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2012年7月24日火曜日

アインシュタインの警句を守る(チャーリー・マンガー)

以前の投稿で、チャーリー・マンガーの投資における意思決定プロセスを、『Poor Charlie's Almanack』の編者ピーター・カウフマンが書いた文章をご紹介しました(過去記事)。今回の文章も同氏によるものですが、もう少し一般的な表現でチャーリーのやりかたを描いています。(日本語は拙訳)

自分の置かれた状況がどうであれ、チャーリーはどう進めたらいいかを考えはじめる前に、何をすべきでないかのほうに焦点をあてることが多い。彼のお気に入りの言い回しに、こういうのがある。「どこで死ぬかさえわかっていれば、そこには行かないようにしますよ」。日常生活と同様で、ビジネスにおいても勝ち目の低い次の一手はさっさと切り捨てる。このやりかたがチャーリーに大きな優位を与えている。時間を節約し、より建設的な分野に集中できるからだ。複雑な状況にでくわすと、彼は本質的で感情の入らない基本原理まで還元しようと努める。しかしながら、合理性や単純さを追求するうちに、彼自身のいう「物理学羨望症」にかかってしまわないように注意してきた。経済学のような格段に複雑なシステムを、ニュートンによるいくつかの法則のようなもので説明しようとするのは人の性だが、彼はそうせずに、アルバート・アインシュタインが残した警句のほうを忠実に守ってきたのだ。「科学法則はできるだけ簡潔にすべきだが、必要以上にやってはならない」。チャーリー自身の発言も挙げておこう。「自分がまさにしたことを、害をなさずして益をなすだろうと考えて満足にひたるのは、わたしには賛成できませんね。おわかりですか、高度に複雑なシステムの中では、あらゆるものがお互いに影響を及ぼしあっているのですよ」

Often, as in this case, Charlie generally focuses first on what to avoid ? that is, on what NOT to do ? before he considers the affirmative steps he will take in a given situation. “All I want to know is where I'm going to die, so I'll never go there” is one of his favorite quips. In business as in life, Charlie gains enormous advantage by summarily eliminating the unpromising portions of “the chess board,” freeing his time and attention for the more productive regions. Charlie strives to reduce complex situations to their most basic, unemotional fundamentals. Yet, within this pursuit of rationality and simplicity, he is careful to avoid what he calls “physics envy,” the common human craving to reduce enormously complex systems (such as those in economics) to one-size-fits-all Newtonian formulas. Instead, he faithfully honors Albert Einstein's admonition, “A scientific theory should be as simple as possible, but no simpler.” Or in his own word, “What I'm against is being very confident and feeling that you know, for sure, that your particular action will do more good than harm. You're dealing with highly complex systems wherein everything is interacting with everything else.”


ウォーレン・バフェットの伝説的な文句で"Rule No.1: Never lose money."というのがありますが、逆から考えるチャーリーのやりかたが強く影響したのかもしれませんね。

3 件のコメント:

ケントマン さんのコメント...

== No title ==
勝ち目のある戦いを探すのではなく、勝ち目のない戦いを避けることから始める。
リスクの回避から始めることが、結果的にいい結果へと導いてくれる。
すごく面白い考え方ですよね。
株式投資をやっていると自然とこんなことをやっているのですが、改めて言葉にされると深い言葉だと思います。
マンガー氏は本当に頭の言い方ですね。
尊敬するしかないです・・・。

betseldom さんのコメント...

== ケントマンさん、こんにちは ==
ケントマンさん、コメントをいつもありがとうございます。
ケントマンさんがご指摘されているとおり、リスク回避の考え方は面白い着眼点だと私も感じております。観点を少しずらしてみると、ビジネスの好不調のサイクルと、人間の心理学的傾向がつづく長さを比べた上で、どう動くのが有利なのか冷徹に判断しているようにも思われます。
ケントマンさんのブログは、難しいテーマを正面から取り上げられていますね。あそこまでまとめるのはいろいろと大変かと思います。特に、自分とは違う見方をされている点は参考にさせて頂いております。ありがとうございます。
お時間がありましたら、またよろしくお願いします。それではこの辺で失礼致します。

ケントマン さんのコメント...

== こちらこそありがとうございます。 ==
リンクしていただきありがとうございます。
僕のブログは、僕が学んだことをそのまま伝えているだけなので正面から取り上げているように見えるんでしょうね。ただの学び好きで、それで成果が出るのが楽しくていろいろな知識や考え方が身に付きました。
要は、趣味の延長なんですよ。
参考にしていただいているなんて・・・本当にありがとうございます。
こちらのブログも、毎回参考になるネタを取り上げてくださっているので定期的に読ませていただいてます。
また拝見させていただきます。
これからもよろしくお願いします。