行き過ぎた自尊心ゆえに、誤った人材採用をしてしまう例がみられます。採用する側は自分の下した結論をひどく過信するものですが、その判断には面接時の相手の印象が大きく影響するからです。この種の軽率さを避けるには、面接時の印象には重きをおかず、そのかわりに応募者のこれまでの実績を重視することです。
私がある大学の人事委員会で委員長をしていたときに、この方針を正確に実行したことがあります。私はフェロー推薦委員会のメンバーに対して、これ以上の面接は行わないよう説得しました。そして単純に、応募者の中でいちばんよい実績を残してきた人を採用するようにしたのです。大学自治の適正手続きに従っていないのではと聞かれたら、こう答えています。学術の持つ価値を忠実に守っているだけです、と。というのは、将来を予測するには面接時の印象ではお粗末であることを、学術的な研究が示しているからです。
人間というのは本質的に、面と向かって話す際に自分が能動的に関わっていると、そのときの印象に大きく影響されやすいものです。現代社会における経営者探しのような場ともなると、これが原因で大きな危険につながることがよくみられます。それは、見事なプレゼンテーションを披露する者が候補者の中に現われるときです。私のみたところではヒューレット・パッカードがそのような危機に直面しました。同社は新たなCEOを探し求めて、能弁で活力あふれるカーリー・フィオリーナをインタビューしたのです。ヒューレット・パッカードにとってフィオリーナ女史を選んだのは誤った決断だったと思います。また心理学にもっと通じていれば、予防的な手順を踏み、そのような悪手は打たなかっただろう、と考えています。
Excesses of self-regard often cause bad hiring decisions because employers grossly overappraise the worth of their own conclusions that rely on impressions in face-to-face contact. The correct antidote to this sort of folly is to underweigh face-to-face impressions and overweigh the applicant's past record.
I once chose exactly this course of action while I served as chairman of an academic search committee. I convinced fellow committee members to stop all further interviews and simply appoint a person whose achievement record was much better than that of any other applicant. And when it was suggested to me that I wasn't giving “academic due process,” I replied that I was the one being true to academic values because I was using academic research showing poor predictive value of impressions from face-to-face interviews.
Because man is likely to be overinfluenced by face-to-face impressions that by definition involve his active participation, a job candidate who is a marvelous “presenter” often causes great danger under modern executive-search practice. In my opinion, Hewlett-Packard faced just such a danger when it interviewed the articulate, dynamic Carly Fiorina in its search for a new CEO. And I believe (1) that Hewlett-Packard made a bad decision when it chose Ms. Fiorina and (2) that this bad decision would not have been made if Hewlett-Packard had taken the methodological precautions it would have taken if it knew more psychology.
2012年9月1日土曜日
華麗なる経営者(チャーリー・マンガー)
2012年8月31日金曜日
株価があちこちで下がってきたら思い出すこと
まあまあの企業を破格の値段で買うよりも、すばらしい企業をまあまあの値段で買うほうがずっとよい選択です。チャーリーは昔からこのことがわかっていましたが、わたしのほうは時間がかかってしまいました。ですが現在は、企業を買収したり株式を買うときには、最上の経営陣が率いる最高の企業を探すようにしています。
It's far better to buy a wonderful company at a fair price than a fair company at a wonderful price. Charlie understood this early; I was a slow learner. But now, when buying companies or common stocks, we look for first-class businesses accompanied by first-class managements.
過去記事はこちら、「長続きする競争優位性を見極める」です。
2012年8月29日水曜日
経営陣がなすべき責務(チャーリー・マンガー)
2008 Wesco Shareholder Meeting: Detailed Notes (Seeking Alpha)
企業の経営陣がなすべき責務はただひとう、Moat[経済的な堀]を広げることです。それをめざして毎日のように力を尽くさなければなりません。競争上の優位を有している以上、Moatを築かなければならない。そうするのが難しい時期もあるでしょうが、Moatを広げることこそ、やるべき仕事なのです。世間では、それと違うことをやっている例がいくつもみられますが、自らの持つ競争優位を守れるようにMoatを広げることに集中すべきです。かつてイングランドのある将軍は、こう言いました。「きみらの父の息子に劣らぬ息子を残せ、それでこそ神は女王を守り給う」。ヒューレット・パッカードでは、自分の後任になれる人を育てあげることが要求されています。これは全然複雑なことではなくて、ちちんぷいぷいといったところでしょう。今日のテキサスでは、メソポタミアのころと同じやりかたでレンガをつくっています。大切なのは少しばかりのエートス、とくに工学上のエートスを体得することです。システム全体の観点から考え、安全余裕をとること。この予備用マイクのように、です。
The only duty of corporate executive is to widen the moat. We must make it wider. Every day is to widen the moat. We gave you a competitive advantage, and you must leave us the moat. There are times when it is too tough. But duty should be to widen the moat. I can see instance after instance where that isn’t what people do in business. One must keep their eye on ball of widening the moat, to be a steward of the competitive advantage that came to you. A General in England said, ‘Get you the sons your fathers got, and God will save the Queen.’ At Hewlett Packard, your responsibility is to train and deliver a subordinate who can succeed you. It is not all that complicated - all that mumbo jumbo. We make bricks in Texas which use the same process as in Mesopotamia. You need just a few bits of ethos, and particularly engineering ethos. Think through the system, and get a margin of safety. Like this backup microphone.
文中で登場する「予備用マイク」とは有線マイクのことです。当初使う予定だった無線のものが壊れたため、使うことになりました。ここでもチャーリーは教訓を引き出しています。「システムは複雑にしないこと」(有線のほうが信頼性が高い)、「バックアップを用意すること」。あえてもうひとつ加えるとしたら「バックアップには異なる種類のものを選ぶこと」でしょうか。
また工学については過去記事「最も信頼できるモデルとは(チャーリー・マンガー)」でも取り上げています。
なおイングランドの将軍の言葉の和訳は、以下の作品からお借りしました。
『ハウスマン全詩集
2012年8月28日火曜日
経営者の能力をみるには(ウォーレン・バフェット)
経営者の力量があるかどうか判断するには、どんな発言をしているかではなく、過去の実績をしらべてみるのが一番です。バークシャー・ハサウェイではビジネスを買収しても引き続き経営をお願いしているので、平均打率は保証されたようなものです。例えばファニチャー・マートを経営するブラムキン夫人の場合、500ドルの元手から始めて50余年、今では税引前で1,800万ドルの利益をあげるようになりました。彼女が有能かどうかは一目瞭然ですね。つまりは過去の成績こそ一番あてになる、これに尽きるわけです。
The best judgment we can make about managerial competence does not depend on what people say, but simply what the record shows. At Berkshire Hathaway, when we buy a business we usually keep whoever has been running it, so we already have a batting average. Take the case of Mrs. B. who ran our Furniture Mart. Over a 50-year period, we'd seen her take $500 and turn it into a business that made $18 million pretax. So we knew she was competent...Clearly, the lesson here is that the past record is the best single guide.
実績を重視するウォーレンの方針については、過去記事「かなりの世間知らずですね」でも取り上げています。
2012年8月27日月曜日
(映像)UCLA経済学部卒業生への祝辞(マイケル・バーリ)
どこか初々しさの残る話しぶりに好感が持てましたが、14分ごろからの話題が特に印象に残っています。短くまとめると、金融当局が危機を未然に防げなかったことを指摘した記事をニューヨーク・タイムズに投稿したところ、まもなくFBIの捜査が入ったとのこと。その後の裁判で時間もお金も費やしたと付け加えています。