今回からの一連の投稿では、その講演で取り上げられた「問題解決に使える考え方」の各々について、拙訳付きでご紹介します。なお原文テキストは、以下のサイトを参照しました。
Creative Thinking (Claude Shannon at Bell Lab. March 20, 1952)
まずはじめにお話ししたいのは、「単純化」という考え方です。解決すべき問題はどのような種類のものでもかまいません。たとえば、機器の設計や物理学上の理論構築、数学における定理の証明といった種類のものが挙げられます。「そういった問題からあらゆることを排除しつつ、本質となる部分だけを残すように努める」やりかたが、きわめて有効的だと思います。つまり、大きさを切り詰めるわけです。取りくむ問題がなんであっても、本質的でないあらゆるたぐいのデータがある程度つきまとい、混乱のもととなっていることがほとんどです。そこで、その問題をいくつかの主たる論点へと落とし込めれば、何をやろうとしているのかいっそう明確に理解できるようになり、おそらくは解をみつけられることでしょう。それがために、追究していた問題を剥ぎとることになるかもしれません。当初とりくんでいた問題とは似つかない場所にまで単純化するかもしれません。しかし多くの場合において、単純な問題の解を出せたことで、最初に取りくんでいた問題に対する解に到達するまで、解を洗練させていくことができるものです。
The first one that I might speak of is the idea of simplification. Suppose that you are given a problem to solve, I don’t care what kind of a problem - a machine to design, or a physical theory to develop, or a mathematical theorem to prove, or something of that kind - probably a very powerful approach to this is to attempt to eliminate everything from the problem except the essentials; that is, cut it down to size. Almost every problem that you come across is befuddled with all kinds of extraneous data of one sort or another; and if you can bring this problem down into the main issues, you can see more clearly what you’re trying to do and perhaps find a solution. Now, in so doing, you may have stripped away the problem that you’re after. You may have simplified it to a point that it doesn’t even resemble the problem that you started with; but very often if you can solve this simple problem, you can add refinements to the solution of this until you get back to the solution of the one you started with.
この手の話題は本ブログでくりかえし取り上げています。言うまでもないかもしれませんが、そこには二つのねらいがあります。第一に、卓越した人物が共通して取りあげる話題はなおさら重要だ、と再認識すること。第二に、重要なことはそらで言えるようになり、日常的に使いこなせること(過去記事の例1、例2)。個人的には、第二のほうが「言うは易く行うは難し」のままです。
2 件のコメント:
はじめまして。クロード・シャノン氏は『天才数学者はこう賭ける』で情報理論の確立者であると同時に、30年近くにわたって年率28%のリターンを記録した投資家として紹介されているので、日本の投資家にも知っている方が多そうですね
狼ナギさん、はじめまして。コメントをありがとうございます。
ご紹介の『天才数学者はこう賭ける』は以前読んだことがあります。ケリー基準のことを知りたくて通読したのですが、大半の内容は忘れておりました。こうして改めて手に取ってみると、記憶がいくらかよみがえりました。、エドワード・ソープとコンビを組んでカジノに挑戦していた人物がそうだったのですね。
個人的には、本書は再読する価値大だと感じました。さっと目を通すだけでも、たとえば"シャノンのポートフォリオ"の節(p.376)などは、引用して投稿したい文章が見受けられます。
良い機会をつくってくださり、どうもありがとうございました。またよろしくお願いします。
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