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2012年7月14日土曜日

帰り道をまちがえる(チャーリー・マンガー)

Poor Charlie's Almanack』に掲載されているチャーリー・マンガーの写真には、本を手にした姿がいくつかあります。なかでもわたしのお気に入りは、歩きながら本を読んでいる写真です。今回の引用は、そんなチャーリーの思索的日常生活を息子デイヴィッドが書き記したものです(David Borthwick; 再婚した妻の連れ子)(日本語は拙訳)。

毎晩のように、父はお気に入りの椅子に座って何かを読むのに没頭していました。このときの様子はおもしろおかしいとしか言いようがありませんでした。はしゃぎまわる小さな子供たち、騒々しいTVの音、夕食の準備ができたと呼ぶ母さんの声。そういうのが父の耳にはほとんど入っていなかったのです。

何かを読んでいないときでも、父は静かに深く考えこむことがよくありました。たとえば、モリーとウェンディー[娘たち]をむかえに行ってパサデナへ帰るいつもの道でも、母さんが正しい方向へ指示しないと、まちがってサン・バーナーディノにいく道へ進んでしまったものです。そのようなときに父が何を考えていたのか、わたしにはわかりません。ですが、アメフトの試合やゴルフでの打ち損じを思い起こしていたわけではありませんでした。父が成功した要因はいろいろあるでしょうが、自分が熟考しているところに割り込んでくるじゃまものを固く閉め出すことができたのも、それらと同じように重要なことだったと思います。父の関心をひくことには楽しみがある一方で、歯がゆいところもあったものでした。

You have a dead-on comedic take on Father night after night in his favorite chair poring over something, all but deaf to the roughhousing younger children, a blaring TV, and Mom trying to summon him to dinner.

Even when not reading, Father was often so deep in contemplation that a routine drive to take Molly and Wendy back to Pasadena could have turned into an excursion to San Bernardino without Mom calling out the correct freeway turnoffs. Whatever was on his mind, it wasn't the outcome of a football game or a botched golf shot. Father's ability to Chinese wall off the most intrusive distractions from whatever mental task he was engaged in - a practice alternately amusing and irritating if you were trying to get his attention - accounts as much as anything else for his success.


蛇足ですが、わたしも歩きながら読書派です。自転車読書もやりますが、ときどき見知らぬ人から叱られています。

3 件のコメント:

ケントマン さんのコメント...

== 成功者・・・ ==
「成果を出すためには、考える時間を増やせ」とよく言われますが、マンガー氏はここまで考えることに没頭しているのですね。
それが習慣化しているというか。
ただ、それによって犠牲になってしまうものもある。
いつも思うのですが、「考えること、自分を磨くこと」と「プライベートな時間」のバランスって難しいですよね。

betseldom さんのコメント...

== ケントマンさん、こんにちは ==
ケントマンさん、コメントありがとうございました。
バランスをとりながら成功者を目指すのは、時と場合によっては難しいことだと、わたしも感じています。極端な仕事ぶりだったウォーレン・バフェットは、最初の奥さんのスーザンが家を出て別居の道を選んだので、ずっと後悔していましたね。もう一度やり直せるとしたらウォーレンはどういうバランスを選ぶのか、興味深いIfです。
焦点が若干ずれてしまいますが、以前ご紹介したジェイソン・ツヴァイク氏(ウォール・ストリート・ジャーナルのコラムニスト)による「真の割安投資の目的とは」は、心に残る一文でした。
「自分が他の人たちのために役立つ存在となり、周りの世界をよりよい場所にするために、授かった才能を引き出すことだ」
http://betseldom.blogspot.com/2011/10/mf-31.html
それでは、またよろしくお願いします。失礼致します。

ケントマン さんのコメント...

== おお・・・ ==
いい文を紹介していただきありがとうございます。
本当に大切なのは、自分自身が価値のある人間になること。
それが真の割安投資の目的なんですね。
投資というのは、価値を買うというよりも、価値を最大にすることなのでしょうね。
その価値は自分に持つべき。
なんだか、投資を考え直したくなりました。
また拝見させていただきます。
ありがとうございました。