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2013年9月28日土曜日

ある投資家が描くチャーリー・マンガー像(2)

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前回のつづきです。マンガーがいだく思想の重要な部分が、うまくまとめられています。(日本語は拙訳)

それは、考えをどう進めるかにある[原文はThe mental approach]。たった3社の保有銘柄にマンガーが大きく賭けるのは、彼が投資上のプロセスにおいてどのように考え進めるのかと深い関係がある、と私は思い至るようになった。保有銘柄が3社でも安心して眠れるには、対象となるビジネスをとことん知り尽くし、理解することが欠かせない。当然ながら書き物を読んだり、調べたり、あらゆる角度から学際的なやりかたで問題を追究することが重要になるし、多くの時間を費やすべきだろう。マンガーは基本的に、「精神面での資本」を大量に投じて、一連の学際的なメンタル・モデルを築き上げてきた。これによって彼はビジネスに関するあらゆるものを分解し、自分が何を好むのか、またその理由についてきわめて深い理解に達することができる。アナリストの意見なぞ無用なのは、不思議でもなんでもない。彼の目指すところは、ごくわずかまでしぼりこんだビジネスを非常に深く理解することなのだ。精神的資本と時間を費やし、実際に購入したら、それを売却するのはそもそも個人的かつ精神的資源をひどく無駄づかいすることになる。もちろん、そのビジネスに根本的な変化が生じないかぎりだが。投資の世界へ足を踏み入れた時にほとんどの人がやるのは、単に帰納的に考えるだけで[≒経験主義的]、買いたいものや新しいアイデアを次々とさがし求める(そして望むままに付け加えられていく)。帰納的な見方をしていれば、当然ながら何を買おうかと決める機会が多数かつ頻繁に生じるし、さらなるデータを欲することになる。その結果、ポートフォリオにはたくさんの銘柄がならぶが、それぞれがポートフォリオ中で占める影響は小さくなってしまう。ピーター・リンチがその例で、彼は帰納的な考え方に熟達したすごい人だった。一方、マンガーについて私が読んできたあらゆるものが示しているのは、彼は多次元的に考えるが(帰納的および演繹的)、演繹的な考え方に偏っていることだ(いつでも逆にして考えよ)。マンガーは、市場をながめて自分のせまい定義に合うものをまずさがし(帰納的な部分)、それからそれらの候補をなぜ買いたくないかという観点でみつめる(演繹的な部分)。このように演繹面へとかたよることで、マンガーは投資対象の領域を大幅にせばめ(バフェットよりもずっと)、決め手になると考えているごくわずかな変数だけにひたすら集中し、非常に確かな企業だけにしぼりこむ。この中核銘柄の数は、拡大するよりも縮小する傾向にあるだろう。わずかな中核銘柄に対してマンガー言うところの「心の用意ができていれば」、いつでも買いに出られる準備が整う。そしていずれかの値段が魅力的なところまで下落すれば、大きく買いに出るのだ。彼にとっての毎日とは、それら候補に挙げたわずかな銘柄をすべて却下するばかりで、何の行動もとらない。どの中核銘柄にも魅力的な値段がつかなければ、大量の現金を寝かせたままじっと待ちつづける。ご察しのとおり、必要ならば何年でも。

The mental approach. I have come to realize that the key to owning only three and betting big has everything to do with Munger's mental approach to the process. To own three and sleep well at night FORCES one to thoroughly know and understand the business. The emphasis and bulk of time is by definition - reading, research, and attacking the problem with a multi-disciplinary approach from all angles. Munger has in essence spent a great deal of his "mental capital" developing a multi-disciplinary list of mental models which allow him to tear apart everything about a business so he has a very in-depth understanding of what he likes and why he likes it. No wonder he has no use for analyst opinion! His goal is a very deep understanding of a select few businesses. Once that mental capital and time is expended and a purchase made, a sell would in essence be a huge waste of his personal and mental resources unless of course something changed fundamentally with the business. When most people approach the investment landscape they use purely inductive thinking - constantly searching for things to buy and new ideas (adding on if you will). An inductive prism inevitably leads to numerous and frequent purchase decisions and a craving for more data. The end result is a portfolio of many names and insignificant portfolio percentages for each - as an example, Peter Lynch was a great inductive thinker and mastered it. Everything I've read of Munger shows that he is a multi-dimensional thinker (inductive AND deductive) with a bias towards deductive thinking (invert always invert). When Munger scans the market he's first looking for things that fit his narrow definition (the inductive part) and then from that list he looks for why he DOESN'T wish to buy (the deductive bias). This deductive bias has the result that Munger significantly narrows the investment universe (far moreso than Buffett), has a maniachial focus on only his few key variables, and then deduces a narrow core of very solid companies. If anything, this core would tend to shrink rather than expand. From this narrow core then when Munger says to "have a prepared mind" he is ready to execute and execute big when one of them falls to an attractive price. Most days he would cross everything off of his narrow list and derive at - no activity. If none of his core is selling at an attractive price then he'll sit on a pile of cash and wait - obviously for YEARS if necessary.

2013年9月26日木曜日

ある投資家が描くチャーリー・マンガー像(1)

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本ブログでは、チャーリー・マンガーに関する記事や彼自身の講演をたびたびご紹介していますが、今回は視点を変えて、ある個人投資家がチャーリーの投資スタイルを考察した文章を取り上げます。ずいぶん前に読んだ文章ですが、チャーリーのことを的確にとらえており、ずっと心に残っていました。

以下のリンク先にある原文は、The Motley Foolの掲示板に2003年6月18日付けで投稿されたものです。文章を書いた人はhartmanbirgeさんです。

The Munger Investment Process (The Motley Fool)

なお日本語(拙訳)は、数回に分割してご紹介します。

2週間を過ごしたアイルランドは物価が高い上に便乗値上げもしていたが(6缶パックが10ドル以上もする)、市場からしりぞいて距離をおき、チャーリー・マンガーがとる行動原理の核心をあらためて考え直す上ですばらしい機会となった。自分の投資思想にもっとも深く影響を及ぼしたのはバフェットよりもマンガーだとわかり、有意義な時間を過ごせた。私がバフェットよりもマンガーを好むのはいくつか理由がある。いちばん大きなものは、ちっぽけな個人投資家たる私が市場をしのぐ成績を達成するために、マンガーの思想は最高の機会をあたえてくれることだ。バフェットが有する「自分の土俵」は広大なもので、そこに至るまで彼は人生をささげてきた。一方、マンガーの興味はもっと多岐にわたり、投資面での彼の「土俵」はずっとせまい。私としては、市場に勝ちつづけていきたい。その一方で、他にもやりたいことがたくさんある。だからこそ、なおさらうまく集中しなければいけない。そこでアイルランドに降る雨を毎日ながめながらその2週間の間に、マンガーはどのような心持ちで投資の世界に取り組むのか理解しようとした。これを読まれているみなさんは、基本的な「マンガーのやりかた」はうまく受けとめているだろうし、マンガーがバフェットに影響を及ぼして純粋なベンジャミン・グレアム方式から質の高いビジネスへとしむけたのもご存じだろう。マンガーの投資思想とは、彼がどのように人生に向き合ってきたかによって生じた副産物なので、まずは「すべきでない」ことは何かをあげてみよう。

1. 分散しすぎる。
2. 借入れをする。
3. 証券の売り買いにいそしむ。
4. 馬鹿にならない額の各種費用を発生させる。
5. 群衆と共に歩む。
6. 魅力のない値段で買う。
7. 平均以下のビジネスを保有する。
8. 複利の法則を捨ておく。
9. つねに意思決定しつづけるよう、自らに強要する。これは各々の決定に費やす時間を減らすことになる。

それらを取り除いて最後に残ったもの、すなわちマンガーが投資を行う際の核心となる原理はつぎのようになる。

1. 投資で成功を収めていくには、カギとなるいくらかの決断に集約される。備えよ、常に。
2. ポートフォリオは質の高い企業数社に集中する。
3. 対象となる企業を、うまい値段で買う。
4. それ以降は、すばらしいビジネスモデルがもたらす卓越した経済性に任せる。

これらは単純な定義ではある。しかしよく考えてみれば、どれだけむずかしいことで、なぜマンガーが彼の発揮する能力ゆえに最上級の存在なのかがわかると思う。実際的な意味では、マンガーはそれほど多くは売買しない。実のところ、まれにしか取引しないと表現できるかもしれない。彼はこう発言してきた。「投資人生で成功することは、両手でかぞえられる決断にまさしく集約される」(バフェットを照らし合せてみれば、まず真実だと言えよう)と。自分の好むものがみつかれば、彼は非常に大きく賭ける。そしていったん決断したら、たいていは非常に長い期間にわたってそこにとどまりつづける。状況がそのような形に収斂するのはまれなことなので、ポートフォリオを分散させるには3社もあれば十分だ、と彼は公言している。たった3社しか保有しないことを考えると 、ふつうの人はぞっとするだろう。では、マンガーはなぜそうではないのか。

A couple of weeks spent in expensive, price gouging Ireland (over $10 for a six pack) was a great opportunity to step back, get away from the market, and do a reexamination on the core principles of Charley Munger. The time was well spent as I have come to realize that it is Munger, more than Buffett, who has had the most profound impact on my investing philosophy. I prefer Munger to Buffett for several reasons? mostly because as a small, individual investor it is Munger's philosophy which gives me the best chance to out-perform. Buffett's circle of competence is huge and he has spent a lifetime getting there. Munger's interests are more diverse and his investing circle of competence narrower. If I'm going to beat the market over time I'd damn well better focus intelligently because there are too many competing demands on my time. So with Irish rain falling every day I spent some of the two weeks trying to figure out how Munger mentally approaches the investment landscape. Most of you have a good idea of some of the basic "Mungerisms" and know that Munger influenced Buffett to transform from a pure Benjamin Graham style to look for high quality businesses. To begin, Munger's investment philosophy is a by-product with how he approaches life…..first look at what NOT to do:

1. Over-diversify
2. Leverage
3. Trade in and out of securities
4. Incur significant friction costs
5. Go with the crowd
6. Buy at unattractive prices
7. Own average to poor businesses
8. Destroy the laws of compounding
9. Force yourself to constantly make decisions which reduces the time spent on each

And by process of elimination we see what's left - Munger's core investing principles:

1. A lifetime of successful investing boils down to several key decisions - prepare your mind
2. Concentrate the portfolio in a few quality businesses
3. Buy the businesses at good prices
4. From there, Allow the superior economics of the great business model to do all the work for you

That is simplicity defined but a closer look I think shows just how hard it is and why Munger is a classic in his own right. In functional terms, Munger does not buy or sell very often - in fact one might characterize his transactions as rare. He has said that a successful investment life really boils down to but a handful of decisions (if you examine Buffett this is pretty close to the truth). When he likes something he makes a very large bet. Once he's made his decision he tends to stay with it for a long long time. As such a convergence of circumstances is rare, he's on record as saying that a portfolio of three companies is plenty of diversification. Most people I think would shudder in horror at the thought of owning only three companies. Why not Munger?

2013年9月24日火曜日

みなさんが受けた教育はまちがっています(チャーリー・マンガー)

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チャーリー・マンガーの(再考)世知入門の4回目です。今回は短い上に具体的な事例がないですが、大切なことを言っています。これは、経験や観察に裏付けられたものだと思われます。なお、前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

しかし基本的なモデルをわかっておらず、またモデルを扱うための基本的な思考方法をわかっていなければ、バリュー・ラインのグラフを目の前にしても手持ち無沙汰に終わることでしょう。しかし手をこまねいている必要はないのです。100ほどのモデルを学び、ひとにぎりほどの精神的な技を体得し、人生のあらゆる局面で使いつづけることです。そんなにむずかしいことではありません。

これが麗しいのは、そうやっている人がほとんどいないということです。まちがった教育を受けたのもそうなった理由のひとつですが、みなさんも同じようにまちがった教育を受けたことで危機に見舞われるかもしれません。それを避ける手助けになると思い、今ここで私がお話ししている次第です。

However, if you don't have the basic models and the basic mental methods for dealing with the models, then all you can do is to sit there twiddling your thumbs as you look at the Value Line graph. But you don't have to twiddle your thumbs. You've got to learn one hundred models and a few mental tricks and keeping doing it all of your life. It's not that hard.

And the beauty of it is that most people won't do it - partly because they've been miseducated. And I'm here trying to help you avoid some of the perils that might otherwise result from that miseducation.


近年になって、中学・高校程度の学科を学びなおしたり、うまく活用しようとする本が書店でよく見られます。時代がチャーリーに少しずつ追いつこうとしている、と個人的には感じています。

2013年9月22日日曜日

(映像)ウェスタン・オンタリオ大学基調講演(ローレン・テンプルトン)

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大投資家ジョン・テンプルトンの大姪ローレン・テンプルトンのことは、以前の投稿でご紹介しました。ファンド・マネージャーをつとめる彼女が投資家向けに講演した映像がありましたので、ご紹介します。元ネタはGuruFocusの記事からです。



個人的に参考になったり、おもしろかった話題を、以下に一言要約しています。文頭のやまかっこの数字は、映像開始からの経過時間<分:秒>を示しています。

<12:30> ここからローレンが登場します。それまでは司会役からの紹介です。

登場後しばらくは、ジョンの逸話や彼と接する間に受けた教訓を語っています。これらの話題は、彼女の著書『テンプルトン卿の流儀』でとりあげられたものです。このあたりの時間帯では、ローレンの話し方にまだ固さが感じられます。

<24:50> だんだんエンジンがかかってきて、話しぶりが生き生きとしてきます。

<27:35> 心理学的な話題です。ジョンは心理的バイアスを完全に理解していた、と話しています。

<28:10> 行動ファイナンスの話題の中で、ジェレミー・グランサムのファンドGMOに在籍するジェームズ・モンティエ氏の著書『The Little Book of Behavioral Investing』が紹介されています。わたしは未読ですが、amazon.comのレビューでは好評ですね。

<29:15> 人間がもつ2種類の認知のしかたについて。この話題は本ブログでも取りあげてきましたが(過去記事など)、彼女も重視しているようです。反応がファストな「扁桃体」と、スローで合理的な「前頭葉」を説明しています。

<34:15> バリュー投資家が注目すべき2つの機会をあげています。ひとつは「不人気銘柄」、もうひとつは「悲観のどん底で行動にでること」です。

<35:30> ブラックマンデーのその日、ジョンがスタッフと交わした会話を再現しています。参考になります。

<41:00> 機会を活かすには「ただただ備えること」。「買いたい銘柄一覧」を用意しておくことをすすめています。

<43:25> ジョンにとって、遠く離れたバハマで投資に専念したことが、投資上の成績を高めたとの話題です。ウォーレン・バフェットがオマハに在住していることにも、ふれています。

<48:40> パット・ドーシー氏の意見を引用しながら、バリュー投資家にとって非常に重要なこととして「人間がとる行動をうまく利用する」こともあげています。「これは、もっとも一貫性があることなので」と強調していたのが印象に残りました。たしかに人間は簡単には変われないものですね。

なお、パット・ドーシーについては以前の投稿で取り上げています。またローレンが引用した話題は、「Dorsey: Three Sources of Alpha」(映像)などで説明されているものです。

<50:00> 2005年に発表された、ジョンによる最後のメモの話題です。彼女は一読することを勧めていますが、たしかにそのとおりで、鋭い洞察です。たとえば以下のサイトに文章が掲載されています。

Sir John Templeton's Last Testament: Financial Chaos Will Last Many Years (newsmax)

<51:00> これから将来のことを考えると、何に投資したらよいのか。ジョンから聞いた話を語ってくれます。その答えは、ぜひ映像をごらんになってください。(あるいは、上述のメモの文末でも同じです)

2013年9月20日金曜日

大金持ちになるには(ウォーレン・バフェット)

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ウォーレン・バフェットが1994年にネブラスカ大学でおこなった講演その8、質疑応答がつづきます。今回の質問は、やや手厳しいです。なお、前回分の投稿はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問者> 株式投資を教える学校を開きたいと考えたことはありますか。

<ウォーレン> いいえ、生涯の仕事がありますから。バークシャー・ハサウェイの経営は、これからもつづけていくつもりです。

<質問者> 資金があると、人間は感情に左右されてその使い道を決めてしまう傾向があることが問題になります。これまでメディアなどで見聞きしたところ、あなたは明確で冷静な考えを貫いておられ、すごいなと感じています。たとえば今回の話で東京オフィスの方を登用した件について、ある種の要因をわかりやすいかたちで要約されています。では、株式を買うときにも同じようにしたとして、USエアーやソロモン・ブラザーズのように「はずれ銘柄」になったときは、どんなものなのでしょうか。それらの銘柄が、購入時に期待したような利益をあげてくれなかったのはたしかです。しかしどれだけ時間がたっても、結局はわからないのかもしれませんが。

<ウォーレン> どれか具体的な例でつづけましょうか。

<質問者> 以前にソロモン・ブラザーズのことを「金のなる木」と言われていたと覚えています。ではその株を買うことを決断したうちのどれぐらいが、何年間にもわたる6時間読書や電話での相談や思索の夜といったウォーレン・バフェット的行動によるものだったのでしょうか。また投機家的な感触や直観はどれぐらいだったのでしょうか。ある程度は入っていたのですか。

<ウォーレン> 予感とか直観ではなかったとは言えます。事業の有する今後の経済的見込みを理解しようとじっくり考えましたし、経営陣は信頼に値し、尊敬するに足る人たちか、見極めようとしました。価格が適切かどうかも考えました。そして出した結論が、よき人々に率いられたよい事業であり、値段も適切だというものです。一方で、そのように答えを出せない企業は山ほどあります。ニューヨーク証券取引所に上場されている数千社の企業には、わたしが見解をもっていない企業が非常にたくさんあります。そういった会社のことはよく知っていますが、将来の見通しについては少しもわかりません。ですから「自分の土俵で勝負する」とみずから呼ぶところまで、対象企業の数をしぼりこむようにしています。ここで肝心なのは土俵の広さではないですし、どこを土俵にするかでもありません。どれだけうまく境界線を定めるか、これが大切です。そうすれば、土俵の内側には何があり、外側には何があるのか把握できます。もしわたしに強みがあるとすればおそらく、自分が理解していることをやっているのか、それとも自分が理解していないことをやっているのか、それがわかる点です。これは証券にかかわる仕事をする上でカギとなります。大金持ちになるには、正しい決断をくだして証券をえらぶことが、ほんの何度かできればよいのです。うまい決断を100回もする必要はありません。わたしたちの場合、うまい決断が1年に1回できれば、まずはわたしのパートナー[=チャーリー・マンガー]がおどろきますし、さらにはそれで十分です。まあ、できすぎということです。ですからそれがわたしの目指すところで、今もアイデアをひとつさがしているところです。

しかしあなたのご指摘は正しいと思います。つまり何年間もみてきたあらゆることや、さまざまな読んできたものなどすべてがどこかで一体となり、ある決定を下す際に「自分の土俵の中」にいるという感覚を持ってしまった、という意味です。自分の土俵の中となれば、わたしはよろこんで大きく動きます。本当に理解しているものをちまちまと進めるやりかたは、わたしの信じるところではありません。何をするときでも、小さく進もうと考えたことはありません。そうする理由がないからです。小さくやっているときは、自分の見解に自信がないときです。そういうものはすっかり忘れてしまい、確信のあるほうを取り組みます。

Q. Have you ever thought of opening your own stock school?

A. No, I've got my occupation for the rest of my life. I plan to keep running Berkshire Hathaway.

Q. The problem with money is that it tends to flow toward the emotional part of the human being. And, I guess what fascinates me about you, in what I have observed in the media and so forth, is that you tend to keep a clear, cool head. For example, when you hired that fellow from the Tokyo office, you were adding up certain factors that were tangibles. I wonder if you do the same when you buy stocks, and what happens when they turn out to be "dogs", like USAir and Salomon Brothers. Obviously, those didn't pan out as expected when you bought them; however in the fullness of time, one can never tell.

A. You can probably tell on one of them, anyway.

Q, If you are talking about Salomon Brothers, I think you once referred to them as a cash cow; however, when you buy a stock like that, how much of it is just simply a result of Warren Buffett's many, many years of reading six hours, making phone calls, and thinking at night? Or, how much of it comes down to a gambler's feel or intuition? Is it that much?

A. I would say there is no hunch or intuitiveness or anything of the sort. I mean, I try to sit down and figure out what the future economic prospects of a business are. I try to figure out whether the management is someone or some group I both trust and admire, and I try to figure out whether the price is right. I mean that: It's the right business, the right people, and the right price. There are a whole bunch of businesses don't know the answer on. If you take all the companies on the New York Stock Exchange, a couple thousand plus, I don't have a view on a great many of them. I am familiar with them but I just don't have the faintest idea what is going to happen in the future. So, I try to narrow it down to what I call my "circle of competence". The important thing in your circle of competence is not how big the circle is. It isn't the area of it. It's how well you define the perimeter. So you know when you are in it, and you know when you are outside of it. And, if I have any advantage, it's probably that I know when I know what I'm doing, and I know when I don't know what I'm doing. That's key in the securities business. You have to make very few correct decisions in securities to get very rich. You don't have to do a hundred smart things. If we do one smart thing a year, (a) my partner will be surprised, and (b) that's plenty. I mean, that's more than enough. And, that's all I want to do. So, I'm looking for the one idea.

But you are correct that everything I look at over the years, all the reading I do and everything, comes together at some point in terms of giving me the feeling that this particular decision is within my "circle of competence". And, when it is within it, I'm willing to go very big. I do not believe in taking baby steps when you see something that you really understand. I never want to do anything on a small scale because, what's the reason? If I'm doing it on a small scale because I'm not that sure of my opinion, I'll forget it entirely and go onto something I'm sure about.