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2012年8月17日金曜日

(映像)投資先を見極めるためのチェックリスト(チャーリー・マンガー)

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2009年にチャーリー・マンガーがBBCのインタビューに応じていたのを、いまさらですがみています。6分ごろの会話でチャーリーは、「投資先を選ぶためのチェックリスト」に答えていました。毎度のことでなんだかわたしのほうが恐縮気味なのですが、ウォーレン・バフェットとぴったり同じことを答えています。



チャーリーが挙げているのは以下の4つです。「ビジネスを理解できること」「長続きする競争優位性を持っていること」「有能な経営陣がいること」「安全余裕をとった価格であること」。二人とも昔から同じことを主張しているということは、きわめて大切な教訓なのだと捉えています。なお、ウォーレンの発言は以下の記事でも取り上げています。

10秒ください(ウォーレン・バフェット)
投資家が見極めるべき5項目(ウォーレン・バフェット1993年)

2012年8月16日木曜日

GDP成長率と株式リターン率の関係(GMO)

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拝見しているブログ『賢明なる投資!バフェる!グレアムる!フィッシャる!』で取り上げられていた「GDPの伸びと株価の相関性」の話題が気になっていました。この話題は過去にも各所で登場していますが(梅屋敷さま等)、たまたまジェレミー・グランサムのファンドGMOでも似たような話題に触れていたので、要点を引用します。(日本語は拙訳)

引用元PDFファイル
Reports of the Death of Equities Have Been Greatly Exaggerated: Explaining Equity Returns

「GDP成長率と株式からのリターン率には相関がない」
株式からのリターンを理解するために初めにみるのが、GDPの成長との関係である。一言でいえば、正の相関はない。株式からリターンをあげるのに、ある程度のGDPの成長が必要というわけではない。同様に、ある程度のGDP成長が株式市場でのリターンを示唆するものでもない。このことは実証されており、例えばディムソン=マーシュ=スタウントンによる1900年から2000年までの研究結果が示している。GDPが力強く成長することは、その国の株式市場が他の国よりも好成績をあげる最大の理由であると、多くの投資家はかたく信じている。しかし図1のように、20世紀をみればこの信念はあてはまらない。




The first point to understand about stock returns is their relationship with GDP growth. In short, there isn’t one. Stock returns do not require a particular level of GDP growth, nor does a particular level of GDP growth imply anything about stock market returns. This has been true empirically, as the Dimson-Marsh-Staunton data from 1900-2000 shows. Many investors are utterly convinced that strong GDP growth is the primary reason why one country’s stock market will outperform another. As we can see in Exhibit 1, this was certainly not the case in the 20th century. (p.1)

「企業利益の成長とGDPの成長には相関がある」
もし相関があるとすれば、道理に合わなくなる。ほかの条件がすべて同じだとすると、GDPの高成長率と株式市場からの低リターンが相関することになってしまうからだ。これはどういうことだろうか。企業があげる利益はGDPに連動して成長し、そして株価は利益に連動して上昇するものではないか。企業全体でみれば利益はGDPに連動して成長するとみて然るべきだし、株式市場の時価総額は利益に連動して成長すると期待されて当然だ。図4で示すアメリカ合衆国の例ではそうなっている。


Insofar as there is any relationship here, it’s a perverse one. All else equal, higher GDP growth seems to be associated with lower stock markets returns. How could this possibly be? Don’t earnings grow with GDP and stock prices with earnings? Aggregate corporate profits should indeed be expected to grow with GDP. And overall market capitalization of the stock market should be expected to grow along with aggregate earnings, as can be seen in the U.S. (Exhibit 4). (p.1)

「急成長がゆえに、株主へのリターンをある程度減じる」
急成長を望むのであれば、それに見合った投資が必要となる。この投資の原資は、配当せずに留保した利益か、株主利益を希薄化することによって作られる(注)。実際のところ、急成長をとげる国の企業では一般的に低配当率と株主利益の高希薄化の両方がみられる。そのどちらも、急激な成長にともなう増益効果を減じ、必要以上に株主リターンを引き下げている。

The faster you want to grow, the more you will need to invest, but this investment must either come from retained earnings (forgone dividends) or dilution of shareholders. In practice, companies in fast-growing countries generally exhibit both low dividend payout ratios and high rates of dilution of shareholders, both of which hurt shareholder returns enough to more than counteract the higher aggregate profit growth associated with fast growth. (p.4)

(注)
ここでは、新株発行と同様に借入金も株主利益の希薄化とみなしている。その理由として、資金の貸し手は公式には企業の所有者ではないが、キャッシュフローに対する権利だけでなく、破産や契約違反といった状況下で適用される期待権を有していることを考慮した。

(footnote)
For this purpose, I’m counting borrowing money as well as equity issuance as dilution of shareholders. Lenders may not officially have an ownership stake in the company, but they do have a right to some of its cash flow as well as having contingent rights under certain circumstances, i.e., bankruptcy or covenant breach.

「株式からのリターンの多くを占めるのは配当である」
株式市場からのリターンをみると、全体で見て大きな影響を与えるのは配当金だ。配当は過去のほとんどにおいて、株式投資家へのリターンの多くを担ってきた。図5は複利ベースで見た実質リターン及び実質EPSの成長を、実質GDPと比較する形で示している。全企業利益の総額や株式市場での時価総額の場合とは異なり、リターンやEPS成長はGDPと連動していないことが明確にあらわれている。


When we look at stock market returns, dividends have a very large impact on the total, providing the bulk of equity investor returns for most of history. Exhibit 5 shows the compound growth of real returns and real earnings per share against real GDP. Unlike aggregate profits and market capitalization, it is fairly clear that neither returns nor EPS grow in line with GDP. (p.4)

「全体として見ると、企業収益とEPSの相関が小さい理由」
全企業利益の総額や株式の時価総額は、EPSや株主に対する複利ベースのリターンとはほとんど相関していない。新会社設立、既存企業による増資、自己株式取得、M&Aといった企業活動が行われると、EPSは総計ベースの値から乖離したものになり得るからだ。

Total corporate profits and total stock market capitalization have very little to do with earnings per share or the compound return to shareholders because new companies, stock issuance by current companies, stock buybacks, and merger and acquisition activity can all place a wedge between the aggregate numbers and per share numbers. (p.4)

2012年8月14日火曜日

歴史からなにを学ぶのか

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いま読んでいる本『戦後史の正体』にあった一節を引用します。月並みといえばそのとおりですが、注意していないと心から離れやすい教訓と感じています。

英国の外交官として20年つとめたあと、高名な歴史家となったE・H・カーは『歴史とは何か』(岩波書店)のなかで「歴史は、現在と過去との対話である」とのべています。翻訳者の清水幾太郎はこの言葉を「歴史は過去のゆえに問題なのではなく、私たちが生きる現在にとっての意味ゆえに問題になる」と解説しています。
つまり歴史は過去を知るために学ぶのではなく、現在起こっている問題を理解するために学ぶのだということです。(P.103)


そういえば2004年に開催されたバークシャー・ハサウェイの株主総会で、ウォーレン・バフェットが別の言い方をしていたのを思い出しました。引用元はティルソンのメモです。

「わたしどもが歴史から学んだこと、それは人は歴史から学ばないということです」

What we learn from history is that people don't learn from history.


蛇足ですが、この本『戦後史の正体』は、個人的には本年度読書の筆頭にあげたい一冊です。今日の段階でも、amazon.co.jpの本のベストセラー第6位につけていますね。

2012年8月11日土曜日

10年先を見越した投資をしている人たちへ(ジェレミー・グランサム)

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マネー・マネージャーのジェレミー・グランサムのレター(2012年第2四半期)が少し前に公開されていました(こちらのファイル)。あいかわらずの弱気路線ですが、食料を中心とした資源問題をとりあげており、個人的には興味深く読みました。

今回は投資の対象として資源関連をどうみているのか、彼の意見が示されている一節をご紹介します。(日本語は拙訳)

私の考えを一行でまとめると、こうなります。「人類が直面する問題には弱気。悲しいかな、それゆえに資源投資には強気」。当然ですが資源価格の高騰は今後避けられないと、1年前のときよりも確信しています。また残念なことに、それに端を発して社会的国際的な不安定さも増していくことでしょう。だからこそ、1年前に申し上げた「生き残るための投資方針」になおさら自信がもてるのです。10年以上先を見越した投資をしなければならない人たちは、これからは資源関係を主力投資先に加える道を進んでいくべきです。私の財団はあくまでも個人的なものなので、10年超の投資期間を顧客に強いるのが難しい機関投資家とは異なっていますが、ゆくゆくは資源関係に30%を投資するよう方針を定めています。もしかしたらまるで見当違いなのかもしれないと感じつつも、最近の大幅な価格下落を注視し、買い単価を少しずつ下げてきました。その結果、私の財団のポートフォリオのうち、20%の2/3に達しています。

The one-line summary is this: I am very bearish on the problems we humans face and, sadly, very bullish on resources. Not surprising, I am even more convinced than I was a year ago of the inevitability of rising resource prices (and, unfortunately, associated societal and international instability). Therefore I am more confident in my suggested investment battle plan of a year ago. For any responsible investment group with a 10-year horizon or longer, one should move steadily to adopt a major holding of resource-related investments. For my Foundation (i.e., personally as opposed to institutionally where, reasonably enough, we cannot impose 10-year plus horizons on our clients) I had adopted 30% in resources as my eventual target and was slowly averaging in, nervous of near-term substantial price declines, but even more nervous of completely missing my own point. In my Foundation, I have currently reached about the two-thirds point of 20%.


別の投資方針としてグランサムは、資源価格高騰の影響を受けにくかったり、利益率が十分に大きな「質の高い」銘柄を勧めています。

2012年8月10日金曜日

かっぱの川流れ(チャーリー・マンガー)

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バークシャー・ハサウェイの子会社Wesco Financialの会長はチャーリー・マンガーが務めています。そのチャーリーが書く「株主のみなさんへ」は全体的に事務的な雰囲気の記述が多く、ウォーレン・バフェットとは趣きが違うと個人的には感じていました。古い年度のものも含まれたファイルがScribdにアップロードされているのを最近になって知り、「昔はどうだろうか」と期待して読み始めたところ、それっぽい文章が書かれていました。

今回は、Wescoの1989年度「株主のみなさんへ」からご紹介します。ウォーレンが常々説いている内容と基本的に同じですが、それは彼らが「一卵性双生児」である証拠なのだと思います。(日本語は拙訳)

当社の方針としては、奥義をきわめようとするよりも、わかりきったことを忘れないようにすることで利益をあげるやりかたに従っていきたいと考えています。賢く立ち回ろうとするのではなく、ばかげたことをしないよう一貫して気をつけることで、我々のような長期でみたときに優位な者がどれだけ多くを得てきたでしょうか。これは注目に値することです。「かっぱの川流れ」ということわざには知恵がこめられているに違いありませんね。我々のやりかたでは、退屈だったり、行動を制限するがゆえに不利になる時期がまちがいなくやってきます。しかし、これまでのところは平均的にみればまずまずうまくやってきましたし、これから長期にわたってもおそらくうまくいくでしょう。

Wesco continues to try more to profit from always remembering the obvious than from grasping the esoteric. It is remarkable how much long-term advantage people like us have gotten by trying to be consistently not stupid, instead of trying to be very intelligent. There must be some wisdom in the folk saying: "It's the strong swimmers who drown". Our approach, while it has worked fairly well on average in the past and will probably work fairly well over the long-term future, is bound to encounter periods of dullness and disadvantage as it limits action.


このところ、決算発表の数字が少しでも悪いと株価が暴落する傾向が見られます。売り買いどちらの立場にせよ、賢い立ち回りなのかどうか私にはよくわからないものばかりです。ただし、時には自分でも何かしら判断できるものがあり、そういうときには株式を少しずつ買うようにしています。