<質問> コングロマリットだったテレダイン社がほぐれたことから学んだことはありますか。
<バフェット> テレダインのCEOだったヘンリー・シングルトンを観察することで、いろんなことを学びました。
<マンガー> シングルトンは我々よりもずっと頭のいい人物でしたよ。彼は目隠しでチェスを指すことができました。しかし投資の面ではバフェットのほうがシングルトンよりうまくやりました。いつも証券のことを考えていたからですね。(笑いながら)シングルトンとくらべると知能指数はかなり劣っていましたが、ウォーレンはうまくやってこられたのです。シングルトンは主要な重役たちを動機づけるのに非常に巧妙なやりかたをしました。ところが最後には3つの事業部がスキャンダルを起こしてしまいました。まちがった動機づけをしたせいで、政府との取引で度が過ぎたのです。
<バフェット> 動機づけが大きな力を持つことをわたしたちは信じています。ですが、隠れた動機づけによってまちがった行動を導くことがないように気をつけています。良識のある人物が誤った行動を起こしてしまう例を一度ならず見てきました。CEOに忠義立てして、数字を達成しようとしたせいです。「金銭的な報酬やエゴを満足させようとして誤った行動をとってしまう」、バークシャーではそうさせる誘因を撲滅するように努めています。
<マンガー> ヘンリーはバークシャーの株式と引き換えにテレダインを売却したがっていましたよ。(含み笑いをしながら)彼はとことん賢明だったわけです。(後略)
Buffett was asked what he learned from the unwinding of the Teledyne conglomerate. Buffett said he learned a lot from watching Henry Singleton, the CEO of Teledyne.
Charlie added that Singleton was a lot smarter than either of them. He played chess blindfolded. However, Buffett did better than Singleton in investing as Buffett was always thinking about securities. Charlie laughed, "Warren was able to get by with his horrible deficit in IQ to Singleton." Singleton had very clever incentives for key executives. In the end, he had three different departments get into scandals. They went too far in dealing with the government due to the wrong incentives being put into place.
Buffett added that they believe in the power of incentives. However, they try to avoid hidden incentives that make people misbehave. He noted that they have seen more than once really decent people misbehave because they felt there was a loyalty to their CEO to deliver certain numbers. At Berkshire, they try to eliminate incentives that would cause people to misbehave for financial rewards or ego satisfaction.
Charlie noted at the end, Henry wanted to sell Teledyne to Berkshire for Berkshire stock. He chuckled, "He was smart to the end."
2015年6月16日火曜日
2015年バークシャー株主総会;テレダイン社のシングルトン氏について
少し前の投稿でご紹介した本『破天荒な経営者たち』に登場していたテレダイン社の元CEOヘンリー・シングルトンのことが、5月2日に開催されたバークシャー・ハサウェイの年次株主総会でも話題になっていました。その箇所をご紹介します。なお、このシリーズの前回分はこちらです。(日本語は拙訳)
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2 件のコメント:
betseldomさん
最近、私も破天荒な経営者たちを読みました。
シングルトンさんのテレダインの話も面白く、納得させられる内容でした。
他の方々の話題も興味深く、一気に読んでしまいましたね。
合理的な判断をしていきたいものです。
投資男さん、こんにちは。コメントをありがとうございます。
わたしのほうも投資男さんのブログの記事は拝見しておりました。タイトルに対して似たような印象を持たれていたようで、うれしかったです。
本書を読んだことで、資本配分の観点で価値を生み出してくれる経営者がどういう人物なのか、あらためて理解できました。人数は限られているのでしょうが、見識ある経営者が存在する良い前例を示してくれており、これから投資先をさがす上で希望が持てます。
またよろしくお願いします。それでは失礼します。
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