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2012年2月9日木曜日

TOPIX Core30ひとかじり(4) コマツ

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当社の本社所在地は、東京都港区赤坂二丁目3番6号。最寄り駅は東京メトロ銀座線溜池山王駅で、出てすぐのところです。溜池の交差点に面しているビルとは気がつきませんでした。Googleの写真をみると、竣工時の年代を感じさせるビルです。屋上の庭園は有名なようですね。

さて、本題になります。今回は有価証券報告書と20-Fを読んでみました。またキャタピラーの10-Kも若干参考にしました。

(1)現在の業績
好調です。今期末の予想では、売上高2兆円、純利益が1,860億円です。一方の前期実績は、1.84兆円と1,500億円でした。中国市場は低迷していますが、鉱山部門が世界的に好調を維持しています。目につくのが地域別売上構成。偏りが少ないです。意図したものでしょうが、見事な手綱さばきです。

(出典:当社Webサイト)








業界での位置づけは第2位。最大手キャタピラーには離されていますが、後続の日立建機、Volvo、CNH、斗山、現代、John Deere等は、売上や純利益で大きく離しています。両社の築いたMoatは大きいものと思われます。

(2)この10年間の上げ潮にうまくのった
以前からジム・ロジャーズが主張していた通りになりましたが、商品の強気相場が続いています。例えば、以下はLMEの銅価格です。1998年から2012年初までのチャートで、1目盛が1年です。2000年当初は停滞していましたが、2003年頃からは上昇基調です。








建設・鉱山機械業界は恩恵にあずかったようで、当社の売上高は10年前と比べて2倍になっています。キャタピラーの売上も同様に推移しています。









(3)従業員一人あたりの生産性が高い
当社対キャタピラーの比較ですが、一人当たり売上高(2010年度)は、およそ45対33。一方、純利益になると3.8対2.1です。相対的には、高付加価値で勝負していることになります。(1ドル=80円で換算)

(4)KOMTRAX
機器の稼働監視を行う本システムは当社の強みとして謳われていますが、他社でも同様のシステムを展開しています。しかし当社は導入時期が早く、稼動台数は1年半ほど前の時点で17万台になっています。先行者利益を享受できていると考えられます。

(出典:当社WebサイトのKOMTRAX紹介映像より)








例えば、野路社長によるKOMTRAXの紹介映像が当社Webサイトに掲載されており、その中でKOMTRAXで収集した稼動データを3ヶ月間先までの生産計画立案に使っていると発言されています(6分40秒)。「母数が大きいと、的確な分析がしやすくなる」とも。需要予測が的確であれば、サブASSYなどの部材を無駄なく先行手配できるようになり、納期がタイトな受注競争では戦いやすくなります。

(5)今後の見通し
中長期のマクロ要因がどうなるのかうまく判断できませんが、どちらかといえば追い風と思われます。特に主力のアジア太平洋地域は、大きな伸びしろが期待できそうです。

(6)株価について
現時点の株価(2,100円強)は、やや割安な程度にみえます。もちろん、商品市況が一時的にでも大きく下落すれば、当社株価もそれに追随するでしょう。しかし、当社の強力なMoatと今後のマクロ環境(資源高と新興国開発)を考えると、10年スパンでみれば安心して投資できる企業と思われます。

2012年2月8日水曜日

こんな仕事もしています(ウォーレン・バフェット)

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先月の1/23のTime誌、表紙はウォーレン・バフェットでした。タイトルはThe Optimist、景気が厳しい時期でも落ち込まない方です。今回の引用は彼の習慣を語る、ほんの一節です。(日本語は拙訳)

バフェットの小さなオフィスの給湯室にあるのは、古ぼけた木製のテーブル、人工皮革のL字ソファ、Formicaのカウンターだ。ちなみに、彼はいつも空室の電気を消してまわっている。

The company canteen in his small office suite, where he has a habit of walking around turning off lights in empty rooms, features a beat-up wooden table, a faux-leather sectional couch and Formica countertops.
(p.22)

なお、こちらのサイトではウォーレンのオフィスを訪れたときの写真が掲載されています。奥の壁には、お父さんのハワードの写真が飾ってありますね。

2012年2月7日火曜日

専門家の予測能力は高いのか?

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今回も「競争優位で勝つ統計学---わずかな差を大きな勝利に変える方法」からの引用です。専門家の意思決定の質に関する孫引きになります。

専門家の直感が未来を予測する力については、これまで多くの研究がなされてきた。その結果は、専門家の直感に大きな信頼を寄せる人々にとっては少しばかり期待はずれなものだ。カリフォルニア大学バークレー校組織行動学教授だったフィリップ・テトロックは著書『専門家の政治判断、その真価を問う』で、専門家は一般的に思われているほど予測能力が高いわけではないと示唆している。彼は、専門家は自己の見解を述べたりプレゼンテーションをする方法には長けているが、それはどちらかというと表面的な要素にすぎず、客観的に見ると意思決定の質の面では往々にして物足りないと述べる。多くの場合その原因は、過剰な自信から目の前の問題に対する十分な検討を怠っていることにある。つまり、データを軽視し、綿密な調査よりも似たような場面での経験に依存する傾向にあるというのだ。

これが本章の教訓だ。優れた意思決定の根底には、例外なく何らかのデータと、特定の状況についての綿密な調査結果が存在する。その工程はスプレッドシートやコンピューターの分析結果としては残らないかもしれないが、あくまでも科学であって技ではない。(p.272)


この一文は専門家の持つ知見やテクニックを疑うものではなく、人間の脳に潜む落とし穴を指摘したものと捉えられます。特定の分野に特化するほど接する情報が見慣れたものになり、意思決定が短絡になる。チャーリー・マンガーが言うところの「疑念を払う傾向」の一面であり、また「自意識過剰の傾向(Excessive Self-Regard Tendency)」でもあります。ファインマンのやりかたも思い出されます。

2012年2月6日月曜日

(答え)戦闘機の防御性能を高めるには; 選択バイアスについて

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まずは、前回とりあげた問題の回答です。

調査の対象は戦闘から帰還した機体に限られているので、攻撃を受けた戦闘機の一部しか見ていないのだ。さらに重大な問題は、実は調査されていない戦闘機の方が重要なサンプルだということだ。補強が必要な箇所を特定するには、基地に戻れないほど致命的な損傷を受けた戦闘機を調査しなければならない。

これは選択バイアスの典型的な例だ。一部のデータにのみ着目したことで誤った結論を導いている。 (p.76)


正解された方が多いと思いますが、いかがでしたでしょうか。このように文書にまとめて改まった形で問題が提起されると、人は冷静に解決できるように思います。どこかのスイッチが入ってモードが切りかわり、バイアスがかからないよう注意するのでしょうか。一方、自分だけなのかもしれませんが、実生活で短時間で判断を迫られる場合には、問題解決がずっと下手になります。あとになってじっくり考えるとアイデアがわくのに、その場では出てこない。チャーリー・マンガーのいう「人は速やかに疑念を払う」を地でいっています。

本書に戻りますと、著者のジェフリー・マーは、バイアスを起こさないためにデータ収集の指針を記しています。以下に引用します。

軍関係者が帰還した戦闘機だけでなくすべての戦闘機を調査していたなら、機体の補強すべき部分についてかなり異なった結論に至っただろう。確証バイアス[参考記事1,参考記事2]と選択バイアスの具体例は、過去のデータを漫然と眺めるだけではいけないことを教えてくれる。肝心なのは過去のすべてのデータに目を配ることだ。もちろん、データとして適切なサンプルを選び出すことも重要である。

では、データが適切であるという確信を得るにはどうすればよいか。一言で言えば、データを見るときは一部ではなく、必ず全体を見よということだ。

(中略)

それでは、データ収集においてよく見られる失敗を避けるため、いくつかのルールを設けよう。まずは、これまでに述べたバイアスを回避するにはどうすべきか。確証バイアスを回避するには、自説を裏付けるデータだけでなく、あらゆるデータを客観的に検討することが重要だ。選択バイアスを避けるには、包括的なデータを揃える必要がある。意識的であろうとなかろうと、抽出されるデータは母集団の一部を無視したものであってはならない。どちらのバイアスについても、原則は可能なかぎり多くのデータを検討することだ。

だが、ここで興味深い問題が生じる。データの重みは一律ではないということだ。データには、それ自体は客観的かつ包括的であるのに、将来を予測する力をほとんど持たないものもある。そして、将来を予測する力こそが私たちがデータに期待する最も重要な特徴だ。データは将来の予測に役立つものでなくてはならない。 (p.77)


ただし、いかによいデータがそろっていても解釈するのは人間ですから、データ収集プロセスだけではバイアスを完全には回避できないと思います。意思決定の際にもバイアス回避の仕組みが必要ですね。

(2012/2/26追記)コメント欄に、raccoon様よりマンガーの「まるごと抜粋」があります。そちらも、どうぞご覧になってください。


2012年2月5日日曜日

(問題)戦闘機の防御性能を高めるには

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今読んでいる本『競争優位で勝つ統計学---わずかな差を大きな勝利に変える方法』は、統計の知識を駆使してブラックジャックで大勝ちをおさめたMIT出身のジェフリー・マーによるものです。客観的なデータの重要性を説くだけでなく、人間が陥りやすい心理上のバイアスについても触れています。今回は、同書からバイアスの一例を引用します。ちょっとした問いですので、どこが誤っているのかお考えになってください。答えは次回にご紹介します。

[第二次世界大戦において]アメリカ軍が帰還した戦闘機の損傷を調査したところ、「機体の部位によって敵の攻撃を数多く受ける箇所とそうでない箇所がある」ことがわかった。そこで、機体の銃痕のパターンの分析結果をもとに、戦闘機の防御性能を高めるため、攻撃を受けやすい部分を補強した。

いかにも理にかなっているようだが、この分析には明らかな欠陥がある。(p.75)