総合に関する2つ目の興味深い問題には、経済学におけるもっとも著名な2つの例にかかわっています。ひとつめがリカードの「交易における比較優位の原則」で、もうひとつがアダム・スミスの「ピン工場」です。もちろんどちらも、一人当たりの生産量を大幅に向上させる上で役立つものです。また、なんらかの形で適材適所を実践している点でも、それらは似通っています。しかしながら、この2つの例は甚だしく異なったものです。かたやピン工場は集権的な計画の極致であり、システム全体が一部の人によって計画されます。もう一方のリカードのほうは、交易を進めることで自然に生じる結果です。
総合することの味をしめるようになると、当然ながらすぐにこう考えるようになります。「この2つは相互作用しているだろうか」。もちろんしています。見事なものです。これも、現代の経済システムが持つ力をうみだす元となるものです。この種の相互作用を実際に経験したことがあります。バークシャーが保有していた貯蓄貸付組合が、ハリウッド・パーク競馬場の向かいにあるホテルへ貸付けしていた時のことです。しばらくしてそこの隣人が入れ替わり、ギャングやポン引きや麻薬の売人ばかりになりました。彼らは壁から銅製のパイプを引きはがして、麻薬をやるときに使っていました。ホテルの周りは銃を持ち歩く連中ばかりになって、だれも近寄らなくなりました。我々は2,3回競売にかけましたが、貸付金は無価値となってしまいました。このように、解決できない経済的な問題があったのです。そう、ミクロ経済的な問題です。
The second interesting problem with synthesis involves two of the most famous examples in the economics. Number one is Ricardo's principle of comparative advantage in trade, and the other is Adam Smith's pin factory. And both of these, of course, work to vastly increase economic output per person, and they're similar in that each somehow directs functions into the hands of people who are very good at doing the functions. Yet they're radically different examples in that one of them is the ultimate example of central planning, the pin factory, where the whole system was planned by somebody, while the other example, Ricardo's, happens automatically as a natural consequence of trade.
And, of course, once you get into the joys of synthesis, you immediately think. "Do these things interact?" Of course they interact. Beautifully. And that's one of the causes of the power of a modern economic system. I saw an example of that kind of interaction years ago. Berkshire had this former savings and loan company, and it had made this loan on a hotel right opposite the Hollywood Park Racetrack. In due time the neighborhood changed and it was full of gangs, pimps, and dope dealers. They tore copper pipe out of the wall for dope fixes, and there were people hanging around the hotel with guns, and nobody would come. We foreclosed on it two or three times, and the loan value went down to nothing. We seemed to have an insolvable economic problem - a microeconomic problem.
2013年10月10日木曜日
コワい隣人の話(チャーリー・マンガー)
チャーリー・マンガーによる講演『経済学の強みとあやまち』の16回目です。今回のチャーリーは問題を出しているわけではないのですが、オチの部分は次回にご紹介します。この問題がどのように解決されたのか、どうぞ想像してみてください。なお、前回分はこちらです。(日本語は拙訳)
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