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2012年9月19日水曜日

「長期的」という言葉の使い方(ドナルド・ヤクトマン)

以前ご紹介したファンド・マネージャーのドナルド・ヤクトマン(過去記事)がGuruFocusのインタビューに応じていましたので、一部をご紹介します。(日本語は拙訳)

Donald Yacktman Interview With GuruFocus

まずは、彼のファンドの投資成績について。
この5年間のヤクトマンの成績は、S&P500が-1.1%下落したのに対して47.2%上昇した。10年間でみると、S&P500が34.9%の上昇に対して174.5%の上昇だった。注目すべきは下落相場の際に資本を減らしていない点で、これは彼の気概を証明するものだ。

Over the last five years, Yacktman has outdone the S&P 500 47.2% to -1.1%, and 174.5% to 34.9% over the last ten years, particularly proving his mettle in preserving capital during market downturns.

「長期的」という言葉について。
彼はインタビュー中に「長期的」という言葉を何度も使った。彼の口から出る「長期的」という言葉は、他の人が言うのとくらべて、もっと長いという印象をもった。世間のマネー・マネージャーは「長期的」という言葉を最近の成績不振を正当化するために使うが、彼のファンドの場合は違う。短期の成績も、長期の成績と同じように良好だからだ。

During the conversation, he used the word “long-term” many times. One got the feeling that his “long-term” is longer than the “long-term” of most others. Money managers like to use the word “long-term” to justify their recent underperformance, but Yacktman Funds’ shorter-term performance is just as good as its long-term performance.

投資先をみつける際の目のつけどころについて。
<ヤクトマン>投資先を探すというプロセスは、実のところは企業のキャッシュフローを調べるという作業です。たいていのすぐれた企業はキャッシュをうみだしてくれますが、これは2つの部分からなると考えてよいでしょう。株主への払戻し分と、内部留保から得られる利益です。払戻しとは配当だったり、自己株式の買越し分のことです。そして再投資からあげられる利益率、実のところこれが株式投資における不確定要素ですね。

??質問者>あなたのところでは基本的に、企業がこれまでに余剰資金をどうしてきたかに注目していますが、過去のお金の使いかたを調べて企業が将来に何をするかを予測できるのですか。

??ラッセル・ウィルキンス>私どもの認識では、企業が将来に何を実行するのか予測するには、発言していることよりも過去にやってきたことをみるほうが、ずっとあてになります。

??ヤクトマン>それ以外には、ビジネスモデルをきちんと理解することです。ほとんどの場合、素晴らしい経営者がよいビジネスを築いているのではなく、よいビジネスが経営者を引立てているだけです。そういえば、夕食後に私の子供と投資のことを議論していたときに、こう聞かれました。「ええと、これで合っているのかな。父さんが基本的に言っているのは、平均以上の事業を平均以下の値段で買えれば、平均すればうまくいくってこと?」。そう、基本的にそのとおり。

So the process is then really a function of looking at the cash flows of a company. Most good companies generate cash, and that usually consists of two components; payout and return on retained earnings. Payout is the dividend and net share repurchase. Reinvestment rate is really the wild card in equity investing.

So basically you look at what the company did in the past with the extra cash they have, what they have done with that cash to predict what they might do in the future?

Russell Wilkins: We found what they’ve done in the past is a much better predictor of what they’re going to do in the future than what they say.

Yacktman: The other thing is to really understand the business model. Most of the time the good businesses will make the managers look like stars, rather than the other way around. I remember one of my children said to me once, after dinner when we were talking about investing, “Now let me see if I have this right, Dad. Basically what you’re saying is if you buy above average businesses at below average prices, then on average it’s going to work out?” I said, “Yes, that’s basically it.”

参考までに「発言していることよりも過去にやってきたことをみるほうが、ずっとあてになる」のくだりは、ウォーレン・バフェットも同様の発言をしていました。(過去記事)

2 件のコメント:

投資男 さんのコメント...

== No title ==
「長期的」ってどれほどをいうのか??
私も気になっています。
まだ投資を始めてから日は浅いですが
はやくバフェットさんのように「理想の保有期間は永遠です」
と言えるくらい、株を持ち続けたいものです。

betseldom さんのコメント...

== 投資男さん、こんにちは ==
投資男さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
投資期間の定義は人それぞれであいまいですよね。このインタビューでヤクトマンが数字を挙げていますが、個人的には長期=10年間というのがひとつの目安かと考えています。これはウォーレンも口にする数字ですね。あとは自分勝手な定義ですが、中期が3年、短期が1年、超長期が30年といったところです。おおよそ3を底とする対数です。と、元本が3年で2倍に増えたら本物の一流ですね。
それではまたよろしくお願いします。どうぞ、お体にはお気をつけてください。