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2014年1月8日水曜日

2013年の投資をふりかえって(2)継続投資銘柄:シルバー(銀)

シルバー(銀)への投資時期は2012年からではないのですが、何度か話題にとりあげているので現状を記しておきます。シルバーは2005年から投資しはじめ、途中で何度か全売却してきましたが、現在はあらためて買い増しの局面です。

■シルバー(現在の投資対象の銘柄:SLV)

<価格の動向>
メディアでも取り上げられていたように、他の商品と同様、シルバーも大幅に下落した1年でした。年初のスポット価格が30.34$、年末は19.43$でした。36%の下落です。


<投資方針>
下落に応じて適宜追加購入しました。現在の価格水準であれば強気でいます。その理由を以下に記します。


1. (需要面)工業用途の需要が今後も伸びると思われること
今後のエネルギー動向において「電気」というエネルギー形態の利用用途や範囲はますます広まるでしょうし、太陽光を利用した発電も漸増するとみています。シルバーは金属中で最高の導電率や反射率(可視光)を持ち、またゴールド(金)とくらべて単価が安いことから、それらなどの工業分野で素材として広く使われています。将来における経済発展と効率化を指向したエネルギー消費の増大という観点からみて、シルバーに対する需要はひきつづき増加すると予想します。

統計資料によれば、景気拡大がつづいた2003年から2008年までは工業用途での需要は増加していました。一方、2009年の金融危機で大きく落ち込んだ需要が2010年に回復した後、この数年間は減少しています。この統計値の信頼性は判断しかねますが、10年来の傾向としては横ばいあるいは漸増とみてよいかと思います。

(出典: World Silver Survey 2013 A Summary pdfファイル11ページ目)

2. (需要面)価値貯蔵手段として認知・選好されていること
シルバーは歴史的に「マネー」の主役だったため、価値貯蔵手段として認知されており、特に中国及びインドでその傾向が顕著です。人口が多い2つの新興国でこのような傾向があり、また実需として実体化してきたことは、需要面で今後も追い風になると予想します。

上に記した2種類の需要を合わせると、シルバーの総需要の7,8割を占めます。残りは宝飾品と写真用途、銀食器などです。つまり上述した両者の動向が需給に大きく影響を及ぼすことになります。

3. (価格面)現在の価格水準が生産者コストとほぼ同等であること
現在の市場価格は鉱山会社の総コスト(産出・製錬コスト + 事業継続上のコスト)に近い水準まで下がってきました。鉱山側のコストダウンの余地はあるものの、それは現在および将来の供給を減じるものとなります。そのため、供給面からみて現在の価格が長期的(3年以上)に継続する可能性は低いと予想します。たとえばシルバーの主要生産者であるPan American Silver Corp.(PAAS)の2013年度第3四半期のIR資料によれば、3Qのコストは16.26$ですが、通年では18.86$となっています。たとえば探鉱プロジェクトを延期してコストを抑え、収益改善を図っています。

(出典: 同社IR資料、2013/8/15付 "Q2 2013 CONFERENCE CALL PRESENTATION" 18ページ目)

以前ご紹介したシルバーのアナリストであるテッド・バトラーは[過去記事など]、シルバーの価格が低いのはアメリカの大銀行JPモルガン・チェースによる価格操作の影響が大きいと主張しています。彼の主張もそれなりに説得力があり、その説を信じたい気持ちもありますが、今は単純に価格とコストに注目しています。

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