ot

2012年6月4日月曜日

株価が上がりそうだから買うのではない(ウォーレン・バフェット)

0 件のコメント:
アメリカの経済誌Forbesの1974年11月1日号に掲載されたウォーレン・バフェットのインタビューは、次の有名な言葉で締めくくられています。「今こそ投資をして、お金持ちになりましょう」(Now is the time to invest and get rich.)。今回は同記事の中から、株を買うときにはどうしたらよいか、ウォーレンの助言をご紹介します。(日本語は拙訳)

常識的なものになりますが、あきれるほど安値になっている株を買うことです。どういう基準で安いのかというと、以前から使われているような、純資産、簿価、継続価値[DCF等]といった指標があります。あまり手を出しすぎるのではなく、自分の知っているものにこだわることです。自分で理解しているビジネスだけに的をしぼり、さきほど挙げた評価額や、よい経営者がいるか、厳しい時期でも深手を負わなくてすむかといった点で評価し、基準に達しないものは除きます。わたしの場合はハイテク企業やコングロマリットは理解できないので、手を出しません。そして、株価が上がりそうだから買うのではなく、自分で所有したいと思う企業を買うのです。

Just commonsense ones. Buy stocks that sell at ridiculously low prices. Low by what standards? By the conventional ones of net worth, book value, the value of the business as a going concern. Above all, stick with what you know; don't get too fancy. "Draw a circle around the businesses you understand and then eliminate those that fail to qualify on the basis of value, good management and limited exposure to hard times." No high technology. No multicompanies. "I don't understand them," says Buffett. "Buy into a company because you want to own it, not because you want the stock to go up." (p.41)

以下の図は、この記事が掲載された頃のS&P500のチャートです。赤の矢印は、掲載号の発売日を示しています。さすがはウォーレン、どんぴしゃりです。








一方の日本市場、株価の底がいつやってくるのかわかりませんが、個人的には5月から株を買い進めています。先走ってしまったので、このところは手綱をひいていますが、アメリカ大統領選の11月に向けて、機をみながら買い続けるつもりです。

2012年6月2日土曜日

「ベンチャーキャピタル」の名前の由来

0 件のコメント:
読んでいる本『探求―エネルギーの世紀』で、「ベンチャーキャピタル」という名称が生まれた経緯が書かれていたのでご紹介します。

現代のベンチャーキャピタルに似通ったものは、第二次世界大戦直前に出現した。J.H.ホイットニー&カンパニーという独創的な会社の運用資産には、オレンジジュースの<ミニッツメイド>、テクニカラー社、映画『風と共に去りぬ』への出資などが含まれていた。言い伝えによれば、J.H.ホイットニーのパートナーが、この新型投資の最初の名称を考えたというー"プライベート・アドベンチャー・キャピタル"というものだった。しかし、響きがよくなかった。リスクが極端に大きく、無謀であるかのように思えた。責任ある受託者が、思慮深く管理するよう任されたカネを使って、"冒険"に乗り出すわけがない。そこで、それを縮めて、単純かつ廉直な"ベンチャーキャピタル"という名称に変えた。(下巻 p.225)


はずかしながら、わたしが投資している企業の1社が「アドベンチャー」状態です。何年間も成果が実っておらず、果実が得られるには今後も数年間は待つ必要があります。しかも成功する保証はありません。ウォーレン・バフェットならば、絶対に近寄らない投資先です。いずれは、わたしの失敗投資の事例としてご紹介するつもりです。

2012年6月1日金曜日

会社の物品を私用で使ったら(ウォーレン・バフェット)

0 件のコメント:
ウォーレン・バフェットはバークシャー・ハサウェイの会長兼CEOでありながら、もらっている報酬が低いことで有名です。USドルベースで10万ドル、現在の日本円に換算すると800万円です。「そうはいっても、経費は使いたい放題じゃないの?」と感じた方のために、今回は同社の株主総会招集通知(2012年5月開催分)からご紹介します。

報酬に関する分析

バフェット氏及びマンガー氏の両名は、必要に応じてバークシャーの従業員の助力を得ており、かつ/または、私用目的で使った郵便や電話等の些少な物品及びサービスをバークシャーに負担させている。そのため両名は、バークシャーが支払った費用以上の金額を年度毎に返還している。2011年度分としてバフェット氏がバークシャーに返還した金額は5万ドル[400万円]、マンガー氏は5,500ドル[44万円]である。またバークシャーは、この5年間にわたって身辺保護のためにバフェット氏に対してセキュリティー・サービスを提供してきたが、2011年度の費用は34万6,925ドル[2,800万円弱]だった。この金額は「報酬の要約」において、バフェット氏に関する「その他の費用」に含めてある。なお、多くの大企業では経営トップのために費用のかさむセキュリティー専門の部署を設けているが、各社の株主総会招集通知書面ではその費用細目は公開されていない。バフェット氏及びマンガー氏の両名は社有車を使用せず、あるいは支払が当社名義のクラブには所属していない。さらに両名は社有の航空機を商用目的に限って使用し、私用では使っていない。両名は個人名義でネットジェット[プライベートジェットを扱うバークシャーの子会社]を分割所有し、正規の費用を負担している。

Compensation Discussion and Analysis

Both Mr. Buffett and Mr. Munger will on occasion utilize Berkshire personnel and/or have Berkshire pay for minor items such as postage or phone calls that are personal. Mr. Buffett and Mr. Munger reimburse Berkshire for these costs by making an annual payment to Berkshire in an amount that is equal to or greater than the costs that Berkshire has incurred on their behalf. During 2011, Mr. Buffett reimbursed Berkshire $50,000 and Mr. Munger reimbursed Berkshire $5,500. For about five years Berkshire has provided personal and home security services for Mr. Buffett. The cost for these services was $346,925 in 2011 and is reflected in the Summary Compensation Table as a component of Mr. Buffett’s “All Other Compensation.” It should be noted that many large companies maintain security departments that provide costly services to top executives but for which no itemization is provided in their proxy statements. Mr. Buffett and Mr. Munger do not use Company cars or belong to clubs to which the Company pays dues. It should also be noted that neither Mr. Buffett nor Mr. Munger utilizes corporate-owned aircraft for personal use. Each of them is personally a fractional NetJets owner, paying standard rates, and they use Berkshire-owned aircraft for business purposes only. (p.9)


報酬の返還額に個性が出ているのがおもしろいです。ウォーレンは公私半々といった姿勢ですが、チャーリーは細かく考えているようにみえます。1年が53週間なので1週間あたり100ドルとするか、あるいは1年間に11ヶ月働くとして1ヶ月あたり500ドルとするか。単にわたしの考えすぎかもしれません。

ところで、ウォーレンにセキュリティー・サービスがついているのは、2007年9月に強盗が自宅に侵入しようとした事件があったので、それを踏まえたものと思われます(CNN Money記事)。

2012年5月30日水曜日

現金豊富な日本株の問題なところ(FPA)

2 件のコメント:
ボブ・ロドリゲス率いるファンド会社FPAで国際投資を行っているマネージャーが、モーニングスターのインタビューに応じていたのでご紹介します。話題は割安な日本株についてです。引用元のインタビュー映像(とトランスクリプト)は、A Two-Pronged Approach to Investing in European Stocksです。(日本語は拙訳)

<質問> オークマーク[ファンド]にいたときはアジアの企業をいろいろ対象にされていましたが、FPA International Valueファンドに移ってからはあまり多くは投資していませんね。金融関連の企業と同じように、これも投資に踏み切らない理由が何かあるのでしょうか。

<回答> なるほど、確かにそうですね。アジア株は何年間か追いかけていましたし、日本企業もずっと対象にしていました。日本株はPBRやEV/EBIT倍率がかなり低く、価値の面からみればとても魅力的です。しかしそういった指標が低いのも当然で、かせいだ利益を留保するばかりで、現金が貸借対照表にたまりつづけているからなのです。

経営陣や取締役といった面々と株主の向いている方向が違っているので、割安だと考えて投資するのは問題かもしれません。なぜ現金を寝かしておくかというと理由は単純で、経営陣が株主のために価値を生み出そうとする気がないからです。世界的にみても有力な企業が数多くあるにもかかわらず、経営陣が価値を創出できるかという観点でみると、我々の投資基準には届いていません。資本配分が上手な企業はいくつかはみつかりましたが、あまり割安ではないので、今のところは見送っています。ですが、中期的にはそれらの企業に投資する姿をおみせできるかもしれません。

Davis: In addition to financials, one thing that I do know that when you were at Oakmark, you covered a lot of Asian stocks, but when you look at the [FPA International Value] portfolio, there's not much at all in Asia. So that's an area you're saying no to, as well?

Bokota: That's true; that's interesting. I did spend a number of years covering Asia and a lot of time covering Japan. From a valuation perspective, Japan looks very attractive as it sells at low multiples of price to book value and low multiples of enterprise value to earnings before interest and taxes. And really the commonality there is that the reason these multiples are depressed is because cash has piled up on the balance sheet as companies have not distributed their retained earnings.

The problem that we have with investing in these companies despite their apparently attractive valuations is the lack of alignment between management/board of directors and shareholders. The problem is that management is simply not incentivized to take actions to create value for shareholders, which is why you've seen the cash pile up. So, while there's a lot of well-positioned companies that have globally competitive positions, they don't meet our standards of having management teams which create value. That said, we have identified several high-quality businesses in Japan, which do run the business well from a capital-allocation standpoint. Sadly, they are not cheap enough for us to buy at this time, but it's possible you could see us become invested over the medium term.


個人的には余剰の現預金が多い会社に目がいくほうで、上の指摘は厳しいながら、ごもっともと感じています。それでも自分なりにいくつかの点に気をつけて、そのような会社に投資しています。1点目は、経営者に株主本位の姿勢があるか。具体的には経営者がそれなりに株式を保有しており、自社株買いや増配で株主に報いているかどうかです。株式の保有比率は、過半数を超えていないのが望ましいと考えています。2点目は、留保された資金を有効に使って、会社が着実に成長しているかどうか。細かくはわからないので、過去の経営成績をふりかえって大雑把に判断しています。もちろん、資金を使わないで成長してくれるのであれば、それは一向にかまわないのですが。

蛇足ですが、上記のインタビュー映像に出てくるお二人の対比ぶりが、なんというかほほえましいですね。

2012年5月29日火曜日

誤判断の心理学(10)値段が高けりゃ、品質も一番(チャーリー・マンガー)

0 件のコメント:
今回ご紹介するのは、「頭で連想したことが、行動を引き起こしてしまう」という、人の持つ傾向です。(日本語は拙訳)

まずは商売に関する話です。

誤判断の心理学
The Psychology of Human Misjudgment

(その10)単なる連想に動かされる傾向
Influence-from-Mere-Association Tendency

心理学者のスキナーが研究した一般的な条件反射のひとつに、昔に経験した良いできごとがきっかけとなって行動を引き起こすものがあります。たとえば、あるブランドのクリームを使って靴を磨いた人が、その靴をはいて出かけたときに何かうれしいことがあったとしましょう。すると、それが報酬となり、靴用クリームが次に必要になったときにも同じものを買い求めるのです。

しかし、単に連想したことが条件反射的にそのまま行動に結びつくこともあります。たとえば、同じような商品が並んでいると、値段が最も高いものが品質も一番だと考えてしまう人はけっこういるはずです。前もそうだったから、という連想ですね。これに乗じて、平凡な製品を扱う業者でも、商売を大げさに見せることでかなり高い値段をつけてくることがあります。品質を重視する顧客ならば、値段が高いのはそれなりの理由があると考えるだろう、というわけです。産業界ではこのやりかたが売上につながり、利益を大きく押し上げてきました。たとえば電動工具業界では、長期間にわたって高値販売が成功してきました。油井の深部で使われる高価なポンプは、これからもうまくいくでしょう。高級品業界では、このやりかたが特段の効果を発揮しています。高価な商品を買えるということは、製品の風合いを楽しめるだけでなく、それだけのお金が払えるところを他人に見せることができます。つまり、商品を買った人は二重の意味でステータスを誇示できるのです。

In the standard conditioned reflexes studied by Skinner and most common in the world, responsive behavior, creating a new habit, is directly triggered by rewards previously bestowed. For instance, a man buys a can of branded shoe polish, has a good experience with it when shining his shoes, and because of this “reward,” buys the same shoe polish when he needs another can.

But there is another type of conditioned reflex wherein mere association triggers a response. For instance, consider the case of many men who have been trained by their previous experience in life to believe that when several similar items are presented for purchase, the one with the highest price will have the highest quality. Knowing this, some seller of an ordinary industrial product will often change his product's trade dress and raise its price significantly hoping that quality-seeking buyers will be tricked into becoming purchasers by mere association of his product and its high price. This industrial practice frequently is effective in driving up sales and even more so in driving up profits. For instance, it worked wonderfully with high-priced power tools for a long time. And it would work better yet with high-priced pumps at the bottom of oil wells. With luxury goods, the process works with a special boost because buyers who pay high prices often gain extra status from thus demonstrating both their good taste and their ability to pay.


今回は触れませんでしたが、広告業者もこの傾向を巧みに使っている、とチャーリー・マンガーは指摘していました。

次に、この落とし穴を避けるためにどうしたらよいか、助言を述べています。

昔の成功事例を思いおこすところがあるからといって進んでしまうと、道を誤るかもしれません。この失敗を避けたければ、次の話を覚えておくといいでしょう。ナポレオンとヒトラーはいずれもロシアに侵攻しましたが、それは他の戦線で大勝利をおさめた後のことでした[ロシア侵攻はどちらも歴史的な大惨敗に終わり、その後の戦況を変えた]。同じような結末をたどった例も山ほどあります。たとえば、よせばいいのにカジノでギャンブルをしてたまたま勝ってしまった人、こういう人はそもそも因果関係なぞないのに、再三再四カジノへと足を運んでしまうのです。もちろん、待っている先は散々な結末です。同じように、ダメな知り合いに誘われて勝ち目の薄い勝負をしたところ、ひょんな拍子に幸運をつかんでしまう。この場合も、前と同じことを繰り返し、最後はひどい結末で終わります。

過去の成功に酔っておろかな道を進まないようにするにはどうしたらよいか。まずはそれらの成功を導いた要因を洗い出し、そもそも関係なかった偶然が働いていないか調べるのです。そういうものがあると、これからやろうとしていることの勝ち目を検討する際に目を曇らせてしまうからです。次に、過去の成功時には起きたけれど今度は期待できないことを挙げ、その中に危険につながるものがないか調べます。

To avoid being misled by the mere association of some fact with past success, use this memory clue. Think of napoleon and Hitler when they invaded Russia after using their armies with much success elsewhere. And there are plenty of mundane examples of results like those of Napoleon and Hitler. For instance, a man foolishly gambles in a casino and yet wins. This unlikely correlation causes him to try the casino again, or again and again, to his horrid detriment. Or a man gets lucky in an odds-against venture headed by an untalented friend. So influenced, he tries again what worked before - with terrible results.

The proper antidotes to being made such a patsy by past success are (1) to carefully examine each past success, looking for accidental, non-causative factors associated with such success that will tend to mislead as one appraises odds implicit in a proposed new undertaking and (2) to look for dangerous aspects of the new undertaking that were not present when past success occurred.


株式投資でも日常的に連想が働いているものです。たとえば株価が急落すれば、何か悪いことが起きたのかと疑います。あるいは、来期の業績予想が低くでると、成長が鈍ったものと短絡的に判断しがちです。これこそ、世知入門の記事でご紹介したような、チャーリー・マンガーいうところの「存在しないものが見えてしまう」典型ではないでしょうか。そういうときにこそ適切な行動がとれるように、判断力や勇気や余裕資金を持っていたいものです。