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2018年10月24日水曜日

2018年バークシャー株主総会(21)官僚主義について(後)

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バークシャー・ハサウェイ株主総会での質疑応答から、官僚主義に関する話題です。前回のつづきです。(日本語は拙訳)

<チャーリー・マンガー> それは、本社の要員が30名で、その半数が社内監査役とくれば、米国の大企業を経営するふつうのやりかたとは言えないでしょうな。

当然ながらもここで興味深いのが、当社は大企業ゆえに優位性をいくぶん失っている点です。しかしまた当社では、巨大官僚主義が招く数々の不利な点も持ち合わせていないですよ。本社を中心にして、会議また会議が延々連なるといったことがないからですね。

つまり正味でみれば、小規模な間接部門かつ分権型の方式を採用していることで、当社は大きく優位に立ってきたと思いますよ。さらにはそういったことが、凄腕で高潔な事業家を当社の一員に招き入れる要因にもなったでしょうね。

概して言えば、当社の今あるシステムはものの見事に機能してきたわけです。幾多の会社にみられるような、減らせば効率が上がる雇用状況ではないと思いますね。当社のやりかたでうまくいっているわけですから、それを変えることはまず考えにくいですよ。

<ウォーレン> そのとおりです。当社はさしずめ「ゼロベース未満予算」と言えると思います(笑)。

ぜひとも、本社のあるべき手本として、大幅に模倣され...

<チャーリー> これは単なる費用削減の話ではないですよ。官僚主義を消滅させることで、より良い意思決定がくだせるようになるわけです。

<ウォーレン> まさしくそのとおりです。

<チャーリー> 官僚主義とは、さながら癌だと言えますね。その振る舞いも、まさしく癌のようです(拍手)。

我々は非常なる反官僚主義でやっています。そのおかげで、良かったことがいろいろありましたよ。そう考えると当社は、頂点に達していたアンハイザー・ブッシュ社とはまるっきり異質な会社ですね。

CHARLIE MUNGER: Well, if you’ve got 30 people at headquarters and half of those are internal auditors, that is not the normal way of running a big company in America.

And what’s interesting about it is, obviously, we lose some advantages from big size. But we also lose certain disadvantages from having a big bureaucracy with endless meeting after meeting after meeting around headquarters.

And net, I think we’ve been way ahead with our low overhead, diversified method. And also, it makes our company attractive to very able, honorable people who have companies.

So generally speaking, the existing system has worked wonderfully for us. I don’t think we have the employment that could be cut effectively that a lot of other places have. And I think our methods have worked so well that we’d be very unlikely to change them.

WARREN BUFFETT: Yeah. I think if some - at headquarters, you could say we have kind of subzero-based budgeting. (Laughter)

And we hope that the example of headquarters is, to a great extent, emulated by our -

CHARLIE MUNGER: But it isn’t just the cost reduction. I think the decisions get made better if you eliminate the bureaucracy.

WARREN BUFFETT: Oh yeah.

CHARLIE MUNGER: I think a bureaucracy is sort of like a cancer. And it functions sort of like a cancer. (Applause)

And so, we’re very anti-bureaucracy. And I think it’s done us a lot of good. In that case, we’re quite different from, say, Anheuser-Busch at its peak.

2018年10月20日土曜日

2018年バークシャー株主総会(20)官僚主義について(前)

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バークシャー・ハサウェイ株主総会での質疑応答から、今回はおなじみの話題、企業における官僚主義についてです。前回分の投稿はこちらです。(日本語は拙訳)

25. 「官僚主義とは、癌のごとし」

<ウォーレン・バフェット> 次はベッキーがお願いします。

<ベッキー・クイック(質問者の代行)> 奥さんと共にロンドンに在住されている、アンガス・ハントンさんからの質問です。バークシャー・ハサウェイの株主になってから30年以上になるとのことです。

質問の内容は次のとおりです。「3Gパートナーズと提携して投資したクラフト・ハインツ等の会社では、ゼロベース予算がうまく機能していると報じられています。それでは、バークシャー・ハサウェイという巨大企業における別の領域の各経営者が、そういった費用削減の手法を使うと期待してよいものでしょうか」。

<ウォーレン> そうですね。概して言えば各社の経営者が、ゼロベース予算という点で多くの変化が生じるような位置づけにあるとは期待していません。これは、「始終そのように考えていないとは、一体全体どういうことなのか」とも言うことができます。

3G社の面々はおそらく主として要員の面で、また他の費用についても同様に、1ドルの費用が1ドルの価値を生み出していない支出が多々みられる状況に陥っていました。

そのため彼らは、そうあるべきではないと当初は考えていた状況へと、急速に変化させました。

そうだとしても、当社配下の各社経営陣に望みたいことは、たとえばGEICOの例では、同社を支配下に置いてから従業員の数が8,000名から39,000名になったと覚えています。しかし同社は、ものの見事に生産的な会社です。つまり、3G社のやりかたが何千人もの要員を取り除くには及ばないだろうということです。

その一方で、「それこそ大勢の要員を取り除くことができるものの、事業が端(はな)から非常に高収益であるがゆえに、人減らしを進めていない組織」を思い浮かべることもできます。

たばこ会社ではそのことが実際に起こっています。あまりにも儲かるので、あらゆる種類の人たちを抱えたまま、要員を減らす必要がありませんでした。ただただ、金が入ってきたのです。

当社配下の各経営者は、必要な費用以外をかけずして顧客満足度をできるだけ高めるために、異なった手段をとっています。

当社の経営者のなかには、ゼロベース予算あるいはそれと似たものを使っているところもあるかと思います。予算がわたしに提出されたことは一度もありません。つまり、わたしたちから要求したことが一度もないという意味です。バークシャーでは予算を立てたことがないのです。

当社では、連結ベースでの月次決算を作成していません。各社から個々に報告を出してもらってはいます。しかし余計な時間を費やして、4月末や5月末に連結の数字を出すといった作業をするべき理由などありません。

[事業の状況という意味で]今どこにいるのかは承知しています。フォーチュン500社のなかで月次の連結決算を作成していないのが当社だけなのは、おそらく間違いないでしょう。しかしバークシャーでは不要なことはしません。大企業でなされているさまざまな仕事は、不必要なものです。だからこそ、3Gは折に触れて機会を見出せるわけです。

チャーリーはどうですか。

(つづく)

25. “A bureaucracy is sort of like a cancer”

WARREN BUFFETT: OK, Becky?

BECKY QUICK: This question comes from Angus Hanton (PH), who - he and his wife are based in London, and he says they’ve been shareholders in Berkshire Hathaway for over 30 years.

He says, “We have all read about the zero-based budgeting that has been so effective with Kraft Heinz and other investments that you’ve done with 3G Partners. Can we expect these cost-reduction techniques to be used by your managers in other parts of the Berkshire Hathaway enterprise?”

WARREN BUFFETT: Well, in general, we do not expect the managers, generally, to get in the position where there would be a lot of change in terms of zero-based budgeting. In other words, why in the world aren’t you thinking that way all of the time?

The 3G people have gone into certain situations where there were - probably primarily in personnel, but in other expenses as well - a lot of expenses that were not delivering a dollar of value per dollar expended.

And so, they made changes very fast that - to a situation that probably shouldn’t have existed in the first place.

Whereas, we hope that our managers - take a GEICO. GEICO’s gone from, I think, 8,000 to 39,000 people since we bought control. But they’re all very productive. I mean, you would not find a way for a 3G operation to take thousands of people out of there.

On the other hand, I can think of some organizations where you could take a whole lot of people out, where it isn’t being done because the businesses are very profitable to start with.

That’s what happened with the tobacco companies, actually. They were so profitable that they had all kinds of people around that didn’t - weren’t really needed. But they - the money just flowed in.

So I - our managers have different techniques of keeping track of - or of - trying to maximize customer satisfaction at the same time that they don’t incur other than necessary costs.

And I think, probably, some of our managers may well use something that’s either zero-based budgeting or something akin to it. They do not submit budgets - never have - to me. I mean, they’ve never been required to. We’ve never had a budget at Berkshire.

We don’t consolidate our figures monthly. I mean, I get individual reports on every company. But there’s no reason to have some extra time spent, for example, by having consolidated figures at the end of April, or consolidated figures at the end of May.

We know where we stand. And - you know, I’m sure we’re the only company that - probably in the whole Fortune 500 - that doesn’t do it. But we don’t do unnecessary things around Berkshire. And a lot of stuff that’s done at big companies is unnecessary. And that’s why a 3G finds opportunities from time to time.

Charlie?

2018年10月16日火曜日

<新訳>誤判断の心理学(序)バフェットの祖父に倣う理由

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チャーリー・マンガーによる「誤判断の心理学<新訳>」から、前回に続いて序文の後半部をとりあげます。まだはじまりの段階から力の入った文章で、本作に対するチャーリーの意気込みが感じられます。(日本語は拙訳)

第一の理由として考えられるのは、そもそも我が性格が、伝統的な知恵にふくまれる誤りを診断し、語りたがることにあります。私のような心持ちを抱く人にとって、過ごし行く年月を容易くするためには、ものごとを精査論駁することが常でした。ただしそうであっても、若さゆえの無作法が人生を通じてことごとく咎め(とがめ)られたとは思ってもいません。

私がそう決めた第二の理由は、ディオゲネスが次の問いを立てた際の心情に賛同しているからです。「だれをも攻撃したことのない哲学者が、いったい何の役に立つものか」と。

もっとも強く抱いている理由が、3番目と最後のものです。私は心理学というものを自分なりのやりかたで配列することに魅了されるようになりました。私からすれば、そのほうがずっと有用だからです。また死んでしまう前には、次にあげる3名がみせた遺産の残しかたを、ある程度模倣してみたいと思いました。ジョン・バニヤンの『天路歴程』における主要人物と、ベンジャミン・フランクリン、そして私にとっての初めての雇い主アーネスト・バフェット[ウォーレンの祖父]です。バニヤンの著作には「真理を求める老勇者」という荘重たる呼び名をつけられた騎士が登場しますが、彼は命脈果てるときに、ただひとつ残された実利的な遺産を残しました。「わが剣は、意のままに扱える者へ残すことにしよう」と[過去記事]。もし我が剣を見誤ったとしても、それを的確に見定めようとしていたならば、その人物と同じように私も気にかけないこととします。たとえ、剣を手にして振るおうとすることを望まない人が大勢いたとしても。あるいは、そうしようとする者が、おのれの役には立たないと判断したとしても。それからベン・フランクリンは、自伝やアルマナックその他を残してくれたおかげで、私にとってすこぶる役に立ちました。アーネスト・バフェットもそれと同じ趣きで、『雑貨屋を経営する方法と、釣りから学んだ事柄』を残したことで、できるかぎりのことをしてくれました。「私にとって有益だった人物」という範疇に含める上で、3人目の例が最良かどうかは申しません。しかしこのことは触れておきましょう。アーネスト・バフェットにつづく4代にわたる子孫たちを知っており、彼らを見てきたからこそ、私はますます確信をもって、その一族の開祖を模倣するのです。

One reason may be that my nature makes me incline toward diagnosing and talking about errors in conventional wisdom. And despite years of being smoothed out by the hard knocks that were inevitable for one with my attitude, I don't believe life ever knocked all the boy's brashness out of the man.

A second reason for my decision is my approval of the attitude of Diogenes when he asked: "Of what use is a philosopher who never offends anybody?"

My third and final reason is the strongest. I have fallen in love with my way of laying out psychology because it has been so useful for me. And so, before I die, I want to imitate to some extent the bequest practices of three characters: the protagonist in John Bunyan’s Pilgrim’s Progress, Benjamin Franklin, and my first employer, Ernest Buffett. Bunyan’s character, the knight wonderfully named “Old Valiant for Truth,” makes the only practical bequest available to him when he says at the end of his life: “My sword I leave to him who can wear it.” And like this man, I don’t mind if I have misappraised my sword, provided I have tried to see it correctly, or that many will not wish to try it, or that some who try to wield it may find it serves them not. Ben Franklin, to my great benefit, left behind his autobiography, his Almanacks, and much else. And Ernest Buffett did the best he could in the same mode when he left behind "How to Run a Grocery Store and a Few Things I Have Learned about Fishing." Whether or not this last contribution to the genre was the best, I will not say. But I will report that I have now known four generations of Ernest Buffett's descendants and that the results have encouraged my imitation of the founder.

バニヤンの老騎士に倣おうとチャーリーが語るくだりは、私自身も以前から感じていたことなので、そっくり共感できました。

2018年10月12日金曜日

2018年バークシャー株主総会(19)年率0.5%は絶対に越えさせない(後)

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バークシャー・ハサウェイ株主総会での質疑応答から、長期債に関する話題、前回のつづきです。(日本語は拙訳)

<チャーリー・マンガー> それはもう、金融当局が預金金利を引き下げたのは公正とは言えなかったですね。彼らが支払う金額と同じ程度が、 およそ年配者の定期預金口座へと支払われるわけですから。しかしながら、金融危機に対して適切に戦うためには、たぶんそうせざるを得なかったのでしょうね。

そうは言っても、公正でなかったのはたしかですよ。状況も普通ではありませんでした。金利があれほどまでに引き下げられ、長きにわたって低いままだったことは、我が人生を通じて一度きりのことでしたよ。

多くの人々にとっては、実に不公平なことでしたね。しかしこの会場にいるみなさんには、はなはだ有用でした。というのは、バークシャー株も含めて資産価格を上昇させたからです。ですから我々はみな、その範疇外だった人ばかりというわけです(笑)。今後もそのままであってほしいと望みますがね(笑)。

<ウォーレン・バフェット> 先ほどお見せした新聞が刊行されたのは1942年のことでした。当時の政府は全国民の愛国心に訴えかけました。学校に通っていたころのわたしたちは、貯金切手を買ったものです。当初は「米国戦時債」と呼ばれていましたが、やがて「米国国防債」に変わり、さらには「米国貯金債」になりました(笑)。まあ、「戦争債券」と呼んでいました。

18.75ドル分ですと、10年後に25ドル戻ってきました。その件によってわたしは、3ドル出して10年後に4ドルになる場合、複利で年率2.9%になることを学びました。当時は、小さな字で印字しておく必要がありました。

「年率2.9%で10年間」という投資がうまいものではないことは、11歳の子供であっても理解できました。しかしそれでもわたしたちは、その戦争債券を買いました。つまりそれも、戦争がもたらしたもののひとつだったわけです。

そして政府にはわかっていました。第二次世界大戦の戦費を調達したおかげで、やがて急激なインフレーションがやってくることを、です。

実際には、この国で大々的なケインズ主義的行動が起こりました。しかし、それはケインズに従う道を選んだせいではありません。戦争によって莫大な財政赤字を抱えたからでした。国の債務はGDP比で120%にのぼりました。まさに空前の、一大ケインズ主義的実験場となりました。そしてそこに立ち戻った米国は、かつてみたことのないような繁栄の波に乗ることとなりました。「棚からぼたもち」というのも、ときには起こるものです。

しかし連邦政府は(音声不明瞭)、あらゆる国民の資金を10年固定の利率2.9%で預かりました。ですから財務省債券はそれ以降ずっと、魅力に欠けていたと思いますよ(笑)。ただし1980年代の初期を除きます。当時はそういうものだったのです。

つまり財務省発行の割引債を買うことで、その後の人生30年間を通じて複利で年率14%程度の利益が事実上得られる権利を、確定できた機会が現実にあったのです。

ですから市場という場所では、実に奇妙なことがときには起こるわけです。その際に大切なのは、それに備えるのみならず、それが起きたときに行動に移すことです。

チャーリーは、戦争債券を買ったことがありますか。

<チャーリー> いや、一度もないですね。

<ウォーレン> なかったですか。たしか昔は..

<チャーリー> 戦争のころには、金なんてこれっぽちもなかったですよ(笑)。

<ウォーレン> なるほど。それはうまい理由でしたね(笑)。

CHARLIE MUNGER: Well, it really wasn’t fair for our monetary authorities to reduce the savings rates, paid mostly to our old people with savings accounts, as much as they did. But they probably had to do it to fight the Great Recession, appropriately.

But it clearly wasn’t fair. And the conditions were weird. In my whole lifetime, it’s only happened once that interest rates went down so low and stayed low for a long time.

And it was quite unfair to a lot of people. And it benefited the people in this room enormously because it drove asset prices up, including the price of Berkshire Hathaway stock. So we’re all a bunch of undeserving people - (laughter) - and I hope that we continue to be so. (Laughter)

WARREN BUFFETT: At the time this newspaper came out in 1942, it was - the government was appealing to the patriotism of everybody. As kids, we went to school and we bought Savings Stamps to put in - well, they first called them U.S. War Bonds, then they called them U.S. Defense Bonds, then they called them U.S. Savings Bonds. (Laughs) But they were called war bonds then.

And you put up $18.75 and you got back $25 in ten years. And that’s when I learned that that $4 for three - in ten years - was 2.9 percent compounded. They had to put it in small print then.

And even an 11-year-old could understand that 2.9 percent compounded for ten years was not a good investment. But we all bought them. It was - you know, it was part of the war effort, basically.

And the government knew - I mean, you knew that significant inflation was coming from what was taking place in finance, in World War II.

We actually were on a massive Keynesian-type behavior, not because we elected to follow Keynes, but because war forced us to have this huge deficit in our finances, which took our debt up to 120 percent of GDP. And it was the great Keynesian experiment of all time, and we backed into it, and it sent us on a wave of prosperity like we’ve never seen. So you get some accidental benefits sometimes.

But the United States government (inaudible) every citizen to put their money into a fixed-dollar investment at 2.9 percent compounded for ten years. And I think Treasury bonds have been unattractive ever since - (laughs) - with the exception of the early ’80s. That was something at that time.

I mean, you really had a chance to buy - you had a chance to invest your money by buying zero-coupon Treasury bonds, and in effect, guarantee yourself that for 30 years you would get a compounded return, you know, something like 14 percent for 30 years of your lifetime.

So every now and then, something really strange happens in markets and the trick is to not only be prepared but to take action when it happens.

Charlie, did you ever buy any war bonds?

CHARLIE MUNGER: No. No. I never bought war bonds.

WARREN BUFFETT: No. Used to be like take me -

CHARLIE MUNGER: I didn’t have any money when I was in the war. (Laughter)

WARREN BUFFETT: That’s a good reason not to buy. (Laughs)

2018年10月8日月曜日

2018年バークシャー株主総会(18)年率0.5%は絶対に越えさせない(前)

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バークシャー・ハサウェイ株主総会での質疑応答から、今回は長期債に関する話題です。前回分の投稿はこちらです。(日本語は拙訳)

24. 現在の利回りでの長期債投資は「正気の沙汰とは思えない」

<ウォーレン・バフェット> 次は質問所7番の方、お願いします。

<質問者: 聴衆の一人> おはようございます。米国債市場についてお聞きしたいと思います。オーラ・ラーソンと申します。サンフランシスコのベイ・エリアに住んでいます。

金融業界で働いた経験はありませんが、はじめて買った株はバンクーバー証券取引所で鉱山会社のペニー株でした。それから云十年か経って結婚した後に、妻からバークシャー株を買うようにけしかけられました。結局あれは、うまい決断だったと思っております(笑)。

さて質問です。連銀やインフレ率の値について新聞で読むことがありますが、入札にかけられる財務省証券の供給量がまちがいなく増加するとされています。それでは、利回りや金利が今後どうなると予想されていますか。

<ウォーレン> そうですね、正直なところわかりません。ただし良い点があります。それがわかる人はだれもいない点です。FRBの一員にもわからないはずです。

この話題には、さまざまな変数がかかわってきます。わたしたちが一つわかっているのは、現在の利率近辺においては、投資の対象として長期債がひどくまずいという点です。

そのため当社が待機させている資金は、基本的にすべて財務省[短期]証券にしています。たしか、ほとんどの満期は4カ月程度だったと思います。

最近になって利率が上がってきました。そのおかげで2018年になってから、おそらく最低でも5億ドルは、昨年度の同じ投資にくらべて税引前利益が増えたと思います。

しかし資金をそのままにしているのは、その形で保有しつづけたいからではありません。なにか他のことに使うために、そうやって待っているわけです。

しかし、基本的に現在の利率で長期債に投資しようと考えるのは、狂気の沙汰だと言えるのではないでしょうか。FRBは現在、「年間のインフレ率を2%にしたい」と公言しているわけですから。超長期債の利回りでも、3%をそれほど大きくは上回っていません。個人で買う場合には税が課されますから、そのなかから所得税をいくばくか支払うことになります。

つまり、税引き後では2.5%のリターンにしかなりません。つまりFRBはこう言っているのです。「持てるかぎりの力を尽くそうとも、インフレ調整後の利回りが年率0.5%を越えることは絶対に許さない」と。

それはつまりわたしとしては、ペニー株[低位株、たとえば1株5ドル以下の銘柄。シケモク投資の候補になり得る]に戻るつもりはありませんが、現時点では生産的なビジネスあるいは生産的な資産へこだわりたいということになります。

しかし債券市場で来年になにが起こることはと言えば、そうですね、何兆ドルもの資金を手にした人たちが、どの満期のものを保有するのが最良かなどと思案しているわけです。そのようなゲームの中に入ってもわたしたちが優位に立てるような手札は、なにひとつ持っていません。

チャーリーはどうですか。

(つづく)

24. Long-term bonds are “almost ridiculous” at current rates

WARREN BUFFETT: OK. Station 7.

AUDIENCE MEMBER: Good morning. And I have a question related to the bond market - U.S. Treasury bond market. And my name is Ola Larsson (PH). I live in the San Francisco bay area.

And I never worked in the financial industry. I started out buying penny mining stocks on the Vancouver Stock Exchange. And then decades later, I got married. And my wife convinced me to buy Berkshire shares. That was probably a good decision. (Laughter)

So my question is, I read the newspapers about the Federal Reserve and the inflation numbers. And there must be an increase supply of Treasury bonds that must go to auction. And my question is how would - what do you expect that to impact yield or interest rate?

WARREN BUFFETT: Yeah. The answer is, I don’t know. And the good news is, nobody else knows, including members of the Federal Reserve and everyone -

There are a lot of variables in the picture. And the one thing we know is we think that long-term bonds are a terrible investment, and we - at current rates or anything close to current rates.

So basically all of our money that is waiting to be placed is in Treasury bills that, I think, have an average maturity of four months, or something like that, at most.

The rates on those have gone up lately, so that in 2018, my guess is we’ll have at least $500 million more of pretax income than we would’ve had in the bills last year.

But they still - it’s not because we want to hold them. We’re waiting to do something else.

But long-term bonds - they’re basically, at these rates - it’s almost ridiculous when you think about it. Because here the Federal Reserve Board is telling you we want 2 percent a year inflation. And the very long bond is not much more than 3 percent. And of course, if you’re an individual, then you pay tax on it. You’re going to have some income taxes to pay.

And let’s say it brings your after-tax return down to 2 1/2 percent. So the Federal Reserve is telling you that they’re going to do whatever’s in their power to make sure that you don’t get more than a half a percent a year of inflation-adjusted income.

And that seems to me, a very - I wouldn’t go back to penny stocks - but I think I would stick with productive businesses, or productive - certain other productive assets - by far.

But what the bond market does in the next year, you know - you’ve got trillions of dollars in the hands of people that are trying to guess which maturity would be the best to own and all that sort of thing. And we do not bring anything to that game that would allow us to think that we’ve got an edge.

Charlie?