ot

2014年6月22日日曜日

わたしの目標(ウォーレン・バフェット)

ウォーレン・バフェットが1994年にネブラスカ大学でおこなった講演その26です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問者> 全米一の大金持ちになった今では、バフェットさんの次の大きな目標は何ですか。

<バフェット> そうですね、株主総会でも言いましたが、今の目標は全米の男性の中で最年長になることです。葬儀の時に言ってほしいのはそれだけです。「なんと、彼はずいぶん長生きしたんだね」と言ってほしいのです。それから、今やっていることをなるべくずっと続けていきたいです。ゴルフのハンデを5打減らしたいといった特別な願望はありません。自然にはそうならないですし、それに時間をかけるつもりもありません。わたしにとっては大差ないことです。他のことと同じように、現在のレベルで楽しんでやれるぐらいの力はあるだろうと思っています。本当に、まったく、これっぽっちも、他に目標などありません、これまでやってきたことをこれからもやっていけるだけ元気でいられれば、それでいいのです。

Q. Mr. Buffett, after being the richest man in America, what are your major goals now?

A. Well, as I said at the Annual Meeting, now my goal is to be the oldest man in America. That's all I want said at my funeral. I just want someone to say, "My God, he was old!" I just want to keep doing what I'm doing, as long as I can. I have no desire to bring my golf handicap down five strokes particularly; it won't go down there by itself, and I'm not going to spend time to do it. It doesn't make that much difference to me. I feel like I can have as much fun doing what I do at this level as anything else. I really, really, really have no goals other than to stay healthy enough to keep doing the same thing I've been doing.


<質問者> 質問が2つあります。ひとつめは、この国における2大政党体制の将来についてどう思いますか。ふたつめは、1996年の大統領選でコリン・パウエル氏の立候補はどうだと思いますか。

<バフェット> ご存知のように、政党の独自性や支持層は過去に大きく変化しました。おそらくわたしは、どちらの所属でもおかしくないという点で典型だと思います。しかし政党がそれほど重要なものだとは考えていません。他の候補者より劣ると思われる人に投票することを強制するような党議拘束や忠誠心は、たしかにありません。その点で、テレビがもたらしてきた影響は多大だったと思います。今の政党は今後も続いていくと思います。消滅したり、分裂する可能性が高いとは思っていません。

コリン・パウエルのことは、彼がすばらしい人だとしか知りません。個人的には存じていませんが、あきらかに傑出した人物です。しかしさまざまな問題について見解を述べはじめると、だんだん人気が落ちていくのではないでしょうか。それが政治というものです。ある問題について賛否のどちらなのか明言すべきときがやってくると、支持者は急激に減りはじめます。しかし、個人としての品格という面では彼は最上級の人物だと考えたいですね。多くの問題に対して彼がどのような見解を持っているのか、実のところわたしにはわかりません。しかし、来年あたりには誰もがそれを知るようになるかもしれません。

Q. I have a two-part question. Number one, what do you think about the future of the two-party system in America? And, number two, what do you think about the candidacy of Colin Powell for President in '96?

A. Well, what has happened, as you know, is that party identifications and loyalties have changed dramatically. I'm probably typical in that I may be registered one way or the other, but I don't really think much about that. Certainly there is no party discipline or loyalty that can be called upon to get me to vote for somebody whom I think is inferior to another candidate. I think television has contributed to that very substantially. I think the parties will continue along; I don't think they will disappear or splinter in all likelihood.

Everything I know about Colin Powell is good. I do not know him personally. He is clearly an outstanding human being. If he starts offering his opinions on various subjects, his popularity will tend to diminish because that's the nature of politics. When you have to say whether you are for or against something, you start losing people pretty fast. But, in terms of the quality of that individual, I would think he would be first-class. I have no idea really what his views are on a lot of subjects. We may learn in the next year or so.

4 件のコメント:

ブロンコ さんのコメント...

== 目標・計画 ==
私は投資には常に無数の不確実性が伴うと考えているので、厳密な目標や計画を立てず、バフェットも尊敬するテレダインのヘンリー・シングルトンやインテルのアンディー・グローブのようにその時々の状況に合わせて柔軟に行動するようにしています。
やることといったら毎朝4時に起床して、本を読んだりビジネスの競争優位性を研究したり起こりうる可能性のことを考えたりして投資のアイデアを蓄え、チャンスに柔軟に素早く行動できるようにしているくらいです。
投資に関して言うのなら、目標や計画を策定したり、その進捗状況を確認したり、目標や計画を達成した理由もしくは達成しなかった理由を追跡したりするのに時間をかけるのはあまりいい時間の使い方ではないと思います(かつては私もそういったことに心を奪われたこともあります)。
余事象という視点から考えると、やるべきことを目標や計画にして実行するのではなく、やるべきではないことややらないことを挙げてそれを避けるようにすればそこそこ望ましい方向へ向かっていくのではないか・・・その程度に考えることで硬直することなく柔軟性を保っています。

betseldom さんのコメント...

== ブロンコさんへ ==
ブロンコさん、
ご自身の行動指針に関するコメントをありがとうございました。
「投資には常に無数の不確実性が伴う」がために「その時々の状況に合わせて柔軟に行動する」とのお考えは、本ブログで取りあげている人物ではハワード・マークスやマイケル・モーブッサンに通じるところがありますね。ご意見には共感できます。ただしわたしの場合は、具体的な知識が足りないせいで柔軟に動けないことが何度もありました。
「やるべきことを目標や計画にして実行するのではなく、やるべきではないことややらないことを挙げてそれを避ける」との指針は、上で引用したものと併せることで威力を発揮しそうですね。ウォーレン・バフェット的に言えば「好球が来るまで待つ」わけですから、それまでの間に下手を打たないことが肝心だ、と個人的には解釈しました。
しかし「毎朝4時起床」はお見事ですね。それでは失礼致します。

ブロンコ さんのコメント...

== No title ==
ハワード・マークスのポートフォリオを最近とあるサイトで見ましたが、まさに見たことも聞いたこともないような企業が並んでおり、大変刺激になりました(今の私には容易に理解できそうのない企業も多くありました・・・)。
今年は日本人にはなじみの薄い米国の石油・天然ガスパイプライン会社と航空機部品の製造会社を組み入れました。どちらも強固な顧客基盤を持つ企業です。
数年前であればこれらの企業に投資することなど考えもしなかったと思いますし、絶対的な投資計画などがあればなおさら投資しなかったと思います。
たいした目標も計画もなく投資のアイデアを蓄えながら進んでいれば、いつかはハワード・マークスのポートフォリオにあるような企業にもチャンスを見出すことができるようになるかもしれません。そんな日が来ることを楽しみに待ちたいと思います。

betseldom さんのコメント...

== ハワード・マークスなど(ブロンコさんへ) ==
ブロンコさん、コメントをありがとうございました。
ハワード・マークスやセス・クラーマン(のチーム)はマネー・マネージャーという仕事柄、一般には見えにくいバリューを探すのがうまいですね。ブロンコさんが書かれたように、わたしも彼らのような「チャンスを見出すことができるように」なりたいと感じています。
「米国の石油・天然ガスパイプライン会社と航空機部品の製造会社」はどちらもMoatを感じさせる業種ですね。パット・ドーシーの本にそのまま出てきそうな印象です。
どうもありがとうございました。またよろしくお願いします。