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2019年2月24日日曜日

充実した人生を過ごすための方法(チャーリー・マンガー)

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デイリー・ジャーナル社の会長を務めるチャーリー・マンガーが2月14日の株主総会に出席した後に、CNBCのインタビューに応じていました。トランスクリプトが公開されているので、一部を拙訳にてご紹介します。応対者は、バークシャー担当としておなじみのベッキー・クイック女史です。

CNBC Transcript: Berkshire Hathaway Vice Chairman Charlie Munger Speaks with CNBC’s Becky Quick

<ベッキー・クイック> 本日ここに集まったみなさんには、ビジネスや投資のことよりも、人生についての助言を受けたいと考える人たちが大勢いました。今日の質問には、幸せな長い人生を過ごすための秘訣は何かを求めるものが数多くありました。チャーリーはどのようにお考えで..

<チャーリー・マンガー> たやすいことです。単純そのものですから。

<ベッキー> いったいそれは何ですか。

<チャーリー> あれこれと他人を妬まないこと、恨みがましく思わないこと。手にした収入を浪費しないこと、苦難に遭おうと明朗に努めること。関わりを持つのは信頼のおける人とし、為すべきことを為すこと。そういった単純な決まりを守ることが、実りある人生を確かにしてくれます。どれも言い古された教えですよ。[過去記事]

<ベッキー> そのように悟ったのは、何歳ぐらいの頃ですか。

<チャーリー> 7歳ぐらいのときですね。年長者にもイカれ気味の人がいるものだと思ったものです。あの人たちはイレれ気味だなと、つねづね思ったものですよ。しかしそれが良かったのでしょう。世界は不合理に満ちているわけですから。この件については長い間ずっと考え続けてきました。なぜそうなるのか、どうすれば避けられるのか、といったことをです。まさしく、それが良かったわけです。

「明朗たるべし」というのは、それが賢明だからですよ。そんなに難しいことでしょうかね。それでは、憎しみと怨念にふかく浸かりこんだ心境で、朗らかな様子をみせられますか。それは無理でしょう。だったら、なぜそんなところに入り込むのですかね。

BECKY QUICK: Charlie, so many of the people who come here come because they’re looking for advice not on business or investments as much as they’re looking for just advice on life. There were a lot of questions today, people trying to figure out what the secret to life is, to a long and happy life. And-- and I just wonder, if you were--

CHARLIE MUNGER: Now that is easy, because it’s so simple.

BECKY QUICK: What is it?

CHARLIE MUNGER: You don’t have a lot of envy, you don’t have a lot of resentment, you don’t overspend your income, you stay cheerful in spite of your troubles. You deal with reliable people and you do what you’re supposed to do. And all these simple rules work so well to make your life better. And they’re so trite.

BECKY QUICK: How old were you when you figured this out?

CHARLIE MUNGER: About seven. I could tell that some of my older people were a little bonkers. I’ve always been able to recognize that other people were a little bonkers. And it helped me because there’s so much irrationality in the world. And I’ve been thinking about it for a long time, its causes and its preventions, and so forth, that I-- sure it’s helped me.

CHARLIE MUNGER: And -- staying cheerful-- with-- because it’s a wise thing to do. Is that so hard? And can you be cheerful when you’re absolutely mired in deep hatred and resentment? Of course you can’t. So why would you take it on?

2019年2月20日水曜日

2018年の投資をふりかえって(10)買増し銘柄:しまむら(8227),銀ETF(SLV)および新規購入銘柄:アップル(AAPL)

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残りの3銘柄については、簡潔に触れる程度とします。なお、本シリーズの前回分記事はこちらです。

■しまむら(8227)
業績が不調な当社は、不況期に伸長することを期待してヘッジ的な意味で株式を保有しつづけるつもりでした。そのため、株価が下落するにつれて漫然と買い増ししたところがあります。客数減少がいずれ底を打って収益悪化もとまるだろうと、自分に言い聞かせてきた面もあります。しかし経営努力がなかなか実らない現状を辛抱するよりも、損切りをして他社に乗り換えたほうがいいとも感じるようになってきました。どちらの道を選ぶか、経営状況をみながら今年中には判断をくだしたいと考えています。

なお現在の株価は9,200円程度で、今期末のEPSは500円程度と想定されるため、単純にPERであらわすと18倍強になります。

しまむら株価チャート約1年分(赤矢印は購入、青矢印は売却)

■iShares シルバー・トラスト(SLV)
この銘柄も、なかばヘッジ的な意味で保有しています。ただししまむらとは違って単なるコモディティーなので、下落時にはそれなりの確信をもって買い増ししています。そして価格が上昇して損益がプラスにすれば、一部を適宜売却しています。残念ながら中核ポジションは継続保有のままなので、ずいぶんと長期間にわたってまともな利益をあげられないでいます。

SLV株価チャート約1年分(赤矢印は購入)

■アップル(AAPL)
12月と今年の1月に、それぞれ1回ずつ購入しました。今後の株価下落を期待しており、現在の株価では買い増ししないつもりです。

AAPL株価チャート約1年分(赤矢印は購入)

2019年2月18日月曜日

2018年の投資をふりかえって(9)買増し銘柄:日東電工(6988)

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(本シリーズの前回分記事はこちら)
(当社をとりあげた直近の過去記事はこちら)

当社は大阪に本社をおくメーカーです。おもな製品としては、最終製品に組み込まれる材料や作業中に使用される資材を生産しています。たとえば、スマートフォン向けのディスプレイ関連部材や自動車向けのフィルム及びテープがあげられます。近年は核酸医薬品の新薬開発を手がけたり、買収を通じて製造に携わったりしており、電子機器向けに偏重した収益構造の転換を模索しています。

当社の株式はずっと前にほぼ処分し、一口しか手元に残していませんでした。しかし材料関連の企業としては経営姿勢が敏捷だと感じていたため、監視は続けていました。

<現在の株価と売買実績>
現在の株価は5,800円前後で、1年前の半値ほどに下落しました。今期(2019年3月期)の予想EPSは460円で予想PERは13倍程度になりますが、当社も財務が良好なので、PERの数字よりも過小評価されているととらえています。例によって昨秋に株価が下落したため、久しぶりに追加購入しました。

日東電工株価チャート約1年分(赤矢印は購入)

<業績などに対する所感>
今期第3四半期までの業績は、売上高6,300億円、粗利益1,960億円、営業利益840億円、純利益600億円でした。営業利益率は13%、ROEの水準は10%程度です。これは利益額が前年同期比で25%ほど低下した上での数字です。業績悪化のおもな要因は、大黒柱の事業であるスマートフォン向け部材の販売低迷にあります。

当社はおそらく戦略的に、モバイル端末や映像機器そして自動車といった技術発展の著しい業界や分野を事業領域に選んでいると受けとめています。積極的に市場機会を求め、他社をしのぐ速さで競争力のある製品を実現し、見返りとして高い利益率を享受したいと考えているように見えます。これは裏返せば、景気変動や特殊要因の影響を大きく受けやすい収益基盤を招いていますが、当社にはそのリスクをある程度許容できる良好な財務体質があります。厳しい時期がやってきても、研究開発のペースを維持できるでしょうし、機に乗じて他社を買収できる余地もあります。急成長は望めないと思いますが、長期にわたって成長を見守っていきたいと感じさせる企業のひとつです。

2019年2月16日土曜日

2018年の投資をふりかえって(8)買増し銘柄:メック(4971)

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(本シリーズの前回分記事はこちら)

当社は兵庫県を本拠地とする化学薬品会社です。おもな事業としては、たとえばスマートフォンやディスプレイに搭載されるような、電子基板を製造する工程で利用される薬剤を製造販売しています。具体的な製品例としては、基板樹脂と銅配線の密着性を向上させる加工機能を持った薬品(CZシリーズ)があります。

<現在の株価>
現在の株価は1,100円強で、前年度(2018年12月期)の実績EPSは90円強でした。実績PERは約12倍となります。

<株式の売買実績>
昨年の9月いっぱいまでは株価が比較的安定していたものの(2,000円前後)、その後の3か月間で大きく下落して半値になりました。継続して買い増し始めたのは10月中旬ごろからで(その前にも買っています)、年明けまで適宜買いつづけました。なお一昨年(2017年)の段階では、持ち株を一部売却しました。

メック株価チャート約1年分(赤矢印は購入)


<業績などに対する所感>
前年度の業績は、売上高が110億円、営業利益が22億円、純利益が17億円でした。収益性としては、粗利益率が60%強、営業利益率が約20%、ROAが9%強と、高水準です。

市場環境としては、電子機器や部品の軽薄短小化・高性能化が一定の方向に進む間は、当社が扱うような製品がますます要求されるでしょうから、ひきつづき追い風がつづくと予想します。

小さくないリスクとしては、知的資産の流出による売上機会喪失が想定されます。ただし当社製品の付加価値は、研究開発や製造そして顧客に対する導入支援や品質評価の協調によって生じると思われるため、経営陣が職務面での人事制度に留意すれば、リスク軽減は可能だと考えます。

当社製品の関わる最終製品は耐久消費財や資本財であるため、景気変動の影響は当然ながら受けることでしょう。しかし当社に対する投資方針は、さらなる成長を期待して継続保有のままで、株価下落時にはさらに買い増しするつもりです。

2019年2月12日火曜日

政治と経済が衝突するところ(ハワード・マークス)

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オークツリーのハワード・マークス会長が、新しい顧客向けメモを公開していました(1月30日付)。今回のテーマは、経済界に対する政治の介入についてです。最初の話題はトランプ大統領による関税引き上げについてで、つづく本題が、民主党左派や左派寄りのエリザベス・ウォーレン議員が掲げる、富裕層に対する課税強化や企業統治の社会主義化といった話題になります。今回引用するのは、政治家からのそういった介入に対する、経済人としてのハワード・マークスの反論です。(日本語は拙訳)

Political Reality Meets Economic Reality [PDF] (Oaktree Capital Management)

多数派が富裕層に対して没収的重税を課すことの長期的な波及効果を、[民主党]左派の方々は理解しているのでしょうか。本当にそうすべきだと考えているのでしょうか。さらなる蓄財をめざす意欲に水を差すことが(あるいは成功をおさめた米国人が外国籍への変更に魅力を感じるようになることが)、大多数の人たちにとっての生活向上につながるのでしょうか。概して言えば、米国人は累進課税制度を容認しています。しかしその制度が懲罰的であったり、意欲を損なうものであってはなりません。たとえば2015年には、納税額でみた上位5%の人が(所得額全体の37%分を得て)全所得税の60%分を支払いました。上位1%に至っては(所得額全体の21%分を得て)39%分の支払いでした。左派の政治家諸氏にうかがいますが、それらの税率が「公正」なものだと言えるのでしょうか。そして税率をさらに上げることで、まだなお公正だと言えるのでしょうか。

(ここで個人的な見解をはっきりさせておきますが、最高額の所得を得ている人たちに対する税率を上げる余地は、明らかにまだ残されていると考えています。第一に、現在の最高税率37%は、106年間になる米国所得税史上を通じて最低の水準にあります。第二に、配当及び譲渡所得に関しては、かなり低い税率にとどまっています。「あらゆる種類の所得は、同じように課税されるべきだ」とする議論は、なされて然るべきかもしれません)

[社会という]システムを改善するにはいくつもの方法があります。しかし「資本主義は悪しきものである」と吹聴する際に、その利点を認識していないのは問題だと思います。資本主義体制を批判する政治家が、(自分のiPhoneから)ツイッターやフェイスブックといった媒体を使っている姿は皮肉なものです。政治集会に駆け付ける際には航空機や乗用車を使い(おそらくウーバーのような相乗りサービスを活用していることでしょう)、スターバックス・コーヒーの店先で会合を開き、そういった模様はケーブルテレビ会社のニュース網を通じて報道されています。それらはどれもイノベーションです。「事業が成功すれば、企業保有者としての報酬を収穫できる」という前提にもとづいた上で、「大きなリスクをとって起業しようとする人を奨励するシステム」から生まれたものなのです。

もし彼らがそのことを考えていたら、人々がそれなしでは生活できないと思うもの、たとえば医薬品から始まり、日用品、サービス、テクノロジーといったイノベーションの羅列は、まちがいなくずっと長くなるでしょう。もし利益目的や富の蓄積につながる可能性がないとしたら、今日の私たちはそれらのうちのどれだけを手にできていたでしょうか。また、そういった利益獲得が期待できないとしたら、これから将来のイノベーションは一体だれがもたらしてくれるのでしょうか。この件について非資本主義国家は、どのような実績を残してきたでしょうか。ソ連やキューバ、ベネズエラといった国家がです。

米国で生じた経済的発展の大半が、生産増加や生活向上を果たそうと考える人々によって成し遂げられてきました。それらを除外してしまえば、一体なにが残るでしょうか。下層に位置する人たちが手にできるものは、彼らが憤慨を向ける多くの上層の人たちよりも少なくなるでしょう。しかし上をめざす人たちの尽力がなければ、だれであろうと享受できるものは減ってしまいます(参考になると思う文章を付録に載せました[未訳])。そのようなわけで、資本主義に対する否定的な感情が高まり、そのもとで成功をおさめる人たちに対する反感が強まることを、私は憂慮しています。(p. 11)

Does the left understand the long-term consequences of the majority imposing confiscatory taxes on the rich, and do they really want them? Will reducing the incentive to earn more (or incentivizing successful Americans to transfer their citizenship to other nations) really result in the betterment of most people? Americans generally accept the concept of progressive tax rates. But they must not be punitive and de-motivating. Note in this regard that in 2015, the top 5% of taxpayers (with 37% of all income) paid 60% of all income taxes, and the top 1% (with 21% of income) paid 39%. To the political left: are those proportions of taxes paid “fair”? And would it still be fair if they were much higher?

(I want to make clear that I believe room does exist for increases in tax rates on the biggest earners since (a) today’s top rate of 37% is one of the lowest in the 106-year history of the U.S. income tax and (b) dividends and capital gains are taxed at rates that are far lower still. It could be argued that all forms of income should be taxed the same.)

While there are ways in which the system can be improved, I consider it problematic when people denounce capitalism without acknowledging its benefits. It’s ironic to think of politicians criticizing the capitalist system via platforms like Twitter and Facebook (accessed on their iPhones); at rallies reached via airlines and cars (perhaps employing ride-sharing services such as Uber); in meetings over a Starbucks coffee; and via cable news networks. All of these are innovations that came out of a system that encourages people to take significant risks to start companies on the premise that they’ll reap the rewards of ownership if their businesses succeed.

I'm sure if they thought about it, the list of innovations these people wouldn’t want to live without – ranging from drugs to consumer products, to services, to technology – would be a long one. Which of those would we have today if not for the profit motive and the possibility of ending up with accumulated wealth? And in the absence of those expectations, to whom would we look for the innovations of the future? How’s the record of non-capitalist countries such as the U.S.S.R., Cuba and Venezuela in this regard?

A great deal of America’s economic progress has resulted from people’s aspiration to make more and live better. Take that away and what do we have? The people at the bottom won’t have as many at the top to resent. But without the contributions of those who aim for the top, everyone will have less to enjoy (see the appendix for an informative parable). This is why I worry about the rise of negative sentiment toward capitalism and antipathy toward those who succeed under it.