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2014年11月20日木曜日

バークシャー・ハサウェイ、IBM株保有状況の推移(2014年9月末まで)

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バークシャー・ハサウェイが保有する公開企業の株式のうち、時価ベースでの上位3社はウェルズ・ファーゴ、コカ・コーラそしてIBMです(2014年9月末時点)。今回はそのうちのIBMの話題です。

IT企業であるIBMはウォーレン・バフェットが手を出さないできた種類の企業ですが、2011年からバークシャーのポートフォリオに加わりました。意外さを説明しておきたかったのか、彼の想いはいわゆる「バフェットからの手紙」で触れられています(過去記事)。

そのIBMは今年度第3四半期の業績が悪く、直前には180ドル近辺だった株価が160ドル強まで下落しました(Google Finance)。実績PERは10倍強と、興味が出てくる水準です。そこで今回は、ウォーレンがIBMの株価水準をどう捉えてきたのか想像する材料のひとつとして、バークシャーがIBM株を購入してきた推移(四半期ごと)をグラフにしました。情報源は、同社が提出した報告書13F-HRです。

EDGAR Search Results - BERKSHIRE HATHAWAY INC Filing Type: 13F-HR


グラフをみれば明らかなように、大半は2011年の間に購入されています。当時の平均購入単価はざっと170ドル前後でしょうか。その後株価がやや上昇したせいか、追加購入ペースは激減しました。しかし今回の株価下落で、ふりだしの水準に戻りました。ただしEPSをくらべると、2010年度は11.52ドルに対して2013年度は14.94ドルと、株主から見た収益力は30%ほど増加しています(ちなみに純利益は、148.33億ドルから164.83億ドルへと11%増加)。さて注目のウォーレン・バフェット氏、IBM株を追加購入するのでしょうか。次回の13F-HRが楽しみです。

(蛇足ですが、個人的にはIBMはここ数年にわたって継続監視しており、この株価水準は興味を持っています。しかし現在は別の投資対象を注視しているので、今のところIBMは見送るつもりです)

2014年10月26日日曜日

2014年バークシャー株主総会; ウェルズ・ファーゴを選んだ理由

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2014年5月に開催されたバークシャー・ハサウェイの年次株主総会で、ウォーレン・バフェットが2008年の世界金融危機当時に下した投資判断をふりかえります。興味ぶかい内容です。(日本語は拙訳)

<質問33> 投資先の候補をどのように比較しているのか、もう少しご説明頂けますか。2008年や2009年には、お気に入り銘柄を買い増しすることもできました。当時とった行動と比較して、コカ・コーラ社やムーディーズ社のような企業を買い増していればどうだったでしょうか。もっと集中したポートフォリオのほうが、バークシャーはより大きな成果をあげられたのではないでしょうか。

<バフェット> それは、わたしたちが気にいっている銘柄が2008や2009年にどれだけ打ちのめされていたかによります。しかし2008年に相当な金額を費やしたのは早すぎでした。160億ドルを使ったのが2008年の9月や10月でしたが、市場の底はそれよりもかなり下まで行きました。またMars社の案件[リグリー社買収]で60億ドルを出しましたが、その件も動くのが早かったと思います。「じっと待ち構えて、底に達した時点で一度に資金を投入する」、そうしていれば全然違う結果だったと思います。目をみはるタイミングになっていた可能性もありますが、どうすればそうできるのかは、わたしたちには到底わかりえないことです。しかし2009年10月に買ったBNSFは、やがて当社の大きな部分を占めることになると思います。ハーレーダヴィッドソン社の債券を利率15%で買ったのは、株式を買っておくべきでした。しかし、いつであってもそれが現実というものでしょう。現在のわたしたちの規模や範囲からすれば、すばらしい経営陣が率いる良い事業を妥当な金額で買い、長期にわたってその会社を発展させることができれば、と考えています。ただし事業を加える際には、株式を追加発行せずに済ませたいですね。過去を顧みれば、以前よりはうまくできるだろうと思います。このゲームでは引き続きうまくやれると思っていますが、永々と続けられるわけではありません。しかし興味をひくものはまだ残されています。

<マンガー> [バークシャーでは]非公開の子会社が大きな割合を占めるようになってきました。昔は株式の額のほうが大きくて子会社はそうではなかったのですが、今では子会社のほうが大きいですね。

<バフェット> 株の成否は[バークシャーの成績として]純資産に現れますし、事業の成否は将来得られる利益に現われます。ですから、あちこちへと渡り歩く必要はありません。わたしたちが次の段階へと進んだからですね。

<マンガー> 我々がささやかな資金で投資していた頃は、どん底のときにいくらかは買うことができました。しかし今となっては、意味があるほどの株数をその値段で買うことはできません。一方、事業を買うときには大きなポジションをとれます。こうせざるを得なくなったのも、我々が過去に成功したせいです。アルバータ州[カナダ]の送電線を買う案件、あれはいいですね。ひどいことは何も起きないですよ。

<バフェット> そうなったとしても、わたしたちにはわからないでしょうね。

<マンガー> 我々は適応してきましたし、変化が生じたことで我々にとってずいぶんと有利に働きました。今後も望ましい変化が起こるかもしれません。物事が移り変わることは不可避なのですから、どうやってそれに適応するかがカギとなるわけです。

<バフェット> わたしたちはこの数年間にウェルズ・ファーゴの株をかなり買いました。ですが増えた資産のほとんどは、それより質の低い諸銀行を買ったおかげでした。彼らが回復するには、経済が好転する必要があったのですね。しかしウェルズ・ファーゴを買うとなれば100%安心できますが、他を買う場合の安心感は50%です。それで、いちばん安心できるほうを選んだわけです。

Q33: Station 11. Philadelphia. Fund manager. Can you expand on how you compare investment opportunity? When you can buy more of a favorite in 2008/2009, how did case of more of company like Coke or Moody's, compare with other things which you did. Could Berkshire have achieved more with more concentrated portfolio?

WB: Depends on which favorite name we had was hit harder in 2008/2009. I spent a considerable amount too early in 2008, and bottom was quite a bit lower than Sept and Oct of 2008 when we spent $16bil. We were also committed to $6bil of Mars funding, which we had committed earlier. We didn't do as remotely as well if we had kept powder dry and spent it all at once at bottom. Timing could have been improved dramatically, but we will never be able to figure out how to do it. But we bought BNSF in Oct 2009 which will be enormous part of our future. When we bought HD bonds at 15 we should have bought the stock, but that will always be the case. What we want to do at our present size and scope, we want to buy good businesses with great management at a reasonable price and try to build them over time. We want to be able to add them without issuing shares. Looking back we can do it better than we've done it. I feel the game is still a viable one, but it can't be forever. But still has juice left in it.

CM: Private businesses have gotten to be a bigger portion. We used to be worth more in stock, not privates, but now bigger in privates.

WB: When right on stocks, shows up in net worth, and when right on businesses it shows up in future earnings. It doesn't require us going from flower to flower. We've moved into phase 2.

CM: When we were just investing modest amount of capital we could get a little bit at the bottom, but there is no significant volume of shares at that price. When we buy businesses we get large positions. We are forced into this by past success. I love buying transmission lines in Alberta. Nothing horrible will happen.

WB: If it does we won't know it.

CM: We have adapted and the changes have been very much in our interest. There may be future changes just as desirable. Since change is inevitable, how you adapt to it is the key.

WB: We've bought a fair amount of Wells Fargo over last few years. But the most money was made by buying banks of lesser quality. They needed better economy to recover. But we felt 100% comfortable buying Wells Fargo, and 50% comfortable somewhere else, so we went where we were most comfortable.

2014年10月18日土曜日

1999年度バフェットからの手紙 - バフェットが初めてつまずいた年

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バークシャー・ハサウェイの株価が大きく下落した年は、この20年で2回ありました。1999年(ドットコム・バブル)と2008年(世界金融危機)です。今回はその1回目にあたる1999年度「株主のみなさんへ」の冒頭部から引用します。(日本語は拙訳)

BERKSHIRE HATHAWAY INC. 1999 ANNUAL REPORT [PDF]

1999年に純資産は3億5,800万ドル増加しました。当社の株式クラスA及びクラスBのどちらについても、簿価が0.5%増加したことになります。この35年の間に(現在の経営陣が指揮をとり始めてから)、1株当たりの簿価は19ドルから37,987ドルへと成長しました。複利計算で年率24.0%になります。

前のページに載せた数字は、1999年におけるわたしたちの成績が思わしくなかったことを示しています[バークシャーの1株当たり簿価の増加率は0.5%だった。ただし税引き後]。わたしが就任して以来、絶対値としては最低の増加率にとどまりました。S&P500との相対比較でも同様に、最悪の結果でした[S&P500の配当込み税引き前の増加率は21.0%]。相対的な数字が悪いままでは、絶対的な成績もやがては不満足なものへとつながるでしょう。

クルーゾー警部[ピンク・パンサー]でさえも、だれが昨年[1999年]の犯人なのかわかるでしょう。そうです、この取締役会長です。わたしの残した成績をふりかえると、あるクォーターバックを思い出します。彼につけられた成績は、F[不可]が4つとD[可]が1つでした。それでもコーチは理解を示してくれました。「おまえはなあ」、とコーチは言い聞かせるように話します。「ひとつのことばかりに時間をとられているぞ」。

わたしにとっての「ひとつのこと」とは、「資産配分」になります。1999年にわたしが残した成績は、ほぼ間違いなくDでしょう。もっとも足をひっぱったのは、バークシャーの保有する株式ポートフォリオが不出来な成績だったことです。GEICOのルー・シンプソンが運用している一部を除けば、ポートフォリオの責任はすべてわたしにあります。1999年は投資先企業の上位何件かが、市場の成績から大きく引き離されました。彼らの業績が残念なものに終わったからです。それでもわたしどもはそれらの事業を好んでいますし、多額の投資をしていることに満足しています。しかし彼らの歩みが不確かだったことは、昨年のわたしたちの成績に悪影響を及ぼしました。彼らが大きな歩みを早々に取り戻すかは不透明です。

1999年にわたしたちの成績が貧弱に終わったことで、それと比例する以上の株価下落がもたらされました。1998年のときは、少し戻りはしましたが、株のほうは事業よりも好調でした。しかし昨年は事業のほうが株よりもかなり良かったのですが、この文章を書いている時点でもそのまま乖離しつづけています。もちろん長い目でみれば、株価の動向は事業の業績とおおむね合致するはずです。

昨年の成績はぶざまでしたが、バークシャーが今後10年間にわたって本源的価値を増加させる割合は、S&P500を保有して得られる利益をそこそこ上回るものと期待しています。わたしのパートナーでありバークシャーの副会長を務めるチャーリー・マンガー共々、そう考えています。もちろん保証することはできませんが、確信できるものには喜んで資金を投じるつもりです。以前にも耳にされた事実を繰り返しますが、わたしの純資産の99%以上はバークシャーと共にあります。夫婦共々、バークシャー株は1株も売却していませんし、わたしたちの小切手が決済不能とならない限り、そうするつもりもありません。

ただしここで留意して頂きたいのは、S&P500を「そこそこ」上回りたいと言っている点です。バークシャーがその指数を本当に凌駕していたのは、もう過去の話です。過去に優位性があったのは、現在よりもずっと魅力的な値段で事業と株式のどちらも買えたからでした。またずっと小さな資本でやっていたので、現在のわたしたちよりもずっと幅広い投資の機会を検討できる状況でした。

わたしどもの考えでは、これからの10年あるいは20年間のS&P500は、1982年以来の成績水準には到底及ばないと予想しています。これは実質的に確実だと思いますが、わたしどもがバークシャーの成績を極端に楽観しているわけではない理由のひとつです。フォーチュン誌に最近掲載された記事で、なぜそれが不可避なのかを示すわたしの見解が取りあげられていました。その写しを本報告書に同封してあります。 (p.3)

Our gain in net worth during 1999 was $358 million, which increased the per-share book value of both our Class A and Class B stock by 0.5%. Over the last 35 years (that is, since present management took over) per-share book value has grown from $19 to $37,987, a rate of 24.0% compounded annually.*

The numbers on the facing page show just how poor our 1999 record was. We had the worst absolute performance of my tenure and, compared to the S&P, the worst relative performance as well. Relative results are what concern us: Over time, bad relative numbers will produce unsatisfactory absolute results.

Even Inspector Clouseau could find last year's guilty party: your Chairman. My performance reminds me of the quarterback whose report card showed four Fs and a D but who nonetheless had an understanding coach. "Son," he drawled, "I think you're spending too much time on that one subject."

My "one subject" is capital allocation, and my grade for 1999 most assuredly is a D. What most hurt us during the year was the inferior performance of Berkshire's equity portfolio - and responsibility for that portfolio, leaving aside the small piece of it run by Lou Simpson of GEICO, is entirely mine. Several of our largest investees badly lagged the market in 1999 because they've had disappointing operating results. We still like these businesses and are content to have major investments in them. But their stumbles damaged our performance last year, and it's no sure thing that they will quickly regain their stride.

The fallout from our weak results in 1999 was a more-than-commensurate drop in our stock price. In 1998, to go back a bit, the stock outperformed the business. Last year the business did much better than the stock, a divergence that has continued to the date of this letter. Over time, of course, the performance of the stock must roughly match the performance of the business.

Despite our poor showing last year, Charlie Munger, Berkshire's Vice Chairman and my partner, and I expect that the gain in Berkshire's intrinsic value over the next decade will modestly exceed the gain from owning the S&P. We can't guarantee that, of course. But we are willing to back our conviction with our own money. To repeat a fact you've heard before, well over 99% of my net worth resides in Berkshire. Neither my wife nor I have ever sold a share of Berkshire and - unless our checks stop clearing - we have no intention of doing so.

Please note that I spoke of hoping to beat the S&P "modestly." For Berkshire, truly large superiorities over that index are a thing of the past. They existed then because we could buy both businesses and stocks at far more attractive prices than we can now, and also because we then had a much smaller capital base, a situation that allowed us to consider a much wider range of investment opportunities than are available to us today.

Our optimism about Berkshire's performance is also tempered by the expectation - indeed, in our minds, the virtual certainty - that the S&P will do far less well in the next decade or two than it has done since 1982. A recent article in Fortune expressed my views as to why this is inevitable, and I'm enclosing a copy with this report.

2014年10月10日金曜日

チャーリー・マンガーの炉辺談話(4)経営面におけるバークシャーの強み

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米ウォール・ストリート・ジャーナルのブログで、ジェイソン・ツヴァイク氏がチャーリー・マンガーにインタビューした記事のつづきです。バークシャーの強みに関する話題です。(日本語は拙訳)

<質問> バークシャー・ハサウェイはどのように革新的だったのか。

<マンガー> バークシャーを経営する上で、新しい考えはひとつも入っていませんよ。[マンガーの友人]ピーター・カウフマンが言うところの、「見逃している単純なものを活用する」だけです。我々[バフェット及びマンガーの両氏、同社の株主、買収した企業]はお互いを選び合ってきました。「類は友を呼ぶ」集いなので、ほとんどのことは楽に決まりました。私やウォーレンは超人ではないですよ。目隠しでチェスは指せないですし、コンサートに出られるピアニストにもなれません。しかし得られた結果は並外れたものでした。なぜならばIQの不足分を補う以上に、気質の面で強みがあるからです。

手遅れとなった悪いニュースにまったく直面しない人などいません。しかしバークシャーでは実に少ない数にとどまっています。「報告するのは悪い知らせにしてください。良い知らせはあとでも困りませんから」とは、ウォーレンが好んで使う言葉です。その件でみんなが我々を信頼してくれることは、あやまちが昂進して災厄へと達するのを防ぐ理由のひとつになっています。四半期ごとの決算ではなく、管理するのは長期だけにしておけば、次の四半期の決算がどうなるかなどは気にもなりませんよ。

On how innovative Berkshire Hathaway has been:

There isn't one novel thought in all of how Berkshire is run. It's all about what [Mr. Munger's friend] Peter [Kaufman] calls ‘exploiting unrecognized simplicities.' We [Messrs. Buffett and Munger, their shareholders and the companies they have acquired] have selected one another. It's a community of like-minded people, and that makes most decisions into no-brainers. Warren and I aren't prodigies. We can't play chess blindfolded or be concert pianists. But the results are prodigious, because we have a temperamental advantage that more than compensates for a lack of IQ points.

Nobody has a zero incidence of bad news coming to them too late, but that's really low at Berkshire. Warren likes to say, ‘Just tell us the bad news, the good news can wait.' So people trust us in that, and that helps prevent mistakes from escalating into disasters. When you're not managing for quarterly earnings and you're managing only for the long pull, you don't give a damn what the next quarter's earnings look like.

2014年10月6日月曜日

2014年バークシャー株主総会; 公立学校教育について

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2014年5月に開催されたバークシャー・ハサウェイの年次株主総会から、おなじみの話題、米国における教育問題についてです。主題よりも、ウォーレンが冗談を説明するほうが長いです。(日本語は拙訳)

<質問56: 上海在住の質問者> 教育に対する投資はどうですか。米国と中国では、現在あるいは将来どのような違いがあるでしょうか。

<マンガー> これは、どんどん楽な質問になっていきますね(笑)。

<バフェット> 彼の言うことなら、なんでも賛成しますよ(笑)。

<マンガー> アメリカは公立の学校をおしゃかにしたことで、大きな間違いをしでかしました。一方、アジア諸国の社会ではその傾向が小さいと思います。彼らのやりかたをもっと見習ったほうがよかったですね。

<バフェット> チャーリーの言動が心配になった時はそれを口にすべきでない、そのことを思い出しました。うまく聴こえないことについて、こんな冗談があります。わたしにはすばらしいパートナーがいるが、彼は耳が悪くなっているようだ。そんなときにはどうすればいいのか。医者の話では、部屋の向こう側に立ってみろとのこと。そこでわたしは部屋の反対側に立って、こう言いました。「35ドルでGMを買うのがいいと思うけれど、どうだろう」。しかし返事がありません。次に部屋の半分まで近づいて、再び言いました。またもや返事はありません。とうとう、すごく近くまで歩み寄って語りかけました。「チャーリー、35ドルでGMを買おうと思っているけれど、どうかな」。3回目にして彼は「いいとも」と答えてくれました。大きな声ならば聴こえる、ということですね。

Q56: Station 9, Shanghai. Education investment - what is different now and in the future in US and China?

CM: We certainly are getting the easy questions! [laughter]

WB: Whatever he says I agree with. [laughter]

CM: I think America made huge mistake when they let public schools go to hell. I think Asian cultures are less likely to do that. I wish we were more like them.

WB: It reminds me, that whenever I get a little worried about Charlie, maybe I shouldn’t talk about it. There is a joke about not hearing well that goes like this: I have this wonderful partner, but I think his hearing is going. What should I do? Doctor told me to stand across room. So I stood across room and said, ‘I think we ought to buy GM at 35’. No response. I go halfway across room, say it again, and no response. So I walk right over to him and say, “Charlie I think we ought to buy GM at 35.” And he says, for the third time, YES! So speak up... 

2014年10月2日木曜日

2014年バークシャー株主総会; エネルギー事業について

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2014年5月に開催されたバークシャー・ハサウェイの年次株主総会から、エネルギー事業(子会社のMidAmerican)への投資に関する話題です。(日本語は拙訳)

<質問55> [2013年度アニュアル・レポートの]64ページに載っている事業別の数字ですが、エネルギー事業のEBITDA(利払い税引き償却前利益)から設備投資額を引くと、赤字の営業キャッシュ・フローになります。また直近5年間について同じように計算すると、営業キャッシュ・フローは最高の年で3億ドルでした。これを有形資産額で割ると0.8%のリターンになります。そこまで低いリターンの事業に資本を投じているのはなぜでしょうか。

<バフェット> 有形資産あたりのリターンを出すところまではすばらしいご指摘ですね。投下資本に対するリターンを求める際には、わたしたちも今言われたような計算を好んでやります。資本が正当に使われるのであれば、もっと投じたいと考えています。そうすれば適切なリターンを得られますから。しかしキャッシュ[・フロー]から正味設備投資額を引き算するのではなく、減価償却後の営業利益をみます。正味の設備投資が発生しないときもありますからね。正味投資額が増えざるを得ない領域を好んでいるのは、資本がますます増えますし、規制当局が将来わたしたちを正当に扱ってくれると読んでいるからです。そうなると信じる理由のひとつは、ほとんどの会社が設定しているよりも安い料金で電力を供給する点で、さまざまな他社よりもわたしたちのほうがうまくやってきたからです。アイオワ州にある公益事業では、当社は競合他社よりも大幅に低い料金でやっています。農場をやっている友人は2社から供給を受けていますが、当社の料金は競合よりもびっくりするほど安いと彼は言っています。当局は当社に対して、安全面を含めて相応の敬意を払ってくれています。ですから新しい州で商売を始めると、当局はわたしたちを歓迎してくれます。そういったプロジェクトに新たな資金を投下できれば、良好なリターンが得られると思います。しかし設備投資も含めた上で計算すると、数字としては赤字のリターンになります。この件は鉄道事業とある程度似かよっていますね。

<マンガー> その羅列された数字が落ち目のデパートのものであれば、がっかりですよ。しかし我々は、成長するエネルギー事業に資本を再投資すれば良いリターンが得られる、と自信を持っています。単純なことですよ。

(後略)

Q55: Station 8, New Hampshire. Looking at page 64 segment data for the energy business, when I take ebitda less capex, the result is negative operating cashflow. When I repeat exercise in each of last five years, in best years, $300m of operating cash flow. Divide by tangible assets, 0.8% return, why allocating capital to a business with such low returns?

WB: You were doing great until return on tangible assets. We love the math you describe, as long as we get return on capital investment. We are looking forward to putting more capital in, as long it is treated fairly, and we will get appropriate returns on that. It is not cash minus increased capex, it is operating earnings less depreciation. There are times when no net investment is required, but we prefer where net investment must be higher because we get more capital in and our bet is that regulators will treat us fairly in future. One reason we believe this is true is that we have done so much better than many at delivering electricity at lower rates than charged by most. In Iowa there is a public utility, and our rates are significantly below competitors. A friend with a farm who is served by two utilities tells me that rate from us is dramatically lower than the competitors. We have a deserved good reputation with regulators, including safety. They welcome us when we come to new states. If we can put new money into those projects, we will get good return. But you will get negative returns if you include adding to capital spending. This is somewhat similar at the railroad.

CM: if numbers you recited come from a declining department store, we would hate it. But we have confidence that the reinvested capital will give us a good return from a growing energy business. It is that simple.

備考です。アニュアル・レポートのp.46によれば、バークシャーのエネルギー事業における建造物や機械設備といった減価償却資産の耐用年数は、3-80年間となっています。ちなみに日本の電力会社では、最長で30-50年間のようです(財務省令)。

2014年9月2日火曜日

バフェットとマンガーの捧げもの

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チャーリー・マンガーの(再考)世知入門の30回目、最終回です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問者> うるおいのある生活と職業人としての務めを果たすことの両者をどのようにトレードオフするか、よく議論します。プロとして仕事をする毎日において、それらのモデルを学ぶ時間や他に興味があることに費やす時間がとれるものでしょうか。また、学ぶこと以外にご自分の楽しみのために時間をとれていますか。

<マンガー> 自分がまさにやりたいと思うことのためには、かなりの時間を常に割いていますよ。単に釣りやブリッジ、ゴルフをする時間などです。

自分の生活スタイルというものは自分で見つけなければなりません。クラバス[超一流とみなされている法律事務所]で経営パートナーになるために毎週70時間働く生活を10年間続け、新たな責務を負ったことで同じことをさらに続けたいか。あるいは、「こんな金額では働く気がしません」と考えるか。どちらにしても完全に個々人の判断に任されています。そしてその判断は、みずからの信じるものによって下さなければなりません。

しかしどの道を選ぼうとも、基礎的な世知を吸収する能力を持っているにもかかわらず、そうしないでいるのはひどく間違っています。他人のために、あるいは自分のために何かをする上で、もっと上手にこなせるようになるのですから。そして日常生活をより楽しくしてくれるのですから。適性があるのにそうしないのは、どこか頭がおかしいように思えます。基礎的な世知を吸収して使うことで、人生は豊かになります。金銭面だけではなく、他のいろいろなこともそうです。

実業家がロー・スクールで話すにしては、ずいぶんと異例の話題でした。心理学の講義をひとつもとったことのない人間が、「心理学の教科書はすべて間違っている」と諭すわけですから、かなり異色だったと思います。しかし私の話したことは、どれも偽りのないものです。

Q: We talk a lot about trade-offs between the quality of our life and our professional commitments. Is there time for a professional life, learning about these models, and doing whatever else interests you? Do you find time to do fun things besides learning?

I've always taken a fair amount of time to do what I really wanted to do - some of which was merely to fish or play bridge or play golf.

Each of us must figure out his or her own lifestyle. You may want to work seventy hours a week for ten years to make partner at Cravath and thereby obtain the obligation to do more of the same. Or you may say, "I'm not willing to pay that price." Either way, it's a totally personal decision that you have to make by your own lights.

But, whatever you decide, I think it's a huge mistake not to absorb elementary worldly wisdom if you're capable of doing it because it makes you better able to serve others, it makes you better able to serve yourself, and it makes life more fun. So if you have an aptitude for doing it, I think you'd be crazy not to. Your life will be enriched - not only financially, but in a host of other ways - if you do.

Now this has been a very peculiar talk for some businessman to come in and give at a law school - some guy who's never taken a course in psychology telling you that all of the psychology textbooks are wrong. This is very eccentric. But all I can tell you is that I'm sincere.


<質問者> あなたのなさっていることは事実上、何年もかけて獲得した知恵を分かち合う責務を果たそうとするものですか。

<マンガー> そうです。バークシャー・ハサウェイをみてください。あれは「教訓とすべき究極の企業」です。ウォーレンは自分のためには金をまったく使わないで、すべて社会に還すつもりでいます。実のところ彼がやっているのは、他人が自分の発言に耳を傾けてくれるための演壇を築くことなのです。彼の意見が非常にすばらしいことは言うまでもありません。そして演壇のほうもそれほど悪くはないです。しかし「ウォーレンやチャーリーは自己流で教えている」と反論されるかもしれませんね。

Q: Are you, in effect, fulfilling your responsibility to share the wisdom that you've acquired over the years?

Sure. Look at Berkshire Hathaway. I call it the ultimate didactic enterprise. Warren's never going to spend any money. He's going to give it all back to society. He's just building a platform so people will listen to his notions. Needless to say, they're very good notions. And the platform's not so bad either. But you could argue that Warren and I are academics in our own way.


<質問者> おはなしのほとんどは、とても説得力があると思いました。知識を探求することは、つまり人間の生き様を御することであり、金銭はまったくもって称賛に値する目標だということですね。

<マンガー> 金銭を追い求めることがそれほど称賛に値するのかは、何とも言えませんね。

<質問者> それでは、理解できるもの、ということでしょうか。

<マンガー> それならわかります。仕事の売り込みだろうが債券契約の校正だろうが、バカにしようとは思いません。必要なお金を稼ぐのは楽しいことですよ。経歴を積んでいく中で数々の訴訟をこなす必要があれば、そのために必要なことを学ぶでしょう。金を稼ぐには何かをしなければなりません。稼ぐという事実があれば、さまざまな行動にも箔がつきます。

Q: Most of what you've said is very compelling. And your quest for knowledge and, therefore, command of the human condition and money are all laudable goals.

I'm not sure the quest for money is so laudable.

Q: Well, then - understandable.

That I'll take. I don't sneer, incidentally, at making sales calls or proofreading bond indentures. If you need the money, it's fun earning it. And if you have to try a bunch of cases in the course of your career, you'll learn something doing that. You ought to do something to earn money. Many activities are dignified by the fact that you earn money.


<質問者> イデオロギーの面で極端な人に対して懐疑的なのは理解できます。しかしあなたのなさっていることにも観念的な部分があると思いますが、どうでしょうか。また、非合理ながらも夢中になっているものがありますか。

<マンガー> なるほど、たしかに私は知恵というものに情熱を傾けています。正確さやある種の好奇心に対して心が向いています。たぶん私には少しばかり寛容なところがあり、自分のはかない人生を超越した価値に対して身を捧げたいと考えているのです。今日はそのことを誇示したと思いますが、まあどうでしょうか。

私は「かつて他人が見つけ出した最上の考えを体得する」という原則を信奉しています。座しているだけで、独りで何でも思い浮かべられるなどとは思ってもいません。それほど頭のいい人など、いないのですから..。

Q: I understand your skepticism about overly ideological people. But is there an ideological component to what you do? Is there something that you're irrationally passionate about?

Yeah. I'm passionate about wisdom. I'm passionate about accuracy and some kinds of curiosity. Perhaps I have some streak of generosity in my nature and a desire to serve values that transcend my brief life. But maybe I'm just here to show off. Who knows?

I believe in the discipline of mastering the best that other people have ever figured out. I don't believe in just sitting down and trying to dream it all up yourself. Nobody's that smart….

2014年8月26日火曜日

履歴書や採用について(ウォーレン・バフェット)

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ウォーレン・バフェットが1994年にネブラスカ大学でおこなった講演その31です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問者> 履歴書は見たくないとのことでしたが、見事な履歴書をみつけるために利用している企業のことはどう思われますか。

<バフェット> もし典型的な大企業について話しているのでしたら、彼らはラベルを見たいのだと思います。言いかえれば、MBAを持っている人には「MBAのラベル」が付いていることになります。ある学校で授与されたとすれば、もちろんそのこともラベルになります。このやりかたを使って、似た人物を採用する事例が驚くほどたくさんあります。そのラベルに経済的な価値があるのは間違いありません。厳密にいくらなのかわたしにはわかりませんが、かなりの経済的価値です。わたしたちの会社ではそうはなりませんが、IBMやGMやメリルリンチに雇われるのであれば、最初にどう受けとめられるかという意味では違いが出ると思います。5年も経てばそれほど違わないとわたしは思いますが、最初の給料には差がつくでしょう。すごくたくさんのポジションを提示される可能性、という点でも差がつきます。しかし本当の勝負は、そこから何をみせられるかです。いずれにせよ、大きな会社に採用されたいときには、とても役に立つラベルですね。

わたしたちの会社が大企業だと考えたことは全然ありません。中堅企業の集合体と考えています。ある大きめの子会社を経営している仲間がいますが、MBAは1人で十分すぎるようでした。しかも、彼のグループ全体のために雇ったのです。わたし自身はだれも雇いません。ただし、どこかの子会社のトップが亡くなったり引退する場合は別です。採用について判断するのは、3年間に1回ぐらいだと思います。[子会社には]常に採用の判断をくだしている人もいますが、彼らが定める条件にはわたしは関与しません。完全に彼らの責務だからです。業務上の責務をどのように定め、採用の仕方をどのように教えるかといったことは、わたしはみていません。バークシャーには人事に関する部署がないのです。その役割の人がいる子会社もありますが、それと同じように全体を指揮する人はわたしたち本社にはいません。ほとんどの企業では人事の部署がありますが、そうなると帝国を建設しはじめることになります。あらゆる会合やセミナーをやり出して、そのためにアシスタントを雇い、あれこれがつづくわけです。だからわたしたちは最初からそうしないわけですね。さて、質問はあと2つでお願いします。

Q. You say that you don't like to look at resumes. What do you think businesses that do use them find impressive about resumes?

A. Well, I would say that, if you are talking about the typical large business, they look at labels. In other words, if you get an MBA, you have the label MBA. If you get it from a certain place, you know, it says that, too. There is an awful lot of hiring clone based on that. The label definitely has an economic value. I can't quantify that exactly, but it has a significant economic value. It just doesn't happen to have it with us. But if you are getting hired by IBM or General Motors or Merrill Lynch, it's going to make a difference in the way they look at you initially. I don't think it makes that much difference five years out. But I do think it makes a difference in starting salary. It makes a difference in your likelihood of getting hired for a great many positions. Then, it's really what you show from that point forward. But it is a very useful label in getting hired by a large company.

We don't even think of ourselves as a large company. We think of ourselves as a collection of medium-sized companies. Incidently, we've got a fellow that runs one of our larger subsidiaries; an MBA might mean quite a bit to him. And he's the one that hires for the group. I do no hiring, except if the top person in one of our companies dies or retires. I make maybe one hiring decision every three years. They also make hiring decisions all the time, and I don't get into what criteria they use. That's entirely up to them. I don't see how you can hold somebody responsible for an operation and then start telling them how to hire people. We have no human resources department at Berkshire. Some of our subsidiaries have somebody in that position, but we have nobody at the top who in turn supervises all that. Most companies do and once they do, they start building empires. They start going to all the conventions and seminars, and then they hire assistants to do this, and it just goes on and on. So we don't start it. Two more questions, okay?

2014年8月22日金曜日

2014年バークシャー株主総会; 企業買収について

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2014年5月に開催されたバークシャー・ハサウェイの年次株主総会から、買収に関する話題です。引用元トランスクリプトの場所はこれまで同様、こちらの過去記事です。(日本語は拙訳)

<質問47> 借入や買収についての質問

<マンガー> アメリカにおけるこれまでの買収は、合算して考えるとお粗末な結果でしたね。おろかな取引に口説かれてしまうのは、成功した企業が持つ本性です。我々にとっては富を築く道のりでした。しかし、我々のような変わったやりかたをしようと望むところは、幸運にもそれほどありませんね。

<バフェット> わたしたちが保有してはいるものの支配してはいない企業が、買収を起こそうとする。そんな記事を読んだときは、にやりとするよりも不満の声をあげるほうが多いですね。そうは言っても、わたしたち自身も買収を好んでいますが。わたしからは指揮できない会社の人たちが買収を検討する場に、何百回と参加したことがあります。しかし、ほとんどは悲惨なものでしたね..。

<マンガー> 良くて平凡、というのもいくらかはありましたがね。

<バフェット> ガイコ(GEICO)の例をみてください。1970年代以前はすばらしいビジネスでした。低迷から回復した後に彼らはいくつか買収をしたものの、肝心なことに集中していませんでした。2件の買収で払った会計上の費用はまずいものでしたが、致命的ではありませんでした。しかし[肝心なことに集中しなかった]2次的な影響は甚大で、元に戻るのに何年もかかりました。そのおかげでわたしたちは同社の半分を買い、バークシャーにとってはすばらしいものとなったのです。血気盛んなCEOが事を起こしたがり、補助するスタッフがそれに気づくのは、どちらも人間の本性です。案件はいつも舞い込みますし、投資銀行は毎日のように連絡をよこしてきます。そういったあらゆる力が取引実行へ向けて後押しをします。わたしたちは取引を望むのではなく、妥当な取引だけを望むようにと、非常な努力を払ってきました。もし経営企画のような部署があれば、わたしたちを後押しするわけですから、ますます大変だったと思います。経営する組織をどのように構成するかが、とても重要になることがあるのです。

<マンガー> 私とくらべて、彼がどれだけ手際よくやっているものか、よく考えてください。

<バフェット> それはむずかしくない比較ですね(笑)。

Q47: JB: Leverage and acquisitions?

CM: Sum total of all acquisitions in America has been lousy. It is the nature of successful companies that they will be talked into dumb deals. It has been path to wealth for us, but luckily many don't want to be peculiar in our way.

WB: When we read that a company we own but don't control is going to make an acquisition, I'm more likely to cry than smile. But we love them ourselves. I have sat in on hundreds of acquisition discussions conducted by people I didn't control. Most have been disasters…

CM: Some are mediocre.

WB: Look at GEICO ‐ it had been an incredible business until the 1970s. They made acquisitions after getting back on track and then took their eyes off the ball. Accounting cost of those two acquisitions was poor but not disastrous. But secondary effects were huge. It was a dozen years there that they couldn't get back. We bought half the company, so it was wonderful for Berkshire. It is human nature, CEOs have animal spirits and supporting staff senses that they like to do things. They keep coming in with deals. Investment bankers are calling them daily. All these forces push towards deals. We've tried very hard to not be eager to do deals, just to be eager to do deals that make sense. That would be harder if we had strategy departments pushing us. The setting in which you operate can be very important.

CM: Note how he is much more tactful than me.

WB: The comparison is not difficult. [laughter]

個人的には、この話題も重要な教えだと感じています。買収の話題と関連して、過去記事「自社株買いの利点」で取りあげたマイケル・モーブッサンの文章では、資本を効率的に利用するという意味で、買収と自社株買いを比較しています。勉強になる文章です。

2014年8月10日日曜日

会計監査および医療制度改革の話題(ウォーレン・バフェット)

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ウォーレン・バフェットが1994年にネブラスカ大学でおこなった講演その30です。一般的な話題が2つです。本講演もあと1,2回で終わりです。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問者> 近年になって会計事務所が顧客から訴えられる例がみられるようになりました。監査業務が期待にこたえていないという理由です。バフェットさんやバークシャー・ハサウェイは外部の監査人に対して何を期待されていますか。

<バフェット> いい質問ですね。何年か前に連邦会計標準委員会(FASB)に言ったことがあります。会計士は訴訟されても仕方がないですよ、と。それというのも、当時の典型的な会計証明は誇張されていたからです。多くの企業において彼らがそのような意見を表明する立場にいたとは思えませんでした。「会計士の意見は立証できない」という事実に対して金銭的な責任を問われたときには、まさしくそのとおりだと思いました。場合によってはやりすぎがあったかもしれませんが、彼らの意見表明は信頼されていたのです。銀行や保険会社などの多くの例で、彼らは証明しようにも単にそうできる立場にいませんでした。さて当社の場合、規模が小さく統制されてもいます。また内部監査の要員もいます。もし外部の監査人が何かしてくれるのならば、税務面で他にいい案を検討してもらったり、管理統制上のシステムについて社内の監査役が指摘できなかった弱点をみつけたり、あるいは明らかなまちがいを指摘するなどをお願いします。これまでにそういったことはなかったですが、彼らにお金を払っているのはそれを期待しているからです。証券取引委員会(SEC)とニューヨーク証券取引所によって義務付けられているので、何はともあれ彼らを使っているという事実は別としてですよ。ちなみに、監査をしたことがないという大きな会社を買収したことがありますが、気になりませんでした。

ブラムキン夫人と取引をしたのは1983年の8月30日でした。その日はわたしの誕生日なので覚えています。やる気満々と思われるでしょうから、先に話を切り出したくなかったのです。後になってから話を出したところで、彼女はこう言いました。「あんたは、誕生日に[原油が噴き出す]油井を買えたのさ」。彼女は監査を受けていませんでした。土地は全部保有しているし、建物も全部そうだし、在庫も全部うちの資産だ、と説明してくれました。また売掛金や事業の状況、そして支払いはすべて済んでおり、債務は全くのゼロだということも話してくれました。わたしたちは監査を一切行いませんでした。彼女の事業を買った時の契約書は1ページに収まりました。

Q. Mr. Buffett, in recent years, several public accounting firms have been sued by their clients because they have not met their expectations on their auditing services. I was wondering what you and Berkshire Hathaway expect from your external auditors?

A. Well, that's a good question. I said to the Federal Financial Accounting Standards Boards some years ago that I thought accountants deserved to be sued, because I thought the typical accountant certificate in those days was overstated. I did not think they were in a position in many companies to deliver that opinion and when they have been held financially accountable for the fact that they couldn't back up that opinion, I really thought that was appropriate. It may have gone overboard in some cases, but they were stating something there that people relied on. In many cases - take banks or insurance companies - they were simply not in a position to attest as they did. In our own case, we are small and controlled, and we have an internal audit staff. I'm hoping, if an outside auditor comes up with anything, it may be a potential tax idea, or it might be things our internal auditors did not spot in terms of weaknesses in the control system, or they might spot outright fraud of some sort. We haven't had that, but that's what I'm paying them to do, aside from the fact I have to have them anyway because I'm required to by the Securities and Exchange Commission and the New York Stock Exchange. Incidentally, we have bought big firms that never had an audit, and that doesn't bother me.

When I made the deal with Mrs. Blumkin, it was on August 30, 1983. I know that because it was my birthday. I didn't want to tell her that early on, because I thought she might think I was over-eager. I told her afterwards and she said, "You bought an oil well on your birthday!" She had no audit and she just told me she owned all the land, all the buildings, and all the inventory. She told me about what the receivables were, what the business was about, that all the bills were paid, and they didn't owe any money. We never had an audit. We bought that business with a contract that was one page long.


<質問者> ヘルスケア(医療制度)の改革が、経済全般やバークシャー・ハサウェイに対してどのような影響を及ぼすのか、何かご意見や予想されていることがありますか。

<バフェット> 前の質問でも話しましたが、ヘルスケアの話題で6,7年前に総会を一度やりました。たとえばこの国でGDPの14%分を何かのことに費やしているとして、他の国が9%以下で済んでいるとしたら、競争上の位置に影響が出てきます。稼いだお金はなるべく多く自分のものにしたいと感じるものですからね。これは経済の1/7を占める話題で、感情的にもなりやすく、議論がどのような結末をむかえるのか、わたしにはわかりません。医療費の増加率はかなり弱まったと考えていますが、必ずしも恒久的になるとは思いません。数年間は続くかもしれませんが、医療費が全般的なインフレ率を大幅に超えて増加しはじめれば、元に戻ってしまうでしょう。医療制度のことはこれから何度も耳にすると思いますし、ぜひそうするべきだと思います。

Q. Do you have any opinions or predictions on how health care reform is going to affect the economy, in general and Berkshire Hathaway, specifically?

A. Well, as I said earlier, we had our one general meeting on health care about six or seven years ago. When you are spending 14% of the Gross Domestic Product on something that other countries are spending 9% or less, it affects your competitive position. You would like to feel that you are getting a whole lot more for your money. I have no idea how the debate is going to come out because you are talking about one-seventh of the economy and something that is emotionally charged. I do think the rate of increase in health cost has dampened considerable, but I don't think that is necessarily permanent. I think it can last for a few years and it will come back if we start getting increases in health care costs significantly above the general rate of inflation. You are going to hear a lot about health care, again, and you should.


参考までに、文中に登場するネブラスカ・ファニチャー・マートの買収契約書は、バークシャーの2013年度アニュアル・レポートのPDFファイル116ページに添付されています。これをみると、実際には2ページにわたっています。ただし2ページ目は両者のサイン欄がほとんどで、実質的には1ページにおさまる内容です。

BERKSHIRE HATHAWAY INC. 2013 ANNUAL REPORT [PDF]

2014年8月6日水曜日

2014年バークシャー株主総会; 歩みが遅いと、やる気をくじく

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2014年5月に開催されたバークシャー・ハサウェイの年次株主総会から、以前から何度も語られている本源的価値の話題です。引用元トランスクリプトの場所はこれまで同様、こちらの過去記事です。(日本語は拙訳)

<質問45> 経営者は本源的価値をどのように考慮して算出しているのですか。あのコカ・コーラ社にもペプシがあるように、どの企業が当社にとっていちばん脅威ですか。

<バフェット> 実のところベン・グレアムは、本源的価値の計算という点ではあまり細かくは示しませんでした。ちょうど相対取引価値と比較されるものです。はじめてその問題に取り組んだ人がイソップでした。未来のことがわかるのであれば、本源的価値とは現在から審判の日までに分配されるすべての現金の現在価値になります。それに対して資金を投じ、そしてお金を受け取るわけですね。手元の1羽は、茂みに隠れた2羽に相当します。ここで問題となるのは、茂みに2羽いることをどこまで確信できるか、茂みまでどれだけ離れているか、そして金利はいくらかです。イソップは、我々が検討する余地を残そうと考えました。ですから彼はすべてを細かくは説明せず、その後2000年にわたって我々は試行錯誤しているわけです。ベンはその計算方法として「茂みに潜む2ドルのために、1ドルなら支払う」と言ったものです。一方、[フィル・]フィッシャーは茂みにいる鳥の数を評価する際に定性的な要因を使いました。はじめのころはグレアムから大きな影響を受けていたので、以前のわたしは定量的にやっていました。しかしチャーリーに出会って、もっと定性的に考えるようにと言われました。マクドナルドのフランチャイズを買うときには、資金の出入りがいつ発生するか、そしてその割引率をどうするか考えるものです。しかし決め手となる質問「どんな脅威が想定されるか」の答えはどうかと言えば、バークシャーには大いなる強敵がいるとは思えません。プライベート・エクイティー(私募のファンド)は安い借入金を使って事業を買収しているので、彼らとは競合しています。この領域がわたしとチャーリーの主な仕事になっています。しかし、わたしたちが達成しようとしている後につづくモデルを持っていたり、築こうとしている会社は見当たりません。

<マンガー> さきほども言いましたが、これまでに築いてきたバークシャーのモデルは、ショー・ビジネスで言われるのと同じように、これからもしっかりと長続きすると思います。そう信じられるのは、長期にわたって持続するのに足る優位があるからです。巨大な企業でそれを有するところはほとんどありません。巨大になった後でもずっとそのままでいられる会社は稀です。すでに我々も、どこの会社もなかなかうまく進まない領域へと入りました。それでも我々は、ロックフェラーが築いたスタンダード石油[業界史上最強の石油会社]のようになると思います。ですから、この演壇に上がっている人間はもう重要ではないのです。聴衆のお若いみなさんは、急いでバークシャー株を売らないほうがいいですよ。

<バフェット> なぜ真似するところがもっと出てこないのでしょう。

<マンガー> それは、外科医である我らが友人エド・デイヴィスと同じことです。彼は自分で作りだした機器を使って手術する方法を考えだしました。他のやりかただと死亡率が20%のところ、彼は2%です。見学に来た他の外科医が「これはとてもできない」と嘆息したものです。非常にゆっくりとやっていたからです。そして、我々がバークシャーでやっていることを教えているビジネス・スクールも皆無ですね。

<バフェット> 歩みが遅いと、やる気をくじくわけですね。

<マンガー> なぜゆっくりやるのがむずかしいかと言えば、終える前に死んでしまうからです(笑)。

<バフェット> なぜ楽しいのでしょうね(笑)。

Q45: Station 4, Los Angeles. How does management factor into valuing instrinsic value. Which company do you fear the most, as even Coca‐Cola has their Pepsi?

WB: Actually Ben Graham didn't get too specific about intrinsic value in terms of calculations. Now it is equated rightly with private business value. Aesop was the first who came up with it. It is intrinsic value if you can foresee the future, the present value of all cash that will be distributed between now and Judgment Day. You put money in and you take money out. One in hand is worth two in bush. The question is how sure are you that two are in the bush, how far away is bush, what are the interest rates ‐ ‐ Aesop wanted to leave us something to play with over next two thousand years so he didn't spell it all out. In calculating it, Ben would say he wanted two dollars of cash in the bush and pay a dollar. Fischer would use qualitative factors to estimate the number of birds in the bush. I started out very influenced by Graham, so more quantitative, but Charlie came along and said look more at qualitative. If you buy McDonalds franchise, you think about the cash in, the cash out, when, and at what discount. Silver bullet question - are there any threats? I don't see big competitor to Berkshire. Private equity is buying businesses and leverage is cheap - so they are competing with us. That is main occupation for me and Charlie. I don't see anyone who has a model or is trying to build model which is going after what we are trying to achieve.

CM: As I said earlier, the Berkshire model as it is now constructed, as they say in show business, has legs and will go a long time. It is credible. It has enough advantage it will go a long time, and most big businesses don't have it. Of those who have gotten big, few have stayed big. We are in territory where many stop going well, but I think we'll be like Standard Oil. The people up here are no longer that important. You young people in the audience ‐ don't be too quick to sell the stock.

WB: Why not more copycats?

CM: It's like our friend Ed Davis, the surgeon, he figured out how to do an operation with instruments of his own creation, and death rate was 2% versus others who were 20%. Surgeons came to watch and they said well that looks too hard to do and it was slow. There is nothing in business school that teaches people to do what we do at Berkshire.

WB: Slowness deters more people.

CM: The difficulty with being slow is you're dead before it's finished. [laughter]

WB: Why so cheerful? [laughter]

2014年7月20日日曜日

2014年バークシャー株主総会;大富豪らが倹約について語る

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2014年5月に開催されたバークシャー・ハサウェイの年次株主総会から、以前ご紹介した質疑応答「買えば買うほどお得です」の完全版です。ウォーレンの説明が少し増えています。引用元トランスクリプトの場所はいつもと同じで、こちらの過去記事です。(日本語は拙訳)

<質問42> 倹約家なのはどちらですか?

<バフェット> さて、どっちでしょうね。

<マンガー> 個人的な消費という意味では、ウォーレンのほうが倹しい(つましい)ですね。

<バフェット> なにか例を示してもらえますか?(笑)

<マンガー> 1950年代からずっと同じ家に住んでいるでしょう。

<バフェット> 引っ越したのは1958年です。

<マンガー> 私が引っ越したのはその1年後です。しかも建築士に1900ドル払いました。標準的な料金の30%分でしたが。

<バフェット> 生活に必要と思うものは、何でも持っていますから。生活水準と生活費を結びつけて考えてはいません。それらは相関していても、やがては逆転する地点がくるからです。家が6軒や8軒もあったら、わたしの生活はひどくなりますよ。それらは相関しないので、そんなには持てないのです。たしかに、ある点までは違いが生じます。たとえばxドルあれば、それまでとは違った考えができるようになります。しかしそれが10倍や100倍になったとしても、変わるわけではありません。

<マンガー> バークシャーは倹約によって助けられてきました。こうして聴衆を見渡してみると、身なりも控えめに倹約している様子がわかります。我々はそういう人たちを誘い招いたわけですね。

<バフェット> ですがみなさん、この週末の間は倹約のことは忘れてください。[バークシャー子会社が臨時に開いている出店で]買えば買うほど節約できるわけですから(笑)。

Q42: Station 3, Neal Patel, Chicago. Frugality?

WB: Who is more frugal?

CM: In personal consumption, Warren is more frugal.

WB: Would you care to give example? [laughter]

CM: Same house since 1950s.

WB: I moved in in 1958.

CM: I moved in a year later and paid architect $1900 dollars, 30% of the regular price.

WB: I have everything in life I wanted. Standard of living does not equate with cost of living. There is point where you get inverse correlation. My life would be worse if I had 6 or 8 houses. It doesn't correlate. You can't have more than that. It makes a difference up to a point. You can start thinking differently at x dollars. But it doesn't make a difference at 10x or 1000x.

CM: Frugality has helped Berkshire. I look out at audience, and I see frugal understated people. We collect these people…

WB: But forget that this weekend ‐ the more you buy the more you save this weekend people! [laughter]

2014年7月10日木曜日

2014年バークシャー株主総会;獣毛でできた極めつけのシャツを着る

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2014年5月に開催されたバークシャー・ハサウェイの年次株主総会から、競争力の話題です。引用元トランスクリプトの場所は前回と同じで、こちらの過去記事です。(日本語は拙訳)

(質問39に対する回答の一部; 競争優位の話題)

<マンガー> 競争が激しいビジネスで、そこで闘っていけるだけの能力がないならば、他をあたるべきでしょう。私の場合、カルテック[カリフォルニア工科大学]で熱力学の教授になるのはやめよう、と即断したものです。そういう決断を何度もくだし、結局早々に残ったのはひとつかふたつだけでしたね!(笑)。

<バフェット> わたしも運動の分野では似たような経験をしましたよ(笑)。

CM: If it is a very competitive business, and requires competitive abilities you lack, you should look elsewhere. I immediately decided I wasn’t going to be thermodynamics professor at Caltech. I did that over and over and soon there were only one or two choices left! [laughter]

WB: I had similar experience in athletics. [laughter]

<質問41> GEICO[子会社の損保会社ガイコ]は最大の広告費をかけていますが、一方で低コスト体質を保っています。ガイコ(現在のシェアは10%)は19%のシェアを持つステート・ファーム社を追い越すでしょうか。

<バフェット> それはだれにもわからないと思います。当社は今年になってオールステート社を追い越しました。ステート・ファームはこの国で偉大な社歴を有する企業のひとつです。イリノイ州マーナ出身の農家の人が1920年ぐらいに始めました。同社のことを書いた本が出ていますね。うまい商売でしたが、ガイコのほうが良いビジネスモデルでした。ステート・ファームは巨大でした。一方のガイコは1926年に創業してから、今では10%に達しました。現時点での予測によれば、第1位になるのはちょうどわたしが100歳になる年です。わたしのほうは自分でなんとかするから、とガイコには言ってあります。顧客のことを非常に大切にしていけば、もっとシェアを伸ばせるでしょう。それに、リスクに応じて適切な値段をつけることもできます。[ガイコの会長]トニー・ナイスリーの仕事ぶりは、まさに世界殿堂入りですね。トニー以前の15年間は、市場シェアは2%周辺をうろうろしていましたが、1993年に彼が指揮をとってからはシェアが上昇し、今では10%強になりました。まだまだ続くと思います。ステート・ファームの純資産は600億から700億ドルです[同社は非公開企業]。住宅保険の商売は強力ですし、保険代理人の体制も強力で、たくさんの顧客が満足しています。ですから急にとはいきませんが、しかしやがてはそうなると思います。

<マンガー> ガイコはコストコと似てますね。すばらしい商品やサービスを、すばらしい値段で提供する。そのことを聖なる義務と受けとめています。そういう会社はずっと伸びていきますよ。

<バフェット> コストコに当てはまることはガイコにも当てはまります。当社の人間はあまり出入りしません。いったん仲間になると辞めないのです。他の保険会社から移ってきたマネージャーはほとんどいません。仕事のやりかたについて独自の考えを持っており、そして正しく実行しています。そのやりかたが成功することで、さらに強化されていきます。

<マンガー> コストコは実に信じがたい会社です。値段を下げつつもサービスは向上させようと、たくさんの人が精力的に取り組んでいます。これは人間の本性に反することです。獣毛でできた極めつけのシャツをじかに着るようなものです。しかし、彼らは実現しているわけですよ。

Q41: JG: GEICO. Largest advertising budget while maintain low cost. Will GEICO (now 10% share) overtake State Farm at 19% market share?

WB: No one knows answer. We passed Allstate this year. State Farm has one of great company histories in America. Farmer from Merna Illinois started it, started around 1920, there is a book about it. It was a better business model, GEICO though had an even better model. State Farm was huge, and now GEICO has taken us since 1926 to get to 10%. On current projections are that we will be #1 the same year I am 100. I tell GEICO that I will do my part. We will gain share as long as we take extremely good care of customer, and we can properly rate risk. Tony Nicely has done a job that belongs in the world hall of fame. 15 years prior to Tony taking over, market share had hovered at 2%. Since he took over in 1993, we have gained and now stand at +10%. It will keep going. State Farm has net worth of $60‐70bil, and a strong homeowners business, strong agency force and a lot of satisfied customers. It won’t come fast, but it will come.

CM: GEICO is like Costco. They feel a holy duty to have wonderful product and a wonderful price. Companies like that get ahead over time.

WB: What is true about Costco is also true about GEICO: our people don’t come and go. People come to us and they don’t leave us. We have very few managers from other insurance companies. They have their own idea about how to do it and do it right. It is reinforced by success too.

CM: Costco is unbelievable. It is against human nature of many entrepreneurial people to get price down and get service up, like wearing the ultimate hairshirt. But it works.

2014年6月26日木曜日

2014年バークシャー株主総会;バークシャー・モデルの強み

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2014年5月に開催されたバークシャー・ハサウェイの年次株主総会から、コングロマリット企業の話題です。引用元トランスクリプトの場所は、前回と同じようにこちらの過去記事をご参照ください。(日本語は拙訳)

<質問28:キャロル・ルーミス> バークシャー弱気派をさがしていましたが、無意味でしたね[今年の株主総会に出席してもらうつもりだった]。わたしはバークシャーを弱気には考えていませんが、一般にコングロマリットは特にいい商売というわけでもありません。その意味で後継者の方がうまくやれる確率は好ましくないように思いますが、どうでしょうか。

<バフェット> 異種混合のビジネスがずっと成功してきたように、実際にアメリカではこのモデルはうまく機能してきました。ダウ・ジョーンズ[工業平均銘柄]をひとつの実体とみれば、つまり100年以上にわたって構成が変化してきた企業群ととらえると、その指数が66から11,000まで上昇したことはうまいモデルであると暗示しています。ただしすべての会社がひとつの経営陣に率いられていないのは、そのとおりです。良いビジネスを一群として保有するのは良い考えです。リットン・インダストリーズ社やガルフ&ウェスタン社は、連続買収という考えをもとに築かれました。株式をPER20倍の値段で発行し、その資金で別の企業をPER10倍で買収したのです。チェーン・レターの仕組み[ネズミ講など]によって、おつむの弱い人たちを使役するやりかたですね。一方、わたしたちの事業計画は妥当だと考えています。分散された事業群を有し、資本構成も保守的です。資本主義とは資本を割り振るための体制です。当社の仕組みにおいては、税金の影響を受けずに資本を配分することができます。[得られた]資本を有効に活用できる場所へと振り向けられるわけです。そのような好状況にある人は他にはいません。たしかにそうだと思います。しかし株を吊り上げたいからではなく、事業という観点での原理原則に従うべきです。コングロマリットには株価吊上げの技を使ったり、連続買収・株式発行をやるところもありました。株式発行をくり返してチェーン・レター騒動を続けるならば、いつか終わりがやってきます。

<マンガー> コングロマリットのやりかたで失敗したことと我々では、違いがいくつかあります。買収したい企業がみつからなければ、保険事業のポートフォリオとして投資に回す別の案が選べます。それから、無理にでも買おうとは考えません。メロン兄弟は50-60年間にわたって非常にうまくやっていました。我々とよく似ていますね。我々はガルフ&ウェスタン社のような一般的なコングロマリットではなく、メロン兄弟の活躍が永続するようなものです。

<バフェット> やっと、いいことを言いましたね(笑)。

Q28: CL: You have been looking for bear, but that is silly. I'm not a bear on Berkshire. But conglomerates have not worked particularly well. But probabilities not favorable that successors will have it work well.

WB: Model has worked well for America actually, as disparate businesses have done well over time. Dow Jones as one entity, as a changing group of companies over a 100 year period. Seeing the index rise from 66 to 11,000 suggests it is good model, although agree that it is not all under one management team. Owning good business group is good idea. Litton Industries, and Gulf & Western, they were put together on idea of serial acquiring: issuing stock at 20x to buy businesses at 10x. It is an idea of fooling people to ride on a chain letter scheme. I think our business plan makes sense. Group of diversified businesses and conservatively capitalized. Capitalism is about allocation of capital. We have system where we can allocate capital without tax consequences. We can move the capital to where it can be usefully employed. No one else better situated, and it makes good sense, but must be applied with business principles instead of stock promotion principles. And some conglomerates were stock promotion techniques, and were serial acquirers and issuers of stock. If issuing stock continuously, chain letter game goes on, that does come to an end.

CM: There are a couple differences between us and the failures in the conglomerate model. We have an alternative when there are no companies to buy, as we have the insurance portfolio to invest. And we feel no compulsion to buy. Mellon Brothers did very, very well for 50‐60 years, they were a lot like us. We are not a standard conglomerate like Gulf & Western. It is as if Mellon brothers had gone on forever.

WB: Now you're talking. [laughter]


2014年6月16日月曜日

2014年バークシャー株主総会;低金利政策について

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2014年5月に開催されたバークシャー・ハサウェイの年次株主総会から、低金利政策の話題です。前回同様、引用元のトランスクリプトをご紹介した過去記事はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問者> 低金利[政策]によって住宅バブルが起きましたが、今回は債券バブルになるかもしれません。金利を上げることが必要だと感じていますか。

<バフェット> このような低金利がここまで長く続くとは、いったい誰に予想できたでしょう。ことがこれほどうまく進んでいるのは驚きです。今もなお、うまくいっています。わたしにも同じようにできたでしょうし、それで手柄を立てられたのに、と言いたいものです。とにかく、この件には驚いています。まるで非常に興味深い映画のようです。かつて見たことがない、終わりがどうなるかわからない映画です。危機当時とそれ以降のバーナンキはまさに英雄だったと思います。彼は非常に頭がよくて、ものごとを巧みに捌きました。2007年や2008年になってFRBの議事録が公開されましたが、それによればFRBの理事たちにはわかっていませんでした。これは興味をそそることです。どれだけ重大な事態なのか、彼らは理解していなかったようなのです。バーナンキは理事会による見解を統一できていませんでした。それでも彼は足を踏みだし、完璧と言える仕事をしました。しかし金利がずっとゼロ近くのままで規模を縮小しつつも[資産を]購入し続ければ、この映画がどのような結末をむかえるか、やがてだれもが知ることになります。

<マンガー> 日本では金利が20年間も低下し続けました。普通株も20年間下落しました。彼の国でそうなることを予想していた人はひとりもいません。おかしなことが起こったわけで、経済学者はこのことに困惑しています。ですから、バークシャーが買っている長期債はそれほど多額ではありません。

<バフェット> 当時の現金は王様でしたが、それは使ってこそのことでした。現金にしがみつく時期をみんなが間違えていたのです。その後、ゼロ金利[政策]は経済や資産価格に対して甚大な影響を及ぼしてきました。今現在の状況はバブルではありませんが、普通ではない状況ですね。

<マンガー> いや、わたしも君と同じで困惑していますね(笑)。

<バフェット> だからこそ、わたしたちはけっこううまくやってこられたのですよ(笑)。

Q27: Station 9. Toronto. Low rates have led to housing bubble, and potentially a bond bubble, do you see need for hike in rates?

WB: Who would have guessed rates this low for this long? I would say I am surprised at how well things are going. It is working well. I would like to say I would have done same thing and take credit. I was surprised. It is very interesting movie, we haven't seen before, and we don't know how it ends. I think Bernanke was a hero at time of crash and subsequently. Very smart man, he handled things very well. When minutes of Fed became available for 2007 and 2008, we saw that members of Fed were not getting it. It was fascinating. They didn't seem to understand how serious things were. He was not getting unanimous view from those around him. But he went ahead with them, and did masterful job. We will see how this movie plays out - if we keep rates close to zero for long time, and tapering but still buying.

CM: No one in Japan would have anticipated that rates could stay down for 20 years and common stocks would decline for 20 years. Strange things have happened, and it is confusing to economists. At Berkshire not many long term bonds are being bought.

WB: Cash was king, but only if you used it. People cling to cash at wrong times. Zero interest rates has had huge effect on economy and asset prices. This is not a bubble situation we are living in, but it is unusual.

CM: No, I'm as confused as you are. [laughter]

WB: That's why we get along so well. [laughter]

2014年6月4日水曜日

2014年バークシャー株主総会;相談すると、いろいろ出てくる

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2014年5月に開催されたバークシャー・ハサウェイの年次株主総会、質疑応答のメモから3件の話題です。以前ご紹介したメモから引用させて頂いています。(日本語は拙訳)

はじめは、留保利益や設備投資に関する(17番目の)質問に対して、ウォーレン・バフェットの回答で登場した話題です。

<バフェット> 現金とは酸素のようなものですね。時間のうちの99.9%はその存在に気づきませんが、なくなってみてはじめて気がつくものです。[バークシャーには]200億ドル超の資金があるので、賢く投資する方法をみつけていきます。ですが、資金を使わなければと気負うつもりはまったくありません。

Cash is like oxygen, you don't notice it 99.9% of the time, but when absent it is the only thing you notice. Above $20bil, we'll try to find ways to invest it intelligently. But we'll never feel the need to spend it.

99.9%という数字はおもしろいと思います。たとえば10年間は3650日強なので、そのうちの0.01%は4日間弱に相当します。株式市場では1-2週間で大幅に下落したことがあったので(1987年や2008年)、それと似たようなスケールです。資金全額を現金で保持するわけではないですが、わずかの期間のために残りの期間を(機会費用と比べながら)辛抱するというのは、精神的な強さが要求されますね。

次は質問その19からで、バークシャーの子会社の経営陣を信頼して統治している話題です。「相互信頼」を重視するチャーリーらしい発言で、我々日本人にはなじみやすい内容だと思います。

<マンガー> 世の中の他の標準とくらべると、我々は過度なまでに信頼しています。しかし、そのおかげで良い結果に結びついています。我々は信頼に足る人を選んできましたし、信頼に値する文化を育ててきた場所はうまく機能するものです。内部統制の度合いをはかる最近の会計基準は、害のほうが大きくなるでしょうね。

CM: By the standards of the rest of the world, we over‐trust, but are results are better because of it. We have selected people that we can trust. Places work better when they create culture of deserved trust. Modern accounting standards which measures internal controls - it will do more harm than good.

最後は質問その20からで、シーズ・キャンディーの買収に関する質疑に出てきた話題です。

<バフェット> [シーズの店舗が西海岸以外ではうまく広がらない話題につづいて]東部ではダーク・チョコ[普通の濃色のチョコ]が好まれますね。一方、西部はミルクチョコです。シーズのビジネスは非常にうまくやってきました。他の事業を買収する資金を稼いでくれましたし、ブランドの威力がどれほどすごいのか、目を開かせてくれました。シーズを買ったからこそ、コカ・コーラの投資で儲けられたと思っています。事業を保有して、実際に何ができてどんな可能性があるのか、わかったわけです。シーズを保有しなかったら、コークは保有していなかったかもしれません。

<マンガー> バークシャーにとってシーズ買収がもっとも寄与したのは、「無知を排除」できたことです。「無知排除」をうまくやれたのが事実でなかったとしたら、今頃我々の手には何もなかったでしょう。シーズを買ったときの我々は相当なおばかさんでしたが、シーズを買うほどにはわずかにまともだったのです。バークシャーにおいてもっともすばらしいことと言えば、さまざまな「無知」をなくしたことです。うれしいことに、まだいろいろと「無知」が残っていますがね。

<バフェット> わたしが彼に相談話をすると、それが出てくるわけですよ。(笑)

WB: In East they prefer dark chocolate, in West it is milk chocolate. We've done very well in See's, it has provided us with earnings to buy other businesses, but really it opened my eyes to the power of brands. We probably made the money in Coca‐Cola because we bought See's. We owned one and saw possibilities and what you can do. If we had not owned See's, we may have not have owned Coke.

CM: Main contribution to Berkshire was ignorance removal. If it weren't for fact that we weren't(*) were so good at removing ignorance, we'd be nothing today. We were pretty damn stupid when we bought See's ‐ just a little less stupid enough to buy it. The best thing about Berkshire is that we have removed a lot of ignorance. The nice thing is we still have a lot more ignorance left. [*: 原文が誤りと思われるため、訳者が修正した]

WB: That's what happens when I call on him. [laughter]

2014年5月24日土曜日

2014年バークシャー株主総会;経営者コンビについて

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2014年5月に開催されたバークシャー・ハサウェイの年次株主総会、質疑応答のメモから「経営者コンビ」の話題です。今回の文章も、以前にご紹介したメモから引用しています。(日本語は拙訳)

<質問13:ベッキー・クイック> 後継者の質問はよくあげられますが、チャーリーの後継者は検討されていますか。お二人のような力強いコンビは続くのでしょうか。

<バフェット> わたしにとってチャーリーは「炭坑のカナリア」をしてくれています[先鋒役の意]。チャーリーは先日90歳に達しましたが、どうやら中年期をうまく過ごしているようで、わたしにとっても励みとなっています(笑)。しかしご指摘されたことはわたしも気になっていました。チャーリーの代わりのことを話に出す人はいませんね。わたしのあとを継ぐCEOがだれであろうと、親密な仲間といっしょに仕事をするだろうと思っています。これは実にすばらしい経営方式ですよ。わたしたちがいっしょに働いたことで、バークシャーは成功できました。そのことに疑問の余地はありません(拍手)。[コカ・コーラの]ゴイズエッタとキーオのコンビや、キャップ・シティーズのトム・マーフィーとダン・バークもそうです。お互いの才能を補うものすごい二人が組んだことで、会社は大きく発展しました。これはすばらしい経営のしかたです。しかし他の人ではうまくやれないでしょう。わたしの後継者の代になって数年たっても、だれかと付き合いを持ったりパートナーとなる人がいないとしたら、それはきっとおどろくでしょうね。そういう人がいることで業績が発展しますし、分かちあう楽しさもひろがります。しかしチャーリーの後継者となると、だれも話題にあげませんね。

<チャーリー> この世の中に心配ごとはそれほどないですからね。90歳にもなれば、みんなもうすぐお迎えの時期です。

<バフェット> カナリアが話していますよ(笑)。

Q13: BQ: Successor question is common, but any discussion about a replacement for Charlie? Dynamic duo still?

WB: Charlie is my canary in the coal mine. Charlie recently turned 90, and I find it encouraging how he is handling middle age. [laughter] But now I'm getting sensitive ‐‐ you raised a point ‐‐ they never talk about replacing Charlie. I think likely that whoever replaces me as CEO will have someone they work with very closely, it is a great way to operate. Berkshire is better off because we worked together, there is no question. [clapping] I do think Goizueta & Keogh, Cap Cities Tom Murphy & Dan Burke, and company accomplished far more because of two incredible people with complimentary talents. It is great way to operate. You can't will it to somebody. If a few years after successor takes over, I'd be very surprised if there wasn't some relationship or partnership, it can enhance achievements and the fun they have. But no one has brought up successor to Charlie.

CM: I don't think the world has much to worry about. Most 90 year old men are gone soon enough.

WB: The canary has spoken. [laughter]

2014年5月14日水曜日

2014年バークシャー株主総会;資本コストについて

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2014年5月に開催されたバークシャー・ハサウェイの年次株主総会、質疑応答のメモの決定版と思われるものが出始めました。以下のリンク先がそれです。今回はそのメモから資本コストの話題を引用します。ただし前回ご紹介したメモの内容と照らし合わせた上で、訳文を適宜補正しています。(日本語は拙訳)

Notes from the 2014 Berkshire Hathaway Annual Meeting (著者:Peter Boodell氏他、掲載サイト:Scribd)

<質問8> 並外れたリターンをあげる能力によって経営陣の良しあしの度合いがわかると思いますが、会社の規模が大きすぎるともなれば、それはむずかしくなると思います。巨額の設備投資が必要な会社が[子会社として]新たに加わったことで、資本コストはどうなりましたか。

<バフェット> 規模の大きさが業績の足かせになるのは言うまでもありません。それが本当に足を引っ張るところまでわたしたちは進んで、そのことを確かめてみるつもりです。市場価値が3,000億ドルもの資本となると、以前と同じリターンはあげられません。たしかアルキメデスは十分に長いテコがあれば世界を動かせると言ってましたよね。わたしにもそのテコがあればと思います。さて2つの質問に答えますと、資本コストとは何かですが、わたしたちが2番目に優れていると考えるアイデアが生み出すものだと思います。そしていちばんのアイデアとは、それを超えるものを指します。どうやれば資本コストを決められるかは、過去に何度も議論されてきましたが...。

<マンガー> まともなものは、ひとつも聞いたことがないですね。

<バフェット> わたしたちにもわかりませんが、[投資先の企業が]わたしの良しとしない考えであっても賛成票を投じるつもりです。少しは例外があると思いますが[コカ・コーラ社の議決権行使を棄権した最近の話題に引っかけている]。長期的な観点で[資本効率を]まさに確かめるには、留保した資本1ドルが1ドル超の市場価値を生み出しているかをみればよいと思います。何十億ドルと投下したコスト以上に増えていけば、わたしたちはそのままつづけていきます。あるカナダの企業に30億ドル近くの資本を投下しましたが、きっと成功するでしょうし、当時は30億ドルでその投資をするのが最良の選択でした。ところで、CEOが実行したがっている案件に対して「それは資本コストを超えられません」とCFOが反対するような例は、一度も目にしたことがありません。一方わたしたちは事業を評価できると考えていますし、当社の資本の状況もわかっています。資本コストは重要な課題なので、継続的に見定めています。

<マンガー> 「資本コスト」という言いかたを我々はしませんね。ウォーレンの言うところの、つまり「投下した以上に市場価値を増やす」とする定義は、ビジネススクールでは決して教えないでしょう。「留保したものによって、いっそうの価値を生み出す」、これこそ最良の表現です。我々が正しく、連中がまちがっている。それだけですよ。

<バフェット> ほら、彼よりもわたしのほうがまともに見えるでしょう(笑)。(p.5)

Q8: Gregory Warren, Morningstar (GW): The measure of a good management is ability to generate outsized returns, but sheer size makes it hard. What is cost of capital now, with new capex‐heavy firms?

WB: There is no question that size is an anchor to performance. We intend to prove that up to the point it starts really biting. We can't have same returns on capital base, market cap of $300bil. Archimedes, didn't he say he could move the world if he had a long enough lever, and wish I had that lever. We'll answer two questions. Cost of capital is what can be produced by our second best idea. Our best idea has to exceed that. We've heard so many discussions on how to figure out the cost of capital…

CM: I've never heard an intelligent one.

WB: We don't know, I probably vote if I don't like it but some exceptions to that. The real test over time is that the capital we retain produces more than a dollar of market value over time. If we keep putting billions in, and adding more than their cost, we'll keep doing it. We are spending close to $3bil on a Canadian company, and we will be better off and that was best thing to do that day with that $3bil. I've never seen a CEO wanting to do a deal and a CFO say it didn't exceed cost of capital. We think we can evaluate businesses, we know our capital. We are constantly measuring that opportunity cost, it is an important subject.

CM: A phrase like "cost of capital" we just don't use it. Warren's definition of adding more in market value than we put in will never be taught in business school - the phrase to retain to create more value, is the best description. It's simple: we're right, and they are wrong.

WB: I look good compared to him, don't I? [laughter]

ウォーレンはさりげなく示していますが、この会話に登場するもうひとつの大切なことは、個人的には「テコ」だと感じました。

2014年5月8日木曜日

2014年バークシャー株主総会;自分の強みの見分け方

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2014年5月に開催されたバークシャー・ハサウェイの年次株主総会、質疑応答のメモがなかなか出揃いません。そのため、今回も軽めの話題を1件だけご紹介します。原文のメモはScribdにアップロードされていたものです。しかしこういう返答を延々と即興でやれるのも大した才能だと思います。(日本語は拙訳)

Berkshire Hathaway Annual Meeting Notes 2014 (著者:CanadianValue, 掲載サイト:Scribd)

<質問者> どうすれば「自分の土俵」がわかりますか。

<バフェット> いい質問ですね。自分のことを現実的にみていますし、ビジネス以外の世界でも当てはまると思います。

チャーリーとわたしはその境界線をそこそこ上手に見定めてきた、と思っています。わたし自身は、特に小売業界のときに外に出てしまったことがよくありました。バークシャーの株を売ることから[企業を買収して]経営権を買うことへと計画を変えたときに、土俵の外に出ていたのです。しかし最後にはなんとかうまくいきました。[少し前の質疑で、小売業界の企業を買収した話題が登場している]

一方、ブラムキン夫人[ミセスB]は[被買収の対価として]バークシャー株を選びませんでした。それをまちがいだったと考える人がいるかもしれませんが、そうではありません。彼女には自分が何を知らないのかがわかっていました。彼女がわかっていたのは不動産や小売りのことで、それでずっと昔からやってきたのです。

<マンガー> 自分の強みを知るのにそんなにかかるとは思いませんね。たとえば身長が160cm弱ならNBA[バスケットボール]は期待できないだろうし、95歳だったらハリウッド映画に出るロマンチックな主役は来ないだろうし、体重が140kgだったらボリショイ・バレエのダンサーもダメでしょうし...。

<バフェット> わたしのやりたいことを全部外しているじゃないですか。

<マンガー> いや、これはおバカさんの相手をするときに役に立つわけです。幸いなことに、そういう場面がたくさんありますから。(p.12)

Q: How does one figure out what one's circle of competence is?

WB: It is a good question. It is a question of being self-realistic, and that applies outside of business as well.

I think Charlie and I have been reasonably good at defining the perimeter of that limit. For myself, I have gone out of that area more often in retail than in other areas. I was outside my circle of competence when I decided to change my plan from selling shares of BRK to buying control, but that ended up working out.

Mrs. Blumkin didn't take BRK stock, which some people might consider a mistake, but it wasn't. She knew what she didn't know. She knew real estate and retail and that took her a long long way.

CM: I don't think it takes that much to figure out competence. If you're 5'2" you probably shouldn't count on the NBA, if you're 95 years old you probably shouldn't count on being the romantic lead in a Hollywood movie, if you're 300 pounds you shouldn't count on dancing in the Bolshoi ballet…

WB: You're ruling out all the things I want to do.

CM: I just knew that it would help to compete against idiots, and luckily there are a lot of them around.

2014年5月5日月曜日

2014年バークシャー・ハサウェイ株主総会;買えば買うほどお得です

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5月3日(土)にウォーレン・バフェットのバークシャー・ハサウェイが年次株主総会を開催しました。参加者数は38,000名を超えていると伝えられています。質疑応答のメモはいずれ献身的な方々によってアップロードされると思いますので、それを待って訳文付きでご紹介するつもりです。ひとまずは大手メディアが公開しているメモのリンク先を2つあげておきます。

Berkshire Hathaway's 2014 Shareholder Meeting (The New York Times)

Recap: The 2014 Berkshire Hathaway Annual Meeting (The Wall Street Journal)

今回は1件だけですが、NYTの文章から引用します。(日本語は拙訳)

ある株主の質問から派生して、バフェット氏とマンガー氏のどちらのほうが倹約家かという話題になった。

マンガー氏いわく、個人的な消費という点では相方のほうだとのこと。バフェット氏はこう付け加えた。「家が6軒も8軒もあったら、わたしの生活はひどくなりますよ」。

マンガー氏は[会場の]センチュリーリンク・センターに集った群衆を見渡して、こう断言した。「聴衆の中には同じように考える倹約家の姿がたくさんみえますね」。

しかしながらバフェット氏は集団にむかって、ここにいる間はお金を使うように促した。「買えば買うほど節約できますよ」、彼は声を立てて笑った。[各種子会社が出店を出したりして、株主向けに割引販売している]

A shareholder question leads to a question of who is more frugal, Mr. Buffett or Mr. Munger?

Mr. Munger says that on personal consumption, it's his counterpart. Mr. Buffett adds this: My life would be worse with 6 or 8 houses, says

Mr. Munger, peering into the CenturyLink Center crowd, declares that he sees a lot of like-minded frugal individuals in the audience.

That said, Mr. Buffett urges the gathering to spend while they're here. "The more you spend, the more you save at these prices," he chortles.