[*] この手の考え(願望という名の亜種もあります)に関する興味深い例がありました。1975年の4月にカンファレンス・ボード[企業団体]が掲載した「年金基金運営における潮流」という記事で、マーティーが後日わたしに送付してくれました。ある製造業の企業が、入念に記した「投資上のガイドライン」の中で次のように宣言しています。「一般的な市場の指標、殊にS&P500を上回る長期的な成果を達成することは、合理的に期待できるものと我々は確信する。いかなる市場環境においても、我々はS&P500を超える成績を追求する」。そうですよヴァージニア、たぶん今年はすべてのアメフト・チームが勝ち越せるシーズンになるかもしれません。
年金基金はどこも揃ったように、平均以上の成績をあげたいと望んでいました。しかしそれが失望におわるのは明らかでした。当然ながら、生じた痛みによって失望が増幅され、投資の成績を上げようとして圧力を加えることがよくみられました。つまり、売買回転率を増やしたわけです。売買に伴うコストを精確に測定するのは困難です。しかし購入と売却の両方向を考慮すれば、最低でも平均2%に達するのはまちがいないと思います。許容できる四半期成績を残そうとするだけでなく、他の知恵深いマネージャーの有名なやりかたを真似しようと奮闘する資産運用者が[**]、ポートフォリオ中の銘柄を「正しい」ものへと積極的に入れ替えすれば、年間の売買回転率が平均25%に達するのは簡単です。成績熱が最高潮だったときには、劇的なまでに高い売買回転率を残した運用者がいたものでした。
[**] 短い間であれば、「実際に賢明である」よりも「賢明に見える」ほうが都合のいいことがよくあります。短時間のインタビューの結果で雇用の是非が決まるときには、特にそうです。ファンの人があなたのスイングを数回見ただけで雇うかどうかを決めるのであれば、ジョー・ディマジオやテッド・ウィリアムズを彷彿とさせるバッティングの型をできるようにしておくのが得策でしょう。その型では堅実な安打を打てる長期的確率は低く、クロスハンドでバットを握るほうが良い結果が出るとわかっていてもです。
それはともかく、プロ全体で見たときに売買回転率が25%で、回転ごとに2%の費用がかかるとすれば、全体としてみた成績は年率換算で0.5%低下することになります(預かり資産3,000億ドルのうちの15億ドルに相当)。つまりこれは、「資産運用者の半数があげる成績は、放置状態の成績(売買手数料が発生しません)よりは上の水準まで下落し、もう半数はそれ以下になる」という分散した結果にはならずに、売買費用という摩擦抵抗によって、半数以上の運用者が「平均」が意味するところよりも悪い成績に終わりがちなことを意味しています。
上記で示した理由によって、大企業の年金基金が資産運用であげた最近の成績は、「お粗末」以上「まあまあ」以下のところがほぼすべてでした。ベッカー調査(すべての年金投資を計測するもっとも包括的なサービス)では、以下のような数字を報告しています。
年間成績
S&P500 ベッカー調査による
成績中央値*直近市場周期3回分
(1962年6月30日 - 1974年12月31日)5.3% 4.1% 直近市場周期2回分
(1966年9月30日 - 1974年12月31日)2.1% 0.4% 直近市場周期1回分
(1970年6月30日 - 1974年12月31日)2.2% -0.3%
*株式指標と比較できるように、ポートフォリオの株式投資部分のみを対象とし、債券が占める部分は除外されています。
[*] An interesting example of this line of thinking (sub-species: wishful) occurs in the April, 1975, Conference Board "Trends in Pension Fund Administration" article which Marty sent me the other day. In a carefully written "Investment Guidelines" statement by a manufacturing company, it is announced: "We believe it is reasonable to expect long-term results superior to the usual market indexes, and the S & P 500 in particular. Specifically, we look for performance better than this index in all types of market environments." And yes, Virginia, maybe every football team can have a winning season this year.
So, clearly the almost universal expectations of above-average performance in pension fund management were doomed to disappointment. These disappointments were certain to be amplified by a corollary affliction that frequently accompanies pressure for investment performance - higher turnover rates. It is difficult to measure turnover costs with precision, but they certainly must run at least 2% on average when applied to the round trip of purchase and sale. If an investment manager, striving for not only acceptable quarterly performance but also for the appearance of behaving as other highly-thought-of managers are known to be behaving,[**] moves aggressively to keep his portfolio in the "right" stocks, he easily can average turnover rates of 25% per year. When the performance rage peaked, drastically higher turnover figures were recorded with some managers.
[**] In the short term, it frequently is better to look smart than to be smart, particularly if your employment is to be decided by a rather brief interview. If the fans are going to decide your hiring status based on only a few swings, it is prudent to develop a batting style that will remind them of Joe DiMaggio or Ted Williams, even if long-range your percentage of solid hits with that style is small and you know you obtain better results batting cross-handed.
In any event, a 25% turnover rate among professionals as a group, with 2% costs attached to such turnover, reduces group performance by 1/2 of 1% per annum ($1.5 billion per year on $300 billion of assets). This means that, instead of chance dispersal of results causing half of all managers to fall above the unmanaged performance level (which has no transaction costs) and half to be below, the frictional drag of turnover costs causes well over half to perform worse than what "average" might be assumed to be.
For the reasons set forth above, almost all recent investment management performance by pension funds of large corporations has been fair to poor. Specifically, the Becker study (most comprehensive of all pension investment measuring services) reports the following:
Overall Annual Return
S & P 500 Becker Median Result * Last 3 market cycles,
(6/30/62 to 12/31/74)5.3% 4.1% Last 2 market cycles,
(9/30/66 to 12/31/74)2.1% 0.4% Last single market cycle,
(6/30/70 to 12/31/74)2.2% (0.3%)
*Excludes bond segment of portfolios so that equity management only is measured against the equity yardstick.
2015年1月22日木曜日
2013年度バフェットからの手紙 - (付録)企業年金制度について(8)
ウォーレン・バフェットが、ワシントン・ポストのキャサリン・グラハム向けに書いた企業年金制度に関する注意について、8回目です。なお最初の段落は、前回分最終段落の注釈になります。(日本語は拙訳)
2015年1月20日火曜日
2014年の投資をふりかえって(5)継続銘柄:マイクロソフト他
2014年は、ポートフォリオの大半は手を付けることがなく、そのままの状態でした。全体としてみれば、好業績や市場からの評価の変化を享受できたように思えます(だからといって、今年も同じように期待できるとは考えていません)。気にとめている企業の四半期決算はそれなりに確認しましたが、そうでない企業はざっと数字に目を通しただけでした。今回と次回と次々回でポートフォリオ中のおもな現状維持銘柄について、ひととおり触れたいと思います。なお記述順は、ポートフォリオにおける評価金額の大きなものからです。また過去にブログで触れていない銘柄(従来からの保有分)は、取りあげていません。
■マイクロソフト(MSFT)
- 当社Webサイト(IR)
- Google Finance 株価
以下のリンク先は、過去2年間における振りかえり記事です。
2013年の投資をふりかえって(1)継続投資銘柄:マイクロソフト
2012年の投資をふりかえって(3)新規・追加投資編(マイクロソフト)
<株価の状況>
年始が37.41$で、年末には46.45$でした。上昇率は24%強です。現在の株価は46$強で、予想配当は1.24$ですから、配当利回りは約2.6%です。
<事業の状況>
当社の前CEOだったスティーブ・バルマーが2014年2月に退任して、新CEOに生え抜きのサティア・ナデラ氏が就任しました。次期CEOとして個人的に予想していたのはノキアのCEOだったスティーブン・エロップ氏ですが、1年間の実績を見るかぎりではサティア・ナデラを選んで正解だったと思います。サティアは実際的なレイオフや現実的な製品戦略・協業を確立・実行し、淀んでいたようにもみえた当社の空気を変えようとしています。スティーブ・バルマーの「マーケティング」主導路線を改め、「エンジニア」主導の企業文化へと向きを変えているようにもみえます。そのような空気はハイテク企業にとっては欠かせないもので、いずれ人材採用にも良い影響を及ぼしてくると想像します。
昨年の経営陣交代でサティア以上に画期的だったのは、ビル・ゲイツが会長を退任して、後任にジョン・トンプソン氏が就任したことです。創業者であるビル・ゲイツの立場では意思決定の際にバイアスがかかりやすかったでしょうが、他社での経験が豊富なトンプソン氏に交代したことで、経営判断の質が以前より向上したように思えてなりません。当社がくだす大きな経営判断は、トンプソン会長による厳しいテストを必ず受けることになるでしょう。これは今後も注視していきたい点です
もう2点ほど触れます。まずはOffice365の成長についてです。当社の業績を昨年度(FY2014)とその前期(FY2013)で比較すると、粗利益が約23億ドル増加して598億ドルになりました。そのうち企業向け部門が占める増加幅の割合は100%超で(つまり消費者向けやOEM向けのWindowsでは粗利益が減少しています)、その中でも利益成長に大きく貢献していると思われる製品がOffice365です。
Office365の販売形態は月額(や年額)使用料を支払うサブスクリプションであり、1契約あたりの売上金額の貢献度は従来方式よりも小さくなっていると思われます。しかし事実上永続的に課金できるだけでなく、わずかずつ値上げするのに好都合な契約形態であるため(電力会社やガス会社と似ていますね)、当社の収益基盤を強固にします。ライセンス方式によるソフトウェアの販売は当社でも以前から存在していますが(サーバーにアクセスするCALなど)、看板ソフトであるOffice(及び関連サービス)もその方式へと大きく前進しました。Office365はこの数年間に当社が進めた施策の中でもっとも重要な戦略だったと、個人的には捉えています。
もうひとつがクラウドについてです。上述したOffice365もクラウドで展開されるサービスの一環ですが、その他にOneDriveやAzure、Dynamics CRMがあります。クラウド業界では名だたる企業がしのぎを削っています。現在の最大手はAmazonで変わらず、2番手が当社、そしてGoogleやIBMなどがあげられます。この中でIBMには絶対的な既存顧客がついているので(おもに金融業界や政府部門)別枠と考えることにして、その他の有力企業であるAmazonやGoogleと競争して当社が勝ち残れるかが問題になります。昨年の記事でも喚起しましたが、今でもそれは変わっていません。個人的な答えとして確信までは至っていませんが、当社は勝ち残っていくだろうと予想しています。CEOになる前のサティア・ナデラが担当していた分野も、クラウドを含む企業向けシステムでした。このテーマは自分なりの考えをまとめて、いずれ取り上げたいと思います。
<当社に対する投資方針>
市場からの評価が大きく変化し、現在のPERは18前後と株式購入時より大きく上昇しました(キャッシュフローの観点では、償却額が大きいものの、設備投資も多額となっているのが現状です)。そのため株価の下落リスクも大きくなり、売却したい気持ちもあります。しかし当社の株式は売却せずに保有し続けたいという想いのほうが強く、今後しばらく(数年間か?)の株価下落は甘受するつもりです。
■バークシャー・ハサウェイ(BRK.B)
- 当社Webサイト
- Google Finance 株価
当社の株価は年始が118.56$で年末が150.15$でした。上昇率は約26%です。当社に関する私見は今回は取りあげず、2014年度の年次報告書が2月末に発表された後に書くつもりです。
■マイクロソフト(MSFT)
- 当社Webサイト(IR)
- Google Finance 株価
以下のリンク先は、過去2年間における振りかえり記事です。
2013年の投資をふりかえって(1)継続投資銘柄:マイクロソフト
2012年の投資をふりかえって(3)新規・追加投資編(マイクロソフト)
<株価の状況>
年始が37.41$で、年末には46.45$でした。上昇率は24%強です。現在の株価は46$強で、予想配当は1.24$ですから、配当利回りは約2.6%です。
<事業の状況>
当社の前CEOだったスティーブ・バルマーが2014年2月に退任して、新CEOに生え抜きのサティア・ナデラ氏が就任しました。次期CEOとして個人的に予想していたのはノキアのCEOだったスティーブン・エロップ氏ですが、1年間の実績を見るかぎりではサティア・ナデラを選んで正解だったと思います。サティアは実際的なレイオフや現実的な製品戦略・協業を確立・実行し、淀んでいたようにもみえた当社の空気を変えようとしています。スティーブ・バルマーの「マーケティング」主導路線を改め、「エンジニア」主導の企業文化へと向きを変えているようにもみえます。そのような空気はハイテク企業にとっては欠かせないもので、いずれ人材採用にも良い影響を及ぼしてくると想像します。
| サティア・ナデラ(当社Webサイトより) |
昨年の経営陣交代でサティア以上に画期的だったのは、ビル・ゲイツが会長を退任して、後任にジョン・トンプソン氏が就任したことです。創業者であるビル・ゲイツの立場では意思決定の際にバイアスがかかりやすかったでしょうが、他社での経験が豊富なトンプソン氏に交代したことで、経営判断の質が以前より向上したように思えてなりません。当社がくだす大きな経営判断は、トンプソン会長による厳しいテストを必ず受けることになるでしょう。これは今後も注視していきたい点です
| ジョン・トンプソン(当社Webサイトより) |
もう2点ほど触れます。まずはOffice365の成長についてです。当社の業績を昨年度(FY2014)とその前期(FY2013)で比較すると、粗利益が約23億ドル増加して598億ドルになりました。そのうち企業向け部門が占める増加幅の割合は100%超で(つまり消費者向けやOEM向けのWindowsでは粗利益が減少しています)、その中でも利益成長に大きく貢献していると思われる製品がOffice365です。
Office365の販売形態は月額(や年額)使用料を支払うサブスクリプションであり、1契約あたりの売上金額の貢献度は従来方式よりも小さくなっていると思われます。しかし事実上永続的に課金できるだけでなく、わずかずつ値上げするのに好都合な契約形態であるため(電力会社やガス会社と似ていますね)、当社の収益基盤を強固にします。ライセンス方式によるソフトウェアの販売は当社でも以前から存在していますが(サーバーにアクセスするCALなど)、看板ソフトであるOffice(及び関連サービス)もその方式へと大きく前進しました。Office365はこの数年間に当社が進めた施策の中でもっとも重要な戦略だったと、個人的には捉えています。
もうひとつがクラウドについてです。上述したOffice365もクラウドで展開されるサービスの一環ですが、その他にOneDriveやAzure、Dynamics CRMがあります。クラウド業界では名だたる企業がしのぎを削っています。現在の最大手はAmazonで変わらず、2番手が当社、そしてGoogleやIBMなどがあげられます。この中でIBMには絶対的な既存顧客がついているので(おもに金融業界や政府部門)別枠と考えることにして、その他の有力企業であるAmazonやGoogleと競争して当社が勝ち残れるかが問題になります。昨年の記事でも喚起しましたが、今でもそれは変わっていません。個人的な答えとして確信までは至っていませんが、当社は勝ち残っていくだろうと予想しています。CEOになる前のサティア・ナデラが担当していた分野も、クラウドを含む企業向けシステムでした。このテーマは自分なりの考えをまとめて、いずれ取り上げたいと思います。
<当社に対する投資方針>
市場からの評価が大きく変化し、現在のPERは18前後と株式購入時より大きく上昇しました(キャッシュフローの観点では、償却額が大きいものの、設備投資も多額となっているのが現状です)。そのため株価の下落リスクも大きくなり、売却したい気持ちもあります。しかし当社の株式は売却せずに保有し続けたいという想いのほうが強く、今後しばらく(数年間か?)の株価下落は甘受するつもりです。
■バークシャー・ハサウェイ(BRK.B)
- 当社Webサイト
- Google Finance 株価
当社の株価は年始が118.56$で年末が150.15$でした。上昇率は約26%です。当社に関する私見は今回は取りあげず、2014年度の年次報告書が2月末に発表された後に書くつもりです。
2015年1月18日日曜日
つらい人生だから、飲まずにいられない果汁(チャーリー・マンガー)
チャーリー・マンガーが1986年にハーヴァード高校の卒業生に贈った祝辞の3回目です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)
次は「ねたみ」についてです。もちろん、これもみじめになる上で薬物とならぶものです。モーセの戒律で非難されるはるか以前から、大惨事をひきおこしてきました。ねたんだ末にみじめになりたいのでしたら、よきクリスチャンとして知られているサミュエル・ジョンソンの伝記は一切読まないほうがよいでしょう。ねたみとは乗り越えられるもので、そうする利点があることを、他人がやってみたくなる形で実際に示したのが、彼の人生だったからです。
他人をうらむことは、私にとってもカーソン氏とまったく同じように働いてくれました。しかし、みじめになりたいという人に対して、それほど強くは推薦できません。[サミュエル・]ジョンソンは、これを見事に表現しています。「人生とは忍び難きものだから、『うらむ』という苦い皮に覆われた果実の絞り汁を飲まずにはいられない」と。
みじめになりたい方にもうひとつお勧めできるのは、ディズレーリ[イギリスの政治家]が評判を落としたやりかたを思い出してみることです。うらみごとをすっぱりと投げ出せない人向けのやりかたです。至高の首相の一人にまで達した頃に、ディズレーリは行動を起こす原動力として復讐心を抱くのをやめるようになりました。しかしうらみごとのはけ口は残しておきました。彼を不当に扱った人間の名を紙に書きつけ、ひきだしにしまっておいたのです。時折その名前を読み返し、みずからが手を下さずとも敵が世間から消えていった顛末を書き加えて、悦に入ったのでした。
カーソン氏の3つの処方はここまでです。これから4つは私の追加分です。
Envy, of course, joins chemicals in for causing misery. It was wreaking havoc long before it got a bad press in the laws of Moses. If you wish to retain the contribution of envy to misery, I recommend that you never read any of the biographies of that good Christian, Samuel Johnson, because his life demonstrates in an enticing way the possibility and advantage of transcending envy.
Resentment has always worked for me exactly as it worked for Carson. I cannot recommend it highly enough to you if you desire misery. Johnson spoke well when he said that life is hard enough to swallow without squeezing in the bitter rind of resentment.
For those of you who want misery, I also recommend refraining from practice of the Disraeli compromise, designed for people who find it impossible to quit resentment cold turkey. Disraeli, as he rose to become one of the greatest prime ministers, learned to give up vengeance as a motivation for action, but he did retain some outlet for resentment by putting the names of people who wronged him on pieces of paper in a drawer. Then, from time to time, he reviewed these names and took pleasure in noting the way the world had taken his enemies down without his assistance.
Well, so much for Carson's three prescriptions. Here are four more prescriptions from Munger:
2015年1月16日金曜日
2014年の投資をふりかえって(4)買い増し銘柄:日進工具、クラレ
今回は、数年前から投資して2014年に若干ながらも買い増しした企業2社をとりあげます。日進工具とクラレです。日進工具に投資を始めたのは2011年の秋から、そしてクラレは2012年の秋からです。以下のリンクにあるとおり、両社ともに過去2年間の投稿でも取りあげました。
2013年の投資をふりかえって(3)継続投資銘柄:日進工具
2012年の投資をふりかえって(3)新規・追加投資編(日進工具)
2013年の投資をふりかえって(4)継続投資銘柄:クラレ
2012年の投資をふりかえって(3)新規・追加投資編(クラレ)
なお2014年の新規投資銘柄としてサンリオ(8136)をあげましたが、同社については昨年に一度投稿していますので、今回は省略します(過去記事)。購入した株式はそのまま保有しており、今後も継続するつもりです。当社の第2四半期決算説明会動画を観たところ、鳩山常務の出番が増えていました。彼の表情はいつもどおりに戻ったようで、社内での位置づけが少し好転したように感じられました。欧州での訴訟問題もあり、当社のためにバリバリ働いているのではないでしょうか。
■日進工具(6157)
- 当社Webサイト
- Yahoo Japan! 株価
<事業の状況>
スマートフォン向けや自動車向けの需要が伸びているとのことで、業績は好調です。設備の増設を検討されているようで、好調な時期はどこの会社も似たような匂いが感じられます。
<株価の状況>
当社は2012年の秋に株式分割(1:2)を行いましたが、昨年2014年秋にも再び1:2の分割を行いました。その影響があったのか、前半は横ばいだった株価が7月から上昇しました。年初に867円(分割調整後)だった株価が年末には1,665円となり、上昇率は90%強でした。
一昨年の2013年に買い増ししたときは購入数が少なかったので、2014年に買うならばもう少しまとめて、との意識はありました。が、振り返ってみるとそれほどにはなりませんでした。買った時期は上図の赤矢印で、2月、4月、5月でした。その後に株価が上昇してからは買い増ししていません。
■クラレ(3405)
- 当社Webサイト
- Yahoo! Japan 株価
<事業の状況>
上述した日進工具とはちがって、当社に対する市場の評価はもうひとつの1年でした。しかし事業や会社のほうは変化があり、個人的には当社のほうを注視しています。
まず変化のひとつめは、昨年も触れたデュポン社からの部門買収が完了した件です。この部門が製造している主要製品に、ビニル・アセテート・モノマー(VAM)と呼ばれる原料があります。これは当社の主力製品である光学用ポバールフィルムやエバールの原料であるため、今回の買収で上流の領域を統合したことになります。このことは当社が長期的な戦略を遂行する上で重要な一歩になる、と想像します。それというのも、当社はポバールやエバールでとことんやっていく覚悟を持っており、そのためには原料供給の面で不安を残したくないからです。後顧の憂いを断っておき、そして北南米市場で大きな前進を遂げる。これがビニル・アセテート系事業における当社の長期戦略です(と書きましたが、単なるわたしの妄想です)。
もうひとつは、この1月から社長が交代して新中期計画が始まると共に、組織が変更された点です。当社の稼ぎ頭である光学用ポバールフィルムがこれまで属していた事業部門は、「ビニルアセテートカンパニー」でした。ここには他の主力製品群であるポバール樹脂やエバールも含まれており、各々の業績が混合して示されていました。しかし1月からの組織体制では、これが2つに分割されます。(光学用も含む)ポバールフィルムの事業はデュポンから買収したGLS部門等とまとめられて、「ビニルアセテートフィルムカンパニー」になりました。一方、ポバール樹脂とエバールは「ビニルアセテート樹脂カンパニー」です。この組織変更には、「ポバール樹脂やエバールさん、助けがなくても自分たちだけでしっかり利益を増やしなさいよ」という意図が感じられます。前述した個人的妄想につながる部分です。さらに一般投資家の視点という意味では、主力事業の成績を個別に把握しやすくなるのでは、と期待しています(当社発表資料[PDF])。(2015/2/17追記:決算発表会の説明映像によれば、ビニルアセテート系事業の情報開示は、分割せずにひとつにまとめるとのことです)
その光学用ポバールフィルムで少し暗い話題があります。第2四半期の決算説明会で質疑が交わされたように、当社顧客の日東電工が自社開発した材料(コーディングPVA)をもとに製造した偏光版フィルムが、セット・メーカーに採用されたようです(iPhone 6?)。一方で当社は超超広幅(かつ薄膜)の製造ラインを新たに稼働させており、ターゲットとするアプリケーション領域が遷移しているようにみえます。各社のアナリストはこの件を心配し続けていますが、わたしも自分なりにリスク要因として念頭に置くようにしています。ただし、この事業が具体的にどのように縮小(あるいは持続)するのか、正直なところよくわかりません。
さて当社は会計期を変更したため、この1月から新会計年度になります。そのため年末のタイミングで業績修正が発表されましたが、デュポンからの買収関連に伴う評価損等で、純利益が50億円減少するとのことでした(当社発表資料[PDF])。「高値を払ったつけが回った」と非難を受けるかもしれませんが、それは前社長である伊藤文大会長の責任です。50億円は、彼から新社長伊藤正明氏に向けた餞別でしょう。バランス・シートの掃除がそれなりに済んで、新たな一歩を気持ちよく踏み出せると思います。
<株価の状況>
年初が1,253円、年末が1,378円と、上昇率は10%弱でした。買い増しをしたのは下図の赤矢印で、1月下旬から2月上旬でした。いつもと同じで、ポートフォリオに影響を及ぼせない程度の数量にとどまりました。
<おまけ>
新体制、新中期計画ということで、当社の企業CMのヒロインも変更になりました。当社のサイト「クラレ ミラバケッソ キャンペーンサイト」から、黒島結菜さんの映像をお借りしました。
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しかし、広告などのキャンペーンで女性を起用する慣習は、繊維業界の名残か何かで続けているのでしょうかね。
2013年の投資をふりかえって(3)継続投資銘柄:日進工具
2012年の投資をふりかえって(3)新規・追加投資編(日進工具)
2013年の投資をふりかえって(4)継続投資銘柄:クラレ
2012年の投資をふりかえって(3)新規・追加投資編(クラレ)
なお2014年の新規投資銘柄としてサンリオ(8136)をあげましたが、同社については昨年に一度投稿していますので、今回は省略します(過去記事)。購入した株式はそのまま保有しており、今後も継続するつもりです。当社の第2四半期決算説明会動画を観たところ、鳩山常務の出番が増えていました。彼の表情はいつもどおりに戻ったようで、社内での位置づけが少し好転したように感じられました。欧州での訴訟問題もあり、当社のためにバリバリ働いているのではないでしょうか。
■日進工具(6157)
- 当社Webサイト
- Yahoo Japan! 株価
<事業の状況>
スマートフォン向けや自動車向けの需要が伸びているとのことで、業績は好調です。設備の増設を検討されているようで、好調な時期はどこの会社も似たような匂いが感じられます。
<株価の状況>
当社は2012年の秋に株式分割(1:2)を行いましたが、昨年2014年秋にも再び1:2の分割を行いました。その影響があったのか、前半は横ばいだった株価が7月から上昇しました。年初に867円(分割調整後)だった株価が年末には1,665円となり、上昇率は90%強でした。
一昨年の2013年に買い増ししたときは購入数が少なかったので、2014年に買うならばもう少しまとめて、との意識はありました。が、振り返ってみるとそれほどにはなりませんでした。買った時期は上図の赤矢印で、2月、4月、5月でした。その後に株価が上昇してからは買い増ししていません。
■クラレ(3405)
- 当社Webサイト
- Yahoo! Japan 株価
<事業の状況>
上述した日進工具とはちがって、当社に対する市場の評価はもうひとつの1年でした。しかし事業や会社のほうは変化があり、個人的には当社のほうを注視しています。
まず変化のひとつめは、昨年も触れたデュポン社からの部門買収が完了した件です。この部門が製造している主要製品に、ビニル・アセテート・モノマー(VAM)と呼ばれる原料があります。これは当社の主力製品である光学用ポバールフィルムやエバールの原料であるため、今回の買収で上流の領域を統合したことになります。このことは当社が長期的な戦略を遂行する上で重要な一歩になる、と想像します。それというのも、当社はポバールやエバールでとことんやっていく覚悟を持っており、そのためには原料供給の面で不安を残したくないからです。後顧の憂いを断っておき、そして北南米市場で大きな前進を遂げる。これがビニル・アセテート系事業における当社の長期戦略です(と書きましたが、単なるわたしの妄想です)。
もうひとつは、この1月から社長が交代して新中期計画が始まると共に、組織が変更された点です。当社の稼ぎ頭である光学用ポバールフィルムがこれまで属していた事業部門は、「ビニルアセテートカンパニー」でした。ここには他の主力製品群であるポバール樹脂やエバールも含まれており、各々の業績が混合して示されていました。しかし1月からの組織体制では、これが2つに分割されます。(光学用も含む)ポバールフィルムの事業はデュポンから買収したGLS部門等とまとめられて、「ビニルアセテートフィルムカンパニー」になりました。一方、ポバール樹脂とエバールは「ビニルアセテート樹脂カンパニー」です。この組織変更には、「ポバール樹脂やエバールさん、助けがなくても自分たちだけでしっかり利益を増やしなさいよ」という意図が感じられます。前述した個人的妄想につながる部分です。さらに一般投資家の視点という意味では、主力事業の成績を個別に把握しやすくなるのでは、と期待しています(当社発表資料[PDF])。(2015/2/17追記:決算発表会の説明映像によれば、ビニルアセテート系事業の情報開示は、分割せずにひとつにまとめるとのことです)
その光学用ポバールフィルムで少し暗い話題があります。第2四半期の決算説明会で質疑が交わされたように、当社顧客の日東電工が自社開発した材料(コーディングPVA)をもとに製造した偏光版フィルムが、セット・メーカーに採用されたようです(iPhone 6?)。一方で当社は超超広幅(かつ薄膜)の製造ラインを新たに稼働させており、ターゲットとするアプリケーション領域が遷移しているようにみえます。各社のアナリストはこの件を心配し続けていますが、わたしも自分なりにリスク要因として念頭に置くようにしています。ただし、この事業が具体的にどのように縮小(あるいは持続)するのか、正直なところよくわかりません。
さて当社は会計期を変更したため、この1月から新会計年度になります。そのため年末のタイミングで業績修正が発表されましたが、デュポンからの買収関連に伴う評価損等で、純利益が50億円減少するとのことでした(当社発表資料[PDF])。「高値を払ったつけが回った」と非難を受けるかもしれませんが、それは前社長である伊藤文大会長の責任です。50億円は、彼から新社長伊藤正明氏に向けた餞別でしょう。バランス・シートの掃除がそれなりに済んで、新たな一歩を気持ちよく踏み出せると思います。
<株価の状況>
年初が1,253円、年末が1,378円と、上昇率は10%弱でした。買い増しをしたのは下図の赤矢印で、1月下旬から2月上旬でした。いつもと同じで、ポートフォリオに影響を及ぼせない程度の数量にとどまりました。
<おまけ>
新体制、新中期計画ということで、当社の企業CMのヒロインも変更になりました。当社のサイト「クラレ ミラバケッソ キャンペーンサイト」から、黒島結菜さんの映像をお借りしました。
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しかし、広告などのキャンペーンで女性を起用する慣習は、繊維業界の名残か何かで続けているのでしょうかね。
2015年1月14日水曜日
2013年度バフェットからの手紙 - (付録)企業年金制度について(7)
ウォーレン・バフェットが、ワシントン・ポストのキャサリン・グラハム向けに書いた企業年金制度に関する注意について、7回目です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)
企業年金制度運営の歴史(第2幕)躍進のとき
そして探索が始まりました。ウォール街は商売上の真空地帯ができることを嫌悪します。そのため、顧客の心に信じたいという想いが生じると、それに関する商品が提供されます。ただし保証は付いてきませんが。許認可を受けた企業を投資家が求めていると、証券引受業者がそのような企業を推奨してくれます。もし見つからなければ、新たに設立されるでしょう。それと同じで、平均以上の投資成績を求めていれば、十分すぎるほどに約束してもらえます。少なくとも、その幻想は生み出されるものです。
当初、ものごとのわかっている人たちは、できないことは約束したがらないものです。顧客が去り始める頃の投資顧問は、新たな潮流がいかに不健全であるか非難し、昔ながらの方法が持つ利点を主張します。しかしわずかな流れの中に大波へとつづく兆しがみえると、ビジネスにおけるダーウィン的進化が優勢となり、ほとんどの組織がその環境に順応するようになります。これは資産運用業界で実際に起こったことです。
銀行は伝統的に主要な資産運用業者でした(年金制度を除けば)。概して彼らの投資は、コミュニケーションと同じように活気のないものでした。しかし企業の経営者が、新たに発見された巨大な「事業部」の面倒を見る役目をだれに許すべきか決めようとしてそのモノサシを探しはじめると、諸銀行は改善を図ったり、少なくとも改善のそぶりだけでもする必要があると感じました。企業の経営陣が求める対象は、おのずと次のようなものになりました。見事な組織図を有しており、多くの若手をそろえて、貪欲ながらも責任感ある人材を擁し(優秀な学校を出た大勢のMBA保有者)、意思決定や行動をすばやく実行できる能力を備えた集団です。ありていに言えば、自社と似た組織を求めているのです。その上で、近年にあげてきた実績も要求しました。
残念なことに、そのどちらも見つけることができました。
しかしプロの資産運用業界をひとつの集合とみれば、平均以上の成績をあげられないことは、少し考えてみれば当然だれにでもわかります。これは単に、その業界が投資の世界全体で相当な範囲を占めているからです。現在の株式売買のうちプロの資産運用業者が占める割合は約70%になる、との推計があります。「全体の70%を占める部分が、全体を大幅に上回る成績をあげるだろう」、その手の発想は次の話とよく似ていると思います。ポーカーの席で居並ぶ友人たちを前に、男がこう話す様子です。「いいか、お前ら。今夜はみんな慎重にプレーしろよ。そうすれば、全員がちょいとばかし勝てるんだぜ」[*]。
The History of Corporate Pension Plan Management Act Two - The Great Leap
And so the hunt was on. Wall Street abhors a commercial vacuum. If the will to believe stirs within the customer, the merchandise will be supplied - without warranty. When franchise companies are wanted by investors, franchise companies will be found - and recommended by the underwriters. If there are none to be found, they will be created. Similarly, if above-average investment performance is sought, it will be promised in abundance - and at least the illusion will be produced.
Initially those who know better will resist promising the impossible. As the clientele first begins to drain away, advisors will argue the unsoundness of the new trend and the strengths of the old methods. But when the trickle gives signs of turning into a flood, business Darwinism will prevail and most organizations will adapt. This is what happened in the money management field.
The banks had traditionally been the major money managers (leaving aside insured plans) and, by and large, their investing as well as their communication had been lackluster. They felt obliged to seek improvement, or at least the appearance of improvement, as corporate managers searched for yardsticks by which to make their decisions as to whom care of this newly discovered giant "division" should be granted. The corporate managers naturally looked for groups with impressive organizational charts, lots of young talent, hungry but appropriately conscious of responsibility, (heavy on MBAs from good schools), a capacity for speed in decision making and action - in short, organizations that looked something like they perceived themselves. And they looked for a record of recent performance.
Unfortunately, they found both.
A little thought, of course, would convince anyone that the composite area of professionally managed money can't perform above average. It simply is too large a portion of the entire investment universe. Estimates are that now about 70% of stock market trading is accounted for by professionally managed money. Any thought that 70% of the environment is going to substantially out-perform the total environment is analogous to the fellow sitting down with his friends at the poker table and announcing: "Well, fellows, if we all play carefully tonight, we all should be able to win a little."[*]
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