Jeremy Grantham's Bullish Two-Year Outlook (Barrons.com)
バロンズに掲載された記事は、実は彼のファンドGMOの2013年第3四半期レターの文章そのものです。今回はその中から話題をいくつかご紹介します。なおグランサム氏のこの話題は、日経新聞のWebサイトでも取り上げられていました(「3割上昇後に急落? 米著名投資家のバブル論」)。(日本語は拙訳)
はじめの引用は、問題の箇所です。
私の個人的な想像では、米国株特に優良銘柄以外は、来年あるいは再来年までの可能性のほうが高そうですが、20%から30%ほど上がると思います。また新興市場を含む世界各国の株式市場も少なくとも部分的には追いつき、好転するでしょう。しかしそのあとにやってくるのが、1999年以来3度目となる深刻なまでの暴落です。グリーンスパンから始まってバーナンキ、イエレンとつづく面々は、おそらく休息をとるでしょう。彼らはみずからの経験による行く末をまぎれもなく予期しているはずです。もちろんですが、我々市民は相応の報いを受けることになります。
My personal guess is that the U.S. market, especially the non-blue chips, will work its way higher, perhaps by 20% to 30% in the next year or, more likely, two years, with the rest of the world including emerging market equities covering even more ground in at least a partial catch-up. And then we will have the third in the series of serious market busts since 1999 and presumably Greenspan, Bernanke, Yellen, et al. will rest happy, for surely they must expect something like this outcome given their experience. And we the people, of course, will get what we deserve.
次の引用こそ、彼の本音にあたる部分だと思います。(2013/11/25追記、一部訂正しました)
しかしそうなるまでは、投資家は米国市場がすでに相当割高だとわかっておくべきです。実際のところ、今後7年間のリターンは実質ベースでマイナスになると我々は確信しています。この夏にはほとんどの外国市場でも急上昇しましたが、いくぶん低いもののこれらも割高です。我々の見解では、分別ある投資家は総じて株式への投資分やリスク水準を既に減らしておくべきです。賢明な投資家(お望みならば「バリュー投資家」とも)は、相場が頂点に達する最終段階では、さまざまな楽しみをまず見送らざるを得ません。これはかなり苦しいことですが、投資における教訓のひとつなのです。今回の相場も、もはや例外ではありません。投機に参加したいという気持ちが慎重な姿勢をくじくかもしれませんし、たぶんそうなります。しかし、これが世の中というものです。中央銀行と共にある我らは、そうなって然るべきなのでしょう。
In the meantime investors should be aware that the U.S. market is already badly overpriced - indeed, we believe it is priced to deliver negative real returns over seven years - and that most foreign markets having moved up rapidly this summer are also overpriced but less so. In our view, prudent investors should already be reducing their equity bets and their risk level in general. One of the more painful lessons in investing is that the prudent investor (or "value investor" if you prefer) almost invariably must forego plenty of fun at the top end of markets. This market is already no exception, but speculation can hurt prudence much more and probably will. Ah, that's life. And with a Fed like ours it's probably what we deserve.
最後の引用はGMOらしい文章で、興味深い過去の事実を紹介しています。今回の彼の発言は、ここから始まっていたようですね。
GMOが設立された1977年の10月以来、36年間が経過しました。その間で、次期選挙に向けて景気を刺激するのが論理的・経験的に必要とされる大統領任期の3年目をみると、ほかの3年間合計よりも1.5倍以上の成績でした。一方の1,2年目はまさに引き締めの時期で、それに伴って市場も不調でした。もっとも不調だった5期分の大統領任期サイクルでは、1,2年目の平均の成績はマイナスでした。一方、3期分のサイクルでは非常に好調な成績におわっています。それら3期の結果が、過剰な刺激傾向を示すグリーンスパン=バーナンキ体制に完全に帰するとは言えませんが、ほとんどはそうだと言えるでしょう。大統領任期サイクルにおける1年間とは、始まりが10月1日で終わりが9月30日であることに留意しておいてください。その3期分のサイクルでの最初の2年間のリターンをみると、1996年のときが48%、1984年が43%、2004年が19%でした。さて、次の事実はおどろくべきものです。1996年から始まるサイクルの最終年は2000年ですが、市場が暴落した年です。1984年サイクルには1987年の暴落がありました。そして2004年サイクルでは2008年の金融危機が発生しています。現在のサイクルは1年目ですでに19%上昇しています。もちろん、非常に好調な2年間にとどまらず全部よかった、となるかもしれません。はたして、どうなることでしょうか。
Since October 1977 when GMO started, 36 years have passed. In that time - when logic and experience say you stimulate to help the next election - the third year has been over 1.5 times the other three added together and years one and two, when you should be tightening, have been commensurately weak. For the weakest five cycles, the average of years one and two was negative but for three cycles it was strong, even very strong. These three cannot be blamed totally on the Greenspan-Bernanke regime's tendency to overstimulate, but mostly they can. Bearing in mind that for us Presidential years run October 1-September 30, these three two-year returns were 1996, +48%; 1984, +43%; and 2004, +19%. Now, this is the scary part. 1996 ended in the 2000 crash, 1984 in the crash of 1987, and 2004 in the financial crash of 2008. In the current cycle we are already up 19% with a year to run! Of course, it may turn out to be a very strong two years and all will be well. Who knows?
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