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2015年9月8日火曜日

2002年にバフェットが予想していた株式市場からのリターン率

ウォーレン・バフェットがバークシャー・ハサウェイの株主向けに書いた2001年度の「バフェットからの手紙」を読んでいたところ、株式市場の将来を予想していた文章がありました。今回はその箇所をご紹介し、現時点で彼の予想がどこまで合致しているか、結果を振りかえります。(日本語は拙訳)

SHAREHOLDER LETTER 2001 [PDF] (Berkshire Hathaway)

当社の[株式]ポートフォリオは、2001年を通じてほとんど変化しませんでした。上位の持ち株を全体としてみたときの成績は、ここ数年間おもわしくありません。業績が残念なものにとどまったことも、その一因です。当社が株式を保有している全企業の営む根本的な事業については、チャーリーもわたしもひきつづき好んでいます。ただし、全体としてみたバークシャーの保有株式は割安ではないと考えています。

それらの証券に対してあまり夢中になれないのは、今後の10年前後における株式全般の見通しについてまったくもって気乗りしないのと同じです。アレン社が7月に開催した会合の席で、株式から得られるリターンについて私見を申し上げました(2年前にも同様の説明をしましたが、それを受けたものです)。わたしの発言を編集した記事が、12月10日付けのフォーチュン誌に掲載されています。その記事の写しを本書に添付しました(同記事[PDF]へのリンク)。なお1999年に講演した内容も、フォーチュン誌が当時掲載しています。そちらをお読みになりたい方は、当社のウェブサイトをご覧ください(同記事[PDF]へのリンク)。

米国の企業はこれからも好業績をあげていくだろう、とチャーリー共々考えております。しかし今日の株価は、「投資家が得られるリターンは平凡な数字にとどまるよ」と警告しているように思います。これまで非常に長い期間にわたり、市場[の成績]は事業を上回ってきました。ですから、いつかはその現象が終わらなければなりませんでした。しかし多くの投資家は、事業の進展と共に歩めない市場にはがっかりしてしまうものです。このゲームに比較的新しく参加した人にとっては特にそうだと思います。(PDFファイル14ページ目)

We made few changes in our portfolio during 2001. As a group, our larger holdings have performed poorly in the last few years, some because of disappointing operating results. Charlie and I still like the basic businesses of all the companies we own. But we do not believe Berkshire's equity holdings as a group are undervalued.

Our restrained enthusiasm for these securities is matched by decidedly lukewarm feelings about the prospects for stocks in general over the next decade or so. I expressed my views about equity returns in a speech I gave at an Allen and Company meeting in July (which was a follow-up to a similar presentation I had made two years earlier) and an edited version of my comments appeared in a December 10th Fortune article. I'm enclosing a copy of that article. You can also view the Fortune version of my 1999 talk at our website www.berkshirehathaway.com.

Charlie and I believe that American business will do fine over time but think that today's equity prices presage only moderate returns for investors. The market outperformed business for a very long period, and that phenomenon had to end. A market that no more than parallels business progress, however, is likely to leave many investors disappointed, particularly those relatively new to the game.

さて、ウォーレンが予想した当時(2002年初)から現在(2015年初)までのS&P500指数の上昇率をくらべてみます。Google Financeのデータによれば、2002年初の指数は1148、2015年初は2059でした。この間の上昇率は約80%、年率にすると約4.63%です。

S&P500のチャート; 2002年初から2014年末まで

一方、13年間でのインフレ率は年率2.2%程度と算出できます(参考サイト)。またS&P500指数に連動するファンドに投資すると、配当利回りは基本的にインフレ率と相殺される程度におさまるようです(参考サイト)。つまりS&P500に投資した場合の実質リターンは、さきに示したように年率5%を超えない水準だったと言えます。10年先を予想したウォーレンは「平凡なリターン(moderate returns)」と書きましたが、現時点から振りかえれば絶妙な見通しだったように感じます。

なおウォーレンが上記のレターを書いたのは、ITバブルで市場が頂点に達した2000年3月から20%ほど下落した頃でした。

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