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2013年4月10日水曜日

海賊船に乗り込もう(ウォーレン・バフェット)

アメリカ株式市場では90年代に株価が一本調子で上昇しました。その中でも1995年以降の急上昇ぶりは目につきます。今回は、S&P500が年率30%以上上昇した1995年度にウォーレン・バフェットが書いた「株主のみなさんへ」からご紹介します。(日本語は拙訳)


わたしどもは今後も浦島太郎状態を続けていきます。1994年末時点での持ち株上位6銘柄のうち5銘柄は、1995年を通して手つかずのままでした。6番目の銘柄アメリカン・エキスプレスは、10%分を買い増ししました。

われわれの持ち株に影響するものとして、1996年の初頭に大きなできごとが2件ありました。ひとつめはGEICOで、当社の持ち分でなかった株を買い入れ、完全子会社としました。ふたつめがキャップ・シティーズ株で、ディズニー社の株式及び現金と交換することになりました。

ディズニーと合併することになり、キャップ・シティーズの株主にはいくつかの選択肢が提示されました。キャップ・シティーズ1株につき、ディズニー1株に加えて現金65ドルと交換する他に、現金だけで受け取るか、すべて株式に交換することも要求できました。その場合、最終的な配分比率は他の株主がどれを選択するか、さらにはディズニーがどのような判断をくだすかによって決まります。われわれの持ち株2,000万株は、すべて株式と交換するよう希望しました。この報告が発表される時点では何株が割り当てられるかは不明ですが、受け取るディズニーの株が2,000万株以上になることはわかっています。なお、最近になってディズニーの株を市場で買い付けたことを申し添えておきます。

もう1点、昔の話を少しばかり。わたしは1966年にディズニーに興味を持ちました。1965年の税引前利益は2,100万ドルで、負債以上の現金を保有していたにも関わらず、市場価値は9,000万ドルを下回っていました。おりしもディズニーランドでは、1,700万ドルかけたカリブの海賊がオープンする直前でした。5倍ほどの金額を払えばディズニーという船に乗れるのです。わたしがどれだけ興奮していたか、おわかりでしょう。

まさに心をうばわれ、バフェット・パートナーシップでディズニー株を大量に買いました。購入単価は株式分割調整後で1株31ドル弱でした。現時点の株価が66ドルですから、すぐれた決断だったと思われるかもしれません。ところがそれを帳消しにしてしまったのが、当社の会長たるわたしであります。1967年に1株48ドル弱で売ってしまったのです。

独自の資産を有し、傑出した経営陣がそろったビジネスの大株主の座に戻ることができて、わたしどもはとても満足しております。

We continue in our Rip Van Winkle mode: Five of our six top positions at yearend 1994 were left untouched during 1995. The sixth was American Express, in which we increased our ownership to about 10%.

In early 1996, two major events affected our holdings: First, our purchase of the GEICO stock we did not already own caused that company to be converted into a wholly-owned subsidiary. Second, we exchanged our Cap Cities shares for a combination of cash and Disney stock.

In the Disney merger, Cap Cities shareholders had a choice of actions. If they chose, they could exchange each of their Cap Cities shares for one share of Disney stock plus $65. Or they could ask for - though not necessarily get - all cash or all stock, with their ultimate allotment of each depending on the choices made by other shareholders and certain decisions made by Disney. For our 20 million shares, we sought stock, but do not know, as this report goes to press, how much we were allocated. We are certain, however, to receive something over 20 million Disney shares. We have also recently bought Disney stock in the market.

One more bit of history: I first became interested in Disney in 1966, when its market valuation was less than $90 million, even though the company had earned around $21 million pre-tax in 1965 and was sitting with more cash than debt. At Disneyland, the $17 million Pirates of the Caribbean ride would soon open. Imagine my excitement - a company selling at only five times rides!

Duly impressed, Buffett Partnership Ltd. bought a significant amount of Disney stock at a split-adjusted price of 31> per share. That decision may appear brilliant, given that the stock now sells for $66. But your Chairman was up to the task of nullifying it: In 1967 I sold out at 48> per share.

Oh well - we're happy to be once again a large owner of a business with both unique assets and outstanding management.

ウォーレンがふれていた上位6銘柄は、つぎのとおりです。

1. コカ・コーラ
2. ジレット(P&Gに吸収合併された)
3. キャップ・シティーズ(ディズニーに吸収合併された)
4. GEICO
5. ウェルズ・ファーゴ(吸収合併されたが、社名は継続)
6. アメリカン・エキスプレス

このうちGEICOはバークシャーの完全子会社になりましたが、その他の銘柄は現在(2012年末)まで元のままか、買い増したか、株式の過半を保有しています。ウォーレンの言行は一致しています。ただし1社だけは全株式を処分しています。それがディズニーです。皮肉なものを感じますね。

ところで、S&P500のチャートで1995年末の急上昇後と2009年2月の急落時をくらべてみて興味深く感じました。チャーリー・マンガーの洞察(たとえばこちら)がいかに重要か、再確認できました。

2 件のコメント:

ブロンコ さんのコメント...

== ディズニー ==
当時のCOOフランク・ウェルズの事故死がなければアイズナーへの権力集中と内部闘争も起きず、もしかしたら今でもディズニー株を保有していたかも知れませんね。
バフェットに関する著書やマイケル・アイズナー自伝、現CEOボブ・アイガーの戦略を通じてディズニーのことを勉強した日々を思い出しました。
勉強した結果、ディズニーに投資しましたが、投資するに当たり私が疑問視したスポーツ専門チャンネルESPNが現在の好調を支えているというところに自分の未熟さを感じてしまいます。
長く持ち続けると投資先を通じて本当に多くのことを学ぶことができるというのをこのディズニーで改めて実感しました。

betseldom さんのコメント...

== ブロンコさん、ありがとうございます ==
ブロンコさん、こんにちは。
いつもながら、ご自身の具体的な事例をご紹介くださり、とても参考になります。どうもありがとうございます。最近のDISの株価は好調で、うらやましいかぎりです。ブロンコさんの調査ぶりはあいかわらず徹底されていたようですね。
「長く持ち続けると投資先を通じて本当に多くのことを学ぶことができる」とする実感のこもったご意見は、わたしも若干思いあたります。思いもよらなかった方向に会社が発展していくのをみると、自分の洞察力や引き出しの乏しさをどうしたものかと感じるものです。ブロンコさんの言葉どおりですが、長く投資し続けるということには、自分の足りない部分をみつめる機会がうまれるという利点がありますね。
蛇足ですが、フランク・ウェルズの事故死についてWikipediaの文章をつい最近読んだのですが、何の折だったのかきれいさっぱり忘れてしまいました。チャーリーが言うように、物事は何かにつけて関連づけておかないとよろしくないようですね。
それでは失礼します。