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2014年10月2日木曜日

2014年バークシャー株主総会; エネルギー事業について

2014年5月に開催されたバークシャー・ハサウェイの年次株主総会から、エネルギー事業(子会社のMidAmerican)への投資に関する話題です。(日本語は拙訳)

<質問55> [2013年度アニュアル・レポートの]64ページに載っている事業別の数字ですが、エネルギー事業のEBITDA(利払い税引き償却前利益)から設備投資額を引くと、赤字の営業キャッシュ・フローになります。また直近5年間について同じように計算すると、営業キャッシュ・フローは最高の年で3億ドルでした。これを有形資産額で割ると0.8%のリターンになります。そこまで低いリターンの事業に資本を投じているのはなぜでしょうか。

<バフェット> 有形資産あたりのリターンを出すところまではすばらしいご指摘ですね。投下資本に対するリターンを求める際には、わたしたちも今言われたような計算を好んでやります。資本が正当に使われるのであれば、もっと投じたいと考えています。そうすれば適切なリターンを得られますから。しかしキャッシュ[・フロー]から正味設備投資額を引き算するのではなく、減価償却後の営業利益をみます。正味の設備投資が発生しないときもありますからね。正味投資額が増えざるを得ない領域を好んでいるのは、資本がますます増えますし、規制当局が将来わたしたちを正当に扱ってくれると読んでいるからです。そうなると信じる理由のひとつは、ほとんどの会社が設定しているよりも安い料金で電力を供給する点で、さまざまな他社よりもわたしたちのほうがうまくやってきたからです。アイオワ州にある公益事業では、当社は競合他社よりも大幅に低い料金でやっています。農場をやっている友人は2社から供給を受けていますが、当社の料金は競合よりもびっくりするほど安いと彼は言っています。当局は当社に対して、安全面を含めて相応の敬意を払ってくれています。ですから新しい州で商売を始めると、当局はわたしたちを歓迎してくれます。そういったプロジェクトに新たな資金を投下できれば、良好なリターンが得られると思います。しかし設備投資も含めた上で計算すると、数字としては赤字のリターンになります。この件は鉄道事業とある程度似かよっていますね。

<マンガー> その羅列された数字が落ち目のデパートのものであれば、がっかりですよ。しかし我々は、成長するエネルギー事業に資本を再投資すれば良いリターンが得られる、と自信を持っています。単純なことですよ。

(後略)

Q55: Station 8, New Hampshire. Looking at page 64 segment data for the energy business, when I take ebitda less capex, the result is negative operating cashflow. When I repeat exercise in each of last five years, in best years, $300m of operating cash flow. Divide by tangible assets, 0.8% return, why allocating capital to a business with such low returns?

WB: You were doing great until return on tangible assets. We love the math you describe, as long as we get return on capital investment. We are looking forward to putting more capital in, as long it is treated fairly, and we will get appropriate returns on that. It is not cash minus increased capex, it is operating earnings less depreciation. There are times when no net investment is required, but we prefer where net investment must be higher because we get more capital in and our bet is that regulators will treat us fairly in future. One reason we believe this is true is that we have done so much better than many at delivering electricity at lower rates than charged by most. In Iowa there is a public utility, and our rates are significantly below competitors. A friend with a farm who is served by two utilities tells me that rate from us is dramatically lower than the competitors. We have a deserved good reputation with regulators, including safety. They welcome us when we come to new states. If we can put new money into those projects, we will get good return. But you will get negative returns if you include adding to capital spending. This is somewhat similar at the railroad.

CM: if numbers you recited come from a declining department store, we would hate it. But we have confidence that the reinvested capital will give us a good return from a growing energy business. It is that simple.

備考です。アニュアル・レポートのp.46によれば、バークシャーのエネルギー事業における建造物や機械設備といった減価償却資産の耐用年数は、3-80年間となっています。ちなみに日本の電力会社では、最長で30-50年間のようです(財務省令)。

2 件のコメント:

たつや さんのコメント...

== お久しぶりです ==
自分の考えがずれていないか確認できる良い記事ですね。
いつも参考になります。

betseldom さんのコメント...

== たつやさんへ ==
たつやさん、お久しぶりです。コメントをありがとうございました。
有形資産(tangible assets)はウォーレンが何度もとりあげる話題ですね。まさにここが、複利を考える上での要になるのだろうと思います。
ウォーレンは細かい話題にもきちんと対応してくれており、誠実さの顕れだと感じています。こちらも見習うに値する行動ですね。
またよろしくお願いします。それでは失礼します。