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2012年3月9日金曜日

もうかってますか?(ベン・グレアム)

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このところは日本の株式市場が好調ですね。そんなときには、この引用をどうぞ。ベンジャミン・グレアムのThe Intelligent Investor第8章からです。ちなみに、この章はウォーレン・バフェットも目からうろこが落ちたやつです(過去記事「2011年株主のみなさんへ」)。手元に翻訳版がないので、日本語は拙訳です。

真剣な投資家は日々や月々の株価がどう動いたからといって、もうかったとか損したとは、思い込んだりしないものです。

A serious investor is not likely to believe that the day-to-day or even month-to-month fluctuations of the stock market make him richer or poorer.

2012年3月8日木曜日

バークシャー・ハサウェイの夜明け

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個人的な思い込みですが、2008年以来の日本の株式相場の低迷は、1970年代のアメリカのものと似たところがあります。1973年と1974年にはS&P500指数も大きく落ち込み、-14.8%と-26.4%の減少でした(配当込み)。ウォーレン・バフェットのバークシャー・ハサウェイも同様に純資産が伸び悩みましたが、その後の上昇ぶりは相当なものです。1975年からの4年間のゲインは、21.9%, 59.3%, 31.9%, 24.0%です。今回はウォーレンによる1978年の「株主のみなさんへ」からの引用で、1970年代中盤以降にウォーレンがとっていた投資姿勢です。(日本語は拙訳)

ご参考までに、当時のアメリカ株式市場の動きとしてS&P500のチャートを文末に載せています。ウォーレンの文章を読んでから、ごらんになってください。

ここで打ち明けてしまいますが、保険部門で行っている株式投資については、すごく楽観的にみています。もちろん、無条件に株に入れ込んでしまうわけではありません。状況によっては、保険屋が普通株へ投資するのはほとんど意味がないときもあります。

今はわくわくしながら、保険部門の純資産の大部分を株式投資へ向けています。ただし、投資対象は次の条件を満たすものに限っています。私どもがビジネスを理解しており、長期的な見通しが明るく、誠実でいて有能な人が経営しており、そしてとても魅力的な値段がつけられている場合です。最初の3つの条件を満たす投資候補は若干は見つかるものですが、最後の条件がそろわずに投資に踏み切れないことはよくあります。例えば、1971年にはバークシャーの保険部門における普通株投資の資産規模は、簿価ベースで10.7百万ドル[現在価値で約58億円。以下同様]、時価評価額では11.7百万ドル[63億円]でした。素晴らしい企業はあったのですが、株価のほうはほとんど興味を持てませんでした。(書かずにいられないので書いてしまいますが、年金基金の[資産運用]マネージャーは、1971年当時には純資産の122%を株式へ投資していました。高値での買い物だったので、十分には買えなかったようです。一方、株価が底値をつけた後の1974年には、株への投資比率は21%と、記録的な低水準にとどまりました)

この数年間、われわれの歩みは変わりました。1975年末に保険部門が保有していた普通株は、時価では39.3百万ドル[160億円]、簿価ベースもちょうど同じです。それが1978年末の株式(転換優先株含む)は、簿価ベースで129.1百万ドル[520億円]、時価で216.5百万ドル[870億円]に増えました。普通株の売却益は税引前で24.7百万ドル[100億円]でしたので、この3年間での株式投資からの利益は、含み益を合わせると112百万ドル[450億円]になります。同期間のダウ平均は852から805ポイントへ下がりました。バリュー株の投資家にとっては最上の時期でした。

証券市場では競売によって価格が提示されるので、まさしくずば抜けた企業に対して、ぱっとしないビジネスを取引相手から買うときよりも、大幅に割り引かれた値段がつくことがあります。私どもはそのような機会を探し続け、保険部門の株式ポートフォリオに組み入れていきます。

(訳注)1ドル=100円で計算しました。

We confess considerable optimism regarding our insurance equity investments. Of course, our enthusiasm for stocks is not unconditional. Under some circumstances, common stock investments by insurers make very little sense.

We get excited enough to commit a big percentage of insurance company net worth to equities only when we find (1) businesses we can understand, (2) with favorable long-term prospects, (3) operated by honest and competent people, and (4) priced very attractively. We usually can identify a small number of potential investments meeting requirements (1), (2) and (3), but (4) often prevents action. For example, in 1971 our total common stock position at Berkshire's insurance subsidiaries amounted to only $10.7 million at cost, and $11.7 million at market. There were equities of identifiably excellent companies available - but very few at interesting prices. (An irresistible footnote: in 1971, pension fund managers invested a record 122% of net funds available in equities - at full prices they couldn't buy enough of them. In 1974, after the bottom had fallen out, they committed a then record low of 21% to stocks.)

The past few years have been a different story for us. At the end of 1975 our insurance subsidiaries held common equities with a market value exactly equal to cost of $39.3 million. At the end of 1978 this position had been increased to equities (including a convertible preferred) with a cost of $129.1 million and a market value of $216.5 million. During the intervening three years we also had realized pre-tax gains from common equities of approximately $24.7 million. Therefore, our overall unrealized and realized pre-tax gains in equities for the three year period came to approximately $112 million. During this same interval the Dow-Jones Industrial Average declined from 852 to 805. It was a marvelous period for the value-oriented equity
buyer.

We continue to find for our insurance portfolios small portions of really outstanding businesses that are available, through the auction pricing mechanism of security markets, at prices dramatically cheaper than the valuations inferior businesses command on negotiated sales.

1975年末のバークシャーには株式の含み益がなかったとは、なんとなく勇気付けられるものです。といっても、その後に大きなゲインをあげたのは、ワシントン・ポストとGEICO。どちらもバークシャー躍進の中心銘柄です。ただし、両社ともウォーレンが経営判断に関わるようになっていくので、ふつうの個人投資家とは、若干趣きが違いますね。

最後になりましたが、S&P500のチャート(1970年代)はこちらです。


2012年3月7日水曜日

「フランチャイズ」と「ビジネス」の違い(ウォーレン・バフェット)

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ウォーレン・バフェットとチャーリー・マンガーは、投資候補の企業がMoat(経済的な堀)を持っているかどうかを重要視しています。Moatとはあいまいな表現ですが、今回引用する言葉「フランチャイズ」は、もう少しかみくだいた例を示しています。ウォーレンによる1991年の「株主のみなさんへ」からの引用です。(日本語は拙訳)

経済的な「フランチャイズ」を有している製品やサービスには、次のような特徴があります。第一に、必需品あるいは嗜好品である。第二に、顧客にとって他に似たような代わりがない。第三に、価格統制の対象外である。その3つがそろった企業は、価格改定を定期的かつ大胆に実施できます。これは高い資本利益率へとつながります。その上、経営上の失敗があっても「フランチャイズ」にはそれに耐える力を持っています。無能な経営陣が「フランチャイズ」から得られる利益を減らすことはあっても、致命傷を負わせるほどにはなりません。

反対に、「ビジネス」から素晴らしい利益を挙げるには、低コストに徹するか、製品やサービスの供給がタイトな場合に限られます。供給がタイトな状況というのは長くは続きません。また優れた経営が行われている企業では、それよりは長い期間にわたって低コスト体質を維持できるかもしれません。ですが、競合企業との絶え間ない競争からは逃れられません。「ビジネス」が「フランチャイズ」と違うのは、経営が悪いと会社がおしまいになることがある点です。

An economic franchise arises from a product or service that: (1) is needed or desired; (2) is thought by its customers to have no close substitute and; (3) is not subject to price regulation. The existence of all three conditions will be demonstrated by a company's ability to regularly price its product or service aggressively and thereby to earn high rates of return on capital. Moreover, franchises can tolerate mis-management. Inept managers may diminish a franchise's profitability, but they cannot inflict mortal damage.

In contrast, "a business" earns exceptional profits only if it is the low-cost operator or if supply of its product or service is tight. Tightness in supply usually does not last long. With superior management, a company may maintain its status as a low- cost operator for a much longer time, but even then unceasingly faces the possibility of competitive attack. And a business, unlike a franchise, can be killed by poor management.


個人的には、この3つの基準でしぼりこむのは厳しいので、別の基準とあわせて使っています(過去記事「競争優位性とは」)。いずれにせよ、「顧客が離れにくい」とか「顧客が集まりやすい」点が決定的だと捉えています。

2012年3月6日火曜日

企業の目的とは何か

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前にご紹介した赤門マネジメント・レビューの論文長期存続ものづくり‘中企業’の群発(岸本 太一)を読んでいて目にとまった文章をご紹介します。この論考の筆者は中小企業の製造業経営者と接する中で、彼らが抱いている「企業の目的」とは何か、を肌身に感じています。よく言われることではありますが、研究者によるフィールドワークの成果ゆえ、生の声が感じられます。

ペンローズや既存の戦略論の学者は「利潤の最大化」を企業の目的と仮定して、理論の構築を行なっている。しかし、私が現場で見た国内ものづくり‘中企業’の目的は、どうもそれだけではない。「従業員(家族) の雇用の確保」および「企業(家業) の存続」といった目的も強く存在するように見受けられた。特に‘中の小’企業では、「利潤最大化」よりこれらの目的を優先していることを感じさせるコメントに、数多く遭遇した。また、「長期存続と成長がトレードオフとなる状況に、これまで何度も直面してきた」という話も何度も伺った。そのひとつが、第2 節で紹介した豊田周辺地域に所在する自動車2次サプライヤーにおける海外展開と国内開発能力維持のトレードオフの話であった。やはり、(日本製造業の)‘中企業’と大企業は同じ企業という生き物でも、種がやや異なるのであろう。 (PDFファイルのp.37)

中小企業では資本と経営が一体となっていることが多いので、自分たちのニッチを見つけてそこで暮らすことができれば、どれだけ成長を望むかは経営者すなわち資本家次第です。長く存続してきた中小企業は大きくは成長できなかったかもしれませんが、生き残ってきたという実績があります。あるいは成長したいという誘惑よりも、もっと充実したものをみつけたのかもしれません。

株式を公開したり資本参加を募った企業は、一転して投資家から冷徹な扱いを受けます。うまくいけば喝采が、そうでなければ非難が待っています。投資家と経営者の距離が離れるだけで、二者の関係は大きく変わるものです。「信用」という言葉は、実に重い意味を持っていますね。

競争に明けくれ、利益があがらず、行き先に迷っている大企業はいったいどこへ行けばよいのでしょう。その答えは、上にもあげた「ニッチ」という言葉にあると思います。つまり、人とは違う自分の居場所を探す、それに尽きるのではないでしょうか。

2012年3月5日月曜日

投資に活かす世知入門(はじめに)(チャーリー・マンガー)

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チャーリー・マンガーは学問的な話題を好んでとりあげます。彼には大きな持論があり、全てはそこに流れ込みます。学問は各専門領域にとどまるべきではなく、領域を超えて連携したり融合して使うことでもっと大きな力を発揮する、という主張です。その知識やスキルが、ビジネスや投資判断や日常生活にも適用できるとなれば、私のような一般大衆にとってはうれしいものです。チャーリーは自らがそれを実践し、体現してきました。その成果のひとつがバークシャー・ハサウェイです。バークシャーは売上高が10兆円を超える企業となりましたが、もしチャーリー・マンガーがいなかったらどうなっていたでしょう。企業規模はもちろんのこと、今のような存在感は出せなかっただろう、と思います。

学問的知識やスキルを横断的かつ自在に使えるにはどうしたらよいのか。チャーリーは「頭の中に多面的、学際的なメンタルモデルを作る」ように説いています(過去記事「ほとんどの人より、うまくいくやりかた」)。では、何から取組んでいくのがよいのか。チャーリーは細かな指針はあまり出さないタイプですが、ここではそれらしいことを示しています。短いですが重要な文章なので、ご紹介します。出典はおなじみの「Poor Charlie's Almanack」です。(日本語は拙訳)

基礎的なミクロ経済学的モデル、少しばかりの心理学、少しばかりの数学、そういった一切合財は、私が言うところの「世知を支える普遍的な礎(いしずえ)」を築くのに役立つでしょう。

Well, so much for the basic microeconomic models, a little bit of psychology, a little bit of mathematics, helping create what I call the general substructure of worldly wisdom.


少しばかりの数学として、順列と組み合わせは以前にご紹介しました(過去記事「世の中の働きと驚くほど一致する」)。心理学は既に「誤判断の心理学」シリーズを進めています。このシリーズでは、残りのモデルについて少しずつご紹介していきます。