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2015年10月8日木曜日

どうすればインドを痛めつけられるか(チャーリー・マンガー)

チャーリー・マンガーが2007年に南カリフォルニア大学グールド・ロースクールの卒業式で述べた祝辞の8回目です。チャーリーが好んで取り上げる話題です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

他に私が見つけたアイデアは、前にマカフェリー学科長[原文はDean]が語っていた田舎者の話に含まれていたものです。その男は「自分がやがて死ぬ場所を知りたがって」いました。そこには行きたくなかったからですね。その田舎者の抱く考えはなんともバカバカしく思えるかもしれません。しかし、彼の考えには深遠な真実が含まれています。「逆転」することによって問題が容易に解決できることがよくあるからです。順応力のある複雑なシステムや心の中に組み上げた概念は、それによってうまく機能しています。問題を逆向きにしてとらえてみれば、うまく考えられる場合があるのですね。たとえば「インドを助けたい」としましょう。その際に「どうすればインドを助けられるだろうか」と問いかけるのはよくないですよ。そうではなく、こう問いかけるべきです。「どうすればインドを痛めつけることができるか」と。そうすれば最悪の損害を与える方法がわかりますから、それを避ければいいのです。この両者のやりかたは論理的には同じだと思えるかもしれません。しかし、他のやりかたでは解決策が見いだせない問題でも逆転すると容易に解けるようになることを、代数に熟達した人はわかっています。日常生活でも代数と同じように、他では手に負えない問題を解く際に逆転するやりかたが役に立ちます。

ちょっとした逆転の例をあげてみましょう。人生をまさしく失敗させるものはなんでしょうか。何を避けたいですか。簡単に思いつく回答があると思います。たとえば怠慢だったり、信頼できない人は失敗するでしょうね。どんな美徳があろうとも信頼できない人では問題にならず、早々に失墜です。ですから実行すると約束したことを誠実に実行するのは、みずからの振舞いにおいて自動的に行う部分とすべきです。もちろん、怠惰と不信義のどちらも避けたいと思うでしょうが。

Another idea that I discovered was encapsulated by that story Dean McCaffery recounted earlier about the rustic who “wanted to know where he was going to die, so he wouldn't go there.” The rustic who had that ridiculous sounding idea had a profound truth in his possession. The way complex adaptive systems work, and the way mental constructs work, problems frequently become easier to solve through “inversion.” If you turn problems around into reverse, you often think better. For instance, if you want to help India, the question you should consider asking is not: "How can I help India?" Instead, you should ask: "How can I hurt India?” You find what will do the worst damage, and then try to avoid it. Perhaps the two approaches seem logically the same thing. But those who have mastered algebra know that inversion will often and easily solve problems that otherwise resist solution. And in life, just as in algebra, inversion will help you solve problems that you can't otherwise handle.

Let me use a little inversion now. What will really fail in life? What do you want to avoid? Some answers are easy. For example, sloth and unreliability will fail. If you're unreliable it doesn't matter what your virtues are, you're going to crater immediately. So, faithfully doing what you've engaged to do should be an automatic part of your conduct. Of course you want to avoid sloth and unreliability.

備考です。高校を卒業する生徒への祝辞(過去記事)でも、同じ話題を取りあげています。

2 件のコメント:

リュウジ さんのコメント...

>その男は「自分がやがて死ぬ場所を知りたがって」いました。そこには行きたくなかったからですね。

さすがチャーリー、大事なことは何度でも繰り返しますね。もはやどこで発言した言葉なのかわからなくなってくるほどです(笑)

betseldom さんのコメント...

リュウジさん、こんにちは。いつもコメントをありがとうございます。

知恵深き人があえて「大事なことは何度でも繰り返してくれる」のですから、極めて重要ながらも身に付けがたい教えをかみしめたいと思います。

またよろしくお願いします。それでは失礼します。