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2014年1月6日月曜日

過去に出した結論を見直すことについて(チャーリー・マンガー)

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チャーリー・マンガーの(再考)世知入門の12回目です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問者> あなたのもとで働く人たちに対して、ご自身が実行しているとおっしゃっていたのと同じことができるような雰囲気をうまく醸し出せたことはありますか。たとえば、確約や一貫性を示す傾向についてどうでしょうか[参考記事]。

<マンガー> ひどいまちがいの場合がほとんどですが、それがためにせざるを得なかったことがあります。

<質問者> そういった傾向をみんなが捨て去り、安心してあやまちを認められる環境を作り上げるにはどうされたのでしょうか。

たとえば今年早々に来られたインテルの人は、自分たちにとって一番むずかしかったこととして、「ペンティアムCPU問題のときに自分たちがまちがった道を歩んでいたことを認め、方向転換しなければならなかったこともそうだった」と話していました。複雑になった組織においてそうするのは非常にむずかしいことだと思います。そのようなときには、どのように進めるのでしょうか。

<マンガー> インテルの人々は最先端の科学によって困難な課題をチームで解決するという、首尾一貫した文化を築いています。それはバークシャー・ハサウェイとは根本的に違うものです。バークシャーは持ち株会社なので、本社の仕事としてやるべき資本配分を行う以外には、あらゆる権限を委譲してきました。

概していえば我々は、配下の賛嘆極まる諸氏に対して権限を持たせる方針をとってきました。彼らとうまくやっていくのは、おしなべて容易です。彼らに惚れこみ、称賛しているからです。ビジネスを前に進めるのであればどんな発明や現実認識であれ良しとする文化を、彼らは創り出してきました。過去に出した結論がまちがっていたことを認めるのも、その現実認識に含まれています。

我々の会社はまったくもって別の種類のものです。アンディ・グローブ[インテルの元CEO]のやったことが私やウォーレンに同じようにできるかと言えば、まったくわかりません。その種の領域に関する強みを持ち合わせていないのです。我々が心底惚れ込んでいる優れた人たちとやっていくという点では、それなりにうまくやれます。が、欠点もあります。たとえば私は上の空だったり、頑固だったりと言われることがあります。インテルに行ったら、ただの厄介者かもしれません。

しかし、過去に出した結論を見直すという点ではウォーレン共々非常にうまくやっています。その技量を磨く中で仕事をしてきました。そうしないと、たびたび災厄に見舞われることになりますからね。

Q: Have you been successful in creating an atmosphere where people below you can do the same things you're talking about doing yourself? For example, you talked about the tendency towards commitment and consistency….

Mostly about the terrible mistakes it causes you to make.

Q: How have you created an atmosphere comfortable (enough) for people to abandon that tendency and admit that they've made a mistake?

For example, someone here earlier this year from Intel talked about problems that occurred with their Pentium chip. One of the most difficult things for them to do was to realize they'd been going about it the wrong way and turn course. And it's very difficult to do that in a complex structure. How do you foster that?


Intel and its ilk create a coherent culture where teams solve difficult problems on the cutting edge of science. That's radically different from Berkshire Hathaway. Berkshire is a holding company. We've decentralized all the power except for natural headquarters-type capital allocation.

By and large, we've chosen people we admire enormously to have the power beneath us. It's easy for us to get along with them on average because we love and admire them. And they create the culture for whatever invention and reality recognition is going on in their businesses. And included in that reality recognition is the recognition that previous conclusions were incorrect.

But we're a totally different kind of company. It's not at all clear to me that Warren or I would be that good at doing what Andy Grove does. We don't have special competence in that field. We are fairly good at relating to brilliant people we love. But we have defects. For example, some regard me as absent-minded and opinionated. I might be a mess at Intel.

However, both Warren and I are very good at changing our prior conclusions. We work at developing that facility because, without it, disaster often comes.

2014年1月4日土曜日

2013年の投資をふりかえって(1)継続投資銘柄:マイクロソフト

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2013年は市場全般が上昇したため、以前から保有してきた主力銘柄を一部処分したのが主な投資行動でした。一方、昨年の投稿でとりあげた2012年からの投資先企業はまだ継続保有したいものが多く、今回からの一連の投稿でふれていきますが、当時の内容とあまり変わり映えしません。それらは有用な内容とは言いがたく、単なる一個人投資家がいだいている考えとして読み流していただければと存じます。今回からの一連の投稿では、まずは継続投資先をふりかえり、そのつぎに2013年に新規で投資した企業をとりあげます。

なお、とりあげる銘柄の順序は、自分のポートフォリオ中での時価評価額の割合が大きなものからとなります。

■マイクロソフト(MSFT)

<事業の状況>
当社の事業環境は昨年書いた内容から大きくは変わっていないと認識しています。クライアントOSの事業ではWindows8が大きくつまづいたものの、XPからの切り替え需要やインテルの新世代CPU(Haswell, Bay Trail)が追い風となり、ここにきて底がみえてきました。一方で企業向けシステムは比較的堅調です。ここではそれらと少し離れて、クラウドの取り組みに対する注意を喚起したいと思います。今後の当社の方向性に大きな変化をもたらす可能性を感じているからです。当社はソフトウェアやそのライセンス収入を主な収益源としてきましたが、機会を求めたり、牙城を守るために商売の範囲を広げようとしています。その消費者向けの典型がノキア社携帯電話部門の買収で、企業向けの典型がOffice365やSkyDrive、Azureに代表されるクラウド・システムです。昨年(FY2013)の当社はコンピューター関連の設備投資を大幅に増やしています。「コモディティー」と呼ばれ始めてきたこの領域で、AmazonやGoogle、IBMなどの競合と戦い、どのように利益へ結びつけていくのか。当社へ中長期的に投資しようとする上で、きちんと考えていきたいテーマだと感じています。

<株価の状況>
年初の株価は26.71$だったところ、年末には37.41$へ上昇しました。上昇幅は40.9%で、ナスダック指数(41.09%)とほぼ同じ水準の、ダウ工業平均(28.12%)よりは大きな上げ幅でした。


<当社に対する投資方針>
年初に一度だけ追加購入し、平均購入単価は25.7$弱になりました。現時点の価格水準は中間的と感じており、追加購入あるいは売却のどちらも考えていません。このまま継続保有するつもりです。ポートフォリオに占める割合は準主力級(5-10%)です。

2014年1月2日木曜日

祈りと共に始めよ(ジョン・テンプルトン)

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ジョン・テンプルトンの「投資で成功するための16のルール」から、今回はルールその12の短い説明文です。このルールを初めて読んだころは宗教家風の表現に対してお高く感じたものですが、振り返ってみれば浅い見方でした。今では、経験に裏付けられ、人間の心理に通じた熟練者の知恵だと受けとめています。単純でいて力強い教えだと感じています。なお、引用元の原文はこちらです。(日本語は拙訳)

(ルールその12) 祈りと共に始めよ

祈り[感謝や畏敬]を以って始めれば、より明瞭に考えられるようになり、しくじることが少なくなるでしょう。

No. 12 BEGIN WITH A PRAYER

If you begin with a prayer, you can think more clearly and make fewer mistakes.

2013年12月30日月曜日

2013年投稿分からのおすすめ十選

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今年投稿した記事の中で、個人的に改めてとりあげたいと感じたものを10件選びました。

<投資対象について>

1. 石器時代へあともどり(ウォーレン・バフェット、チャーリー・マンガー)

チャーリー・マンガー「本当に巨額の財産を時とともに築いていくには、よいビジネスに投資してそこから離れないこと。その上で、よい事業をさらに加えていくこと」


2. 世界を変えて、投資で成功する(チャーリー・マンガー)

チャーリー・マンガー「2メートル以上もある柵は飛び越せないと。そうではなく、向こう側に大きな見返りが待っている30cmの柵をさがします」


3. 「最良」の投資家になる方法(ボブ・ロドリゲス)

ボブ・ロドリゲス「(25年間にわたる投資成績が)複利で年率24%増でした。その上乗せ分がなぜ生じたのかを考えると、集中度を高めたことと、他者が感情的になって資金の出入りを決めることに左右されなかったのが原因だと思います」


4. ある投資家が描くチャーリー・マンガー像(4)

某個人投資家「買いの決断を20件や30件も下す場合、それらが正しい上に、ポートフォリオ全体に重大な影響を与えるほどになる確率は、いったいどれぐらいなのだろうか。ポートフォリオのわずか3-5%を占めるために、何ヶ月あるいは何年も時間を費やして企業を研究しなければならないのか」


<投資姿勢について>

5. 隣人のロバをむさぼってはならない(ウォーレン・バフェット)

ウォーレン・バフェット「自分たちがよくわからないものには手を出さないことにしています。そして、他人がうまくやっているからといって妬まない。それですべてです」


6. 2012年度バフェットからの手紙(1)100年間はぐっすり眠れる

ウォーレン・バフェット「ゲームに参加しているのと比べて、参加しないリスクのほうがずっと大きい。チャーリーとわたしはそう確信しています」


<認知心理学>

7. 私たちはいつも幻覚を見ている(神経科学者V・S・ラマチャンドラン)

ラマチャンドラン「私たちは、世界を見るときいつも幻覚を見ている。知覚とは、しばしば断片的かつ短命な入力データにもっともよくあう幻覚を選ぶ行為であるとみなしても、ほとんどさしつかえがないくらいだ」


<生きかた>

8. 他人をしのぐというものではない(ウォーレン・バフェット)

ウォーレン・バフェット「他人をしのぐというものではありません。それよりはむしろ、自分が何をすべきか、どんな種類の人間になりたいかを決めるだけの問題だと思います」


<起業家魂>

9. ウォッカの大瓶を買ってきてあげる(ミセスB)

(若きミセスBの旅立ち)靴底を減らさないように靴を肩に背負い、最寄りの駅まで約30キロの道のりをはだしで歩いた。


<この世の切なさ>

10. いずれ悲惨な時代がまたやってくる(チャーリー・マンガー)

チャーリー・マンガー「悲惨な激動を招くのは、人間が築く文明の本質でしょう。ですから、まったく揺らぎもしない凪ぎの時代が500年もつづくとは思えません」


ここには含んでいませんが、セス・クラーマンによる「安全余裕」の文章の多くは今年のような状況だからこそ、なおさら読むに値すると感じています。

2013年12月28日土曜日

能力のパラドックス(7)最終回(マイケル・モーブッシン)

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マイケル・モーブッサンの「能力のパラドックス」の7回目、今回でおわりです。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

能力のパラドックスに際して、どうすればよいのか

プロ野球の世界で再び4割打者にお目にかかれることはないかもしれない。スティーブン・ジェイ・グールドの言う「優秀さの広まり」が反映されたのだから、それで良しとしよう。能力が向上することで結果を形成する際に運の役割がいっそう大切になってくるのを、みなさんもさまざまな場所で目撃するだろう。では、それに際してどうすればよいだろうか。以下は私からの3つの提案である。

・能力の大きなばらつきが未だにある領域を見つけること。能力の幅が広い領域において競争するならば、上手な人は下手な人を犠牲にして勝つことができるだろう。

投資はこの例に当てはまる。成熟した市場では、事情に通じた大規模な機関投資家が取引の場を独占している。そこでは有能な参加者がしのぎをけずっており、他に先んじるのはむずかしい。一方、新興の市場では大規模な機関投資家が事情に疎い個人投資家と競い合っている。研究結果が示すところでは、平均してみれば機関投資家が個人投資家を犠牲にして超過利益を得ている。参加者として自分がもっとも有能なのか、いつでも容易に気がつくものではない。バークシャー・ハサウェイの会長兼CEOである著名な投資家ウォーレン・バフェットは、ポーカーになぞらえて指摘している。「ポーカーをやり始めて30分、カモがだれかわからなければ、そういうあなたがカモなのです」。

・絶対的ではなく、相対的に考えること。能力のパラドックスにおいて不可欠なことは、向上した度合いを測定するには絶対的な水準か、あるいは競合と比較するやりかたのどちらでもできるという考えである。たとえば100メートル走のように[他者との]直接的な働きかけがなかったり、運の要素が入らないときは、絶対的な能力こそが問題になる。しかしそうでない場合は相対的な能力で測るべきだ。その重要性は、次のビジネスの例でわかると思う。企業の能力を改善させるために単純な公式を示すベストセラー本は、山ほどある。しかしそれらが的はずれなのは、競合がとりうる行動を考慮していないことだ。ビジネスの結果とは、自己とライバルがとる行動の組み合わせである。もしあらゆる企業が同じ歩調で良くなっていけば、有利になっていく企業など存在しないことになる。

・結果ではなく、プロセスに焦点をあてること。世界的なバイオリン奏者やチェス選手になりたいならば、そういった領域では運がほとんど関与しないので、入念な練習をおよそ1万時間つづける必要がある。ここで決定的なのは、改善後にでてくる結果が自己の能力を示す上で信頼できる指標になることだ。それらの世界でなされるフィードバックが明確であいまいさがないのは、そのためかもしれない。一方、運が役割を果たす領域で競争するのであれば、プロセスつまり意思決定のやりかたに対していっそう焦点をあてるべきで、短期的な成績はそれほど信頼すべきではない。なぜなら、能力と結果をむすぶ直接的な関係が運の良し悪しによって破られるからだ。有能なのにお粗末な結果だったり、能力がないのによい結果となりうるわけだ。カジノでブラックジャックをやる例を考えてほしい。基本戦略では、配られたカードが17のときはヒットせずにスタンドすべしとしている。これは望ましいプロセスで、長い目で見れば最善であることが保証されている。しかしヒットしてディーラーのめくったカードが4だったら、まずいプロセスにもかかわらずその手で勝ちになる。つまり、結果からは能力を明かすことができない。それをできるのはプロセスだけで、だからこそプロセスに焦点をあてるのだ。

最後にもう一言。能力のパラドックスという考えをいったん受け入れたら、運勢に対して冷静でいることが適切だとわかるだろう。勝てるための最善を尽くしたなら、結果がどうであれば納得すべきだ。運が良ければ期待を越える結果になることもあるし、悪ければがっかりな結果におわることもあるだろう。そのようなときにいちばんよいのは、気を取り直して過去のことは忘れてしまい、明日からまた挑戦する心構えをもつことだと思う。

What To Do About the Paradox of Skill

We may never see another .400 hitter in professional baseball. That's alright. It reflects "the spread of excellence," using Stephen Jay Gould's phrase. You'll see skill increasing and luck becoming more important in shaping results in many places that you look. So, what should you do about it? Here are three suggestions:

-> Find realms where the variance of skill is still wide. If you compete in a field where the range of skill is wide, the more skillful will succeed at the expense of the less skillful.

Investing is a good case in point. In developed markets, large and sophisticated institutional investors dominate the trading scene. The skillful players compete with one another and it's hard to gain an edge. In some developing markets, by contrast, large institutions compete with less sophisticated individuals. Research shows that, on average, the institutions earn excess returns at the expense of the individuals. But it's not always easy to know if you're the most skillful player. Warren Buffett, the famous investor and chairman and CEO of Berkshire Hathaway, makes the point in the context of poker: "If you've been playing poker for half an hour and you still don't know who the patsy is, you're the patsy."

-> Think relative, not absolute. Essential to the paradox of skill is the idea that you can measure improvement in skill either on an absolute scale or relative to competitors. In activities where there is no direct interaction or luck - say, a 100-meter dash - absolute skill is all that matters. But when there is interaction and luck, you have to measure relative performance. Here's why this is so important, using business as an example. There are a slew of best-selling books that offer a simple formula for corporate performance improvement. These miss the mark because they fail to consider what competitors may do. Results are a combination of your actions with those of your rivals. If all companies are getting better in lockstep, no company is gaining an edge.

-> Focus on process, not outcome. If you want to become world-class as a violinist or a chess player, areas where little luck is involved, you need roughly 10,000 hours of deliberate practice. What's crucial is that your results, as you improve, will be a reliable indicator of your skill. As a result, feedback in these domains can be clear and unequivocal. If you compete in a field where luck plays a role, you should focus more on the process of how you make decisions and rely less on the short-term outcomes. The reason is that luck breaks the direct link between skill and results - you can be skillful and have a poor outcome and unskillful and have a good outcome. Think of playing blackjack at a casino. Basic strategy says that you should stand - not ask for a hit - if you are dealt a 17. That's the proper process, and ensures that you'll do the best over the long haul. But if you ask for a hit and the dealer flips a 4, you'll have won the hand despite a poor process. The point is that the outcome didn't reveal the skill of the player, only the process did. So focus on process.

One final thought. Once you've embraced the paradox of skill, you'll see that it's appropriate to have an attitude of equanimity toward luck. If you've done everything you can to put yourself in a position to succeed, you should accept whatever results appear. Some days you'll be lucky, and the results will exceed your expectations. Some days the results will be disappointing because of bad luck. The best plan will be to pick yourself up, dust yourself off, and get ready to do it again tomorrow.


「結果ではなく、プロセスに焦点をあてる」、この文章をご紹介したくて今回の話題をとりあげてきました。2013年という1年間を顧みるにふさわしい文章だと、個人的には感じています。