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2018年7月28日土曜日

(解答)プロの投資家たちが選ぶ数を当てよ(おまけ、バブル3景)

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まずは、前回の投稿でとりあげた問題に対する解答です。(日本語は拙訳)

66を越える答えがいくつもあったことには、少しばかり首をひねりましたね。そもそも取り得る数の最大値は66です。だれもが100を選んだ時にちょうどそうなる数字です。図表7をみると度数の上昇が認められることから、さまざまな水準で帰納的推論がなされたことがわかります。各参加者が選んだ数字の平均は26でした(この手のゲームではよくある値です)。それゆえ、平均値の2/3は17.4となります。このゲームにおいて他の人たちから一歩先んじることが、実に難しいことがわかる数字です。(p. 6)

(出典: 後述)

The fact I got a number of answers above 66 is a little disturbing! The highest possible answer is 66, because to pick this one must believe that everyone else has just picked 100. In Exhibit 7, you can see spikes at various levels of induction. The average number picked turned out to be 26 (which is fairly typical of such games), and thus the two-thirds average was 17.4. It proved incredibly hard to be one step ahead of everyone else in this game.

もうひとつご紹介する内容は、バブルについてです。今回引用した文書の著者ジェームズ・モンティエ氏は、現在の(主に米国)株式市場は一種のバブル状態にあると評価しています。ただしバブルには次に示すような種類があり、現在のバブルは上述したような「美人コンテスト的バブル」だと述べています。なお、引用元の文献は以下のとおりです(少し前に発表された文書のため、すみませんがURLが見つかりませんでした)。

The Advent of a Cynical Bubble (James Montier, GMO Asset Allocation Insights, Feb 2018)

1つ目の種類のバブルは典型的なもので、「XX現象」や「XX狂」と呼ばれることもあります。まさしくこれは「信念」がバブル状態にあるものです。この種のバブルでは、「今回ばかりは違う」「新たな時代が始まったのだ」と信じ込むようになります。巨大バブルの歴史を飾ってきた実例を挙げてみると、ドットコム・バブル[ハイテク、メディア、通信関連業界]、日本でのバブル、米国住宅バブル、行け行けの1920年代、があります。それらはいずれも、「妄想的な新時代思考」を示した輝かしい事例として際立っています。

2つ目の種類のバブルは「本源的バブル」と描写されるものです。このバブルでは、バブルの源にファンダメンタルズが存在します。さらに言えば、利益の上昇率が継続不能な水準まで増加することで、投資家が[将来の見通しをそのまま]外挿したり、過剰資本を起こしがちになります。米国住宅バブル期の金融企業は、この種のバブル状態にあった好例でした。住宅市場で沸いたバブルのおかげで彼らの利益は増大しましたが、多くの投資家はその事実を認識していませんでした。

3つ目の種類のバブルは、アカデミックな文献において「近合理的バブル」として知られています。個人的には、この命名にまるで賛成できません。その言葉は「見せかけの敬意」を匂わせていますが、私としては価値が認められないからです。私からすれば、このバブルは「さらなる愚者を待つ市場」をうまく描写したものだと考えています。「当該資産を妥当な価格(あるいは本源的価値)で買えたとは考えてもいないのに、バブルがはじける前にもっと高値で他人へ売りつけたいがゆえに買う」点で、なんとも冷笑的なバブルです。シティバンクの元CEOだったチャック・プリンスは、よくある冷笑的バブル思考を的確に披露してくれました。2007年7月にそれを示す言葉を口にしたのです。「曲の演奏がつづく限り、席を立って踊り続けねばなりません。当社はまだ踊り続けているのです」と。(p. 3)

The first and canonical type of bubble is the what might be called the “Fad” or the “Mania.” This is truly a bubble of belief. In this type of bubble, people really do believe that this time is different, that a new era has been begun. These are the great bubbles of history: the TMT bubble, the Japanese bubble, the US housing bubble, and the Roaring 20s all stand out as shining examples of delusional new age thinking.

The second type of bubble is described as an intrinsic bubble. In an intrinsic bubble, it is the fundamentals that are the source of the bubble. That is to say, earnings booming at an unsustainable rate, which then often gives rise to extrapolation and overcapitalization by investors. Financials during the US housing bubble were a good example of this kind of bubble. Their earnings were inflated by the economic bubble in the housing market, and this wasn’t recognized by many investors.

The third type of bubble is known in the academic literature as a near rational bubble. I am not a great fan of this nomenclature as it suggests a veneer of respectability that I find undeserved. To me these are really better described as greater fool markets. They are cynical bubbles in that those buying the asset in question don’t really believe they are buying at fair price (or intrinsic value), but rather are buying because they want to sell to someone else at an even higher price before the bubble bursts. Chuck Prince, the former CEO of Citibank, aptly demonstrated the typical cynical bubble mentality when in July of 2007 he uttered those fateful words, “As long as the music is playing, you’ve got to get up and dance. We are still dancing.”

2018年7月24日火曜日

(問題)プロの投資家たちが選ぶ数を当てよ

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以前に取り上げたことのあるマネー・マネージャー(M氏としておきます)の文章を読んでいたところ、おもしろい試みを取りあげていたので、ご紹介します。

M氏は現在の市場の成り行きを表現する上で、有名なケインズのたとえ話「美人コンテスト」をあげました。

職業家としての投資とは、新聞が主催する次のような競技に例えられるかもしれない。「参加者は、100枚ある顔写真の中から、もっとも美しい6名を選び出さなければならない。その際に、全参加者の選んだ平均にもっとも近い選択をした者が優勝となる」。各参加者は、もっとも美しいと自分自身が考える顔ではなく、他の参加者たちの気を惹く可能性がもっとも高い顔を選択しなければならない。そのため、誰もがこの問題を同じ観点からとらえることになる。もっとも美しいことが事実だったとしても、個人の判断で最上の顔を選ぶやりかたは適切ではない。さらには、平均としてみたときに純粋にもっとも美しいと思われる顔ですらない。それゆえに、この問題は第3次の水準に到達することとなる。「平均的見解とは何か」を予想する平均的見解がどのようなものかを判断するがために、知力を働かせるのだ。私が思うに、4次や5次さらにはもっと高次の思考を巡らす者がいるはずだ。

Professional investment may be likened to those newspaper competitions in which the competitors have to pick out the six prettiest faces from a hundred photographs, the prize being awarded to the competitor whose choice most nearly corresponds to the average preferences of the competitors as a whole; so that each competitor has to pick, not those faces which he himself finds prettiest, but those which he thinks likeliest to catch the fancy of the other competitors, all of whom are looking at the problem from the same point of view. It is not a case of choosing those which, to the best of one’s judgment, are really the prettiest, nor even those which average opinion genuinely thinks the prettiest. We have reached the third degree where we devote our intelligences to anticipating what average opinion expects the average opinion to be. And there are some, I believe, who practise the fourth, fifth and higher degrees.

そのうえでM氏は、美人コンテストのアイデアを実際に試すことをねらって次のような要領のゲームを実施したことを、紹介していました。

・ゲームの参加者は、0から100の整数の中から、ある数をひとつ選ぶこと。
・「全ゲーム参加者が選んだ数の平均値の3分の2」の値に最も近い数を選んだ者が、このゲームの勝者となる。

A game based on this idea can be constructed where participants are told to choose a number between 0 and 100.
The winner will be the person who picks the number closest to two-thirds of the average number picked.

ゲームの参加者はプロの投資家1,000名超とのことで、この情報は事前に知っておいてよいものと解釈しましょう。次回の投稿で正答(=平均値の2/3)を挙げますので、ぜひみなさんも勝者になることをめざして、お考えになってみてください。

なお、わたし自身も挑戦してみました。正答ではなかったものの、2ポイント程度の差に落ち着きました。まずまずのスコアだと自己評価しましたが、細かな詰めが甘いのはいつもながらの反省点です。

2018年7月20日金曜日

ヨーロッパが豊かになった理由(『進歩: 人類の未来が明るい10の理由』)

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中世までは世界の片田舎でしかなかった西欧が世界の中心部へと躍進した理由は、人文科学の領域でたびたび取り上げられる主題です。少し前の投稿でとりあげた本『進歩: 人類の未来が明るい10の理由』でも、単純ながらも強力な説明をしていたので、引用してご紹介します。

この時代、科学と技術の面ではアラブ人がはるかに先を行っており、西洋ではほぼ忘れ去られていたギリシャ哲学を生かし続けたのもアラブ人だった。

同時期に、経済的にも文化的にも繁栄した中国を支配していたのは宋王朝だった。法治と高い経済的な自由のおかげで、イノベーションの気運が生まれた。中国人は活字や火薬や羅針盤を使っていた--これは1620年という時期になっても、三大発明としてフランシス・ベーコンが挙げたものだ。

でも14世紀に中国を支配した明王朝は、技術や外国人に敵対した。海洋航海を死罪にして、世界を発見したかもしれない大型船を焼き払った。同様に、イスラム世界は13世紀の蒙古侵略のあとで内向きとなり、科学と近代化の多くの発想を粛清した。オスマン帝国では新技術は阻害され、印刷術は300年も遅れてしまい、タキ・アッディンが1577年に作ったイスタンブールの近代的な天文台は、たった3年しか続かずに、その後は神をスパイしようとしているといって破壊されてしまった。

別にヨーロッパの列強がマシだったわけではない。ヨーロッパのエリート層もまた新しいアイデアやイノベーションに反対した。でもこの大陸はあまりに断片化していた--地理的にも政治的にも言語的にも--おかげで、何か一つの集団や皇帝がそのすべてを支配はできなかった。著書『ヨーロッパの奇跡』でエリック・ジョーンズは、14世紀にはヨーロッパに1,000以上の政治単位があったと述べている。この複数主義はある意味で、競合する国民国家の体系を構築したときにもまだ残っていたといえる。新しい理論や発明、ビジネスモデルは必ずどこかでは生き延びられたし、その優位性を実証できた。それが他の人々に模倣されて、広まる。進歩は常に命綱を得られたというわけだ。

つまりヨーロッパを豊かにしたのは、優れた思想家や発明家や企業ではなく、ヨーロッパのエリート層がそれを邪魔するのにあまり成功しなかったという事実なのだった。アイデア、技術、資本は国から国へと移動できたので、国はお互いに競争して学び合うしかなく、お互いを近代化へと押しやった。これはいまのグローバリゼーションの時代と少し似ている。(p. 302)

2018年7月18日水曜日

2018年上半期、米国株式市場の総括

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何度か取り上げているバリュー投資家ウォーリー・ワイツ氏が、パートナー向けのレター(第2四半期)を公開していました。そのなかで興味深い数字が示されていたので、孫引きになりますがご紹介します。(日本語は拙訳)

2Q18 Value Matters (Weitz Investments)

テクノロジーや「確かな成長」を謳う各種のストーリーが、第2四半期にも投資家を魅了し続け、市場を高みへと導きました。なぜならそこには超大型の銘柄が含まれており、時価総額加重方式をとる同指数に対して、不釣り合いなほどの影響をもたらしたからです。経済コンサルタント会社として知られるゲイブカル・キャピタル(と同社の記事「統計で楽しもう」)によれば、2018年の前半6カ月間にS&P500があげた上昇分の71%は、アマゾン・マイクロソフト・アップルが寄与したものでした。その3社に加えて、マスターカード、さらには別のテクノロジー4銘柄が、同指数のあげた上昇分の105%に寄与していました。つまりそれら以外の492銘柄を合計すると、6月末時点では前年末比で下落していたのです。

In the second quarter, technology and other “reliable growth” stories continued to appeal to investors. They led the market higher, and because some are very large, they had a disproportionate impact on the capitalization-weighted indices. According to economic consultants, GaveKal Capital (and under the heading of “fun with statistics”), during the first six months of 2018, Amazon, Microsoft and Apple accounted for 71% of the gain in the S&P 500. Those three, along with Mastercard and four other tech stocks, accounted for 105% of the index’s gain. The other 492 stocks were, collectively, down year to date.

2018年7月16日月曜日

2018年バークシャー株主総会(12)米国における医療費の問題について(後)

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バークシャー・ハサウェイ株主総会での質疑応答から、前回のつづきでアマゾン社及びJPモルガン社との提携に関する話題です。お決まりのネタですが、ウォーレン・バフェットのジョークも楽しめます。(日本語は拙訳)

ただしこの提携は、利益を第一に考えて始めたものではありません。「従業員に対して優れた医療サービスをより安価に提供したい」、それがわたしたちの果たしたいことです。彼らが受けるサービスが現在よりも劣ったものになるのであれば、そのような考えに取り組むつもりは毛頭ありません。

しかし、「効果があり得る重大な変化を、実際に起こす方法がみつかるかもしれない」とわたしたちは考えています。そして、とてつもない抵抗が生じるであろうこともわかっています。

もし失敗におわるとしても、少なくとも挑戦したことにはなります。しかしこの件で必要な発想とは、わたしが「医療関係の諸専門誌をいくつか読んでブレイクスルーの瞬間を得たことで、あたかも医療機器システムのように組み込まれている一部分を取り替えることによって、何かしら貢献できる」と考えた程度のものではありません。

3つの組織にはおそらく100万名を超える従業員がいますが、わたしたちが公表したのちに、この件に携わりたいと希望する人からの連絡が止めどなくありました。現在は参画という段階ではないですが、もし効果的な発想に至ることができれば、いずれはそのような体制になるでしょう。つまりこの件で必要な発想とは、そのような水準のものです。

そして資源を投入できるか、要員を投入できるか、さらには何をおいてもCEOが重要です。要員を揃え、彼らを支援した上で、どうにかして良い方法を見つけられるだろうか。わたしたちの子供などの生涯において、18パーセントの数字が20や22パーセントに達することなく、良質な医療を享受し続けることができるものか。それというのも、結局のところ「無い袖は振れない」からです。

いずれは、それがわかるときが来ます。もし[バークシャー副会長の]アジート・ジェインであれば保険数理的に算定するでしょうから、わたしたちの構想には伸(の)らないでしょう。しかしそれでも、何かを成し遂げる可能性はあると思っています。

数値化できる人はいないと思いますが、わたしたちが何か重要なことを成し遂げる可能性はあります。なんといっても、実際に取り組む上で、わたしたちはほぼ最良の立場にあります。まぎれもなく適切なパートナーを得たわけですから、まずは行動に移して、行く末を見守りたいと思います(拍手)。

チャーリーはどうですか。

<チャーリー・マンガー> この種の公共サービスにおいて、成功を収めた先達がおりましたよ。何十年も前にさかのぼれば、ジョン・D・ロックフェラーが私財を費やして米国医療の分野を著しく発展させました。「著しい」という言葉がぴったりですよ。それに匹敵する発展をなしとげた人間は、他にはだれもいませんね。

ですから、ウォーレンがある方法でロックフェラーを模倣しているのは、その次になるわけです。たぶん良い結果になるでしょうがね。

<ウォーレン> ちなみにロックフェラーは非常に長生きしましたから、わたしは実際に3つの点で彼を真似している最中になります(笑)。

どうなるのかは、いずれわかります。しかし現在は多くの進展をみているところです。おそらく2,3か月のうちにはCEOを見つけられるでしょう。もし見つからなくても、締め切り的なものに間に合わせるだけのために、だれかを据えようとは考えていません。すばらしいパートナーがいるわけですから。

ただしわたしたちの提携では、正式な契約は結んでいません。ある会社の法務部門の人がお膳立てを進めていましたが、そこのCEOがとめました。

みなさんの所属する組織でも、多くの資源を抱えている部署があると思います。わたしたちも、わたしたちなりの官僚主義を抱えています。しかし、もし本当にもっともだと思えることがあれば、官僚主義を取り払うことができます。

支持を得られることもあれば、同時に反発も数多くあると思います。しかしわたしたちの考えが理にかなったものであれば、多くの米国企業から支持を集めるでしょう。

しかし言うまでもないですが、容易なことだったとしたら、すでに解決しているはずです。

<チャーリー> 簡単なことではないですよ。

<ウォーレン> そのとおりです。しかし挑戦してみるべきです。

But it is not a - the motivations are not primarily profit-making. They’re - we want to deliver - we want our employees to get better medical service at a lower cost. We’re not going to - we’re certainly not going to come up with something where we think the service that they receive is inferior to what they’re getting now.

But we do think that there may be ways to make a real - significant changes - that could have an effect. And we know that the resistance will be unbelievable.

And if we fail, we’ve at least tried. And - but they - the idea is not that I will be able to contribute anything to, you know, in some breakthrough moment, by reading a few medical journals or something - (laughs) - changing something that is as embedded as the medical system.

But the idea is that maybe the three organizations, which employ over a million people and which, after we announced it, we had a flood of calls from people that wanted to join in, but there isn’t anything to join into now. But they will if we have - come up with any ideas that are useful.

Whether we can - bring the resources, bring the person. And the CEO is terribly important. And then bring the person, support that person. And somehow, figure out a better way for people to continue to receive better medical care in the United States without that 8 percent - 18 percent - going to 20 or 22 percent, you know, in the lifetime of, you know, our children or something of the sort - because there are only a hundred cents in the dollar.

And we will see what happens. It’s - you know - if you were Ajit [Jain], actuarially figuring, it would not - you would not bet on us. But - I think there is some chance we will do something.

There’s a chance - nobody can quantify it - that we can do something significant. And we are positioned better than most people to try. And we’ve certainly got the right partners. So, we will give it a shot and see what happens.

Charlie? (Applause)

CHARLIE MUNGER: There is some precedent for success in this public service activity. If you go back many decades, John B. Rockefeller I, using his own money, made an enormous improvement in American medical care. Perfectly enormous. In fact, there’s never been any similar improvement done by any one man since that rivals it.

So Warren, having imitated Rockefeller in one way, is just trying another. And maybe it’ll work.

WARREN BUFFETT: Rockefeller, incidentally, lived a very long time. So I actually am trying to imitate him three ways there. (Laughter)

We’ll see what happens. But we are - we’re making a lot of progress. And I think we’ll probably have a CEO within a couple of months. But if we don’t have one, then we’re not going to pick somebody just because we want to meet any deadline or anything like that. We’ve got these wonderful partners.

We don’t have a partnership agreement among us. Somebody started drawing up one in a legal department and the CEO just put a stop to it.

They - you do have places that have a lot of resources. And while we all have our share of bureaucracy, we can cut through it if we’ve got something that we really think makes sense.

And we will get the support - we’ll get - we’ll get a lot of resistance, too. But we will get the support of a lot of American business, if we come up with something that makes sense.

But if it was easy, it would’ve already been done. There’s no question about that.

CHARLIE MUNGER: It’s not easy.

WARREN BUFFETT: No. (Laughs) But it should be tried.

2018年7月12日木曜日

2018年バークシャー株主総会(11)米国における医療費の問題について(前)

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バークシャー・ハサウェイ株主総会での質疑応答から、最近話題になっていたアマゾン社やJPモルガン社との提携話についてです。今回の質問者は、本題以外にも別の観点からの思いを込めて質問しています。しかしウォーレン・バフェットは脱線することなく、本題だけに集中して答えており、明快な捌きぶりだと感じました。なお、前回分の投稿はこちらです。(日本語は拙訳)

15. アマゾン社及びJPモルガン社との医療費関連の提携

<ウォーレン・バフェット> 質問所4番のかた、どうぞ。

<質問者> チャーリーさん、ウォーレンさん、おはようございます。私は御二方の熱烈なファンで、チャーリーが書かれた認知上のバイアス25項目については特に気に入っています[過去記事一覧]。そのため、本題から若干はずれるとは思います。

私はワシントン州のシアトルから参りました。デジタル・マーケティングの会社を一人で運営しています。フェイスブック上の広告や電子メールを使ったマーケティングを専門としており、それらを多用しています。チャーリーが説明されたコカ・コーラに関する詳細は、実に信頼できるものと感じています[過去記事一覧]。

顧客の製品が持つ構造を理解したり宣伝したりする方法を見つける際に、[前述した認知上のバイアスを]参考情報として利用しています。ですからチャーリーの示された認知上のバイアスが、インターネット関連の企業においてうまく働くことは、明言できます。

さて、アマゾンやJPモルガンと医療関連で提携するとのことで是非ともお聞きしたいのですが、インターネット関連の企業に対して例のバイアスを適用する方法を、御二方は理解されはじめたのでしょうか。あるいは事業を理解しているとすれば、他の道具を使うことにしたのでしょうか。それというのも、「理解していない事業には投資しない」と度々発言してこられたものですから。

<ウォーレン> そうですね、わたしたちは医療関連の企業を設立するつもりはありませんし、必ずしも保険業のような会社をつくるわけでもありません。ただ単に、わたしが敬愛し信頼するリーダーの率いる3つの組織が存在するだけのことです。それら3つが互いにやりとりをしている、といったものです。

チャーリーは正しくも次のような発言をしていたと思います。「1960年にはGDP比で5パーセントだったのが、現在は18パーセント近くに達しているシステムを、なんらかの方法で変更することは、ほぼ不可能である」と。そのようなシステムに対して、わたしたちは何とかしたいと望んでいます。

米国のビジネスは他の国とくらべると、医療費の面が大きな足かせとなっています。かつて米国が5パーセントでやっていた時代に、米国のように5パーセント程度でやっていた国々がありました。しかし今では、かの国々が11パーセント越えないあたりでやっているところを、米国はなんとか18パーセントに抑えている状況です。

まさしく1960年には、米国における一人当たり医療費は170ドルでした。しかし今では1万ドル以上を費やしています。

「無い袖は振れぬ」わけですから、費用の問題が生じます。米国実業界とその競争力の面で、この問題は寄生虫であると言えます。

米国よりも少ない費用でうまくやっている諸国とくらべると、一人当たりの医者数が米国のほうが少なかったり、一人当たりの病床数や看護師数も少ない例があります。

医療システム全体が扱う金額は3兆3千億ドルに達しています。これは連邦政府の歳入とほぼ同じ金額です。3兆3千億ドルもの金額が、システムにかかわる云百万・云千万もの人たちに分配されるわけです。そのお金の1ドル1ドルが有権者へとつながっています。まさしく政治と言えるものです。

わたしたちのCEO探しは、現在取り組んでいるところですが、きっと果たせるでしょうから、遠からず発表できると思います。しかし、このことがカギとなります。

だれもが認めているように、医療システムの費用面は、ある種制御不能となっています。しかし往々にしてだれもが、他人の過失によるものだと考えています。果たしてCEOとなるその人物が想像力を抱き、さらに人々を支援することを通じて、種々の重大な改善をシステムにもたらせるでしょうか。やがては解が見つかるでしょうが、容易なことではないと思います。

(つづく)

15. Health care costs partnership with Amazon and JPMorgan

WARREN BUFFETT: OK. (Laughter) Station 4.

AUDIENCE MEMBER: Good morning, Charlie and Warren. I know that seems a little bit out of order, but I’m a huge fan of yours, Charlie, mostly for your 25 Cognitive Biases.

I’m from Seattle, Washington. I run a one-person digital marketing firm that specializes in Facebook ads and email marketing. I use these a lot. I - your breakdown of Coca-Cola was really, really solid.

And I use that as reference when looking to how to understand the mechanics of my clients’ products and how to promote them. So I’m fairly certain that your cognitive biases work for internet-related companies.

Now that you’re partnering with Amazon [and JPMorgan] on health care, I’m curious, have you started to understand how to apply these biases to internet-related companies? Or is there another set of tools you use to decide if you understand a business? Because you guys talk a lot about not investing in businesses that you don’t understand.

WARREN BUFFETT: Well, health care is a - we don’t plan to start health care companies or, necessarily, insurers or anything. We simply have three organizations with leaders that I admire and trust. And we - mutually goes around all three.

And we hope to do something which Charlie correctly would probably say is almost impossible to change in some way a system which is - was taking 5 percent of GDP in 1960, and now is taking close to 18 percent.

And we have a hugely noncompetitive medical cost in American business, relating to any country in the world. The countries that - there were some countries that were around our 5 percent when we were at 5 percent. But we’ve managed to get to 18 without them going beyond 11 or so.

Literally, in 1960, we were spending $170 per capita on medical costs in the United States. And now we’re spending over 10,000.

And, you know, every dollar only has a hundred cents. So there is a cost problem. It is a tapeworm, in terms of American business and its competitiveness.

We don’t - we have fewer doctors per capita. We have fewer hospital beds per capita, fewer nurses per capita, than some of the other countries that are well below us.

And you’ve got a system that is delivering $3.3 trillion - that’s almost as much as the federal government raises - it’s delivering 3.3 trillion, or some number like that, to millions and millions and millions of people who are involved in the system. And every dollar has a constituency. It’s just like politics.

And whether we can find the chief executive, which we’re working on now, and which I would expect we would - we would be able to announce before too long - that - but that’s a key part of it.

And whether that person will have the imagination and support of people that will enable us to make any kinds of significant improvements in a system which everybody agrees is sort of out of control on cost, but what - but - but they all think it’s the other guy’s fault, generally - we’ll find out. It won’t be - it won’t be easy.

なお新会社のCEOは少し前に決定しています(6月20日付の公式発表[PDF])。選任されたのはアトゥール・ガワンデ氏、本ブログではチェックリストに関する過去記事で取り上げた人物です。チャーリー・マンガーごひいきの人物を選んだわけですね。

2018年7月8日日曜日

人類の未来が暗く思える理由(『進歩: 人類の未来が明るい10の理由』)

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以前にご紹介したマット・リドレーの著作『進化は万能である』では、さまざまな社会的側面が進化的に発展してきた現実を取りあげていました(過去記事)。最近は「社会における進歩を正しく見つめよう」とする気風が高まっているのでしょうか、ビル・ゲイツも少し前から「鮮度の高い事実」を的確に認識した上で、現代社会が果たしてきた進歩の実態を啓蒙しようとしているようです(その一例)。それと似たような趣旨の本を少し前に読んだので、印象に残った一連の文章をご紹介します。

同書の邦題は『進歩: 人類の未来が明るい10の理由』、黄色のカバーのポップなデザインからは軽い内容を予期させますが、実際の本文に浮わついたところはありません。参考文献から集めた事実を連ねて、社会がいかほどに発展してきたのか、いくつかのテーマに沿って堅実に文章を書き進めています。個人的には例によって100%鵜呑みにできるとは考えませんが、いくぶん割り引いたとしても、現代社会がどのような高みに位置するのかを把握するのにふさわしい一冊だと思います。

今回引用するのは、本書の「おわりに」に含まれている文章です。「なぜ人々は暗い未来を思い描いているのか」について説明しています。本来であれば巻頭で触れるべき内容だと思いますが、あえて後段に回したものと想像します。

人々は一般に、私が本書で示したような希望に満ちた世界観を持っていないと考えてまちがいない。イギリス、オーストラリア、カナダ、アメリカの回答者の54パーセントは、今後100年でいまの生活様式が崩れる危険性は、50パーセント以上だと答えている。4分の1近くは、人類が絶滅する危険性が50パーセント以上だと述べている。(中略)

こうした想定は、しばしばメディアにより形成される。メディアは世界についてのある特定の見方を強調し、ドラマチックで驚くものばかりに注目する。そうした話はほぼまちがいなく戦争、殺人、自然災害といった悪いニュースだ。(中略)

多くのジャーナリストや編集者はこの傾向を知っている。アメリカの公共ラジオジャーナリストであるエリック・ワイナー曰く「正直いって、とんでもなく不幸な場所に暮らす、不幸な人々の話は人気が出るんです」。(p. 287)

たぶん、人は心配するようにできている。例外に関心がある。新しいこと、不思議なこと、予想外のことに気がつく。それが自然だ。通常の日常的な出来事は、いちいち説明して理解するまでもない。でも例外は理解する必要がある。(中略)

私たちが危険なものすべてにとても興味があるのは、それに興味を示さなかった人はとっくに死んでいるからだ。建物が火事なら、すぐにそれを知る必要がある。そしてその火事がテレビに映っているだけでも、多少は興味を惹く。幾重もの抽象化と感覚鈍化の下で、安全なソファにすわってテレビを見ているときでも、人の石器時代の脳が多少のストレスホルモンとアドレナリンを分泌するのだ。

スティーブン・ピンカーは、世界が実際よりひどいと思わせる心理的バイアスを3つ挙げている。(中略)

第3のバイアスは、人生がもっと単純でよかったされる黄金時代に対するノスタルジーだ。文化史家アーサー・ハーマンはこう洞察している。「過去も現在もほとんどあらゆる文化は、いまの男女は両親やご先祖の基準に達していないと信じている」。(中略)

私が人々に理想の時代について尋ね、世界史上で最も調和がとれて幸せだった時代はいつだと思うか尋ねると、驚くほど多くの人々は、自分が育った時代を挙げる。だからベビーブームの人々は、1950年代をなつかしがる。(p. 296)

現代に生きる人間にはそういったバイアスがあることを承知した上で、本題の内容をもう一か所引用します。「第4章 貧困」からの文章です。

なぜ貧困な人がいるのだろうか?
これは質問がまちがっている。
貧困についての説明は不要だ。というのもそれは万人の出発点だからだ。貧困は、富を創り出すまでの状態のことだ。最も豊かな国ですら、先祖たちの生活がいかに劣悪なものだったかを人々はつい忘れてしまう。フランスのような国で受け入れられていた貧困の定義はとても簡単だった。もう1日生き延びられるだけのパンを買えるなら、その人は貧困ではない。(中略)

アドリア海のぺスカラという、要塞と兵舎を持ち、特に貧しいというわけでもない町について、1564年に調査が行われている。それによると、町の世帯の4分の3は掘っ建て小屋に住んでいた。裕福なジェノアでは、貧民たちは冬ごとにガレー船の奴隷として自分を売った。パリでは最貧民たちは対になって鎖でつながれ、排水溝を掃除するというつらい仕事をやらされた。イギリスでは、貧困者は救済を受けるために作業小屋で働かざるを得ず、そこでは長時間労働をやらされ、ほとんど無賃だった。犬や馬や牛の骨を肥料用に砕く作業をやらされた人々もいるが、1845年に作業小屋の査察で、腹の減った貧民たちは腐りかけの骨をめぐって争い、その骨髄を吸い出そうとしていたことが示されている。(p. 95)

2018年7月4日水曜日

2018年バークシャー株主総会(10)チャーリー・マンガーの一刀両断

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バークシャー・ハサウェイ株主総会での質疑応答から、今回の話題は会計基準についてです。「会計に対する基本的な哲学」という意味で勉強になる文章ですが、チャーリー・マンガーが一言ですべてを片づける構図がおもしろいです。隣席のウォーレン・バフェットも、笑いがこぼれています。前回分の投稿はこちらです。(日本語は拙訳)

13. 収益勘定に事業価値を含めることは「とてつもなく偽装的である」

<ウォーレン・バフェット> 次はキャロルからお願いします。

<キャロル・ルーミス> ジャック・シゼルスキー氏という株主からの質問です。彼は会計の専門家として著名であり、「アカウンティング・オブザーバー」という業界誌を何年も前から執筆しています。

「今年の株主向けレターにおいてバフェット氏は、会計上の新規則が企業へ要求している要件、『保有投資資産に関する会計処理として時価(市場価格)方式を適用すること』に対して、次のような手厳しい見方を記しています。

『分析上の目的において、バークシャーの儲けは意味のないものになってしまう』と。[過去記事]

そのご意見に対して、私の見解を申し上げます。企業が収益を報告する際には、該当会計期間中に企業内外で生じたあらゆることに言及すべきではないでしょうか。

損益計算書においては、客観的に記述された新聞のようにあるべきではないでしょうか。株主価値を増加させるために経営陣が何をしたのか、また外部からの力がどのように影響する可能性があったのかを示しつつ、経営陣のもとで当該期間中に生じた事柄を株主へ周知させることで。

もし保有証券の価値が増加すれば、当然ながらその企業や株主の利益になるはずです。また証券の価値が減少すれば、反対に不利益となるはずです。

そういった変動は、ほぼまちがいなく現実のものです。つまり私の見解では、『リストラ関連の費用を素通りするようなやりかたで変動を無視する企業は、株主へ配布する新聞を検閲している』ことになります。

ですから、『私の発言に対して、どのようにお答えになりますか』というのが、私からの質問です」(笑)。

<ウォーレン・バフェット> 「質問の内容に対するわたしの答えがどうなるか」というご質問に対して、わたしからの次の質問が答えになります。「もしわたしたちが1,700億ドル分の市場価値になる企業各社を部分的に保有しており、それらは今後何十年間と保有し続けるつもりで、時間とともに価値が増していくことを期待し、当社の貸借対照表には市場価値ベースで反映されているとしましょう。そのとき、収益勘定を通じてそれらの増減を四半期ごとに計上するのは妥当でしょうか。その際には同時に、ほとんどの例でそうでしたが、保有した後にずっと大きな価値を持つようになった事業について、極端な例をあげるとガイコ社ですが、およそ5千万ドルで同社の半分を買いましたが、四半期ごとにその事業の価値増加分を収益勘定を通じて積み増したいものでしょうか」。

これは価値評価プロセスの問題になります。評価という意味では悪い点はありません。しかしそれは、純資産価値の増加あるいは減少と呼べるもので、クローズド・エンドあるいはオープン・エンドの投資信託がやっていることです。

しかし収益勘定を通じてそれを行う場合、もしわたしが60社から70社といった事業をみるとすれば、それらを四半期ごとに時価評価する際に、時間が経つにつれて購入時金額の10倍の価値に達した事業などが、当然ながら非常にたくさん存在することが考えられます。しかし四半期ごとの増加分を収益勘定に計上したとしても、投資家のうちの99パーセントの人は、1年間においてあげた経営成績という意味で、純利益の数字を意味あるものと受けとめるでしょう。ですから、それはとてつもなく偽装的なことだと思います。

つまり、[バークシャーの]今年の第1四半期の数字はさきほど見られたと思いますが、わたしからすれば営業利益と呼びたい数字は、過去最高の業績でした。一方、株式の評価額は60億ドル程度の下落でした。毎日の損得は収益勘定に記載するとなりますから、この金曜日にはおそらく25億ドルほど稼いだことになると言えます。もしも投資家や解説者やアナリストといった人たちに対して、「そのような純利益の数字をもとに行動せよ。四半期ごとや将来の収益予測を細かい数字まで出すように」と要求するのだとしたら、先ほどの数字を収益勘定に含めること自体が、多大なる害を及ぼすと思います。

貸借対照表上に投資有価証券の項目があること自体は、市場価値という情報を示すわけですから、正しいことです。しかし保有する事業、たとえばBNSF鉄道の半分を売却した場合、もちろんそうするつもりはありませんが、その際に簿価以上の金額を受け取ったとしたら、その資金を有価証券へ替えることができますので、多額の儲けを一晩であげたかのようにみえるでしょう。あるいはそれを査定し、たとえば3か月ごとに評価額を増減させれば、あらゆる類の操作につながる恐れがあります。そのようなことは、平均的な投資家だけでなく、すべての投資家をすっかり混乱させてしまうだけです。

わたしならば、そのような形のデータを受け取りたいとは思いません。ですから、そのような出しかたもしたくないと考えています。

チャーリーはどうですか。

<チャーリー・マンガー> 私からすれば、差異が生じた理由を付記するのは当然ですが、今までどおり純資産の数値に反映させればいいだけです。

つまり質問者は、自分の稼業が何たるかをわかっていませんね(失笑そして拍手)。

そういう言い方をするつもりはなかったですが、ときにはうっかりしてしまうのですよ(笑)。

<ウォーレン> ときどき彼はそうやって、引導を渡すこともあります(笑)。

13. Putting business values in income account is “enormously deceptive”

WARREN BUFFETT: OK, Carol.

CAROL LOOMIS: … shareholder named Jack Ciesielski . He’s a well-known accounting expert, who for many years has written “The Accounting Observer .”

“Mr. Buffett, in this year’s shareholder letter you have harsh words for the new accounting rule that requires companies to use market value accounting for their investment holdings.

″‘For analytical purposes,’ you said, ‘Berkshire’s bottom-line will be useless.’

“I’d like to argue with you about that. Shouldn’t a company’s earnings report cite everything that happened to, and within, a company during an accounting period?

“Shouldn’t the income statement be like an objectively written newspaper informing shareholders of what happened under the management for that period, showing what management did to increase shareholder value and how outside forces may have affected the firm?

“If securities increased in value, surely the company and the shareholders are better off. And surely they’re worse off if securities decreased in value.

“Those changes are most certainly real. In my opinion, ignoring changes in the way that some companies ignore restructuring costs, is censoring the shareholders’ newspaper.

“So my question is, how would you answer what I say?” (Laughter)

WARREN BUFFETT: Well, my answer to the question that asks what my answer would be to what he said - the - I would ask Jack, if we’ve got $170 billion of partly-owned companies, which we intend to own for decades, and which we expect to become worth more money over time, and where we reflect the market value in our balance sheet, does it make sense to, every quarter, mark those up and down through the income account, when at the same time we own businesses that have become worth far more money, in most cases, and become, you know, since we bought - you name the company - take GEICO, an extreme case - we bought half the company for $50 million, roughly - do we want to be marking that up every quarter to the value - and having it run through the income account?

That becomes an appraisal process. There’s nothing wrong with doing that, in terms of evaluation. But in terms of - and you can call it gain in net asset value or loss in net asset value - that’s what a closed-end investment fund, or an open-investment fund would do.

But to run that through an income account - if I looked at our 60 or 70 businesses, or whatever number there might be, and every quarter we marked those to market, we would have, obviously, a great many, in certain cases, where over time we’d have them at 10 times what we paid, but how quarter-by-quarter we should mark those up and run it through the income account, where 99 percent of investors probably look at net income as being meaningful, in terms of what has been produced from operations during the year, I think would be - well, I can say it would be enormously deceptive.

I mean, in the first quarter of this year - you saw the figures earlier - where we had the best what I would call operating earnings in our history, and our securities went - were down six billion, or whatever it was, to keep running that through the income account every day you would say that we might have made on Friday, we probably made 2 1/2 billion dollars. Well, if you have investors and commentators and analysts and everybody else working off those net income numbers and trying to project earnings for quarters, and earnings for future years, to the penny, I think you’re doing a great disservice by running those through the income account.

I think it’s fine to have marketable securities on the balance sheet - the information available as to their market value - but we have businesses there - if we - we never would do it - but if we were to sell half, we’ll say, of the BNSF railroad, we would receive more than we carried - carried for them - we would turn - we could turn it into a marketable security and it would look like we made a ton of money overnight. Or if we were to appraise it, you know, appraise it every three months and write it up and down, A, it could lead to all kinds of manipulation, but B, and it would just lead to the average - to any investor - being totally confused.

I don’t want to receive data in that manner and therefore I don’t want to send it out in that manner.

Charlie?

CHARLIE MUNGER: Well, to me it’s obvious that the change in valuation should be noted, and it is and always has been - it goes right into the net worth figures.

So the questioner doesn’t understand his own profession. (Laughter and applause)

I’m not supposed to talk that way but it slips out once in a while. (Laughter)

WARREN BUFFETT: Sometimes he even gives it a push. (Laughter)