns. The most important takeaway is that you should always try to be a good person.

2015年10月22日木曜日

失われた技芸(セス・クラーマン)

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セス・クラーマンが1999年2月に発表したバリュー投資家に関するエッセイのその7最終回です。ITバブルが頂点をつける2000年3月よりも1年以上前の発表だったものの、文末で引用された言葉の重みを確かめるには、ほどよい期間だったように思います。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

逆張り思考という廃れた技術

バフの世界において、逆張り思考とは廃れてしまった技芸である。群衆の狂気(安全余裕の重要性については言うまでもなく) に関する書籍が無視されて絶版となっている事実は、「長期的に見ると多数派が正しいことはありえない」ことを示唆している 。「非常に早い時期から動くこと」と「間違っていること」は、過ぎ行く時間の99%において、まったく同じようにみえる。バフが就いている職業では、「早く動くこと」は「クビ」を意味する。ともかく、資金全額を投資するのがバフの仕事なのだ。うまくいっていた銘柄から逸脱するのはむずかしい。また小型で流動性の乏しい銘柄を買っても、毎週集まる現金の山をろくに捌けないだろう。たぶんバフは胸中で、自分こそが本物の逆張り屋だと半分信じているのかもしれない。そして株価上昇の余地は大いに残っているだろう、とも。

今日の投資の世界は上下が逆転している。リスキーと思えるもののほうが、手堅く見えるものよりもはるかにずっと安全なのだ。それに加えて、ウォーレン・バフェットとバフ・T・ウォーレン両氏のポートフォリオがかなり似ていることは、極めつけの皮肉と言える。バークシャーが保有する最大銘柄には、国際的な消費財企業であるジレットやコカ・コーラ社の株が含まれる。それらのなかにはPERが40倍を超えるものもあり、バフのように成長株を志向するマネージャーのお気に入り銘柄に含まれている。

『証券分析』でベンジャミン・グレアムが書いた序文には、ホラティウスの書簡詩『詩について』から次の一文が引用されている。「棄てられたものがやがてよみがえり、誉れ高きものがやがて落ちぶれる」。ただし、いつそうなるかは触れていない。

(おわり)

Lost Art of Contrary Thinking

Lost in Buff's world is the art of contrary thinking. Ignored, out-of-print titles about the madness of crowds (not to mention the importance of a margin of safety) suggest that the majority cannot be right in the long run. Being very early and being wrong look exactly the same 99% of the time, and early in Buff's line of work means unemployed. Anyway, it is Buff's job to be fully invested. It's hard to deviate from what has been working; and buying smaller, less liquid names really wouldn't make a dent in the mountain of cash that comes in every week. Maybe Buff even halfheartedly believes it is he who is the real contrarian, and that the rally has a lot farther to go.

The investment world today is turned upside down; what is seen as risky is almost certainly much safer than what is viewed as rock solid. Not only that, but in the ultimate irony, Warren Buffett's and Buff T. Warren's portfolios look a fair bit alike. Some of Berkshire Hathaway's largest holdings, including international consumer stocks like Gillette and Coca-Cola, now trade at over 40 times earnings and are among the favorite stocks of growth managers like Buff.

The preface to Benjamin Graham's Security Analysis contains the quote from Horace's Ars Poetica : "Many shall be restored that now are fallen and many shall fall that are now in honor." It does not say when.

2015年10月20日火曜日

そこまでの不運とは、お気の毒です(チャーリー・マンガー)

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チャーリー・マンガーが2007年に南カリフォルニア大学グールド・ロースクールの卒業式で述べた祝辞の10回目です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

愚かなために破滅に至ることがよくあるものとして、「自己奉仕バイアス」もあげられます(過去記事)。これは無意識に起こりがちで、そうなる可能性はだれにもあります。「かわいい自分」にはやりたいことをやる資格がある、と考えがちです。そうだとすれば、かわいい自分が欲しいものを手にするために収入以上の消費をしてはいけない理由とは何でしょうか。その昔、世界でいちばん有名な作曲家となった男がいました。しかし彼の歩んだ人生は、とことん惨めな思いをするばかりでした。収入を超える消費ばかりしていたのも、その理由のひとつです。その人物とは、モーツァルトです。ひどく愚かしいその種の振舞いを彼がなんとかできなかったのであれば、みなさんがそれを試すべきではないでしょう(聴衆笑)。

妬みや恨み、復讐、自己憐憫といった感情を抱くのは、総じて破滅的な考え方をしている状態と言えます。そのうちの自己憐憫は、パラノイア(偏執狂; 強い妄想をいだく症状)にかなり似たものとなることがあります。パラノイアとは脱け出すのが最高に難しいもののひとつですよ。自己憐憫には陥りたくないと思うことでしょう。かつての友人に、麻紙製のカードを分厚い束にして持ち歩いていた男がいました。そして自己憐憫を示す発言をした人がいると、彼は巨大な束をゆっくりと厳かにとり出し、てっぺんのカードを引いて相手に渡したものです。カードには次の言葉が書かれていました。「気の毒なお話、そこまでの不運に見舞われた人は初めてです」。なんとも滑稽だと思うかもしれませんが、私が示唆しているのはこの話が精神衛生を維持する手段になりうるということです。原因がなんであれ、どんな自己憐憫に陥ったところで助けになることはありません。たとえ自分の子供がガンで死を迎えつつある場合でもそうです。そのようなときには、我が友人の出したカードをみずからに差し出すべきでしょう。自己憐憫とは常に逆効果をもたらす間違った考え方です。それを避けることができれば、ほとんどの人よりもずっと優位に立てます。自己憐憫とは通常、反射的行動として生じるものだからです。しかし訓練を積めば、そこから抜け出すこともできます。

同様に、自分の物事の考え方から自己奉仕バイアスを取り除きたいと考えるのも当然だと思います。自分にとって良きこととは何か、そう考えるのは広い社会にとっても良いことですよ。一方、自分を満足させようとする傾向が潜在意識下で働き、愚かで悪しき振舞いを正当化するのは、どうしようもない考え方です。愚かではなく賢くありたい、悪しき人間ではなく良き人間でありたい、そう望むならば自分の身からそのバイアスを追い出したいでしょう。それとは別に、他人が自己奉仕バイアスの影響を受けていても、それを許すだけの受けとめ方や振舞いをするべきです。そのバイアスをすごく上手に除去できる人はほとんどいないからです。人間とはそういうものです。他人の振舞いにみられる自己奉仕バイアスを許せないのであれば、それもまた愚かしいことですよ。

Another thing that often causes folly and ruin is the “self-serving bias,” often subconscious, to which we're all subject. You think that “the true little me” is entitled to do what it wants to do. For instance, why shouldn't the true little me get what it wants by overspending its income? Well, there once was a man who became the most famous composer in the world. But he was utterly miserable most of the time. And one of the reasons was that he always overspent his income. That was Mozart. If Mozart couldn't get by with this kind of asinine conduct, I don't think you should try it. (Audience laughs.)

Generally speaking, envy, resentment, revenge and self-pity are disastrous modes of thought. Self-pity can get pretty close to paranoia. And paranoia is one of the very hardest things to reverse. You do not want to drift into self-pity. I had a friend who carried a thick stack of linen-based cards. And when somebody would make a comment that reflected self-pity, he would slowly and portentously pull out his huge stack of cards, take the top one and hand it to the person. The card said, "Your story has touched my heart. Never have I heard of anyone with as many misfortunes as you". Well you can say that's waggery, but I suggest it can be mental hygiene. Every time you find you're drifting into self-pity, whatever the cause, even if your child is dying of cancer, self-pity is not going to help. Just give yourself one of my friend's cards. Self-pity is always counterproductive. It's the wrong way to think. And when you avoid it, you get a great advantage over everybody else, or almost everybody else, because self-pity is a standard response. And you can train yourself out of it.

Of course you also want to get self-serving bias out of your mental routines. Thinking that what's good for you is good for the wider civilization, and rationalizing foolish or evil conduct, based on your subconscious tendency to serve yourself, is a terrible way to think. And you want to drive that out of yourself because you want to be wise not foolish, and good not evil. You also have to allow, in your own cognition and conduct, for the self-serving bias of everybody else, because most people are not going to be very successful at removing such bias, the human condition being what it is. If you don't allow for self-serving bias in the conduct of others, you are, again, a fool.

過去記事「誤判断の心理学(11)お先真っ暗なとき」で書き添えましたが、チャーリー自身も若い頃につらい思いをしています。

2015年10月18日日曜日

ウェスタン・オンタリオ大学MBA学生との面会(ウォーレン・バフェット)

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近年のウォーレン・バフェットは学生たちと面会するために、1年間に何度も機会を設けています。今回から始まるこのシリーズでは、今年2月にウェスタン・オンタリオ大学(カナダ)のビジネススクールの学生と面会した際の質疑応答をご紹介します。学生向けの講演は過去記事でも取りあげましたが、今回の発言でもちょっとした助言や見解が参考になります。(日本語は拙訳)

なお原文は、同校に開設されているThe Ben Graham Centre for Value Investingのサイトに掲載されています。以下のリンク先です。

Notes from the Meeting Dr. George Athanassakos and Ivey MBA and HBA students had with Mr. Warren Buffett [PDF]

ウェスタン・オンタリオ大学アイヴィー・ビジネススクール在籍のMBA及びHBA諸君ならびにジョージ・アサナサコス教授がウォーレン・バフェット氏に面会した際の質疑応答
(場所: ネブラスカ州オマハ 、日時: 2015年2月27日 午前10時から12時)

<質問1> どのようにして成功者(ふさわしい人)を選ぶのですか。どうすれば、あなたの会社にとってぴったりな人だとわかるのでしょうか。

<バフェット> 称賛に値する人は常にいるはずだと思いますが、その中から当社にふさわしい人を選ぶのは難仕事です。S&P500指数をまちがいなく上回っていくと思われる人を知っていますが、わたしの娘には絶対結婚してほしくない人物です。ですからいちばん肝心なこととして、その人といると友達や家族と同じように気持ちが安らぐことが必要です。彼らが経営する会社を楽しむことも同じです。彼らに対して安らぎを感じるのは、みなさん自身が称賛する性質をその人が持っているからですし、共に歩みたいと考える方向へと進んでいるからです。その人たちは、みなさんがどのような人間になりたいかを表しています。自分自身よりも優れた人だとさえ感じるかもしれません。彼らの友人でありたいと望むときには、彼らの行動や頭の良さを称賛することもあるとは思いますが、人間としてどうかという点で常に判断するものです。そのような人は、一つのことを依頼すると十のことをしてくれます。期待をはるかに超えるのですね。そういった第一級の人物とやっていきたいはずですよ(たとえばウィリアム・ルーアン[投資家]も、そのような最上の人物でした)。

Notes from the Meeting Dr. George Athanassakos and Ivey MBA and HBA students had with Mr. Warren Buffett
Omaha, NB, February 27, 2015, 10:00 am - 12:00 pm

Question #1: How do you pick winners (the right people)? How do you know they are the right fit for your company?

Answer #1: I believe there are always winners but picking the right winner for my company is a challenge. I know an individual who is definitely going to outperform the S&P but he's the last guy on earth I'd want my daughter to marry. So first and foremost, you have to feel good around them, you must enjoy their company, like a friend or a family member. If you feel good around them, it means they have characteristics you admire and are moving in the direction you want to associate with. These people represent who you'd like to be and you may perceive them even as better than yourself. You can admire their behaviour or intellect but always judge them as a human being if you want to be their friend. These people do 10 things for every 1 thing you ask for; they go above and beyond what you expect of them. You want to associate with first-class people (like William Ruane, one of the classiest individuals).

2015年10月16日金曜日

上がらない理由が考えられないから上がる(セス・クラーマン)

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セス・クラーマンが1999年に発表したバリュー投資家に関するエッセイのその6です。バフ・T・ウォーレン氏の話がつづきます。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

「さらなる上昇を期待する愚者たちの殿堂」の一番奥にあるのは鏡だった。その建物に入ったことを知らずにいたバフは、みずからを慎重なる投資家とみなしていた。彼が保有していたのはクズ企業ではなく、結局は偉大な企業の株式だけだったからだ。市場は一貫して彼の判断を正当化したので、バフは確信と自分のイメージを強めるばかりだった。最高の成果をあげている銘柄をやめて別のものに手を出すことは、ひどく投機的だと考えていたのは明らかだった。彼はリスク回避志向の投資家を自認しており、さらには「バリュー」投資家ともみなしていた。流入する資金で株を買い、増えた持ち分をそのまま保有する。それが彼のモットーだった。

輝いていたバフの流れ星のひとつが地に堕ちるときもある。幸運なことに他の投資信託の同業者たちも、おそらく同じ銘柄を同じ比率で保有していただろう。そのとき彼がやることとは、ある株に失望させられて価格が下落した時にみなさんがいつもやることと同じである。消し飛ばすのだ。結局のところ、獲得した利益を安定した成長パターンへと操作する能力のない企業など、信用することはできない。同じことが再び起こるかもしれないし、お仲間もみんな同じように考えて消し飛ばすことがわかってもいた。

バフは多くの企業を保有している。彼の株は上昇しているが、然るべき理由があるとは限らず、単に上昇しているからという理由だけのこともある。「なぜ上がらないのか、その理由がだれにも考えられない」という事実が、それらの銘柄がさらに上がる証拠として受けとめられているのだ。

At the end of the Hall of Greater Fools is a mirror. Buff, unaware of entering the building, actually thinks of himself as a prudent investor. After all, he owns no junk, only the shares of great businesses. And the market's constant vindication of his judgment only reinforces his conviction and self-image. Obviously, selling his best performers to dabble in anything else would be wildly speculative and he has convinced himself that he is a risk-averse investor, even a "value" investor. Buying and holding, using inflows to add to positions, is his watchword.

Occasionally, one of Buff's shooting stars falls to earth; fortunately, his compatriots at other mutual funds probably owned it in about the same proportion. Then he does what you should always do when a stock disappoints and plunges in price: He blows it out. You can't, after all, trust a company that is incapable of massaging earnings into a steady growth pattern; why, the same thing might happen again. And he knows all his compadres are thinking the same thing and blowing it out, too.

Buff has a lot of company. His stocks are going up, not necessarily because they should but because they do. That no one can think of why they wouldn't is taken as evidence that they will rise further.

2015年10月14日水曜日

土曜も日曜も朝も夜もない(日本電産永守社長)

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今週の日経ビジネス誌(2015年10月12日号 No.1811)で最終ページに掲載されている記事は、同誌ではおなじみの日本電産永守社長が、経営者としての心構えを説いたものでした。モーレツ型の彼らしさが表れたよくある内容ですが、企業や個々人や生物が生存する上での競争優位性の本質を突いており、ある種の清々しさを感じました。その箇所を引用します。

極端に言えば、技術は未熟でもいい。最初は足りないところがあっても、顧客や市場の要望に合わせてどんどん改良していけばいい。大事なのは、人より早く、そしてどんなことがあってもやり抜くガッツだ。そのためには、土曜も日曜も朝も夜もない。人の何倍も働く心がないとだめだ。(p.98)

2015年10月12日月曜日

渦潮へ挑戦した者を思い出せ(チャーリー・マンガー)

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チャーリー・マンガーが2007年に南カリフォルニア大学グールド・ロースクールの卒業式で述べた祝辞の9回目です。今回の話題も以前取りあげたことがあります(過去記事へのリンクは備考として文末に示します)。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

極端に過激なイデオロギー(思想)、これも避けるべきです。人の精神をキャベツのようにスカスカにします。テレビに出てくる説教師らのひどい様子をいろいろ見ているでしょう。神学上の厳密な解釈において、彼らの考えは互いにちがっていますし、過激で一貫していません。きっと、精神が萎縮してキャベツとなった人ばかりなのでしょうね(聴衆笑)。政治的な思想でも同じことが起こり得ます。過激で愚かしい政治思想へ若い人ほど容易に偏向してしまい、抜け出せなくなります。カルト的集団の忠実な一員だと宣言し、正統的な思想について語りだすようになると、やることと言えばそれを叩きのめすことの連続です。時には驚くべき速度で、己の心を荒(すさ)ませてしまうのですね。「過激な思想には用心したい」とみなさんも思うでしょう。そうなりたいと願わなければ、大きな危険は現われません。

過激な政治思想へと向かう危険を感じた際に私が使っている警鐘事例を紹介しておきます。スカンディナヴィア生まれのカヌー乗りたちの話です。彼らはスカンディナヴィアの急流すべてを制覇しました。だから、アメリカ北西部で生じる数々の大きな渦潮に挑戦しても成功し続けられると考えたのです。さて彼らの死亡率がどうだったかと言うと、100パーセントでした。大渦潮とは避けたいと考えるべきものですね。過激な思想でも同じことが言えます。自分の仲間が根っからの信者だとすれば、なおさらです。

私は「揺るがぬ教示」と呼ぶものをみずからに課しています。ある過激な思想へと心惹かれそうなときに正気のままでいられるのは、そのおかげでもあります。つまり、「自分とは反対の立場にいる人よりも上手に、自分に対して反駁できること。そうでなければ、私にはその意見を持つ資格がない」、そう感じるようにしているのですね。そのような状態に達することでようやく語る資格が得られる、と考えるわけです。沈黙公ウィレム1世の発言としてディーン・アチソン[元国務長官]が好んで引用した「揺るがぬ教示」と同じで、極端に思えるかもしれません。「希望はなくとも耐え忍ぶことはできる」というような文句です(参考記事)。これはほとんどの人には厳しすぎるでしょうが、私自身にはそれほど厳しいものにはならないだろうと願っています。一方、私が示した思想的な行き過ぎを避けるやりかたは、アチソン氏の命令よりも簡単ですし、学ぶに値するものです。極端な思想へ偏らないというのは、人生においてすごく大切な目標ですよ。やがては賢くありたいと考えていても、きつい思想を抱いていれば、その妨げとなること請け合いです。

Another thing to avoid is extremely intense ideology because it cabbages up one's mind. You see a lot of it in the worst of the TV preachers. They have different, intense, inconsistent ideas about technical theology, and a lot of them have minds reduced to cabbage. (Audience laughs) And that can happen with political ideology. And if you're young, it's particularly easy to drift into intense and foolish political ideology and never get out. When you announce that you're a loyal member of some cult-like group and you start shouting out the orthodox ideology, what you're doing is pounding it in, pounding it in, pounding it in. You're ruining your mind, sometimes with startling speed. So you want to be very careful with intense ideology. It presents a big danger for the only mind you're going to have.

There is a warning example I use whenever I feel threatened by drift toward intense political ideology. Some Scandinavian canoeists succeeded in getting through all the rapids of Scandinavia, and they thought they would continue their success by tackling the big whirlpools in northwest America. The death rate was one hundred percent. A big whirlpool is something you want to avoid. And I think the same is true about intense ideology, particularly when your companions are all true believers.

I have what I call an “iron prescription” that helps me keep sane when I drift toward preferring one intense ideology over another. I feel that I'm not entitled to have an opinion unless I can state the arguments against my position better than the people who are in opposition. I think that I am qualified to speak only when I've reached that state. This sounds almost as extreme as the “iron prescription” Dean Acheson was fond of attributing to William the Silent of Orange, who roughly said, “It's not necessary to hope in order to persevere.” That probably is too tough for most people, although I hope it won't ever become too tough for me. My way of avoiding over-intensity in ideology is easier than Acheson's injunction and worth learning. This business of not drifting into extreme ideology is a very, very important in life. If you want to end up wise, heavy ideology is very likely to prevent that outcome.

備考です。過激なイデオロギーについて取りあげた過去記事は次のとおりです。
聖なる思想が自己を正当化する

2015年10月10日土曜日

ファンド・マネージャーのバフ・T・ウォーレン氏(セス・クラーマン)

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セス・クラーマンが1999年に発表したバリュー投資家に関するエッセイのその5です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

不可欠なる傲慢

バリュー投資の根本には「市場は投票機だが、秤量機ではない」とする信念がある。そのことをはじめて掲げたのが、ベンジャミン・グレアムだった。だから投資家は他のすべての意見を足し合わせた重みよりも、自分の意見に対して強い自信を持つ必要がある。これは傲慢にみえるかもしれないが、投資において意思決定する際には必要な傲慢だ。ただし、他人の意見を尊重して徹底した注意を払うことで加減しなければならない。彼らの中には非常に賢く、懸命に取り組んでいる人がたくさんいる。自分からすれば割安に思える株を彼らが売却するのは、彼らの無知や感情やさまざまな組織上の制約によるかもしれない。だが割安と思えたものが実際はちがっており、実は適切な価格だったり、それどころか割高かもしれないこともある。売り手のほうが自分よりもよくわかっている場合には、そうなり得る。これは重大なリスクである。しかしそれを緩和できる可能性はある。そのためには、まず徹底したファンダメンタルズ分析を行うこと。次に割安な投資候補を見つけるだけでなく、なぜ割安なのか可能なかぎり把握することが必要になる(売り手が撤退する真意を知ることはできないが、その論理をかなりのところまで推量できるかもしれない)。このような状態こそ、投資家が繰り返し身を置きたいと考えるべきものである(非常に多くの投資家が今日悩んでいる判断とくらべると、驚くほど異なった種類の考えだ)。

ではここからは、成長株に投資する巨大ファンドのマネージャーであるバフ・T・ウォーレン氏の例で考えてみよう。株価は高いが堅実に成長する企業の株を買って継続保有することで、彼は毎年大きな成果をあげてきた。バフは一貫して強気でありつづけ、今もなおそうである。現在の彼があるのはそのおかげだ。バフが心配するのをやめてからも、高い株価が継続している。柔軟にやっていなかったら、彼は今頃何者でもなかっただろう。ところで、彼が選んだ選択肢とは実のところ何だろうか。見たかぎり、ファンダメンタルズはすばらしい。だから株価は上がるべきだと。ポートフォリオ中の企業は米国における最高の企業ばかりで、時代の流れに合い、四半期毎の業績はアナリストの利益予想を上回っている。人口動態が示す大きな動きからすれば、株式市場へと着実に現金が流入する状況をとどめるものはないようだ。人気の高いそれらの大企業が投資家の要求する非常に大きな部分を受けとめ続けられない理由を、ほとんどの人は想像すらできないだろう。

Necessary Arrogance

At the root of value investing is the belief, first espoused by Benjamin Graham, that the market is a voting machine and not a weighing machine. Thus an investor must have more confidence in his or her own opinion than in the combined weight of all other opinions. This borders on arrogance, the necessary arrogance that is required to make investment decisions. This arrogance must be tempered with extreme caution, giving due respect to the opinions of others, many of whom are very intelligent and hard working. Their sale of shares to you at a seeming bargain price may be the result of ignorance, emotion or various institutional constraints, or it may be that the apparent bargain is in fact flawed, that it is actually fairly priced or even overvalued and that the sellers know more than you do. This is a serious risk, but one that can be mitigated first by extensive fundamental analysis and second by knowing not only that something is bargain-priced but, as best you can, also why it is so. (You never know for certain why sellers are getting out but you may be able to reasonably surmise a rationale.) This is the position in which investors should, over and over, want to put themselves (and an astonishingly different type of consideration than the great majority of today's investors are bothering to make).

Now consider mega-growth-fund manager Buff T. Warren, who has been racking up year after year of great performance buying and holding the shares of expensive but steadily rising growth companies. Buff has consistently been and remains bullish, since that is what got him where he is today. High stock prices have long since ceased to worry Buff, who is nothing if not flexible. And what choice does he really have, anyway? The fundamentals are excellent as far as the eye can see, so share prices should be high. His portfolio companies are among America's greatest, they are in sync with the times and they beat analysts' earnings expectations every quarter. There is apparently nothing in the great demographic roller coaster to interrupt the steady cash inflows into the stock market. Almost no one, in fact, can even imagine a reason why these large, well-liked companies won't continue to command the greatest share of investor demand.