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2012年1月30日月曜日

アインシュタインもさかさに考える

以前取り上げたアインシュタインの伝記ですが、チャーリー・マンガーの主張する「逆だ、いつでも逆からやるんだ」をアインシュタインもやっていた場面があったので、ご紹介します。

アインシュタインの一般相対性理論への道は1907年11月に始まった。そのとき彼は特殊相対性理論を説明する科学年次報告の論文の締め切りと格闘していた。その理論の2つの制限が彼を悩ませた。つまり等速直線運動だけに適用できる(もしあなたの速度や運動方向が変化していると適用できない)し、その理論はニュートンの重力理論を含んでいない。

「私はベルンの特許局の椅子に座っているとき、急にある考えが頭に浮かんだ」と彼は回顧している。「もしある人が自由落下をしているとすると、自分の体重を感じないであろう」。その認識が彼を「飛び上がらせ」特殊相対性理論を一般化して「重力理論の方向に私を追いやる」という、8年に及ぶ大変な努力に駆り立てた。後になって彼は「人生で最も幸福な考え」とたいそうに回顧している。

(中略)

アインシュタインはその思考実験を洗練して、落下している男は地球上で自由落下しているエレベーターのような閉じた箱の中にいるとした。この落下する箱の中で(最後に地上に衝突して壊れるまで)、この男は無重力状態を感じる。ポケットから物を取り出して、手を離すと彼のかたわらで空中に浮かぶだろう。

別の観点で考えよう。「どんな星や質量からもはるかに離れた」空間に浮いた部屋の中にいる男をアインシュタインは想像する。彼は先と同等な無重力状態を感じるはずだ。「この観測者には重力は存在しない。彼は床に糸か何かで繋いでおかないと、床からのちょっとした衝撃でふわふわと浮き上がり、天井に行ってしまうだろう」

つぎにこの部屋の天井にロープが繋がれていて、一定の力で引っ張られているとアインシュタインは想像した。「部屋とその中の観測者は一定の加速度で『上方』に動き始める」と中の男は床に押し付けられているように感じる。「するとその男は地球上にある家の部屋に立っているのと同様に、箱の中に立っている」。

(中略)

アインシュタインが正にこの問題を調べるときの関連づけは、彼に典型的な天才的なものである。余りよく知られているので科学者が問題にもしないような現象を彼は調べる。 (上巻 p.224)



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