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2011年12月15日木曜日

金銀スポットも下落(2011/12/14)

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金と銀の値段がさがってきました。昨日の銀CMEスポットの終値は$29.02、銀ETFのSLVは$28.07です。3ヶ月ほど前に話題にしたときの水準に戻りました(9/23(金)のSLVは$29.98)。以下はCMEスポットの3年チャートです。









少しずつですが、またSLVを買い始めました。一方、株式のほうは静観中です。

2011年12月14日水曜日

大丈夫ですよ、私たちはうまく対応できますから

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以前に取り上げたチャーリー・マンガーの「システムを理解するには様々な学問分野で登場する様々なモデルをうまく当てはめることが必要になる」は、言われてみればその通りです。自分の仕事でもいろいろな立場の人の意見をききながら、適切な方策を検討修正することがあります。

最近読んだ本『ウェザー・オブ・ザ・フューチャー ― 気候変動は世界をどう変えるか』でも、学者たちの似たようなやりとりがあったので引用します。ニューヨーク市で水不足が起きる事態を想定した科学者たちの会話です。

水不足が頻繁に起こるようになると、海面上昇の影響とも重なって、水供給に影響を与えるようになるだろう。「あらゆるシステムは絡み合っています」とローゼンツワイクは説明する。「ニューヨークのような都市部では、いくつもの気候変動の影響が完全に混ざり合っています。私たちの科学者チームが、いろいろな分野の科学者の集まりでなければいけないのはそのためです。もしそうでなければ、正しい答えは出ません」。ニューヨークでは、さまざまなバックグラウンドをもつ科学者を巻き込んで、学際的なアプローチを取ることが不可欠だ。異なる分野の科学者がいれば、それぞれ違う視点から問題に取り組める。

ローゼンツワイクはこう説明する。「私たちは毎月、チームの科学者全員で集まることにしています。水文学者というのは、たいてい非常に自信たっぷりに振る舞うんです。彼らはよくこう言っています。『大丈夫ですよ、私たちはうまく対応できますから。気候変動っていうのは私たちの得意分野ですよ』。たとえば、渇水の深刻度を表すのによく使われるパルマー渇水強度指数から、ニューヨーク一帯での渇水の頻度の増加が見られることを話し合っていると、水文学者はこう言い出します。『大丈夫。チェルシーという、ハドソン川の上流の小さな街に、ハドソン川への取水パイプがあります。チェルシーでハドソン川から水をくみ上げて、水の供給量を補うつもりです』。そこへ、NPCCのメンバーの研究者が部屋の後ろのほうで手を振って、『でも計算したところでは、海面上昇の影響を考慮すると、河口部にあった塩水と淡水の境界線が上流のチェルシーまで進んでしまうんですよ』と言うんです」

「専門家が一つの部屋で議論する必要があるのは、こういうことがよくあるからです。もちろん、チェルシーでハドソン川からの追加取水は可能です。でも、それが塩水だったらあまり役には立たないでしょう」(p.325)


ところで、文中にでてくるチェルシーの街がここだとすると、現在の河口から100kmほど離れた地点です。

2011年12月13日火曜日

振り返れない(ナシーム・ニコラス・タレブ)

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引き続き、思考の限界について、ナシーム・ニコラス・タレブの「ブラック・スワン―不確実性とリスクの本質」から引用です。マーケットが下げ始めてから一躍人気者になった彼ですが、奔放な書きっぷりには面食らいました。すべてではありませんが、彼の主張にはそれなりに納得させられる点もあります。

人は過去における過去と未来の関係に学ぶことができない。それが私たちの弱点になる。私たちが明日のことを考えるとき、昨日や一昨日について、それ以前にどう考えていたかは思い出さない。振り返れないという欠陥のせいで、自分の過去の予測と、その後実際に起こった結果の違いを学習できない。(下 p.50)

2011年12月12日月曜日

世の中の働きと驚くほど一致する(チャーリー・マンガー)

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様々なメンタル・モデルを使って物事を分析しようとするとき、チャーリー・マンガーが筆頭に挙げるモデルは数学関連のものです。今回はおなじみの「Poor Charlie's Almanack」に収録されている講演その2 "A lesson on Elementary, Worldly Wisdom as It Relates to Investment Management and Business"から、数学の話題を引用します。(日本語は拙訳)

最初にくるのが数学です。当然ですが、基本的な計算ができなければなりません。

その上で大変重宝するモデルとして複利計算が挙げられますが、その次にくるのが初歩的な順列と組み合わせです。私の頃は高校2年で教わったものですが、最近の進んでいる私立校では中学2年ぐらいまで前倒ししているようですね。

計算自体は至極簡単なもので、パスカルとフェルマーが1年間にわたる手紙のやりとりで完成させたものです。

やりかたを覚えるのは、そう難しくありません。難しいのは、日常生活で毎日のように繰り返し使い込むことです。このパスカルとフェルマーが築いたやりかたは、世の中の働きと驚くほど一致しています。まさしく真理といえるものです。だからとにかく、このやりかたを身につけるべきです。

First there's mathematics. Obviously, you've get to be able to handle numbers and quantities - basic arithmetic.

And the great useful model, after compound interest, is the elementary math of permutations and combinations. And that was taught in my day in the sophomore year in high school. I suppose by now, in great private schools, it's probably down to the eighth grade or so.

It's very simple algebra. And it was all worked out in the course of about one year in correspondence between Pascal and Fermat. They worked it out casually in a series of letters.

It's not that hard to learn. What is hard is to get so you use it routinely almost every day of your life. The Fermat/Pascal system is dramatically consonant with the way that the world works. And it's fundamental truth. So you simply have to have the technique.


私の場合、順列はなんとか使えても、組み合わせは全く使えていません。順列のほうも毎日使うというほどではなく、意思決定で迷う場合に登場する程度です。それでも、確率的に考えて選んだものが正しい結果につながるときは、うれしいものです。

蛇足になりますが、学生時代に中学生の塾講師をしていたとき、3年生の夏期講習かなにかで、対象外なのに順列と組み合わせを教えてしまったことがあります。あのときは「早まったなあ」と心にひっかかっていましたが、そんなことはなかったんですね。世間知らずの二十歳の頃でした。

2011年12月11日日曜日

生き残ったものは誰か?

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先だって取り上げた話題「われわれが錯覚に捕らわれているとき」について、生物学的な面からの補足です。今回の引用は『人間らしさとはなにか?』という本からです。著者のマイケル・ガザニガはカリフォルニア大学サンタバーバラ校(UCSB)の教授で、認知神経化学を専門にしています。

私たちが決断する前、選択肢を思いついた時点で情動が呼び覚まされる。それがネガティブな情動であれば、理性が分析を始める前にその選択肢は考慮の対象から外される。意思決定では情動が主要な役割を果たしている。(p.174)


ここまではチャーリー・マンガー他の観察と同様ですが、次の一文はその理由を簡潔に示しています。

進化の観点に立てば、生き残ったものはネガティブな合図により速く、つまり自動的に反応した者だった。(p.177)


つまり、ネガティブな情動が強く働くのは、多くの人間に共通ということになります。意思決定をする際の我々の「弱点」は、むしろ「本能」と呼ぶべきなのでしょう。