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2014年3月3日月曜日

2013年度バフェットからの手紙 - またしてもやってしまいました

2013年度のバークシャー・ハサウェイ社の業績は、売上高が約18兆円、純利益が2兆円弱でした。その会社のトップであるウォーレン・バフェット氏が、今年も株主のみなさんへ自分のあやまちを報告します。2013年度「株主のみなさんへ」[PDF]からの引用です。(日本語は拙訳)

なお2011年度に書いた報告は、過去記事「今年も反省します」で取りあげています。

わたしたちは株式を保有するだけでなく、債券にも多額の資金を投資しています。その投資は成功におわることが多いものの、必ずしもそうとは言い切れません。

エナジー・フューチャー社(Energy Future Holdings)という会社をご存知の方は、ほとんどいらっしゃらないと思います。それはツイています。わたしもそうだったらと心の底から思います。2007年に設立された同社は、多額の借入金を使ってテキサス州にある電力事業を買収する目的の会社でした。80億ドルの資金を払った投資家が株式を保有し、その上で必要な多額の資金は借入によって賄うことになりました。バークシャーは20億ドル分の債券を購入しました。そのときチャーリー[・マンガー]に相談せずに、わたしの判断で進めてしまいました。これが大きなまちがいでした。

天然ガスの価格が上昇していなかったら、同社はほぼ間違いなく2014年中に破産したでしょう。我々は昨年、保有する債券を2億5,900万ドルで売却しました。債券を保有している期間に受け取った利息が8億3,700万ドルでしたので、結局は税引き前で8億7,300万ドルの損失を出しました。次からはちゃんとチャーリーに電話をかけるようにします。(PDFファイル19ページ目)

In addition to our equity holdings, we also invest substantial sums in bonds. Usually, we've done well in these. But not always.

Most of you have never heard of Energy Future Holdings. Consider yourselves lucky; I certainly wish I hadn't. The company was formed in 2007 to effect a giant leveraged buyout of electric utility assets in Texas. The equity owners put up $8 billion and borrowed a massive amount in addition. About $2 billion of the debt was purchased by Berkshire, pursuant to a decision I made without consulting with Charlie. That was a big mistake.

Unless natural gas prices soar, EFH will almost certainly file for bankruptcy in 2014. Last year, we sold our holdings for $259 million. While owning the bonds, we received $837 million in cash interest. Overall, therefore, we suffered a pre-tax loss of $873 million. Next time I'll call Charlie.


純利益2兆円弱の裏に8億7,300万ドル(900億円弱)の損失があったと聞かされても、ウォーレンに不平を言うバークシャーの株主は非常に少ないでしょう。少なくとも個人的にはなんとも感じていません。自分の意見をそのまま敷衍できるわけではないですが、バークシャーの株主がウォーレンやチャーリーに寄せる忠誠心は絶大なものと感じています。彼らのようなすばらしい能力を持った人間が誠実にふるまおうと努力している様子をみると、その組み合わせが稀なゆえに自然と惹かれてしまうような気がします。

その意味で今回の文章を読んで個人的に気がついた点は、「このような報告事例がバークシャー子会社の経営陣に対して言行一致の見本となる」ことです。ウォーレンが彼らに要求するものに、「悪いニュースを早く知らせてほしい」という指示があります。時期という点では、今回の文章は遅れてはいます。しかし隠し立てをせずに正確な事実を伝えあうという前向きな姿勢は、みずから進んで示しています。世間一般の優良企業の経営陣ががむしゃらにやるのは仕方がないことかもしれませんが、ソフトなアプローチを積み重ねるウォーレンのようなやりかたも、もっと評価されていいと感じています。またこのような経営文化が存在することは、きわめて真似のしにくい競争優位だと思います。

話は大きく変わりますが、もうひとつ気づいた点はウォーレンが合意した債券の利率水準です。20億ドルの元本に対して約6年間で受け取った利息が8億3,700万ドルでした。単純に計算すると利率は約7%になります。投資時期が2007年と微妙な時期ではありますが、ウォーレンは意外と楽観的に考えていたように個人的には受けとめました。

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