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2019年2月20日水曜日

2018年の投資をふりかえって(10)買増し銘柄:しまむら(8227),銀ETF(SLV)および新規購入銘柄:アップル(AAPL)

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残りの3銘柄については、簡潔に触れる程度とします。なお、本シリーズの前回分記事はこちらです。

■しまむら(8227)
業績が不調な当社は、不況期に伸長することを期待してヘッジ的な意味で株式を保有しつづけるつもりでした。そのため、株価が下落するにつれて漫然と買い増ししたところがあります。客数減少がいずれ底を打って収益悪化もとまるだろうと、自分に言い聞かせてきた面もあります。しかし経営努力がなかなか実らない現状を辛抱するよりも、損切りをして他社に乗り換えたほうがいいとも感じるようになってきました。どちらの道を選ぶか、経営状況をみながら今年中には判断をくだしたいと考えています。

なお現在の株価は9,200円程度で、今期末のEPSは500円程度と想定されるため、単純にPERであらわすと18倍強になります。

しまむら株価チャート約1年分(赤矢印は購入、青矢印は売却)

■iShares シルバー・トラスト(SLV)
この銘柄も、なかばヘッジ的な意味で保有しています。ただししまむらとは違って単なるコモディティーなので、下落時にはそれなりの確信をもって買い増ししています。そして価格が上昇して損益がプラスにすれば、一部を適宜売却しています。残念ながら中核ポジションは継続保有のままなので、ずいぶんと長期間にわたってまともな利益をあげられないでいます。

SLV株価チャート約1年分(赤矢印は購入)

■アップル(AAPL)
12月と今年の1月に、それぞれ1回ずつ購入しました。今後の株価下落を期待しており、現在の株価では買い増ししないつもりです。

AAPL株価チャート約1年分(赤矢印は購入)

2019年2月2日土曜日

2018年の投資をふりかえって(6)一部売却銘柄:ウィートン・プレシャス・メタルズ(WPM)

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(本シリーズの前回分記事はこちら)
(当社をとりあげた直近の過去記事はこちら)

当社が営んでいる事業は、「鉱山会社に対して資金を提供し、その対価として将来産出される銀やゴールド等の鉱産品を、低水準の固定価格で買い取る契約を結ぶ」ものです。端的に言えば、「価格変動を伴う将来キャッシュ・フローに対して、前払いするビジネス」です。

<株式の売買実績と現在の株価>
株価が比較的好調だった時期(年始、春、年央)に一部を売却しました。現在の株価は20$前後です。

WPM株価チャート約1年分(青矢印は売却)

一方でシルバーの価格が年を通じて低迷していたため、ETFのSLVを適宜買い増ししました。個人的に興味を持っている主な対象は、現在でも銀です。そのため以前の投稿でも書いたように、当社とSLVを比較して割安だと思えるほうへ資金を移せるように、適宜売買していく方針です。

<業績などに対する所感>
当社についても2点ほど、大きな話題と小さな話題をとりあげます。

・税務当局との和解
国外子会社との移転価格に関して係争中だったカナダ税務当局と12月に和解し、当初危惧されていた大規模なペナルティーを受けずに済むことになりました。同様の他社事案の動向を受けて少し前から楽観視する流れもありましたが、見事に軟着陸しました。カナダ以外(おもにケイマン子会社)からの収入には課税されないことになり、前納分の追徴課税も還付されます。「ペナルティーを被る確率が高い」と覚悟して個人的には持ち株を減らしていたものの、杞憂におわりました。

ただし移転価格税制が将来厳格に改定される可能性はゼロではないため、当社のような企業に投資する際には、そのリスクはひきつづき念頭におく必要があるかと思います。

・金銀以外を産出する鉱床への投資
当社が設立されたころに事業対象としていたのは、銀を産出する鉱山へのストリーミング案件でした。その後になって事業領域をゴールドにも拡大し、さらにはパラジウムやコバルトへのストリーミングも始めました。コバルトはリチウムイオン電池の正極材材料として使われており、電気自動車時代における重要な鉱物資源のひとつとみなされています。「シルバー・ウィートン」という社名だった当社は、希少鉱物を産する鉱床を対象とした投資会社へと変貌しつつあります。

2015年1月12日月曜日

2014年の投資をふりかえって(3)新規銘柄:シルバー・ウィートン(SLW)他

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シルバーに関する投資対象はいくつかありましたが、そのほとんどはシルバー・ウィートン社とシルバーETF(SLV)でした。シルバー自体については前回の投稿で書きましたので、今回はおもにシルバー・ウィートンを取りあげます。

■シルバー・ウィートン(銘柄コード:SLW, 英名:Silver Wheaton Corp.)
- 当社Webサイト
- Google Finance 株価

<投資に至った背景>
シルバーへの投資自体は以前からつづけていたのですが、近年はETFのひとつSLVへ投資していました(昨年の投稿)。しかし2014年になってもシルバーの価格下落がとまらず、それ以上に株価が下落している鉱山会社に興味を持つようになりました。それまで当社の銘柄コード(SLW)を目にしたことはあったものの、実質的には何も知りませんでした。しかし事業概要の文章を目にして、一般的なシルバー鉱山会社とは商売のやりかたが大きく違っていることがわかり、詳しく調べてみたいと考えるようになりました。

<事業の状況>
当社はカナダのバンクーバーを拠点とする鉱業会社で、シルバーやゴールドを販売して収益をあげています。ただし自前の鉱山を操業するのではなく、鉱山会社に対して資金を提供し、そのかわりに契約対象となる鉱山から産出されるシルバーを一定期間(あるいは当該鉱山での採掘終了まで)にわたって固定価格で買い取る契約を結ぶ事業を展開しています。たとえば契約先企業が生産したシルバーを1オンス当たり5ドルで買い取る契約をしていれば、市場やディーラーに1オンス15ドルで売却すると、粗利益は10ドルになります。彼らは自社を"streaming company"と呼んでいますが、日本語にすると「購買条件付き資本提供会社」といったところでしょうか。

2013年度の業績概要は、売上高が7億ドル、営業利益が4.2億ドル、純利益が3.7億ドルでした。従業員数は30名弱のため固定費が少ないのと、有効税率が低い点が特徴です(税率については後述します)。

契約を結ぶおもな相手企業は、シルバー以外の金属を採掘する鉱山会社です。おもに生産される金属がゴールドや銅、鉛、亜鉛などで、シルバーは副産物として生産されます。契約案件数は約20件で、2013年度に買い取ったシルバーの数量は約26Moz(ミリオン・オンス)でした。シルバー全体の年間新規産出量が約800Mozでしたので、それなりの位置にいます。

鉱山開発を進める企業では、当該鉱山が商業生産を始める前はキャッシュフローの流出がつづきます。そのため、そもそもの当初資金を調達したり、開発プロジェクト中に追加資金を工面するといった財務は、事業活動の初期段階における重要な仕事です。一方、生産が軌道に乗ればキャッシュフローは流入に変わり、シルバー等の副産物収入が減っても許容できると考えるのでしょう。そのため当社が提供するソリューションは、契約先企業にとっても有益なものだと考えられています。

具体的な契約先企業の例としては、次のような会社があります(数字は2013年度)。

・グレンコア・エクストラータ(Glencore Xstrata); 売上高2,396億ドル
・ヴァーレ(Vale); 売上高467億ドル
・バリック・ゴールド(Barrick Gold); 売上高125億ドル
・ゴールドコープ(Goldcorp); 売上高36億ドル

なお近年になって、ゴールドを産出したり鉱山開発している企業と契約を結び、ゴールドを買い取る事業も行っています。CEOのスモールウッド氏によれば、「基本的な投資先はシルバーだが、機会があればゴールドにも投資する」とのことです。

<株価の状況>
当社の株式はNYSEに上場されています(カナダのトロント市場にも上場)。2014年の年初が20.19$、年末が20.33$と、結果的には横ばいでした。現在の株価は21$強です。直近1年間の配当実績は0.26$で、配当利回りは1%強です。


<投資方針>
2014年の9月下旬から11月上旬にかけて集中的に購入しました(上図の赤矢印)。平均購入単価は20$弱でした。ただしETF銘柄のSLVを一部売却した資金も回しているので、その部分は銘柄を乗り換えたことになります(後述します)。

投資する際に当社を評価した大きな点は、次の2つです。

1. 複数の企業と契約し、シルバーやゴールドの調達先を分散していること
そもそもシルバーを副産物として産出する企業と購買契約を結ぶわけですから、ひとつの鉱山から産出される量は限定的です。そのため当社が商売を拡大しようとすれば、必然的に複数企業と取引することになります。しかし、この点がおのずと当社の優位につながると考えます。

契約先企業が複数社にわたることで、経営体が分散されるだけでなく、金属種的な分散(ゴールド、銅、亜鉛など)と地理的な分散が実現します。そして言うまでもなく、それらの契約先企業はシルバーの価格下落リスクからおおむね分離しています。このことは、シルバーの価格下落リスクやその他のリスクが生じても、当社が生存できる確率を高めることに寄与します。

生物学的にたとえれば、当社を「寄生虫」とみなすことができます。宿主が幼少期にあるときに生育を助ける代わりに、残りの生存期間にわたって寄生させてもらいます。ただし合意による寄生ですから、共存関係にあると言えるでしょう。さらに複数各種の宿主に掛け持ちで寄生することで生存確率を高めると共に、段階的に宿主を乗り換えることができます。そして、場合によってはシルバー価格の高騰も期待できます。これは、宿主から頂く栄養分がローヤルゼリーに変わるようなものです。

もうひとつはあくまでも推測に過ぎませんが、操業をつづける複数の鉱山会社と長期の契約を結ぶことで、鉱床から採掘する際の鉱床学的な事実情報を相手先から入手でき、知見を深められる点を評価したいと思います。このような知見は、将来の契約候補先を検討評価する際に役に立ちます。リスクの項目で触れますが、この事業で競争相手に差をつけられるとすれば、「案件に対する目利きの良さ」が重要になると考えます。その点で現在おかれている当社の位置づけは、将来にもつながるものと捉えています。

2. 契約先企業との契約期間が長期であること
当社がシルバーを買い取る期間として、契約条件に「鉱山が経済的寿命をむかえるまで」と定める案件が少なくありません。それ以外でも10年間や20年間といった期間を指定しています。そして、当社が相手先からシルバーを買い取る固定価格はおよそ5ドルです。シルバー主体の鉱山会社の財務を考慮すると、シルバーの価格がこの水準まで下落する可能性は著しく低いと予想します。上述した1.の要因と組み合わせれば、当社にとってシルバーの価格上昇に賭けられる期間が長期間持てることを意味します。

前回の投稿で書きましたが、現在のシルバーは需給バランスの観点から見ると、価格上昇の機会が十分にあると予想します。そうであれば、「シルバーの価格上昇時に市場から高く評価されるシルバー主体の鉱山会社のほうが、投資先として良い選択だろう」と考えるかもしれません。しかしこれも前回触れたように、先物市場の行方が短期的にどうなるのかは予測しがたく、低迷が長く続いても分のある当社に投資したほうがよいと考えました。

<リスク>

1. タックスヘイブン子会社の活用
当社の収益の大半は、ケイマン諸島に設立された子会社が計上しています。また過去においてもタックスヘイブン子会社を使っています。そのため、当社の本社がカナダ本国で課される税率は本来の25%ではなく、大幅に少ない金額にとどまっています。たとえば2012年には、営業利益6億ドルに対して本来のカナダの税率(25%)に従うと、所得税は1億5千万ドルになります。しかし、実際の税額は1,400万ドル強にとどまっています。なおこの件に関連して当社の年次報告書では、カナダの税務当局が当社の2005年度から2010年度の国際取引について現在監査中であることが記載されています。

この件がどのような結末に落ち着くのか予想できません。ただし、あまり厳しく締め上げると、当社がカナダを出ていくことも考えられます。そのため更生や新たな規制が実施されるとしても、ほどほどの水準にとどまるのではないか、と(希望的なのですが)考えています。

2. 今後の事業の拡張発展に対して、特定個人の力量が大きな影響を及ぼすこと
当社が新規の契約を獲得するには、相手先企業の存在が不可欠です。そのほかに、適切なタイミングと資金、そして学術的(鉱床地質学)な洞察力が要求されます。それらがそろうことで、当社にとって質の高い投資案件を得ることができます。この中でもっとも安価に入手できる可能性のあるものが、人材です。たとえば当社のナンバー2の地質学者が別の会社に引き抜かれたら、商売自体は容易に模倣できます。この課題は当社に限らず不変のもので、やがては顕在化するリスクだと予想します。

ただしすでに成立している契約案件は確定的です。そのため、当社の企業価値を判断する上では、あくまでも過去を評価し、将来の発展性はボーナスと考えるようにしています。

3. 他社の参入による事業拡張機会の減少
当社の事業に参入するには、資本と学術的能力と交渉力があれば可能で、参入障壁はあまり高くありません。そのためシルバーやゴールドの価格が高値の水準に戻れば、新規参入が増えると思われます。その場合、当然ながらパイを争うことになり、投下資本利益率は下がるでしょう。

これについては当社経営陣の規律が試されるときであり、ひとりの個人投資家としてできることと言えば、過去の実績を振り返るぐらいです。当社の投資家向けプレゼンテーション資料(2014年9月版)で、過去の契約実績が図示されていました。それによれば、2011年のシルバー価格高騰前後の時期には新規契約を締結していません。このことから、現在の経営陣は一定の規律を保っていると評価できそうです。



■シルバーETF(銘柄コード:SLV、英名:iShares Silver Trust)
- Google Finance 株価

シルバーのETFが上場されてからは、基本的にSLVを対象に資金を投じてきました。しかし上述したように今回はシルバー・ウィートン(SLW)に興味を持ち、SLVのほうはある程度売却して乗り換えることにしました(SLV売却にともなって、損失を確定しました)。ただしSLWとは値動きが異なるため、価格下落時に追加投資する際には、相対的に割安な銘柄のほうにしたいと考えています。


■その他のシルバー関連の投資
上記以外にもシルバーに関する投資先がありましたが、ポートフォリオに占める割合がわずかなので、それらの説明は省略します。なおシルバー関連の全投資を単一の銘柄としてとらえれば、ポートフォリオに占める割合は主力級となりました。

2015年1月8日木曜日

2014年の投資をふりかえって(2)シルバーの価格及び需給動向

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昨年は主にシルバー(銀)に関する対象へ投資しました。今回は話題の前半として、シルバーに関する一般的な動向に触れておきます。

1. 価格動向
シルバーのスポット価格(2000年以降)

日本で大地震があった2011年の4月に高値48ドル台に達して以来、シルバーの価格は3年以上にわたって下落しつづけてきました。2014年12月末のスポット価格は15.5ドルと、高値の1/3まで下落しました。年初比では19.43ドルからなので、約20%の下落です。個人的には18ドルを下回り続けることはないだろうと考えていたのですが(参考記事)、その一線を超えて3か月以上が経った今でも18ドルを回復できていません。

シルバーのスポット価格(2014年)

昨年の下落傾向は単一のものではなく、2つの期間あるいは要因に分別できるととらえています。上の図をみればわかるように、前半の6月末までは下落局面ながらも反発を繰り返しており、18ドルは割り込んでいませんでした。しかし7月以降に米ドルの上昇が始まると、他の通貨や資源と同様に継続的な下落を始めました。そのため円ベースでみると、7月以降のシルバーの価格下落はそれほど厳しいものではないことがわかります(下図)。

円換算によるシルバーのスポット価格(2014年)

シルバーの価格を事実上決定しているのは、アメリカの先物市場であるCOMEX(Globexも含む)です。現在の先物市場は一部の限られたプレーヤー(主に大銀行)が活躍している場であり、価格を誘導することもできます。さらに言えば、シルバーの価格の方向性はゴールドの価格によって決定され、ひいては主要国中央銀行や政府の思惑が影響していると思われます。

2. 需給動向
以前の投稿では、主に生産者によって構成されている団体The Silver Instituteが公開している2010年の調査結果をとりあげました。今回はその3年後にあたる2013年の統計(同書p.7に掲載)を引用します。

World Silver Survey 2014 A Summary [PDF]

<需要>

(単位: Moz(ミリオン・オンス))
種別2010年2013年
産業用途487.4536.2
写真72.750.4
宝飾品167.0198.8
銀食器50.350.0
コイン等101.3245.6
(小計)878.71081.1
正味投資分178.0-96.0
(合計)1,056.8985.1

上の表で正味投資分がマイナス96.0Mozというのは、総体としての投資家が手持ちの在庫を売り越して供給不足を補ったことを意味しています。

2010年は金融危機が発生してそれほど時間がたっていない時期で、経済が大きく停滞し、シルバーの需要も落ち込みました。その年と比較しているので数字の増加率は重要な指標にはならないと思いますが、定性的な傾向はつかめると思います。

・写真用途の減少量よりも産業全般の増加量が上回ってきています。写真用途は50Mozと全体に占める割合が小さくなり、需要減退への影響度が縮小し続けます。

・産業用途のうち太陽光発電パネル向けの長期的な需要増加が予想されています。ただし実際の需要には波があり、報告書の本文によれば、2013年に需要が縮小した地域があると記されています(たとえばアメリカ)。最近の原油価格の下落も太陽電池には向かい風になるため、この分野での需要は横ばいが続くかもしれません。

・一方で特筆すべき点は、コインやバーの需要増です。シルバーの著名アナリストであるテッド・バトラーは、J.P.モルガン・チェースがそれらを買い込み、ETFからも現物を引き出し、デリバティブの売建玉を相殺する以上の現物を保有するに至った、と読んでいます。たしかにアメリカ造幣局等のシルバー・コインの出荷数量は、数年前とくらべて大きく増加しています。しかし彼の予想がはずれていたとしても、価格下落局面で需要を増加させるという経済学的に正当な購買者がいることは、今後数年間の総需要量を占う上で大きな要因として考えてよいのかもしれません。

<供給>

種別2010年2013年
鉱山からの新規産出735.9819.6
政府部門による売却44.87.9
スクラップ215.0191.8
鉱山会社の正味ヘッジ売り61.1-34.3
(合計)1,056.8985.1

・採鉱・生産する金属の価格が下落中の局面では、鉱山会社はキャッシュフローの減少を補うために生産量を増加させる傾向があります。それも手伝っているせいか、近年は生産量が増加しています。ただし調査会社ロイターGFMSの報告では、2015年以降は生産量が減少すると予測しています。

・政府部門からの売却は、2011年以後のデータを見る限り激減しています(同報告書p.9)。

・鉱山会社のヘッジ売りとは、先物市場であらかじめ売り建てておき、収益を確定させる手段などを指します。数字がマイナスになっているということは、総体としての生産者が流通を絞ったり先送りしていると解釈できそうです。

・シルバーを生産する鉱山会社には2種類あります。ひとつは主にシルバーを含む鉱物を採掘する会社です。もうひとつは他の資源(ゴールド、銅、鉛、亜鉛等)を主に含む鉱物を採掘し、その副産物としてシルバーも生産する会社です。以前にも述べましたが(過去記事)、シルバー主体の会社にとって現在の価格水準では会計上の利益が大幅に減少し(あるいは赤字)、会社の余命(あるいは株主価値)を削っているような状況です。

・しかしシルバーの供給量の多く(約70%)を担うのは、もう一方の種類の鉱山会社です。たとえば以下のサイトではシルバーの生産量上位10社が挙げられています。その中でシルバー主体の会社は2社ほどです。

World's top 10 silver producers updated – companies & countries (Mineweb)

シルバーを主体としないそれらの鉱山会社は、金属価格の値動きが相対的に小さいために、企業の体力も現在のところは安定的です。そのためシルバーの価格が下落しても、採算が合わないために採掘を休止する可能性は非常に小さく、シルバーの供給が急減するリスクは考えにくいものです。

ただしシルバーだけでなく、他の金属(特にゴールドや銅)の価格も低い状況がつづくことも考えられます(現在の状況です)。多額の資金を必要とする大型の鉱山開発プロジェクトは、ここぞという苦境で延期される傾向があります。そのようなプロジェクトは再開されても、商業生産開始までに余計な手続きや作業を必要とします。ですから、現在のような金属価格の状況がつづいて新規鉱山開発が停滞すると、既存鉱床の品位低下を補えずにシルバーの供給量が減少するサイクルへといずれ遷移します。そこまでいくと直近で供給不足を埋められるのは、ETFなどの形ですでに地上在庫となっている現物やスクラップになります。

現在の価格下落に伴って、シルバーのETFやコイン、宝飾品といった地上在庫の需要が増加しています。これを裏返せば、つまり価格が反転して十分に上昇すれば、これまでに在庫となった現物が流通市場に戻って供給不足を埋める可能性はほぼ確実です。そのため、鉱山側の総供給量がしばらく回復しない状況になったとしても、「価格が上昇するのであれば」需要を満たす現物が中期的に不足することはないと想像します(USGSが出した2014年の報告[PDF]からデータを借りれば、現状の生産量が続く仮定での可採年数は、単純計算で約20年間です)。もちろん価格上昇に伴って新規に加わる投資家の需要も大きくなるはずです。その場合、新規投資家と産業需要家による価格の競り合いが起こるのではないでしょうか。そのような局面がつづけばブームとなり、やがてはさまざまな供給体制が追いついて需給のバランスが落ちつき(あるいは崩れて)、価格はふたたび下落するでしょう。しかし「今」がそのようなブームの局面ではないことは明らかです。

上のほうの文章で、「シルバーの価格を決めているのは先物市場である」と書きました。しかし現物の受け渡しを伴う市場において極端な価格変動が進めば、最後に大きな影響力を発揮するのは「現物を供給する能力」だと想像しています(そのほかに、市場のルールを変更するという強制力も考えられますが)。

2014年6月30日月曜日

インフレ・リスクとコモディティー投資(アーノルド・ヴァンデンバーグ)

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アメリカで開催されているバリュー投資家の会合"Value Investor Conference"の文字はどこかのWebサイトで目にした記憶がありましたが、よく知りませんでした。今年が11回目になる会合では、わたしの好きなマネー・マネージャーのアーノルド・ヴァンデンバーグが講演していました。そのトランスクリプトが彼のファンドのWebサイトに掲載されています。取りあげた話題はインフレについてです。

最近の彼は金鉱山会社に投資しており、その背景の一部を説明してくれた形になります。経済学者的な分析と違ってやや一面的な印象を受けますが、骨太な指摘や示唆も感じられました。近い将来の現実と対峙しなければならない一投資家として、それなりに参考になる内容でした。今回はその中の一部をご紹介します。(日本語は拙訳)

なお、同会合はバークシャー・ハサウェイの年次株主総会に合わせて実施しているとのことです(総会の1,2日前にオマハで開催)。ご興味のある方は同会合のWebサイトがこちらにあります。来年2015年開催の参加費は$1,795ですが、今なら特別料金$995だそうです。もちろん、わたしはどちらも行きません。

Value Investing During Worldwide Quantitative Easing [PDF] (Century Management)

みなさんは、株式がインフレのヘッジになるという考えを耳にしたことがあるでしょう。たしかにその可能性はあるのですが、ただしインフレが昂進している時期は違います。株式がインフレのヘッジになる時期はただひとつ、株を低いPERつまり8倍とか10-11倍で買ったときだけです。そうであれば、長期でみればすばらしいヘッジができるでしょう。しかしインフレが襲ってきたときに株式を高い倍率[PER]で買ってしまうと、ヘッジの効果が出始める前にたいていは40%から50%下落します。ですから高いPERで買ったときにヘッジできる[=避けられる]ものとはただひとつ、値上がり益だけだというのが私の見解です。インフレが昂進しているときの高PERは助けにはなってくれません。(p.23)

Now, you've heard the idea that stocks are a hedge against inflation. Yes, they can be but not during accelerated inflation. The only time stocks are a hedge against inflation is when you buy them at the low multiples of 8, 10, and 11 times earnings. Then they will be a wonderful hedge over the long run. But, if you buy stocks with higher multiples when inflation hits, you're most likely going to take a 40% to 50% hit before you start getting the hedge. So, in my opinion, the only thing that higher multiples hedge is capital gains. Higher multiples are not a help when you have accelerated inflation.

コモディティー[商品]を個別にみると、現時点で買える領域に入っているものがいくつかあると考えています。そのうちのひとつがシルバー[銀]です。歴史的に見ると、シルバーはピークの値段からおよそ77%下落しています。現在は1オンス[約30g]当たり19ドル前後で、高値から63%の下落です。これは調べてみる価値があると思います。さらに下落するようであれば、ドルコスト平均法でシルバーを買うことを検討されたらどうでしょうか。これはそっと足を踏み入れられるたぐいのものです。ただし、必ずしもお勧めするわけではありません。値段が下がれば検討する価値があると思われるものを示しているだけで、数ある例のひとつにすぎません。そしてポートフォリオに加える前には、納得できるまでご自分で調べることが不可欠です。(p.29)

Now, when looking at the individual commodities, we think a couple of them today are coming into the buy zone, and one of them is silver. Historically, silver goes down approximately 77% from its peak. Today, at +/- $19 per ounce, it's down about 63% from the top. So I think it's worth researching, and if it were to drop in price from here, I think you could consider a dollar cost averaging approach to silver. It's the kind of thing that you could start to tiptoe into. I'm not necessarily recommending it. I'm just giving you an idea as I think it's worth looking into if the price drops further. But this is just one of many examples. You need to do your own homework to get comfortable with it before putting it into your portfolio.

さてここまでの話で、常に柔軟に考えつづけることやコモディティーを使ってインフレをヘッジするやりかたを示してきました。しかし長期で見たときに最善の投資先がコモディティーだとは信じていません。その理由は図35をみればわかります。

図中の下側の線がコモディティーを示しています。一方、上側の線はダウ工業平均です。1971年に100ドルをコモディティーへ投資すれば、2014年には580ドルになっていました。これは悪くない増えかたです。しかし株式市場へ投資していれば、現在は2,700ドルになっています。この単純な例をみても株式市場が、短期でみれば破壊的な下落に見舞われる可能性があるものの、長期でみるとまさにいるべき場所だというのがわかると思います。(p.30)

[図35: CRB (商品) 対 Dow (人の成した創意工夫)]

While I have shown you how to remain flexible in your thinking and how to hedge against inflation by using commodities, I don't believe that commodities are the best place to invest over the long run. Chart 35 shows you why.

The bottom line on the chart represents commodities. The top line on the chart represents the Dow Jones Industrial Average. You can see if you had invested $100 in commodities in 1971, you would have $580 in 2014, which is not a bad increase. However, had you invested in the stock market, you would have $2,700 today. You can see by this simple example that, over the long run, the stock market is the place to be, even though it can go through disastrous declines in the short run.

2014年1月8日水曜日

2013年の投資をふりかえって(2)継続投資銘柄:シルバー(銀)

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シルバー(銀)への投資時期は2012年からではないのですが、何度か話題にとりあげているので現状を記しておきます。シルバーは2005年から投資しはじめ、途中で何度か全売却してきましたが、現在はあらためて買い増しの局面です。

■シルバー(現在の投資対象の銘柄:SLV)

<価格の動向>
メディアでも取り上げられていたように、他の商品と同様、シルバーも大幅に下落した1年でした。年初のスポット価格が30.34$、年末は19.43$でした。36%の下落です。


<投資方針>
下落に応じて適宜追加購入しました。現在の価格水準であれば強気でいます。その理由を以下に記します。


1. (需要面)工業用途の需要が今後も伸びると思われること
今後のエネルギー動向において「電気」というエネルギー形態の利用用途や範囲はますます広まるでしょうし、太陽光を利用した発電も漸増するとみています。シルバーは金属中で最高の導電率や反射率(可視光)を持ち、またゴールド(金)とくらべて単価が安いことから、それらなどの工業分野で素材として広く使われています。将来における経済発展と効率化を指向したエネルギー消費の増大という観点からみて、シルバーに対する需要はひきつづき増加すると予想します。

統計資料によれば、景気拡大がつづいた2003年から2008年までは工業用途での需要は増加していました。一方、2009年の金融危機で大きく落ち込んだ需要が2010年に回復した後、この数年間は減少しています。この統計値の信頼性は判断しかねますが、10年来の傾向としては横ばいあるいは漸増とみてよいかと思います。

(出典: World Silver Survey 2013 A Summary pdfファイル11ページ目)

2. (需要面)価値貯蔵手段として認知・選好されていること
シルバーは歴史的に「マネー」の主役だったため、価値貯蔵手段として認知されており、特に中国及びインドでその傾向が顕著です。人口が多い2つの新興国でこのような傾向があり、また実需として実体化してきたことは、需要面で今後も追い風になると予想します。

上に記した2種類の需要を合わせると、シルバーの総需要の7,8割を占めます。残りは宝飾品と写真用途、銀食器などです。つまり上述した両者の動向が需給に大きく影響を及ぼすことになります。

3. (価格面)現在の価格水準が生産者コストとほぼ同等であること
現在の市場価格は鉱山会社の総コスト(産出・製錬コスト + 事業継続上のコスト)に近い水準まで下がってきました。鉱山側のコストダウンの余地はあるものの、それは現在および将来の供給を減じるものとなります。そのため、供給面からみて現在の価格が長期的(3年以上)に継続する可能性は低いと予想します。たとえばシルバーの主要生産者であるPan American Silver Corp.(PAAS)の2013年度第3四半期のIR資料によれば、3Qのコストは16.26$ですが、通年では18.86$となっています。たとえば探鉱プロジェクトを延期してコストを抑え、収益改善を図っています。

(出典: 同社IR資料、2013/8/15付 "Q2 2013 CONFERENCE CALL PRESENTATION" 18ページ目)

以前ご紹介したシルバーのアナリストであるテッド・バトラーは[過去記事など]、シルバーの価格が低いのはアメリカの大銀行JPモルガン・チェースによる価格操作の影響が大きいと主張しています。彼の主張もそれなりに説得力があり、その説を信じたい気持ちもありますが、今は単純に価格とコストに注目しています。

2013年4月16日火曜日

金銀など大幅下落

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銀(シルバー)の話題は久しぶりになります。昨日の銀CMEスポットの終値は$22.66(-3.23, -12.48%)、銀ETFのSLVは$22.09(-3.19, -12.62%)でした。これで2010年秋の水準まで戻したことになります。動くのが早すぎると毎度感じているのですが、SLVの買い増しを始めました。以前に$15以下ならば現物を買いたいと書きましたが(過去記事)、もう少し前倒しでもいいかという思いもあります(たとえば$18)。


ところで今回は金(ゴールド)の下落率も銀と同じぐらい大きかったようですね。このところみられなかった見事なチャートです。

2012年8月3日金曜日

シルバーの需要動向(2011年)

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最近は値動きが小さいかあまり注目されていないシルバー(銀)ですが、その動向は適宜追いかけるようにしています。シルバーの著名なアナリストであるテッド・バトラーによると、シルバーの相場はごく少数のJPモルガン・チェースのような大銀行によって操作されているとされています。そのため短期的な価格を推し量りたければ、それらの動向を考慮する必要があるかもしれません。一方、中長期の値動きとなると、他の商品と同様に需給の力関係がきいてくるようです。今回は、その需要動向に関する話題です。

シルバーの生産者等による業界団体The Silver Instituteが、2011年度の概況を最近公開しました(World Silver Survey 2012 A Summary)。それによれば、シルバーの加工用需要(つまり純投資用を除いたもの)は前年比で1.5%減になったとのことです。


今回同書から引用するのは、比率の最も大きい産業向け需要に関する一節です。(日本語は拙訳)

産業用途における需要は、通年で2.7%減の48,650万オンスとなった。第4四半期になって想定以上に需要が後退したため、第1四半期での増加分は帳消しになった。2011年末にみられた需要後退の原因は、主として最終ユーザーである需要家が欧州財政危機による[ユーロ]離脱を懸念して発注を控えたことによるものだった。また一部の用途では価格高騰に伴う節減や他材料による代替もいくぶんみられ、需要減の一因となった。セクター別に見ると、太陽光関連の減少がもっとも目を引いた。ただし潜在的な需要が減少したことよりも、在庫過剰の問題が大きかった。アメリカにおける昨年の需要減の大半がこれに起因するものだったが、絶対額ベースでは日本での減少が大きかった。とくに第4四半期にはエンドユーザーからの受注減がひどかった。絶対額の変動が3番めに大きかったのは中国だが、これは5%にのぼる増加であり、過去最高を記録した。

A largely unexpected slump in industrial demand during the fourth quarter outweighed strong first half gains, generating a full year loss of 2.7% to 486.5 Moz (15,132 t). The weakness seen late in 2011 was chiefly the result of industrial end-users slashing orders due to fears over the fallout from the Eurozone’s sovereign debt crisis. There was also a degree of pressure on offtake from price-led thrifting and substitution in some areas of industrial use. On a sectoral basis, the main feature last year was a fall in photovoltaic demand, which resulted from inventory mismatches, rather than a drop in underlying demand. That also explains much of US losses last year, although its absolute fall was just eclipsed by Japan, which suffered more from the fourth quarter drop in end-user orders. The third largest absolute change related to China but in this instance it was a rise of nearly 5% to a new record.

蛇足になりますが、個人的な見解としては、エネルギー消費が増大しつつも二酸化炭素の排出を抑えることが強く要求される時代においては、シルバーの有用性が下がることはないと考えています。その上で価格がどこまで許容できるのかは、使用用途によって異なってくると捉えています。

2012年3月30日金曜日

シルバーの投資でいちばんへまをやった人

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ウォーレン・バフェットに対する反論としてマーク・ファーバーの見解を以前ご紹介しましたが(過去記事)、今回はシルバー陣営からのものをご紹介します。Jim Cookという、シルバー・アナリストのエッセイREMEMBER SILVERから引用します。(日本語は拙訳)

先日、ウォーレン・バフェットがゴールドについて否定的なコメントを出したので、ウォール街の住人やワシントンの役人たちを刺激したようです。ゴールドの信奉者は怒り心頭ですよ。しかし、バフェット氏の矛先がシルバーには向いていなかったのは、なぜでしょう。それは、彼こそがシルバー投資でいちばんへまをやった張本人だったからかもしれませんな。なにせ、一時期は世界中のシルバーの供給量の37%を保有していたんですよ。1オンス6ドル平均で1.3億オンス[合計で約800億円]買ったのが、1998年の5月。ところが2006年になって1オンス7.5ドルで売ってます。もし2010年まで我慢していれば、50億ドル[4000億円]の利益がでたでしょうに。そうそう、2006年にこういってましたな。「早く買ったのですが、早く売ってしまいました。シルバーは失敗しました」

His recent negative comments on gold titillated the Wall Street and Washington establishment. Gold bugs seethed with resentment. However, Mr. Buffett didn’t mention silver in his latest barrage of opinions. That’s probably because he’s the dumbest silver investor in history. At one time he owned 37% of the worlds known silver supply. In May 1998 he purchased 130 million ounces of silver at an average price of $6.00. He sold it in 2006 for $7.50 an ounce. If he had held it until 2010 he would have made a profit of $5 billion. He commented in 2006 that “I bought early and sold early. Silver was my fault.”

シルバーでの失敗というとハント兄弟のほうが有名ですが、あちらは「投資」ではなく「投機」といったところでしょうか。

さて、ここでご紹介したかったのは、実はこの一節ではなく、同じサイトに転載されているTed Butlerの文章です。過去のものがこちらに一覧されています。テッドは、世界でいちばん信頼されているであろうシルバーのアナリストで、わたしがシルバーに投資しはじめたのも彼の文章を読んだのがきっかけでした。ネタが少ないので話題が繰り返されていますが、基本的な知識を得るには役に立つかと思います。

最近はゴールドと共にシルバーの価格も下がってきており、再び注視する時期がやってきました。

2012年3月10日土曜日

マーク・ファーバー対ウォーレン・バフェット

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マーク・ファーバーは逆張りで有名な投資家です。見た目がちょっとこわいおじさんですが、切れ味のよい論理的な主張で人気があります。ジム・ロジャーズと同じように、ここ何年かは商品強気を説いてきました。今のところは当たってますね。

先日ご紹介したバークシャー・ハサウェイの「株主のみなさんへ」では、ウォーレン・バフェットは彼らしい表現でゴールドに対する懐疑的な評価を展開していました。今回ご紹介するのは、マーク・ファーバーによる逆の見解です。引用元の記事はBuy Gold “Right Away” Says Marc Faberです。(日本語は拙訳)

最近になってウォーレン・バフェットが、資産としてのゴールドを否定的にみる見解を表明したが、いうまでもないがファーバーは強く反対している。ゴールドを保有していない投資家は大きなリスクに直面している。ファーバーは幾度もそう述べてきた。債務不履行とか、G7各国の中央銀行が協調して自国通貨を減価させるようなこともありうる。それらのリスクはまだ消えていない、と彼は確信している。

ファーバーは言う。「ゴールドをぜんぜん保有していない?私なら今すぐ買い始めますよ。ただし、値段は下がるかもしれないのをお忘れなく」

Without saying so, directly, Faber disagrees strongly with Warren Buffett’s recent and controversial negative assessment of gold as an asset. Faber has stated on numerous occasions that investors who own no gold take on enormous risk, including debt defaults and/or currency devaluations, as central banks of the G-7 seek to simultaneously devalue its respective currencies. He believes those risks remain alive and well.

“If you don’t own any gold, I would start buying some right away, keeping in mind that it could go down,” states Faber.


こちらは、ゴールドの現在の価格水準についての見解です。

ゴールドがバブルかどうか議論されているが、ファーバーはそのような説は抱いていない。ゴールドにはバブルの兆候がみられない、と彼は何度も言ってきた。ゴールドを保有している投資家はほとんどいないのだから、「ナスダックや不動産に投資すれば金持ちになれると言われたけれど、今回もそれと同じだ」というような雑音は気にしないように、とも。

「ゴールドはバブルではない。まだバブルじゃなかった1973年には、40%も調整したのだ」とファーバーは言う。200ドルの記録的な水準をつけたあとに100ドル近くさがったときの、否定的だった見方を振り返った。

As far as the debate whether gold is in a bubble, Faber doesn’t hold to that thesis. He, on several occasions, has said the signs of a bubble in the gold market aren’t there. So few investors hold any gold, never mind raving about it as a road to riches, as was the case of the Nasdaq and real estate.

"No, gold is not in a bubble. It wasn’t in a bubble in 1973, either, but it still corrected by 40% then," says Faber, referring to the negative sentiment at that time in the gold market after the price sank to nearly $100, from a record high of $200.


2000年前半には、ウォーレンもシルバーを大量に買い集めていました。価格が大きく上昇する前に処分してしまいましたが、商品の動向は引き続き監視していると思います。単なる予感にすぎないのですが、ウォーレンは今後のゴールド・バブル(とその後の急落)を想定し、警告の意味を含めてあのような文章を書いたのかもしれません。

2011年12月29日木曜日

銀に関する基本知識(1)需要と供給

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12/28も銀CMEスポットは下落し、終値が$27.15(-5.50%)となりました。今夜はETFのSLVを少し買い増しします。








さて、今回は銀の需給動向について基本情報をご紹介します。わかりやすい参考資料がThe Silver Instituteにあります。World Silver Survey 2011 A Summaryです。

以下は、同書p.6にある2010年の世界の銀需給動向です。(日本語訳は拙訳)
単位は、Moz(ミリオンオンス)です。

■供給
鉱山からの新規産出 735.9
政府部門による売却 44.8
スクラップ 215.0
鉱山業者のヘッジ売り 61.1
--------------------------
合計 1,056.8

■需要
産業用途 487.4
写真 72.7
宝飾品 167.0
銀食器 50.3
コイン 101.3
純投資 178.0
--------------------------
合計 1,056.8

需給の両側の合計値が一致しているのは、需要側の純投資の値で帳尻を合わせているためです。

ここ10年ほどの需要動向の推移はp.10に載っています。総需要はほぼ横ばい状態だったのですが、構成比は変化しています。デジカメが主流となったことで写真用途が漸減する一方、産業用途が漸増しています。しかし写真向けはもはや70Moz強しか使われておらず、減りしろはあまり残っていません。銀の電気的特性を考えると今後も産業用途は増加すると思われるため、総需要は漸増すると個人的には予想しています。

2011年12月28日水曜日

銀価格は引き続き低迷

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今年の銀の価格は、結局は年初と同じ水準に落ち着きそうです。夏まではマーケットの様子を追っている時間が取れなかったのですが、こうして落ち着いて値動きを見ると、5月と9月の大きな下落はほんの数日間に集中していますね。









前の2年間の上昇が大きかったので乗り遅れたかとやや後悔していましたが、最近の価格下落傾向が続いてくれれば、願ったりかなったりです。ただし、急いで買いすぎないように注意が必要ですね。$15以下であれば、現物でも買いたいです。



2011年12月15日木曜日

金銀スポットも下落(2011/12/14)

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金と銀の値段がさがってきました。昨日の銀CMEスポットの終値は$29.02、銀ETFのSLVは$28.07です。3ヶ月ほど前に話題にしたときの水準に戻りました(9/23(金)のSLVは$29.98)。以下はCMEスポットの3年チャートです。









少しずつですが、またSLVを買い始めました。一方、株式のほうは静観中です。

2011年10月19日水曜日

11/18,貴金属はどうなった?

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先日の書き込みの関連ですが、アメリカのデリバティブ取引の監督官庁CFTCは10/18の会合で、商品先物取引等において一社あたりの建玉上限を設けることを3対2の賛成多数で決定しました。米ブルームバーグが報じています

Oct. 18 (Bloomberg) -- The top U.S. derivatives regulators voted 3 to 2 today to curb trading in oil, wheat, gold and other commodities after a boom in raw-materials speculation, record- high prices and years of debate and delay.

とはいっても、上限が適用されるのは"swap"を規定してから60日後で、いつごろになるのか当局は回答せずとのことです。当月限以外の制限は2012年末からとしているので、マーケットで動きが出てくるのは来年のことでしょうか。

The commission estimates that the limits will affect 85 energy traders, 12 metals traders and 84 traders of certain agricultural contracts. The caps will go into effect 60 days after the agency defines the term “swap.” The agency declined to estimate when that will be. Limits outside the spot month are likely to go into effect in late 2012.

2011年10月17日月曜日

いよいよ明日10/18、どうなる貴金属

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ゴールドやシルバー等の商品はUS先物市場での不正操作が疑われてきましたが、明日10/18に管轄当局であるCFTCが過剰な建玉を制限する規制について採決することとなりました。先週のロイターの記事からの引用です。
The head of the U.S. futures regulator has the support he needs to pass a long-awaited rule that would curb excessive speculation in commodity markets, a source with knowledge of the agency's rule-making told Reuters on Tuesday.

The U.S. Commodity Futures Trading Commission announced on Tuesday that it would vote on October 18 on a rule limiting the number of contracts any one speculative trader could hold in commodity markets.

採決を二度も延期していましたが、上院議員から10/6に委員会で証言するよう迫られていました。ブルームバーグの記事になります。
The U.S. Commodity Futures Trading Commission, which has yet to complete Dodd-Frank Act limits on excessive speculation, will face scrutiny about the trading curbs at an Oct. 6 hearing led by Senator Carl Levin.

ところが、10/18の実施を確約したとのことで、委員会出席はキャンセルされました。ロイターの記事です。
WASHINGTON, Oct. 4 (Reuters) - A U.S. Senate watchdog has
canceled an Oct. 6 hearing focused on excessive speculation
after the futures regulator said it would finalize new trading
curbs later this month, the head of the panel told reporters on
Tuesday.

The U.S. Commodity Futures Trading Commission has set "a
fixed date" of Oct. 18 to vote on a measure that would limit
the number of contracts any one speculative trader could hold
in commodity markets, said Senator Carl Levin, head of the
Senate's Permanent Subcommittee on Investigations.

個人的にはシルバー(銀)の動向に注目しています。JPモルガン・チェースのショート・ポジションが一体どうなるのか。おそらく抜け道が用意されると思いますが、見ものですね。