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2024年9月13日金曜日

遠い将来を予見する必要はない(『良い戦略、悪い戦略』より)

前回の投稿につづいて、『良い戦略、悪い戦略』からさらに3か所を引用します。これらの内容を知っておけば、実際に同書を読まなくても、戦略というものを的確に検討把握しやすくなると思います。まずは、戦略を立案する際に意識すべき構造についてです。


良い戦略には、しっかりした論理構造がある。私はこれを「カーネル(核)」と呼んでいる。戦略のカーネルは、診断、基本方針、行動の3つの要素で構成される。状況を診断して問題点を明らかにし、それにどう対処するかを基本方針として示す。これは道しるべのようなもので、方向は示すがこまかい道順は教えない。この基本方針の下で意思統一を図り、リソースを投入し、一貫した行動をとる。(p.11)

次の2つは、良い戦略を立てる際に役立つ汎用的なテクニックです。なお、その反対に個別の事情や状況によって取り組みの是非を検討すべき各種の方策も、本書では実例を踏まえながら、ふんだんに説明されています。


新しい戦略は、科学の言葉で言えば、「仮説」である。そして仮説の実行は「実験」に相当する。実験結果が判明したら、有能な経営者は何がうまくいき何がうまくいかないかを学習し、戦略を軌道修正する。(p.318)

戦略的になるということは、近視眼的な見方をなくすということである。逆にいえば、ライバルより広い視野を持つことである。同業者や競争相手が何をしているか、何をしていないか、つねに認識していなければならない。だからと言って遠い将来を予見する必要はない。あくまでも事実に基づいて、産業構造やトレンド、競争相手の行動や反応、自社の能力やリソースを観察し、自分の先入観や思い込みをなくしていく。そう、戦略的であるとは、近視眼的だった自分から脱皮することだと言えよう。(p.345)

参考までに、本書で実例として取り上げられている組織には、以下のようなものがあります。 アップル、米軍(第一次湾岸戦争)、ウォルマート、エンロン、(国防総省の)DARPA、DEC、スターバックス、IKEA、シスコ(Cisco)、コンチネンタル航空、AT&T、GM。そして目下大評判のNVIDIAについては、1章分を費やして説明しています。


(さらにつづきます)

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