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2012年4月8日日曜日

かなりの世間知らずですね(ウォーレン・バフェット)

今回は将来の予測について、ウォーレン・バフェットによる1995年開催のバークシャー・ハサウェイ株主総会での発言をご紹介します。おなじみ『Seeking Wisdom』で孫引きされているものです。(日本語は拙訳)

わたしは今後の予測とか業績予想といったものは気にしません。あたかも精確にみえますが、そう思えるだけでしょせんは作り立てたものです。細かな点にこだわっているほど、よく注意したほうがいいですね。わたしどもは予想をしないかわりに、過去の実績のほうをずっと気にかけ、なるべく深く調べるようにしています。これまでの実績が思わしくないのに今後の見通しが華々しいような企業の話がきても、見送ることにしています。

ビジネスを買おうとする際に、売り手や仲介者が出してくるような将来予測をなぜ参考にするのでしょうか。その手の予測に意味があるとは思えません。あてにしてもしょうがないです。

将来どうなるのか自分で考えていないところへ、ビジネスを売りたい人や仲介手数料を稼ぎたい人がやってきて「このビジネスは、将来こうなりますよ」と説明する。そんなときにふむふむと耳を傾けるのは、かなりの世間知らずだと思います。

I have no use whatsoever for projections or forecasts. They create an illusion of apparent precision. The more meticulous they are, the more concerned you should be. We never look at projections, but we care very much about, and look very deeply at, track records. If a company has a lousy track record, but a very bright future, we will miss the opportunity ...

I do not understand why any buyer of a business looks at a bunch of projections put together by a seller or his agent. You can almost say that it's naive to think that those projections have any utility whatsoever. We're just not interested.

If we don't have some idea ourselves of what the future is, to sit there and listen to some other guy who's trying to sell us the business or get a commission on it tell us what the future's going to be - like I say, it's very naive.
(p.52)


一見するとウォーレンのこの発言は、決定木を使った分析(過去記事)と矛盾していると感じるかもしれません。決定木の役割は不確実な将来を確率的に描くことなので、ある種の予測をしているでしょうと。しかし立ちどまって考えてみると、ウォーレンはやはり過去を重視しているように思えます。予測の中核となるのは、あくまでも過去の実績から延長線をひいた未来であって、それ以外に想定される未来は悲観的なリスクを盛り込むために使う。例えば、これまで年率10%成長しているところを、0%成長やマイナス成長といったシナリオを確率的に盛り込む。あるいは別の大きなリスクを想定してみるなどが挙げられます。

真偽のほどはウォーレンに聞いてみないとわかりませんが、決定木を使った確率的な未来の捉え方を自分なりに見直せるような気がしてきました。ちなみに、ロバート・ルービンはこのような考え方を「蓋然的思考」と呼んでいるようです(過去記事)。

2 件のコメント:

  1. == No title ==
    こんにちは。今回の記事は今まで読んだ印象とは違ったので意外でした。
    投資家はバックミラー(過去)を見ながら運転しちゃ駄目だよともあった気がしたのですが、実績にやはり比重を置いてるのですね。
    まぁ、どちらも過信しちゃ駄目だってことですかね。
    私は実績(小売であれば月次や不動産・マンションであればモデルルームなどで売れた戸数)や、来期の数値が出てくる頃には中期経営計画などを調べてストーリーを考えてます。
    これも完全とはいかないのですが、頭の中で「んー確度いまいちだなー」ってときはやっぱし失敗する事が多いですね^^;

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  2. == 確かに印象が違いますよね ==
    isさん、コメントありがとうございます。
    ご指摘のように、私も似たような違和感を少し感じました。バックミラーはそのとおりで、確度が高くない場合には過去はあまりあてにならない、という意味かと捉えています。
    一方、復活できる可能性が高い場合には、過去の実績をあてにして、おもいきって投資に踏み切るのではないでしょうか。アメックス、GEICO、1990年ごろのウェルズ・ファーゴ、1974年に株価が落ち込んだワシントン・ポスト。このあたりを振り返ってみると、そう思えます。
    isさんの「んー確度いまいちだなー」と言えるあたり、さすがですね。ご自分を客観視できていますね。
    それではまたよろしくお願いします。

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