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2013年9月22日日曜日

(映像)ウェスタン・オンタリオ大学基調講演(ローレン・テンプルトン)

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大投資家ジョン・テンプルトンの大姪ローレン・テンプルトンのことは、以前の投稿でご紹介しました。ファンド・マネージャーをつとめる彼女が投資家向けに講演した映像がありましたので、ご紹介します。元ネタはGuruFocusの記事からです。



個人的に参考になったり、おもしろかった話題を、以下に一言要約しています。文頭のやまかっこの数字は、映像開始からの経過時間<分:秒>を示しています。

<12:30> ここからローレンが登場します。それまでは司会役からの紹介です。

登場後しばらくは、ジョンの逸話や彼と接する間に受けた教訓を語っています。これらの話題は、彼女の著書『テンプルトン卿の流儀』でとりあげられたものです。このあたりの時間帯では、ローレンの話し方にまだ固さが感じられます。

<24:50> だんだんエンジンがかかってきて、話しぶりが生き生きとしてきます。

<27:35> 心理学的な話題です。ジョンは心理的バイアスを完全に理解していた、と話しています。

<28:10> 行動ファイナンスの話題の中で、ジェレミー・グランサムのファンドGMOに在籍するジェームズ・モンティエ氏の著書『The Little Book of Behavioral Investing』が紹介されています。わたしは未読ですが、amazon.comのレビューでは好評ですね。

<29:15> 人間がもつ2種類の認知のしかたについて。この話題は本ブログでも取りあげてきましたが(過去記事など)、彼女も重視しているようです。反応がファストな「扁桃体」と、スローで合理的な「前頭葉」を説明しています。

<34:15> バリュー投資家が注目すべき2つの機会をあげています。ひとつは「不人気銘柄」、もうひとつは「悲観のどん底で行動にでること」です。

<35:30> ブラックマンデーのその日、ジョンがスタッフと交わした会話を再現しています。参考になります。

<41:00> 機会を活かすには「ただただ備えること」。「買いたい銘柄一覧」を用意しておくことをすすめています。

<43:25> ジョンにとって、遠く離れたバハマで投資に専念したことが、投資上の成績を高めたとの話題です。ウォーレン・バフェットがオマハに在住していることにも、ふれています。

<48:40> パット・ドーシー氏の意見を引用しながら、バリュー投資家にとって非常に重要なこととして「人間がとる行動をうまく利用する」こともあげています。「これは、もっとも一貫性があることなので」と強調していたのが印象に残りました。たしかに人間は簡単には変われないものですね。

なお、パット・ドーシーについては以前の投稿で取り上げています。またローレンが引用した話題は、「Dorsey: Three Sources of Alpha」(映像)などで説明されているものです。

<50:00> 2005年に発表された、ジョンによる最後のメモの話題です。彼女は一読することを勧めていますが、たしかにそのとおりで、鋭い洞察です。たとえば以下のサイトに文章が掲載されています。

Sir John Templeton's Last Testament: Financial Chaos Will Last Many Years (newsmax)

<51:00> これから将来のことを考えると、何に投資したらよいのか。ジョンから聞いた話を語ってくれます。その答えは、ぜひ映像をごらんになってください。(あるいは、上述のメモの文末でも同じです)

2013年9月20日金曜日

大金持ちになるには(ウォーレン・バフェット)

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ウォーレン・バフェットが1994年にネブラスカ大学でおこなった講演その8、質疑応答がつづきます。今回の質問は、やや手厳しいです。なお、前回分の投稿はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問者> 株式投資を教える学校を開きたいと考えたことはありますか。

<ウォーレン> いいえ、生涯の仕事がありますから。バークシャー・ハサウェイの経営は、これからもつづけていくつもりです。

<質問者> 資金があると、人間は感情に左右されてその使い道を決めてしまう傾向があることが問題になります。これまでメディアなどで見聞きしたところ、あなたは明確で冷静な考えを貫いておられ、すごいなと感じています。たとえば今回の話で東京オフィスの方を登用した件について、ある種の要因をわかりやすいかたちで要約されています。では、株式を買うときにも同じようにしたとして、USエアーやソロモン・ブラザーズのように「はずれ銘柄」になったときは、どんなものなのでしょうか。それらの銘柄が、購入時に期待したような利益をあげてくれなかったのはたしかです。しかしどれだけ時間がたっても、結局はわからないのかもしれませんが。

<ウォーレン> どれか具体的な例でつづけましょうか。

<質問者> 以前にソロモン・ブラザーズのことを「金のなる木」と言われていたと覚えています。ではその株を買うことを決断したうちのどれぐらいが、何年間にもわたる6時間読書や電話での相談や思索の夜といったウォーレン・バフェット的行動によるものだったのでしょうか。また投機家的な感触や直観はどれぐらいだったのでしょうか。ある程度は入っていたのですか。

<ウォーレン> 予感とか直観ではなかったとは言えます。事業の有する今後の経済的見込みを理解しようとじっくり考えましたし、経営陣は信頼に値し、尊敬するに足る人たちか、見極めようとしました。価格が適切かどうかも考えました。そして出した結論が、よき人々に率いられたよい事業であり、値段も適切だというものです。一方で、そのように答えを出せない企業は山ほどあります。ニューヨーク証券取引所に上場されている数千社の企業には、わたしが見解をもっていない企業が非常にたくさんあります。そういった会社のことはよく知っていますが、将来の見通しについては少しもわかりません。ですから「自分の土俵で勝負する」とみずから呼ぶところまで、対象企業の数をしぼりこむようにしています。ここで肝心なのは土俵の広さではないですし、どこを土俵にするかでもありません。どれだけうまく境界線を定めるか、これが大切です。そうすれば、土俵の内側には何があり、外側には何があるのか把握できます。もしわたしに強みがあるとすればおそらく、自分が理解していることをやっているのか、それとも自分が理解していないことをやっているのか、それがわかる点です。これは証券にかかわる仕事をする上でカギとなります。大金持ちになるには、正しい決断をくだして証券をえらぶことが、ほんの何度かできればよいのです。うまい決断を100回もする必要はありません。わたしたちの場合、うまい決断が1年に1回できれば、まずはわたしのパートナー[=チャーリー・マンガー]がおどろきますし、さらにはそれで十分です。まあ、できすぎということです。ですからそれがわたしの目指すところで、今もアイデアをひとつさがしているところです。

しかしあなたのご指摘は正しいと思います。つまり何年間もみてきたあらゆることや、さまざまな読んできたものなどすべてがどこかで一体となり、ある決定を下す際に「自分の土俵の中」にいるという感覚を持ってしまった、という意味です。自分の土俵の中となれば、わたしはよろこんで大きく動きます。本当に理解しているものをちまちまと進めるやりかたは、わたしの信じるところではありません。何をするときでも、小さく進もうと考えたことはありません。そうする理由がないからです。小さくやっているときは、自分の見解に自信がないときです。そういうものはすっかり忘れてしまい、確信のあるほうを取り組みます。

Q. Have you ever thought of opening your own stock school?

A. No, I've got my occupation for the rest of my life. I plan to keep running Berkshire Hathaway.

Q. The problem with money is that it tends to flow toward the emotional part of the human being. And, I guess what fascinates me about you, in what I have observed in the media and so forth, is that you tend to keep a clear, cool head. For example, when you hired that fellow from the Tokyo office, you were adding up certain factors that were tangibles. I wonder if you do the same when you buy stocks, and what happens when they turn out to be "dogs", like USAir and Salomon Brothers. Obviously, those didn't pan out as expected when you bought them; however in the fullness of time, one can never tell.

A. You can probably tell on one of them, anyway.

Q, If you are talking about Salomon Brothers, I think you once referred to them as a cash cow; however, when you buy a stock like that, how much of it is just simply a result of Warren Buffett's many, many years of reading six hours, making phone calls, and thinking at night? Or, how much of it comes down to a gambler's feel or intuition? Is it that much?

A. I would say there is no hunch or intuitiveness or anything of the sort. I mean, I try to sit down and figure out what the future economic prospects of a business are. I try to figure out whether the management is someone or some group I both trust and admire, and I try to figure out whether the price is right. I mean that: It's the right business, the right people, and the right price. There are a whole bunch of businesses don't know the answer on. If you take all the companies on the New York Stock Exchange, a couple thousand plus, I don't have a view on a great many of them. I am familiar with them but I just don't have the faintest idea what is going to happen in the future. So, I try to narrow it down to what I call my "circle of competence". The important thing in your circle of competence is not how big the circle is. It isn't the area of it. It's how well you define the perimeter. So you know when you are in it, and you know when you are outside of it. And, if I have any advantage, it's probably that I know when I know what I'm doing, and I know when I don't know what I'm doing. That's key in the securities business. You have to make very few correct decisions in securities to get very rich. You don't have to do a hundred smart things. If we do one smart thing a year, (a) my partner will be surprised, and (b) that's plenty. I mean, that's more than enough. And, that's all I want to do. So, I'm looking for the one idea.

But you are correct that everything I look at over the years, all the reading I do and everything, comes together at some point in terms of giving me the feeling that this particular decision is within my "circle of competence". And, when it is within it, I'm willing to go very big. I do not believe in taking baby steps when you see something that you really understand. I never want to do anything on a small scale because, what's the reason? If I'm doing it on a small scale because I'm not that sure of my opinion, I'll forget it entirely and go onto something I'm sure about.

2013年8月18日日曜日

知性、情熱、人格のうち、もっとも大切なもの(ウォーレン・バフェット)

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ウォーレン・バフェットが1994年にネブラスカ大学でおこなった講演その5です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

コロンビア大学でわたしの先生だったベン・グレアムのことを、ジョン[本記念講演の座長]がふれています。彼は12歳のときにじっくり考え、称賛したい他人の美質を一覧に書きだしました。同じように、他人の不快なところも書き出しました。それを読んで彼は、魅力的な人格を築き上げる一方で不快なものを除くのは、意思の力と習慣によってなされると思い至りました。これはだれにでもたどりつけることです。他人のアイデアなのに功を争わない。近道をしない。妬まない。そういったことはすべて実現できることですから、あとは自分がどう動くかという点ですごく大きな差がつきます。仕事だけでなく、ひいては社会生活においてもそうです。

もうひとつ説明をあげてみましょう。学校を卒業するときにあるくじびきに当たって、クラスの仲間の一人を選べることになったとします。その人がこれからの人生で稼ぐお金の10%を受け取ることができるというものです。一からやるということにしたいので、大金持ちなどの子息は除外します。決めるまで1時間あります。さて、だれを選びますか。IQテストを持ち出すことはないでしょう。成績がどうかもみないでしょう。おそらく、実力をきちんと発揮できる人を思い浮かべるのではないでしょうか。300馬力のモーターだとしたら、150馬力とか100馬力ではなくて、300馬力すべてを出しきれる人です。そんな最善を尽くせる人をさがすでしょう。また自分が尊敬できる人格をそなえた人をさがすでしょう。ただしそれは自分でもなれるものですし、いずれは習慣の問題になることです。

ある人がこう言っています、習慣という鎖ははじめは軽すぎて感じられないが、やがて重くなってこわせなくなる、と。自分ではじめた行動は習慣となり、その後の人生についてまわるという言葉は、完璧に当たっています。だれなら10%を買いたいか、感心したり、惹きつけられる人はだれなのか。しかしよく考えてみて自分に当てはまると思えるならば、10%買いに値するのは自分自身なのかもしれません。これはむずかしいことではありません。ある友人がこう言っています。人を雇うときは次の3つ、つまり知性、情熱、人格を確かめなさい。ただし最後のひとつが欠けていれば前の2つだけでは命取りになる、と。たしかにそうだと思います。なぜならば、人格のすぐれぬ人を雇うということは、実のところ愚かで怠惰な人をより望んでいることになるからです。彼らが賢くて情熱的であれば、あらゆるたぐいの問題を持ち込んでくれるようになります。これは大切な助言ですね。

さて、みなさんがご興味のある質問にお答えすることにしましょう。とことんタフで無関係なものも歓迎です。そのほうがわたしにはおもしろいですし、聴衆のみなさんもそうでしょう。それでは手強いやつをどうぞ。

John mentioned Ben Graham, who was my teacher at Columbia University. When he was twelve years old, he sat down and made a list of the qualities he admired in other people; and he made a list also of the qualities that he found unattractive in other people. He decided that it was just an act of will and then habit to develop those attractive qualities and to get rid of the unattractive qualities. Anybody can show up on time; they cannot claim credit for ideas that are not their own; they cannot cut corners; they can avoid envy. All of those things are doable and they make an enormous difference in how you function, not only in your job but in society subsequently.

I'll give one more illustration. Let's just assume when you got out of school, that you won a lottery of some sort and you were entitled to pick one of your classmates, and you got 10% of the earnings of that classmate for the rest of his or her life. You had about an hour to make up your mind. Now we'll leave out picking the son or daughter of the richest person around or something of the sort; let's say we're all starting from scratch. Now, who would you pick? Just think about that for a moment. You wouldn't give them an IQ test. You probably wouldn't look at their grades. You'd probably think, who's going to function best when they get out there? If they had a 300 horsepower motor, who's going to get 300 horsepower out of it instead of 150 or 100? You'd look for who is going to function best. And, you would look for people with those qualities that you admire, but which are also attainable by you and which become a matter of habit after time.

Somebody said that the chains of habit are too light to be felt until they're too heavy to be broken. It's absolutely true that the habits of behavior you start out with will follow you the rest of your life. And, as you think about that person whom you would like to buy the 10% of, the person whom you find admirable or attractive, the answer is that if you want to sit down and do it yourself, you can be the one that you would buy 10% of. It is not that difficult. One friend of mine said that in hiring they look for three things: intelligence, energy, and character. If they don't have the last one, the first two will kill you because, it's true, if you are going to hire somebody that doesn't have character, you had really better hope they are dumb and lazy, because, if they are smart and energetic, they'll get you in all kinds of trouble. Well, that's enough of the advice.

Let's tackle the questions that you are interested in. Make them as tough and impertinent as you like because it makes it more interesting for me and it probably makes it more interesting for the audience. So, feel free to throw your hard one.


次回からは質疑応答の部です。

2013年8月16日金曜日

共食いをさがせ(モーニッシュ・パブライ)

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過去の投稿でファンド・マネージャーのモーニッシュ・パブライを取りあげました。他人のアイデアを盗むことを良しとするのが彼の信条でしたが、そのような振る舞いをチャーリー・マンガーが激賞していたこともあり、個人的には気にかかるところがありました。今回たまたまパブライ氏のインタビュー記事に出会い、疑問が氷解しました。このインタビューで彼は、あまりに有名な「ウォーレンとのランチ」から得られた教訓を明かしてくれています。(日本語は拙訳)

Mohnish Pabrai: What I've Learned From Warren and Charlie (Fool.com)

はじめはウォーレン・バフェットとの会話からです。マネー・マネージャーとして活躍しはじめのころに行動を共にしていたリック・ゲリンの話題です。

それからリック・ゲリンはほとんど姿を消してしまいました。最近になってリックにお会いしましたが、ともかく彼は消えていたのです。そこでウォーレンに聞いてみました。「リックとは連絡をとっていますか。彼はどうなったのでしょうか」。ウォーレンは答えました。「よく連絡していますよ。ところであなたがすごい金持ちになるのは、チャーリーやわたしにはわかっていましたよ。われわれは急いで金持ちになろうとはしなかったのですが、そうなることはわかっていたからです」。ウォーレンは話をつづけました。「リックはわたしたちに劣らず頭が切れる人でしたが、急ぎすぎでした。1973年や74年の市場低迷時のことですが、これは世間に知られているところもありますが、リックは実のところ信用取引をしていました。その2年間で株式市場は70%近く下落し、彼はマージン・コールをバカみたいなほどくらったのです」。ウォーレンが言うように、彼は自分のバークシャー株をウォーレンに買ってもらうことになりました。「リックのバークシャー株を1株40ドル以下で買いました、借入れのせいで40ドルで株を手放すことになったのですよ」。

ウォーレンは話をさらに進めました。「わずかに平均を超えるぐらいの投資家でも、収入より少ない金額でやりくりしていれば、辛抱をつづけるうちにいずれは金持ちにならざるをえないものです」。まとめてみましょう、私の質問はこうでした。「リックはどうなったのか」。そして教訓はこうです。「借入れに頼るな」、さらには辛抱することも必要です。これらの特性は彼が折にふれてとりあげるものですが、あえて私から申し上げれば、彼からじかにそのような話を聞いたことで、なおさら心に焼きつけられました。

Then Rick Guerin pretty much disappeared off the map. I've met Rick recently, but he disappeared off the map, so I asked Warren, are you in touch with Rick, and what happened to Rick? And Warren said, yes, he's very much in touch with him. And he said, Charlie and I always knew that you would become incredibly wealthy. And he said, we were not in a hurry to get wealthy; we knew it would happen. He said, Rick was just as smart as us, but he was in a hurry. And so actually what happened -- some of this is public -- was that in the '73, '74 downturn, Rick was levered with margin loans. And the stock market went down almost 70% in those two years, and so he got margin calls out the yin-yang, and he sold his Berkshire stock to Warren. Warren actually said, I bought Rick's Berkshire stock at under $40 apiece, and so Rick was forced to sell shares at ... $40 apiece because he was levered.

And then Warren went a step further. He said that if you're even a slightly above-average investor who spends less than they earn, over a lifetime you cannot help but get rich if you are patient. And so the lesson. My question was, what happened to Rick? The lesson was, don't use leverage, right? And be patient. These are attributes he's talked about plenty, but I would say that it got seared in pretty solidly after hearing the format in which he put it.

リック・ゲリン氏の名前は、過去記事で登場していたことがありました。

つづいてチャーリー・マンガーから教わったことです。

つぎにチャーリーですが、彼もまた明晰な思考という点で非常に優れた人だと思います。チャーリーといちど夕食をご一緒したときのことだったと思いますが、つぎのような話をしてくれました。これは公衆の場で話されてはいないと思いますが、たしかに彼は話してくれたのです。もし投資家がまさに次の3つのことをすれば、いずれは他の人よりもずっとよい成績をおさめられるだろう、と。彼の言った3つとはこうです。ひとつめは「他のすばらしい投資家が何をしているのか、つぶさに観察すること」。実際のところ、チャーリーは他の13F[証券取引委員会に提出する保有報告書]を模倣していたのですよ。知っていましたか。だから彼は、他の偉大な賢人がやることを見よと言っているのです。

彼の言った二つめとは「共食いをさがせ」です。彼の言わんとすることは、自社株を大量に買い戻している会社を注視せよということです。自分自身を食いつぶす様子をとらえて、彼はそのような会社を「共食い」と呼んでいます。

三つめに彼が言ったことは「スピンオフ銘柄をじっくり研究せよ」です。スピンオフについてはジョエル・グリーンブラットも一冊つかって書いています。『You Can Be a Stock Market Genius』[邦訳:グリーンブラット投資法]です。それら3つの特性に焦点をしぼった投資をすればよりよい成績をおさめられるといった類のことをチャーリーが話すのを聞いて、これは興味ぶかいことだと感じました。

And with Charlie, I think he's also been a tremendous -- I would just say clarity of thought. I think one time I was having dinner with Charlie, and he mentioned that if an investor did just three things -- and I don't think Charlie's talked about this publicly -- but he said if an investor just did three things, the end results would be vastly better than the rest. And he said one is carefully look at what the other great investors have done. So, in fact, Charlie was endorsing copying off the 13Fs, right? So he said look at what other great minds are doing.

And the second thing he said is, look at the cannibals. And what he meant by "look at the cannibals" is, look carefully at the businesses that are buying back huge amounts of their stock. Because they're eating themselves away, so he called them the cannibals.

And the third is, he said, carefully study spinoffs. Of course, you know Joel Greenblatt has a whole book on spinoffs: You Can Be a Stock Market Genius Too. And so I found it interesting that Charlie basically said that investment operation that focused on these three attributes would do exceedingly well.


パブライさん、どうもありがとう。

2013年8月14日水曜日

レス・シュワブ・タイヤが成功した理由(チャーリー・マンガー)

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チャーリー・マンガーによる講演『経済学の強みとあやまち』の12回目です。前回だされたレス・シュワブ・タイヤの問題に対する答えです。(日本語は拙訳)

シュワブ氏には乗れる波があったでしょうか。このように質問を考えることで、答えがでてきます。日本人は、タイヤの商売を一から始めて巨大になりました。ですからこの御仁も、早い段階のどこかでその波に乗ったにちがいありません。それにつづいてゆっくりと成功をおさめていく間は、他にも理由があったはずです。たぶんまちがいないでしょうが、この人は正しいことを山ほどやったのでしょう。その中でもきっとやったと思われるのが、マンキューが言うところの「動機づけがもたらす強力な原動力」を組み合わせることです。きわめて巧妙な動機づけのしくみを使って、自分の会社の人たちを扱っていたことでしょう。たくみな人材登用のシステムがあったり、宣伝が上手だったのでしょう。彼は芸術的な才能を持っていたのですね。だから、日本製タイヤが攻めてくる波に乗る必要がありました。彼らと同じように、日本人も成功していたからです。才能あふれる人が熱狂的なまでに正しいことを次々と行い、賢明な仕組みによって従業員をうまく使ったのです。このように、答えはそれほどむずかしいものではありません。際立った成功の原因となるものが他に考えられるものでしょうか。

ビジネススクールの卒業生を雇っても、みなさんほどにはこの手の問題にうまく対処できません。彼らをあまり雇わないのも、たぶんそのせいだと思います。

Is there some wave that Schwab could have caught? The minute you ask the question, the answer pops in. The Japanese had a zero position in tires, and they got big. So this guy must have ridden that wave some in the early times. Then, the slow following success has to have some other causes. And what probably happened here, obviously, is this guy did one hell of a lot of things right. And among the things that he must have done right is he must have harnessed what Mankiw calls the superpower of incentives. He must have a very clever incentive structure driving his people. And a clever personnel selection system, etc. And he must be pretty good at advertising. Which he is. He's an artist. So, he had to get a wave in Japanese tire invasion, the Japanese being as successful as they were. And then a talented fanatic had to get a hell of a lot of things right and keep them right with clever systems. Again, not that hard of an answer. But what else would be a likely cause of the peculiar success?

We hire business school graduates, and they're no better at these problems than you were. Maybe that's the reason we hire so few of them.


なにげない文章ですが、ビジネスで成功する上での重要なことをチャーリーは示していると思います。それは自助努力だけでなく、「波に乗る」とか「てこの力を借りる」といった他者の力をうまく利用することの大切さです。チャーリーは伝記を読むことを勧めているので、ジョン・D・ロックフェラーやアンドリュー・カーネギー、ベンジャミン・フランクリンといった成功者の伝記を以前に読んでみました。大物になる前の彼らは、別の成功者とめぐりあうきっかけを育て、他人から与えられたチャンスを逃すことなく、次の大きな成功へうまくつなげていると感じました。

「波に乗る」とはいい言葉だと思います。波をつかむ技量や才覚や度胸も必要ですが、波がこなければ始まらないという運の要素が含まれていて、現実を冷徹にとらえていると思います。

2012年6月8日金曜日

ウサギとカメ(チャーリー・マンガー)

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2007年に開催されたWescoの年次株主総会で、ウォーレン・バフェットがなぜあんなにすごいのか、その理由をチャーリー・マンガーが説明しています。今回は、そのなかで最重要とされているものをご紹介します。ティルソンのメモからの引用です。(日本語は拙訳)

これはきわめて重要ですよ。勉強熱心なカメは野うさぎを追い越すものですが、ウォーレンの勉強好きといったら世界でも指折りです。もし学ぶのをやめてしまえば、あっというまに置いてきぼりですからね。運も味方をしたようで、彼は引退の年頃を過ぎたというのに未だ上手に学びつづけ、技能を磨いています。65歳を過ぎてからの投資術の向上ぶりは一目瞭然でしょう。ウォーレンのやることなすことをみてきましたが、初期の頃に持っていた知識のままだったら、今とは違って、うすぼんやりとした業績にとどまっていたでしょう。

This is really crucial: Warren is one of the best learning machines on this earth. The turtles who outrun the hares are learning machines. If you stop learning in this world, the world rushes right by you. Warren was lucky that he could still learn effectively and build his skills, even after he reached retirement age. Warren’s investing skills have markedly increased since he turned 65. Having watched the whole process with Warren, I can report that if he had stopped with what he knew at earlier points, the record would be a pale shadow of what it is.


Wesco社をご存じない方は、過去記事の説明がご参考になるかと思います。

2012年5月1日火曜日

わたしがお手本としている人(ウォーレン・バフェット)

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今回ご紹介するのは、ウォーレン・バフェットによる2002年度「株主のみなさんへ」での、わたしが好きな一節です。バークシャー・ハサウェイが買収した子会社の経営は以前からの経営陣に任せるのが常ですが、ここではその理由を説明しています。この手のちょっとおもしろい話で楽しませてくれるだけでなく、要所をきちんとおさえているところが、ウォーレンの魅力のひとつですね。(日本語は拙訳)

経営の上でわたしがお手本としている人物をご紹介しましょう。バットボーイをしていたエディー・バネット氏です。1919年に19歳だった[16歳の誤りか?]エディーは、シカゴ・ホワイトソックスで仕事を始めました。その年のシカゴは[リーグ優勝し]、ワールド・シリーズへの出場を果たしました。翌年、エディーがブルックリン・ドジャースに移ったところ、これまたリーグ優勝の成績をおさめています。ところがわれらがヒーロー氏は何かをかぎとったのでしょうか、1921年には別の区のチーム、ヤンキースに加わりました。なんと、またもや早々にチーム史上初のリーグ優勝です。そこでエディーは腰をおちつけ、チームの行く末を見守ることにしました。これが賢明な判断で、ヤンキースはそれからの7年間で5回のアメリカン・リーグ優勝を果たしたのでした。

この話から経営者はどんな教訓をえられるでしょうか。そう、簡単ですね、「自分が勝ちたければ、勝者とともに働きなさい」ということです。例えば1927年にエディーは、ワールドシリーズ後のボーナスとして700ドルが支給されました。当時のヤンキースはルースとゲーリックがいた伝説的な時代で、優勝チームのメンバーに対するボーナス満額の1/8が彼に認められていたのです。ヤンキースは負けなしの4連勝だったので、このボーナスをもらうのにエディーが働いたのは、わずか4日間。これは、普通のチームで働く当時のバットボーイが1シーズン働いて得る収入とだいたい同じぐらいの金額でした。

いかにバットをせっせと運ぼうが、それは全然重要でない。エディーにはわかっていたのです。肝心なのは、最上の選手たちがいるところで働くことだ、と。エディーからの教訓どおり、アメリカビジネス界でも猛打者ぞろいのバークシャーで、わたしは毎日バットを手渡しています。

My managerial model is Eddie Bennett, who was a batboy. In 1919, at age 19, Eddie began his work with the Chicago White Sox, who that year went to the World Series. The next year, Eddie switched to the Brooklyn Dodgers, and they, too, won their league title. Our hero, however, smelled trouble. Changing boroughs, he joined the Yankees in 1921, and they promptly won their first pennant in history. Now Eddie settled in, shrewdly seeing what was coming. In the next seven years, the Yankees won five American League titles.

What does this have to do with management? It’s simple - to be a winner, work with winners. In 1927, for example, Eddie received $700 for the 1/8th World Series share voted him by the legendary Yankee team of Ruth and Gehrig. This sum, which Eddie earned by working only four days (because New York swept the Series) was roughly equal to the full-year pay then earned by batboys who worked with ordinary associates.

Eddie understood that how he lugged bats was unimportant; what counted instead was hooking up with the cream of those on the playing field. I’ve learned from Eddie. At Berkshire, I regularly hand bats to many of the heaviest hitters in American business.


エディー・バネットのことは、Wikipedia(英語版)のこちらにも投稿されていました。

2012年1月16日月曜日

投資で成功するための16のルール(ジョン・テンプルトン)

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ジョン・テンプルトン卿の投資スタイルは以前に取り上げた本に詳しいのですが、1993年にご本人が雑誌に寄稿した文章がありましたのでご紹介します。再掲ですが原文は、ミューチュアル・ファンドFranklin Templeton Investmentsここに掲載されています。(日本語は拙訳)

1. 総実質リターンを最大化することを投資の目標とせよ。
2. トレードや投機をするのではなく、投資をせよ。
3. 投資する対象については、柔軟かつ広く受け入れるよう心がけよ。
4. 安く買うこと。
5. 株式を買う際には、優良企業の中から割安なものを選びなさい。
6. 着目するのは[投資対象の]価値であって、市場動向や景気の見通しにふり回されないこと。
7. 分散せよ。株式や債券に投資する場合でも他の例と同じで、数があれば安全になる。
8. 自分で調べよ。そうでなければ賢明なる専門家の手助けを得よ。
9. 投資対象を注視せよ。[ほうっておかないこと]
10. 狼狽するな。
11. 自分の過ちから学びなさい。
12. 祈りと共に始めよ。
13. 市場[の成績]をしのぐのは困難だ。
14. なんでも答えられる投資家ほど、そもそもの問いかけをわかっていない。
15. ただで儲かると思うな。
16. あんまりびくびくしたり、弱気になるな。

1. Invest for maximum total real return
2. Invest - Don't trade or speculate
3. Remain flexible and open-minded about types of investment
4. Buy low
5. When buying stocks, search for bargains among quality stocks
6. Buy value, not market trends or the economic outlook
7. Diversify. In stocks and bonds, as in much else, there is safety in numbers
8. Do your homework or hire wise experts to help you
9. Aggressively monitor your investments
10. Don't panic
11. Learn from your mistakes
12. Begin with a prayer
13. Outperforming the market is a difficult task
14. An investor who has all the answers doesn't even understand all the questions
15. There’s no free lunch
16. Do not be fearful or negative too often


なんといっても、ルール16の説明文には励まされます。株価が低迷しているのをみて落ち込んだときには、ぜひ読んでみてください。

なお、今回の話題を取り上げたきっかけはGuru Focusの寄稿です。ご興味のある方はこちらのリンクをご参照ください。

2011年12月3日土曜日

何を避けるべきか

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チャーリー・マンガーを読み解くのにぴったりな「Seeking Wisdom」という本があります。「Poor Charlie's Almanack」の横に並んでいます。副題も野心的で"From Darwin To Munger"、ど真ん中に投げていますね。"Backward thinking"を取り上げた短い章があり、Wescoの年次総会(2000年度)でのチャーリーの発言が引用されています。

人生やビジネスで成功するには、たいていは、何を避けるべきか分別を持つことから始まるものです。早死にしたり、間違った相手と結婚しないようにね。

A lot of success in life and success in business comes from knowing what you really want to avoid - like early death and a bad marriage.


知性あふれるチャーリー自身も、それなりに失敗を重ねてきた人物です。年長者としての言葉には重みがあります。20年前の私に言い聞かせたい言葉です。

2011年11月30日水曜日

取り組むのにちょうどよい問題(リチャード・ファインマン)

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投資対象候補の選定について、前回の引用でチャーリー・マンガーは「時間や才能に限りがある」とコメントしていましたが、ファインマンのインタビューに同様の発言があるので、引用します。『ファインマンさんベストエッセイ』からです。1979年のインタビューなので、彼の年齢は60歳を過ぎた頃です。ちなみに、ノーベル物理学賞は40歳代後半に受賞しています。

(質問)先生はどの問題なら、取り組むのにちょうど格好の大きさだとわかるのですか?

(ファインマン) (中略) 重要な要素の正しい組み合わせさえ手に入れば、深遠だが解けない問題を抱えて一生を棒に振ったり、だれにだってできるような小さな問題ばかりゴマンと解いて、一生を浪費したりしないですむ。(p.232)

2011年9月29日木曜日

投資で成功するのに大切なこと

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チャーリー・マンガーが、バークシャーかWescoの株主総会で発言したものです。『Poor Charlie's Almanack』からの引用になります。(日本語は拙訳)

投資で成功するのに大切なことのひとつは、正しい気性を心がけることです。みんなせっかちで、心配しすぎですね。成功とはすなわち、じっと辛抱して、いざというときに果敢になれることです。それから自分で痛い目にあうよりも、他人の過ちから学べるほうがいいですね。

[One of the key elements to successful investing is having the right] temperament - most people are too fretful; they worry too much. Success means being very patient, but aggressive when it's time. And the more hard lessons you can learn vicariously rather than through your own hard experience, the better.