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2011年12月27日火曜日

誤判断の心理学(1)報酬と懲罰からくる過剰反応(チャーリー・マンガー)

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はじめに、前回の答えです。次のサイトをごらんください。映像もあります。

これは賢い! 犬の糞を飼い主に持ち帰らせるために台湾政府が行ったこと

台湾政府といわず、どこかの自治体で継続して取り組んでみてほしい試みですね。このまま続けたときの行く末が気になります。

さて、本題になりますが、以前に予告した誤判断の心理学です。最初に挙げられたこの話題は7ページに渡るもので、25種類の中で最長の紙面を費やしています。チャーリーの強調しようとする想いが伝わってきます。(日本語は拙訳)

人間の心理学的傾向その1
報酬と懲罰がもたらす過剰反応
Reward and Punishment Superresponse Tendency

この傾向を最初にあげたのは、動機付けやその反対の邪魔立てが、人の認識や行動に大きく影響することを自分はよくわかっている、と誰しもが思い込んでいるからです。しかし、実のところはそうでないものです。例えば、私自身も同年代の中で動機付けが持つ力を理解している上位5%だと自負していたのですが、実際にはその力をいつも過小評価していました。毎年のように新しい発見に驚き、そのたびに動機付けの持つ威力にますます恐れ入るのです。

I place this tendency first in my discussion because almost everyone thinks he fully recognizes how important incentives and disincentives are in changing cognition and behavior. But this is not often so. For instance, I think I've been in the top five percent of my age cohort almost all my adult life in understanding the power of incentives, and yet I've always underestimated that power. Never a year passes but I get some surprise that pushes a little further my appreciation of incentive superpower.


動機付けの持つ力を示す例のお気に入りが、フェデラル・エクスプレスの話です。フェデックスが整然と業務を遂行するには、集荷センターの空港で毎晩、全ての荷物を向け先の空港へ迅速に移動させなければなりません。夜間作業が速やかに遂行できないと、顧客に対して定時配達を確約できなくなります。そこでフェデックスは夜間作業が適切に実行されるよう、力を注ぎました。自発的に動くよう、働きかけてみました。運任せにせず、あらゆることに挑戦してみました。そしてとうとう、誰かがすばらしい答えを見つけたのです。夜勤者の賃金を時給計算にするのが間違っている、経営者が望んでいるのは賃金計算の対象になる総時間を増やしたいのではなく、仕事が正しく速やかに終わることでしょう、と。そこで、賃金は夜勤シフト払いとし、輸送機への積荷がすべて終わったら帰宅してよいことにすればどうか、と考えたのでしょう。なんと驚いたことに、その通りになったのです。

One of my favorite cases about the power of incentives is the Federal Express case. The integrity of the Federal Express system requires that all packages be shifted rapidly among airplanes in one central airport each night. And the system has no integrity for the customers if the night work shift can't accomplish its assignment fast. And Federal Express had one hell of a time getting the night shift to do the right thing. They tried moral suasion. They tried everything in the world without luck. And finally, somebody got the happy thought that it was foolish to pay the night shift by the hour when what the employer wanted was not maximized billable hours of employee service but fault-free, rapid performance of a particular task. Maybe this person thought, if they paid the employees per shift and let all night shift employees go home when all the planes were loaded, the system would work better. And lo and behold, that situation worked.


「ばあちゃんのいいつけ」は、報酬の持つ威力を示すもうひとつの例です。強烈に効きますので、取り上げずにはいられませんでした。このいいつけどおりにやれば、自分を見事に律することができるようになります。たとえ、もう手に入れているものをごほうびにしても、です。心理学の博士号を持っているようなコンサルタントでも、企業組織の報酬システムを改善する際に経営層に対して、「ばあちゃんのいいつけ」に従って自分たちの日常業務を遂行するように助言することがよくあります。「ばあちゃんのいいつけ」とは、本来は子供に対するしつけで、デザートに手をつける前にニンジンを食べさせるものですが、ビジネスに置き換えると、重役たちが一日の仕事を進める順は、必須だけれど気の進まない仕事をまず片付けてから、ごぼうびとして快適な仕事に手をつけなさい、というものです。報酬の持つ威力を考えると、このやりかたは巧みで望ましいものです。

“Granny's Rule” provides another examples of reward superpower, so extreme in its effects that it must be mentioned here. You can successfully manipulate your own behavior with this rule, even if you are using as rewards items that you already possess! Indeed, consultant Ph. D. psychologists often urge business organizations to improve their reward systems by teaching executives to use “Granny's Rule” to govern their own daily behavior. Granny's Rule, to be specific, is the requirement that children eat their carrots before they get dessert. And the business version requires that executives force themselves daily to first do their unpleasant and necessary tasks before rewarding themselves by proceeding to their pleasant tasks. Given reward superpower, this practice is wise and sound.


一方、「懲罰」のほうですが、これも人の行動や認識に大きな影響を及ぼすものですが、「報酬」ほど柔軟ではないし、すばらしいものでもありません。価格協定を例に挙げると、そこそこの罰金しかかからなかった頃のアメリカでは、まあ普通のことでした。しかし、数社の有名企業の重役が高位の役職を解任されて監獄送りになってからは、価格協定は激減したのです。

軍隊ではもっと徹底していて、懲罰をもって行動を変えさせてきました。カエサルの時代のことですが、あるヨーロッパの部族では、集合の合図が鳴らされたときに配置につくのが最後になった者を必ず死刑とする慣わしがありました。こんな部族と戦いたがる者は、いやしないでしょう。またジョージ・ワシントンは、農民出の逃亡少年兵をみせしめに40フィートの高さに吊るしたものです。

Punishments, of course, also strongly influence behavior and cognition, although not so flexibly and wonderfully as reward. For instance, illegal price fixing was fairly common in America when it was customarily punished by modest fines. Then, after a few prominent business executives were removed from their eminent positions and sent to federal prisons, price-fixing behavior was greatly reduced.

Military and naval organizations have very often been extreme in using punishment to change behavior, probably because they needed to cause extreme behavior. Around the time of Caesar, there was a European tribe that, when the assembly horn blew, always killed the last warrior to reach his assigned place, and no one enjoyed fighting this tribe. And George Washington hanged farm-boy deserters forty feet high as an example to others who might contemplate desertion.


意思決定は意識的に行うだけでなく、無意識に誘導されてなされることもある、とチャーリーは別の機会で触れています。行動経済学や脳神経学の各種の研究結果はそれを裏付けていますが、読んだ本を失念してしまいました。手にとることがあれば、その際にはご紹介します。

ところで、犬の糞を片付けたときの報酬の期待値はどれぐらいなのでしょうか。50円ぐらいでしょうか。

2011年12月26日月曜日

飼い犬の糞に関する問題

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今回は、あるWebサイトで知った巧みな問題解決の話題です。有名なニュースサイトからの引用なのでご存知の方も多いかもしれませんが、答えは次回ご紹介しますので、ぜひご自分でお考えになってみてください。

飼い犬の糞に関する問題は、日本だけでなく海外でも深刻のようだ。台湾では、街中で散歩途中の犬の糞を持ち帰らない飼い主が多いようで、近隣住民はもとより、匂いが景観を壊すとして行政も頭を悩ませているという。そこで最近、台湾の最高行政機関がとある試みを思い立ち、実行に移したところ、かなりの成果をあげているそうだ。その秘策とは一体?

ちなみに、私は解けませんでした。チャーリー・マンガーの教えがちっとも身についていません。

2011年12月25日日曜日

私の失敗した投資(1)QQQプット買い

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「自分で痛い目にあうよりも、他人の過ちから学べるほうがいい」とチャーリー・マンガーは言っていますが、当たり前の処世訓ではあります。でも他人がそのとおりに従っているのかは正直よくわかりません。みなさんにお聞きしたいところです。個人的にはさんざん懲りてきたので、本気で取り組むべき教えだと痛感しています。

そういった例は世の中にいくつもあるはずですが、知っているものを挙げると例えば工学の世界では畑村教授のような人が中心となって失敗学が提唱されています。製造業の現場では「ポカヨケ」や「安全第一」といった言葉はおなじみです。レビュープロセスや、最近注目のチェックリストも失敗に基づいています。

一方、投資の世界では華やかな成功が目立つものですが、本ブログではチャーリーの教えに従って、「失敗を避けること」に重点をおいて目を向けたいと考えています。このシリーズでは、私がおかしてきた投資の失敗例をいくつかご紹介します。第1回目は、損失金額が最大だった投資(というか投機)です。


■背景
時期は2005年のはじめになります。2003年3月に株式市場が底打ちし、株価が大きく上昇中だった頃です。当時はアメリカに上場されている株式を中心に買っていたのですが、2年近くにわたって相場が上昇しているのをみて、そろそろ下降するのではないかと懸念していました。
ITバブルが終わって時間が経っていないのにアメリカやイギリスの不動産相場が盛況になっており、遠からず景気が冷え込むと予想していたのです。


■実行した投資
当時の手持ちの株式はまだ割安で、手放すつもりはありませんでした。どうしようかと思案していた頃に、あるバリュー・ファンド・マネージャーのプレゼンが目につきました。ナスダックの代表銘柄100社をトラッキングするインデックスQQQのputオプションを買う戦略です。

オプション取引になじみのない方に、要点だけ説明します。株式等のオプションにはcallとputの2種類があり、putを買うのは株を空売りするのと似ています。価格が下がるとオプションの価値が上がるのです。「下落相場に備えた期間限定の掛け捨て損失保険」と考えるとイメージが少し近いです。

オプションの行使時期は2006年初や2007年初としました。2003年3月からすると3,4年後になるので、上昇相場はその頃には終わっているものと当て推量したのです。ベンジャミン・グレアムのThe Intelligent Investorを読んでおり、過去(1970年以前)の相場の周期を参考にしていました。


■投資結果
投資結果は完敗です。下図のように、QQQの価格は2007年末に向かって上昇し続けました。私の買ったputオプションの行使価格から大きく離れてしまい、結局は大幅に目減りした価格でオプションを売ることになりました。QQQの他にS&P500インデックス(SPY)もputを買っており、損失の合計は約$50,000。当時の為替レートにすると500万円強になりました。









■教訓
さて、高い授業料を払って何を学んだのでしょうか。

1. 自分の考えが間違っているとしたらどうなるか、前もって考える
当時はアメリカの景気が大きく冷え込むことを確信を持って予測していました。その通りの結果になりましたが、時期は大はずれでした。そもそも景気は変動するものなので、景気後退は誰にでも予測できます。ふりかえってみれば、自分の思考回路に致命的な誤りがありました。今でも同じように、私が間違う確率はゼロではありませんし、かなり高いはずです。

2. マーケットの動きは読めない
自分の投資スタイルである現物株のバイ・アンド・ホールドであれば、価格が上がればそのまま保有し、価格が下がれば適宜追加投資して平均買い単価を下げられます。つまり、企業分析をきちんと行っていれば、価格の動きは投資元本の安全には影響しにくいものです。しかし、時期に賭けるとなると話は別です。景気はともかくとしても、自分の判断がマーケットの動きを捉えていなければ、元本を無駄にしてしまうリスクがあります。この例では、そのとおりになってしまいました。私には、マーケットの動きも読めないのです。

3. 他人の意見をうのみにしない
実は、意見を参考にしたファンド・マネージャーとはティルソンです。実績からみると彼はまだひよっこに過ぎなかったのですが、勝手に感じ入ってしまい、自分できちんと考えることを放棄してしまいました。無意識に、彼のスタイルに憧れていたのかもしれません。他人の意見をうのみにした例は他にもあります。よくない傾向が私にはあるのだと思います。他人の投資アイディアを参考にするのは悪くはないのですが、自分自身で調べきれていない甘さがあります

■追記(2011/12/25 11:00)
保険目的でputオプションを買うのであれば、手持ちの現物株の価格が上昇し、損失を相殺するものです。残念ながら、このときは目論んだとおりにはいきませんでした。が、思わぬ銘柄が上昇し、結果的には損失を減らせました。CEFという銘柄に投資していたのです。これは金銀の現物に投資するファンドで、銀ETFのSLVが登場する以前は、銀投資といえばこのファンドが有名でした。ナスダック100と金銀の相関関係は弱いようで、現時点のCEFのベータは0.28です。たまたま損失を減らせましたが、この件は大きな失敗として記憶に残っています。


2011年12月22日木曜日

浴槽の洗剤は半分に(節約度★)

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浴槽用の洗剤は、安売り店で詰め替え用を買っています。我が家の節約はそこから先で、スプレー容器に移し替えるときに原液のままではなく、水で割るようにしています。原液で洗うのは濃すぎるので、初めから薄めておけば一石二鳥です。洗剤と水の割合は、目分量で1:1にしています。



2011年12月21日水曜日

投資先の業績が1,2年後にどうであろうと、気にしないのです(FPA)

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アメリカのバリュー・ファンド・マネージャーの中でも極めつけの慎重派がボブ・ロドリゲス氏です。単に慎重なだけでなく、好成績を長期間挙げているのがすばらしいです。今回は、彼のファンド会社FPAのサブ・ファンド・マネージャーのインタビューFPA's Rikard Ekstrand Found Opportunities In Downturn(Investors.com)から引用します。(日本語は拙訳)

初めに、ファンドの紹介です。

大見出しに登場するような人気株にはほとんど投資しないのですが、FPA Capitalファンドは素晴らしい成績を挙げ続けています。

当ファンドは、この決算期の11月末には運用資産が12億ドル[1000億円弱]になりますが、15年間にわたって年率10.2%のペースで上昇しています。これはS&P500の上昇率の2倍で、モーニングスターによる中型株バリューファンドではトップの成績です。

Despite rarely holding the flashy highflying stocks that capture the headlines, FPA Capital Fund has been remarkably consistent.

Over the 15 years ended Nov. 30 the $1.2 billion fund's 10.2% average annual gain nearly doubled the S&P 500's. It was the top performing midcap value fund tracked by Morningstar Inc.


この秋の投資について。

(質問)現金比率は、これまでと変わりなく高いですね。9月末時点では34%でしたが、その後はどうなりましたか。

(答え)今はもっと少なくなっています。この3ヶ月で投資する機会がいくつかありました。新規投資先7件へ6%ほどを投資しました。業種は様々で、ヘルスケア、産業、ハイテクも含みます。今の現金比率は29%前後です。

IBD: Your cash weighting as usual is high. It was 34% as of Sept. 30. Is it rising or falling?

Ekstrand: It's actually less now. We found some opportunities in the last three months. We deployed about 600 basis points into seven new names.

They're in several sectors, including health care, industrials and tech.

So our cash is around 29%.


投資期間について。

(質問)投資した株式は長期間保有することが多いようですが。

(答え)ええ、平均すると5年以上は保有します。投資先の業績が数四半期や1,2年後にどうであろうと、気にしないのです。

IBD: And you often hold stocks for a long time.

Ekstrand: Yes, we hold on average for more than five years. We aren't concerned with how a name will do over the next few quarters or even year or two.


今回の記事で目についた銘柄は、Arrow Electronics (ARW)という電子部品・コンポーネントの商社です。売上高が1兆円を超えているのに初耳でした。自分の投資先に半導体輸入商社の富士エレクトロニクス(9883)があるので、投資判断が参考になるかと思い、興味をひいた一節です。

(質問)Arrow Electronics(ARW)やAvnet(AVT)は、どのようにお考えですか。

(答え)世界的な電子製品の商社ですね。半導体などの機器を扱っていますが、[この手の企業に投資するのは]テクノロジー業界の成長に乗っかるやりかたです。

他の業界と比べるとテクノロジー業界は陳腐化するのが速いのですが、ArrowやAvnetは経済成長が鈍化しているときでも成長できる特質を持っています。

IBD: What's your view on Arrow Electronics (ARW) and Avnet (AVT)?

Ekstrand: They're the leading electronics distributors in the world. They distribute components such as semiconductors. This is a backdoor way to participate in the growth of technology.

Because technology obsoletes faster than most other sectors, Arrow and Avnet have an inherent ability to grow even when economies are growing slowly.