ot

2013年5月8日水曜日

投資家トッド・コームズの勉強量

ウォーレン・バフェットやチャーリ・マンガーの後継者候補として、すでにバークシャー・ハサウェイで投資業務に携わっているのが、テッドとトッドのコンビです(テッド・ウェシュラーとトッド・コームズ)。今回は二人を取り上げた記事から、トッドに関する文章をご紹介します(日本語は拙訳)。なおトッドは現在42歳、ウォーレンから任されている運用資産は50億ドル(約5,000億円)とのことです。

Investors earn handsome paychecks by handling Buffett's business (Omaha.com)

まずは彼の勉強量について。
[コロンビア大学での投資の授業で、バフェットから直接話をきいたときのこと]

ある学生がバフェットに質問した。「投資の仕事に就くにあたって、今からどのような準備をしておけばよいですか」。バフェットは少し考えてから、勉強材料を示した。山ほどのレポート、業界誌、彼が持参してきた類の読み物。

「こういうものを毎日500ページ読むようにしてください」、バフェットはそういった内容のことを語った。「知識というものがいかに役に立つかを感じとって下さい。知識は、まるで複利と同じように増えて発達していきます。それだけのことですが、みなさんの中でそうできる人はあまりいないと思いますよ」。

注目すべきことに、まさにコームズは忠告にしたがい、何を何ページ読んだか毎日記録しつづけた。やがて、役に立つ読み物をみつけて読むことが第二の天性つまり習慣となった。投資の仕事を始めた頃にはもっと読むようになり、1日に600ページ、750ページ、ついには1,000ページに達した。

そしてコームズは、バフェットのやりかたがうまくいくことを実感した。多くの知識を得ることで、自分の責務つまり投資候補の真なる姿をみきわめる仕事に役立つことを。

One of the students asked what he could do now to prepare for an investing career. Buffett thought for a few seconds and then reached for the stack of reports, trade publications and other papers he had brought with him.

"Read 500 pages like this every day," said Buffett, or words to that effect. "That's how knowledge works. It builds up, like compound interest. All of you can do it, but I guarantee not many of you will do it."

Remarkably, Combs began doing just that, keeping track of how many pages and what he read each day. Eventually finding and reading productive material became second nature, a habit. As he began his investing career, he would read even more, hitting 600, 750, even 1,000 pages a day.

Combs discovered that Buffett's formula worked, giving him more knowledge that helped him with what became his primary job - seeking the truth about potential investments.

もうひとつ、チャーリー・マンガーとめぐりあったきっかけについてです。
オーストラリアのマネー・マネージャーと出会ったことで、コームズはオマハ[=バークシャー]へ通じる道を歩みはじめた。その人物はカリフォルニアに行ってバークシャーの副会長、そしてバフェットの親友でもあるチャーリー・マンガーと会うことになっていた。コームズはそのときに「いつかチャーリーと話し合ってみたいものだ」と感じていたことを覚えている。

それから時をおかずにコームズはカリフォルニアに足をはこび、まず会えないだろうと思いながらもマンガーのオフィスに連絡をとってみた。

驚いたことに、マンガーはカリフォルニア・クラブで一緒に朝食をどうかと誘ってくれた。「ですが怖くなりました」とコームズは言った。オマハで開催されるバークシャーの年次株主総会に2回出席して、マンガーが人物やビジネスを単刀直入に評価することを知っていたからだ。

「しかし我々は心底、意気投合できました」コームズは言った。「彼は実にあたたかみのある、おだやかな人でした」。

二人は数時間話し込み、その後マンガーは再会したいと声をかけてくれた。コームズは即座にカリフォルニアに戻る用意をした。そうするうちに、とうとうマンガーがこう切り出した。「ウォーレンも君に会いたがると思うがね」。

His road to Omaha began when he met a money manager from Australia who was going to California to see Charlie Munger, vice chairman of Berkshire and a confidant of Buffett's. Combs remembers thinking, "I'd like to meet Charlie some day."

Not long afterward, Combs was headed to California and called Munger's office, figuring it was "pretty unlikely" that he would get to see Munger.

To his surprise, Munger offered to meet him at the California Club for breakfast. "I was terrified," Combs said. He had attended two of Berkshire's annual shareholder meetings in Omaha and knew that Munger often gave blunt assessments of people and businesses.

"But we really hit it off," Combs said. "He's the most warm, gentle man."

The two talked for hours, and Munger offered to get together again. Combs quickly arranged to return to California. Eventually, Munger told him, "I really think Warren would like to meet you."

カリフォルニア・クラブの写真です。チャーリーらしい、格式のある場所ですね。

(同クラブのWebサイトより)

4 件のコメント:

布施 さんのコメント...

http://video.cnbc.com/gallery/

こちらを聞くと、一日に500ページじゃなくて、一週間に500ページですね。いくらバフェットといえども、一日に500ページなんて不可能だと思います。

betseldom さんのコメント...

布施さん、貴重なコメントをありがとうございます。

お書きになってくださったCNBCのURLは映像が特定されていないようなので、すみませんが拝見していません。しかし、1日500ページ相当の読破量はウォーレン・バフェットにとっては不可能でも何でもないと、個人的には感じています。

蛇足ながらわたしが文章を読む速度をあげますと、ポピュラーサイエンスの単行本で1ページ読むのに1分間程度かかります。1日の読書時間が60分間とれるとすれば、300ページを読むのに5日間です。このペースであれば、1週間に500ページはなんとか到達できそうです。ウォーレンは1日の大半を文章を読むことに費やしていると聞いていますし、速度も相当なはずですから、ドン亀のわたしとはくらべものにならないと想像します。

興味ぶかい話題をとりあげてくださって、どうもありがとうございました。またよろしくお願いします。

布施 さんのコメント...

http://video.cnbc.com/gallery/?video=3000251628
こっちでした

betseldom さんのコメント...

布施さん、あらためてURLを示してくださり、ありがとうございます。

たしかにトッドは「1週間に500ページ」と語っていますね。上に訳した文章では「バフェットはそういった内容のことを語った」とありますから、布施さんご指摘の映像のほうが具体的です。

個人的な印象にすぎませんが、あくまでもこの数字はとっかかりとして挙げたもので、現実的には「1週間に500ページ」の勉強にとどまるものではないと受けとめています。

どうもありがとうございました。トッドの声をはじめて聴けたこともうれしかったです。