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2012年10月1日月曜日

超低金利を甘受する(ウォーレン・バフェット)

ウォーレン・バフェットの伝記『スノーボール』を書いたアリス・シュローダーへのインタビュー記事がThe Globe and Mailにありましたので、ご紹介します。ウォーレンが余裕資金を満額投資せずに待機させておく話題です。(日本語は拙訳)

引用元の記事: For Warren Buffett, the cash option is priceless

シュローダー女史は、バフェット氏の伝記を書く前から彼のことを何年も追ってきた。その彼女がこう論じる。バフェットにとって現金とは、利益をほとんど上げない種類の資産ではない。むしろ、値段が付けられるコール・オプションと捉えている。現金は他の資産を買うことができるが、そのことと比べてオプションのほうが安いと思えたら、彼はよろこんで超低金利を甘受する、と彼女は言う。

「彼は現金のことをふつうの投資家とは違うようにみています」シュローダー女史はつづける。「現金の選択性、これこそ彼から学んだきわめて重要なことの一つでした。つまり彼は現金をコール・オプションと捉えています。その条件は行使期限なし、あらゆる種類の資産が購入可能、権利行使価格の指定なしです」。

これはすごく根本的な見識だ。というのは投資家が現金のことをオプションと考えるようになると、つまりそれはここぞというときに掘り出し物を買える権利の値段だが、短期的にはほとんど利益を上げられなくても心が揺らがなくなるからだ。(中略)

ネブラスカ州オマハの彼のオフィスでカウチに座って何時間も過ごしたが、読んだり考えたりするばかりで、何も起こらなかった。そうして彼のファイルをひもとく時間が続くうちに、彼女は悟った。バフェット氏はわかりやすい比喩を使って話すことが多いが、実のところ彼の投資はとても複雑なのだと。

Ms. Schroeder argues that to Mr. Buffett, cash is not just an asset class that is returning next to nothing. It is a call option that can be priced. When he thinks that option is cheap, relative to the ability of cash to buy assets, he is willing to put up with super-low interest rates, said Ms. Schroeder, who followed Mr. Buffett for years before she became his biographer.

“He thinks of cash differently than conventional investors,” Ms. Schroeder says. “This is one of the most important things I learned from him: the optionality of cash. He thinks of cash as a call option with no expiration date, an option on every asset class, with no strike price.”

It is a pretty fundamental insight. Because once an investor looks at cash as an option - in essence, the price of being able to scoop up a bargain when it becomes available - it is less tempting to be bothered by the fact that in the short term, it earns almost nothing.

Much of that time was spent on the couch in his office in Omaha, Neb., where she said nothing much happens but a lot of reading and thinking. In that time, and the hours spent digging through his files, she said she discovered that while Mr. Buffett likes to speak in folksy aphorisms, in fact, his investing is very complicated.

4 件のコメント:

バフェットファン さんのコメント...

== 素晴らしい記事感謝です ==
いつも素晴らしい記事ありがとうございます
今回の記事も非常に面白そうですね~w
原文にも当たってみたいと思います!(^ー^)ノ

bf さんのコメント...

== No title ==
こんばんは。
キャッシュポジションに特別な意味を与えるという考え方は好きです。
投資家にとって、キャッシュポジションは、逃げのポジション的なイメージで語られることが多いように思いますが、僕はキャッシュポジション自体が重要な「戦略」だと思っています。
ウェルズファーゴ銀行の発展の理由が、バフェットの言うように、「したこと」でなく「しなかったこと」にあるように、あるアクションを「しない」ということの重要性にもっと陽を当てるべきであるように思います。

betseldom さんのコメント...

== バフェットファンさん、ありがとうございます ==
バフェットファンさん、はじめまして。
コメントを頂きまして、どうもありがとうございます。
また本ブログをお読み下さり、こちらもありがとうございます。正直なところ、はげみになります。
今回の原文記事は、なんだか楽しそうなウォーレン・バフェットの写真が載っていますね。当方の翻訳ミスなどに気づかれましたら、こっそり教えていただければと思います。
これからもどうぞよろしくお願いします。
それでは失礼致します。

betseldom さんのコメント...

== bfさん、ありがとうございます ==
bfさん、
早々にコメント頂き、ありがとうございます。
「キャッシュポジション自体が重要な戦略」の件ですが、わたしも少しずつですが、そう考えられるようになってきました。チャーリー・マンガーやボブ・ロドリゲス、セス・クラーマンといった投資家をお手本にと思っていたのですが、bfさんもその中のおひとりだったのですね。
「あるアクションを「しない」ということの重要性にもっと陽を当てるべき」ですが、これは投資家が各自でやるべき仕事と受けとめました。影響力の大きなメディアや教育機関が取り上げて啓蒙にはげめば、世界は今よりも落ち着いた場所になるのかもしれません。しかし当面はささやかな投資の機会として、経営陣を見分けるための観点として利用したいと思います。ウォーレン・バフェットが10-Kをすみずみまで読むのも、bfさんのご指摘のことも関係しているのでしょうね。
貴重なご意見をどうもありがとうございました。
それでは今回はこのあたりで失礼します。