How Mohnish Pabrai Crushed The Market By 1100% Since 2000 (Forbes)
(2000年以降、いかにしてモーニッシュ・パブライは市場の成績に11倍もの差をつけたのか)
まずは彼の成績からです。
モーニッシュ・パブライが2000年に設立した買い持ち専門の株式ファンドでは、投資家の純資産が累計で517%上昇した。その間のS&P500の上昇率は43%だった。
Mohnish Pabrai's long-only equity fund has returned a cumulative 517% net to investors vs. 43% for the S&P 500 Index since inception in 2000.
つづいて彼の投資スタイルについてです。
バフェットと同様に、パブライは株式のことを紙切れとは考えず、事業の所有権とみなしている。10%ほど割安な会社には、彼は興味を示さない。数年のうちに資金を5倍にする技をみせようとしているのだ。明々白々と思えない機会はやりすごす。そのためにはX線のような視線をもってファンダメンタルズを見透かし、その価格における下落リスク(安全余裕)と潜在的な上昇幅(Moat; 優位性)をおしはかる。彼の唱える文句はこうだ。「表がでれば勝ち。裏がでても大負けせず」。
チャーリー・マンガーの警告を胸にいだきつづけているパブライは、辛抱することを常としている。「資産は売り買いによって築かれるのではない。じっと待つことによって築かれる」。私の知る限りでは、2013年に彼は新規の投資をひとつもしていない。投資のアイデアは1年間に数件あれば十分、と彼は言う。現在の彼は現金保有率を10-20%に保ちたいと感じている。彼のような数字を残してきたファンドにとって、これはたいへんな足枷だろう。しかし彼は、これだと思う価格水準で虎の子を投入できるようになるまで、機が熟すのを待ちつづけるのだ。
株式をいったん購入したら次にやることは、うまくいかなかった取引を精査し、何がまずかったのか理解すること、とパブライは言う。彼の手法全般における肝心な部分なので、ここはじっくり触れたい。
ものごとを否定するのは、我々が示す防衛反応の中でも筆頭にくるものだ。だから、あやまちは敷物の下に隠したがる。しかしマーレイの亡霊[クリスマス・キャロル]よろしく、眠っている間にそういった取引がでてくるのは幸せなほうだろう。もっとひどければ、思い出すまいと永遠に抑えつづけることになる。
工学の分野で経験を積んだパブライは失敗を取り繕わない。なぜなら投資とは、高い確率で失敗をおかしても(買ってはいけないものを買い、売ってはいけないものを売る。あるいは買うべきを買わず、売るべきを売らず)、それでもなお成功できる世界だからだ。あやまちは避けられない、彼はそう受けとめている。肝心なのはそこから学習し、同じことをくりかえさないことだ。そのため彼のファンドでは年次総会で多くの時間をあてて、パートナーの資産を失った投資について公開の場で分析する。やがてそのようなあやまちは数が減り、期待したようには成功しなかった投資のことを語る時間が少なくなった。
Like Buffett, Pabrai looks at a stock not as a piece of paper but as the ownership of a business. He has no interest in a company that looks ten percent undervalued. He is angling to make five times his money in a few years. If he doesn't think the opportunity is blindingly obvious, he passes. This requires him to apply his X-Ray vision to the fundamentals, and weigh the downside risk (the margin of safety) vs. the upside potential (the moat) at a given price. His mantra: Heads I win, tails I don't lose much.
Next, Pabrai practices patience. He takes Charlie Munger's admonition to heart that money is made not in the buying or selling but in the waiting. As far as I am aware, he has not made a single new investment in 2013. He says that if he can find a couple of investment ideas a year, that's plenty. His current preference is to keep a cash store of between 10%-20%. This seems like a tremendous drag for a fund posting numbers like his, but he is really biding his time for a distressed situation to come along when he can deploy this trove at the valuation he wants. During the next crisis, when everyone is jamming the exits, he will go all in.
Once you start purchasing stocks, Pabrai says the next step is to closely examine every trade that doesn't work, and figure out what went wrong. Let me pause right here, because this is key to his whole method.
There is nothing more tempting that to sweep mistakes under the rug. Denial is one of our top defense mechanisms. If you are lucky, these trades come to haunt your sleep like Marley's ghost. If you are unlucky, you repress them forever.
Due to his background in engineering, Pabrai does not gloss over mistakes. Investing is a field where you can have a high error rate (buying something you shouldn't have, selling something you shouldn't have, not buying something you should have, not selling something you should have) and still be successful. He takes as a given that mistakes are inevitable. The point is to learn from them so they are not repeated. A major portion of his annual meeting is devoted to publicly analyzing investments where he lost money for his partners. Lately these errors are becoming harder to find, so he has been reduced to talking about investments that didn't fare as well as expected.
失敗から学ぶことについては、以下の過去記事でもとりあげています。
・成功している投資家とそうでない人の違い(ジョン・テンプルトン)
・注意!この先危険(ボブ・ロドリゲス)
最後はチェックリストに関する話題です。この話題は少し前の投稿でも取り上げたものです。
彼はアトゥール・ガワンデの著作『アナタはなぜチェックリストを使わないのか?』に影響を受けた。同書ではチェックリストのようなささやかな技術が、いかに旅客機のコクピットや手術室で人命を救う結果につながったのか、語られている。それが投資家においても同じ魔力を発揮するものか、彼は試してみたいと考えた。
そこで、尊敬する投資家の公式記録をしらべ、彼らの失敗を分解することから始めた。すごい人たちでさえ、まちがっていたときには警笛が鳴り響いていた。彼は、バークシャー・ハサウェイがデクスター・シューズを買収した例をとりあげた。同社は、だれもが履いていたすばらしい製品を生産していたニュー・イングランドのメーカーである。しかしほどなく、外国の低賃金労働によってズタズタにされてしまった。ここでチェックリストに1つ付け足される。「この事業は、低コストを武器にした外国の競合によって悪影響を受けるだろうか」。
この分析をおこなった結果、チェックリストの数は100件ほどになった。彼はそれを公開していないが、我々がみたら退屈で放り出すだろう、と主張しているからだ。はたしてそうだろうか。それはどうであれ、個々の設問は種類ごとに分類されている。当然ながら、その多くは借り入れに関するべきものだ。つづいて2番目のグループは事業が有する「Moat(経済的堀)」の持続性に目を向けている。これは新規参入者や競合が、製品やサービスを複製するのが容易か否かを問うものだ。3番目のグループでは企業の経営陣の質を確かめる。株主の利益のために企業を賢明に運営しているかという観点である。4番目のグループはその他もろもろで、組合や雇用関係、また企業に吹いている追い風は単に一時的なのか、といったものが入っている。
パブライにとって、投資とは独自性を披露するコンテストではない。だから彼は恥じることなく、他人のアイデアを拝借する。たとえば彼のファンドの構成は、1950年代のバフェット・パートナーシップからそのまま盗んできた。投資アイデアは主にどこからと問えば、彼の賞賛するほかのバリュー投資家が証券取引委員会に提出した報告書13Fからとなる。バークシャー、ロングリーフ、バウポスト、グリーンライト、パーシング・スクウェア、サード・アベニューなどだ。彼はネバダ大学のマーティンとPuthenpurackalによる研究結果を引用してくれた。単にウォーレン・バフェットをまねて投資すると(バークシャーの売買状況が公になった後に)、31年間で年間11%も市場を上回ってきた、とのこと。
Pabrai was impressed by Atul Gawande's Checklist Manifesto, which recounts how a technology seemingly as trivial as a checklist led to life-saving results in the airline cockpit and the operating room. He wondered whether it could work the same magic for investors.
He began by looking at the public record of the investors he admired and deconstructing the mistakes they made - cases where there were klaxons sounding even the great ones missed. He cites the example of Berkshire Hathaway's purchase of Dexter Shoes - a New England factory with a great product used by everyone with feet. It immediately got hacked to pieces by cheap foreign labor. Hence, one checklist item: is this a business that can be negatively impacted by low-cost competition from abroad?
After this analysis, he came up with one hundred or so check boxes. He keeps it proprietary, but claims that if we were to see it, we would think it was jejune and throw it away. I wonder. In any event, the items are grouped into categories. A lot of them have to do with leverage, for obvious reasons. A second group relates to the durability of the business's "moat" - how difficult it is for new entrants or competitors to duplicate their product or service. A third set of questions examine the quality of the company's management. Is the company being intelligently run for the benefit of shareholders? There is also a fourth set of miscellaneous items, such as unions and labor relations, or is the company operating with a tailwind that may be only temporary?
For Pabrai, investing is not an originality contest. He shamelessly appropriates the ideas of others. For example, he lifted the structure of his fund directly from the Buffett partnerships of the 1950s. His primary source of investment ideas? The 13F SEC filings from other value managers he admires: Berkshire, Longleaf, Baupost, Greenlight, Pershing Square, Third Avenue, etc. He cites the University of Nevada study by Martin and Puthenpurackal showing how merely investing alongside Warren Buffett (after information about Berkshire's buys and sells became public) managed to beat the market by 11% a year over a 31-year period.
パブライさん、またもやどうもありがとう。ところで5倍をねらうというのは、ウォーレン・バフェットで言えばワシントン・ポスト級の掘り出し物ですね。
4 件のコメント:
== パブライのチェックリスト ==
チェックリストの数は100件ほどですか・・・それらがそれぞれどれだけ独立しているかは正直なところ疑問ですね。チェックリストが100もあれば互いに強い相関関係が見られるものも多くあるのではないかと考えられます。相関関係の強いものをいくら集めても無駄であるというのが私の学んだことです・・・言うは易し行うは難しですが。
== No title ==
無駄なことからすばらしいものが生まれる例は数多くありますよねえ
== No title ==
無駄であるというのは相関関係という用語を使用しているとおり、あくまでも統計学的な視点に関してのみのものですのであしからず。
チェックリストというのは物事を様々な視点から見るためのものであると考えております。様々な視点から見るためにはそれらはできるだけ互いに影響を受けずに独立しているほうが望ましく、相関関係が強いものを数多くチェックすると物事の見方にバイアスが生じ、結果的に物事を的確に掴むことは難しくなるのではないでしょうか。
== チェックリストの数について ==
ブロンコさん、いつも話題を提起していただき、どうもありがとうございます。
神さんは、はじめまして。コメントをありがとうございました。
個人的には、チェックリストについてきちんと取り組むべきと考えながらも、あまり手をつけていない状況です。重要なことを後回しにしており、チャーリー・マンガーが洞察している通りで、お恥ずかしいばかりです。
それはさておき話題が少し広がりますが、有用なメンタル・モデルの数がどれぐらいかについて、チャーリーはおよそ100という数字を挙げています。
複数のモデルが相乗的に働く「とびっきり効果」
http://betseldom.blogspot.com/2012/09/mf-24.html
同様に、工学者による『失敗百選』という本でも100という数字がキー・ナンバーとして登場しています。
いくつのモデルが必要なのか
http://betseldom.blogspot.com/2012/10/mf-17.html
モデルにせよチェック項目にせよ、相対的に大きな効果をもたらすものはパレートの法則が示すように絞られてくると思われます。ですから、それ以外の多数の項目はたとえばブロンコさんがご指摘されているように相関性が高かったり、互いに関連している可能性はあると思います。また業界ごとに特殊化されていたり、状況が特定の組み合わせに到ったときに適用されるといった項目であることも考えられます。
考えの浅いお答えかもしれませんが、主要で頻繁に使われるチェック項目は一部であり、それ以外のチェック項目は出番が少ないだろうととらえています。
おふたりには有意義なコメントを頂き、どうもありがとうございました。
チェックリストの話題は、今後も少しずつとりあげていきたいと考えています。
以上になります。
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