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2022年2月27日日曜日

かいじゅうおどりをはじめよう(ジェレミー・グランサム)

年頭になると、GMOのジェレミー・グランサムは株式市場全般の動向について触れることが通例になっています。「バブルの予言者」として名高い彼は、今年もその見解を披露してくれました。まず今回はその文章から、彼が言うところの「バブル」の定義をご紹介します。(日本語は拙訳)

LET THE WILD RUMPUS BEGIN (GMO)

バブル及びスーパーバブルの定義

当社GMOでは20年間以上にわたって、投資上のバブルを統計的にみた極端さによって定義してきました。すなわち、価格傾向からの乖離幅が2シグマに達したものをバブルとしています。たとえば、真正な硬貨を投げたときにでる表裏の回数が無秩序かつ正規分布することから、2シグマの事象とは一連のコイン投げを44回試行したときに、分布の各方向に1回生じる計算になります。

しかしながら現実の世界では、人間は(経済学的な意味において)効率的ではありません。もっと非合理にふるまいがちで、我を忘れてしまうこともあります。そのため、2シグマの非常事態はランダムすなわち44年毎ではなく、35年毎に生じてきました。私たちは金融史に登場するあらゆる資産クラスに関する入手可能なデータを調べてきました。そして300を超える2シグマ級の事象を発見しました。発展した証券市場で過去100年の間に生じた2シグマ級の株式バブルは、いずれも最終的にはバブルが形成される以前の価格傾向の水準へ完全に戻るまで下落していました。

The Definition of a Bubble and a Superbubble

We have defined investment bubbles at GMO for over 20 years now by a statistical measure of extremes - a 2-sigma deviation from trend. For a random, normally distributed series, like the sum of tosses of a fair coin, a 2-sigma event should occur once every 44 trials in each direction. This measure is arbitrary but seems quite reasonable.

In real life, though, humans are not efficient (in the economic sense) but are often quite irrational and can get carried away so that 2-sigma outliers occur more often than random - not every 44 years, but every 35 years. We studied the available data across all asset classes over financial history and found a total of more than 300 2-sigma moves. In developed equity markets, every single example of a 2-sigma equity bubble in the last 100 years has eventually fully deflated with the price moving all the way back to the trend that existed prior to the bubble forming.

「35年毎」というマジックナンバーは、よく言われるように「世代間の間隔」とおよそ一致しているように思えます。言いかえれば、「人間は、なかなか歴史から学べるようになれない」といったところでしょうか。

もうひとつ、こちらは備考です。本投稿の題名『かいじゅうおどりをはじめよう』は、絵本『かいじゅうたちのいるところ』(神宮輝夫訳)から借りたものです。原文の注釈において、タイトル"LET THE WILD RUMPUS BEGIN"は"Where the Wild Things Are."から引用した旨が記されています。

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