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2013年10月6日日曜日

事業価値の評価について(セス・クラーマン)

ファンド・マネージャーのセス・クラーマンの著書『Margin of Safety』から、ひきつづき事業価値の話題をご紹介します。第8章「事業価値の算出という技」(The Art of Business Valuation)からの引用です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

事業価値の評価

バリュー投資家であるからには、内在価値よりも割安な水準で買わなければならない。そこで、投資の検討対象が潜在的な超過価値(バリュー)を有しているか分析する際には、事業価値を評価することから始める。

事業価値を評価する方法には非常に多くのやりかたがあるが、私が有用だと思えるものは3種類しかない。ひとつめが「継続価値」を分析する方法で、正味現在価値(NPV)分析として知られている。NPVは、事業がうみだすと期待される将来のキャッシュフローを割り引くことで算出される価値である。その際に、継続価値をもとめる近道として「相対(あいたい)取引価値」を評価する方法がよく使われているが、これには欠陥もある。この近道を使う投資家は、世事に長けた実業家が事業に対して支払ってもよいと考える金額で評価する。事実上、この近道で事業を評価する際には、過去にあった比較可能な買収案件での取引価格を何倍かして算出している。

2番目の事業価値評価分析の方法は、「清算価値」分析である。これは、会社を廃業して資産を売却することで得られる収益の期待値を算出する。この方法の変種のひとつとして、「解散価値」を分析するやりかたがある。これは、ある企業を部分に切り分けてそれぞれを最高値で評価して算出する。その際に、各部分が事業を継続するか否かは問わない。

価値評価の3つ目の方法は「市場価値」分析で、企業全体あるいは本体から切り離して捉えることのできる子会社について、株式市場で取引された場合の価格を評価する。この方法は他の2つとくらべて信頼性が低く、価値をはかる一基準として役に立つこともある、といったものにすぎない。

これらの価値分析手法にはそれぞれ長短があり、常に正確な価値をもたらすものはない。残念ながらこれ以上の価値分析方法がないので、それらから算出される価値を検討せざるをえない。その際に各評価の結果がかなり離れていれば、投資家としては安全なほうへ逸脱すべきだ。

Business Valuation

To be a value investor, you must buy at a discount from underlying value. Analyzing each potential value investment opportunity therefore begins with an assessment of business value.

While a great many methods of business valuation exist, there are only three that I find useful. The first is an analysis of going-concern value, known as net present value (NPV) analysis. NPV is the discounted value of all future cash flows that a business is expected to generate. A frequently used but flawed shortcut method of valuing a going concern is known as private-market value. This is an investor's assessment of the price that a sophisticated businessperson would be willing to pay for a business. Investors using this shortcut, in effect, value businesses using the multiples paid when comparable businesses were previously bought and sold in their entirety.

The second method of business valuation analyzes liquidation value, the expected proceeds if a company were to be dismantled and the assets sold off. Breakup value, one variant of liquidation analysis, considers each of the components of a business at its highest valuation, whether as part of a going concern or not.

The third method of valuation, stock market value, is an estimate of the price at which a company, or its subsidiaries considered separately, would trade in the stock market. Less reliable than the other two, this method is only occasionally useful as a yardstick of value.

Each of these methods of valuation has strengths and weaknesses. None of them provides accurate values all the time. Unfortunately no better methods of valuation exist. Investors have no choice but to consider the values generated by each of them; when they appreciably diverge, investors should generally err on the side of conservatism.

3 件のコメント:

shobopapa さんのコメント...
このコメントはブログの管理者によって削除されました。
betseldom さんのコメント...

== s*******aさんへ ==
s*******aさん、はじめまして。
非公開のコメントをありがとうございました。
ご経験にもとづいた懐疑的かつ建設的なご意見で、とても参考になりました。今後セス・クラーマンの話題を取り上げる中で、いただいたご意見に対する補足のようなものをしていければと考えております。
いつもお読みになってくださり、どうもありがとうございます。これからもどうぞよろしくお願い申し上げます。
それでは失礼致します。

betseldom さんのコメント...



「2013年10月6日 12:13にs*******aさん」から非公開のコメントを頂いています。掘り下げたご返信はいまだできておりませんが、いずれはと考えております。