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2014年3月1日土曜日

2013年度バフェットからの手紙 - 投資に関するわたしからの助言(3)

ウォーレン・バフェットの2013年度「株主のみなさんへ」、Fortune誌掲載分の最終回です。大団円で、きれいな幕引きです。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

さて、ベン・グレアムの話題に戻りましょう。ここまで書いてきた投資に関する考えのほとんどは、ベンの書いた本『賢明なる投資家』(The Intelligent Investor)からわたしが学んだことです。1949年に買ったその本が金融面におけるわたしの人生を変えました。

ベンの本を読む前にも投資に関するあらゆる本を貪り読んでいました。そして投資の世界をうろうろしたものです。読んで覚えたさまざまなことに夢中になり、手書きでチャートを書いたり、市場に現れた兆候をもとに株価の動きを予測しようとしました。証券会社の事務所に行って腰を下ろし、銘柄情報のテープが吐き出されるのをながめたりしました。評論家の意見にも耳を傾けました。どれも楽しめるものでしたが、どこにも行けないという想いを払いのけることはできませんでした。

それに反して、ベンは自分の考えを優雅にそしてわかりやすい普通の文体で論理的に説明していました(ギリシャ文字や複雑な公式は出てきません)。のちの改版で第8章そして第20章と章立てされた箇所に、わたしにとって核心となる内容が記されていました。その主張こそ、今日のわたしが投資上の判断をくだす際の導き手となっています。

その本には興味をひく情報がいくつか追加されています。のちに出た版の追記では、ベンが投資した宝の山が何だったのか名前が明かされました。初版を書いていた頃の1948年に、ベンはその銘柄を買っていたのです。驚くなかれ、謎の会社はGeico[ガイコ;バークシャーの子会社となった保険会社]でした。ガイコがまだよちよち歩きの頃にベンが同社の特質を認識していなかったら、わたしやバークシャーの将来はまるでちがっていたでしょう。

また1949年版では、ある鉄道会社の株が推奨されています。当時の1株当たり利益10ドルに対して、株価は17ドルでした(最新の事例をあつかう勇気を持っていたことも、ベンを尊敬する理由のひとつです。へまをやれば公然と冷笑されるかもしれないのですから)。低い評価を受けていたのは、当時の会計基準によるところもありました。鉄道会社が会計報告する際には、その利益から関連会社に留保されている利益の大幅な額を控除する決まりになっていました。

推奨されていたのはノーザン・パシフィック社の株でした。そのもっとも重要な関連会社がシカゴ・バーリントン&クインシーです。現在それらの鉄道は、バークシャーの完全子会社となったBNSF(バーリントン・ノーザン・サンタフェ鉄道)において重要な位置を占めています。この本を読んだ頃に市場がノーザン・パシフィックに付けていた値段は約4,000万ドルでした。現在その後継会社は(もちろん多大なる資産が加えられましたが)、4日間ごとにその金額を稼いでいます。(訂正しました:4分間->4日間)

最初に『賢明なる投資家』を買ったときにいくら払ったのか、思い出すことができません。しかし値段はどうであれ、この件はベンの格言がいかに正しいか強調しています。「価格とは自分が払ったものであり、価値とは自分が得たものである」。わたしが投資したあらゆるものの中で、ベンの本を買ったことが最高の投資でした(ただし結婚許可証に2回お金を出したことは別にして)。

And now back to Ben Graham. I learned most of the thoughts in this investment discussion from Ben's book The Intelligent Investor, which I bought in 1949. My financial life changed with that purchase.

Before reading Ben's book, I had wandered around the investing landscape, devouring everything written on the subject. Much of what I read fascinated me: I tried my hand at charting and at using market indicia to predict stock movements. I sat in brokerage offices watching the tape roll by, and I listened to commentators. All of this was fun, but I couldn't shake the feeling that I wasn't getting anywhere.

In contrast, Ben's ideas were explained logically in elegant, easy-to-understand prose (without Greek letters or complicated formulas). For me, the key points were laid out in what later editions labeled Chapters 8 and 20. These points guide my investing decisions today.

A couple of interesting sidelights about the book: Later editions included a postscript describing an unnamed investment that was a bonanza for Ben. Ben made the purchase in 1948 when he was writing the first edition and -- brace yourself -- the mystery company was Geico. If Ben had not recognized the special qualities of Geico when it was still in its infancy, my future and Berkshire's would have been far different.

The 1949 edition of the book also recommended a railroad stock that was then selling for $17 and earning about $10 per share. (One of the reasons I admired Ben was that he had the guts to use current examples, leaving himself open to sneers if he stumbled.) In part, that low valuation resulted from an accounting rule of the time that required the railroad to exclude from its reported earnings the substantial retained earnings of affiliates.

The recommended stock was Northern Pacific, and its most important affiliate was Chicago, Burlington & Quincy. These railroads are now important parts of BNSF (Burlington Northern Santa Fe), which is today fully owned by Berkshire. When I read the book, Northern Pacific had a market value of about $40 million. Now its successor (having added a great many properties, to be sure) earns that amount every four days.

I can't remember what I paid for that first copy of The Intelligent Investor. Whatever the cost, it would underscore the truth of Ben's adage: Price is what you pay; value is what you get. Of all the investments I ever made, buying Ben's book was the best (except for my purchase of two marriage licenses).


備考です。バークシャー・ハサウェイのプレスリリースによれば、2013年度の年次報告書は日本時間の3/1(土)22:00(米東部標準時3/1(土)8:00)に公開される模様です。

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