いよいよ最後の疑問へと達しました。第一級のソフトサイエンスにおいて、最適な学際性へと発展する足取りを早めるには、どのような取り組みが必要でしょうか。これもまた容易な答えがいくつか挙げられます。
第一に、選択ではなく必修の科目をもっと増やすべきです。このことは翻ってみれば、何が必須かを決定する人に対して、幅広い学際的知識を深く理解した上で維持し続けることが要求されています。パイロット候補生の訓練では当然のことですし、幅広い問題を解決に取り組む役割に就こうとする人の訓練でも同じです。たとえば法学を修了するには、心理学及び会計学の両方に習熟することを必須とすべきです。ところが今日の優秀な学校においても、そのような要件を定めていないところがたくさんあります。カリキュラム立案者の精神が狭いゆえに何が必要かを判断できずに見逃してしまい、欠陥をそのまま修正できない例が多いのでしょう。
第二に、さまざまな学問分野にわたる問題解決の練習をもっとたくさんやるべきです。航空機シミュレーターは使わない能力が錆びつくのを防ぐ役割を果たしていますが、それを真似した取り組みも含みます。例をひとつあげてみましょう。おおざっぱに記憶しているものですが、ハーバード・ビジネス・スクールの教授が何十年も前に出した課題です。彼はこの種の教育を非常に賢明に、しかし型にはまらないやりかたで実践しました。
その教授が出したテストとは次のようなものです。世間知らずの2人の老婦人が、ニュー・イングランドにある製靴工場をちょうど相続したところでした、そこではブランド物の靴を製造していましたが、事業上の深刻な問題にはまり込んでいました。テストにはその詳細が綿々と描写されており、老婦人へ向けた助言を文書化しなさい、と要求されていました。学生には答えを書くのに十分な時間が与えられました。さて、出てきた全員の解答に対して教授は好ましくない成績をつけました。ただしある学生だけは、他を大きく引き離したトップの成績をもらいました。成功をおさめたその解答とはどんなものだったでしょうか。(解答編へつづく)
This brings us, finally, to our last question: In elite soft science, what practices would hasten our progress toward optimized disciplinarity? Here again, there are some easy answers:
First, many more courses should be mandatory, not optional. And this, in turn, requires that the people who decide what is mandatory must possess large, multidisciplinary knowledge maintained in fluency. This conclusion is as obvious in the training of the would-be broadscale problem solver as it is in the training of the would-be pilot. For instance, both psychology mastery and accounting mastery should be required as outcomes in legal education. Yet, in many elite places, even today, there are no such requirements. Often, such is the narrowness of mind of the program designers that they neither see what is needed and missing nor are able to fix deficiencies.
Second, there should be much more problem-solving practice that crosses several disciplines, including practice that mimics the function of the aircraft simulator in preventing loss of skills through disuse. Let me give an example, roughly remembered, of this sort of teaching by a very wise but untypical Harvard Business School professor many decades ago.
This professor gave a test involving two unworldly old ladies who had just inherited a New England shoe factory making branded shoes and beset with serious business problems described in great detail. The professor then gave the students ample time to answer with written advice to the old ladies. In response to the answers, the professor next gave every student an undesirable grade except for one student who was graded at the top by a wide margin. What was the winning answer?
2014年7月22日火曜日
(ハーバード・ビジネススクールでの出題)事業を相続した老婦人への助言
1998年に行われたチャーリー・マンガーの講演「学際的能力の重要性」の6回目です。ハーバード・ロー・スクールのかつてのクラスメートに対して、同じハーバードのビジネス・スクールで登場した学際的な問題解決の事例を紹介しています。今回の設問部を読んだだけできれいな解答を出せるものではありませんが、参考になる話題なので解答にあたる後半部は次回の投稿でご紹介します。なお、前回分はこちらです。(日本語は拙訳)
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