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2015年10月28日水曜日

なにが投資をリスキーにしているのか(ウォーレン・バフェット)

ウォーレン・バフェットが今年の2月にウェスタン・オンタリオ大学の学生と面会した際の質疑応答その3です。今回分の発言では、少々刺激的に感じられる箇所もありました。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問3> 逆張り的なアイデアに対する確信をどのように深めておられますか。リスクをどのようにとらえていますか。

<バフェット> バークシャーではいくつかのフィルターを発展させてきました。提案やアイデアについてプレゼンテーションや評価をしている途中で、その一部がフィルターのどれかにひっかかった場合には、投資に踏み切ることはありません(過去記事)。チャーリーも似たようなフィルターを使っています。案じていることがたくさんあるわけではありません。自分たちが得意とする領域内で、いくつかの点が正しければよいだけです。みなさんが午前中に訪問したネブラスカ・ファニチャー・マートがその好例です。[バークシャーによって買収される際に]ミセスBは現金を受け取ることにしました。株式のことは理解していなかったからですね。大切なのは、自分が何をできるのかを知ることです。今後5年間のうちに自動車業界で支配的な地位を占めるのはどの会社でしょうか。わたしにはわからないので、株を買いません。それよりも、自分の得意領域における単純な物事のほうがいいです。良い意思決定をすれば、自分に怒鳴りかけてくれます。たとえば2008年には、単に資産価格が安かったという理由を恐れるべきではありませんでした。みなさんがおくる投資人生の間に同じようなことが起こって、「金銀小判の雨あられ」となる機会が6回あるかもしれません。

リスクに関してですが、わたしが関わってからバークシャーのポートフォリオで損失を出したのは、2%の損失が1回、1%の損失が2回ありました。すべて1974年と1975年に起きたものです。もっと割安な別の資産を買うために、資産を安値で売ったのですね。長期的に見たとき、つまり現在の購買力を将来のためにあきらめるときには、株式にはリスクがありません。一方、現金はリスキーな資産です。株式におけるリスクとは、当該企業が今後何をするかではありません。伝統的なファイナンスの教えでは、ベータがリスクを計測するとされています。しかし価格変動もリスクではありません。リスクとは購買力が減価することです。価格変動幅は、十分に長い期間でみれば減少していきます。投資をリスキーなものとしているのは個々人です。当社の年次報告書を明日公開しますが、そのなかでリスクをどう考え直すべきか触れています(過去記事)。株式は債券よりリスキーだと考えられていますが、長期的にみればそれは真実ではありません。

Question#3 How do you develop conviction for contrarian ideas? How do you perceive risk?

Answer#3: At Berkshire we have certain filters that have been developed. If in the course of a presentation or evaluation part of a proposal or of an idea hits a filter then there is no way I will invest. Charlie has similar filters. We don't worry about a lot of things as we only have to be right about a certain number of things - things that are within our circle of competence. A great example is the Nebraska Furniture Mart that you visited this morning. Mrs. B took cash because she didn't understand stocks. It is important to know what I can do. I have no idea which company will dominate in the auto industry in the next 5 years so I don't pick. I prefer simple things in my circle of competence. Good decisions scream at you. For example in 2008 you shouldn't have been afraid just because assets were cheap. In your entire investment lifetime you may have 6 times when this happens and it is 'raining gold'.

With regards to risk, the Berkshire portfolio suffered a 2% loss once and had 1% losses twice in our history. This was all in 1974 and 1975 when we sold assets cheap to buy other assets cheaper. Stocks are riskless if held over a long time frame as you are simply giving up purchasing power now for later. Cash is the risky asset. Risk in stocks is not what the companies will do. Traditional finance teaches that Beta is a measure of risk but volatility isn't risk. Risk is loss of purchasing power. Volatility declines over a long enough timeframe. It is individuals that make investments risky. In our report that is due out tomorrow I talk about how risk needs to be rethought. People think stocks are riskier than bonds, which is not true for a long time horizon.

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