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2013年3月3日日曜日

2012年度バフェットからの手紙(2)みんなで走ろう

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バークシャー・ハサウェイの株主総会はお祭り気分をいっそう高めたいようで、今年はロードレースが加わるとのことです。前回のつづきで「株主のみなさんへ」から引用します。(日本語は拙訳)

日曜日の朝8時から「バークシャー5kmレース」を開催します。スタート地点はセンチュリーリンク[総会の開催場所]です。参加要項は総会参加証に添付される案内に記載します。いくつかの競技種目がありますが、「報道関係者」の部も用意する予定です。(自分たちの成績を報道するというのは楽しみですね)。残念ながら、わたしは参加を見合わせるつもりです。開始の号砲を鳴らす要員が必要ですから。

わたしどもには自前の足自慢がそろっていますので、ご用心ねがいます。まずはテッド・ウェシュラーですが、マラソンを3時間1分で走っています。活動的なブルックス[スポーツシューズなどの会社]のCEOであるジム・ウェーバーも快速で、ベストタイムは3時間31分です。トッド・コームズはトライアスロンが専門ですが、5kmのランでは22分を記録しています。

ここまではまだ序の口です。わたしども重役陣も(一部ですが)、走り屋ぞろいなのです。スティーブ・バークはボストン・マラソンの際になんと2時間39分で走りました(ご家族ぐるみのようで、奥さんのグレッチェンはニューヨーク・マラソンを3時間25分で走り終えています)。シャーロット・ガイマンのベストは3時間37分、スー・デッカーはニューヨークを走った際に3時間36分でテープを切っています。なお、チャーリーからは回答用紙が返ってきませんでした。(PDFファイル21ページ)

On Sunday at 8 a.m., we will initiate the “Berkshire 5K,” a race starting at the CenturyLink. Full details for participating will be included in the Visitor's Guide that you will receive with your credentials for the meeting. We will have plenty of categories for competition, including one for the media. (It will be fun to report on their performance.) Regretfully, I will forego running; someone has to man the starting gun.

I should warn you that we have a lot of home-grown talent. Ted Weschler has run the marathon in 3:01. Jim Weber, Brooks' dynamic CEO, is another speedster with a 3:31 best. Todd Combs specializes in the triathlon, but has been clocked at 22 minutes in the 5K.

That, however, is just the beginning: Our directors are also fleet of foot (that is, some of our directors are). Steve Burke has run an amazing 2:39 Boston marathon. (It's a family thing; his wife, Gretchen, finished the New York marathon in 3:25.) Charlotte Guyman's best is 3:37, and Sue Decker crossed the tape in New York in 3:36. Charlie did not return his questionnaire.

2013年3月2日土曜日

2012年度バフェットからの手紙(1)100年間はぐっすり眠れる

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バークシャー・ハサウェイのウォーレン・バフェットが、2012年度「株主のみなさんへ」を公開しました。前年度とは趣がやや異なり、今回は例年通りの構成で、一般的なものよりもバークシャー固有の経営状況を説明する話題が多かったように感じました。しかし一株主としては勉強になる文章が多く、追加投資を考えるきっかけになりそうです。

ウォーレンの書き物は通読する価値がありますが、ここでは個人的にご紹介したいと感じた文章を何度かにわけてとりあげます。(日本語は拙訳)

まずはアメリカビジネスの見通しについて。

アメリカのビジネスは今後も良好でしょう。そしてビジネスの成否と一蓮托生である以上、株式のほうもきっとうまくいくと思います。もちろん、後退する時期は周期的にやってくるでしょうが、投資家や経営者はすごく有利な立場でゲームに参加しているのです。(20世紀をふりかえると、費用のかさんだ戦争が4回あり、多くの景気後退に加えて大恐慌もおきました。しかしダウ工業平均は66から11,497ポイントへと、17,320%上昇しました。さらには100年間を通じてかなりの配当がでていたことも忘れてはなりません)

ゲーム自体が望ましいものなのですから、タロット占いでめくったカードや、「専門家のみなさん」がくだす予言や、事業活動の上で生じる潮の満ち引きといったものに応じて出たり入ったりをくりかえすのは、とんでもない間違いだと思います。ゲームに参加しているのと比べて、参加しないリスクのほうがずっと大きい。チャーリーとわたしはそう確信しています。(PDFファイル5ページ)

American business will do fine over time. And stocks will do well just as certainly, since their fate is tied to business performance. Periodic setbacks will occur, yes, but investors and managers are in a game that is heavily stacked in their favor. (The Dow Jones Industrials advanced from 66 to 11,497 in the 20th Century, a staggering 17,320% increase that materialized despite four costly wars, a Great Depression and many recessions. And don’t forget that shareholders received substantial dividends throughout the century as well.)

Since the basic game is so favorable, Charlie and I believe it’s a terrible mistake to try to dance in and out of it based upon the turn of tarot cards, the predictions of “experts,” or the ebb and flow of business activity. The risks of being out of the game are huge compared to the risks of being in it.


個人的な見解ですが、ウォーレンが触れている「ゲーム」とはあくまでも「素晴らしいビジネス」のことで、単なる「株式市場」ではありません。それは、今回の書簡を通読すれば感じられることです。

次は一転して、慎重な姿勢について。リーマンショックの際に破綻した各社が受けた一発撃沈を思い起こさせます。

わたしどもはデリバティブのポートフォリオの一部を少しずつ縮小しています。その中にはバークシャーが引き受けることになる、保険と似たようなリスクを有するものが含まれています(一方、電力ガス事業では操業上の理由からデリバティブを使い続けます)。一部の例外があるものの、新規の契約では担保を供することが要求されますが、そうするつもりはありません。市場はときに尋常ならざる動きをすることがあるからです。金融界において青天の霹靂ともなれば、山と積み上げてきたわれわれのキャッシュがものをいうときです。ですから、そのようなリスクにバークシャーをさらすつもりはありません。

チャーリーとわたしは、幾重にもわたって冗長なまでに流動性を確保しておく経営方針をとっております。また実際にキャッシュを流出させるような、いかなるたぐいの責務も負わないようにしています。そのせいで、100年間のうちの99年間はリターンを減少させることになりますが、100年目になって他社が軒並みコケたときでも生き残ることができます。そのうえ、100年間を通してぐっすり眠れる夜をすごせます。(同14ページ)

We continue to wind down the part of our derivatives portfolio that involved the assumption by Berkshire of insurance-like risks. (Our electric and gas utility businesses, however, will continue to use derivatives for operational purposes.) New commitments would require us to post collateral and, with minor exceptions, we are unwilling to do that. Markets can behave in extraordinary ways, and we have no interest in exposing Berkshire to some out-of-the-blue event in the financial world that might require our posting mountains of cash on a moment’s notice.

Charlie and I believe in operating with many redundant layers of liquidity, and we avoid any sort of obligation that could drain our cash in a material way. That reduces our returns in 99 years out of 100. But we will survive in the 100th while many others fail. And we will sleep well in all 100.


最後はおまけです。バークシャーのビジネスを説明する本文とは違って、5月の株主総会に関するウォーレンの文章はジョーク連発でした。この調子ですと、総会参加者総数は新記録を更新しそうです。

総会での質疑応答の際に会場を後にするようでしたら、チャーリーが話をしている順番のときにお願いします。(同21ページ)

If you decide to leave during the day's question periods, please do so while Charlie is talking.

2013年2月28日木曜日

グリーンスパンの失敗(チャーリー・マンガー)

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チャーリー・マンガーによるハーヴァード・ウェストレイク高校での講話、その6です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

学術界の失敗にふれたので、次は規制当局のほうに目を転じましょう。FRBのアラン・グリーンスパン、彼はアイン・ランドの読みすぎです。自由市場では何が起きても、たとえ殺人であったとしても基本的には許されるべきだ、と彼は考えたのです。頭のいい善良な人でしたが、勘違いをしていました。概してひとつのイデオロギーにとりつかれていると、度が過ぎた予測は身を滅ぼします。経済学がその道を歩み、アラン・グリーンスパンは誤った認知をしてしまいました。その原因は、いたって単純なことです。かれらは、自由市場は他のものよりもずっと予想しやすい手段だと考えていました。資本主義システムがある程度進展すれば、たとえば企業の資本を拠出した人が持ち分を売ったとしても、再び投資にまわすだろうと論じたのです。やめたければ退出する道も選べるのだから、誤った立地のレストランを買ったのとはわけが違うだろう、と。それが正論ならば、本当に自由で流動性の高い証券市場のほうが望まれるものだろうし、大きくてすごいほど文明の進展という意味でもいっそう望ましいことだ、と経済学者たちは結論づけたのです。

私がまだハーバードのロースクールに通っていたころは、1日に取引される株式が百万株に達することは稀でした。今ではそれが数十億株になっています。アラン・グリーンスパンのような経済学者の予想では、いずれ数兆株になると見込まれています。毎日数兆株も取引される世の中では 、我々の文明はうまくいっているとは言えないでしょう。このような愚の骨頂こそ、もっと本気になって将来を予測すべき問題です。もちろん30億とか40億株というのも多すぎですよ。今ではコンピュータプログラム同士で取引しており、本来は工学の分野で働くべき賢い人たちが大挙して、ヘッジファンドや投資銀行やアルゴリズム・トレーディングを手がけるようなところで働くようになりました。これがGDPの大きな割合を占めています。しかし、GDPの計算方法自体も奇天烈なものですね。犯罪がひどくて夜警を雇わざるをえなくなっても、GDPに数え上げられるのですから。経済学では、深く突きつめて考えようとする人はいません。というのも、より正確に現実に迫ろうとすれば、問題は混沌とし、複雑さを増していくからです。

With academia failing us, now we turn to what happened with our regulators. Well, Alan Greenspan at the Federal Reserve overdosed on Ayn Rand. Basically he kind of thought anything that happened in the free market, even if it was an axe murder, had to be ok. He’s a smart man and [a] good man, but he got it wrong. Generally, an over-belief in any one ideology is going to do you in if you extrapolate it too hard, and that’s what happened in economics. What happened in economics that caused Alan Greenspan’s cognitive failure is very simple. They reasoned correctly that a free market would be way more predictive than anything else, and they reasoned correctly that once you had a fairly advanced capitalist system - if the people that were putting up the capital could sell their pieces of ownership in the company to other people, they’d be more inclined to invest because it gave them an option to get out if they wanted to leave. It’s not like buying a restaurant in the wrong place. Then they reasoned that if that was true, if you had a really free, liquid, wonderful market in securities, that would be wonderful, and the bigger and more wonderful it was, the better it was for the wider civilization.

When I was at Harvard Law School, seldom did a million shares trade in a day. Now billions of shares trade everyday, and economics professors like Alan Greenspan presumably are looking forward to trillions. Our civilization is not going to work better if we have trillions of shares traded everyday. It’s the most asinine idea you could ever have to extrapolate so vigorously, and of course three or four billion shares is way too many. We have computer programs that are trading with other computer programs. We have many of the bright people who ought to be doing our engineering going to work at hedge funds and investment banks and algorithmic trading places and so on and so on. We’ve got this big share of the GDP - and by the way, the way GDP is calculated is peculiar. If the crime is so bad that I have to hire a night watchman, that adds to the GDP. Nobody in economics wants to look very deeply because it makes their problem messier and more complicated as you make it more correctly approaching reality.

2013年2月26日火曜日

コンサル会社のご託宣(ウォーレン・バフェット)

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今回ご紹介するのは、ウォーレン・バフェットの1995年度「株主のみなさんへ」からの引用で、企業買収の話題です。原文を読んでしばらくは意味がつかめなかったのですが、言わんとすることがわかって一笑してしまいました。おもしろい一節なので、既に翻訳がひろまっているものかもしれません。(日本語は拙訳)

買収に関するちょっとした論考をしめくくるにあたり、ある企業の重役が昨年わたしにうちあけてくれた小話をご紹介せずにはいられません。彼が歩んできたビジネスは優れており、業界において長らく主導的な地位を占めていました。しかし主力製品は悲惨なまでに魅力を失うようになり、数十年前のことですが、経営コンサルタントにみてもらうことにしました。当然ながら、多角化するように助言をうけました。それが当時の流行だったからです。(「集中」はまだ流行っていませんでした)。ほどなく同社は、コンサルティング会社の取りまとめた長大で費用のかかった分析結果をうけて、いくつかのビジネスを買収しました。さて、その結果どうなったかですが、その重役氏は力なく語ってくれました。「最初のころは、もとからのビジネスが儲けの100%をあげていました。それが10年後には、150%分になりました」。

Concluding this little dissertation on acquisitions, I can't resist repeating a tale told me last year by a corporate executive. The business he grew up in was a fine one, with a long-time record of leadership in its industry. Its main product, however, was distressingly glamourless. So several decades ago, the company hired a management consultant who - naturally - advised diversification, the then-current fad. ("Focus" was not yet in style.) Before long, the company acquired a number of businesses, each after the consulting firm had gone through a long - and expensive - acquisition study. And the outcome? Said the executive sadly, "When we started, we were getting 100% of our earnings from the original business. After ten years, we were getting 150%."


さて、予定どおりにいけば今週末にはウォーレンの新しいレターが公開されるはずです。ご参考までに、去年の分を過去記事でご紹介しています。

2013年2月24日日曜日

2012年の投資をふりかえって(3)新規・追加投資編(クラレ)

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前回(マイクロソフト)に続いて4件目の企業です。

<当社の概要>
当社は投資雑誌などで取り上げられており、個人投資家にも知られている企業と思われますが、事業内容を概括しておきます。社名そのものやランドセルでおなじみだった「クラリーノ」から繊維系を想像させますが、現在の当社の主力製品はプラスチック(合成樹脂)です。ただしそれらは大手化学メーカーの汎用品とくらべると独自性を有しているため、価格競争力を維持し高収益につながっています。

事業セグメント毎の営業成績は次のような割合になります。樹脂事業(プラスチック)が利益の大半をあげています。


部品や部材を扱う優良企業として、日東電工がよく知られています。同社は液晶パネル向け製品を展開したことで、大きく飛躍しました。たとえば偏光版は、市場の多くを住友化学と占めています。偏光板を生産するそれらの企業に対して、当社はプラスチック原料(ポバールフィルム)を提供しています。これは工学的特性が優れていることで、現在でも代替品を排除しています。当社はさらに上流の原料(ポバール)の業界リーダーでもあるため、供給面においても競争力が高く、ポバールフィルムは80%のシェアを確保しています。

もうひとつの主力製品エバール(EVOH樹脂)は、他の一般的なプラスチックよりも空気などの気体をよく遮断する特徴を持っています。従来の代表的な採用先は食品包装材でしたが、最近は自動車の燃料タンクでの採用が増えています。

これらのプラスチック以外にも、独自な特性を持つ製品を展開しています。主なものとして、液状ゴム<クラプレン>、透明で柔軟なアクリル系熱可塑性エラストマー(ゴム)<クラリティ>、高耐熱性樹脂<ジェネスタ>があり、いずれも売上拡大が期待できます。

<投資に至った背景>
日本企業の中では、当社は今後もまずまずの成長が期待できる一社と捉えていたのですが、市場も妥当な評価をしていたため、株式を買うには至っていませんでした。しかし昨年(2012年)は株価が低調に推移したため、割安な金額に達したと判断し、投資することにしました。

1. 主力製品の継続的成長
当社が成長できると考える理由は、主力製品ポバールやエバールがいくつかの観点で利益拡大が期待できるからです。個別にみると第一にあげられるのが、地域的な市場の拡大です。直近の動向としては北米において、生産拠点を拡大したり、川下の企業を買収して展開を進めています。

第二に、適用製品の拡大です。これは、日常的なマーケティングで進められる一般的なものです。が、以前に信越化学の回でも感じたのですが(過去記事)、上流に近い素材製品は市場での認知が進むと代替品への切り替えが起こりにくく、製品ライフサイクルが長期にわたる傾向があります。ポバールやエバールといった製品も、性能を顧客に認知してもらい、既存材料からの切り替えがまだ進行している段階です。軽薄短小化の進展も追い風となっています。マーケットシェアの面でもリードしており、優位な立場にあります。いずれはより高性能な素材に置き換えられたり、価格面で譲歩を余儀なくされるのでしょうが、顧客や適用先が多様で、シェア全体が浸食されるには時間がかかります。

第三が、コスト増に伴う製品価格改定、つまり値上げです。独占・寡占的な地位を活かせる製品については、ナフサ価格の上昇を製品価格へ転嫁することができます。

最後が、生産性向上によるコスト低減です。投資を検討した時点ではこの観点には気づいていませんでした。少し前に読んだ本から受けたアイデアですが(過去記事)、ふりかえってみると当社の説明会で経営陣が「コンパクトな新規設備」と発言していたことが思い出されます。効率化によって利益をしぼりだせるというのは、別の意味で魅力のある事業だとみています。

2. シーズ志向の好循環
研究開発の観点で成功している素材や部品メーカーを観察すると、2つのやりかたがみえます。ひとつは少し先の市場動向を的確にとらえ、すじのよい製品を開発して提供すること。これにあてはまる企業には日東電工やJSRなどが考えられます。マーケティングと研究開発がうまくかみ合った上で経営陣が機動的な采配を発揮することが要求されるため、総合力という意味で模倣しにくい競争力を持つ企業だと評価できます。

もうひとつは、独自の基礎的材料の研究開発や量産化に成功し、応用製品に展開するやりかたです。当社はこちらに当てはまると考えます。このやりかたの評価できる点は、2つの個人的な仮説に基づいています。第一が「独自な基礎材料は、応用の際にも独自の性質をあらわしやすい」とするものです。新規の適用先を探究する際に、独自な特性を持つ材料はそもそも化学組成や構造に特徴があるため、応用したあとでもそれが引き継がれ、思わぬ特性を導き出すのではないかと想像します。第二に「シーズをみきわめて育てる好循環が、企業内のDNAに刻み込まれる」とするものです。一般に、最初の成功を収めて財務的な安定が得られると、ふたたび同じやりかたを志向しやすくなるものです。成功体験に酔って転落することは少なくないので、このサイクル自体は両刃の剣として働きます。しかし第一の仮説が成り立つとしたら、良いサイクルとして働く可能性が高まります。独自性やニッチに生きる道を大切にするようになれば、より自律的な企業文化をはぐくむ可能性を秘めているからです。ただし、現在の当社に対して楽観視しているわけではありません。あくまでも「望ましい可能性が期待できる」という程度です。

3. 好財務
2011年度末の時点で総負債控除後の現金等流動資産がおよそ1,000億円あり、自社株買いや買収に使える点で魅力を感じました。なお当社の有形固定資産純額(除く建設仮勘定)は、約1,300億円です。

<リスク>
1. 次の大型製品がみえないこと
上の図で示したように、利益の大半を樹脂事業(ポバールやエバール)に依存しており、多岐な採用が見込まれる他の基礎的製品は顕在化していません。市場の開発は日々の地道なマーケティングを踏まえたものであり、将来の市場の幅や深さを予想するのは難しいものです。さらに投資家の視点で当社の次世代製品を占うには、専門知識と洞察力が要求されます。その意味で、個人的には次の大型製品の可能性はまったくみえていません。

2. ディスプレイ市場における、液晶から新技術への急速な変化
上記と関連する話題ですが、液晶パネルの偏光板の材料であるポバールフィルムにおいて当社は市場を寡占しており、高水準の利益率を維持していると思われます。そのためディスプレイの市場や技術動向が当社の利益に大きく影響するとみるべきです。直近のニュースで「超複屈折フィルム」を採用した新型液晶パネルがとりあげられていました。これは液晶技術を延命させるのに寄与すると思われる新技術です。しかし、有機ELのような非液晶技術においても革新を目指した研究がすすめられているでしょうから、遠くない時点(たとえば10年以内)で液晶が新技術に置き換えられる可能性は大きいと考えます。

3. 生産拠点の災害リスク
主力生産拠点の岡山事業所は規模が大きく、川上製品を生産していることもあり、災害が発生したときには当社全体でみた製品出荷が滞る恐れがあります。しかし地震リスクの小さい地方であるとともに、国内外に他生産拠点が展開されており、大きなリスクではないと捉えています。

<売買記録>
2012年7月下旬から10月上旬にかけて購入しました。平均購入単価は900円弱で、予想PER9倍程度の金額でした。株価がもっと下落するのに備えていたこともあり、本格的な買い付けには至りませんでした。割安な水準になれば、今後も買い増ししたい銘柄です。