人生で後悔したこと及びEBITDAについて
<質問> お二人は、世界中の何百万もの人たちからとても尊敬され、敬愛されていらっしゃいます[上海から来た質問者]。さて質問が2つあります。ひとつめはEBITDA(エビッダー; 利払い税引き償却前利益)についてです。事業を評価するのにふさわしい指標ではないと断言されていますが、なぜでしょうか。ふたつめは、お二人が人生で後悔されたことはありますか。人生や家族、個人的あるいは仕事の上でひとつだけ違うことをしていたら、と思われることは何ですか。
<バフェット> 個人的な問題についてのお返事は期待されないほうがよいかと思います。仕事の話ですと、チャーリー[・マンガー]ともっと早くから出会えていれば、とは何度も話したことがあります。出会った時のわたしは29歳で、彼は35歳でした。それ以降は愉快なことばかりでした。もっと早くから付き合い始めていれば、ずっと楽しかっただろうと思います。実はそうなる機会はありました。同じ商店で働いていたのです。ただし時期がちがっていました。
EBITDAには減価償却費が抜けています。これはもっともタチの悪い支出です。フロートの話題を好んで取り上げますが、フロートとは資金が先に手に入る一方、支出があとになる種類のものです。反対に減価償却費は、フロートとは反対の働きをします。つまり先に資金を支払いますが、会計上の支出はあとになります。これは好ましいものではありません。事業を買う上でほかの条件が同じであれば、減価償却費が発生しないもののほうがずっと望ましいです。固定資産に投じる資金が、基本的には必要ないからです。EBITDAは誤認を招く統計量です。非常に有害な手口で使われる可能性があります。
<マンガー> この問題の恐ろしさや、事業評価に対してその用語をもたらした人々の嫌悪すべき性質について軽くお考えだったように思いますが、どうですかね。まるでリース物件の不動産を扱う仲介業者が、1000平方フィートの一連の部屋をリースしようとする際に、実際は2000平方フィート分だったと言い出すようなものですよ。尊敬に値する行動ではないですね。そのようなやりかたで、かの言葉も広く使われるようになったのです。しかし公正な心を持った人間であれば、減価償却費は費用だと考えますよ。
<バフェット> ウォール街にとっては、とても有益な考えです。
<マンガー> だから連中はそうするのですよ。株価倍率が低くなりますから。
<バフェット> 奇妙なのは、実際にそれが受け入れられた方法です。それはともかく、この用語がどのように使われ、自分たちが使ってみせて概念を売りこむ様子がありありと残されています。2%と20%が同じ種類のものとなるわけです。この用語が通用する間は、この用語で押し通していくでしょう。
<マンガー> 今やビジネス・スクールでも使っています。おぞましくもおぞましいことですよ(笑)。盗人がその用語を使うだけでもうんざりなのに、広まったことでビジネス・スクールも真似をするとなれば、好ましい結末にはならないですね(拍手)。
(PDFファイルのp.45。Yahoo! Finance映像では6:18:40)
REGRETS IN LIFE and EBITDA
Q. You are highly respected and loved by millions globally. You believe EBITDA (is not a good parameter to evaluate a business. Do you have regrets in life, one thing you would have done differently in life, family, personal or business, what is it?
Warren Buffett: I don’t think you should expect us to answer that on personal matters. In business, I’d say I wished I met Charlie earlier. We’ve had a lot of fun ever since I was 29 and he was 35. It would have been even more fun if we started many years earlier. We had a chance to. We worked in the same grocery store but not at the same time.
In respect to EBITDA, it’s the worst kind of expense. We love to talk about float and float is where you get the money first and have the expense later. Depreciation is where you spend the money first and then record the expense later. It’s reverse float. It’s not a good thing. It’s much better to buy a business, everything else being equal, and it has no depreciation because it has essentially no investment in fixed assets. EBITDA is a very misleading statistic that can be used in very pernicious ways.
Charlie Munger: I think you understated the horrors of the subject and the disgusting nature of the people that brought that term when I was in business. It would be like a leasing broker of real estate who has a 1,000 square feet suite to be leased and says there’s 2,000 feet in it - that’s not honorable behavior and that’s the way that term got into common usage. Nobody in his right mind would think depreciation is not an expense.
Warren Buffett: It’s very much in the interest of Wall Street.
Charlie Munger: That’s why they did it. It made the multiple seem lower.
Warren Buffett: What’s amazing is the way it’s accepted actually. It just illustrates how people use language and sell concepts that work to their own use. 2% and 20% has the same sort of thing. As long as it can get sold, it will get sold.
Charlie Munger: Now they use it in the business schools. That is horror-squared. It’s bad enough when the thieves are using the term, but when it gets so common that the business schools copy it, that’s not a good result.
ウォーレン・バフェットはEBITDAのことを以前から問題視してレターでも取り上げていましたが、映像での発言によれば来年のレターでも触れる予定とのことです(ちなみに今春のレターでは、一言だけの指摘でした)。
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