多かれ少なかれ成功した企業同士の比較は、要するに、多かれ少なかれ運のよかった企業同士の比較にほかならない。読者は運の重要性をすでに知っているのだから、めざましい成功を収めた企業とさほどでない企業とを比較して、ひどく一貫性のあるパターンが現れたときには、眉に唾をつけなければならない。偶然が働くケースで出現する規則的なパターンは、蜃気楼のようなものである。
運が大きな役割を果たす以上、成功例の分析からリーダーシップや経営手法のクオリティを推定しても、信頼性が高いとはいえない。たとえCEOがすばらしいビジョンとたぐいまれな能力を持っているとあなたがあらかじめ知っていたとしても、その会社が高業績を挙げられるかどうかは、コイン投げ以上の確率で予測することはできないのである。『ビジョナリー・カンパニー』で調査対象になった卓越した企業とぱっとしない企業との収益性と株式リターンの格差は、おおまかに言って調査期間後には縮小し、ほとんどゼロに近づいている。トム・ピーターズとロバート・ウォータマンのベストセラー『エクセレント・カンパニー』で取り上げられた企業の平均収益も、短期間のうちに大幅減を記録している。(p.302)
最近取り上げたチャーリー・マンガーの言葉「平均してみれば、ビジネスの質にかけるほうが、経営者の質にかけるよりもよいでしょう」が思い返されますね。(過去記事)
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