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2014年7月10日木曜日

2014年バークシャー株主総会;獣毛でできた極めつけのシャツを着る

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2014年5月に開催されたバークシャー・ハサウェイの年次株主総会から、競争力の話題です。引用元トランスクリプトの場所は前回と同じで、こちらの過去記事です。(日本語は拙訳)

(質問39に対する回答の一部; 競争優位の話題)

<マンガー> 競争が激しいビジネスで、そこで闘っていけるだけの能力がないならば、他をあたるべきでしょう。私の場合、カルテック[カリフォルニア工科大学]で熱力学の教授になるのはやめよう、と即断したものです。そういう決断を何度もくだし、結局早々に残ったのはひとつかふたつだけでしたね!(笑)。

<バフェット> わたしも運動の分野では似たような経験をしましたよ(笑)。

CM: If it is a very competitive business, and requires competitive abilities you lack, you should look elsewhere. I immediately decided I wasn’t going to be thermodynamics professor at Caltech. I did that over and over and soon there were only one or two choices left! [laughter]

WB: I had similar experience in athletics. [laughter]

<質問41> GEICO[子会社の損保会社ガイコ]は最大の広告費をかけていますが、一方で低コスト体質を保っています。ガイコ(現在のシェアは10%)は19%のシェアを持つステート・ファーム社を追い越すでしょうか。

<バフェット> それはだれにもわからないと思います。当社は今年になってオールステート社を追い越しました。ステート・ファームはこの国で偉大な社歴を有する企業のひとつです。イリノイ州マーナ出身の農家の人が1920年ぐらいに始めました。同社のことを書いた本が出ていますね。うまい商売でしたが、ガイコのほうが良いビジネスモデルでした。ステート・ファームは巨大でした。一方のガイコは1926年に創業してから、今では10%に達しました。現時点での予測によれば、第1位になるのはちょうどわたしが100歳になる年です。わたしのほうは自分でなんとかするから、とガイコには言ってあります。顧客のことを非常に大切にしていけば、もっとシェアを伸ばせるでしょう。それに、リスクに応じて適切な値段をつけることもできます。[ガイコの会長]トニー・ナイスリーの仕事ぶりは、まさに世界殿堂入りですね。トニー以前の15年間は、市場シェアは2%周辺をうろうろしていましたが、1993年に彼が指揮をとってからはシェアが上昇し、今では10%強になりました。まだまだ続くと思います。ステート・ファームの純資産は600億から700億ドルです[同社は非公開企業]。住宅保険の商売は強力ですし、保険代理人の体制も強力で、たくさんの顧客が満足しています。ですから急にとはいきませんが、しかしやがてはそうなると思います。

<マンガー> ガイコはコストコと似てますね。すばらしい商品やサービスを、すばらしい値段で提供する。そのことを聖なる義務と受けとめています。そういう会社はずっと伸びていきますよ。

<バフェット> コストコに当てはまることはガイコにも当てはまります。当社の人間はあまり出入りしません。いったん仲間になると辞めないのです。他の保険会社から移ってきたマネージャーはほとんどいません。仕事のやりかたについて独自の考えを持っており、そして正しく実行しています。そのやりかたが成功することで、さらに強化されていきます。

<マンガー> コストコは実に信じがたい会社です。値段を下げつつもサービスは向上させようと、たくさんの人が精力的に取り組んでいます。これは人間の本性に反することです。獣毛でできた極めつけのシャツをじかに着るようなものです。しかし、彼らは実現しているわけですよ。

Q41: JG: GEICO. Largest advertising budget while maintain low cost. Will GEICO (now 10% share) overtake State Farm at 19% market share?

WB: No one knows answer. We passed Allstate this year. State Farm has one of great company histories in America. Farmer from Merna Illinois started it, started around 1920, there is a book about it. It was a better business model, GEICO though had an even better model. State Farm was huge, and now GEICO has taken us since 1926 to get to 10%. On current projections are that we will be #1 the same year I am 100. I tell GEICO that I will do my part. We will gain share as long as we take extremely good care of customer, and we can properly rate risk. Tony Nicely has done a job that belongs in the world hall of fame. 15 years prior to Tony taking over, market share had hovered at 2%. Since he took over in 1993, we have gained and now stand at +10%. It will keep going. State Farm has net worth of $60‐70bil, and a strong homeowners business, strong agency force and a lot of satisfied customers. It won’t come fast, but it will come.

CM: GEICO is like Costco. They feel a holy duty to have wonderful product and a wonderful price. Companies like that get ahead over time.

WB: What is true about Costco is also true about GEICO: our people don’t come and go. People come to us and they don’t leave us. We have very few managers from other insurance companies. They have their own idea about how to do it and do it right. It is reinforced by success too.

CM: Costco is unbelievable. It is against human nature of many entrepreneurial people to get price down and get service up, like wearing the ultimate hairshirt. But it works.

2014年6月26日木曜日

2014年バークシャー株主総会;バークシャー・モデルの強み

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2014年5月に開催されたバークシャー・ハサウェイの年次株主総会から、コングロマリット企業の話題です。引用元トランスクリプトの場所は、前回と同じようにこちらの過去記事をご参照ください。(日本語は拙訳)

<質問28:キャロル・ルーミス> バークシャー弱気派をさがしていましたが、無意味でしたね[今年の株主総会に出席してもらうつもりだった]。わたしはバークシャーを弱気には考えていませんが、一般にコングロマリットは特にいい商売というわけでもありません。その意味で後継者の方がうまくやれる確率は好ましくないように思いますが、どうでしょうか。

<バフェット> 異種混合のビジネスがずっと成功してきたように、実際にアメリカではこのモデルはうまく機能してきました。ダウ・ジョーンズ[工業平均銘柄]をひとつの実体とみれば、つまり100年以上にわたって構成が変化してきた企業群ととらえると、その指数が66から11,000まで上昇したことはうまいモデルであると暗示しています。ただしすべての会社がひとつの経営陣に率いられていないのは、そのとおりです。良いビジネスを一群として保有するのは良い考えです。リットン・インダストリーズ社やガルフ&ウェスタン社は、連続買収という考えをもとに築かれました。株式をPER20倍の値段で発行し、その資金で別の企業をPER10倍で買収したのです。チェーン・レターの仕組み[ネズミ講など]によって、おつむの弱い人たちを使役するやりかたですね。一方、わたしたちの事業計画は妥当だと考えています。分散された事業群を有し、資本構成も保守的です。資本主義とは資本を割り振るための体制です。当社の仕組みにおいては、税金の影響を受けずに資本を配分することができます。[得られた]資本を有効に活用できる場所へと振り向けられるわけです。そのような好状況にある人は他にはいません。たしかにそうだと思います。しかし株を吊り上げたいからではなく、事業という観点での原理原則に従うべきです。コングロマリットには株価吊上げの技を使ったり、連続買収・株式発行をやるところもありました。株式発行をくり返してチェーン・レター騒動を続けるならば、いつか終わりがやってきます。

<マンガー> コングロマリットのやりかたで失敗したことと我々では、違いがいくつかあります。買収したい企業がみつからなければ、保険事業のポートフォリオとして投資に回す別の案が選べます。それから、無理にでも買おうとは考えません。メロン兄弟は50-60年間にわたって非常にうまくやっていました。我々とよく似ていますね。我々はガルフ&ウェスタン社のような一般的なコングロマリットではなく、メロン兄弟の活躍が永続するようなものです。

<バフェット> やっと、いいことを言いましたね(笑)。

Q28: CL: You have been looking for bear, but that is silly. I'm not a bear on Berkshire. But conglomerates have not worked particularly well. But probabilities not favorable that successors will have it work well.

WB: Model has worked well for America actually, as disparate businesses have done well over time. Dow Jones as one entity, as a changing group of companies over a 100 year period. Seeing the index rise from 66 to 11,000 suggests it is good model, although agree that it is not all under one management team. Owning good business group is good idea. Litton Industries, and Gulf & Western, they were put together on idea of serial acquiring: issuing stock at 20x to buy businesses at 10x. It is an idea of fooling people to ride on a chain letter scheme. I think our business plan makes sense. Group of diversified businesses and conservatively capitalized. Capitalism is about allocation of capital. We have system where we can allocate capital without tax consequences. We can move the capital to where it can be usefully employed. No one else better situated, and it makes good sense, but must be applied with business principles instead of stock promotion principles. And some conglomerates were stock promotion techniques, and were serial acquirers and issuers of stock. If issuing stock continuously, chain letter game goes on, that does come to an end.

CM: There are a couple differences between us and the failures in the conglomerate model. We have an alternative when there are no companies to buy, as we have the insurance portfolio to invest. And we feel no compulsion to buy. Mellon Brothers did very, very well for 50‐60 years, they were a lot like us. We are not a standard conglomerate like Gulf & Western. It is as if Mellon brothers had gone on forever.

WB: Now you're talking. [laughter]


2014年6月16日月曜日

2014年バークシャー株主総会;低金利政策について

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2014年5月に開催されたバークシャー・ハサウェイの年次株主総会から、低金利政策の話題です。前回同様、引用元のトランスクリプトをご紹介した過去記事はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問者> 低金利[政策]によって住宅バブルが起きましたが、今回は債券バブルになるかもしれません。金利を上げることが必要だと感じていますか。

<バフェット> このような低金利がここまで長く続くとは、いったい誰に予想できたでしょう。ことがこれほどうまく進んでいるのは驚きです。今もなお、うまくいっています。わたしにも同じようにできたでしょうし、それで手柄を立てられたのに、と言いたいものです。とにかく、この件には驚いています。まるで非常に興味深い映画のようです。かつて見たことがない、終わりがどうなるかわからない映画です。危機当時とそれ以降のバーナンキはまさに英雄だったと思います。彼は非常に頭がよくて、ものごとを巧みに捌きました。2007年や2008年になってFRBの議事録が公開されましたが、それによればFRBの理事たちにはわかっていませんでした。これは興味をそそることです。どれだけ重大な事態なのか、彼らは理解していなかったようなのです。バーナンキは理事会による見解を統一できていませんでした。それでも彼は足を踏みだし、完璧と言える仕事をしました。しかし金利がずっとゼロ近くのままで規模を縮小しつつも[資産を]購入し続ければ、この映画がどのような結末をむかえるか、やがてだれもが知ることになります。

<マンガー> 日本では金利が20年間も低下し続けました。普通株も20年間下落しました。彼の国でそうなることを予想していた人はひとりもいません。おかしなことが起こったわけで、経済学者はこのことに困惑しています。ですから、バークシャーが買っている長期債はそれほど多額ではありません。

<バフェット> 当時の現金は王様でしたが、それは使ってこそのことでした。現金にしがみつく時期をみんなが間違えていたのです。その後、ゼロ金利[政策]は経済や資産価格に対して甚大な影響を及ぼしてきました。今現在の状況はバブルではありませんが、普通ではない状況ですね。

<マンガー> いや、わたしも君と同じで困惑していますね(笑)。

<バフェット> だからこそ、わたしたちはけっこううまくやってこられたのですよ(笑)。

Q27: Station 9. Toronto. Low rates have led to housing bubble, and potentially a bond bubble, do you see need for hike in rates?

WB: Who would have guessed rates this low for this long? I would say I am surprised at how well things are going. It is working well. I would like to say I would have done same thing and take credit. I was surprised. It is very interesting movie, we haven't seen before, and we don't know how it ends. I think Bernanke was a hero at time of crash and subsequently. Very smart man, he handled things very well. When minutes of Fed became available for 2007 and 2008, we saw that members of Fed were not getting it. It was fascinating. They didn't seem to understand how serious things were. He was not getting unanimous view from those around him. But he went ahead with them, and did masterful job. We will see how this movie plays out - if we keep rates close to zero for long time, and tapering but still buying.

CM: No one in Japan would have anticipated that rates could stay down for 20 years and common stocks would decline for 20 years. Strange things have happened, and it is confusing to economists. At Berkshire not many long term bonds are being bought.

WB: Cash was king, but only if you used it. People cling to cash at wrong times. Zero interest rates has had huge effect on economy and asset prices. This is not a bubble situation we are living in, but it is unusual.

CM: No, I'm as confused as you are. [laughter]

WB: That's why we get along so well. [laughter]

2014年6月4日水曜日

2014年バークシャー株主総会;相談すると、いろいろ出てくる

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2014年5月に開催されたバークシャー・ハサウェイの年次株主総会、質疑応答のメモから3件の話題です。以前ご紹介したメモから引用させて頂いています。(日本語は拙訳)

はじめは、留保利益や設備投資に関する(17番目の)質問に対して、ウォーレン・バフェットの回答で登場した話題です。

<バフェット> 現金とは酸素のようなものですね。時間のうちの99.9%はその存在に気づきませんが、なくなってみてはじめて気がつくものです。[バークシャーには]200億ドル超の資金があるので、賢く投資する方法をみつけていきます。ですが、資金を使わなければと気負うつもりはまったくありません。

Cash is like oxygen, you don't notice it 99.9% of the time, but when absent it is the only thing you notice. Above $20bil, we'll try to find ways to invest it intelligently. But we'll never feel the need to spend it.

99.9%という数字はおもしろいと思います。たとえば10年間は3650日強なので、そのうちの0.01%は4日間弱に相当します。株式市場では1-2週間で大幅に下落したことがあったので(1987年や2008年)、それと似たようなスケールです。資金全額を現金で保持するわけではないですが、わずかの期間のために残りの期間を(機会費用と比べながら)辛抱するというのは、精神的な強さが要求されますね。

次は質問その19からで、バークシャーの子会社の経営陣を信頼して統治している話題です。「相互信頼」を重視するチャーリーらしい発言で、我々日本人にはなじみやすい内容だと思います。

<マンガー> 世の中の他の標準とくらべると、我々は過度なまでに信頼しています。しかし、そのおかげで良い結果に結びついています。我々は信頼に足る人を選んできましたし、信頼に値する文化を育ててきた場所はうまく機能するものです。内部統制の度合いをはかる最近の会計基準は、害のほうが大きくなるでしょうね。

CM: By the standards of the rest of the world, we over‐trust, but are results are better because of it. We have selected people that we can trust. Places work better when they create culture of deserved trust. Modern accounting standards which measures internal controls - it will do more harm than good.

最後は質問その20からで、シーズ・キャンディーの買収に関する質疑に出てきた話題です。

<バフェット> [シーズの店舗が西海岸以外ではうまく広がらない話題につづいて]東部ではダーク・チョコ[普通の濃色のチョコ]が好まれますね。一方、西部はミルクチョコです。シーズのビジネスは非常にうまくやってきました。他の事業を買収する資金を稼いでくれましたし、ブランドの威力がどれほどすごいのか、目を開かせてくれました。シーズを買ったからこそ、コカ・コーラの投資で儲けられたと思っています。事業を保有して、実際に何ができてどんな可能性があるのか、わかったわけです。シーズを保有しなかったら、コークは保有していなかったかもしれません。

<マンガー> バークシャーにとってシーズ買収がもっとも寄与したのは、「無知を排除」できたことです。「無知排除」をうまくやれたのが事実でなかったとしたら、今頃我々の手には何もなかったでしょう。シーズを買ったときの我々は相当なおばかさんでしたが、シーズを買うほどにはわずかにまともだったのです。バークシャーにおいてもっともすばらしいことと言えば、さまざまな「無知」をなくしたことです。うれしいことに、まだいろいろと「無知」が残っていますがね。

<バフェット> わたしが彼に相談話をすると、それが出てくるわけですよ。(笑)

WB: In East they prefer dark chocolate, in West it is milk chocolate. We've done very well in See's, it has provided us with earnings to buy other businesses, but really it opened my eyes to the power of brands. We probably made the money in Coca‐Cola because we bought See's. We owned one and saw possibilities and what you can do. If we had not owned See's, we may have not have owned Coke.

CM: Main contribution to Berkshire was ignorance removal. If it weren't for fact that we weren't(*) were so good at removing ignorance, we'd be nothing today. We were pretty damn stupid when we bought See's ‐ just a little less stupid enough to buy it. The best thing about Berkshire is that we have removed a lot of ignorance. The nice thing is we still have a lot more ignorance left. [*: 原文が誤りと思われるため、訳者が修正した]

WB: That's what happens when I call on him. [laughter]

2014年5月24日土曜日

2014年バークシャー株主総会;経営者コンビについて

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2014年5月に開催されたバークシャー・ハサウェイの年次株主総会、質疑応答のメモから「経営者コンビ」の話題です。今回の文章も、以前にご紹介したメモから引用しています。(日本語は拙訳)

<質問13:ベッキー・クイック> 後継者の質問はよくあげられますが、チャーリーの後継者は検討されていますか。お二人のような力強いコンビは続くのでしょうか。

<バフェット> わたしにとってチャーリーは「炭坑のカナリア」をしてくれています[先鋒役の意]。チャーリーは先日90歳に達しましたが、どうやら中年期をうまく過ごしているようで、わたしにとっても励みとなっています(笑)。しかしご指摘されたことはわたしも気になっていました。チャーリーの代わりのことを話に出す人はいませんね。わたしのあとを継ぐCEOがだれであろうと、親密な仲間といっしょに仕事をするだろうと思っています。これは実にすばらしい経営方式ですよ。わたしたちがいっしょに働いたことで、バークシャーは成功できました。そのことに疑問の余地はありません(拍手)。[コカ・コーラの]ゴイズエッタとキーオのコンビや、キャップ・シティーズのトム・マーフィーとダン・バークもそうです。お互いの才能を補うものすごい二人が組んだことで、会社は大きく発展しました。これはすばらしい経営のしかたです。しかし他の人ではうまくやれないでしょう。わたしの後継者の代になって数年たっても、だれかと付き合いを持ったりパートナーとなる人がいないとしたら、それはきっとおどろくでしょうね。そういう人がいることで業績が発展しますし、分かちあう楽しさもひろがります。しかしチャーリーの後継者となると、だれも話題にあげませんね。

<チャーリー> この世の中に心配ごとはそれほどないですからね。90歳にもなれば、みんなもうすぐお迎えの時期です。

<バフェット> カナリアが話していますよ(笑)。

Q13: BQ: Successor question is common, but any discussion about a replacement for Charlie? Dynamic duo still?

WB: Charlie is my canary in the coal mine. Charlie recently turned 90, and I find it encouraging how he is handling middle age. [laughter] But now I'm getting sensitive ‐‐ you raised a point ‐‐ they never talk about replacing Charlie. I think likely that whoever replaces me as CEO will have someone they work with very closely, it is a great way to operate. Berkshire is better off because we worked together, there is no question. [clapping] I do think Goizueta & Keogh, Cap Cities Tom Murphy & Dan Burke, and company accomplished far more because of two incredible people with complimentary talents. It is great way to operate. You can't will it to somebody. If a few years after successor takes over, I'd be very surprised if there wasn't some relationship or partnership, it can enhance achievements and the fun they have. But no one has brought up successor to Charlie.

CM: I don't think the world has much to worry about. Most 90 year old men are gone soon enough.

WB: The canary has spoken. [laughter]

2014年5月14日水曜日

2014年バークシャー株主総会;資本コストについて

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2014年5月に開催されたバークシャー・ハサウェイの年次株主総会、質疑応答のメモの決定版と思われるものが出始めました。以下のリンク先がそれです。今回はそのメモから資本コストの話題を引用します。ただし前回ご紹介したメモの内容と照らし合わせた上で、訳文を適宜補正しています。(日本語は拙訳)

Notes from the 2014 Berkshire Hathaway Annual Meeting (著者:Peter Boodell氏他、掲載サイト:Scribd)

<質問8> 並外れたリターンをあげる能力によって経営陣の良しあしの度合いがわかると思いますが、会社の規模が大きすぎるともなれば、それはむずかしくなると思います。巨額の設備投資が必要な会社が[子会社として]新たに加わったことで、資本コストはどうなりましたか。

<バフェット> 規模の大きさが業績の足かせになるのは言うまでもありません。それが本当に足を引っ張るところまでわたしたちは進んで、そのことを確かめてみるつもりです。市場価値が3,000億ドルもの資本となると、以前と同じリターンはあげられません。たしかアルキメデスは十分に長いテコがあれば世界を動かせると言ってましたよね。わたしにもそのテコがあればと思います。さて2つの質問に答えますと、資本コストとは何かですが、わたしたちが2番目に優れていると考えるアイデアが生み出すものだと思います。そしていちばんのアイデアとは、それを超えるものを指します。どうやれば資本コストを決められるかは、過去に何度も議論されてきましたが...。

<マンガー> まともなものは、ひとつも聞いたことがないですね。

<バフェット> わたしたちにもわかりませんが、[投資先の企業が]わたしの良しとしない考えであっても賛成票を投じるつもりです。少しは例外があると思いますが[コカ・コーラ社の議決権行使を棄権した最近の話題に引っかけている]。長期的な観点で[資本効率を]まさに確かめるには、留保した資本1ドルが1ドル超の市場価値を生み出しているかをみればよいと思います。何十億ドルと投下したコスト以上に増えていけば、わたしたちはそのままつづけていきます。あるカナダの企業に30億ドル近くの資本を投下しましたが、きっと成功するでしょうし、当時は30億ドルでその投資をするのが最良の選択でした。ところで、CEOが実行したがっている案件に対して「それは資本コストを超えられません」とCFOが反対するような例は、一度も目にしたことがありません。一方わたしたちは事業を評価できると考えていますし、当社の資本の状況もわかっています。資本コストは重要な課題なので、継続的に見定めています。

<マンガー> 「資本コスト」という言いかたを我々はしませんね。ウォーレンの言うところの、つまり「投下した以上に市場価値を増やす」とする定義は、ビジネススクールでは決して教えないでしょう。「留保したものによって、いっそうの価値を生み出す」、これこそ最良の表現です。我々が正しく、連中がまちがっている。それだけですよ。

<バフェット> ほら、彼よりもわたしのほうがまともに見えるでしょう(笑)。(p.5)

Q8: Gregory Warren, Morningstar (GW): The measure of a good management is ability to generate outsized returns, but sheer size makes it hard. What is cost of capital now, with new capex‐heavy firms?

WB: There is no question that size is an anchor to performance. We intend to prove that up to the point it starts really biting. We can't have same returns on capital base, market cap of $300bil. Archimedes, didn't he say he could move the world if he had a long enough lever, and wish I had that lever. We'll answer two questions. Cost of capital is what can be produced by our second best idea. Our best idea has to exceed that. We've heard so many discussions on how to figure out the cost of capital…

CM: I've never heard an intelligent one.

WB: We don't know, I probably vote if I don't like it but some exceptions to that. The real test over time is that the capital we retain produces more than a dollar of market value over time. If we keep putting billions in, and adding more than their cost, we'll keep doing it. We are spending close to $3bil on a Canadian company, and we will be better off and that was best thing to do that day with that $3bil. I've never seen a CEO wanting to do a deal and a CFO say it didn't exceed cost of capital. We think we can evaluate businesses, we know our capital. We are constantly measuring that opportunity cost, it is an important subject.

CM: A phrase like "cost of capital" we just don't use it. Warren's definition of adding more in market value than we put in will never be taught in business school - the phrase to retain to create more value, is the best description. It's simple: we're right, and they are wrong.

WB: I look good compared to him, don't I? [laughter]

ウォーレンはさりげなく示していますが、この会話に登場するもうひとつの大切なことは、個人的には「テコ」だと感じました。

2014年5月8日木曜日

2014年バークシャー株主総会;自分の強みの見分け方

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2014年5月に開催されたバークシャー・ハサウェイの年次株主総会、質疑応答のメモがなかなか出揃いません。そのため、今回も軽めの話題を1件だけご紹介します。原文のメモはScribdにアップロードされていたものです。しかしこういう返答を延々と即興でやれるのも大した才能だと思います。(日本語は拙訳)

Berkshire Hathaway Annual Meeting Notes 2014 (著者:CanadianValue, 掲載サイト:Scribd)

<質問者> どうすれば「自分の土俵」がわかりますか。

<バフェット> いい質問ですね。自分のことを現実的にみていますし、ビジネス以外の世界でも当てはまると思います。

チャーリーとわたしはその境界線をそこそこ上手に見定めてきた、と思っています。わたし自身は、特に小売業界のときに外に出てしまったことがよくありました。バークシャーの株を売ることから[企業を買収して]経営権を買うことへと計画を変えたときに、土俵の外に出ていたのです。しかし最後にはなんとかうまくいきました。[少し前の質疑で、小売業界の企業を買収した話題が登場している]

一方、ブラムキン夫人[ミセスB]は[被買収の対価として]バークシャー株を選びませんでした。それをまちがいだったと考える人がいるかもしれませんが、そうではありません。彼女には自分が何を知らないのかがわかっていました。彼女がわかっていたのは不動産や小売りのことで、それでずっと昔からやってきたのです。

<マンガー> 自分の強みを知るのにそんなにかかるとは思いませんね。たとえば身長が160cm弱ならNBA[バスケットボール]は期待できないだろうし、95歳だったらハリウッド映画に出るロマンチックな主役は来ないだろうし、体重が140kgだったらボリショイ・バレエのダンサーもダメでしょうし...。

<バフェット> わたしのやりたいことを全部外しているじゃないですか。

<マンガー> いや、これはおバカさんの相手をするときに役に立つわけです。幸いなことに、そういう場面がたくさんありますから。(p.12)

Q: How does one figure out what one's circle of competence is?

WB: It is a good question. It is a question of being self-realistic, and that applies outside of business as well.

I think Charlie and I have been reasonably good at defining the perimeter of that limit. For myself, I have gone out of that area more often in retail than in other areas. I was outside my circle of competence when I decided to change my plan from selling shares of BRK to buying control, but that ended up working out.

Mrs. Blumkin didn't take BRK stock, which some people might consider a mistake, but it wasn't. She knew what she didn't know. She knew real estate and retail and that took her a long long way.

CM: I don't think it takes that much to figure out competence. If you're 5'2" you probably shouldn't count on the NBA, if you're 95 years old you probably shouldn't count on being the romantic lead in a Hollywood movie, if you're 300 pounds you shouldn't count on dancing in the Bolshoi ballet…

WB: You're ruling out all the things I want to do.

CM: I just knew that it would help to compete against idiots, and luckily there are a lot of them around.

2014年5月5日月曜日

2014年バークシャー・ハサウェイ株主総会;買えば買うほどお得です

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5月3日(土)にウォーレン・バフェットのバークシャー・ハサウェイが年次株主総会を開催しました。参加者数は38,000名を超えていると伝えられています。質疑応答のメモはいずれ献身的な方々によってアップロードされると思いますので、それを待って訳文付きでご紹介するつもりです。ひとまずは大手メディアが公開しているメモのリンク先を2つあげておきます。

Berkshire Hathaway's 2014 Shareholder Meeting (The New York Times)

Recap: The 2014 Berkshire Hathaway Annual Meeting (The Wall Street Journal)

今回は1件だけですが、NYTの文章から引用します。(日本語は拙訳)

ある株主の質問から派生して、バフェット氏とマンガー氏のどちらのほうが倹約家かという話題になった。

マンガー氏いわく、個人的な消費という点では相方のほうだとのこと。バフェット氏はこう付け加えた。「家が6軒も8軒もあったら、わたしの生活はひどくなりますよ」。

マンガー氏は[会場の]センチュリーリンク・センターに集った群衆を見渡して、こう断言した。「聴衆の中には同じように考える倹約家の姿がたくさんみえますね」。

しかしながらバフェット氏は集団にむかって、ここにいる間はお金を使うように促した。「買えば買うほど節約できますよ」、彼は声を立てて笑った。[各種子会社が出店を出したりして、株主向けに割引販売している]

A shareholder question leads to a question of who is more frugal, Mr. Buffett or Mr. Munger?

Mr. Munger says that on personal consumption, it's his counterpart. Mr. Buffett adds this: My life would be worse with 6 or 8 houses, says

Mr. Munger, peering into the CenturyLink Center crowd, declares that he sees a lot of like-minded frugal individuals in the audience.

That said, Mr. Buffett urges the gathering to spend while they're here. "The more you spend, the more you save at these prices," he chortles.

2013年6月22日土曜日

すぐれたビジネスを買収するときの値段(ウォーレン・バフェット)

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何度目かになりますが、2013年5月開催のバークシャー・ハサウェイ年次株主総会のトランスクリプトから引用します。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問46:LA在住の株主> ハインツに払うことになった金額は妥当だったのでしょうか。(後略)

<ウォーレン・バフェット> 払いすぎだとはいつも感じていますが、いいビジネスだとわかっていれば、口をつぐんで値段を呑むことにしています。これは数式であらわせるものではありません。過去にはもっと支払ってもよかったビジネスもありましたが、それでもよい判断だったと思います。一般的にいえば、著しく高い割合でずっと利益を上げられ、うまくいけば再投資して成長できる、そんな経済的特性を持ったよいビジネスを買う機会があってその判断に自信があれば、少しばかり背伸びしてもよいでしょう。チャーリーも同感だと思います。実際にそうだったのがシーズ・キャンディーで、自分が考えていたより5%多く支払いました。チャーリーはこう言いましたよ、「これはおどろいたね、ウォーレンが小切手を切るとは」。わたしたちはいつも高すぎると感じているのです。

<チャーリー・マンガー> ほとんどいつもそうですね。最近の値段は安くないですよ。

<ウォーレン> しかしみなさんは市場を相手にしているのでしたね。相対でビジネスを買うとなると、相手は絶対と言っていいほどしっかり準備をしています。一方株式市場では、瞬間的な暴落(フラッシュ・クラッシュ)という、現実のビジネスの世界では得られない機会が訪れてくれます。わたしたちの一番の望みは、買ったビジネスを保有しつづけることです。続々と現金が入ってくるときには特に、末永く成果を享受できるビジネスに資金を投下したいものです。

<チャーリー> 我々はもはや昔とは違うやりかたをしています。昔のままだったら、こんなにうまくやれなかったですね。このゲームで勝ちをおさめたいのであれば、学びつづけることです。

<ウォーレン> ぜひ勝ちたいですね。

Q46, Station 4. Shreveport, LA. How did you tell Heinz was fair price? What sources on changes in industries?

WB: We usually feel we are paying too much. We then gag and get there on price if we find the business good. There is no mathematical formula. Looking back, we could have paid significantly more money for some businesses and still would have been a good decision. In general, if get a chance to buy a good business that you have a high degree of certainty has economic characteristics that they will earn unusually high rates over time, or, better yet, can reinvest to grow, you should probably stretch a little. Charlie or I will say let's do it. It happened with See's Candies. We were paying 5% more than I wanted and Charlie said, “For god's sakes Warren write the check!” We always think it is too expensive.

CM: It almost always happens. Modern prices aren't cheap.

WB: But you will see it in the market. Negotiated purchase of business - you are almost always dealing with person who is prepared. In stock markets you get flash crashes. You will see opportunities in stock market that you will never get in business market. What we really like is buying businesses to hold. Particularly when you've got cash coming in, you want to deploy in businesses you can enjoy forever.

CM: We are in different mode now. If we kept to our original mode, we wouldn't have done very well. It is a game of learning, if you want to win.

WB: We want to win.

2013年6月8日土曜日

株式を判断するのに使う指標(ウォーレン・バフェット)

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2013年5月開催のバークシャー・ハサウェイ年次株主総会のトランスクリプトから引用します。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問37:シアトル在住の株主> 株式を判断するのに、どのような定量的指標を使っていますか。

<ウォーレン・バフェット> われわれは株式という切り口ではなく、つねにビジネスを買うという観点でみています。バスケットボールのコーチなら身長が7フィート[≒213cm]以上の選手をさがすように、事業に応じてちがう数字で判断しています。ただしわれわれには深く考察できないものもありますし、わからないことがあるのも承知しています。ときには、それによって考え直すこともあります。バンク・オブ・アメリカの件では、風呂に入っていたこと自体は重要ではありませんでした[案件をひらめいたときの場所]。同行について書かれた本"Biography of a Bank"を50年ほど前に読んだのですが、すばらしい内容でしたよ。保険業界をみるときとイスカル[買収した切削工具メーカー]とでは違った観点で考えますし、ブランドがものをいう業界となれば、また別の見方になります。コークのようにうまくいくブランドもあれば、そうでないものもありますね。風呂に浸かっているときにバンカメはいい投資かもしれないと思いあたり、電話をかけたのです。そのときは、PERやPBRを厳密に計算したわけではありません。会社が5年後にどうなっているかを考え、価格と現在価値がかい離していると思ったのです。

<チャーリー・マンガー> 何かの指標にもとづいて株を買うやり方はよくわかりませんね。知りたいのは、ある企業が実のところどのように機能しているかです。ウォーレンはコンピュータを使ってスクリーニングしていますか。

<ウォーレン> いいえ、どうやるのか知らないのですよ。ただしスクリーニングは使っていませんが、別の意味であらゆるものをふるいにかけています。だれかが提示してくれたかのように、あらゆるものについて考えるようにしているわけです。5年,10年後にどうなっているか、どこまでそれを確信できるか、そして価格にどれだけ織りこまれているか、ということをです。われわれでは答えがだせなかったり、未来がうまく見通せないと感じるビジネスも数多くあります。自動車業界をみてきて50年になりますが、あれは非常におもしろいビジネスですね。

<チャーリー> 10年後のBNSF[買収した鉄道会社]は競争優位を手にしているでしょうが、アップルや石油会社がどうなるかは我々には判断できないですね。

数学の得意な人は、数字を追いかけることで答えを見つけられると考えがちです。やるべきことは競争する上での企業の立ち位置を理解することで、そんなに簡単ではないですよ。必要なのはビジネスを知ることで、数学ではありません。

<ウォーレン> ベン・グレアムから教わったやりかたとはちがいますね。数字だけをみることになっていたら資金をうまく運用できていたか、なんともいえません。

<チャーリー> きっとお粗末な結果だったでしょうな(笑)。

Q37, Station 1: Seattle. Which quantitative metrics to judge a stock?

WB: We aren't looking at the aspects of stocks, but always are buying a business. If you were a basketball coach, you can look for all seven-footers. We look at different numbers for different businesses. We see certain things that shut out to us to look further. We also know what we can't know. Often we have a fact that slips back in which causes us to change our mind. The bathtub wasn't the central factor for Bank of America. I read a book 50 years ago, Biography of a Bank, a great book. We have certain things we look for in insurance. We have things that we think about which is different when we think about Iscar. There are things we think about when dependent on brands. Some brands travel well, like Coke, some don't. In the bath, I thought Bank of America might be good idea, so I gave him a call. It is not because I calculated some precise PE or book value ratio. I have some idea of what company will look like in 5 years, and there is a disparity between that price and today's value.

CM: We don't know how to buy a stock based on ratios. We need to know how a company actually functions. Do you use a computer to screen anything?

WB: No I don't know how to. We don't really use screens but we are really screening everything. We look at it just as if someone offered us the whole thing, and what will it look like in five to ten years, and how sure of it we are and if it is in the price. There are a lot of businesses that we just don't know the answers to and feel that we can't foresee the future well enough. We have watched the auto business for 50 yrs. It is a very interesting business.

CM: BNSF will have a competitive advantage in 10 yrs. We don't know that about Apple or an oil company.

CM: People who are good at math look for numbers and think they can find an answer. You need to understand a company's competitive position, but it isn't that easy. It isn't math, you need to need to know the business.

WB: Not what I learned at Ben Graham. Not sure whether I would know how to manage money if I just had to look at the numbers.

CM: You would do it poorly. [laughter]

蛇足になりますが、ある石油会社が気になったことをきっかけに、石油業界を勉強しつづけています。今回引用したチャーリーの指摘は耳が痛いです。

蛇足その2です。昨日7日(金)は手持ちの日本株がそれなりの水準まで下落したため、わずかな金額ですが、売却してきた株を買い戻したり、買い増しをしました。割安と判断した指標はPERとPBRです。チャーリーの教えにことごとく背いているようで、微妙な思いがあります。

2013年5月29日水曜日

隣人のロバをむさぼってはならない(ウォーレン・バフェット)

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少し前の投稿でご紹介した2013年5月開催のバークシャー・ハサウェイ年次株主総会のトランスクリプトから、ふたたび引用します。バークシャーが営む保険業の話題ですが、本質はそこにとどまっていません。(日本語は拙訳)

<質問32:ベッキー・クイック> 保険業では非常に大きな金額を扱っていますが、合理的な料率が設定できるのはなぜですか。

<ウォーレン・バフェット> 合理的にやるという点で、バークシャーは並はずれています。当社にはずっと以前から支配株主がいたので、やりたくないことを強いる外部の株主がいませんでした。ですから、保険料収入を増やすように圧力をかけられることがありません。保険料率が悲惨だったころには、実際にナショナル・インデムニティー[バークシャーの損保子会社]では事業規模を8割縮小しました。そこまでできる公開企業はほとんどないと思います。バカなことをすればそれはわたしたち自身のせいであり、外部からの要因は何も関係していません。事業を進めるうえで、このやりかたはすばらしいものですよ。ただし他人がウォール街から称賛されているときに、このようなやりかたをとるのは難しいかもしれません。しかし、わたしたちには保険ビジネスでバカなことをする理由はありません。当社は巨大自然災害に関する損害保険の主要な引き受け手で、こちらがマーケットから立ち去ったことはありませんが、マーケットのほうが立ち去ることはありました。ですが、確率的にみたら1ドルを失う場合に90セントを受けとるようなことはしません。

<チャーリ・マンガー> よそだと我々が望まないような圧力がかかっていますが、我々にはそういう人がいないのですね。事業を8割縮小するというのは非常にむずかしいことですよ。人がいるのに仕事がないとくれば、なおさらでしょう。

<ウォーレン> インターネット株のときはわたしたちの同業者さんが成功していましたが、彼らは高いIQの持ち主でした。しばらくはうまくいっていましたが、非常に危険な時期だったと思います。当初は疑いの目でみられていたものの、同業者さんのほうはどんどん儲かっていきました。しかしそういったことをしろという圧力は、わたしたちにはかかってきません。ですから、他の人たちよりも賢いとは思いませんが、自分たちがよくわからないものには手を出さないことにしています。そして、他人がうまくやっているからといって妬まない。それですべてです。

<チャーリー> 私は常々、そのことが聖書に書かれているのは理由あってのことだと言ってきました。「隣人のロバをむさぼってはならない」。妬みというのはずっと昔から、災いを起こす原因になっていたのです。何の楽しみももたらさない罪はこれだけですよ。

<ウォーレン> 欲望は心にあり。ところでクリフさん[出席している業界アナリスト]、何かありますか。(笑)

Q32, Becky Quick: Why pricing so rational in insurance when so large?

WB: Berkshire is an unusually rational place. We have had a long run. We have a controlling shareholder. There is no outside shareholder pushing us in direction we didn't want to go. There is no pressure for increasing premium volume. We actually contracted the business, at National Indemnity, by 80%, when we thought pricing worse. Most public companies couldn't do that. If we did something stupid, it is because we did something stupid. No external factors are pressing on us. That is great way to operate. It can be hard when others are getting applauded by Wall Street. There is no reason for us to do anything stupid in insurance. We were major writers of natural catastrophe insurance. We haven't left market, market left us. We won't get paid 90c to get probabilistic loss of $1.

CM: There are pressures on other people that we don't want and therefore don't have. It is very difficult to shrink a business by 80% -- especially when people come in and have nothing to do.

WB: Like in internet stocks, and neighbors having success and they have high IQ's. It works for a while, that is great danger period. It starts as skepticism, but neighbor gets richer. We don't have any pressures to do that sort of thing. We don't think we are smarter than others, we just won't do stuff we don't understand. And we won't be jealous when others do well. That is what it is all about.

CM: I always say there is a reason why that stuff is in the Bible. Can't covet your neighbor's ass. They were having trouble with envy a long time ago. It is the one sin there is no fun.

WB: Lust has its place, but Cliff you're up? [laughter]

妬みについては、チャーリーはいくたびも嗜めています(過去記事の例)。それでは、どうすれば妬みから解放されるかとなれば、「そもそも近づかない」という単純な答えも示しています(過去記事)。

2013年5月21日火曜日

バークシャーがいるニッチの世界(ウォーレン・バフェット)

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少し前にも取り上げましたが(過去記事)、2013年5月開催のバークシャー・ハサウェイ年次株主総会のトランスクリプトがあちこちで公開されているようです。以下のノートからお借りして、個人的に印象に残った質疑応答を何点かご紹介していきます。

Berkshire Hathaway Annual Meeting 2013 (PDFファイル) (csinvesting)

<質問17: ダグ・カース> ウォーレン、いいですか!

<ウォーレン・バフェット> ダグさん、いいですよ!!

<ダグ> あなたの投資した対象があげるリターンは、あなたご自身の評判に帰するところが大きいと思いますが、後継の方に代わるとどうなるものでしょうか。

<ウォーレン> わたしの後を継ぐ人は、市場で問題が生じた際にわたしより多額の資金を扱っていると思います。そういうときに資金が残っている人はほとんどいませんし、その資金を投じようとする人はさらに稀です。そんな動乱のときに資本を有しているというのは並大抵ではなく、多額の資金を以って二つ返事で応じられるというのは、際立った存在なのです。わたしの後継者も、よそからお願いされたら喜んで資金を投じると思いますよ。バークシャーというのは、市場がパニックになった時に電話をもらう会社です。2008年には何度かありましたし、2011年にも一度ありました。これはバークシャーの主要業務ではないのですが、ダウ平均が数日間のうちに1,000ポイントでも下落したときには、きっとご連絡いただけると思います。わたしがいなくなった後でも同じことをやれば、バークシャーの評判はもっと強固になるでしょう。「バークシャー」ブランドはいっそう高まるはずです。

<チャーリー・マンガー> 初期のころのウォーレンは、競争が少なかったので大成功をおさめられました。その後、競争は激しくなりましたが、現在の我々は巨大なビジネスへ資金を提供するというニッチの世界にいます。彼らは他人からコントロールされたくないので、そうするのですね。この世界ではあまり競争がありません。ですから過去と同じ場所にとどまるべきだったとするのは、不合理な考えです。よそには連絡がいってないのですから。

<ウォーレン> 他のところは、資金がない上にすぐに動こうとも考えていなかったのですね。この領域はわれわれにぴったりです。わたしが去った後でも、そういった特質はバークシャーに残り続けるでしょう。

<チャーリー> それこそ私の望むところですね。

Q17, Doug Kass: [assertively] Warren, …

WB: [assertively] Doug, …

Q17, cont: Much of your returns from your investments have been premised on your reputation, what about successor?

WB: My successor will have more capital than me when markets are in distress. At those times few people have capital and even fewer have willingness to commit. It is unusual to have capital at times of turbulence, when ability to say yes quickly with large sums sets you apart. I would not worry about that successor being willing to deploy and being called upon. Berkshire is the 1-800- number when there are panics in markets. It happened a couple times in 2008 and once in 2011. Not our main business, but if Dow falling down a 1000 points for a few days, they will call Berkshire. Our reputation will become even more solidified, when Berkshire does it when I'm not around. It becomes even more the Berkshire brand.

CM: In the early days, Warren had huge success because competition was small. Then competition was more intense. Now we are in in the niche of offering capital to big businesses who don't want to be controlled by somebody else - and this is less competitive. It is ridiculous to think the past was a place we should have stayed. The other people are not getting calls.

WB: They don't have money and are not willing to act immediately. This area is very much our own. These qualities will remain with Berkshire after I'm gone.

CM: That is what I like about it.

昨年の総会でも、本質的に同じ話題が登場していました(過去記事)。チャーリーやウォーレンが繰り返して話してくれるこの話題は、「大切なこと」だけれど「なかなか身につかないこと」ととらえています。

2013年5月6日月曜日

アマチュア投資家の問題点(ウォーレン・バフェット)

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バークシャー・ハサウェイの今年の年次株主総会は、先週の5月4日(土)でした。質疑応答のトランスクリプトがいずれ公開されると思いますが、ダイジェスト的な記事はたとえばThe New York Timesの経済ニュースサイトDealBookなどに掲載されています。今回は同記事から、ウォーレン・バフェットとチャーリー・マンガーの回答のうち、個人的にもっとも印象に残った2つをご紹介します。(日本語は拙訳)

Berkshire Hathaway's 2013 Shareholder Meeting (DealBook - The New York Times)

まずはウォーレンです。
午後3時17分の質疑応答 「インデックスに打ち勝つには」

ある投資家の質問「アメリカで最高の企業20社の株を買えば、インデックスファンドに投資するよりもよい成績をあげられますか」。

バフェット氏「たぶん同じぐらいの結果になると思います」。彼はもっと大きな観点に立つ話へと進んだ。「プロの投資家がいる一方で、アマチュアで投資をしている人もいます。プロであるためには多大な労力や調査が要求されます。ふつうのアマではそんなに時間はとれないか、やろうという気もおきないものです」。

バフェット氏「ほとんどの人にとって大きな問題なのは、プロであることが要求されるゲームにおいてそれほど時間を費やしていないのに、プロのように振る舞おうとしていることです」。

3:17 P.M.Trying to Beat the Index

A shareholders asks if buying shares in the 20 best companies in the United States would be better than investing in an index fund.

Mr. Buffett replies that the results would probably be similar. Then he launches into a bigger point: there are professional investors, and then there are amateurs who invest. Being the former requires a lot of work and research, which many, many amateurs don't have the time or inclination to do.

The main problem for most people, he says, is "trying to behave like a professional when you aren't spending the time in the game needed to be a professional."

つぎにチャーリーです。あいかわらずのユーモアです。
午前11時52分の質疑応答 「バークシャーとは」

Fortune誌のルーミス女史が、聴衆の株主の代理で質問した。「13歳の娘に対して、バークシャーとその中核をなす価値観をどのように説明すればよいでしょうか」。

バフェット氏がシーズ・キャンディーのファッジをつまんでいるかたわらで、マンガー氏が話しだした。「他の人たちがばかげたことをしているときでも、我々は分別を持ちつづけるようにしてきました。これはひとつの競争優位ですね」。さらにこう付け加えた。「子会社にとっては良き世話役であり、同時に良きパートナーであるよう心がけています」。

「非常にうまいやりかたでした」、彼はユーモアをこめて言った。「これが狙ってできていたらなあ、と思いますよ」。

11:52 A.M.Defining Berkshire

Ms. Loomis of Fortune asks a question on behalf of a shareholder in the audience: How would you explain Berkshire and its value premise to the investor's 13-year-old daughter?

Mr. Munger takes first crack as Mr. Buffett helps himself to some See's Candy fudge: "We like to stay sane while others go crazy. That's a competitive advantage." He also notes that the company tries to be a good steward to its subsidiaries and a good partner.

"This was a very good idea," he says drolly. "I wish we'd done it on purpose."

2012年5月25日金曜日

金融史を読みましょう(ウォーレン・バフェット)

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今回も、バークシャー・ハサウェイの年次株主総会での質疑応答からです(前回分はこちらです)。あやまちをできるだけ減らすにはどうしたらよいかという質問に対して、チャーリー・マンガーはおなじみの「他人の過ちから学ぶこと」と答えています(過去記事)。それを受けて、ウォーレン・バフェットは次のように発言しています。

金融に関する歴史を読むようにしています。混乱の時期のことは好んで読んでいました。そのおかげで、数学を得意とする人[金融エンジニアなどの専門家]たちよりも優位に立てたと思います。彼らは人間というものを理解していないのですね。わたしどもは他人の過ちから学ぶよう心がけていますが、いろいろ役に立っています。

WB: Reading financial history. I’ve always been absorbed at reading about disasters. This gave us advantage over others with a lot of math. They didn’t understand other humans. We have been a student of other’s folly, and it has served us well.

個人的には、お金のことも歴史もどちらも興味があるので、この手の本はよく読んでいます。得た知識をうまく活かせていないあたりは、まだまだですが。けっこう前に読んだ本では、キンドルバーガーやピーター・バーンスタインが楽しめました。『熱狂、恐慌、崩壊―金融恐慌の歴史』『経済大国興亡史 1500-1990』(原書評価は五つ星)、『リスク―神々への反逆』といったあたりは印象に残っています。

2012年5月22日火曜日

パニックのどん底で(チャーリー・マンガー)

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少し前の投稿の続きで、バークシャー・ハサウェイの年次株主総会での質疑応答から引用します。まずはウォーレン・バフェットがマクロの捉え方を語りますが、途中でチャーリー・マンガーが投資のタイミングについてさらっと発言しています。

<質問者> よっぱらい相手のこの市場ですので、市場全体に関わる問題を警戒して取引を控えるようなことがありますか。

<バフェット> 意外に思われるかもしれませんが、チャーリーとマクロの話題をするときは、ビジネスを売り買いする話はしないのです。ビジネスを買うのは、よくわかっているビジネスがみつかって、気に入ったときですね。世の中にはよいニュースも悪いニュースもありますが、そのときのムードとかも関係しています。そういうのは世の常だと思います。わたしが初めて株を買った頃を思い出すと、1942年の6月ですね、ミッドウェー海戦で[日本に]負けるだろうと思われていた頃です。敗戦が続き、次々と軍艦を建造していたので、年上の友人たちは街を去っていきました。2008年の10月に寄稿した例の文章[Buy American]はもう少しあとのほうがよかったですが、当時も株は十分安かったのです。

<マンガー> パニックのどん底になったときに使えるように、我々は流動性を確保しておいたのですよ。

<バフェット> そこそこ十分な金額でしたね。つまり忘れてはならないのは、明日も市場に参加できるように備えておくことです。チャーリーはデイリー・ジャーナルという小さな会社の経営者ですが、2008年になって彼は会社の余剰資金を使っていくつかの会社の株を買いました。お金は寝かせておくのではなく、使う時期だったからです。

<マンガー> こほん(咳払い)。

<バフェット> チャーリー、どこの会社の株だったのですか。ああ、そういえば彼に聞いても何も出てこないのでしたね(笑)。

Q20 - Cliff Gallant: In this drunken market, have systemic fears ever made you pause?

WB: You’ll probably find this interesting. CM and I have never had a discussion on buying or selling a business where we have talked about macro affairs. If we find a business we understand and we like it we buy it. There will always be good and bad news, it depends on moods, etc. There is a ton of that. I bought my first stock in June of 1942. We were losing the war, Battle of Midway. My older friends had disappeared, we were building battleships and we were losing. In Oct 2008 I wrote that article, should have been a few months later, but stocks were cheap.

CM: We kept liquid reserves at bottom of panic that could have been spent.

WB: A fair amount of liquid reserves. First rule is to be able to play tomorrow. Charlie runs a little company called the Daily Journal, and when 2008 came along, he bought a few stocks, that was the time to use the money not sit on it.

CM: [Cough]

WB: Was that the name of a stock Charlie? You don’t get anything out of him. [laughter]

ちなみに、デイリー・ジャーナルが投資した企業の一つは、ウェルズ・ファーゴ(WFC)ではないかと噂されています。JPモルガン・チェースがこけている今、アメリカで最良とみなされている銀行です。

余談ですが、2009年の春に同社の株価が10ドル以下に下がったので「そろそろWFCの勉強でもして、少し投資してみるか」と考えたことがありました。しかし、のんきにかまえていたせいで、あっというまに20ドル強まで値を戻してしまい、結局は買えずじまいでした。チャーリーは「備えよ、常に」と説いています。そういう反省もあり、自分の興味から外れた企業のことも勉強したいと感じるようになりました(過去記事)。

2012年5月13日日曜日

べろんべろんの酔っぱらい(ウォーレン・バフェット)

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前回に続いて、バークシャーの年次株主総会での質疑応答からご紹介します。おなじみのミスター・マーケットが新しい横顔で登場します。さりげない一言ですが重要な示唆と思える箇所があったので、赤字で強調しました。文末のチャーリー・マンガーの発言もあいかわらず素晴らしいです。引用元はScribdのSheerazRaza氏のものです。(日本語は拙訳)

<質問者>
ここにきている95%の人がバークシャーの株価は割安だと考えていると思いますが、どうお考えですか。

<バフェット>
[バークシャーを率いてから]45年以上になりますが、株が大幅に割安になったことが何度かありました。ほんの短い間ですが、半値になったこともあります。トム・マーフィーは、かつてもっとも成功した会社[GM]を経営していましたが、1970年代の初期の時価総額は同社の資産の1/3までになっていました。2001年のバークシャーの株価もかなり低かったですね。株式のいいところは、ときに信じられないような値段で取引されることです。そのおかげで、わたしどもはお金持ちになれました。ベン・グレアムの『証券分析』の第8章と第20章、それだけ読めば十分です。株式市場ではミスター・マーケットが相手をしてくれていると考えてください。ただし、売り買いの相手はしてくれますが、助言はしてくれません。というのも、彼はべろんべろんの酔っぱらいなのです。ですから、毎日提示してくる値段の中にはまちがいもたくさんあります。ときには彼の願いをかなえてやってください。つまるところ、株式市場というところは株にまちがった値段がつくようにできているわけです。バークシャー株はこの40年間以上、たいていの会社よりも本源的な価値に近い値段で取引されてきました。株価の変動も少なかったものです。バークシャー株は今後も割高になったり、割安になったりするでしょうが、いつどうなるのかはわたしにはわかりません。大切なのは、ビジネスの価値に基づいて買うかどうかを決めることです。自分が評価できるビジネスだけに目を向けていれば、株式では成功できます。何もしないでいてもお金を稼げるのですから、このすばらしいゲームができる株式市場は、なんともありがたいところですね。正体をなくすまで飲みすぎた人のような行動をとらなければ、ルールも自分に有利なものばかりです。

<マンガー>
我々は売るためにではなく、ずっと保有し続けるためにビジネスを買ってきました。これこそ、まさに前向きな生き方ですよ。さあ急いで、みなさんも我々と同じようにすれば、いい人生が待ってますから(笑)。

Q19 - Carol Loomis: Buffett Rule, he suspects 95% of people in arena believe stock undervalued. If not undervalued by Buffett rule, then why?

WB: Over 45 years, there have been several times when stock significantly undervalued, and at times it cut in half over fairly short time frames. Tom Murphy ran one of most successful companies ever, in early 1970s selling for 1/3rd the price of selling the properties. Berkshire in 2001 was selling at a very low price. The beauty of stocks is that they sell at silly prices from time to time. That is how we got rich. Chapter 8 and Chapter 20 in Security Analysis is all you need. In the stock market you have partner named Mr. Market, and he is a psychotic drunk, and he is there to serve you not to advise you. There are thousands of prices - and he is making lots of mistakes every day. Occasionally you have to oblige him. So it is built into the system that stocks get mispriced. Generally speaking Berkshire has come close to selling at intrinsic more than most companies over 40 years. Our stock fluctuates somewhat less than most. Berkshire will be significantly overvalued and sometimes undervalued. I don’t know in which order and times. But make decisions based on what business worth. Stick with businesses that you can value, you will do well in stocks. Stock market is most obliging place to make money because you don’t have to do anything. It is a marvelous game and rules stacked in your favor as long as you don’t start behaving like drunken psychotic.

CM: We bought businesses to hold instead of resell. It is an enormously constructive life. The faster you can work yourself into our position the better you’ll be. [laughter]

2012年5月4日金曜日

競争優位性をさぐる例(ウォーレン・バフェット)

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いよいよ明日5/5(土)はウッドストック音楽祭ならぬ、バークシャー・ハサウェイの年次株主総会です。最近では、質疑応答の様子があっというまにトランスクリプトに起こされてインターネットに公開されるので、ありがたく読んでいます。とはいっても株主のはしくれとして、いつかはオマハ詣でをしたいと考えてはいるのですが、もたもたしていると時間切れになってしまうかもしれません。

今回は昨年の年次総会の質疑応答から、ウォーレンがMoat(経済的な堀、転じて長続きする競争優位性)を探るくだりについてご紹介します。ファンドマネージャーでもあるiluvbabyb女史が作成したトランスクリプトから引用させて頂きました。(日本語は拙訳)

デイヴィッド・ソコルがバフェットにルーブリゾールへ投資したらどうかと紹介したとき、バフェットは皆目見当もつかないビジネスだと答えた。[同社製品の]潤滑油添加剤のことは化学的な観点では理解できないだろうが、それは必須というほどではない。重要なのは業界における経済的な力関係を理解することだ。競争力の点でMoatがあるか。業界には容易に他社が参入できるのか。バフェットは、石油のことはチャーリーのほうがうまく判断できるから彼にきいてみる、とソコルに答えた。数日後にチャーリーと話したが、彼もそのビジネスのことはわかっていないと返事をした。

When David Sokol mentioned Lubrizol to Buffett as an investment idea, Buffett said it struck him as a business he didn't know anything about initially. He said he would never understand the chemistry of petroleum additives, but that's not necessarily vital. What is important is that he understands the economic dynamics of the industry. Is there a competitive moat? Is there ease of entry into the industry? Buffett suggested to Sokol that he contact Charlie with the idea since Charlie is a lot smarter about oil than Buffett felt he was. When Buffett talked to Charlie a few days later, Charlie said he didn’t understand the business either.

その後、ウォーレンはルーブリゾールの経営陣と話をして、「Moatがある」と判断しています。
「かれらは特許を山ほど保有していますが、それ以上なのが顧客と密な関係を保っている点です。たとえば顧客が新型のエンジンを開発しているときには共に働き、適切な添加剤を開発するのです。そのような話をしているうちに、化学のことはいっこうに理解が深まっていなかったのですが、ビジネスの経済的な側面については合点のいくところがありました。イスカル社の人と話をしたときと同じような感じです。そのときも、採掘したタングステンを精錬した原料から、炭化タングステンの小型超硬工具をつくって、といったことが競争優位として長続きするのではという話になりました。最終的にはもう少し調べた上で、イスカルは持続する競争優位を有しているだろうと判断しました」

They've got lots and lots of patents, but more than that they have a connection with customers. They work with customers when new engines come along to develop the right kind of additive. So I felt that I had an understanding --didn't understand one thing more about chemistry than when I started, but I felt I had an understanding of the economics of the business, the same way I felt when the Iscar people talked to me. I mean, who would think you can take some Tungsten out of the ground and shine it and put it in little carbide tools and that you could have some durable competitive advantage, but I decided Iscar had some durable competitive advantage after looking at it for a while.

2012年4月8日日曜日

かなりの世間知らずですね(ウォーレン・バフェット)

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今回は将来の予測について、ウォーレン・バフェットによる1995年開催のバークシャー・ハサウェイ株主総会での発言をご紹介します。おなじみ『Seeking Wisdom』で孫引きされているものです。(日本語は拙訳)

わたしは今後の予測とか業績予想といったものは気にしません。あたかも精確にみえますが、そう思えるだけでしょせんは作り立てたものです。細かな点にこだわっているほど、よく注意したほうがいいですね。わたしどもは予想をしないかわりに、過去の実績のほうをずっと気にかけ、なるべく深く調べるようにしています。これまでの実績が思わしくないのに今後の見通しが華々しいような企業の話がきても、見送ることにしています。

ビジネスを買おうとする際に、売り手や仲介者が出してくるような将来予測をなぜ参考にするのでしょうか。その手の予測に意味があるとは思えません。あてにしてもしょうがないです。

将来どうなるのか自分で考えていないところへ、ビジネスを売りたい人や仲介手数料を稼ぎたい人がやってきて「このビジネスは、将来こうなりますよ」と説明する。そんなときにふむふむと耳を傾けるのは、かなりの世間知らずだと思います。

I have no use whatsoever for projections or forecasts. They create an illusion of apparent precision. The more meticulous they are, the more concerned you should be. We never look at projections, but we care very much about, and look very deeply at, track records. If a company has a lousy track record, but a very bright future, we will miss the opportunity ...

I do not understand why any buyer of a business looks at a bunch of projections put together by a seller or his agent. You can almost say that it's naive to think that those projections have any utility whatsoever. We're just not interested.

If we don't have some idea ourselves of what the future is, to sit there and listen to some other guy who's trying to sell us the business or get a commission on it tell us what the future's going to be - like I say, it's very naive.
(p.52)

一見するとウォーレンのこの発言は、決定木を使った分析(過去記事)と矛盾していると感じるかもしれません。決定木の役割は不確実な将来を確率的に描くことなので、ある種の予測をしているでしょうと。しかし立ちどまって考えてみると、ウォーレンはやはり過去を重視しているように思えます。予測の中核となるのは、あくまでも過去の実績から延長線をひいた未来であって、それ以外に想定される未来は悲観的なリスクを盛り込むために使う。例えば、これまで年率10%成長しているところを、0%成長やマイナス成長といったシナリオを確率的に盛り込む。あるいは別の大きなリスクを想定してみるなどが挙げられます。

真偽のほどはウォーレンに聞いてみないとわかりませんが、決定木を使った確率的な未来の捉え方を自分なりに見直せるような気がしてきました。ちなみに、ロバート・ルービンはこのような考え方を「蓋然的思考」と呼んでいるようです(過去記事)。

2012年3月21日水曜日

グランド・キャニオンをわたる(ウォーレン・バフェット)

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今回は、ベン・グレアムの言葉「Margin of Safety(安全余裕)」について。ウォーレン・バフェットは、この言葉をたびたび強調してきましたが、ここで彼による例え話をどうぞ。おなじみ『Seeking Wisdom』からの孫引きで、1997年開催のバークシャー・ハサウェイの株主総会での発言です。(日本語は拙訳)

ビジネスをきちんと理解しているのでしたら、つまり未来を完璧に見通せるということですが、[株式を買う際に]安全余裕はほとんどとらなくてもよいでしょう。反対に、ビジネスに関するさまざまな出来事がおきたり、不確実なことが多かったり、ビジネスが脆弱になっていたり、変化する可能性が高くなるほど、安全余裕を多くとらなければなりません。

車両総重量が4.4トンのトラックにのって活荷重が4.5トンの橋をわたる場合、橋の高さが地面から15cmぐらいだったら、まあ安心してわたれるでしょう。しかし、グランド・キャニオンにかかる橋だったら、もっと余裕がほしくなりますよね。たとえば2トンぐらいのトラックにしておくのではないでしょうか。ですから、どれだけ安全余裕が必要かは、そこに潜んでいるリスクに応じて決まってくるのです。

If you understand a business ? if you can see its future perfectly ? then, obviously, you need very little in the way of margin of safety. Conversely, the more things can happen, the more uncertainty there is, the more vulnerable the business is or the greater the possibility of change, the larger margin of safety you require...

If you're driving a 9,800 pound truck across a bridge that says it holds 10,000 pounds and the bridge is only about six inches above the ground, then you may feel OK. However, if the bridge is over the Grand Canyon, then you may want a little larger margin of safety. And, therefore, you may only drive a 4,000 pound truck across. So it depends on the nature of the underlying risk.

2011年12月6日火曜日

ビジネスを理解するとは(ウォーレン・バフェット)

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前回の話題を受けます。投資対象が「お手上げ」(too tough)かどうかは、投資対象を自分で理解しているかどうかが判断基準になってきます。今回は、ウォーレン・バフェットの言うところの「ビジネスを理解するとは」です。2000年に開催されたバークシャー・ハサウェイの年次総会での発言を引用します。『Seeking Wisdom』からの孫引きです。(日本語は拙訳)

私たちが唯一知っている利益のあげかたは、ビジネスを評価しようと努めることです。例えば、ある鉄鋼会社を評価できないのであれば、その会社は買いません。いい取引ではないとか、大安売りではない、とは言っていません。どう評価したらよいか私たちにはわからない、というだけです。ブラジルに化学工場か何かを設立する是非を評価できないようであれば、買わないのです。

製品を理解でき、利用者にとってどう役立つのかも理解できる、でも10年後に経営状況がどうなるのか見当がつかないことがあります。例えば、鉄鋼のことを知っていて、住宅建設のこともわかっていても、ある建設業者を調べたからといって、5年や10年後に経営状況がどうなっているか推測するのは別の問題です。製品や流通やそういった類のことが問題なのではなく、10年後の経営状況をどれだけの精度で予測できるかが重要なのです。

The only way we know how to make money is to try and evaluate businesses. And if we can't evaluate a carbon steel company, we don't buy it. It doesn't mean it isn't a good buy. It doesn't mean it isn't selling for a fraction of what its worth. It just means that we don't know how to evaluate it. If we can't evaluate the sense of putting in a chemical plant or something in Brazil, we don't do it...

We understand the product. We understand what it does for people. We just don't know [what its economics will be] 10 years from now...You can understand steel. You can understand homebuilding. But if look at a homebuilder and try to think where the economics of it is going to be in five or 10 years, that's another question. It's not a question of understanding the product they turn out, the means they use to distribute it ? all of that sort of thing ? it's the predictability of the economics of the situation 10 years out.