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2026年1月21日水曜日

『お金と経済』、読みやすい経済入門書

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本書『お金と経済』の著者である永濱利廣氏は、エコノミストとして各種のyoutubeメディアに登場しています。例にもれず、わたしもそれらの映像を視聴しており、その流れで本書を手にとった次第です。彼はまた、政府の経済財政諮問会議に民間議員として参画しており、高市政権の経済政策を推進する論理的背景を支えていると思われます。


本書では、大きな話題(経済全体)と身近な話題(自分のお金)をとりまぜて説明し、国や自分自身が経済的に豊かになるための道筋を示しています。想定読者としてぴったりなのは、経済について興味を持ち始めてきたものの、基礎知識がまだ不足している人でしょう。一方で株式投資に親しんでいて経済全般を把握している人にとっては総復習的な位置づけにとどまるものの、経済について多角的に説明しているので、自身の見解の抜けを埋めたり、誤解を正すことが手軽にできる一冊です。


そして本書の特徴と言いたいのが、話題展開が平易でわかりやすく読みやすい点です。ある話題に関する具体的な要因をカギかっこを使って明示列挙し、それぞれについて説明を加えていく作法を一貫して使っています。これによって、文章を小気味よく読み進められることができ、同時に理解もしやすくなっていると感じました。理工系出身らしさが感じられる文章です。


さて、以下に引用するのは第3章「教育」からで、金融リテラシーにおける心理学的な話題です。


人間には知性があって、何ごとも合理的に判断する面もありますが、なぜお金に関しては「勢い」で意思決定してしまうのでしょうか。これには主に4つの要因があります。


1つめは、「感情の影響」です。なかでもまず考えられるのが、「喜びや興奮」です。投資で成功した話を聞いたり、魅力的な商品を見つけたりすると、人は強い喜びや興奮を感じ、冷静な判断を失いがちです。(中略)


また、「恐怖や不安」もあります。(中略)合理的な分析よりも感情が優先され、損失を確定させてしまう可能性があるのです。(中略)


2つめは、「心理的なバイアス」です。(中略)人は手に入りやすい情報や鮮明な記憶に基づいて判断してしまう傾向のことです。(中略)


「確証バイアス」にも注意が必要です。(中略)自分が「儲かる」と思った投資について、無意識のうちに肯定的な情報ばかりを探してしまい、リスクを見逃してしまうのです。(中略)


3つめは、「社会的な影響」としての口コミや評判です。(中略)経済や投資に関するインフルエンサーの発言は、多くの人に影響を与えます。自身に専門的な知識がない場合、彼らの言葉を鵜吞みにしてしまうことがありますが、周りの人たちから支持されている人の情報は正しい、との思い込みが働くのです。(中略)


4つめは、「時間的制約や情報過多」です。機会損失への焦りによって「いますぐ行動しないと、チャンスを逃す」という焦燥感から、十分な検討をせずに意思決定をしてしまうことがあります。(中略)


世の中には、あまりにも多くの情報が溢れているために、一つひとつを吟味する時間や能力が追いつかず、表面的で感情的な情報に流されてしまうことがあります。(p.152)