今回からの投稿では、いくつかの文章を拙訳付きでご紹介します。今回はバークシャーの資産における現金比率についてです。
・SHAREHOLDER LETTER 2021 [PDF] (Berkshire Hathaway)
米国財務省証券
バークシャーの貸借対照表をみると、現金及びその等価物が1,440億ドル(約15兆円)となっています(ただしBNSF[鉄道子会社]とBHE[エネルギー子会社]が保有する分を除く)。このうち、1,200億ドルは米国財務省証券として保有しています。それらの満期はいずれも1年以内で、民間が保有する米国債のうちの約0.5%をバークシャーが受け持っていることになります。
チャーリーそしてわたしは、「バークシャー(とBNSFおよびBHEを除く子会社で)は、常に300億ドル以上の現金及び現金等価物を保有していくつもりだ」と公言してきました。みなさんの保有する当社が金銭的に堅固な会社であり、決して他者(やその友人)の好意にすがることがないよう、わたしどもは望んでおります。二人とも夜はぐっすり眠りたいですし、当社の債権者や被保険者や株主であるみなさんにも同じであってほしいと考えています。
しかし1,440億ドルとは、どうしたものでしょうか。
はっきり申し上げておきますが、この目をつく金額は血迷ったゆえに抱いた愛国心のあらわれなどではありません。またビジネスを保有したいという強い望みを、チャーリーやわたしが失ったわけでもありません。実際のところ、わたしがはじめてその情熱ぶりをあらわにしたのは80年前のことでした。1942年3月11日にシティーズ・サービス社の優先株を3株購入したときです(参考記事)。購入金額は114.75ドルで、貯金をすべて注ぎこみました。(その日のダウ工業平均終値が99ドルだったのは驚嘆すべき事実ですね。米国に逆らう賭けをしてはなりません)
初期に低下したものの、わたしは常に純資産の80%以上を株式に投じてきました。その状態を100%にしたいとずっと考えてきましたし、今でもそう思っています。現在のバークシャーがビジネスに資金を投じている割合が80%程度なのは、長期保有をする上でわたしどもが定めた条件を満たすような買収対象の企業やその一部分(つまり流通株式)を、わたしが見つけ出せていないからです。
現金保有率の高い同様な時期は過去にもあり、チャーリーとわたしはその状況を忍んできました。そういった時期は居心地のいいものではないですが、永続するわけでもありません。そして幸運にも2020年から2021年には資金を投じる若干魅力的な別の投資先を見つけることができました。つづきをお読みください。
U.S. Treasury Bills
Berkshire's balance sheet includes $144 billion of cash and cash equivalents (excluding the holdings of BNSF and BHE). Of this sum, $120 billion is held in U.S. Treasury bills, all maturing in less than a year. That stake leaves Berkshire financing about 1/2 of 1% of the publicly-held national debt.
Charlie and I have pledged that Berkshire (along with our subsidiaries other than BNSF and BHE) will always hold more than $30 billion of cash and equivalents. We want your company to be financially impregnable and never dependent on the kindness of strangers (or even that of friends). Both of us like to sleep soundly, and we want our creditors, insurance claimants and you to do so as well.
But $144 billion?
That imposing sum, I assure you, is not some deranged expression of patriotism. Nor have Charlie and I lost our overwhelming preference for business ownership. Indeed, I first manifested my enthusiasm for that 80 years ago, on March 11, 1942, when I purchased three shares of Cities Services preferred stock. Their cost was $114.75 and required all of my savings. (The Dow Jones Industrial Average that day closed at 99, a fact that should scream to you: Never bet against America.)
After my initial plunge, I always kept at least 80% of my net worth in equities. My favored status throughout that period was 100% - and still is. Berkshire's current 80%-or-so position in businesses is a consequence of my failure to find entire companies or small portions thereof (that is, marketable stocks) which meet our criteria for longterm holding.
Charlie and I have endured similar cash-heavy positions from time to time in the past. These periods are never pleasant; they are also never permanent. And, fortunately, we have had a mildly attractive alternative during 2020 and 2021 for deploying capital. Read on.
2 件のコメント:
こんにちは。いつもブログを楽しみにしています。海外在住ですが、紹介されている書籍や翻訳内容を読み、投資についてとても参考にさせてもらっています。最近は更新されていませんが、バフェットの手紙の続編を楽しみにしています。
匿名さん、こんにちは。当サイトをお読みくださり、どうもありがとうございます。
2月末に発表されたウォーレンの手紙についてですが、"Share Repurchases"の訳文は手を付けた途中のままでした。これは投稿するようにします。
また、その文章で触れられている内容と同じで、現在の株式投資の世界では容易いチャンスは見出し難い、と個人的には感じています。そのため、自分にとって打ちやすいボールがやってくるのを相変わらず待っている最中です。それは投稿頻度が少ない理由でもあります。
またよろしくお願いします。
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