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2012年1月26日木曜日

株式投資で利益をあげるのに必要な16の要因(ウォルター・シュロス)

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今回ご紹介するのは、前回取り上げたウォルター・シュロスが現役時代の1994年に発表した文章です。こちらが引用元のPDFファイルです。真偽はともかく、シュロスのファンドのレターパッドにタイプされています。グレアムから受けた教えの影響が強くみられますが、債券にこだわらない点は異なっています。インフレの時代を乗り越えてきた者として、ウォーレン・バフェットと同じ見方をしています。(日本語は拙訳)

1.価格こそが、価値をはかるのにいちばん大切な要因だ。

2.企業の価値を見定めよ。株式は企業の一部所有をあらわすものであって、ただの紙切れではないことを忘れないように。

3.企業価値を見定める際には、まずは簿価からみるようにしなさい。負債は株主資本とは等価ではない。

4.辛抱強くあれ。株価はすぐには上がらない。

5.聞いたうわさやちょっと株価が動いたからといって買わないこと。そういうのはプロにやらせておきなさい。それから、悪材料が出たからといって売らないように。

6.孤独を恐れずに、自分の判断を信じなさい。完全無欠とはいかないから、自分の考えのどこに弱点があるのか、さがしなさい。一段階下がったら買い、一段階上がったら売ること。

7.一度決めたら自分を信じる勇気を持ちなさい。

8.投資上の哲学をもって、それに従うようにしなさい。上に挙げたものは、うまくいくことを私自身が確かめてきたやりかたです。

9.売るときは急いで処分しすぎないこと。適正と思われる価格になったとき、例えば株価が50%あがると売って利益を確定するように言われるが、一度で売るのではなく、何度かに分けてもよい。売る前にはもう一度企業の価値を評価しなおして、簿価に見合った金額で売られているか確認すること。また相場の状況について、例えば、利回りが低くPERが高いか、歴史的に見て相場は高水準か、みんなは楽観的な様子か、といったことを知っておくこと。

10.株を買うときは、経験上、直近数年来での最安値あたりで買うのがよい。125[ドル]の高値をつけた株価が60[ドル]まで下がっていると魅力的に思えるが、3年間も意気消沈したあげく、結局20ドルで売ることになる。

11.利益に目をむけるよりも資産の割安度に目をむけて買うようにしなさい。短期で見ると利益は大きくふれるが、それにくらべて資産のほうはそれほどは変化しない。利益に注目するのであれば、企業についてより知りつくさなければならない。

12.尊敬する人の助言はきくこと。それをうのみにせよということではない。他でもない、[投資しているのは]自分のお金なのだから。ふつうは、増やすより維持するほうが大変なことを忘れないように。いったん大穴をあけてしまうと、とりもどすのは大変なのだから。

13.感情に任せて判断しないように注意しなさい。こわがったり傲慢な気持ちで株を売り買いするのは最悪のことだ。

14.複利の効果を忘れないように。年利12%で再投資しつづけると6年で2倍になる。これが72の法則で、72を利回りで割った答えが、当初資金が2倍になるのにかかる年数を示している。[72 ÷ 12 = 6年]

15.債券より株式を選ぶとよい。債券では利益が限られているし、インフレになると実質価値が減るからだ。

16.借金には注意せよ。仇となることがある。

1.Price is the most important factor to use in relation to value.

2.Try to establish the value of the company. Remember that a share of stock represents a part of a business and is not just a piece of paper.

3.Use the book value as a starting point to try and establish the value of the enterprise. Be sure that debt does not equal 100% of the equity. (Capital and surplus for the common stock).

4.Have patience. Stocks don't go up immediately.

5.Don't buy on tips or for a quick move. Let the professionals do that, if they can. Don't sell on bad news.

6.Don't be afraid to be a loner but be sure you are correct in your judgement. You can't be 100% certain but try to look for weaknesses in your thinking. Buy on a scale [down] and sell on a scale up.

7.Have the courage of your convictions once you have made a decision.

8.Have a philosophy of investment and try to follow it. The above is a way that I've found successful.

9.Don't be in too much of a hurry to sell. If the stock reaches a price that you think is a fair one, then you can sell but often because a stock a goes up say 50%, people say sell it and button up your profit. Before selling try to reevaluate the company again and see where the stock sells in relation to its book value. Be aware of the level of the stock market. Are yields low and P-E ratios high? Is the stock market historically high? Are people very optimistic etc?

10.When buying a stock, I find it helpful to buy near the low of the past few years. A stock may go as high as 125 and then decline to 60 and you think it attractive. Three years before the stock sold at 20 which shows there is some vulnerability to it.

11.Try to buy assets at a discount [rather] than to buy earnings. Earnings can change dramatically in a short time. Usually assets change slowly. One has to know much more about a company if one buys earnings.

12.Listen to suggestions from people you respect. This doesn't mean you have to accept them. Remember it's your money and generally it is harder to keep money than to make it. Once you lose a lot of money it is hard to make it back.

13.Try not to let your emotions affect your judgement. Fear and greed are probably the worst emotions to have in connection with the purchase and sale of stocks.

14.Remember the work of compounding. For example, if you can make 12% a year and reinvest the money back you will double your money in six years, taxes excluded. Remember the rule of 72. Your rate of return [divided] into 72 will tell you the number of years to double your money.

15.Prefer stocks over bonds. Bonds will limit your gains and inflation will limit your purchasing power.

16.Be careful of leverage. It can go against you.

個人的に強く共感できるのは、3.の簿価にこだわる点です。現在の日本の株式市場ではお買い得企業が多いので、このシュロスの教えを胸に、じっと辛抱といったところです。現預金が豊富で、経営陣が株主本位で、商売もまずまず順調で、そんな企業が「あれもこれも毎日特売」ですよね。

2012年1月25日水曜日

あるファンドの始まり(ウォルター・シュロス)

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ウォルター・シュロスは、ウォーレン・バフェットの講演「グレアム・ドッド村の大投資家たち」で紹介されたファンド・マネージャーです。バフェットと共にグレアムのパートナーシップで働いていた経歴を持つ大ベテランです。バフェットやチャーリー・マンガーとは投資方針が異なりますが、見事な実績を残しています。今回はバフェットの伝記「The Snowball: Warren Buffett and the Business of Life」から個人的に気に入っている箇所を引用します。シュロスが独り立ちしようとする場面です。(手元に邦訳がないため、日本語は拙訳です。誤訳がありましたら、後ほど訂正します)

ウォルター・シュロスは、そのての催しに声をかけられることがなかった。パートナーには登用されない、奉公あがりの雇われ人とみなされていたからだ。[パートナーの]ジェリー・ニューマンは他人に優しさをみせるような人間ではなかったが、それに輪をかけてシュロスを冷遇していた。そのため、シュロスには妻と2人の小さな子供がいたのだが、とうとう自ら辞めることを決意した。グレアムにはなかなか言い出せずにいたが、1955年の終わりに投資パートナーシップを立ち上げた。出資者から集めた資金はUS$100,000[=現在価値で約8,000万円]、バフェットがのちに認めるように、それらの出資者はエリス島で呼びかけたところに応じた者たちだった。

バフェットは、シュロスがグレアムのやり方をまねてうまくやるのは間違いないと思い、自身のファンドを立ち上げた心意気を賞賛した。ただ資金が少なすぎて家族を食わせてやれないのではとウォルターのことを心配したが、それでもバフェットは自分の資金をシュロスのパートナーシップにすこしも出資しなかった。グレアム・ニューマン[・パートナーシップ]に出資しなかったのと同じように、自分のお金を他人に投資してもらうなど論外だったからだ。

Walter Schloss was not invited to events like these. He had been pigeonholed as a journeyman employee who would never rise to partnership. Jerry Newman, who rarely bothered to be kind to anyone, treated Schloss with more than his usual contempt, so Schloss, married with two young children, decided to strike out on his own. It took him a while to get up the nerve to tell Graham, but by the end of 1955 he had started his own investment partnership, funded with
$100,000 raised from a group of partners whose names, as Buffett later put it, “were straight from a roll call at Ellis island."

Buffett was certain that Schloss could apply Graham’s methods successfully and admired him for having the guts to set up his own firm. Though he worried that “Big Walter” was starting out with so little capital that he would not be able to feed his family. Buffett put not a dime of his own money into Schloss’s partnership, just as he had not invested in Graham-Newman. It would be unthinkable for Warren Buffet to let someone else invest his money.
(p.197)

シュロスの横顔、今では90歳代半ばのはず。「The Snowball」からお借りした画像です。
(バフェットの友人ウォルター・シュロス氏、自身の90歳の誕生祝いの夜にブギを踊る。2006年)




2012年1月24日火曜日

どのようにして相対性理論に到達したのか(アインシュタイン)

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ウォーレン・バフェットやチャーリー・マンガーは、年次報告書や株主総会でお勧めの本を紹介することがあります。伝記マニアのチャーリーがアインシュタインの伝記を紹介するのは順当なところでしょう。チャーリーお勧めの本の邦訳『アインシュタイン その生涯と宇宙』が昨年出版されましたが、下巻について出版事情のすったもんだがあったようなので、ようやく手にとっているところです。今回ご紹介するのは、アインシュタインが相対性理論を発見するに至った経緯や背景を数段落に要約した箇所です。

「新しいアイデアが突然頭に浮かんだ。それもかなり直感的なやり方で」とアインシュタインは語ったことがある。ただし次の言葉を直ぐに付け加えた。「直感とはそれ以前の知的経験の結果にすぎないのだが」

アインシュタインの相対性理論の発見は、一〇年に及ぶ知的思索と個人的経験に基づく直感から生まれたものである。最も重要で明らかなことは、著者の私が思うには、理論物理学に対する深い理解と知識である。彼はまた目に見える形の思考実験を行う能力にも助けられた。その能力はアーラウ時代の教育で培われたものだ。それから彼には哲学の基礎がある。ヒュームとマッハの哲学から、彼は観測できないものに対する懐疑精神を育てた。そしてこの懐疑精神は権威を疑問視するという彼の生まれつきの反骨精神に根ざしていた。

以下に述べるいろんな要素の混合が、物理的状況を可視化する能力、概念の核心をえぐり出す能力を増強し、彼の人生における技術的背景になっている。たとえば叔父のヤコブが発電機のなかの運動するコイルと磁石をよりよいものにするのを助けたこと。時計あわせに関する特許申請に溢れていた特許局で働いた経験。懐疑精神を推奨した上司。ベルンの時計塔近く、駅近く、電報局の近くに住んでいたこと。ヨーロッパでは時間帯内の時計を合わせるために電気信号を使っていたこと。話し相手としての技術者である友人のミケーレ・ベッソの存在。彼はアインシュタインとともに特許局で働き、電気器具の特許を調べていたのだ。

これらの影響の順序づけはもちろん主観的なものだ。結局アインシュタイン自身もどのようにして問題を解いたか、はっきりしなかった。「どのようにして相対性理論に到達したかは簡単には言えない。私の考えに動機付けをあたえた非常にたくさんの隠れた複雑な要素がある」と彼は語っている。
(上巻 p.181)


チャーリーが主張するところの「ほとんどの人より、うまくいくやりかた」と重なるように思えます。

ところで、本書(原著)はWescoの2007年株主総会でチャーリーから推薦されたものです。参加したファンド・マネージャーのティルソンがノートをとってくれています

I read the new biography of Einstein by Isaacson [Einstein: His Life and Universe]. I’ve read all the Einstein biographies, and this is by far the best - a very interesting book.(p.20)


2012年1月23日月曜日

誤判断の心理学(4)人はなぜ疑わないのか(チャーリー・マンガー)

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当たり前と考えていた仮定が実は落とし穴だった、という経験を数多くしてきました。あとになってから甘さを指摘するのは簡単ですが、前もって気がつくのは、なかなか難しいことです。今回も、個人的には身につまされる話題です。

人間の心理学的傾向その4
疑いをもたないようにする傾向
Doubt-Avoidance Tendency

人間の脳には、結論をみつけるといつまでも疑念を抱かないようにする仕組みがあります。

動物が長きに渡って、速やかに疑念を振り払う方向へ進化してきたのは言うまでもないでしょう。つまり、捕食者に狙われている獲物にとって、どうしたらよいか決めるのに時間をかけるのは、明らかに非生産的なことの一つだからです。ですから人間にとっても、疑いを持つことを避けようとするのは、ヒト以前の古きご先祖様の系譜をたどれば納得のいくものです。

結論に達して早々に疑念を払う傾向が強すぎるため、判事や陪審員にはそれを抑えるよう強制されています。すなわち、判決をきめる前には時間をおくこと。さらには、結論を出す前に、客観視という「仮面」をつけているように振舞うことを要求されます。この「仮面」が、正しく客観視するのを手助けするのです。この件は、次の話題である「終始一貫しようとする傾向」でも取り上げます。

The brain of man is programmed with a tendency to quickly remove doubt by reaching some decision.

It is easy to see how evolution would make animals, over the eons, drift toward such quick elimination of doubt. After all, the one thing that is surely counterproductive for a prey animal that is threatened by a predator is to take a long time in deciding what to do. And so man's Doubt-Avoidance Tendency is quite consistent with the history of his ancient, nonhuman ancestors.

So pronounced is the tendency in man to quickly remove doubt by reaching some decision that behavior to counter the tendency is required from judges and jurors. Here, delay before decision making is forced. And one is required to so comport himself, prior to conclusion time, so that he is wearing a “mask” of objectivity. And the “mask” works to help real objectivity along, as we shall see when we next consider man's Inconsistency-Avoidance Tendency.

2012年1月21日土曜日

実に愚かしい罪(チャーリー・マンガー)

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チャーリー・マンガーは人の生き方について指針となる発言をすることがありますが、なかでも妬むことを厳しく戒めています。おなじみの「Poor Charlie's Almanack」からの引用で、チャーリーの発言をティルソンがメモしたものです。(日本語は拙訳)

普通の投資アドバイザーなら賛成しないかもしれませんが、自分の資産がまあ満足できるほどになっていて、誰か他の人が、たとえばリスキーな株式に投資して、より速くお金持ちになろうとしていても、そんなことは気にしないのが正しいのです。自分より速く金持ちになる人がいるのが当たり前のことで、別に悲しむことではありません。

Here's one truth that perhaps your typical investment counselor would disagree with: If you're comfortably rich and someone else is getting richer faster than you by, for example, investing in risky stocks, so what?! Someone will always be getting richer faster than you. This is not a tragedy.


自分より速く金を稼ぐ人のことを気にかけるのは、大罪の一つです。この「妬み」というのは実に愚かしい罪で、これだけが、[7つの大罪のうち]自分にとって何も楽しいことがないものです。つらいばかりで、ちっとも楽しくない。そんな思いを抱えている人たちに加わりたいとは思わないでしょう。

The idea of caring that someone is making money faster [than you are] is one of the deadly sins. Envy is a really stupid sin because it's the only one you could never possibly have any fun at. There's a lot of pain and no fun. Why would you want to get on that trolley?