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2015年3月8日日曜日

2014年度バフェットからの手紙(7)なぜコングロマリットなのか(前)

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ウォーレン・バフェットによる2014年度「バフェットからの手紙」、今回から「第2部バークシャー現在編」です。改めて言うことではないですが、ウォーレンの文章はどこを切っても金太郎、ではなくて、どこを読んでも勉強になりますね。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

現在のバークシャー

現在のバークシャーは、さまざまな領域に広がるコングロマリットとなりました。そしてその領域をさらに広げようと取り組み続けています。

コングロマリットに対する投資家の評判がひどいことは、認めておくべきです。そうなるだけの資格が十分にあるからです。そこでまずコングロマリットが不人気な理由を説明してから、なぜコングロマリットの形態が容易には消えない巨大な優位をバークシャーにもたらすのか描くことにします。

わたしがビジネスの世界に入ってから、コングロマリットが極端な人気を享受した時期が何度かありました。一番ばかげていた時期が1960年代末です。当時のコングロマリットのCEOがやればよい手順は単純なものでした。コングロマリットの経営者らはまず、本人の個性、広告宣伝、疑わしき会計のいずれか、場合によってはそれらすべてを使って、自社の株がたとえばPER20倍へと巣立つように操作します。そしてすかさず株式を追加発行し、その資金でPER10程度の値段が付いている事業を買収します。会計上の処理としては「持分プーリング法」をすみやかに適用します。根底にある事業の価値はビタ一文変わらないものの、EPSは自動的に増加します。その上昇を以って、経営の天才である証拠とするのです。次に彼らは投資家に対して、「この種の才能があるのだから、買収者たる企業のPERは維持されて当然、もっといえば拡大すべきだ」と説明します。そして最後に「この手続きは際限なく繰り返され、それゆえにEPSがずっと増え続ける」と約束するのです。

1960年代が終わるころになると、ウォール街はこのまやかしを激しく愛するようになりました。EPSを上昇させる工作をする際に疑わしい操作が行われだすと、特にそれらの曲芸によって合併話が生じ、投資銀行家に莫大な手数料が入るとなれば、ウォール街の住人にはいつでも疑うことをやめる用意があります。また会計監査人は、コングロマリット企業の会計処理に対して嬉々として聖水をふりまき、ときには良い数字をさらに絞り出す方法を示唆することもありました。楽に儲かるお金があふれ出したことで、多くの人の倫理的感覚が洗い流されてしまったのです。

拡大するコングロマリットにおいてEPSが増加したのは、PERの差異を活用することにありました。そのためコングロマリットのCEOは、低いPERで売られている事業を探す必要がありました。もちろんそういった事業とは、長期的見通しが暗い平凡な類いの企業です。しかし彼らは底値買いを狙うように仕向けられていたので、コングロマリットの有する事業群はたいていの場合、ますますガラクタとなっていきました。しかし投資家にとってはそれはほとんど問題ではなく、買収の頻度がどれだけ多いか、プーリング法でどれだけ利益が増えるかのほうが大切でした。

褒めそやす報道が、合併活動によって生じた大騒ぎを煽りました。ITTやリットン・インダストリーズ、ガルフ&ウェスタン、LTVといった各社がもてはやされ、そのCEOらは有名人となったのです。(一時期有名だったそれらのコングロマリットは、ずっと前に消えてしまいました。「すべてのナポレオンには、いつもウォーターゲートが待っている」とはヨギ・ベラの言葉です)[成り上がった皇帝には、いつもスキャンダルが待っている]

当時はあらゆる類いの会計操作が、正当化されるか過小評価されていました。その多くの透明性はお話しになりませんでした。実際のところ、拡大するコングロマリットのかじ取りに会計の魔術師を加えることは多大なプラスになる、と考えられていたのです。そのような状況にある株主は、事業成績の実態がどれだけ悪くなっても、報告利益は決して失望するものではないことを確信できました。

1960年代の末に参加したある会合で、買収好きなCEOがみずからの「大胆かつ創造的な会計処理」を自慢していました。聴衆のアナリストはそれにうなづく人ばかりで、事業の結果がどうであろうと予測を外さない経営者を見つけた、と考えていました。

しかし最後には時計の針が12時を指し、すべてはカボチャとネズミに戻りました。チェーン・レターとちょうど同じように、割高な値段で株式を連続発行するそのビジネスモデルは、ほぼまちがいなく富を再分配するものであり、決して富を生み出すものではないことが、いまひとたび明らかになったのです。それにもかかわらず、わたしたちの国ではどちらの現象も周期的に流行します。それはすべての仕掛け人がみる夢です。また、注意深く組み立てられた別の様子をまとって現われることがよくあります。それでも結末はいつも同じです。だまされやすい人のお金が詐欺師へと移ってしまうのです。ただしチェーン・レターとは違って、株の場合には膨大な金額が強奪されることもあります。

BPLそしてバークシャーは、株式を発行して無茶をやる企業に投資したことはありません。そのふるまいは、次のような事情を示す確実な一面だからです。つまり経営者が何かを仕掛けたがっていたり、あやしい会計処理をしていたり、株価が過大評価されていたり、そして非常によくあるように何もかもが不誠実、といったことをです。(PDFファイル28ページ目)

Berkshire Today

Berkshire is now a sprawling conglomerate, constantly trying to sprawl further.

Conglomerates, it should be acknowledged, have a terrible reputation with investors. And they richly deserve it. Let me first explain why they are in the doghouse, and then I will go on to describe why the conglomerate form brings huge and enduring advantages to Berkshire.

Since I entered the business world, conglomerates have enjoyed several periods of extreme popularity, the silliest of which occurred in the late 1960s. The drill for conglomerate CEOs then was simple: By personality, promotion or dubious accounting - and often by all three - these managers drove a fledgling conglomerate's stock to, say, 20 times earnings and then issued shares as fast as possible to acquire another business selling at ten-or-so times earnings. They immediately applied "pooling" accounting to the acquisition, which - with not a dime's worth of change in the underlying businesses - automatically increased per-share earnings, and used the rise as proof of managerial genius. They next explained to investors that this sort of talent justified the maintenance, or even the enhancement, of the acquirer's p/e multiple. And, finally, they promised to endlessly repeat this procedure and thereby create ever-increasing per-share earnings.

Wall Street's love affair with this hocus-pocus intensified as the 1960s rolled by. The Street's denizens are always ready to suspend disbelief when dubious maneuvers are used to manufacture rising per-share earnings, particularly if these acrobatics produce mergers that generate huge fees for investment bankers. Auditors willingly sprinkled their holy water on the conglomerates' accounting and sometimes even made suggestions as to how to further juice the numbers. For many, gushers of easy money washed away ethical sensitivities.

Since the per-share earnings gains of an expanding conglomerate came from exploiting p/e differences, its CEO had to search for businesses selling at low multiples of earnings. These, of course, were characteristically mediocre businesses with poor long-term prospects. This incentive to bottom-fish usually led to a conglomerate's collection of underlying businesses becoming more and more junky. That mattered little to investors: It was deal velocity and pooling accounting they looked to for increased earnings.

The resulting firestorm of merger activity was fanned by an adoring press. Companies such as ITT, Litton Industries, Gulf & Western, and LTV were lionized, and their CEOs became celebrities. (These once-famous conglomerates are now long gone. As Yogi Berra said, "Every Napoleon meets his Watergate.")

Back then, accounting shenanigans of all sorts - many of them ridiculously transparent - were excused or overlooked. Indeed, having an accounting wizard at the helm of an expanding conglomerate was viewed as a huge plus: Shareholders in those instances could be sure that reported earnings would never disappoint, no matter how bad the operating realities of the business might become.

In the late 1960s, I attended a meeting at which an acquisitive CEO bragged of his "bold, imaginative accounting." Most of the analysts listening responded with approving nods, seeing themselves as having found a manager whose forecasts were certain to be met, whatever the business results might be.

Eventually, however, the clock struck twelve, and everything turned to pumpkins and mice. Once again, it became evident that business models based on the serial issuances of overpriced shares - just like chain-letter models - most assuredly redistribute wealth, but in no way create it. Both phenomena, nevertheless, periodically blossom in our country - they are every promoter's dream - though often they appear in a carefully-crafted disguise. The ending is always the same: Money flows from the gullible to the fraudster. And with stocks, unlike chain letters, the sums hijacked can be staggering.

At both BPL and Berkshire, we have never invested in companies that are hell-bent on issuing shares. That behavior is one of the surest indicators of a promotion-minded management, weak accounting, a stock that is overpriced and - all too often - outright dishonesty.

2015年3月7日土曜日

2014年度バフェットからの手紙(6)今日のバークシャーを描いた男(後)

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ウォーレン・バフェットによる2014年度「バフェットからの手紙」を取りあげています。「第2部バークシャー過去編」は今回までで、次回からは「現在編」です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

わたしの行動を変えるのは、そう簡単なことではありません(家族に訊いてみてください)。チャーリーから言われずとも、それまで十分な成功を享受してきました。そうであれば、どうしてビジネス・スクールに1日も通ったことのない弁護士の言うことを聞かねばならないのでしょうか(かく言うわたしは、都合3か所[のビジネス・スクール]に通ったのですぞ)。しかしチャーリーはビジネスや投資に関するみずからの教えを、わたしに説き続けました。彼の論理は覆せるものではなく、そのためチャーリーの設計図をもとにバークシャーを築いていくことになりました。わたしの役目はゼネコンと同じでした。そして子会社のCEO諸氏が、協力会社として実際の仕事を行ったわけです。

1972年はバークシャーの転換点となった年でした(ただしわたしの担当分のせいで、後戻りするときもありました。たしか、ウォームベックを1975年に買ったのはわたしでしたね)。チャーリーとわたしとバークシャーで過半数を保有するブルーチップ・スタンプ社を使って、シーズ・キャンディー社を買収する機会がやってきたのです。なおブルーチップ社はのちに、バークシャーと合併しました。

シーズ社は、西海岸で箱詰めチョコを製造販売する伝説的な企業でした。当時の税引き前利益は400万ドルで、使用されている純有形資産はわずか800万ドルでした。さらに同社には、貸借対照表には現われない莫大な資産がありました。重大な価格決定力をもたらす、容易には消えない広範な競争優位性です。その強みのおかげで、シーズ社は時を追うごとに利益を大きく増加させることができたと言えます。さらにうれしいことに、そうなっていく際に追加の投資がわずかで済んだことです。言いかえれば、シーズ社からは何十年にもわたって現金があふれ出すと期待できたのです。

シーズ社を支配していた一族は、事業の対価として3,000万ドルを要求しました。「それだけの価値はある」と、すでにそのとき言い当てていたのはチャーリーでした。しかしわたしは2,500万ドルしか払う気はありませんでした。たとえその金額でも、全然ワクワクしませんでした(純有形資産の3倍もの値段ですから、鼓動のほうがドキドキしました)。わたしの用心が見当違いだったせいで、すばらしい買い物がふいになっていたかもしれません。しかし幸運だったことに、売り手はわたしたちの提示した2,500万ドルを呑んでくれました。

今日までにシーズ社があげた利益は、税引き前で19億ドルになります。一方、成長に必要な追加投資は4,000万ドルで済みました。シーズ社は莫大な額になる資金をもたらしてくれたので、バークシャーが他の事業を買う際に助かりました。そして買収した事業のほうも同じように、他へ回せる利益を大量に生み出したのです(ウサギの繁殖を思い浮かべてください)。その上、シーズ社の事業運営を観察できたおかげで、強力なブランドが持つ価値のことをビジネスを通じて学べました。それによってわたしは、さまざまな他の高収益な投資先へと目を向けるようになったのです。

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チャーリーによる設計図があったものの、ウォームベック以降もいろいろとまちがいをやりました。一番おぞましかったのがデクスター・シュー社でした。同社を1993年に買収した時にはすばらしい業績がつづいており、どう見てもシケモクには見えませんでした。しかし同社が持っていた競争上の強みはすぐに蒸発してしまいました。外国企業との競争のせいですが、そうなることをわたしが考えていなかっただけです。

バークシャーが4億3,300万ドルを払ったデクスター社は、結局あっというまに価値がゼロになりました。しかしGAAPの会計原則は、私の失敗の度合いを記録できるようなものではありません。わたしがデクスター社の売り手に払ったのは、現金ではなくてバークシャー株でした。買収に使われた株式は現在の価値にすると57億ドル、つまりこれが実際に起こったことなのです。この件は、金融界における失敗の世界記録としてギネスブックに載ってもおかしくないと思います。

その後にわたしがまちがえた中には、バークシャー株を買収に使った案件もありました。しかし買収した事業は、利益をあげるのが精一杯となってしまいました。その種のまちがいは致命的です。すばらしい事業、つまり一番確実なのがバークシャーですが、その株式と「そこそこな」事業の所有権を交換するのは、修復不能までに価値を損なってしまうからです。

それと同じように、バークシャーが株式を保有する企業がこのまちがいをした際にも、わたしたちは金融的な意味で苦しみました(わたしが取締役に加わっていた企業で、そういったまちがいが起きたこともありました)。初歩的な現実に目がいかないCEOが多すぎます。つまり買収先に与える株式の本源的な価値が、受け取る事業の本源的な価値を上回ってはいけない、という意味です。

買収を検討している会社の取締役会に対して投資銀行家が株式交換を提案する際に、何よりも重要なこの計算を数字で示した例は一度も見たことがありません。そのかわりに銀行家が専念しているのは、「慣例となっている」上乗せ価格をどう描写するかです。その金額は現在の買収において支払われているものですが、買収先の魅力を測るにはまぎれもなくおろかな方法です。あるいは、その取引が買収側のEPSを増加させるかどうかについて熟考しているのかもしれません(EPSは買収の決定要因とすべきではありません)。1株当たり利益を望ましい数字に到達させようと奮闘してゼイゼイと肩で息をするCEOは、その「助力者たち」と共同で非現実的な「シナジー」を思い描くことがあります。(19社の取締役を何年もやってきましたが、「反シナジー」の話題が出たことはまったくありません。しかしひとたび取引が終わると、それが山ほど出てくるのを目撃してきました)。買収後検視、つまり当初の見通しと実績を正直に比較する作業が、アメリカ企業の取締役会で実施されるのは稀です。これは標準的な慣行とすべきです。

わたしが去ったあともずっと、バークシャーが買収をするために株式を追加発行するとなれば、CEOや取締役会は本源的価値を注意深く算出するとお約束できます。80ドルのものを買うのに100ドルを出していたら、金持ちにはなれません。(みなさんが高い金額を助言者に支払って、交換することを支持するとの「公平な」意見を頂戴する場合でも同じです)

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バークシャーがおこなってきた買収は、全体としてみればうまくいきました。大型の案件では非常にうまくいったものがいくつかありました。そして証券への投資もうまくいきました。後者に関する貸借対照表での評価は常に市場価格によってなされており、未実現のものも含んだすべての利益が当社の純資産へ速やかに反映されています。しかしまるごと買収した事業については、貸借対照表で再評価されて増加することは起こりえません。それらの事業は簿価より何十億ドルも高い値段で売却できる、としてもです。この10年間にバークシャーの子会社は、際立って速いペースで成長してきました。その価値が増したことで、未実現利益は莫大なものとなりました。

こうなったのも、チャーリーの考えに従ったおかげです。(PDFファイル26ページ目)

Altering my behavior is not an easy task (ask my family). I had enjoyed reasonable success without Charlie's input, so why should I listen to a lawyer who had never spent a day in business school (when - ahem - I had attended three). But Charlie never tired of repeating his maxims about business and investing to me, and his logic was irrefutable. Consequently, Berkshire has been built to Charlie's blueprint. My role has been that of general contractor, with the CEOs of Berkshire's subsidiaries doing the real work as sub-contractors.

The year 1972 was a turning point for Berkshire (though not without occasional backsliding on my part - remember my 1975 purchase of Waumbec). We had the opportunity then to buy See's Candy for Blue Chip Stamps, a company in which Charlie, I and Berkshire had major stakes, and which was later merged into Berkshire.

See's was a legendary West Coast manufacturer and retailer of boxed chocolates, then annually earning about $4 million pre-tax while utilizing only $8 million of net tangible assets. Moreover, the company had a huge asset that did not appear on its balance sheet: a broad and durable competitive advantage that gave it significant pricing power. That strength was virtually certain to give See's major gains in earnings over time. Better yet, these would materialize with only minor amounts of incremental investment. In other words, See's could be expected to gush cash for decades to come.

The family controlling See's wanted $30 million for the business, and Charlie rightly said it was worth that much. But I didn't want to pay more than $25 million and wasn't all that enthusiastic even at that figure. (A price that was three times net tangible assets made me gulp.) My misguided caution could have scuttled a terrific purchase. But, luckily, the sellers decided to take our $25 million bid.

To date, See's has earned $1.9 billion pre-tax, with its growth having required added investment of only $40 million. See's has thus been able to distribute huge sums that have helped Berkshire buy other businesses that, in turn, have themselves produced large distributable profits. (Envision rabbits breeding.) Additionally, through watching See's in action, I gained a business education about the value of powerful brands that opened my eyes to many other profitable investments.

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Even with Charlie's blueprint, I have made plenty of mistakes since Waumbec. The most gruesome was Dexter Shoe. When we purchased the company in 1993, it had a terrific record and in no way looked to me like a cigar butt. Its competitive strengths, however, were soon to evaporate because of foreign competition. And I simply didn't see that coming.

Consequently, Berkshire paid $433 million for Dexter and, rather promptly, its value went to zero. GAAP accounting, however, doesn't come close to recording the magnitude of my error. The fact is that I gave Berkshire stock to the sellers of Dexter rather than cash, and the shares I used for the purchase are now worth about $5.7 billion. As a financial disaster, this one deserves a spot in the Guinness Book of World Records.

Several of my subsequent errors also involved the use of Berkshire shares to purchase businesses whose earnings were destined to simply limp along. Mistakes of that kind are deadly. Trading shares of a wonderful business - which Berkshire most certainly is - for ownership of a so-so business irreparably destroys value.

We've also suffered financially when this mistake has been committed by companies whose shares Berkshire has owned (with the errors sometimes occurring while I was serving as a director). Too often CEOs seem blind to an elementary reality: The intrinsic value of the shares you give in an acquisition must not be greater than the intrinsic value of the business you receive.

I've yet to see an investment banker quantify this all-important math when he is presenting a stock-for-stock deal to the board of a potential acquirer. Instead, the banker's focus will be on describing "customary" premiums-to-market-price that are currently being paid for acquisitions - an absolutely asinine way to evaluate the attractiveness of an acquisition - or whether the deal will increase the acquirer's earnings-per-share (which in itself should be far from determinative). In striving to achieve the desired per-share number, a panting CEO and his "helpers" will often conjure up fanciful "synergies." (As a director of 19 companies over the years, I've never heard "dis-synergies" mentioned, though I've witnessed plenty of these once deals have closed.) Post mortems of acquisitions, in which reality is honestly compared to the original projections, are rare in American boardrooms. They should instead be standard practice.

I can promise you that long after I'm gone, Berkshire's CEO and Board will carefully make intrinsic value calculations before issuing shares in any acquisitions. You can't get rich trading a hundred-dollar bill for eight tens (even if your advisor has handed you an expensive "fairness" opinion endorsing that swap).

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Overall, Berkshire's acquisitions have worked out well - and very well in the case of a few large ones. So, too, have our investments in marketable securities. The latter are always valued on our balance sheet at their market prices so any gains - including those unrealized - are immediately reflected in our net worth. But the businesses we buy outright are never revalued upward on our balance sheet, even when we could sell them for many billions of dollars more than their carrying value. The unrecorded gains in the value of Berkshire's subsidiaries have become huge, with these growing at a particularly fast pace in the last decade.

Listening to Charlie has paid off.

2015年3月6日金曜日

2014年度バフェットからの手紙(5)今日のバークシャーを描いた男(前)

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ウォーレン・バフェットによる2014年度「バフェットからの手紙」の「第2部バークシャー過去編」がつづきます。至高のパートナー、チャーリー・マンガーの登場です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

チャーリーに正される

わたしのとったシケモク戦略は、少ない金額を運用している間は非常にうまく機能しました。実際、1950年代に無料喫煙の機会が何十回と得られたおかげで、相対的あるいは絶対的のどちらにおいても、その10年間が生涯をとおして最高最上の成績をあげた時期になりました。

しかしその当時でも、シケモクではない例外が何度かありました。一番重要だったのがGEICO(ガイコ)です。のちに同社のCEOとなるすばらしい男性ロリマー・デービッドソン氏と1951年に話を交わしたおかげで、GEICOの事業がすばらしいことを教わりました。そしてわたしは、自分の純資産9,800ドルのうちの65%を投じて同社の株を買いました。ただし当時あげた利益のほとんどは、安売りされていたぱっとしない企業への投資によるものでした。ベン・グレアムから教わった技術がうまくいったのです。

しかし、このやりかたの大きな弱点が次第にはっきりしてきました。シケモク投資は、ある水準までしか対応できなかったのです。金額が大きくなると、まるでうまくいきませんでした。

さらに言えるのが、あまり儲からない事業を割安な値段で買うのは短期的な投資としては魅力があるかもしれませんが、持続していける大きな企業を築く基盤としてはまちがっている点です。結婚相手を選ぶとなれば、デートの相手を選ぶよりも厳しい条件がでてくるはずです。(ここで申し上げておきますと、バークシャーは「デートの相手」としては申し分なかったと思います。シーベリー・スタントン氏が提示した1株11.375ドルで持ち分を売却していれば、バークシャーへの投資によるBPLの年間加重利益率はおよそ40%になっていたからです)

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シケモクを拾うわたしの習い性を断ったのはチャーリー・マンガーでした。非常に大規模でも満足のいく利益をあげられる、そのような事業を築く道のりを彼は示してくれました。チャーリーは現在わたしが住んでいる家から100メートルほど離れた場所で育ちました。子供の頃には、わたしの祖父が営む食料品店で働いていました。実はわたしも同じことをやりました。それなのにわたしがチャーリーと対面したのは1959年のことで、わたしは28歳、彼は35歳になっていました。チャーリーはずっと前にオマハを離れて、ロサンゼルスを第2の故郷としていたのです。わたしたちを引き合わせてくれたオマハのお医者様が、先を見越して「君たちならきっと意気投合するよ」と言いました。そのとおりでした。

当社の年次総会に何度か参加されているみなさんであれば、チャーリーがどんな人物かご存知と思います。彼はさまざまな面で優れた才能があり、驚くべき記憶力を持ち、固い信念を抱いた人です。わたし自身が優柔不断というわけでもないので、ときには賛成できないこともあります。しかし二人の間で口論になったことは、56年間で一度もありません。意見が合わないときは、たいていチャーリーが次のような言葉で会話を終わりにするのです。「ウォーレン、君は頭がいいのだから、もう一度よく考えてみたまえ。そうすれば正しいのは私だとわかるから、賛成したくなるよ」。

ところで、チャーリーが情熱を傾けているものが建築だとは、みなさんはあまりご存じではないでしょう。彼の職歴は弁護士から始まりましたが(1時間当たりの請求額は15ドルでした)、30歳代になってからロサンゼルス近郊でアパートメントを設計施工する5つのプロジェクトを遂行し、はじめて本格的な資本を手にしました。それと並行して、55年ほど経った現在も彼が住んでいる家を設計しました(もしチャーリーが周囲に満足していたら、少しも動けなかったと思います。わたしと同じですね)。チャーリーが設計を手がけた最近の案件が、スタンフォード大学とミシガン大学それぞれの大規模な学生寮です。そして91歳になる現在は、別の大きな案件に関わっています。

しかしわたしの観点から言えば、チャーリーの果たした建築的偉業のなかでもっとも重要だったのは、今日のバークシャーを設計したことです。彼がわたしに示した設計図は単純なものでした。「そこそこの事業をすばらしい値段で買う、そのやりかたは忘れなさい。そうではなく、すばらしい事業をそこそこの値段で買うのだよ」。

Charlie Straightens Me Out

My cigar-butt strategy worked very well while I was managing small sums. Indeed, the many dozens of free puffs I obtained in the 1950s made that decade by far the best of my life for both relative and absolute investment performance.

Even then, however, I made a few exceptions to cigar butts, the most important being GEICO. Thanks to a 1951 conversation I had with Lorimer Davidson, a wonderful man who later became CEO of the company, I learned that GEICO was a terrific business and promptly put 65% of my $9,800 net worth into its shares. Most of my gains in those early years, though, came from investments in mediocre companies that traded at bargain prices. Ben Graham had taught me that technique, and it worked.

But a major weakness in this approach gradually became apparent: Cigar-butt investing was scalable only to a point. With large sums, it would never work well.

In addition, though marginal businesses purchased at cheap prices may be attractive as short-term investments, they are the wrong foundation on which to build a large and enduring enterprise. Selecting a marriage partner clearly requires more demanding criteria than does dating. (Berkshire, it should be noted, would have been a highly satisfactory "date": If we had taken Seabury Stanton's $11.375 offer for our shares, BPL's weighted annual return on its Berkshire investment would have been about 40%.)

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It took Charlie Munger to break my cigar-butt habits and set the course for building a business that could combine huge size with satisfactory profits. Charlie had grown up a few hundred feet from where I now live and as a youth had worked, as did I, in my grandfather's grocery store. Nevertheless, it was 1959 before I met Charlie, long after he had left Omaha to make Los Angeles his home. I was then 28 and he was 35. The Omaha doctor who introduced us predicted that we would hit it off - and we did.

If you've attended our annual meetings, you know Charlie has a wide-ranging brilliance, a prodigious memory, and some firm opinions. I'm not exactly wishy-washy myself, and we sometimes don't agree. In 56 years, however, we've never had an argument. When we differ, Charlie usually ends the conversation by saying: "Warren, think it over and you'll agree with me because you're smart and I'm right."

What most of you do not know about Charlie is that architecture is among his passions. Though he began his career as a practicing lawyer (with his time billed at $15 per hour), Charlie made his first real money in his 30s by designing and building five apartment projects near Los Angeles. Concurrently, he designed the house that he lives in today - some 55 years later. (Like me, Charlie can't be budged if he is happy in his surroundings.) In recent years, Charlie has designed large dorm complexes at Stanford and the University of Michigan and today, at age 91, is working on another major project.

From my perspective, though, Charlie's most important architectural feat was the design of today's Berkshire. The blueprint he gave me was simple: Forget what you know about buying fair businesses at wonderful prices; instead, buy wonderful businesses at fair prices.

2015年3月5日木曜日

2014年度バフェットからの手紙(4)バークシャーの経営を始めた頃(後)

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ウォーレン・バフェットによる2014年度「バフェットからの手紙」の「第2部バークシャー過去編」で、前回からのつづきです。(日本語は拙訳)

1965年の4月までに、BPLは(当時の発行株式数1,017,547株のうちの)392,633株を保有していました。そして5月上旬に行われた取締役会において、わたしどもは正式に会社の経営権を握ることになりました。どちらにとっても1/8ドルとは結局なんだったのかと思いますが、シーベリーとわたしの子供じみた行動のおかげで、彼は仕事を失いました。そしてわたしは、ろくに知らないひどい事業へBPLの使用資本の25%以上を投資したことに気がつきました。わたしは、走る車を追い回す犬そのものだったのです。

営業損失と自社株買いの影響で、1964年度末におけるバークシャーの純資産は、1955年に合併したときの5,500万ドルから2,200万ドルまで下落していました。その2,200万ドルの全額が、織物事業の運営に必要でした。会社には余剰資金が残っておらず、銀行から250万ドルを借入れていました(1964年度の年次報告書を、今年度版の130ページから142ページに再掲しています)。

幸運な時期がしばらく続き、その後の2年間はバークシャーを経営する上で好ましい状況でした。さらにうれしいことに、その時期にあげた利益には所得税がかかりませんでした。過去に壊滅的な業績をあげたときの繰越欠損金が累積して多額になっていたからです。

ハネムーンの時期もやがて終わり、1966年以降の18年間は、織物事業に対するわたしの苦悩が止むことはありませんでした。まるっきりうまくいきませんでした。しかし強情(ただのバカ?)でいるにも限界があります。1985年にわたしはとうとうさじを投げて、その事業の運営をおわりにしたのです。

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わたしは、BPLが持つ資源の多くを死にゆく事業へと投下してしまいました。ところがその最初の失敗にひるむことなく、即座にあやまちをふくらませることになったのです。わたしがやった2番目のポカは、実のところ最初のものよりはるかに深刻でした。わたしの経歴中で一番高くついたからです。

1967年の早い時期に、バークシャーはナショナル・インデムニティー社(NICO)を860万ドルで購入しました。オマハを拠点とした同社は、小規模ながらも将来性のある保険会社でした(その取引には、小粒な姉妹会社も含まれていました)。保険業はわたしの得意な領域でした。業界のことを理解しており、好みの事業でした。

NICOを所有していたジャック・リングウォルト氏は、昔からの友人でした。彼はわたし個人に売却したがっていました。彼の考えでは、バークシャーに売るつもりではなかったのです。それでは、なぜわたしはBPLを使わずにバークシャーでNICOを買ってしまったのでしょうか。その疑問に答えようと考えつづけて48年が経ちました。ですが、いまだにぴったりの答えをみつけていません。ただただ途方もない失敗をやらかしてしまったのです。

もしBPLが買収していれば、わたしを含むパートナー一同ですばらしい事業を100%保有できたのです。バークシャーの将来を築く基盤となるさだめにあった事業をです。さらには、織物事業に釘付けのまま20年近くも死に金になるのを避けられたので、わたしども[BPL]はそのぶん遅れずに成長できたと思います。そしてもうひとつ、その後に行う買収案件もBPLのパートナー一同でまるごと所有できたはずです。そうすれば昔からのバークシャー株保有者が、それら案件の39%分を所有することはなかったわけです。彼らに対して何の責務も負っていなかったのですから。それらの事実が目の前にあったにもかかわらず、わたしはすばらしい事業(NICO)100%を、持ち分61%のひどい事業(バークシャー・ハサウェイ)と結婚させる道を選びました。その決定によって、BPLのパートナー諸氏から見知らぬ人たちご一行へと、およそ1,000億ドルを移し替えたことになったのです。

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もうひとつ告白してから、ずっと楽しい話題へと移ることにしましょう。実は1975年にニューイングランドの織物会社をもうひとつ買っていたなどと、そんな話が信じられますか。ウォームベック・ミルズという会社です。もちろんですが、購入時の価格はわたしたちが受け取る資産とくらべて「割安」でしたし、バークシャーにある既存の織物事業とのシナジーが見込まれていました。それにもかかわらず、なんとまあおどろくことに、ウォームベックは大失敗でした。何年も経たないうちに、その紡績工場は操業停止に追い込まれたのです。

ようやくいいニュースです。北部における織物業界はもう消滅しています。「バフェットがニューイングランドをうろうろしている」と耳にしても、もはやみなさんが慌てる必要はありません。

By April 1965, BPL owned 392,633 shares (out of 1,017,547 then outstanding) and at an early-May board meeting we formally took control of the company. Through Seabury's and my childish behavior - after all, what was an eighth of a point to either of us? - he lost his job, and I found myself with more than 25% of BPL's capital invested in a terrible business about which I knew very little. I became the dog who caught the car.

Because of Berkshire's operating losses and share repurchases, its net worth at the end of fiscal 1964 had fallen to $22 million from $55 million at the time of the 1955 merger. The full $22 million was required by the textile operation: The company had no excess cash and owed its bank $2.5 million. (Berkshire's 1964 annual report is reproduced on pages 130-142.)

For a time I got lucky: Berkshire immediately enjoyed two years of good operating conditions. Better yet, its earnings in those years were free of income tax because it possessed a large loss carry-forward that had arisen from the disastrous results in earlier years.

Then the honeymoon ended. During the 18 years following 1966, we struggled unremittingly with the textile business, all to no avail. But stubbornness - stupidity? - has its limits. In 1985, I finally threw in the towel and closed the operation.

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Undeterred by my first mistake of committing much of BPL's resources to a dying business, I quickly compounded the error. Indeed, my second blunder was far more serious than the first, eventually becoming the most costly in my career.

Early in 1967, I had Berkshire pay $8.6 million to buy National Indemnity Company ("NICO"), a small but promising Omaha-based insurer. (A tiny sister company was also included in the deal.) Insurance was in my sweet spot: I understood and liked the industry.

Jack Ringwalt, the owner of NICO, was a long-time friend who wanted to sell to me - me, personally. In no way was his offer intended for Berkshire. So why did I purchase NICO for Berkshire rather than for BPL? I've had 48 years to think about that question, and I've yet to come up with a good answer. I simply made a colossal mistake.

If BPL had been the purchaser, my partners and I would have owned 100% of a fine business, destined to form the base for building the company Berkshire has become. Moreover, our growth would not have been impeded for nearly two decades by the unproductive funds imprisoned in the textile operation. Finally, our subsequent acquisitions would have been owned in their entirety by my partners and me rather than being 39%-owned by the legacy shareholders of Berkshire, to whom we had no obligation. Despite these facts staring me in the face, I opted to marry 100% of an excellent business (NICO) to a 61%-owned terrible business (Berkshire Hathaway), a decision that eventually diverted $100 billion or so from BPL partners to a collection of strangers.

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One more confession and then I'll go on to more pleasant topics: Can you believe that in 1975 I bought Waumbec Mills, another New England textile company? Of course, the purchase price was a "bargain" based on the assets we received and the projected synergies with Berkshire's existing textile business. Nevertheless - surprise, surprise - Waumbec was a disaster, with the mill having to be closed down not many years later.

And now some good news: The northern textile industry is finally extinct. You need no longer panic if you hear that I've been spotted wandering around New England.

2015年3月4日水曜日

2014年度バフェットからの手紙(3)バークシャーの経営を始めた頃(前)

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ウォーレン・バフェットによる2014年度「バフェットからの手紙」をひきつづき取りあげています。今回からは「第2部のバークシャー過去編」になります。バークシャーの歴史は随所で触れられてきましたが、こうしてウォーレン自身の文章を読むのも味わいがあります。前回の投稿はこちらです。(日本語は拙訳)

はじまりのころ

1964年5月6日のことです。当時はシーベリー・スタントンという男性が率いていたバークシャー・ハサウェイ社が、株式公開買付けの通知を株主に対して送りました。1株当たりの買付け価格は11.375ドルとされていました。通知書が来るのは予想どおりでしたが、その金額にはおどろきました。

バークシャーが当時発行していた株式数は1,583,680株で、およそ7%をバフェット・パートナーシップ・リミテッド(BPL)が保有していました。BPLとは、わたしが管理運営していた投資上の事業体です。わたしの資産は事実上すべてBPLに投じていました。買付けの通知が届く少し前に、スタントン氏から連絡がありました。「いくらであれば、BPLは持ち株を売るのですか」と訊ねられたので、「11.5ドルです」と答えました。「わかりました、それでいきましょう」と彼は言いました。その後に届いた通知を見ると、金額が1/8ドル引かれていました。わたしはスタントン氏の振舞いに怒りをおぼえ、申込みませんでした。

このおろかな判断が、それからのすべてを決めることになったのです。

当時のバークシャーは北部を拠点とする織物の製造会社で、ひどい商売にはまりこんでいました。バークシャーが営業していた業界は、比喩的にも物理的にも南へと下っている途中でした。そしてバークシャーは、さまざまな理由から歩みを変えられずにいました。

その業界の問題は以前からひろく理解されていたにもかかわらず、それらは真実でした。1954年7月29日付けのバークシャーの取締役会議事録を読むと、容赦のない事実が記されています。「ニューイングランド地方における織物産業は、40年前から事業の撤退を開始している。その潮流は戦時中には停止していたものの、需要と供給が釣り合うまでは、その潮流は継続せざるを得なかった」。

その取締役会があった1年後、バークシャー・ファイン・スピニング・アソシエイツ社とハサウェイ・マニュファクチャリング社は合流しました。両社とも起源を19世紀にさかのぼれる会社でしたが、それ以降の社名は現在も使われているものに変わりました。合併後の会社は14の工場と1万名の従業員を擁し、ニューイングランドにおける織物会社の巨人となりました。しかし双方の経営陣が合併上の合意事項とみなしていたことが、早々に心中(しんじゅう)へと姿を変えました。両社が一体化して7年間、累積でみた営業上の業績は損失にとどまり、純資産は37%減少しました。

その一方で、会社は9つの工場を閉鎖しました。清算によって得られた資金で自社株買いを実施することもありました。そしてその行動パターンが、わたしの目に留まったのです。

BPLの資金でバークシャー株をはじめて買ったのは1962年の12月でした。「さらに工場を閉めて、もっと自社株買いをやる」だろうと予想したのです。当時の株価は7.5ドルでしたが、1株当たりの運転資本は10.25ドルあり、簿価は20.2ドルと大幅に割安でした。その株をその値段で買うことは、捨てられた吸殻からもう1回吸えるものを拾い上げるのと同じことです。吸い口は不快で湿ってはいるものの、無料で1回吸えるのです。しかしひとときの楽しみが済めば、それ以上は期待できません。

その後、バークシャーは台本どおりに行動します。さらに2つの工場を早々に閉め、1964年5月の動議で、工場閉鎖によって得た資金で自社株買いを実施することになりました。スタントンが提示した金額は、わたしたちが購入した金額よりも50%高いものでした。無料で吸えるその1回分が、ちょうどわたしを待っていてくれたのです。その1回を吸い終えた後には、別の吸殻をさがしによそへ行くことができます。

しかしスタントンの一突きに憤慨したわたしは、そうするかわりに彼の提案を無視して、さらなるバークシャー株を勢いよく買い始めたのです。(PDFファイル23ページ目)

In the Beginning

On May 6, 1964, Berkshire Hathaway, then run by a man named Seabury Stanton, sent a letter to its shareholders offering to buy 225,000 shares of its stock for $11.375 per share. I had expected the letter; I was surprised by the price.

Berkshire then had 1,583,680 shares outstanding. About 7% of these were owned by Buffett Partnership Ltd. ("BPL"), an investing entity that I managed and in which I had virtually all of my net worth. Shortly before the tender offer was mailed, Stanton had asked me at what price BPL would sell its holdings. I answered $11.50, and he said, "Fine, we have a deal." Then came Berkshire's letter, offering an eighth of a point less. I bristled at Stanton's behavior and didn't tender.

That was a monumentally stupid decision.

Berkshire was then a northern textile manufacturer mired in a terrible business. The industry in which it operated was heading south, both metaphorically and physically. And Berkshire, for a variety of reasons, was unable to change course.

That was true even though the industry's problems had long been widely understood. Berkshire's own Board minutes of July 29, 1954, laid out the grim facts: "The textile industry in New England started going out of business forty years ago. During the war years this trend was stopped. The trend must continue until supply and demand have been balanced."

About a year after that board meeting, Berkshire Fine Spinning Associates and Hathaway Manufacturing - both with roots in the 19th Century - joined forces, taking the name we bear today. With its fourteen plants and 10,000 employees, the merged company became the giant of New England textiles. What the two managements viewed as a merger agreement, however, soon morphed into a suicide pact. During the seven years following the consolidation, Berkshire operated at an overall loss, and its net worth shrunk by 37%.

Meanwhile, the company closed nine plants, sometimes using the liquidation proceeds to repurchase shares. And that pattern caught my attention.

I purchased BPL's first shares of Berkshire in December 1962, anticipating more closings and more repurchases. The stock was then selling for $7.50, a wide discount from per-share working capital of $10.25 and book value of $20.20. Buying the stock at that price was like picking up a discarded cigar butt that had one puff remaining in it. Though the stub might be ugly and soggy, the puff would be free. Once that momentary pleasure was enjoyed, however, no more could be expected.

Berkshire thereafter stuck to the script: It soon closed another two plants, and in that May 1964 move, set out to repurchase shares with the shutdown proceeds. The price that Stanton offered was 50% above the cost of our original purchases. There it was - my free puff, just waiting for me, after which I could look elsewhere for other discarded butts.

Instead, irritated by Stanton's chiseling, I ignored his offer and began to aggressively buy more Berkshire shares.

2015年3月3日火曜日

2014年度バフェットからの手紙(2)これから50年間のバークシャー(後)

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ウォーレン・バフェットによる2014年度「バフェットからの手紙」から、「第2部バークシャー未来編」の後半部です。前半部はこちらです。(日本語は拙訳)

(2015/3/7 誤訳を修正しました。"can't help but")

・バークシャー以上に株主のことを考える会社は出てこないでしょう。わたしどもは30年以上にわたって、株主に関する原則(年次報告書117ページ参照)を毎年確認しなおしてきました。文章のはじまりはいつも同じ言葉です。「わたしたちは企業の形態をとっていますが、みなさんのことをパートナーととらえています」。みなさんに誓ったこの約束が、反故にされることはありません。

非常に見識豊かな当社の取締役会はビジネス志向で物事を考えることができ、パートナーシップ上の取り決めをいつでも実行できる準備ができています。お金欲しさに仕事を引き受けている人はいません。まず他ではみられない取り決めによって、当社の取締役はしるしとしての報酬を受け取っています。そのかわり、彼らは保有するバークシャー株を通じて、また重要な企業において良き責務を果たすことで得られる満足によって報われています。

彼らやその家族が保有する当社の株式は、多くの場合非常に多額なものですが、(オプションや付与によって実現したものではなく)市場から購入したものです。それに加えて、当社の取締役や役員には賠償責任保険をかけていません。これは、ほぼすべての一定規模の公開企業とは異なる点です。バークシャーの取締役が履いている靴は、自前のものなのです。

わたしたちの文化がいっそう確実に継続するよう、後任の取締役会長には息子のハワードを選ぶのはどうかと示唆してきました。ただし役員は兼務させません。そう願う理由はただひとつ、CEOとしてまちがった人間を雇ったことがわかれば、会長が断固として行動する必要がでてきます。そのときに交代させやすい、と考えたからです。ただし保証できますが、バークシャーでこの問題が起こるのは、他のどの公開企業とも同じように非常に低い確率です。しかしわたしが取締役として仕えた公開企業19社では、ダメなCEOが会長を兼任している場合、その人物を解任するのは非常に困難でした。(その行動はたいてい実行されますが、ほぼ必ずやかなり遅くなってからです)

ハワードが選任されれば、報酬はゼロですし、時間を費やす仕事は他の取締役に要求されるものと同じです。彼の役目は単なる安全弁です。彼以外の取締役がCEOに対して疑念を抱き、別の取締役が同じように疑問に感じているかを知りたいときに、ハワードに問い合わせるわけです。複数の取締役が恐れを抱いていれば、ハワードが会長の役目を発揮して、その問題を手早くそして適切に解決することになります。

・正しいCEOを選ぶことは最重要課題であり、バークシャーの取締役会では多くの時間を費やしています。バークシャーの経営とは主として資本配分を遂行することですが、それと同時に当社の事業子会社を率いる傑出した経営者を選び、その人物を逃さぬことも仕事です。当然ながらその仕事には、必要に応じて子会社のCEOを交代させることも含まれます。それらの義務ゆえに、バークシャーのCEOとなる人物には、合理的で沈着冷静、そして断固として行動に移ることのできる資質が要求されます。さらにビジネスを広く理解しており、人間のとる行動をうまく洞察できる人です。そして自分の限界をわかっていることも大切です。(IBMのトム・ワトソン・シニアはこう言いました、「私は天才ではないが、ある領域ではうまくやれる。だから、そこにこだわるよ」)

その人物の性格も決定的な要素です。バークシャーのCEOは会社に身を捧げるべきで、彼自身にではありません(不慣れな単語はやめておこうと男性形を使いましたが、CEOを決めるのが性別であってはなりません)。必要な額をはるかに超える報酬を得ずにはいられないものです。しかし重要なのは、とことん気前の良い報酬をもらっている競争相手に負けじと、エゴやがめつさに突き動かされないことです。たとえ彼の果たした業績が競争相手を大きくしのいでいてもです。CEOの行動は、そのもとに連なる経営者に対して甚大な影響をもたらします。株主の利益にかなうことこそ、彼ら経営者にとっての最上の仕事である。それが明快になっていれば、わずかな例外は別として、その考え方を受け入れてくれるでしょう。

後任者のCEOには、もうひとつ特別な強さが要求されます。事業に衰退をもたらすABCを撃退する力です。ABCとは傲慢(Arrogance)、官僚主義(Bureaucracy)、自己満足(Complacency)の3つです。企業におけるそれらの癌が転移すると、最強の企業であっても低迷する可能性があります。それを証明できる実例は莫大な数にのぼりますが、友好的な関係のままでいたいので、掘り出す事例は遠い過去のものだけにしておきます。

GMやIBM、シアーズ・ローバック、USスチール社が輝いていた時代には、彼らは壮大な産業の頂点に君臨し、その強さは攻略不能と考えられていました。しかしわたしが非難した上記の破滅的行動によって、やがて各社は深みへと、CEOや取締役が長らく考えることもできなかった深みへと落ちていきました。彼らが一時期有していた強靭な資金力や歴史的な収益力を守り通すことはできませんでした。

バークシャーがさらに大きく成長した時に、衰退を招くそのような力を遠ざけられるのは、用心深い上に断固たる行動をとれるCEOだけです。チャーリーがなにを願っているのか、忘れてはなりません。「どこで死ぬのかわかったら、決してそこには行かないよ」。わたしたちの持つ非経済的な価値が失われてしまえば、バークシャーの有する経済的価値の多くも同じようにおしゃかになるでしょう。バークシャーが持つ特別な文化を維持していく上で、「経営トップの声色」がカギとなります。

幸運なことに、将来のCEOが当社で成功していくために必要な構成はきちんとできています。バークシャーでは権限移譲が大幅に進んでおり、それは官僚主義に立ち向かう最良の対抗策として働きます。また事業運営という観点でみれば、バークシャーは巨大企業ではなく、大企業の集合体と言えます。本社で委員会組織を持ったことはありませんし、子会社に対して予算を提出するように要求したことも皆無です(ただし多くの子会社では、内部的に重要な道具として使っています)。法務を担当する部署もありませんし、他社が当然と考えている部門もありません。人事、広報、IR、戦略、企業買収など、みなさんの思いつくものはどれもです。

もちろんわたしたちには監査機能があり、きちんと活動しています。ただぼんやりしているわけではありません。しかしわたしどもは子会社の各経営者をかなりのところまで信頼しており、彼らは管理監督責任を熱心に果たして事業を運営しています。結局のところ、当社に買収される前にもまったく同じことをやってきたのです。さらには、ときどき起こるわずかな例外を除けば、わたしどもが信頼することで、相次ぐ指示や終わりなきレビュー、そして階層をなす官僚主義がもたらすよりも良い結果が生じます。チャーリーそしてわたしは、立場が逆であればこうしてほしいと考えることに合致するやりかたで、子会社の各経営者と接するように努めてきました。

・当社の取締役諸氏は、将来のCEOは社内の候補者から選ぶべきと考えています。取締役会がよく知るようになった人たちからです。同じように、次のCEOは職務を長く続けられるように比較的若い人であるべきとも考えています。CEOの統治年数が10年間をずっと超えることで、バークシャーはもっともうまく運営されると思います(若い犬に昔の技を教えるのは大変ですから)。さらに、65歳では引退しないだろうと思います(ところでみなさん、もう気づいていましたか)。

バークシャーが実施する企業買収、そして大規模かつ個別に対応する投資活動では、どちらの場合でも相手先がバークシャーのCEOと親密で安心してくれることが重要です。そのような満足感を育てて関係を強固にしていくには、時間がかかります。しかし、その見返りは甚大なものとなり得ます。

わたしを含む取締役陣は、わたしの後をついでCEOとなるのにふさわしい人物をすでに見つけています。わたしが死んだり退任した翌日から職務を負うことのできる後任者です。ある種の重要な点においては、その人物はわたしよりもうまく仕事ができると思います。

・[証券への]投資はバークシャーにとって非常に重要なものでありつづけるでしょうから、専門家が取り扱うことになります。彼らはCEOに対して報告をあげることになります。というのも、一般的に言って投資面でくだす決定は、バークシャーの事業や買収活動と連携する必要がでてくるからです。しかし全体としてみれば、当社の投資責任者たちは仕事をする上で大幅な自治が認められます。そしてこの領域でも、これから何十年とやっていける優れた形態ができています。トッド・コームズとテッド・ウェシュラーです。彼らがバークシャーの投資チームに加わって数年が経ちました。彼らはあらゆる面で最上の人物であり、買収先を評価する際にCEOをある側面から補佐する能力を持っています。

すべてを考慮すると、チャーリーやわたしが舞台から去った後の時代には、バークシャーは理想的な位置につくことになります。当社には適切な人たちがそろっています。適切な取締役や各子会社の経営者、そしてそれらの経営者陣を導く後継者たちです。さらにわたしたちの文化は、あらゆる役職にわたって組み込まれています。またわたしたちの仕組みは再生させることができます。良き文化も悪しき文化も、かなりの割合でみずからを永続させるために同じものを選びます。わたしたちと似た価値をいだく事業所有者や経営者は、非常に好ましい理由によって、稀なるとこしえの住みかとなるバークシャーにこれからも惹きつけられることでしょう。

・バークシャーを特別なものとしている重要なもうひとつの部分を称賛しないのは、注意が足りないというものです。それは株主のみなさんです。他の巨大企業ではみられない所有者の基盤を、バークシャーはまさしく有しています。この事実は昨年の年次総会で極端な形で披露されました。委任状による決議が提案されたのです。

決議: 当社は必要を超える資金を保有しており、株主はウォーレンのように何十億ドルも持たぬ以上、取締役会は重要なる年次株式配当を検討すること。

その決議を提案した株主が総会の場に姿をみせることはありませんでした。そのため、この決議は公式な提案にはなりませんでした。それにもかかわらず、委任状は集計されており、彼らは啓発していました。

当然のことながら、A株を保有するのは比較的少数の株主で、彼らの経済的な持ち分は多額になりますが、配当に関する問いに対して89対1の割合で「反対」と答えました。

注目すべき投票は、B株の保有者によるものでした。彼らは数十万名になり、あるいは100万名に達しているかもしれません。彼らの投票は「反対」が660,759,855票で「賛成」が13,927,026票でした。比率にして47対1になります。

取締役の推奨案は「反対」でしたが、会社としてはそれ以外に株主へ影響を加えようとはしませんでした。それにもかかわらず、投票数の98%が事実上こう言ったのです。「配当は要らんから、利益全額を再投資してくれ」。大小にかかわらず朋友たる株主のみなさんが、わたしども経営陣の持つ考えと協調しているのは、実に見事なことで、報われたと感じました。

みなさんのようなパートナーがいてくださり、わたしは実に幸運な人間です。

ウォーレン・E・バフェット

・No company will be more shareholder-minded than Berkshire. For more than 30 years, we have annually reaffirmed our Shareholder Principles (see page 117), always leading off with: "Although our form is corporate, our attitude is partnership." This covenant with you is etched in stone.

We have an extraordinarily knowledgeable and business-oriented board of directors ready to carry out that promise of partnership. None took the job for the money: In an arrangement almost non-existent elsewhere, our directors are paid only token fees. They receive their rewards instead through ownership of Berkshire shares and the satisfaction that comes from being good stewards of an important enterprise.

The shares that they and their families own - which, in many cases, are worth very substantial sums - were purchased in the market (rather than their materializing through options or grants). In addition, unlike almost all other sizable public companies, we carry no directors and officers liability insurance. At Berkshire, directors walk in your shoes.

To further ensure continuation of our culture, I have suggested that my son, Howard, succeed me as a nonexecutive Chairman. My only reason for this wish is to make change easier if the wrong CEO should ever be employed and there occurs a need for the Chairman to move forcefully. I can assure you that this problem has a very low probability of arising at Berkshire - likely as low as at any public company. In my service on the boards of nineteen public companies, however, I've seen how hard it is to replace a mediocre CEO if that person is also Chairman. (The deed usually gets done, but almost always very late.)

If elected, Howard will receive no pay and will spend no time at the job other than that required of all directors. He will simply be a safety valve to whom any director can go if he or she has concerns about the CEO and wishes to learn if other directors are expressing doubts as well. Should multiple directors be apprehensive, Howard's chairmanship will allow the matter to be promptly and properly addressed.

・Choosing the right CEO is all-important and is a subject that commands much time at Berkshire board meetings. Managing Berkshire is primarily a job of capital allocation, coupled with the selection and retention of outstanding managers to captain our operating subsidiaries. Obviously, the job also requires the replacement of a subsidiary's CEO when that is called for. These duties require Berkshire's CEO to be a rational, calm and decisive individual who has a broad understanding of business and good insights into human behavior. It's important as well that he knows his limits. (As Tom Watson, Sr. of IBM said, "I'm no genius, but I'm smart in spots and I stay around those spots.")

Character is crucial: A Berkshire CEO must be "all in" for the company, not for himself. (I'm using male pronouns to avoid awkward wording, but gender should never decide who becomes CEO.) He can't help but earn money far in excess of any possible need for it. But it's important that neither ego nor avarice motivate him to reach for pay matching his most lavishly-compensated peers, even if his achievements far exceed theirs. A CEO's behavior has a huge impact on managers down the line: If it's clear to them that shareholders' interests are paramount to him, they will, with few exceptions, also embrace that way of thinking.

My successor will need one other particular strength: the ability to fight off the ABCs of business decay, which are arrogance, bureaucracy and complacency. When these corporate cancers metastasize, even the strongest of companies can falter. The examples available to prove the point are legion, but to maintain friendships I will exhume only cases from the distant past.

In their glory days, General Motors, IBM, Sears Roebuck and U.S. Steel sat atop huge industries. Their strengths seemed unassailable. But the destructive behavior I deplored above eventually led each of them to fall to depths that their CEOs and directors had not long before thought impossible. Their one-time financial strength and their historical earning power proved no defense.

Only a vigilant and determined CEO can ward off such debilitating forces as Berkshire grows ever larger. He must never forget Charlie's plea: "Tell me where I'm going to die, so I'll never go there." If our noneconomic values were to be lost, much of Berkshire's economic value would collapse as well. "Tone at the top" will be key to maintaining Berkshire's special culture.

Fortunately, the structure our future CEOs will need to be successful is firmly in place. The extraordinary delegation of authority now existing at Berkshire is the ideal antidote to bureaucracy. In an operating sense, Berkshire is not a giant company but rather a collection of large companies. At headquarters, we have never had a committee nor have we ever required our subsidiaries to submit budgets (though many use them as an important internal tool). We don't have a legal office nor departments that other companies take for granted: human relations, public relations, investor relations, strategy, acquisitions, you name it.

We do, of course, have an active audit function; no sense being a dammed fool. To an unusual degree, however, we trust our managers to run their operations with a keen sense of stewardship. After all, they were doing exactly that before we acquired their businesses. With only occasional exceptions, furthermore, our trust produces better results than would be achieved by streams of directives, endless reviews and layers of bureaucracy. Charlie and I try to interact with our managers in a manner consistent with what we would wish for, if the positions were reversed.

・Our directors believe that our future CEOs should come from internal candidates whom the Berkshire board has grown to know well. Our directors also believe that an incoming CEO should be relatively young, so that he or she can have a long run in the job. Berkshire will operate best if its CEOs average well over ten years at the helm. (It's hard to teach a new dog old tricks.) And they are not likely to retire at 65 either (or have you noticed?).

In both Berkshire's business acquisitions and large, tailored investment moves, it is important that our counterparties be both familiar with and feel comfortable with Berkshire's CEO. Developing confidence of that sort and cementing relationships takes time. The payoff, though, can be huge.

Both the board and I believe we now have the right person to succeed me as CEO - a successor ready to assume the job the day after I die or step down. In certain important respects, this person will do a better job than I am doing.

・Investments will always be of great importance to Berkshire and will be handled by several specialists. They will report to the CEO because their investment decisions, in a broad way, will need to be coordinated with Berkshire's operating and acquisition programs. Overall, though, our investment managers will enjoy great autonomy. In this area, too, we are in fine shape for decades to come. Todd Combs and Ted Weschler, each of whom has spent several years on Berkshire's investment team, are firstrate in all respects and can be of particular help to the CEO in evaluating acquisitions.

All told, Berkshire is ideally positioned for life after Charlie and I leave the scene. We have the right people in place - the right directors, managers and prospective successors to those managers. Our culture, furthermore, is embedded throughout their ranks. Our system is also regenerative. To a large degree, both good and bad cultures self-select to perpetuate themselves. For very good reasons, business owners and operating managers with values similar to ours will continue to be attracted to Berkshire as a one-of-a-kind and permanent home.

・I would be remiss if I didn't salute another key constituency that makes Berkshire special: our shareholders. Berkshire truly has an owner base unlike that of any other giant corporation. That fact was demonstrated in spades at last year's annual meeting, where the shareholders were offered a proxy resolution:

RESOLVED: Whereas the corporation has more money than it needs and since the owners unlike Warren are not multi billionaires, the board shall consider paying a meaningful annual dividend on the shares.

The sponsoring shareholder of that resolution never showed up at the meeting, so his motion was not officially proposed. Nevertheless, the proxy votes had been tallied, and they were enlightening.

Not surprisingly, the A shares - owned by relatively few shareholders, each with a large economic interest - voted "no" on the dividend question by a margin of 89 to 1.

The remarkable vote was that of our B shareholders. They number in the hundreds of thousands - perhaps even totaling one million - and they voted 660,759,855 "no" and 13,927,026 "yes," a ratio of about 47 to 1.

Our directors recommended a "no" vote but the company did not otherwise attempt to influence shareholders. Nevertheless, 98% of the shares voting said, in effect, "Don't send us a dividend but instead reinvest all of the earnings." To have our fellow owners - large and small - be so in sync with our managerial philosophy is both remarkable and rewarding.

I am a lucky fellow to have you as partners.

Warren E. Buffett

2015年3月2日月曜日

2014年度バフェットからの手紙(1)これから50年間のバークシャー(前)

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バークシャー・ハサウェイのウォーレン・バフェットが、2014年度のいわゆる「バフェットからの手紙」を公開しました。少し前に触れたように今回は2大付録が付いており、次のような3部構成になっています。

(第1部)業績に関する説明や所見(筆者:ウォーレン)
(第2部)バークシャー・ハサウェイの過去・現在・未来(筆者:ウォーレン)
(第3部)過去および未来に関する副会長の見解(筆者:チャーリー・マンガー)

昨年の2013年度版は一般的な投資家にも通じやすい内容でしたが、今回はいつもどおりバークシャーの株主を意識したものになっています。そうではあるものの、バークシャー株主以外の投資家にとっても有益な内容ばかりです。

SHAREHOLDER LETTER 2014 [PDF] (Berkshire Hathaway)

今回から始まるこのシリーズでは、上にあげた第2部と第3部を中心に拙訳を投稿していきます。ウォーレンが書いた第2部では、過去・現在・未来に5ページずつが費やされています。最初に取り上げるのは「第2部のバークシャー未来編」で、今回はその前半部です。(日本語は拙訳)

今後50年間のバークシャー

それではここからは、行く末に目を向けてみましょう。ただし留意して頂きたいのは、50年前にも同じように将来を占っていたら、ある部分は大きく外していたと思われる点です。それを踏まえた上で、バークシャーの将来がどうなるかと家族から聞かれた場合に現時点で答える内容を、みなさんにもお伝えします。

・はじめに、なによりも肝心なことについて。辛抱強いバークシャーの株主が当社に投じた資本から恒久的な損失を出す確率は、個別の企業各社へと投資する場合と同程度に低いことはまちがいないと思います。当社の1株当たりの本源的な事業価値が時と共に増加するのは、ほぼまちがいないからです。

しかしながら、この喜ばしい予測には重要な注意が伴います。著しく株価が高いときにバークシャー株を買ってしまうと、利益を得られるまでに長時間かかるかもしれないことです。たとえば簿価の2倍に近づいている時期で、かつてそのような水準に達したことがあります。言いかえると、上昇した価格で買ってしまえば、好ましい投資先であっても軽率な投機に変わりうるということです。バークシャーもこの真実と無縁ではありません。

しかし当社が自社株買いをする値段よりもほどほど高いところでバークシャー株を買うのであれば、妥当な期間のうちに利益をものにできるようになるでしょう。当社の取締役が自社株買いを承認するのは、バークシャー株の価格水準が会社の本源的価値をかなり下回っている、と確信できるときだけです。(このことは他社の経営者がしばしば無視していますが、自社株買いにおける最低条件だとわたしどもは考えています)

ただし、株を買った後に1年や2年で売りたいと考えている投資家には、買った金額がどうであろうとわたしからはなにも保証することはできません。投資の結果を決めようにも、そのような微々たる期間では株式市場の全般的な動向のほうがはるかに重要であり、みなさんが買ったバークシャー株の本源的価値に付随した変化のほうではないからです。何十年も前にベン・グレアムがこう言っています。「短期的にみれば市場とは投票装置である。しかし長期になれば秤量機のように振舞う」。アマチュアかプロかは問わず、投資家が投じた票によって狂気寸前の結果につながることもあります。

市場の動向を確度高く予測する術は、わたしにはありません。ですから最低でも5年間は保有する覚悟があるときだけ、バークシャー株を買うのがよいと思います。短期的な利益を得たい人は、よそを当たるべきでしょう。

もうひとつ警告です。バークシャー株を買う際には借入れを使うべきではありません。株価が高値の半分程度まで下落したことが1965年以降に3回ありました。その種の下落はいつの日かまた起こるでしょうが、それがいつなのかはだれにもわかりません。「投資家」にとって、バークシャー株はほぼまちがいなく満足のいく銘柄になると思います。しかし借入金で投機をする人にとっては、なおさら破滅的な選択かもしれません。

・あるできごとのせいでバークシャーが金融的な問題に見舞われる確率は、基本的にはゼロだと確信しています。わたしどもは1,000年に一度の洪水に備え続けていきますし、実際にそうなれば、無防備だった人たちに救命胴衣を売ることでしょう。2008年から2009年に底が抜け落ちた際には、バークシャーは「真っ先に返事をかえす相談先」として重要な役割を果たしました。当社の資産構成や利益を生み出す能力は、当時とくらべて2倍以上に強化されました。みなさんが保有する当社はアメリカ実業界にとってのジブラルタルであり[難攻堅牢の意]、これからもそうありつづけるでしょう。

金融的な面で持ちこたえていくためには、いかなる環境においても次の強靭さを維持することが要求されます。第一に巨額な利益が安定して得られること、第二に多大な流動資産を有すること、第三に重大な規模の現金が直近で必要とならないことです。3番目の大切さを無視すると、たいていは予期せぬ問題に直面することになります。儲かっている企業のCEOが、「返済時期の迫る債務が巨額だろうと、いつでも借り換えできるものだ」と感じることがよくあります。その考え方がいかに危険なものとなりうるか、2008年から2009年に多くの経営者が学びました。

ここで、わたしたちが基本方針として今後も取り組みつづける3つの点を挙げます。第一に、当社が得ている利益は莫大で、多岐にわたる事業があげている点です。株主たるみなさんは、容易には消えない競争優位を持つさまざまな大企業を今では保有しています。今度もさらに買収していくでしょう。また、破滅的事態が生じてかつてなかったほどの巨額の保険損失を招いたとしても、事業が分散されていることでバークシャーの収益性が継続することを保証しています。

2番目に挙げられるのが現金です。健康な状況のビジネスにおいては、現金は最小化すべきものと考えられることがあります。資本利益率などの指標を引き下げる非生産的な資産としてみなされるわけです。しかし事業における現金とは、人間である個々人にとっての酸素のようなものです。存在するときには思い巡らさず、欠乏したときになって思い出されるものです。

アメリカ実業界は2008年にその事例を見せてくれました。その年の9月になって唐突に、長期にわたって繁栄してきた多くの企業が、数日のうちに小切手が引出し不能になるのではと悩み始めました。資金という面での酸素が一夜にして消失したのです。

そのときバークシャーの「呼吸」は途絶えることがありませんでした。実際には9月下旬から10月下旬にわたる3週間のうちに、当社からアメリカ実業界に対して活気に満ちた156億ドルの資金を供給しました。

当社がそうできたのも、最低でも200億ドル、ふつうはそれ以上の現金等価物を日ごろから保持していたからです。つまり財務省短期証券のことです。それ以外の現金相当物ではありません。それらは要求に応じて流動性を提供され、実際そうなりますが、ただし本当に必要なときはそうならない類いのものです。支払期限がきたときに法的に認められた支払手段は現金だけです。出かけるときは忘れずに。[バークシャーはアメックスの最大株主]

最後の3番目ですが、当社は不意に多額の資金が要求されうる事業運営や投資には絶対に携わりません。つまりこれは、大規模な短期債務の償還にバークシャーをさらすことはないですし、巨額の担保が差押えされる可能性のあるデリバティブ契約やその他の事業取引にも参画しない、という意味です。

数年前に結んだデリバティブ契約の各案件では、付けられていた値段が大幅にまちがっていた一方で、わずかな担保しか要求されませんでした。のちにそれらの取引はかなりの利益になることがわかりました。しかし最近になってからは、新規のデリバティブ契約では満額の担保が要求されるようになりました。それで、潜在的な利益が大きくてもデリバティブには興味がなくなりました。[鉄道やエネルギーの]公益事業で業務上の目的で必要な案件を除けば、当社では数年にわたってデリバティブ契約を締結していません。

さらに当社では、被保険者に対して現金を引き出す権利を付与する特約のある保険契約は締結していません。多くの生命保険商品には償還する権利が含まれていますが、極端なパニックが起きたときに「逃げ出す」能力を与えてしまいます。当社が生存している損保業界には、その種の契約は存在しません。保険料収入が縮小すれば、当社のフロート[=保険料として前受けした余剰資金]も減少します。ただし、非常にゆっくりとしたペースにしかならないでしょう。

わたしどもが保守的にやっているのは、極端だと感じる人がいるかもしれませんが、人間とはときにパニックを起こすことが完璧に予想できるからです。ただし、いつ起こるかはまったく予想できません。事実上毎日が比較的変哲のない日々ですが、明日どうなるかはいつもわかりません(1941年12月6日[真珠湾]や2001年9月10日を特別に恐れるわけではありません)。明日どうなるのかわからないとすれば、何が起こってもいいように備えておくべきです。

64歳になる企業のCEOが、65歳で引退しようと考えているとします。独自の計算によって、これから1年間にリスクが具現化する確率はわずかなものだと判断しているかもしれません。彼は99%の確率で正しいかもしれません。しかしその確率は、わたしどもの気を惹くものではありません。みなさんから託された資金を使って、わたしどもがそのような金融版ロシアン・ルーレットを行うことは絶対ありません。比喩としての拳銃に100発装てんできる薬室があって、弾丸が1発しか装てんされていなくてもです。「単に欲しいだけのものを追求している際に、不可欠なものを失うリスクを負う」ことは、わたしどもからみれば狂っています。

・わたしどものやりかたが保守的であるにもかかわらず、1株当たりでみた当社の本質的な収益力は毎年高めることができると思います。これは事業上の利益が毎年増加するという意味ではありません。そこからはほど遠いものです。米国の経済は行きつ戻りつするでしょう。寄せ波のときがほとんどでしょうが、波が弱まるときには当社の利益もそうなります。それでもわたしたちは内部的に成長したり、拡張的な買収をしたり、新たな領域へと乗り出しつづけるでしょう。ですからバークシャーが年ごとに本質的な収益力を増していくのはまちがいないと思います。

当社が大きく前進する年もあるでしょうし、わずかにとどまる年もあるかと思います。市場や競争の状況そして幸運によって、当社の前に機会があらわれる時が定められます。しかしあらゆる状況において、バークシャーはこれまでに獲得した堅実な事業や将来獲得するであろう新たな企業を並び立て、さらに前進し続けるでしょう。加えてこの国の経済は、ほぼ毎年のように強力な追い風をビジネスへ送ってくれます。われらの本拠地が米国であることは、わたしたちにとっての恵みです。

・残念なお知らせとして、バークシャーが長期的にあげてきた成長は、それはパーセントの意味であって金額ではありませんが、もう劇的ではなく、過去50年間に達成してきた数字に近づくこともできないと思います。数字が大きすぎたからです。平均的なアメリカ企業よりは高いと思いますが、差ができるとしても大きな差にはならないと思います。

やがては、おそらく10年から12年後の間に、経営陣が全利益を賢明に再投資できなくなる水準までバークシャーの利益や資本が到達すると思います。その時点で当社の取締役は、超過利益を配分する最善の手段は何か、配当か自社株買いか、あるいはその両方か、を決定する必要が出てくるでしょう。バークシャー株が本源的な事業価値を下回る金額で売買されていれば、自社株買いを大量にやるのがほぼまちがいなく最善の選択です。みなさんの取締役が正しい決定をくだすでしょうから、どうぞ安心していてください。(PDFファイル33ページ目)

The Next 50 Years at Berkshire

Now let's take a look at the road ahead. Bear in mind that if I had attempted 50 years ago to gauge what was coming, certain of my predictions would have been far off the mark. With that warning, I will tell you what I would say to my family today if they asked me about Berkshire's future.

・First and definitely foremost, I believe that the chance of permanent capital loss for patient Berkshire shareholders is as low as can be found among single-company investments. That's because our per-share intrinsic business value is almost certain to advance over time.

This cheery prediction comes, however, with an important caution: If an investor's entry point into Berkshire stock is unusually high - at a price, say, approaching double book value, which Berkshire shares have occasionally reached - it may well be many years before the investor can realize a profit. In other words, a sound investment can morph into a rash speculation if it is bought at an elevated price. Berkshire is not exempt from this truth.

Purchases of Berkshire that investors make at a price modestly above the level at which the company would repurchase its shares, however, should produce gains within a reasonable period of time. Berkshire's directors will only authorize repurchases at a price they believe to be well below intrinsic value. (In our view, that is an essential criterion for repurchases that is often ignored by other managements.)

For those investors who plan to sell within a year or two after their purchase, I can offer no assurances, whatever the entry price. Movements of the general stock market during such abbreviated periods will likely be far more important in determining your results than the concomitant change in the intrinsic value of your Berkshire shares. As Ben Graham said many decades ago: "In the short-term the market is a voting machine; in the long-run it acts as a weighing machine." Occasionally, the voting decisions of investors - amateurs and professionals alike - border on lunacy.

Since I know of no way to reliably predict market movements, I recommend that you purchase Berkshire shares only if you expect to hold them for at least five years. Those who seek short-term profits should look elsewhere.

Another warning: Berkshire shares should not be purchased with borrowed money. There have been three times since 1965 when our stock has fallen about 50% from its high point. Someday, something close to this kind of drop will happen again, and no one knows when. Berkshire will almost certainly be a satisfactory holding for investors. But it could well be a disastrous choice for speculators employing leverage.

・I believe the chance of any event causing Berkshire to experience financial problems is essentially zero. We will always be prepared for the thousand-year flood; in fact, if it occurs we will be selling life jackets to the unprepared. Berkshire played an important role as a "first responder" during the 2008-2009 meltdown, and we have since more than doubled the strength of our balance sheet and our earnings potential. Your company is the Gibraltar of American business and will remain so.

Financial staying power requires a company to maintain three strengths under all circumstances: (1) a large and reliable stream of earnings; (2) massive liquid assets and (3) no significant near-term cash requirements. Ignoring that last necessity is what usually leads companies to experience unexpected problems: Too often, CEOs of profitable companies feel they will always be able to refund maturing obligations, however large these are. In 2008-2009, many managements learned how perilous that mindset can be.

Here's how we will always stand on the three essentials. First, our earnings stream is huge and comes from a vast array of businesses. Our shareholders now own many large companies that have durable competitive advantages, and we will acquire more of those in the future. Our diversification assures Berkshire's continued profitability, even if a catastrophe causes insurance losses that far exceed any previously experienced.

Next up is cash. At a healthy business, cash is sometimes thought of as something to be minimized - as an unproductive asset that acts as a drag on such markers as return on equity. Cash, though, is to a business as oxygen is to an individual: never thought about when it is present, the only thing in mind when it is absent.

American business provided a case study of that in 2008. In September of that year, many long-prosperous companies suddenly wondered whether their checks would bounce in the days ahead. Overnight, their financial oxygen disappeared.

At Berkshire, our "breathing" went uninterrupted. Indeed, in a three-week period spanning late September and early October, we supplied $15.6 billion of fresh money to American businesses.

We could do that because we always maintain at least $20 billion - and usually far more - in cash equivalents. And by that we mean U.S. Treasury bills, not other substitutes for cash that are claimed to deliver liquidity and actually do so, except when it is truly needed. When bills come due, only cash is legal tender. Don't leave home without it.

Finally - getting to our third point - we will never engage in operating or investment practices that can result in sudden demands for large sums. That means we will not expose Berkshire to short-term debt maturities of size nor enter into derivative contracts or other business arrangements that could require large collateral calls.

Some years ago, we became a party to certain derivative contracts that we believed were significantly mispriced and that had only minor collateral requirements. These have proved to be quite profitable. Recently, however, newly-written derivative contracts have required full collateralization. And that ended our interest in derivatives, regardless of what profit potential they might offer. We have not, for some years, written these contracts, except for a few needed for operational purposes at our utility businesses.

Moreover, we will not write insurance contracts that give policyholders the right to cash out at their option. Many life insurance products contain redemption features that make them susceptible to a "run" in times of extreme panic. Contracts of that sort, however, do not exist in the property-casualty world that we inhabit. If our premium volume should shrink, our float would decline - but only at a very slow pace.

The reason for our conservatism, which may impress some people as extreme, is that it is entirely predictable that people will occasionally panic, but not at all predictable when this will happen. Though practically all days are relatively uneventful, tomorrow is always uncertain. (I felt no special apprehension on December 6, 1941 or September 10, 2001.) And if you can't predict what tomorrow will bring, you must be prepared for whatever it does.

A CEO who is 64 and plans to retire at 65 may have his own special calculus in evaluating risks that have only a tiny chance of happening in a given year. He may, in fact, be "right" 99% of the time. Those odds, however, hold no appeal for us. We will never play financial Russian roulette with the funds you've entrusted to us, even if the metaphorical gun has 100 chambers and only one bullet. In our view, it is madness to risk losing what you need in pursuing what you simply desire.

・Despite our conservatism, I think we will be able every year to build the underlying per-share earning power of Berkshire. That does not mean operating earnings will increase each year - far from it. The U.S. economy will ebb and flow - though mostly flow - and, when it weakens, so will our current earnings. But we will continue to achieve organic gains, make bolt-on acquisitions and enter new fields. I believe, therefore, that Berkshire will annually add to its underlying earning power.

In some years the gains will be substantial, and at other times they will be minor. Markets, competition, and chance will determine when opportunities come our way. Through it all, Berkshire will keep moving forward, powered by the array of solid businesses we now possess and the new companies we will purchase. In most years, moreover, our country's economy will provide a strong tailwind for business. We are blessed to have the United States as our home field.

・The bad news is that Berkshire's long-term gains - measured by percentages, not by dollars - cannot be dramatic and will not come close to those achieved in the past 50 years. The numbers have become too big. I think Berkshire will outperform the average American company, but our advantage, if any, won't be great.

Eventually - probably between ten and twenty years from now - Berkshire's earnings and capital resources will reach a level that will not allow management to intelligently reinvest all of the company's earnings. At that time our directors will need to determine whether the best method to distribute the excess earnings is through dividends, share repurchases or both. If Berkshire shares are selling below intrinsic business value, massive repurchases will almost certainly be the best choice. You can be comfortable that your directors will make the right decision.

2014年12月18日木曜日

今度のバフェットからの手紙には、2大付録がついてくる(WSJ)

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ウォーレン・バフェットの書く株主向けレター(いわゆるバフェットからの手紙)が公開されるのは春が始まるころで、少し先の話です。しかし来年はウォーレンがバークシャーの経営を始めてから記念すべき50周年ということで、今度のレターはいつも以上に仕込んでいるようです。The Wall Street Journalのブログ記事から引用します。(日本語は拙訳)

Warren Buffett Looks Ahead to Berkshire's Next 50 Years (WSJ)

過去の歳月と同じように、バフェットは毎年株主向けに出すレターを執筆する作業に忙殺されている。そのなかで、2014年のバークシャーの業績をふりかえるのだ。しかし2015年は、「現在の経営陣」の指揮下に入ったバークシャー・ハサウェイにとって輝かしい記念の年である。そのため彼は、次の50年間におけるバークシャーについてみずからの抱くビジョンを記すことにも紙面を費やしている。

Like in years past, he has been busy composing his annual letter to shareholders reviewing Berkshire's performance in 2014. However, because 2015 will mark the golden anniversary of Berkshire Hathaway under "current management," Mr. Buffett has also been laying out, on paper, his vision for Berkshire for the next 50 years.

バフェット氏はレターをまだ書いている途中である。彼によると、これまでに書いた長さは2万語、ページ数にして30ページになるという[ちなみに2013年度は22ページ]。その多くは手書きによるもので、過去のレターから文章を引用する箇所には指示を入れてある。アシスタントのデビー・ボサネック女史が全文をタイプし、さらにはバフェット氏の古くからの友人でFortune誌のライターを引退したキャロル・ルーミスが、明瞭簡潔な文章へと校正する。

バークシャーの株主や同社の活動をフォローしている人には、来年はうれしいおまけがついてくる。バークシャーの次の50年におけるビジョンを、マンガー氏も書き記してくれるからだ。バークシャーの年次総会で受けた質問に答える際によくみられるように、マンガー氏は強烈な機知や真面目な顔で話すジョークを折々で見せてくれる。株主はその様子を楽しみにしているのだ。

So far, the letter is a work in progress and Mr. Buffett says he's written 20,000 words, or about 30 pages. He writes much of it in long hand and marks up sections from previous letters to use, all of which his assistant Debbie Bosanek types up. Mr. Buffett's longtime friend and retired Fortune writer Carol Loomis then takes her pen to it, editing his letter for length and clarity.

Berkshire shareholders and those who follow the conglomerate's activities will get a bonus next year: Mr. Munger is also writing down his vision for Berkshire for the next 50 years. Shareholders love Mr. Munger's sometimes bruising wit and deadpan delivery, often in response to questions posed at Berkshire's annual meeting.

2014年10月18日土曜日

1999年度バフェットからの手紙 - バフェットが初めてつまずいた年

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バークシャー・ハサウェイの株価が大きく下落した年は、この20年で2回ありました。1999年(ドットコム・バブル)と2008年(世界金融危機)です。今回はその1回目にあたる1999年度「株主のみなさんへ」の冒頭部から引用します。(日本語は拙訳)

BERKSHIRE HATHAWAY INC. 1999 ANNUAL REPORT [PDF]

1999年に純資産は3億5,800万ドル増加しました。当社の株式クラスA及びクラスBのどちらについても、簿価が0.5%増加したことになります。この35年の間に(現在の経営陣が指揮をとり始めてから)、1株当たりの簿価は19ドルから37,987ドルへと成長しました。複利計算で年率24.0%になります。

前のページに載せた数字は、1999年におけるわたしたちの成績が思わしくなかったことを示しています[バークシャーの1株当たり簿価の増加率は0.5%だった。ただし税引き後]。わたしが就任して以来、絶対値としては最低の増加率にとどまりました。S&P500との相対比較でも同様に、最悪の結果でした[S&P500の配当込み税引き前の増加率は21.0%]。相対的な数字が悪いままでは、絶対的な成績もやがては不満足なものへとつながるでしょう。

クルーゾー警部[ピンク・パンサー]でさえも、だれが昨年[1999年]の犯人なのかわかるでしょう。そうです、この取締役会長です。わたしの残した成績をふりかえると、あるクォーターバックを思い出します。彼につけられた成績は、F[不可]が4つとD[可]が1つでした。それでもコーチは理解を示してくれました。「おまえはなあ」、とコーチは言い聞かせるように話します。「ひとつのことばかりに時間をとられているぞ」。

わたしにとっての「ひとつのこと」とは、「資産配分」になります。1999年にわたしが残した成績は、ほぼ間違いなくDでしょう。もっとも足をひっぱったのは、バークシャーの保有する株式ポートフォリオが不出来な成績だったことです。GEICOのルー・シンプソンが運用している一部を除けば、ポートフォリオの責任はすべてわたしにあります。1999年は投資先企業の上位何件かが、市場の成績から大きく引き離されました。彼らの業績が残念なものに終わったからです。それでもわたしどもはそれらの事業を好んでいますし、多額の投資をしていることに満足しています。しかし彼らの歩みが不確かだったことは、昨年のわたしたちの成績に悪影響を及ぼしました。彼らが大きな歩みを早々に取り戻すかは不透明です。

1999年にわたしたちの成績が貧弱に終わったことで、それと比例する以上の株価下落がもたらされました。1998年のときは、少し戻りはしましたが、株のほうは事業よりも好調でした。しかし昨年は事業のほうが株よりもかなり良かったのですが、この文章を書いている時点でもそのまま乖離しつづけています。もちろん長い目でみれば、株価の動向は事業の業績とおおむね合致するはずです。

昨年の成績はぶざまでしたが、バークシャーが今後10年間にわたって本源的価値を増加させる割合は、S&P500を保有して得られる利益をそこそこ上回るものと期待しています。わたしのパートナーでありバークシャーの副会長を務めるチャーリー・マンガー共々、そう考えています。もちろん保証することはできませんが、確信できるものには喜んで資金を投じるつもりです。以前にも耳にされた事実を繰り返しますが、わたしの純資産の99%以上はバークシャーと共にあります。夫婦共々、バークシャー株は1株も売却していませんし、わたしたちの小切手が決済不能とならない限り、そうするつもりもありません。

ただしここで留意して頂きたいのは、S&P500を「そこそこ」上回りたいと言っている点です。バークシャーがその指数を本当に凌駕していたのは、もう過去の話です。過去に優位性があったのは、現在よりもずっと魅力的な値段で事業と株式のどちらも買えたからでした。またずっと小さな資本でやっていたので、現在のわたしたちよりもずっと幅広い投資の機会を検討できる状況でした。

わたしどもの考えでは、これからの10年あるいは20年間のS&P500は、1982年以来の成績水準には到底及ばないと予想しています。これは実質的に確実だと思いますが、わたしどもがバークシャーの成績を極端に楽観しているわけではない理由のひとつです。フォーチュン誌に最近掲載された記事で、なぜそれが不可避なのかを示すわたしの見解が取りあげられていました。その写しを本報告書に同封してあります。 (p.3)

Our gain in net worth during 1999 was $358 million, which increased the per-share book value of both our Class A and Class B stock by 0.5%. Over the last 35 years (that is, since present management took over) per-share book value has grown from $19 to $37,987, a rate of 24.0% compounded annually.*

The numbers on the facing page show just how poor our 1999 record was. We had the worst absolute performance of my tenure and, compared to the S&P, the worst relative performance as well. Relative results are what concern us: Over time, bad relative numbers will produce unsatisfactory absolute results.

Even Inspector Clouseau could find last year's guilty party: your Chairman. My performance reminds me of the quarterback whose report card showed four Fs and a D but who nonetheless had an understanding coach. "Son," he drawled, "I think you're spending too much time on that one subject."

My "one subject" is capital allocation, and my grade for 1999 most assuredly is a D. What most hurt us during the year was the inferior performance of Berkshire's equity portfolio - and responsibility for that portfolio, leaving aside the small piece of it run by Lou Simpson of GEICO, is entirely mine. Several of our largest investees badly lagged the market in 1999 because they've had disappointing operating results. We still like these businesses and are content to have major investments in them. But their stumbles damaged our performance last year, and it's no sure thing that they will quickly regain their stride.

The fallout from our weak results in 1999 was a more-than-commensurate drop in our stock price. In 1998, to go back a bit, the stock outperformed the business. Last year the business did much better than the stock, a divergence that has continued to the date of this letter. Over time, of course, the performance of the stock must roughly match the performance of the business.

Despite our poor showing last year, Charlie Munger, Berkshire's Vice Chairman and my partner, and I expect that the gain in Berkshire's intrinsic value over the next decade will modestly exceed the gain from owning the S&P. We can't guarantee that, of course. But we are willing to back our conviction with our own money. To repeat a fact you've heard before, well over 99% of my net worth resides in Berkshire. Neither my wife nor I have ever sold a share of Berkshire and - unless our checks stop clearing - we have no intention of doing so.

Please note that I spoke of hoping to beat the S&P "modestly." For Berkshire, truly large superiorities over that index are a thing of the past. They existed then because we could buy both businesses and stocks at far more attractive prices than we can now, and also because we then had a much smaller capital base, a situation that allowed us to consider a much wider range of investment opportunities than are available to us today.

Our optimism about Berkshire's performance is also tempered by the expectation - indeed, in our minds, the virtual certainty - that the S&P will do far less well in the next decade or two than it has done since 1982. A recent article in Fortune expressed my views as to why this is inevitable, and I'm enclosing a copy with this report.

2014年4月20日日曜日

2013年度バフェットからの手紙(付録) - 内部留保について

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ウォーレン・バフェットがバークシャー・ハサウェイの株主向けに毎年書いている文章では、本題の範囲を超える話題については深入りせず、年次報告書(Annual Report)の末尾に付録として添付しています。2013年度版の付録には、「本源的価値(Intrinsic Value)」と題する一節がありました。この話題は2010年度にウォーレンが書いた文章ですが、2013年度版にも再掲されています。2010年度版が発表された頃は個人的に職務が極めて多忙だったため(そして大地震がやってきたため)、目を通していませんでした(あるいは読んだことを忘れてしまいました)。今回腰をすえて読んでみたところ、初歩的ながら肝心なことが書かれており、今さらながら感じ入っている次第です。数年前に発表されていた文章なのですでに広く取りあげられているかもしれませんが、ここでは拙訳にてご紹介します。

BERKSHIRE HATHAWAY INC. 2013 ANNUAL REPORT [PDF]

本源的価値を算出する際に使う3つめの要素は他よりも主観的なもので、足し算にも引き算にもなります。その要素とは内部留保の効率性、つまり留保された資金が将来どのように活用されるかを問うものです。わたしたちだけでなく多くの他社でも同じように、次の10年についても利益を社内に留めていくでしょうが、その金額は現在投じられている資本と同じかそれ以上に達すると思われます。そして留保された資金を半分にしてしまう会社があれば、2倍へと変える会社もあります。

企業の持つ本源的価値を見積もってまともな値に達するには、常に「今どれだけあるのか」を適切に計算した上で、「資金がどのように活用されるだろうか」という要因を評価しなければなりません。これはわたしたちに限らず、だれにとってもそうです。それというのも、当事者ではない外部の投資家は、会社の利益における投資家自身の持ち分を経営陣が再投資してくれるのを、ただただ待つばかりだからです。CEOがその仕事をうまく遂行してくれるようであれば、再投資される見込みによって会社の現在価値は高まります。一方でCEOの能力ややる気が疑わしい場合、現在価値は割り引いて考えなければなりません。この結果次第で大きな差がつくこともあります。1960年代の末頃にシアーズ・ローバックやモンゴメリー・ウォード[通販会社]のCEOが手にしていた当時の価値での1ドルは、[ウォルマートの]サム・ウォルトンにゆだねられた1ドルとは遠く離れた運命を歩むこととなったのです。(PDFファイル111ページ目)

There is a third, more subjective, element to an intrinsic value calculation that can be either positive or negative: the efficacy with which retained earnings will be deployed in the future. We, as well as many other businesses, are likely to retain earnings over the next decade that will equal, or even exceed, the capital we presently employ. Some companies will turn these retained dollars into fifty-cent pieces, others into two-dollar bills.

This "what-will-they-do-with-the-money" factor must always be evaluated along with the "what-do-we-have-now" calculation in order for us, or anybody, to arrive at a sensible estimate of a company's intrinsic value. That's because an outside investor stands by helplessly as management reinvests his share of the company's earnings. If a CEO can be expected to do this job well, the reinvestment prospects add to the company's current value; if the CEO's talents or motives are suspect, today's value must be discounted. The difference in outcome can be huge. A dollar of then-value in the hands of Sears Roebuck's or Montgomery Ward's CEOs in the late 1960s had a far different destiny than did a dollar entrusted to Sam Walton.



2014年3月14日金曜日

2013年度バフェットからの手紙 - 無形資産の償却費について

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ウォーレン・バフェットによる2013年度「株主のみなさんへ」[PDF]から、買収などに伴って発生する無形資産の償却費に関する話題を引用します。一見すると初歩的な説明ですが、企業買収というテーマを考え直す材料になる文章だと思います。(日本語は拙訳)

真剣にとりくんでいる投資家であれば、無形資産という分類には異なった性質のものが混ざっていることを理解しておく必要があります。あるものはまさに時間と共に減耗する一方、価値をまったく失わないものもあります。たとえばソフトウェアにかかる償却費はまさに本物の支出です。しかし他の無形資産、たとえば顧客との取引関係(customer relationships)に関する償却費はパーチェス法を通じて発生するもので、あきらかに実際の支出ではありません。たとえ投資家の視点から見てそれらが大きく異なっていたとしても、企業会計原則(GAAP)ではその2種類の違いを区別せず、利益を算出する際にどちらも費用として計上します。

本文書の29ページ[損益計算書]に載せた数字は企業会計原則に準ずるものです。そこでは、この章に含まれる企業群[バークシャーの子会社]に関する償却費6億4,800万ドルが費用として計上されています。そのうち「実際の支出に即したもの」は20%で、残りはそうでないと言うことができます。わたしどもは多くの買収をしてきたことで、この違いが重大なものとなってきました。今後も買収を続ければ、違いがさらに大きくなるのはまず間違いありません。

もちろん帳簿上だけの費用計上は、その資産の残存価額がやがてゼロになることで終了となります。しかしそうなるまでには、たいていの場合15年間かかります。つまり残念なことに、今の分の償却が終わることで報告利益上の恩恵をうけるのは、わたしのあとを継ぐ人になるでしょう。

一方わたしどもが報告する減価償却費は、そっくりすべて実際に支出される費用です。このことは、どの他社でもまずそのとおりだと言えます。ウォール街の住人は評価基準のひとつとしてEBITDA(利払い税引き償却前利益)を売り込んできますが、それを目にしたら財布のひもを締めてください。

もちろんわたしどもが提出する利益報告はひきつづきGAAPに準拠していきます。しかしあるがままを受け入れるには、報告上の償却費用の大部分を足し戻すことを覚えておいてください。(PDFファイルの13ページ目)

[前略] serious investors should understand the disparate nature of intangible assets: Some truly deplete over time while others in no way lose value. With software, for example, amortization charges are very real expenses. Charges against other intangibles such as the amortization of customer relationships, however, arise through purchase-accounting rules and are clearly not real costs. GAAP accounting draws no distinction between the two types of charges. Both, that is, are recorded as expenses when earnings are calculated - even though from an investor's viewpoint they could not be more different.

In the GAAP-compliant figures we show on page 29, amortization charges of $648 million for the companies included in this section are deducted as expenses. We would call about 20% of these “real,” the rest not. This difference has become significant because of the many acquisitions we have made. It will almost certainly rise further as we acquire more companies.

Eventually, of course, the non-real charges disappear when the assets to which they're related become fully amortized. But this usually takes 15 years and - alas - it will be my successor whose reported earnings get the benefit of their expiration.

Every dime of depreciation expense we report, however, is a real cost. And that's true at almost all other companies as well. When Wall Streeters tout EBITDA as a valuation guide, button your wallet.

Our public reports of earnings will, of course, continue to conform to GAAP. To embrace reality, however, remember to add back most of the amortization charges we report.


現在83歳のウォーレンは、15年後には98歳になる計算です。上の文章では後継者云々と書いていますが、実のところご本人は15年前を振り返って「株主のみなさんへ」を書くつもりでいると思います。個人的にはその年齢はむずかしいだろうと考えていましたが、ウォーレンがこの話題を書いたことで確率を再検討しました。98歳になっても筆をとっている確率は、3割から4割ぐらいと予想します(あくまでも軽い予想です)。

2014年3月3日月曜日

2013年度バフェットからの手紙 - またしてもやってしまいました

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2013年度のバークシャー・ハサウェイ社の業績は、売上高が約18兆円、純利益が2兆円弱でした。その会社のトップであるウォーレン・バフェット氏が、今年も株主のみなさんへ自分のあやまちを報告します。2013年度「株主のみなさんへ」[PDF]からの引用です。(日本語は拙訳)

なお2011年度に書いた報告は、過去記事「今年も反省します」で取りあげています。

わたしたちは株式を保有するだけでなく、債券にも多額の資金を投資しています。その投資は成功におわることが多いものの、必ずしもそうとは言い切れません。

エナジー・フューチャー社(Energy Future Holdings)という会社をご存知の方は、ほとんどいらっしゃらないと思います。それはツイています。わたしもそうだったらと心の底から思います。2007年に設立された同社は、多額の借入金を使ってテキサス州にある電力事業を買収する目的の会社でした。80億ドルの資金を払った投資家が株式を保有し、その上で必要な多額の資金は借入によって賄うことになりました。バークシャーは20億ドル分の債券を購入しました。そのときチャーリー[・マンガー]に相談せずに、わたしの判断で進めてしまいました。これが大きなまちがいでした。

天然ガスの価格が上昇していなかったら、同社はほぼ間違いなく2014年中に破産したでしょう。我々は昨年、保有する債券を2億5,900万ドルで売却しました。債券を保有している期間に受け取った利息が8億3,700万ドルでしたので、結局は税引き前で8億7,300万ドルの損失を出しました。次からはちゃんとチャーリーに電話をかけるようにします。(PDFファイル19ページ目)

In addition to our equity holdings, we also invest substantial sums in bonds. Usually, we've done well in these. But not always.

Most of you have never heard of Energy Future Holdings. Consider yourselves lucky; I certainly wish I hadn't. The company was formed in 2007 to effect a giant leveraged buyout of electric utility assets in Texas. The equity owners put up $8 billion and borrowed a massive amount in addition. About $2 billion of the debt was purchased by Berkshire, pursuant to a decision I made without consulting with Charlie. That was a big mistake.

Unless natural gas prices soar, EFH will almost certainly file for bankruptcy in 2014. Last year, we sold our holdings for $259 million. While owning the bonds, we received $837 million in cash interest. Overall, therefore, we suffered a pre-tax loss of $873 million. Next time I'll call Charlie.


純利益2兆円弱の裏に8億7,300万ドル(900億円弱)の損失があったと聞かされても、ウォーレンに不平を言うバークシャーの株主は非常に少ないでしょう。少なくとも個人的にはなんとも感じていません。自分の意見をそのまま敷衍できるわけではないですが、バークシャーの株主がウォーレンやチャーリーに寄せる忠誠心は絶大なものと感じています。彼らのようなすばらしい能力を持った人間が誠実にふるまおうと努力している様子をみると、その組み合わせが稀なゆえに自然と惹かれてしまうような気がします。

その意味で今回の文章を読んで個人的に気がついた点は、「このような報告事例がバークシャー子会社の経営陣に対して言行一致の見本となる」ことです。ウォーレンが彼らに要求するものに、「悪いニュースを早く知らせてほしい」という指示があります。時期という点では、今回の文章は遅れてはいます。しかし隠し立てをせずに正確な事実を伝えあうという前向きな姿勢は、みずから進んで示しています。世間一般の優良企業の経営陣ががむしゃらにやるのは仕方がないことかもしれませんが、ソフトなアプローチを積み重ねるウォーレンのようなやりかたも、もっと評価されていいと感じています。またこのような経営文化が存在することは、きわめて真似のしにくい競争優位だと思います。

話は大きく変わりますが、もうひとつ気づいた点はウォーレンが合意した債券の利率水準です。20億ドルの元本に対して約6年間で受け取った利息が8億3,700万ドルでした。単純に計算すると利率は約7%になります。投資時期が2007年と微妙な時期ではありますが、ウォーレンは意外と楽観的に考えていたように個人的には受けとめました。

2014年3月1日土曜日

2013年度バフェットからの手紙 - 投資に関するわたしからの助言(3)

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ウォーレン・バフェットの2013年度「株主のみなさんへ」、Fortune誌掲載分の最終回です。大団円で、きれいな幕引きです。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

さて、ベン・グレアムの話題に戻りましょう。ここまで書いてきた投資に関する考えのほとんどは、ベンの書いた本『賢明なる投資家』(The Intelligent Investor)からわたしが学んだことです。1949年に買ったその本が金融面におけるわたしの人生を変えました。

ベンの本を読む前にも投資に関するあらゆる本を貪り読んでいました。そして投資の世界をうろうろしたものです。読んで覚えたさまざまなことに夢中になり、手書きでチャートを書いたり、市場に現れた兆候をもとに株価の動きを予測しようとしました。証券会社の事務所に行って腰を下ろし、銘柄情報のテープが吐き出されるのをながめたりしました。評論家の意見にも耳を傾けました。どれも楽しめるものでしたが、どこにも行けないという想いを払いのけることはできませんでした。

それに反して、ベンは自分の考えを優雅にそしてわかりやすい普通の文体で論理的に説明していました(ギリシャ文字や複雑な公式は出てきません)。のちの改版で第8章そして第20章と章立てされた箇所に、わたしにとって核心となる内容が記されていました。その主張こそ、今日のわたしが投資上の判断をくだす際の導き手となっています。

その本には興味をひく情報がいくつか追加されています。のちに出た版の追記では、ベンが投資した宝の山が何だったのか名前が明かされました。初版を書いていた頃の1948年に、ベンはその銘柄を買っていたのです。驚くなかれ、謎の会社はGeico[ガイコ;バークシャーの子会社となった保険会社]でした。ガイコがまだよちよち歩きの頃にベンが同社の特質を認識していなかったら、わたしやバークシャーの将来はまるでちがっていたでしょう。

また1949年版では、ある鉄道会社の株が推奨されています。当時の1株当たり利益10ドルに対して、株価は17ドルでした(最新の事例をあつかう勇気を持っていたことも、ベンを尊敬する理由のひとつです。へまをやれば公然と冷笑されるかもしれないのですから)。低い評価を受けていたのは、当時の会計基準によるところもありました。鉄道会社が会計報告する際には、その利益から関連会社に留保されている利益の大幅な額を控除する決まりになっていました。

推奨されていたのはノーザン・パシフィック社の株でした。そのもっとも重要な関連会社がシカゴ・バーリントン&クインシーです。現在それらの鉄道は、バークシャーの完全子会社となったBNSF(バーリントン・ノーザン・サンタフェ鉄道)において重要な位置を占めています。この本を読んだ頃に市場がノーザン・パシフィックに付けていた値段は約4,000万ドルでした。現在その後継会社は(もちろん多大なる資産が加えられましたが)、4日間ごとにその金額を稼いでいます。(訂正しました:4分間->4日間)

最初に『賢明なる投資家』を買ったときにいくら払ったのか、思い出すことができません。しかし値段はどうであれ、この件はベンの格言がいかに正しいか強調しています。「価格とは自分が払ったものであり、価値とは自分が得たものである」。わたしが投資したあらゆるものの中で、ベンの本を買ったことが最高の投資でした(ただし結婚許可証に2回お金を出したことは別にして)。

And now back to Ben Graham. I learned most of the thoughts in this investment discussion from Ben's book The Intelligent Investor, which I bought in 1949. My financial life changed with that purchase.

Before reading Ben's book, I had wandered around the investing landscape, devouring everything written on the subject. Much of what I read fascinated me: I tried my hand at charting and at using market indicia to predict stock movements. I sat in brokerage offices watching the tape roll by, and I listened to commentators. All of this was fun, but I couldn't shake the feeling that I wasn't getting anywhere.

In contrast, Ben's ideas were explained logically in elegant, easy-to-understand prose (without Greek letters or complicated formulas). For me, the key points were laid out in what later editions labeled Chapters 8 and 20. These points guide my investing decisions today.

A couple of interesting sidelights about the book: Later editions included a postscript describing an unnamed investment that was a bonanza for Ben. Ben made the purchase in 1948 when he was writing the first edition and -- brace yourself -- the mystery company was Geico. If Ben had not recognized the special qualities of Geico when it was still in its infancy, my future and Berkshire's would have been far different.

The 1949 edition of the book also recommended a railroad stock that was then selling for $17 and earning about $10 per share. (One of the reasons I admired Ben was that he had the guts to use current examples, leaving himself open to sneers if he stumbled.) In part, that low valuation resulted from an accounting rule of the time that required the railroad to exclude from its reported earnings the substantial retained earnings of affiliates.

The recommended stock was Northern Pacific, and its most important affiliate was Chicago, Burlington & Quincy. These railroads are now important parts of BNSF (Burlington Northern Santa Fe), which is today fully owned by Berkshire. When I read the book, Northern Pacific had a market value of about $40 million. Now its successor (having added a great many properties, to be sure) earns that amount every four days.

I can't remember what I paid for that first copy of The Intelligent Investor. Whatever the cost, it would underscore the truth of Ben's adage: Price is what you pay; value is what you get. Of all the investments I ever made, buying Ben's book was the best (except for my purchase of two marriage licenses).


備考です。バークシャー・ハサウェイのプレスリリースによれば、2013年度の年次報告書は日本時間の3/1(土)22:00(米東部標準時3/1(土)8:00)に公開される模様です。

2014年2月28日金曜日

2013年度バフェットからの手紙 - 投資に関するわたしからの助言(2)

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ウォーレン・バフェットの2013年度「株主のみなさんへ」(ただしFortune誌掲載分)から、前回のつづきです。なお、今回のあとにもう1回つづきます。(日本語は拙訳)

わたしが投資した小規模な2件と株式投資の間には大きな違いがひとつあります。株式の場合は持ち株に対して刻々と評価がなされますが、わたしの農場やニューヨークの不動産ではそのような評価を目にしたことはありません。

持ち株に対する評価額が大きく変動するため、株式に投資する人には莫大な優位があるのは当然です。なかには実際に優位を生かせている人もいます。つまりはこうです。わたしの地所に隣接する農地で働く気まぐれな隣人が連日のように値段を叫びたて、わたしの農地を買うためにその金額を出そうとか、あるいはその値段で彼自身の土地を売るぞと持ちかけてきます。そのときどきの彼の気分に応じて値段がころころと大きく変わるわけですから、彼の一貫しない行動から恩恵にあずかる以外に何ができるでしょう。ばかみたいに安いご挨拶があった日には、余分の資金があれば彼の農地を買うでしょう。べらぼうに高額な金額を叫んだときは、彼に土地を売るかあるいはそのまま作物を育てます。

しかし株式を保有する人の場合、移り気で非合理的な行動をする保有者がとなりにいることで、同じように非合理な行動をとってしまうものです。株式市場や経済状況、金利動向、株価変動などの無駄話が多すぎて、評論家の意見を聞くことが重要だと信じる投資家もでてきます。さらに悪いのは、そういった意見に従って行動するのが大切だと思い込んでしまうことです。

農地やアパートを保有しているぶんには何十年とそのままでいられる人でも、流れてくる株価速報を目のあたりにし、それにつづいて解説者が「じっとしていないで何か動くときですよ」と匂わせてくると、ついついアツくなってしまいがちです。そして完全無欠の有用なものとしてその投資家の手元にあった流動性[=現金]は、忌わしきものへと姿を変えてしまうのです。

「フラッシュ・クラッシュ[瞬間的な暴落]」や市場で生じるその他の極端な変動が投資家に与える傷は、自分の考えが定まらない口うるさい隣人が農地に関するわたしの投資を損なうのと同じ程度です。実のところ市場が暴落しているときは、真なる投資家にとっては恵みともなります。ただし、価格が価値から大きく外れたときに余裕資金が残っていることが条件です。投資をする上で恐れの漂う状況は味方となり、世の中が極端に楽観的なときは仇となります。

2008年の末に起こった類いまれな金融危機の間、厳しい不況があきらかに始まろうとしていたものの、農地やニューヨークの不動産を売ろうと考えたことは一切ありませんでした。長期的にみれば明るい見通しをもった堅実な事業を丸ごと保有しているときに、それを投げ売りするようなおろかなことは考えられません。それと同じで、すばらしい事業をわずかなりとも保有しているときに、それを売ろうなどと考えるものでしょうか。投資した一部が残念な結果におわることは、たしかにありえます。しかし全体としてみればうまくいくのもたしかです。この地上から非常にすばらしい生産的な資産が奪われ、尽きることを知らない人間の叡智がアメリカから消え失せるなどと本気で考えている人がいるのでしょうか。

チャーリー・マンガーと共に株式を買ってきた際には、企業の一部とみなしてきました。株式を分析するやりかたは企業を丸ごと買収するときとほぼ同じです。まずはじめにやるのは、5年間あるいはそれ以上先の利益の幅をまずまず見積もれるかどうかを判断することです。それができるのであれば、見積もった下限とくらべて妥当な値段がついているときに株式(あるいは事業)を買います。しかし将来の利益を見積もる能力がわたしどもにないときには、他の見込み案件へと移るだけです。たいていはこれに該当します。54年間いっしょにやってきて、マクロや政治情勢あるいは他人の見解によって魅力的な買い付けを断念したことはありません。実際、わたしどもが決断するときにそれらの観点は一切含めていません。

ただし不可欠なことがあります。それは「自分たちの土俵」を定める境界線を正しく認識し、その内側にきちんととどまることです。そうであっても、株式と事業のどちらでもわたしどもはまちがいを犯すでしょう。しかしそうなったとしても、たとえば長い上昇相場に誘われて、予想される価格変動を先取りしたい気持ちで購入するときに起こる大失敗ではないと思います。

もちろんほとんどの投資家は、人生において優先することとして事業の見通しに関する勉強をしようとは考えないものです。賢明な人であれば、特定の事業における将来の利益創出力を予測できるほどの力は持ち合わせていないと判断するでしょう。

ここでわたしから、プロではない一般の方に対して良いお知らせがあります。平均的な投資家のみなさんがそのような能力を持つ必要はありません。総じて言えば、アメリカのビジネスは時を超えてすばらしい業績をあげてきました。同じことがこれからもつづくと思います(しかし緩急があるのはほぼ間違いないですし、それがどう動くかは予測できません)。20世紀のダウ工業平均は一連の増配基調も手伝って、66から11,497ポイントへ上昇しました。21世紀はさらなる上昇を目にするでしょうし、それも大幅なことはほぼ間違いないでしょう。一般の方が目指すべきなのは、勝者を当てることではありません。ご自分だけでなく、「助力者」の方にもできないでしょう。そのかわり、多様な領域にわたる企業を保有するのです。そうすることで、総じてみれば必ずやうまく機能します。経費を抑えたS&P500のインデックス・ファンドを使えば、この目標を達成できると思います。

ここまではプロ以外の方にとって「何に」投資すべきかの話でした。それと同様、「いつ買うのか」も大切なことです。初心者や自信のない投資家は極端に熱狂的な時期に市場へ入り、評価上の損失が出たときに落ち込んでしまいがちです。これはよくある危ない例です(故バートン・ビッグス[投資家]が述べた見解を思い出しましょう。「強気相場とはセックスのようなものである。終わる寸前がいちばん良い」)。この種の時期をえらんでしまう間違いを治すには、長い期間をかけて株式を購入することです。そして悪いニュースが出て株価が高値から大きく下落しても、絶対に売らないことです。それらのきまりを守れば「何も知らない」投資家が分散しつつ諸経費を最小限に抑えることで、満足のいく成果が得られるのはほぼ間違いありません。実際のところ、事情に通じていない投資家でも自分の短所に対して現実的であれば、事情通だとしても自分の弱点がひとつもわかっていないプロとくらべて、長期的にみれば良い成果が得られるものです。

もし「投資家」が興奮丸出しで他人と農地を売り買いしていれば、農作物の収率や値段は上がらないでしょう。そのようなふるまいによってどうなるかと言えば、答えはひとつです。農地を有する人たち全体でみれば利益の総額は減少する、というものです。助言を仰いだり、地所を交換することでかなりの費用がかかるからです。

それにもかかわらず、助言を与えたり取引を遂行することで利益をあげる者は、相手が個人か組織かを問わず常に動くことを要請してきます。それによって生じる取引費用は莫大にもなるので、投資家全体としてみればまるで利益となりません。ですから彼らのたわ言にはかまわずに、費用を抑えて農地に投資するかのように株式に投資してください。

ひとつ付け加えておきますと、わたしの財産はこれだと信じられるところへ使います。ここでお勧めしたいのは、わたしが遺言に残したある指示と本質的に同じやりかたです。ある遺産において、妻のための信託へ現金を送るように指定しました(わたしの個人的な遺産には現金を使う必要があります。というのもバークシャー・ハサウェイの全株式はわたしの相続が完了したのち、あるいくつかの慈善団体へ10年間にわたって寄贈されることになっているからです)。信託に対するわたしの指示はこの上なく単純なものです。「現金のうち10%を短期政府債で運用し、90%は費用が非常に安価なS&P500のインデックス・ファンドへ投じること」(ヴァンガードの銘柄VFINXを推奨しました)。その信託がこの方針をとることで、年金基金や金融機関あるいは個人のいずれであろうと高額な手数料をとる運用者を抱えている投資家のほとんどよりも、長期的にみれば良い成果をあげるものと信じています。

There is one major difference between my two small investments and an investment in stocks. Stocks provide you minute-to-minute valuations for your holdings, whereas I have yet to see a quotation for either my farm or the New York real estate.

It should be an enormous advantage for investors in stocks to have those wildly fluctuating valuations placed on their holdings -- and for some investors, it is. After all, if a moody fellow with a farm bordering my property yelled out a price every day to me at which he would either buy my farm or sell me his -- and those prices varied widely over short periods of time depending on his mental state -- how in the world could I be other than benefited by his erratic behavior? If his daily shout-out was ridiculously low, and I had some spare cash, I would buy his farm. If the number he yelled was absurdly high, I could either sell to him or just go on farming.

Owners of stocks, however, too often let the capricious and irrational behavior of their fellow owners cause them to behave irrationally as well. Because there is so much chatter about markets, the economy, interest rates, price behavior of stocks, etc., some investors believe it is important to listen to pundits -- and, worse yet, important to consider acting upon their comments.

Those people who can sit quietly for decades when they own a farm or apartment house too often become frenetic when they are exposed to a stream of stock quotations and accompanying commentators delivering an implied message of "Don't just sit there -- do something." For these investors, liquidity is transformed from the unqualified benefit it should be to a curse.

A "flash crash" or some other extreme market fluctuation can't hurt an investor any more than an erratic and mouthy neighbor can hurt my farm investment. Indeed, tumbling markets can be helpful to the true investor if he has cash available when prices get far out of line with values. A climate of fear is your friend when investing; a euphoric world is your enemy.

During the extraordinary financial panic that occurred late in 2008, I never gave a thought to selling my farm or New York real estate, even though a severe recession was clearly brewing. And if I had owned 100% of a solid business with good long-term prospects, it would have been foolish for me to even consider dumping it. So why would I have sold my stocks that were small participations in wonderful businesses? True, any one of them might eventually disappoint, but as a group they were certain to do well. Could anyone really believe the earth was going to swallow up the incredible productive assets and unlimited human ingenuity existing in America?

When Charlie Munger and I buy stocks -- which we think of as small portions of businesses -- our analysis is very similar to that which we use in buying entire businesses. We first have to decide whether we can sensibly estimate an earnings range for five years out or more. If the answer is yes, we will buy the stock (or business) if it sells at a reasonable price in relation to the bottom boundary of our estimate. If, however, we lack the ability to estimate future earnings -- which is usually the case -- we simply move on to other prospects. In the 54 years we have worked together, we have never forgone an attractive purchase because of the macro or political environment, or the views of other people. In fact, these subjects never come up when we make decisions.

It's vital, however, that we recognize the perimeter of our "circle of competence" and stay well inside of it. Even then, we will make some mistakes, both with stocks and businesses. But they will not be the disasters that occur, for example, when a long-rising market induces purchases that are based on anticipated price behavior and a desire to be where the action is.

Most investors, of course, have not made the study of business prospects a priority in their lives. If wise, they will conclude that they do not know enough about specific businesses to predict their future earning power.

I have good news for these nonprofessionals: The typical investor doesn't need this skill. In aggregate, American business has done wonderfully over time and will continue to do so (though, most assuredly, in unpredictable fits and starts). In the 20th century, the Dow Jones industrial index advanced from 66 to 11,497, paying a rising stream of dividends to boot. The 21st century will witness further gains, almost certain to be substantial. The goal of the nonprofessional should not be to pick winners -- neither he nor his "helpers" can do that -- but should rather be to own a cross section of businesses that in aggregate are bound to do well. A low-cost S&P 500 index fund will achieve this goal.

That's the "what" of investing for the nonprofessional. The "when" is also important. The main danger is that the timid or beginning investor will enter the market at a time of extreme exuberance and then become disillusioned when paper losses occur. (Remember the late Barton Biggs's observation: "A bull market is like sex. It feels best just before it ends.") The antidote to that kind of mistiming is for an investor to accumulate shares over a long period and never sell when the news is bad and stocks are well off their highs. Following those rules, the "know-nothing" investor who both diversifies and keeps his costs minimal is virtually certain to get satisfactory results. Indeed, the unsophisticated investor who is realistic about his shortcomings is likely to obtain better long-term results than the knowledgeable professional who is blind to even a single weakness.

If "investors" frenetically bought and sold farmland to one another, neither the yields nor the prices of their crops would be increased. The only consequence of such behavior would be decreases in the overall earnings realized by the farm-owning population because of the substantial costs it would incur as it sought advice and switched properties.

Nevertheless, both individuals and institutions will constantly be urged to be active by those who profit from giving advice or effecting transactions. The resulting frictional costs can be huge and, for investors in aggregate, devoid of benefit. So ignore the chatter, keep your costs minimal, and invest in stocks as you would in a farm.

My money, I should add, is where my mouth is: What I advise here is essentially identical to certain instructions I've laid out in my will. One bequest provides that cash will be delivered to a trustee for my wife's benefit. (I have to use cash for individual bequests, because all of my Berkshire Hathaway (BRKA) shares will be fully distributed to certain philanthropic organizations over the 10 years following the closing of my estate.) My advice to the trustee could not be more simple: Put 10% of the cash in short-term government bonds and 90% in a very low-cost S&P 500 index fund. (I suggest Vanguard's. (VFINX)) I believe the trust's long-term results from this policy will be superior to those attained by most investors -- whether pension funds, institutions, or individuals -- who employ high-fee managers.

2014年2月27日木曜日

2013年度バフェットからの手紙 - 投資に関するわたしからの助言(1)

6 件のコメント:
ウォーレン・バフェット恒例の「株主のみなさんへ」2013年度版がそろそろ公表されるはずです。ところがまたしても米経済誌Fortuneが抜粋分を先行掲載していました(以前にIBM株の話題の際にもありました)。原文記事は、以下のリンク先にあります。

Buffett's annual letter: What you can learn from my real estate investments (Fortune)

題名で示したように、今回のウォーレンは一般的な投資家に向けた有益な助言を書いてくれました。新しいところは特にないものの、彼が発言してきたことの集大成的な構成となっており、個人的にはとてもすばらしい文章と感じました。少し長いので、何度かに分けて全文の拙訳を掲載します。

「ビジネスライクに徹した投資ほど、非常に賢明なものと言える」
-- ベンジャミン・グレアム、『賢明なる投資家』


ベン・グレアムからの引用文から書き始めるのは、この文章にとってぴったりです。というのも、投資についてわたしが知っていることは彼に負うところが大きいからです。ベンのことは少し後でもっとふれますし、普通株についてはその前にお話しします。しかしまず最初の話題として、ずっと以前にやった株式以外の小規模な投資2件のことを語らせてください。どちらもわたしの純資産に大きな変化を与えてはいませんが、教訓を含むものだからです。

この話はネブラスカ州から始まります。1973年から1981年にかけて、中西部では農産物の価格が高騰しました、とどまることを知らないインフレになると広く信じられ、さらには小規模な地方銀行の貸付方針によって刺激されたためです。やがてバブルははじけ、持ち上げられていた価格は50%以上下落しました。借り入れをしていた農家とその貸し手はどちらも打撃を受けました。バブルの余波を受けて破たんしたアイオワ州とネブラスカ州の銀行の数は、少し前に起こった[サブプライム危機以降の]大不況とくらべて5倍に達しました。

1986年に、わたしは400エーカーの農地をFDIC[連邦預金保険公社]から買いました。オマハの北50マイルに位置する土地です。値段は28万ドルでした。これは、破たんした銀行が数年前に農家へ貸し付けたものよりかなり安いものでした。農地の経営のことは何もわかりませんでした。しかし農業を愛する息子が、その農地から何ブッシェルのトウモロコシや大豆がとれるのか、経費はどれだけかかるのかを教えてくれました。そういった見積もりを使って、その農地からあがる標準的なリターンは10%程度になるだろうと計算しました。また時が経つにつれて生産性が向上し、穀物価格も同様に上昇していくだろうと考えました。結局はどちらも期待したとおりになりました。

その投資が下落するのではなく大幅に上昇する可能性を秘めていると結論づけるのに、特別な知識や知性はいりませんでした。当然ながら、時として不作に見舞われたり、価格に失望することもあるでしょう。しかし、それがどうしたと言うのでしょう。著しく好調な年も同じようにあるわけですから、その地所を売らねばと追いこまれたことはありませんでした。28年間経った今では、その農地は3倍の利益をあげるようになり、支払った金額の5倍以上の価値があります。農業については今でも何もわかりませんし、その農地を最近訪れたのは2回目でした。

1993年には別の小規模な投資をしました。ソロモン・ブラザーズのCEOだったときに、同社の家主だったラリー・シルバーシュタインがニューヨーク大学のとなりにある小売店舗用の不動産物件を教えてくれました。整理信託公社(Resolution Trust Corp.; RTC)が売却に出していたものです。商業用不動産も含んでいたこのバブルも、いつものように破裂しました。RTC社は破たんした貯蓄組合が有していた資産を処分するために設立されました。その組合がとった楽観的な貸付慣行によってバカ騒ぎが刺激されたのです。

こちらも単純な分析でした。農地と同じように、借入れなしでの資産からの利回りは約10%でした。しかしその物件に対するRTC社の管理はザルで、空き店舗をいくらか貸し出せれば利益は増加するはずでした。さらにもっと重要なのは、そのプロジェクトの総面積の約20%を占めていた最大のテナントが、[約]1平方メートルあたり[年間]50ドル強で貸し出されていたことです。一方、他のテナントは平均[年間]750ドルでした。この大安売りのリース契約は期間が9年間だったので、それが切れれば利益が大幅に増えるのは明らかでした。物件の立地も抜群でした。ニューヨーク大学はどこにも移りませんでした。

わたしはその建物を購入するための小さなグループに加わりました。ラリーやわたしの友人であるフレッド・ローズも参画しました。フレッドは経験豊富で優れた不動産投資家でした。親族と共にその物件を管理するつもりだった彼は、現在もそうしています。古いリース契約が切れたことで、利益は3倍になりました。現在の利益配分の年額は、わたしたちの出した初期投資額の35%を超えています。また当初のモーゲージは1996年、それから1999年にも借り換えしました。それによって特別配当を何度か実施でき、合計で投資額の150%以上になりました。なお、その物件を見たことはまだありません。

農地とニューヨーク大学に隣接した不動産からの収入は、今後何十年間にわたって増えていくと思います。劇的というほどの儲けではありませんが、この2件の投資は手堅くそして満足できる保有案件となるでしょう。それはわたしの人生においてだけでなく、やがてはつづくわたしの子供や孫にとってもです。

この話からは、投資における根本的な道理をいくつか示すことができます。

* 投資によって満足のいくリターンを得るために、専門家になる必要はありません。しかしそうでない以上、自分の限界を認め、ほどほどの成功でもまず間違えのない道を選ぶことが欠かせません。単純なやりかたをとりつづけてください。そして柵越えを狙おうなどと考えないことです。手っ取り早い利益が約束されているところには、素早くも「はずれ」が返ってくるのですから。

* 検討対象の資産がどれだけのものを将来生み出してくれるのか、よく考えてください。その資産が生む将来の利益をざっと見積もったときに安心できなければ、その件は忘れて次へ進んでください。あらゆる投資の可能性を評価できる能力を持つ人などいません。しかし何でも知り尽くしている必要はなく、自分がとる行動を理解していればよいだけです。

* そのかわりに、よく考えて買ったものでも将来の価格変動に注目するのであれば、それは投機をしていることになります。正しくないとは言いませんが、わたし自身は投機で成功できないことは理解しています。そのやりかたで継続的に成功できるという人に対しては、懐疑的に見ています。コイン投げをすれば、最初の1回目の勝負で半数の人が勝てます。しかしゲームをずっとつづけたときに利益をあげられると期待できる勝者はいません。つまり資産価格が直近で上昇したという事実は、それを買う理由にはなり得ません。

* わたしが投資した小規模な2件の例では物件が生み出すものだけを考え、日々の評価額はまったく気にしませんでした。ゲームで勝つのは、競技場に集中する選手です。スコアボードから目をはなせない選手ではありません。株価を見ないで週末を楽しめるようでしたら、平日もそうしてみてください。

* マクロに関する見解をこしらえたり、他人によるマクロや市場の予測に耳を貸すのは時間の無駄です。実のところ、危険なことです。本当に大切な事実に対する自分自身の見方をあいまいにしかねないからです(テレビにでている解説者が市場が次にどう動くかをペラペラ話すのを聞くと、ミッキー・マントル[野球選手]の辛辣な一言を思い出します。「実況放送用の部屋へ入ると、この試合は楽勝だとわかるようになるのは、一体どういうことだ」)。

わたしが購入した2件は1986年と1993年のことでした。それらの投資の成否を決める上で、その後の1987年や1994年に経済・金利・株式市場の面で起きたことは、わたしには重要ではありませんでした。当時の見出し記事や評論家がどう語っていたのか、とんと覚えていません。おしゃべりがどうであれ、ネブラスカのトウモロコシは成長しつづけ、ニューヨーク大学には学生が集まってくれるからです。

"Investment is most intelligent when it is most businesslike." --Benjamin Graham, The Intelligent Investor

It is fitting to have a Ben Graham quote open this essay because I owe so much of what I know about investing to him. I will talk more about Ben a bit later, and I will even sooner talk about common stocks. But let me first tell you about two small nonstock investments that I made long ago. Though neither changed my net worth by much, they are instructive.

This tale begins in Nebraska. From 1973 to 1981, the Midwest experienced an explosion in farm prices, caused by a widespread belief that runaway inflation was coming and fueled by the lending policies of small rural banks. Then the bubble burst, bringing price declines of 50% or more that devastated both leveraged farmers and their lenders. Five times as many Iowa and Nebraska banks failed in that bubble's aftermath as in our recent Great Recession.

In 1986, I purchased a 400-acre farm, located 50 miles north of Omaha, from the FDIC. It cost me $280,000, considerably less than what a failed bank had lent against the farm a few years earlier. I knew nothing about operating a farm. But I have a son who loves farming, and I learned from him both how many bushels of corn and soybeans the farm would produce and what the operating expenses would be. From these estimates, I calculated the normalized return from the farm to then be about 10%. I also thought it was likely that productivity would improve over time and that crop prices would move higher as well. Both expectations proved out.

I needed no unusual knowledge or intelligence to conclude that the investment had no downside and potentially had substantial upside. There would, of course, be the occasional bad crop, and prices would sometimes disappoint. But so what? There would be some unusually good years as well, and I would never be under any pressure to sell the property. Now, 28 years later, the farm has tripled its earnings and is worth five times or more what I paid. I still know nothing about farming and recently made just my second visit to the farm.

In 1993, I made another small investment. Larry Silverstein, Salomon's landlord when I was the company's CEO, told me about a New York retail property adjacent to New York University that the Resolution Trust Corp. was selling. Again, a bubble had popped -- this one involving commercial real estate -- and the RTC had been created to dispose of the assets of failed savings institutions whose optimistic lending practices had fueled the folly.

Here, too, the analysis was simple. As had been the case with the farm, the unleveraged current yield from the property was about 10%. But the property had been undermanaged by the RTC, and its income would increase when several vacant stores were leased. Even more important, the largest tenant -- who occupied around 20% of the project's space -- was paying rent of about $5 per foot, whereas other tenants averaged $70. The expiration of this bargain lease in nine years was certain to provide a major boost to earnings. The property's location was also superb: NYU wasn't going anywhere.

I joined a small group -- including Larry and my friend Fred Rose -- in purchasing the building. Fred was an experienced, high-grade real estate investor who, with his family, would manage the property. And manage it they did. As old leases expired, earnings tripled. Annual distributions now exceed 35% of our initial equity investment. Moreover, our original mortgage was refinanced in 1996 and again in 1999, moves that allowed several special distributions totaling more than 150% of what we had invested. I've yet to view the property.

Income from both the farm and the NYU real estate will probably increase in decades to come. Though the gains won't be dramatic, the two investments will be solid and satisfactory holdings for my lifetime and, subsequently, for my children and grandchildren.

I tell these tales to illustrate certain fundamentals of investing:

* You don't need to be an expert in order to achieve satisfactory investment returns. But if you aren't, you must recognize your limitations and follow a course certain to work reasonably well. Keep things simple and don't swing for the fences. When promised quick profits, respond with a quick "no."

* Focus on the future productivity of the asset you are considering. If you don't feel comfortable making a rough estimate of the asset's future earnings, just forget it and move on. No one has the ability to evaluate every investment possibility. But omniscience isn't necessary; you only need to understand the actions you undertake.

* If you instead focus on the prospective price change of a contemplated purchase, you are speculating. There is nothing improper about that. I know, however, that I am unable to speculate successfully, and I am skeptical of those who claim sustained success at doing so. Half of all coin-flippers will win their first toss; none of those winners has an expectation of profit if he continues to play the game. And the fact that a given asset has appreciated in the recent past is never a reason to buy it.

* With my two small investments, I thought only of what the properties would produce and cared not at all about their daily valuations. Games are won by players who focus on the playing field -- not by those whose eyes are glued to the scoreboard. If you can enjoy Saturdays and Sundays without looking at stock prices, give it a try on weekdays.

* Forming macro opinions or listening to the macro or market predictions of others is a waste of time. Indeed, it is dangerous because it may blur your vision of the facts that are truly important. (When I hear TV commentators glibly opine on what the market will do next, I am reminded of Mickey Mantle's scathing comment: "You don't know how easy this game is until you get into that broadcasting booth.")

My two purchases were made in 1986 and 1993. What the economy, interest rates, or the stock market might do in the years immediately following -- 1987 and 1994 -- was of no importance to me in determining the success of those investments. I can't remember what the headlines or pundits were saying at the time. Whatever the chatter, corn would keep growing in Nebraska and students would flock to NYU.


ご参考までに、過去に投稿した「バフェットからの手紙」の記事をさがしやすいように目次を作成してあります。